ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1537 でいぶ更生計画
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ankoss
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「やっほー!元気にしてたー?」
お気楽な口調でノックも無しに私の研究室に入ってくる少女。
彼女はこれでも成人女性、一応白衣を纏ってはいるが少しブカブカなのが可愛らしい。
思わずそんな姿の彼女をみて笑みがこぼれる。
「む!今笑ったでしょ!仕方ないでしょ?サイズが合わないんだから!
それにここに入る時はこれを羽織れって言ったのはそっちでしょ?」
私の言いたい事が分かったのか、彼女がムッとしながらそう言う。
「で、何か用なんでしょ?何なの?どうせろくでも無い事だろうとは思うけど…」
「むー!失礼な!何でそういう事言うかなー?!」
そう、彼女は何時も私にろくでもない事を頼んでくる。
私はそれに巻き込まれて、何時も苦労している。
「それでね、今日はお願いがあってね…」
彼女と私は友達であり同級生。
彼女は私が勤めるゆっくり加工所のスポンサーのご令嬢。
私は加工所内の一研究員、彼女も一応研究員として籍を置いている。
彼女は時々無茶な難題を私に持ちかけてくる。
この前はレイパーありすに罪の意識を自覚させる方法を考えてなんて頼んできた。
今度もろくでもない問題をふっかけてくる気がする。
「でいぶの更生?でいぶってあの?」
「そうよ、あのでいぶに罪の意識を持たせるの!面白そうでしょ?」
「面白そうではあるけれど…それって出来るのかしら?」
「出来たら面白いでしょ?」
やはり無茶な問題を持ちかけてきた、4大ゲスの一角のでいぶを更生?罪の意識?
そんな無謀な事を目を輝かせながら語る彼女。
「でも、そんな研究して良いの?費用の無駄になるかもしれないけど?それに給料も出るの?」
「お金の心配は大丈夫よ!だからさ、一緒にやってみましょう!」
「うーん…仕方ないわね…」
そんな訳で私はでいぶの更生に挑戦する事になるのだった。
「いやー、凄い所だねー!水着持って来れば良かったよ」
「貴方に似合うのはスクール水着くらいよ…まったく、遊びに来たんじゃないんだから…」
「冗談だって!すぐ怒るんだから…でも、私は要望通りに場所を手配しただけだよ」
「まあ、その辺は感謝するけど…」
私達は某孤島にやってきた。
ここは目立った大型動物が生息していない事が確認されている島。
ゆえに某ゆっくり愛護団体がこの島を買い取り、ゆっくりを持ち込んで保護している島だ。
「でも、どうやってこの島を貸しきったの?愛護団体は反対しなかったの?」
「大丈夫だよ、あの愛護団体は五月蝿いけど金を掴ませておけばすぐ黙るし…
所詮金儲けの為にゆっくりを利用しているだけの団体よ!」
ニコニコ笑いながらサラリとそう言う彼女。
しかしおかげで心置きなく実験が出来るというものだ。
それでは早速やってみよう。
『実験~でいぶを長にしてみよう!~』
「なにそれ!すっごく面白そう!」
彼女は目を輝かせてこの話に乗ってきた。
元々は彼女が言い出したでいぶ更生計画なのだが、ゲスの更生は金バッチ取得よりも困難だろう。
底で私が考えた方法は、でいぶに群の長を勤めてもらおうと言うものだった。
通常、群の長は優秀なゆっくりが勤めるものである。
主にドスやぱちゅりー、まれに希少種などが長を務めている。
他力本願なゆっくり達がよりゆっくりしたいがために、善良な、優秀なゆっくりに寄生する。
群と言う形式をとっているもの、大抵はこういった背景があるからである。
長の中には、自分がゆっくりしたいがため群を持つものも居たりする。
しかし余程賢くなければ、そんな計画もすぐに破綻し群が崩壊する。
群を維持するのは非常に困難な事なのである。
そんなゆっくり社会において、でいぶという存在が長になると言う事はまず有りえないのである。
ゲスはゆっくり内でも嫌われる存在であり、ゲス同士でもない限りゲスが長になることはまず無い。
まれに隠れゲスが長になったりする事もあるが、ゲスは基本的に自分本位の存在であるため、群の存続などに興味が無い。
故に群を崩壊させるか、他のゆっくりの殺されるのが落ちである。
上手く群を運用できているものはゲスというより、ずる賢いゆっくりなのである。
「で、どうやって、でいぶを長にするの?通常ではありえないでしょう?いくら善良な個体の群でも、
自分勝手に行動するでいぶの言う事に従わないと思うけど…」
「だから、あれを頼んでおいたんでしょ?」
「なるほどね…もう届いていると思うから見に行きましょっか!」
彼女はそう言うと楽しそうに島の管理施設がある建屋に向かった。
ここはゆっくりのための島とはいえ、愛護団体運営の管理局が設けてある。
私達は実験の間そこの一角を間借りする事になっていた。
「きゃー!可愛いー、私、今日はこの子と一緒に寝るー♪」
「はいはい…それは良いけどその子には色々協力してもらうんだから、差支えがないようにね…」
彼女が嬉しそうにウサ耳少女の頭を撫で回す。
この子はこんな容姿をしているがこれでもゆっくりである。
胴付と呼ばれる珍しいもので、更に希少種なのだ。
「で、この子達もいるんだけど…」
「うーん…なんか私より無駄にセクシーだからちょっとね…背は一緒くらいなのに…」
「おぉ…ひどいひどい…」×3
「まったく、嫌わないでちゃんと仲良くしてね…」
彼女はウサ耳ゆっくりをしっかりと抱きしめながらそう言う、明らかに敵を見るような目だ。
抗議の声をあげたこの少女達もゆっくり。
確かに身長は彼女と同じくらいではあるが、体つきが無駄にセクシーな気がする。
荷物を宿舎においてきた後で、彼女と私とゆっくり達で作戦会議をする。
人間のスタッフは二人だけではあるが、今回はなるべく人の手を介入させたくないのでこれで十分だった。
「それじゃあ、うどんげは群のゆっくり達に、でいぶの命令に絶対服従するように暗示を御願いね」
『コクコク!』
にっこりと笑って頷くウサ耳のゆっくり。
このゆっくりは「うどんげ」と呼ばれるゆっくりで、ゆっくり達を操る事が出来る能力を持っている。
喋る事は出来ないが、知能は高くその上善良な性格なので人気の高いゆっくりだ。
「で、きめぇ丸達には交代で群の監視に当たってもらうわ、監視用のカメラと無線を各自に配っておくから宜しくね」
「おぉ、りょうかい、りょうかい!」×3
不敵な笑いを浮かべながら頷くゆっくり。頭を無駄に早く振っているのはこの種の特徴である。
このゆっくりは「きめぇ丸」と呼ばれるゆっくりで、今回はその機動力を活かして群とでいぶの監視にあたってもらう。
今回はでいぶの自然治療を目的としているので、人間サイドからの群への支援はなし。
早速本土から持ち込んだ純国産の野生高級でいぶ(虐待用)を、森に運ぶ。
でいぶはダンボールの中に緩衝材と一緒に入っており、ラムネで眠らせてある。
これを管理施設から一番近いドスなしの群れに連れて行く。
「ゆゆ?ゆっくりれんじゃーのにんげんさん?きょうはなんのごよう?」
森の中を10分ほど進むと第一ゆっくりが現れた、大人しそうなありすだ
私達はここの「ゆっくりレンジャー」の帽子を借りてきているので、ありすが勘違いして話しかけてきた。
「貴方の群れにはドスが居る?」
「ありすのむれのはいないわ」
「そう、なら群れに案内してくれる?」
「おやすいごようよ」
ありすの案内でそこからさらに5分ほど歩くと、人工的に作られたような穴が無数にある場所に着いた。
ここではゆっくりが群を作りやすいように、人間が手を加えてある場所がいくつか存在する。
ここもその一つで、比較的観察しやすい場所なのでこの群を使わせてもらう事にする。
早速長に群のゆっくりを集めさせる。
「むきゅ!ちょうどかりにでるまえだったから、これでぜんいんよ!それでぱちゅたちはなにをすればいいのかしら?」
ここで私は群のゆっくり達にうどんげを見るように指示を出す。
うどんげの瞳が怪しく輝く…
『これから見せるれいむの命令に従え!れいむに危害は加えるな!この二つに反するおそれのない限り自分を守れ!』
『れいむさまのめいれいにしがたいます!れいむさまにきがいはくわえません!ふたつのやくそくをやぶらないかぎり、
じぶんをまもります!』
群のゆっくり達はどれもが濁った目で声をそろえてそう言った。
私はダンボールの中で眠っているでいぶを取り出すと、操られたゆっくり達の前において群を後にした。
「ちょっと不安だけど…まあいいか…」
彼女は群の方を振り返るとそう言った。
あとは仮で設けられた研究室できめぇ丸からの報告を待つだけである。
「ゆーん?れいむはゆっくりおきるよ………ゆゆ?みたことないゆっくりがいっぱいいるよ?」
『おはようございます、れいむさま!ゆっくりしていってください!』
「いわれなくても、れいむはゆっくりしているよ!それよりおなかがすいたよ!なにかたべたいよ!たくさんもってきてね!」
『はい!ただいまもってまいります!』
れいむは見た事のないゆっくり達に囲まれていたが、大して気にする様子もなく何時もない。
操られたゆっくり達はれいむの言葉に従い、各自巣に帰り溜め込んだ食料を運んでくる。
そんなゆっくり達にれいむは大満足といった様子で嫌らしくニヤついた。
「きにいったよ!れいむはこのむれにくわわってあげるよ!こうえいにおもってね!おさはだれなの?」
『れいむさまがこのむれのおさです!』
「ゆん?そうだったね…れいむがこのむれのおさだったよ!ゆふふふふ!」
何でも自分の都合の良い様に解釈するゆっくり。
その中でも特にそれが酷い「でいぶ」と呼ばれるこのれいむは、この状況下も自分にとって都合の良い事しか見ておらず、
故にあっさり長である事も認めてしまっていた。
そんなれいむを見て監視役のきめぇ丸は眉を顰めるのだった。
「ふーむ…順調にいってるみたいね、それにしても流石でいぶね。吐き気がするわ♪」
「吐き気がするって…それに順調って言ってもまだ一日目でしょ。どうなる事やら…」
きめぇ丸が撮影してきた動画を見て、楽しそうにそう言う彼女。
その膝の上にはうどんげを座らせている。
うどんげは彼女に頭を撫でられて幸せそうにしていた。
確かにでいぶの行動は身勝手極まりないものだった。
気に入ったゆっくり数匹とスッキリしたり、好き放題に食料を食い散らかしたりしていた。
『れいむはにんぷさんなんだよ!だからむれぜんいんで、れいむをささえていってね!』
得意そうにれいむがそう言う。
額には植物型に実った子ゆっくりが3匹、すべてれいむ種である。
このれいむは群一番の美ゆっくり(?)のまりさとすっきりしたのだが、実ったまりさ種の実ゆっくりは、
大きくなる前にれいむが群のゆっくりに?ぎ取らせていた。
自分似の赤ゆっくりしか欲しくないのだろう。
群の食料を食い荒らし、身の回りの世話をしてもらいれいむは大変満足そうにしていた。
群のゆっくり達はれいむが食べようとしなかった食料で、何とか食いつないで居るようだった。
「この調子だと一週間くらいで群が滅びそうね…」
「うーん…それでこのれいむは自分の過ちに気がつくの?」
「さあ?それはれいむ次第でしょ?(まあ、気がつかないでしょうけど…)」
「ん?何か言った?」
「別に…」
そう、私はこの実験ででいぶが更生出来るとは思っていなかった。
私は面白実験がしたかっただけで、でいぶがどうなろうと、群がどうなろうと知った事ではないのだ。
ただ研究者として、単純にどうなるのか見てみたかっただけだ。
それに正直言ってこんな事で、でいぶを更生出来るなんて思っていないのだ。
彼女は何か納得いかない様な顔をしたが、再びでいぶの観察動画を眺める。
と、突然きめぇ丸の一匹が研究室に慌てて駆け込んでくる。
「おぉ!たいへん!たいへん!!」
「どうしたの慌てて…何かあったの?」
「むれが、あのむれが!」
「落ち着きなさい、それとヒュンヒュンするの止めなさい」
「おぉ…すみません、とりみだしてしまいました。じつはですね………おぉ、よそうがい!よそうがい!
あのむれがほろびました!」
「「な、なんですってぇぇ?!」」
私達はきめぇ丸からの報告と撮影された動画を交えながら、でいぶを長にした群の末路を知った。
増徴したでいぶは、更なる楽園を求めて群を率いて大移動を始めた。
自分だけ大型すぃーの上に乗り、数匹の成体ゆっくりにそれを引っ張らせて行軍する様子は、そのままでいぶの増徴した態度を象徴していた。
まさに、自分以外のゆっくりは奴隷なのだろう。
そんなでいぶの群がたどり着いたのは希少種の群が作った畑だった。
移動距離にして500mくらいの距離だろうがそれでもゆっくりにとっては大移動の行軍だった。
疲弊しきっていた所で畑を奪うために戦うほどの力は残っておらず、あっけなく全滅していた。
「……………………」
「……………………」
「………何て言うか…でいぶを侮っていたわ…」
「えっと………これで孤島のバカンスは終わりなの?」
「遊びに来たんじゃないんだから…」
まさにあいた口が塞がらないと言うやつだった。
でいぶ、半端じゃないわね…
「まあ、面白いデータも取れたし第二段行ってみますか」
「え…まだ何かあるの?」
「当然でしょ?まあ、でいぶの長計画がこんなに早く潰れるとは思わなかったけどね」
私がそう言った途端に嬉しそうにする彼女。
実はもう一つ試してみたいことがあったのだ。
「でも、大丈夫なの?今度もあっさり終ったりしないの?それに改めて思ったけど更生なんて出来るのかしら?」
「自分で思いついておいてよく言うわね…まあ、でいぶだって絶対悪じゃないんだから何とかなると思うけど」
そう、私は先ほどのでいぶの群の崩壊を見て改めて確信していた。
でいぶの本質と、更生の可能性を。
「という訳で、用意はお願いね。多少無茶な注文が入るとは思うけど」
「そういう事はまかせておいてね!」
「きめぇ丸達も引き続きよろしくね」
「おぉ、りょうかい、りょうかい!」×3
「えぇ~!まだこの子達と一緒なのー?!」
「おぉ…ひどいひどい…」×3
こうしてでいぶ更生計画第二弾の準備が始まるのだった。
「例の物が届いてたよー!(ちっ、これでせっかくのバカンスも終わりか…)」
「ちゃんと聞こえているわよ…それにしても3日で用意出来るとは流石ね」
「私としてはもう少し遅くっても良かったんだけど…なんでもないです…」
彼女はまだ遊び足りなそうな顔をしながら、うどんげを撫でている。
まあ、3日も遊んでいたのだから、そろそろ仕事をしても罰は当たらないだろう。
「今回はうどんげはお休みよ。で、きめぇ丸達は前回同様、監視任務に当たってもらうわ」
「おぉ、おしごと!おしごと!」×3
久しぶりの仕事に目を輝かせるきめぇ丸とは裏腹に、彼女は面白くなさそうな顔をしている。
「まったく、まあ今回はこの子が手伝ってくれるし…まあ、早速準備しましょう」
「何この子!かわいいー!」
「ほらほら、さっさとお仕事よ!」
「おー!」×5
「ゆーん…ここはどこなの?」
気だるそうな声を上げれいむが目を覚ます。
周囲を見渡し首をかしげるような格好をする。
「しらないばしょのようなきがしたけど、そんなこともないよ!れいむはおうちにもどるよ!」
実際には、このれいむの住んでいた森ではないのだが、所詮はゆっくり。
そんな事に気が付いていたら、もう少し知能は高いのかもしれない。
まあ、半分は思い込みがあるのかもしれないが。
「ゆぅ!れいむのおうちがみつからないよ!ゆっくりしないで、でてきてね!」
当然れいむのお家などあるはずもないのだが、それでも何の迷いもなしに無茶な事をいう。
「ゆぅ…れいむはつかれたよ………ゆっぎぃぃぃ!おうちさん、いじわるしないで、でてきてね!れいむはおこるとこわいんだよ!」
闇雲に動き回っていたせいか、大分疲れた様子のれいむは苛立ちながら更に騒ぎ立てる。
「ゆぅ…なんだかうるさいのぜ?!なんなのぜ?!」
れいむの喚きを聞きつけ、一匹のまりさが姿を現す。
このまりさも、実験用に用意されたまりさで、当然この島のゆっくりではない。
「ゆっがぁぁぁ!まりさだね、いじわるしているのは!れいむのおうちをかえしてね!」
「ゆわぁぁぁ…まりさはしらないんだぜ!まりさはこのもりさんは、はじめてなんだぜ!」
「いいわけはゆるさないよ!せいさいしてあげるよ!」
「ゆわぁぁぁ!まりさはゆっくりにげるよ!!」
言いがかりをつけてまりさを制裁しようとするれいむ。
さっきまでの疲れは何処へやらで、まりさを必死に追い掛け回していた。
「ゆっひぃ!まりさはなにもしてないんだぜぇぇぇ!!」
「このくそまりさ!おとなしくれいむにつぶされてね!」
「ゆっひぃぃぃぃぃ!!でも、なんだかへんなかんじがするのぜ!ゆっくりできるような…」
追いかけっこをする二匹だったが、やはりれいむの方が先に力尽きたのか追うのを止めてしまった。
まりさはそれに気が付くと、わざわざれいむの側に近づいていく。
「どうしたのぜ?もうおいかけないのぜ?!」
「うるさいよ!れいむはつかれたんだよ!」
「ゆぅ…もうおいかけてくれないのぜ?!つまらないのぜ…」
「それなら、なにかたべものをとってきてね!」
「ゆゆ!わかったのぜ!なにかさがしてくるのぜ!………げすなれいむに、めいれいされる…このかいかんはなんなのぜ?!」
まりさはそう呟くと心底嬉しそうに跳ねていった。
「ゆ!いがいとすなおなまりさだね!いいこころがけだよ!」
れいむはそう言うと満足そうにニヤついていた。
「れいむ、おまたせ!いっぱいとってきたよ!」
「ほんとうにまたせすぎだよ!れいむはおなかがすきすぎて、もうすこしでしぬところだったよ!」
「ゆふん、ごめんねれいむ。たくさんたべてね」
「いわれなくてもたくさんたべるよ!………むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」
狩りを終えてきたまりさに悪態をつきながらも、
目の前のご馳走を貪るように食らい幸せそうにしているれいむ。
このまりさは狩りが得意な方だった。
その上この周辺には他にゆっくりは生息していない。
いや、ほんの3日ほど前までは居たのだが、すべて消えうせていた。
故にたくさんの食料があちこちで見つかった。
「これうめぇ!めっちゃ………し、し、し、しあわせー!こんなゆうしゅうなどれいがてにはいって、れいむはしあわせだよ!」
「ゆ?!どれい?!なんだかとってもゆっくりできない、すてきなひびきなのぜ!まりさはどれいとしてがんばるのぜ!」
普通なら激怒するはずであろう、れいむの発言をまりさは嬉しそうに受け入れた。
二匹はそれぞれ秘めた思いは異なるが、幸せそうに微笑んでいた。
「とりあえずはここにすめばいいのぜ!ちょうどいいおうちがあったのぜ!」
まりさに案内され、れいむは一つの前まで洞穴にやってくる。
そこは人工的に作られたゆっくりの家、滅んだ群のゆっくりが使っていたものだった。
「ゆ!けっこうひろいね!それにべっとさんまであるよ!きにいったよ!ここをれいむのおうちにするよ!」
無事におうち宣言を終えたところで、満足そうにニヤつくれいむ。
そんなれいむを他所に、まりさは少し周囲を警戒していた。
「でも、どうしてこんなおうちがあるのぜ?まりさはこんなじょうずに、あなさんをほることはできないのぜ」
「なにいってるの?きまっているでしょ?このおうちはれいむのためにはえてきたんだよ!」
得意そうに、ありえない事をいうれいむ。
実際に自然界ではありえないのだが、この穴はゆっくりの為に作られたもの。
強ち間違ってはいないのであった。
ともかく、こうして二匹の共同生活が始まるのだった。
「まりさ、おそいよ!なにをやっていたの?!れいむはおなかがぺこぺこだよ!」
「ゆぅ、ごめんねれいむ。あかちゃんをきずつけないように、しんちょうにうごいていたからおそくなっちゃったよ」
「そんなの、りゆうにならないよ!つぎからはもっといそいでね!」
食事を持ってくるのが遅くて文句を言うれいむ。
それもその筈だろう、まりさの頭には3匹の実ゆっくりがぶら下っていた。
昨日、無理やりれいむにスッキリされて出来た実ゆっくりだ。
それにもかかわらず、れいむに狩りに行かされるまりさ。
れいむの言い分によれば、
「れいむはすっきりしてつかれたよ!まりさのせいだからね!だからこれからまいにち、
れいむのためにごはんをとってきてね!たくさんでいいよ!」
との事だった。
何とも無茶苦茶な事であったが、まりさはそれに従った。
実ゆを抱えた状態ではあったが、幸いこの島の監視員達が、定期的に餌を撒いている場所を見つけたため、
まりさはそれほど苦労も無く、食料を集める事が出来ていた。
当のまりさといえば、
「どげすなれいむ、そんなれいむにののしられ、めいれいされるこのかいかん………まりさはしあわせだよぉぉぉ!」
と、どM丸出しの発言をしていた。
故に本来なら即崩壊してもおかしくない関係は、上手い具合に纏まっていた。
れいむもまりさも形は違えど、非常にゆっくりした一時を過ごしていた。
それからも、まりさはれいむの為、自分の為に一生懸命働いた。
栄養状態が良かったために、植物型妊娠してから3日で赤ゆが生れ落ちた。
れいむ種2匹、まりさ種1匹であった。
れいむは一応まりさが狩りに出かける間は、赤ゆの面倒を見てはいた。
まりさが帰ってくるまで、赤ゆとおうたを歌ったり、ころころ、のびのびなどして遊んでいた。
まりさは巣穴に帰ってくれば、れいむと赤ゆ達にののしられ、いびられる生活を強いられていた。
それでもまりさは文句も言わず、むしろ喜びに震えながら幸せに暮らしていた。
そんな中でれいむにも少しずつ変化が起こっていた。
元々このれいむは、そのでいぶっぷりが仇となり、群から制裁されるところを地元のゲス狩り名人に捕獲された物である。
れいむと番になっていたまりさは、れいむに愛想を尽かしていた。
群からも爪弾きにされ、自分の思う通りにならない生活を余儀なくされていた。
なぜ自分の思い通りにならないのか…
なぜ自分をゆっくりさせてくれないのか…
なぜ自分がゆっくり出来ないのか…
その不満がさらにれいむのでいぶ化を加速させていった。
そんな過去があったからか、れいむの言う事を何でも聞くこのまりさには、
ただの奴隷以上に思い入れがあった。
やっと理想の奴隷が手に入った喜び。
自分の思い通りに動いてくれるゆっくり。
自分をゆっくりさてくれるゆっくり。
れいむにとってこのまりさは、理想の奴隷であると同時に、掛け替えのない奴隷になっていたのだった。
そんなある日の事、まりさは何時ものように狩りに出かけて行った。
「だめまりさ!くそどれい!きょうもかわいいれいむのために、たくさんごはんをとってきてね!
ついでにおちびちゃんたちのぶんも、わすれないでね!それからはやくかえってきてね!」
「ばーきゃ!ばーきゃ!くしょどれい!れーみゅにたくしゃん、おいちいきのみしゃんもってきちぇね!」
「うんうんまりさ!れーむのぶんもわしゅれないでね!わすれたら、おしおきだよ!」
「まりしゃもいるのじぇ!わすれりゅんじゃないのじぇ!………でも、どれいがちょっとうらやましいのじぇ…
このきもちはなんなのじぇ?………」
何時もの様に罵声を浴びて、何時もの狩場まで跳ねていった。
「ゆふぅぅぅん!くちきたない、げすどもにののしられて、まりさはてんごくにいってしまいそうなのぜぇぇぇ!!」
幸せいっぱいの表情で、まりさは食料を集めて巣穴に帰って行った。
ところが帰ってくるなり、れいむが無茶な要求を突きつけた。
「まいにち、きのみや、むしさんばかりじゃあきるよ!たまには、おいしいおやさいさんがたべたいよ!」
「ゆぅ…でもはたけさんなんてないのぜ?」
「ないならさがせばいいでしょぉぉぉぉ?!まったく、このまりさはつかえないね!」
「ばーきゃ!ばーきゃ!やくたたじゅー!」
「つかえないくしょどりぇい!うんうんまりさー!」
「くずまりしゃー!ばーきゃ!ばーきゃ!(うらやましいのじぇ…まりしゃもののしってほしいのじぇ…)」
好き放題言う赤ゆ達。
全て霊夢の影響を受けて増徴しているのだが、れいむはそれを面白くなさそうに見ていた。
「おちびちゃんたち!このくそどれいはれいむのどれいだよ!おちびちゃんたちのどれいじゃないよ!ゆっくりりかいしてね!」
「ゆゆ?!」×3
「れいむ?!どうしたのぜ?」
そう言われて思わずハッとするれいむ。
「な、なんでもないよ!どれいのまりさはさっさと、おやさいをさがしてきてね!」
「ゆ!わかったのぜ!いってくるんだぜ!」
まりさは不思議そうな顔をしながら、お野菜を探しに出かけていった。
「おかーしゃん、どうしたのじぇ?」
「ゆん!なんでもないよ!」
れいむは慌てて平静を装う。
自分自身に起こっている変化に戸惑っていた。
なぜ自分はあんな事をいったのだろうか?
奴隷なのに…
ただの奴隷なのに…
まりさは必死で森を駆け回っていた、れいむの為にお野菜を探し回っていた。
だが、当然の事ではあるが、森には野菜は生えていなかった。
この島はあくまでゆっくり達をなるべく自然のまま保護するのが目的であって、
ゆっくり達のための理想郷ではなかったからだ。
それでも野菜を欲するならば、自分達で栽培するしかないのだが…
「ゆう………やっぱりおやさいは、みつからないのぜ…このままじゃ、れいむにおこられるのぜ…
………でも、それもいいかもしれないのぜ♪」
諦めて巣穴に戻ろうとすると、遠くで何か動く物を見つけた。
一瞬ではあったが確かにそれはゆっくりであった。
「ゆ!あのゆっくりなら、おやさいがあるところを、しってるかもしれないのぜ!おいかけるのぜ!」
まりさはそのゆっくりが消えて行った方角へ跳ねていった。
「ゆん!おそいよ!まりさはなにをやっているの?!まだおやさいをみつけられないの?!」
れいむは巣穴の中で騒ぎ立てていた。
始めは赤ゆもいっしょに文句を言っていたのだが、れいむが、
「もんくをいっていいのはれいむだけだよ!」
っと赤ゆ達に言うと、赤ゆ達は大人しくなった。
赤ゆ達も足りないながら気が付いていた、親れいむの様子がおかしい事を。
れいむはイライラしながら巣穴の中を動き回っていた。
「ゆぅ…きょうのおかーしゃんは、なんだかゆっくりちてないよ………」
「しょーだね、どうしちゃのかな………」
赤ゆは小声で親れいむを心配していた。
当然親まりさの事は奴隷としか思っておらず、そちらの心配は一切していなかった。
そんな時だった。
「ゆひっ………ゆぎっ……が…れ…いむ…ごぼっ…」
遠くからまりさの声が聞えてきた。
それはとても弱弱しいものだったが、巣穴のれいむにはしっかりと聞き取れていた。
「ゆ?!まりさのこえがきこえるよ!やっとかえってきたんだね!こんなにまたせるなんてぐずだね!のろまだね!」
れいむは悪態をつきながら巣穴から顔を出す。
何時もなら釣られて赤ゆも悪態をつくところだが、親れいむから注意されたのを覚えているのか、
黙って親れいむの様子を見守る。
巣穴から姿を現したれいむは周囲を見渡す。
と、巣中なら数メートル先に、片目が潰れてボロボロになっているまりさが居るのに気がついた。
「ゆわぁぁぁ!まりさ!どうしたの?!どうしてきずだらけなの?!」
れいむは慌ててまりさに駆け寄る。
「れ…いむ…?!」
ボロボロのまりさは搾り出すようにれいむに呼びかける。
その表情は傷だらけの割には、どこか幸せそうだった。
「ゆへ…へへ…まりさね………はたけさんから…おやさいさんをとろうとしたら………
みたことないゆっくりたちに……ゆげぼっ!がぼっ!……」
「ゆわぁぁぁぁ…まりさ!まりさ!しっかりしていってね!」
まりさは少量の餡を吐き出した。
もう長くは無いのだろう。
そんなまりさを心配そうに見つめるれいむ。
「ゆぅ………ごめんね…れいむ………おやさいさんをたべさせてあげられなくて………」
「ごめんじゃすまないでしょぉぉぉぉ?!もういちどおやさいをとりにいってねぇぇぇぇぇ!!」
まりさは涙を一粒零した。
れいむはそんなまりさに罵声を浴びせる。
「さっさとこんなけがをなおしてねぇぇぇ!!まりさがかりにいけないと、れいむがこまるんだよぉぉぉぉ!!」
「ごめんね…ごめんね………まりさは…もう………さ、さいごに……」
「ゆ?」
「おやさいのかわりに、まりさをたべてね………」
『おたべなさい!』
まりさは幸せそうな顔をして、一言そう呟いた。
「まったく!さいごまでやくにたたないまりさだよ!むーしゃ、むーしゃしてもぜんぜんおいしくないよ!」
れいむは、まりさだった物を食べながらそう呟いた。
赤ゆ達もまりさだった物を食べていたが、どれも黙ったままだった。
「こんなもの、ぜんぜんおいしくないよ!たべるかちもないよ!」
そう言いながらも、れいむは食べ続けていた。
その顔には、涙があふれ出ていた。
「おかーしゃ………?」
れいむは泣いていた。
何故か居ているのかは、れいむ自身にも分からなかった。
奴隷を失った事が悲しかったのか。
これから自分が狩りをしなければならない事が悲しかったのか。
それとも、
まりさのことが好きだったからなのか………
ただ、まりさには少なからず特別な感情があったのだろう。
短い間とはいえ、れいむの為に始めて尽くしてくれた、まりさだったのだから。
自分をゆっくりさせる為に働き、そして死んでいったのだから。
「いたよ!きっとこのあいだのむれのいきのこりだよ!」
「まったく………おやさいはかってにはえてこないって、なんでわからないのかしら?」
「まあ、はたけをあらしたむくいは、しっかりうけてもらいましょう」
「………………」
「かくごはいいかしら?」
「おまえたちが、まりさをおそったんだね?」
「おそった?…なにいってるの?はたけあらしのゆっくりを、せいさいしただけよ」
「ゆるさないよ!れいむのどれいを!………れいむのまりさを!!」
『せいさいしてあげるよ!!』
「ごめんね…まりさ………………かたきは、うてなかったよ………」
れいむはそう言うと静かに息を引き取った。
赤ゆも希少種の群に潰されて死んでいった。
「ふーむ、なかなかだったわね………」
「そうね………」
彼女はそう言いながら膝の上に座らせている、ゆっくりさとり(胴付)の頭を撫でていた。
この子には、今回の一軒で大分働いてもらった。
主にれいむの心を読む仕事がメインだったのだが、ゆっくりの心を読める、さとりにしか出来ない事であった。
おかげで、れいむの心の変化がよく解った、今回の功績者だ。
もちろん、きめぇ丸達にも感謝している、あの子達もよく働いてくれた。
「でも、これって成功なのかしら?罪の意識があったような無いような?更生できたのかしら?」
「成功とみて良いのでは?」
「そう?どの辺が?」
彼女はいまいち納得してない様子で首をかしげる。
「いい?私の考えではね、でいぶってのは自己愛の塊なのよ。だからあんなに我がまま、好き放題な事をしているのよ
でいぶは自分が可愛いから、自分をゆっくりさせたい、自分が幸せになりたいのね。
で、それがそのままあの態度に表れているのよ。」
「ふーむ?」
「だからね、私はその自分に向けている愛を、他の者に向けてみようと思ったのよ。
他の者を愛する事が出来れば、きっと自分優先にはならないでしょ?あの態度も治るかもしれない。
でも、自分の子供に愛を向けるとは限らない、だからあのまりさを用意したの。
まあ、あのれいむの境遇も良かったんだろうけどね。運が良かったってのもあるかもね」
そう、あのまりさは野生の物だったのだが、「ゆっくりてんこ」という、
マゾ気質のゆっくりから採取された通称「どM因子」を植えつけられたまりさなのだ。
故に、れいむの命令にも文句を言わず、むしろ喜んで従っていたのだ。
「もしかして、結構運任せだったの?」
「まあ、そう言う事ね、れいむが他の者に愛を向けてくれなければ、これは成功しなかった事だから」
「ふーん」
彼女は今一満足してないかのような表情をしていた。
それはそうだろう。
この方法は、でいぶに罪を認めさせる訳ではないのだから。
でいぶはおそらく、自分の罪を認めないのだろう。
ただ、でいぶ更生の可能性を見ることは出来た。
上手く誘導する事が出来れば、傲慢な態度や性格をある程度変える事が出来るかもしれないのは解った。
「ねね、あのれいむって、まりさの事が好きだったの?」
「最後の謝罪は、れいむが他の者の為に行動した事に対しての発言でしょ?
自分のまりさの敵を討ちたかった、でも討てなかった。
でいぶのままだったら、あんな事は言わないと思うわ。」
「じゃあ、どんな事を言うの?」
「さあ?例えば、『れいむをゆっくりさせろぉぉぉぉ!!』とか『しにたくないぃぃぃぃ!!』とか?
その前に戦わないで命乞いとか、まりさに責任を擦り付けて誤魔化してたかもね」
「なるほどね」
彼女は納得したようにそう呟いた。
それから私達は荷物をまとめて本土に帰った。
滞在期間は1ヶ月程と、大分長くなってしまったが、彼女の財力と行動力で特に孤島生活に不自由を強いられる事はかなった。
なお、今回協力してくれた胴付ゆっくり達は研究所で、私達のアシスタントとして働く事になった。
彼女はきめぇ丸が一緒なのは面白くないようだっが…
「何でこの子達もいっしょなの?あの島に置いてくれば良かったのに」
「おぉ!ひどい!ひどい!」×3
「そんな事言っちゃ駄目でしょ?きめぇ丸が本気で泣いているわよ」
「うぅ…だってねぇ…私よりもスタイルが良いのがね………
でも、今回の一件で貴方を恐ろしさを再確認したわ」
「何の事かしら?」
「実験の為とはいえ、群一つ分のゆっくりを消費したでしょう?まったく恐ろしいわ」
彼女が笑いながらそう言うので、私も負けじと言い返す。
「私も貴方の恐ろしさを再確認したわ、そのあたりの一件をお金で有耶無耶にしたでしょ?
普通なら、愛護団体がアホみたいに騒ぐでしょうに………」
それを聞いた彼女は怪しい笑みを浮かべた。
「愛護団体だって、スポンサーがないと生きていけないでしょう?まあ、そういう事よ♪」
「そうね…」
「そうよ…」
お互いの顔を見てふふふと笑う。
彼女はとても邪悪な笑い顔をしている。
それはきっと私も同じ事だろう。
まるでお代官様と越後屋のような感じだ。
『貴方と友達で良かったわ』
声をそろえてそう言う。
でいぶのおかげで、私達はさらに強い絆で結ばれた。
まあ、恋愛対象ではないけれど…
でいぶも人の役に立つ事があるのね。
一応お礼を言っておくわ。
でいぶ、ありがとう。
完
お気楽な口調でノックも無しに私の研究室に入ってくる少女。
彼女はこれでも成人女性、一応白衣を纏ってはいるが少しブカブカなのが可愛らしい。
思わずそんな姿の彼女をみて笑みがこぼれる。
「む!今笑ったでしょ!仕方ないでしょ?サイズが合わないんだから!
それにここに入る時はこれを羽織れって言ったのはそっちでしょ?」
私の言いたい事が分かったのか、彼女がムッとしながらそう言う。
「で、何か用なんでしょ?何なの?どうせろくでも無い事だろうとは思うけど…」
「むー!失礼な!何でそういう事言うかなー?!」
そう、彼女は何時も私にろくでもない事を頼んでくる。
私はそれに巻き込まれて、何時も苦労している。
「それでね、今日はお願いがあってね…」
彼女と私は友達であり同級生。
彼女は私が勤めるゆっくり加工所のスポンサーのご令嬢。
私は加工所内の一研究員、彼女も一応研究員として籍を置いている。
彼女は時々無茶な難題を私に持ちかけてくる。
この前はレイパーありすに罪の意識を自覚させる方法を考えてなんて頼んできた。
今度もろくでもない問題をふっかけてくる気がする。
「でいぶの更生?でいぶってあの?」
「そうよ、あのでいぶに罪の意識を持たせるの!面白そうでしょ?」
「面白そうではあるけれど…それって出来るのかしら?」
「出来たら面白いでしょ?」
やはり無茶な問題を持ちかけてきた、4大ゲスの一角のでいぶを更生?罪の意識?
そんな無謀な事を目を輝かせながら語る彼女。
「でも、そんな研究して良いの?費用の無駄になるかもしれないけど?それに給料も出るの?」
「お金の心配は大丈夫よ!だからさ、一緒にやってみましょう!」
「うーん…仕方ないわね…」
そんな訳で私はでいぶの更生に挑戦する事になるのだった。
「いやー、凄い所だねー!水着持って来れば良かったよ」
「貴方に似合うのはスクール水着くらいよ…まったく、遊びに来たんじゃないんだから…」
「冗談だって!すぐ怒るんだから…でも、私は要望通りに場所を手配しただけだよ」
「まあ、その辺は感謝するけど…」
私達は某孤島にやってきた。
ここは目立った大型動物が生息していない事が確認されている島。
ゆえに某ゆっくり愛護団体がこの島を買い取り、ゆっくりを持ち込んで保護している島だ。
「でも、どうやってこの島を貸しきったの?愛護団体は反対しなかったの?」
「大丈夫だよ、あの愛護団体は五月蝿いけど金を掴ませておけばすぐ黙るし…
所詮金儲けの為にゆっくりを利用しているだけの団体よ!」
ニコニコ笑いながらサラリとそう言う彼女。
しかしおかげで心置きなく実験が出来るというものだ。
それでは早速やってみよう。
『実験~でいぶを長にしてみよう!~』
「なにそれ!すっごく面白そう!」
彼女は目を輝かせてこの話に乗ってきた。
元々は彼女が言い出したでいぶ更生計画なのだが、ゲスの更生は金バッチ取得よりも困難だろう。
底で私が考えた方法は、でいぶに群の長を勤めてもらおうと言うものだった。
通常、群の長は優秀なゆっくりが勤めるものである。
主にドスやぱちゅりー、まれに希少種などが長を務めている。
他力本願なゆっくり達がよりゆっくりしたいがために、善良な、優秀なゆっくりに寄生する。
群と言う形式をとっているもの、大抵はこういった背景があるからである。
長の中には、自分がゆっくりしたいがため群を持つものも居たりする。
しかし余程賢くなければ、そんな計画もすぐに破綻し群が崩壊する。
群を維持するのは非常に困難な事なのである。
そんなゆっくり社会において、でいぶという存在が長になると言う事はまず有りえないのである。
ゲスはゆっくり内でも嫌われる存在であり、ゲス同士でもない限りゲスが長になることはまず無い。
まれに隠れゲスが長になったりする事もあるが、ゲスは基本的に自分本位の存在であるため、群の存続などに興味が無い。
故に群を崩壊させるか、他のゆっくりの殺されるのが落ちである。
上手く群を運用できているものはゲスというより、ずる賢いゆっくりなのである。
「で、どうやって、でいぶを長にするの?通常ではありえないでしょう?いくら善良な個体の群でも、
自分勝手に行動するでいぶの言う事に従わないと思うけど…」
「だから、あれを頼んでおいたんでしょ?」
「なるほどね…もう届いていると思うから見に行きましょっか!」
彼女はそう言うと楽しそうに島の管理施設がある建屋に向かった。
ここはゆっくりのための島とはいえ、愛護団体運営の管理局が設けてある。
私達は実験の間そこの一角を間借りする事になっていた。
「きゃー!可愛いー、私、今日はこの子と一緒に寝るー♪」
「はいはい…それは良いけどその子には色々協力してもらうんだから、差支えがないようにね…」
彼女が嬉しそうにウサ耳少女の頭を撫で回す。
この子はこんな容姿をしているがこれでもゆっくりである。
胴付と呼ばれる珍しいもので、更に希少種なのだ。
「で、この子達もいるんだけど…」
「うーん…なんか私より無駄にセクシーだからちょっとね…背は一緒くらいなのに…」
「おぉ…ひどいひどい…」×3
「まったく、嫌わないでちゃんと仲良くしてね…」
彼女はウサ耳ゆっくりをしっかりと抱きしめながらそう言う、明らかに敵を見るような目だ。
抗議の声をあげたこの少女達もゆっくり。
確かに身長は彼女と同じくらいではあるが、体つきが無駄にセクシーな気がする。
荷物を宿舎においてきた後で、彼女と私とゆっくり達で作戦会議をする。
人間のスタッフは二人だけではあるが、今回はなるべく人の手を介入させたくないのでこれで十分だった。
「それじゃあ、うどんげは群のゆっくり達に、でいぶの命令に絶対服従するように暗示を御願いね」
『コクコク!』
にっこりと笑って頷くウサ耳のゆっくり。
このゆっくりは「うどんげ」と呼ばれるゆっくりで、ゆっくり達を操る事が出来る能力を持っている。
喋る事は出来ないが、知能は高くその上善良な性格なので人気の高いゆっくりだ。
「で、きめぇ丸達には交代で群の監視に当たってもらうわ、監視用のカメラと無線を各自に配っておくから宜しくね」
「おぉ、りょうかい、りょうかい!」×3
不敵な笑いを浮かべながら頷くゆっくり。頭を無駄に早く振っているのはこの種の特徴である。
このゆっくりは「きめぇ丸」と呼ばれるゆっくりで、今回はその機動力を活かして群とでいぶの監視にあたってもらう。
今回はでいぶの自然治療を目的としているので、人間サイドからの群への支援はなし。
早速本土から持ち込んだ純国産の野生高級でいぶ(虐待用)を、森に運ぶ。
でいぶはダンボールの中に緩衝材と一緒に入っており、ラムネで眠らせてある。
これを管理施設から一番近いドスなしの群れに連れて行く。
「ゆゆ?ゆっくりれんじゃーのにんげんさん?きょうはなんのごよう?」
森の中を10分ほど進むと第一ゆっくりが現れた、大人しそうなありすだ
私達はここの「ゆっくりレンジャー」の帽子を借りてきているので、ありすが勘違いして話しかけてきた。
「貴方の群れにはドスが居る?」
「ありすのむれのはいないわ」
「そう、なら群れに案内してくれる?」
「おやすいごようよ」
ありすの案内でそこからさらに5分ほど歩くと、人工的に作られたような穴が無数にある場所に着いた。
ここではゆっくりが群を作りやすいように、人間が手を加えてある場所がいくつか存在する。
ここもその一つで、比較的観察しやすい場所なのでこの群を使わせてもらう事にする。
早速長に群のゆっくりを集めさせる。
「むきゅ!ちょうどかりにでるまえだったから、これでぜんいんよ!それでぱちゅたちはなにをすればいいのかしら?」
ここで私は群のゆっくり達にうどんげを見るように指示を出す。
うどんげの瞳が怪しく輝く…
『これから見せるれいむの命令に従え!れいむに危害は加えるな!この二つに反するおそれのない限り自分を守れ!』
『れいむさまのめいれいにしがたいます!れいむさまにきがいはくわえません!ふたつのやくそくをやぶらないかぎり、
じぶんをまもります!』
群のゆっくり達はどれもが濁った目で声をそろえてそう言った。
私はダンボールの中で眠っているでいぶを取り出すと、操られたゆっくり達の前において群を後にした。
「ちょっと不安だけど…まあいいか…」
彼女は群の方を振り返るとそう言った。
あとは仮で設けられた研究室できめぇ丸からの報告を待つだけである。
「ゆーん?れいむはゆっくりおきるよ………ゆゆ?みたことないゆっくりがいっぱいいるよ?」
『おはようございます、れいむさま!ゆっくりしていってください!』
「いわれなくても、れいむはゆっくりしているよ!それよりおなかがすいたよ!なにかたべたいよ!たくさんもってきてね!」
『はい!ただいまもってまいります!』
れいむは見た事のないゆっくり達に囲まれていたが、大して気にする様子もなく何時もない。
操られたゆっくり達はれいむの言葉に従い、各自巣に帰り溜め込んだ食料を運んでくる。
そんなゆっくり達にれいむは大満足といった様子で嫌らしくニヤついた。
「きにいったよ!れいむはこのむれにくわわってあげるよ!こうえいにおもってね!おさはだれなの?」
『れいむさまがこのむれのおさです!』
「ゆん?そうだったね…れいむがこのむれのおさだったよ!ゆふふふふ!」
何でも自分の都合の良い様に解釈するゆっくり。
その中でも特にそれが酷い「でいぶ」と呼ばれるこのれいむは、この状況下も自分にとって都合の良い事しか見ておらず、
故にあっさり長である事も認めてしまっていた。
そんなれいむを見て監視役のきめぇ丸は眉を顰めるのだった。
「ふーむ…順調にいってるみたいね、それにしても流石でいぶね。吐き気がするわ♪」
「吐き気がするって…それに順調って言ってもまだ一日目でしょ。どうなる事やら…」
きめぇ丸が撮影してきた動画を見て、楽しそうにそう言う彼女。
その膝の上にはうどんげを座らせている。
うどんげは彼女に頭を撫でられて幸せそうにしていた。
確かにでいぶの行動は身勝手極まりないものだった。
気に入ったゆっくり数匹とスッキリしたり、好き放題に食料を食い散らかしたりしていた。
『れいむはにんぷさんなんだよ!だからむれぜんいんで、れいむをささえていってね!』
得意そうにれいむがそう言う。
額には植物型に実った子ゆっくりが3匹、すべてれいむ種である。
このれいむは群一番の美ゆっくり(?)のまりさとすっきりしたのだが、実ったまりさ種の実ゆっくりは、
大きくなる前にれいむが群のゆっくりに?ぎ取らせていた。
自分似の赤ゆっくりしか欲しくないのだろう。
群の食料を食い荒らし、身の回りの世話をしてもらいれいむは大変満足そうにしていた。
群のゆっくり達はれいむが食べようとしなかった食料で、何とか食いつないで居るようだった。
「この調子だと一週間くらいで群が滅びそうね…」
「うーん…それでこのれいむは自分の過ちに気がつくの?」
「さあ?それはれいむ次第でしょ?(まあ、気がつかないでしょうけど…)」
「ん?何か言った?」
「別に…」
そう、私はこの実験ででいぶが更生出来るとは思っていなかった。
私は面白実験がしたかっただけで、でいぶがどうなろうと、群がどうなろうと知った事ではないのだ。
ただ研究者として、単純にどうなるのか見てみたかっただけだ。
それに正直言ってこんな事で、でいぶを更生出来るなんて思っていないのだ。
彼女は何か納得いかない様な顔をしたが、再びでいぶの観察動画を眺める。
と、突然きめぇ丸の一匹が研究室に慌てて駆け込んでくる。
「おぉ!たいへん!たいへん!!」
「どうしたの慌てて…何かあったの?」
「むれが、あのむれが!」
「落ち着きなさい、それとヒュンヒュンするの止めなさい」
「おぉ…すみません、とりみだしてしまいました。じつはですね………おぉ、よそうがい!よそうがい!
あのむれがほろびました!」
「「な、なんですってぇぇ?!」」
私達はきめぇ丸からの報告と撮影された動画を交えながら、でいぶを長にした群の末路を知った。
増徴したでいぶは、更なる楽園を求めて群を率いて大移動を始めた。
自分だけ大型すぃーの上に乗り、数匹の成体ゆっくりにそれを引っ張らせて行軍する様子は、そのままでいぶの増徴した態度を象徴していた。
まさに、自分以外のゆっくりは奴隷なのだろう。
そんなでいぶの群がたどり着いたのは希少種の群が作った畑だった。
移動距離にして500mくらいの距離だろうがそれでもゆっくりにとっては大移動の行軍だった。
疲弊しきっていた所で畑を奪うために戦うほどの力は残っておらず、あっけなく全滅していた。
「……………………」
「……………………」
「………何て言うか…でいぶを侮っていたわ…」
「えっと………これで孤島のバカンスは終わりなの?」
「遊びに来たんじゃないんだから…」
まさにあいた口が塞がらないと言うやつだった。
でいぶ、半端じゃないわね…
「まあ、面白いデータも取れたし第二段行ってみますか」
「え…まだ何かあるの?」
「当然でしょ?まあ、でいぶの長計画がこんなに早く潰れるとは思わなかったけどね」
私がそう言った途端に嬉しそうにする彼女。
実はもう一つ試してみたいことがあったのだ。
「でも、大丈夫なの?今度もあっさり終ったりしないの?それに改めて思ったけど更生なんて出来るのかしら?」
「自分で思いついておいてよく言うわね…まあ、でいぶだって絶対悪じゃないんだから何とかなると思うけど」
そう、私は先ほどのでいぶの群の崩壊を見て改めて確信していた。
でいぶの本質と、更生の可能性を。
「という訳で、用意はお願いね。多少無茶な注文が入るとは思うけど」
「そういう事はまかせておいてね!」
「きめぇ丸達も引き続きよろしくね」
「おぉ、りょうかい、りょうかい!」×3
「えぇ~!まだこの子達と一緒なのー?!」
「おぉ…ひどいひどい…」×3
こうしてでいぶ更生計画第二弾の準備が始まるのだった。
「例の物が届いてたよー!(ちっ、これでせっかくのバカンスも終わりか…)」
「ちゃんと聞こえているわよ…それにしても3日で用意出来るとは流石ね」
「私としてはもう少し遅くっても良かったんだけど…なんでもないです…」
彼女はまだ遊び足りなそうな顔をしながら、うどんげを撫でている。
まあ、3日も遊んでいたのだから、そろそろ仕事をしても罰は当たらないだろう。
「今回はうどんげはお休みよ。で、きめぇ丸達は前回同様、監視任務に当たってもらうわ」
「おぉ、おしごと!おしごと!」×3
久しぶりの仕事に目を輝かせるきめぇ丸とは裏腹に、彼女は面白くなさそうな顔をしている。
「まったく、まあ今回はこの子が手伝ってくれるし…まあ、早速準備しましょう」
「何この子!かわいいー!」
「ほらほら、さっさとお仕事よ!」
「おー!」×5
「ゆーん…ここはどこなの?」
気だるそうな声を上げれいむが目を覚ます。
周囲を見渡し首をかしげるような格好をする。
「しらないばしょのようなきがしたけど、そんなこともないよ!れいむはおうちにもどるよ!」
実際には、このれいむの住んでいた森ではないのだが、所詮はゆっくり。
そんな事に気が付いていたら、もう少し知能は高いのかもしれない。
まあ、半分は思い込みがあるのかもしれないが。
「ゆぅ!れいむのおうちがみつからないよ!ゆっくりしないで、でてきてね!」
当然れいむのお家などあるはずもないのだが、それでも何の迷いもなしに無茶な事をいう。
「ゆぅ…れいむはつかれたよ………ゆっぎぃぃぃ!おうちさん、いじわるしないで、でてきてね!れいむはおこるとこわいんだよ!」
闇雲に動き回っていたせいか、大分疲れた様子のれいむは苛立ちながら更に騒ぎ立てる。
「ゆぅ…なんだかうるさいのぜ?!なんなのぜ?!」
れいむの喚きを聞きつけ、一匹のまりさが姿を現す。
このまりさも、実験用に用意されたまりさで、当然この島のゆっくりではない。
「ゆっがぁぁぁ!まりさだね、いじわるしているのは!れいむのおうちをかえしてね!」
「ゆわぁぁぁ…まりさはしらないんだぜ!まりさはこのもりさんは、はじめてなんだぜ!」
「いいわけはゆるさないよ!せいさいしてあげるよ!」
「ゆわぁぁぁ!まりさはゆっくりにげるよ!!」
言いがかりをつけてまりさを制裁しようとするれいむ。
さっきまでの疲れは何処へやらで、まりさを必死に追い掛け回していた。
「ゆっひぃ!まりさはなにもしてないんだぜぇぇぇ!!」
「このくそまりさ!おとなしくれいむにつぶされてね!」
「ゆっひぃぃぃぃぃ!!でも、なんだかへんなかんじがするのぜ!ゆっくりできるような…」
追いかけっこをする二匹だったが、やはりれいむの方が先に力尽きたのか追うのを止めてしまった。
まりさはそれに気が付くと、わざわざれいむの側に近づいていく。
「どうしたのぜ?もうおいかけないのぜ?!」
「うるさいよ!れいむはつかれたんだよ!」
「ゆぅ…もうおいかけてくれないのぜ?!つまらないのぜ…」
「それなら、なにかたべものをとってきてね!」
「ゆゆ!わかったのぜ!なにかさがしてくるのぜ!………げすなれいむに、めいれいされる…このかいかんはなんなのぜ?!」
まりさはそう呟くと心底嬉しそうに跳ねていった。
「ゆ!いがいとすなおなまりさだね!いいこころがけだよ!」
れいむはそう言うと満足そうにニヤついていた。
「れいむ、おまたせ!いっぱいとってきたよ!」
「ほんとうにまたせすぎだよ!れいむはおなかがすきすぎて、もうすこしでしぬところだったよ!」
「ゆふん、ごめんねれいむ。たくさんたべてね」
「いわれなくてもたくさんたべるよ!………むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」
狩りを終えてきたまりさに悪態をつきながらも、
目の前のご馳走を貪るように食らい幸せそうにしているれいむ。
このまりさは狩りが得意な方だった。
その上この周辺には他にゆっくりは生息していない。
いや、ほんの3日ほど前までは居たのだが、すべて消えうせていた。
故にたくさんの食料があちこちで見つかった。
「これうめぇ!めっちゃ………し、し、し、しあわせー!こんなゆうしゅうなどれいがてにはいって、れいむはしあわせだよ!」
「ゆ?!どれい?!なんだかとってもゆっくりできない、すてきなひびきなのぜ!まりさはどれいとしてがんばるのぜ!」
普通なら激怒するはずであろう、れいむの発言をまりさは嬉しそうに受け入れた。
二匹はそれぞれ秘めた思いは異なるが、幸せそうに微笑んでいた。
「とりあえずはここにすめばいいのぜ!ちょうどいいおうちがあったのぜ!」
まりさに案内され、れいむは一つの前まで洞穴にやってくる。
そこは人工的に作られたゆっくりの家、滅んだ群のゆっくりが使っていたものだった。
「ゆ!けっこうひろいね!それにべっとさんまであるよ!きにいったよ!ここをれいむのおうちにするよ!」
無事におうち宣言を終えたところで、満足そうにニヤつくれいむ。
そんなれいむを他所に、まりさは少し周囲を警戒していた。
「でも、どうしてこんなおうちがあるのぜ?まりさはこんなじょうずに、あなさんをほることはできないのぜ」
「なにいってるの?きまっているでしょ?このおうちはれいむのためにはえてきたんだよ!」
得意そうに、ありえない事をいうれいむ。
実際に自然界ではありえないのだが、この穴はゆっくりの為に作られたもの。
強ち間違ってはいないのであった。
ともかく、こうして二匹の共同生活が始まるのだった。
「まりさ、おそいよ!なにをやっていたの?!れいむはおなかがぺこぺこだよ!」
「ゆぅ、ごめんねれいむ。あかちゃんをきずつけないように、しんちょうにうごいていたからおそくなっちゃったよ」
「そんなの、りゆうにならないよ!つぎからはもっといそいでね!」
食事を持ってくるのが遅くて文句を言うれいむ。
それもその筈だろう、まりさの頭には3匹の実ゆっくりがぶら下っていた。
昨日、無理やりれいむにスッキリされて出来た実ゆっくりだ。
それにもかかわらず、れいむに狩りに行かされるまりさ。
れいむの言い分によれば、
「れいむはすっきりしてつかれたよ!まりさのせいだからね!だからこれからまいにち、
れいむのためにごはんをとってきてね!たくさんでいいよ!」
との事だった。
何とも無茶苦茶な事であったが、まりさはそれに従った。
実ゆを抱えた状態ではあったが、幸いこの島の監視員達が、定期的に餌を撒いている場所を見つけたため、
まりさはそれほど苦労も無く、食料を集める事が出来ていた。
当のまりさといえば、
「どげすなれいむ、そんなれいむにののしられ、めいれいされるこのかいかん………まりさはしあわせだよぉぉぉ!」
と、どM丸出しの発言をしていた。
故に本来なら即崩壊してもおかしくない関係は、上手い具合に纏まっていた。
れいむもまりさも形は違えど、非常にゆっくりした一時を過ごしていた。
それからも、まりさはれいむの為、自分の為に一生懸命働いた。
栄養状態が良かったために、植物型妊娠してから3日で赤ゆが生れ落ちた。
れいむ種2匹、まりさ種1匹であった。
れいむは一応まりさが狩りに出かける間は、赤ゆの面倒を見てはいた。
まりさが帰ってくるまで、赤ゆとおうたを歌ったり、ころころ、のびのびなどして遊んでいた。
まりさは巣穴に帰ってくれば、れいむと赤ゆ達にののしられ、いびられる生活を強いられていた。
それでもまりさは文句も言わず、むしろ喜びに震えながら幸せに暮らしていた。
そんな中でれいむにも少しずつ変化が起こっていた。
元々このれいむは、そのでいぶっぷりが仇となり、群から制裁されるところを地元のゲス狩り名人に捕獲された物である。
れいむと番になっていたまりさは、れいむに愛想を尽かしていた。
群からも爪弾きにされ、自分の思う通りにならない生活を余儀なくされていた。
なぜ自分の思い通りにならないのか…
なぜ自分をゆっくりさせてくれないのか…
なぜ自分がゆっくり出来ないのか…
その不満がさらにれいむのでいぶ化を加速させていった。
そんな過去があったからか、れいむの言う事を何でも聞くこのまりさには、
ただの奴隷以上に思い入れがあった。
やっと理想の奴隷が手に入った喜び。
自分の思い通りに動いてくれるゆっくり。
自分をゆっくりさてくれるゆっくり。
れいむにとってこのまりさは、理想の奴隷であると同時に、掛け替えのない奴隷になっていたのだった。
そんなある日の事、まりさは何時ものように狩りに出かけて行った。
「だめまりさ!くそどれい!きょうもかわいいれいむのために、たくさんごはんをとってきてね!
ついでにおちびちゃんたちのぶんも、わすれないでね!それからはやくかえってきてね!」
「ばーきゃ!ばーきゃ!くしょどれい!れーみゅにたくしゃん、おいちいきのみしゃんもってきちぇね!」
「うんうんまりさ!れーむのぶんもわしゅれないでね!わすれたら、おしおきだよ!」
「まりしゃもいるのじぇ!わすれりゅんじゃないのじぇ!………でも、どれいがちょっとうらやましいのじぇ…
このきもちはなんなのじぇ?………」
何時もの様に罵声を浴びて、何時もの狩場まで跳ねていった。
「ゆふぅぅぅん!くちきたない、げすどもにののしられて、まりさはてんごくにいってしまいそうなのぜぇぇぇ!!」
幸せいっぱいの表情で、まりさは食料を集めて巣穴に帰って行った。
ところが帰ってくるなり、れいむが無茶な要求を突きつけた。
「まいにち、きのみや、むしさんばかりじゃあきるよ!たまには、おいしいおやさいさんがたべたいよ!」
「ゆぅ…でもはたけさんなんてないのぜ?」
「ないならさがせばいいでしょぉぉぉぉ?!まったく、このまりさはつかえないね!」
「ばーきゃ!ばーきゃ!やくたたじゅー!」
「つかえないくしょどりぇい!うんうんまりさー!」
「くずまりしゃー!ばーきゃ!ばーきゃ!(うらやましいのじぇ…まりしゃもののしってほしいのじぇ…)」
好き放題言う赤ゆ達。
全て霊夢の影響を受けて増徴しているのだが、れいむはそれを面白くなさそうに見ていた。
「おちびちゃんたち!このくそどれいはれいむのどれいだよ!おちびちゃんたちのどれいじゃないよ!ゆっくりりかいしてね!」
「ゆゆ?!」×3
「れいむ?!どうしたのぜ?」
そう言われて思わずハッとするれいむ。
「な、なんでもないよ!どれいのまりさはさっさと、おやさいをさがしてきてね!」
「ゆ!わかったのぜ!いってくるんだぜ!」
まりさは不思議そうな顔をしながら、お野菜を探しに出かけていった。
「おかーしゃん、どうしたのじぇ?」
「ゆん!なんでもないよ!」
れいむは慌てて平静を装う。
自分自身に起こっている変化に戸惑っていた。
なぜ自分はあんな事をいったのだろうか?
奴隷なのに…
ただの奴隷なのに…
まりさは必死で森を駆け回っていた、れいむの為にお野菜を探し回っていた。
だが、当然の事ではあるが、森には野菜は生えていなかった。
この島はあくまでゆっくり達をなるべく自然のまま保護するのが目的であって、
ゆっくり達のための理想郷ではなかったからだ。
それでも野菜を欲するならば、自分達で栽培するしかないのだが…
「ゆう………やっぱりおやさいは、みつからないのぜ…このままじゃ、れいむにおこられるのぜ…
………でも、それもいいかもしれないのぜ♪」
諦めて巣穴に戻ろうとすると、遠くで何か動く物を見つけた。
一瞬ではあったが確かにそれはゆっくりであった。
「ゆ!あのゆっくりなら、おやさいがあるところを、しってるかもしれないのぜ!おいかけるのぜ!」
まりさはそのゆっくりが消えて行った方角へ跳ねていった。
「ゆん!おそいよ!まりさはなにをやっているの?!まだおやさいをみつけられないの?!」
れいむは巣穴の中で騒ぎ立てていた。
始めは赤ゆもいっしょに文句を言っていたのだが、れいむが、
「もんくをいっていいのはれいむだけだよ!」
っと赤ゆ達に言うと、赤ゆ達は大人しくなった。
赤ゆ達も足りないながら気が付いていた、親れいむの様子がおかしい事を。
れいむはイライラしながら巣穴の中を動き回っていた。
「ゆぅ…きょうのおかーしゃんは、なんだかゆっくりちてないよ………」
「しょーだね、どうしちゃのかな………」
赤ゆは小声で親れいむを心配していた。
当然親まりさの事は奴隷としか思っておらず、そちらの心配は一切していなかった。
そんな時だった。
「ゆひっ………ゆぎっ……が…れ…いむ…ごぼっ…」
遠くからまりさの声が聞えてきた。
それはとても弱弱しいものだったが、巣穴のれいむにはしっかりと聞き取れていた。
「ゆ?!まりさのこえがきこえるよ!やっとかえってきたんだね!こんなにまたせるなんてぐずだね!のろまだね!」
れいむは悪態をつきながら巣穴から顔を出す。
何時もなら釣られて赤ゆも悪態をつくところだが、親れいむから注意されたのを覚えているのか、
黙って親れいむの様子を見守る。
巣穴から姿を現したれいむは周囲を見渡す。
と、巣中なら数メートル先に、片目が潰れてボロボロになっているまりさが居るのに気がついた。
「ゆわぁぁぁ!まりさ!どうしたの?!どうしてきずだらけなの?!」
れいむは慌ててまりさに駆け寄る。
「れ…いむ…?!」
ボロボロのまりさは搾り出すようにれいむに呼びかける。
その表情は傷だらけの割には、どこか幸せそうだった。
「ゆへ…へへ…まりさね………はたけさんから…おやさいさんをとろうとしたら………
みたことないゆっくりたちに……ゆげぼっ!がぼっ!……」
「ゆわぁぁぁぁ…まりさ!まりさ!しっかりしていってね!」
まりさは少量の餡を吐き出した。
もう長くは無いのだろう。
そんなまりさを心配そうに見つめるれいむ。
「ゆぅ………ごめんね…れいむ………おやさいさんをたべさせてあげられなくて………」
「ごめんじゃすまないでしょぉぉぉぉ?!もういちどおやさいをとりにいってねぇぇぇぇぇ!!」
まりさは涙を一粒零した。
れいむはそんなまりさに罵声を浴びせる。
「さっさとこんなけがをなおしてねぇぇぇ!!まりさがかりにいけないと、れいむがこまるんだよぉぉぉぉ!!」
「ごめんね…ごめんね………まりさは…もう………さ、さいごに……」
「ゆ?」
「おやさいのかわりに、まりさをたべてね………」
『おたべなさい!』
まりさは幸せそうな顔をして、一言そう呟いた。
「まったく!さいごまでやくにたたないまりさだよ!むーしゃ、むーしゃしてもぜんぜんおいしくないよ!」
れいむは、まりさだった物を食べながらそう呟いた。
赤ゆ達もまりさだった物を食べていたが、どれも黙ったままだった。
「こんなもの、ぜんぜんおいしくないよ!たべるかちもないよ!」
そう言いながらも、れいむは食べ続けていた。
その顔には、涙があふれ出ていた。
「おかーしゃ………?」
れいむは泣いていた。
何故か居ているのかは、れいむ自身にも分からなかった。
奴隷を失った事が悲しかったのか。
これから自分が狩りをしなければならない事が悲しかったのか。
それとも、
まりさのことが好きだったからなのか………
ただ、まりさには少なからず特別な感情があったのだろう。
短い間とはいえ、れいむの為に始めて尽くしてくれた、まりさだったのだから。
自分をゆっくりさせる為に働き、そして死んでいったのだから。
「いたよ!きっとこのあいだのむれのいきのこりだよ!」
「まったく………おやさいはかってにはえてこないって、なんでわからないのかしら?」
「まあ、はたけをあらしたむくいは、しっかりうけてもらいましょう」
「………………」
「かくごはいいかしら?」
「おまえたちが、まりさをおそったんだね?」
「おそった?…なにいってるの?はたけあらしのゆっくりを、せいさいしただけよ」
「ゆるさないよ!れいむのどれいを!………れいむのまりさを!!」
『せいさいしてあげるよ!!』
「ごめんね…まりさ………………かたきは、うてなかったよ………」
れいむはそう言うと静かに息を引き取った。
赤ゆも希少種の群に潰されて死んでいった。
「ふーむ、なかなかだったわね………」
「そうね………」
彼女はそう言いながら膝の上に座らせている、ゆっくりさとり(胴付)の頭を撫でていた。
この子には、今回の一軒で大分働いてもらった。
主にれいむの心を読む仕事がメインだったのだが、ゆっくりの心を読める、さとりにしか出来ない事であった。
おかげで、れいむの心の変化がよく解った、今回の功績者だ。
もちろん、きめぇ丸達にも感謝している、あの子達もよく働いてくれた。
「でも、これって成功なのかしら?罪の意識があったような無いような?更生できたのかしら?」
「成功とみて良いのでは?」
「そう?どの辺が?」
彼女はいまいち納得してない様子で首をかしげる。
「いい?私の考えではね、でいぶってのは自己愛の塊なのよ。だからあんなに我がまま、好き放題な事をしているのよ
でいぶは自分が可愛いから、自分をゆっくりさせたい、自分が幸せになりたいのね。
で、それがそのままあの態度に表れているのよ。」
「ふーむ?」
「だからね、私はその自分に向けている愛を、他の者に向けてみようと思ったのよ。
他の者を愛する事が出来れば、きっと自分優先にはならないでしょ?あの態度も治るかもしれない。
でも、自分の子供に愛を向けるとは限らない、だからあのまりさを用意したの。
まあ、あのれいむの境遇も良かったんだろうけどね。運が良かったってのもあるかもね」
そう、あのまりさは野生の物だったのだが、「ゆっくりてんこ」という、
マゾ気質のゆっくりから採取された通称「どM因子」を植えつけられたまりさなのだ。
故に、れいむの命令にも文句を言わず、むしろ喜んで従っていたのだ。
「もしかして、結構運任せだったの?」
「まあ、そう言う事ね、れいむが他の者に愛を向けてくれなければ、これは成功しなかった事だから」
「ふーん」
彼女は今一満足してないかのような表情をしていた。
それはそうだろう。
この方法は、でいぶに罪を認めさせる訳ではないのだから。
でいぶはおそらく、自分の罪を認めないのだろう。
ただ、でいぶ更生の可能性を見ることは出来た。
上手く誘導する事が出来れば、傲慢な態度や性格をある程度変える事が出来るかもしれないのは解った。
「ねね、あのれいむって、まりさの事が好きだったの?」
「最後の謝罪は、れいむが他の者の為に行動した事に対しての発言でしょ?
自分のまりさの敵を討ちたかった、でも討てなかった。
でいぶのままだったら、あんな事は言わないと思うわ。」
「じゃあ、どんな事を言うの?」
「さあ?例えば、『れいむをゆっくりさせろぉぉぉぉ!!』とか『しにたくないぃぃぃぃ!!』とか?
その前に戦わないで命乞いとか、まりさに責任を擦り付けて誤魔化してたかもね」
「なるほどね」
彼女は納得したようにそう呟いた。
それから私達は荷物をまとめて本土に帰った。
滞在期間は1ヶ月程と、大分長くなってしまったが、彼女の財力と行動力で特に孤島生活に不自由を強いられる事はかなった。
なお、今回協力してくれた胴付ゆっくり達は研究所で、私達のアシスタントとして働く事になった。
彼女はきめぇ丸が一緒なのは面白くないようだっが…
「何でこの子達もいっしょなの?あの島に置いてくれば良かったのに」
「おぉ!ひどい!ひどい!」×3
「そんな事言っちゃ駄目でしょ?きめぇ丸が本気で泣いているわよ」
「うぅ…だってねぇ…私よりもスタイルが良いのがね………
でも、今回の一件で貴方を恐ろしさを再確認したわ」
「何の事かしら?」
「実験の為とはいえ、群一つ分のゆっくりを消費したでしょう?まったく恐ろしいわ」
彼女が笑いながらそう言うので、私も負けじと言い返す。
「私も貴方の恐ろしさを再確認したわ、そのあたりの一件をお金で有耶無耶にしたでしょ?
普通なら、愛護団体がアホみたいに騒ぐでしょうに………」
それを聞いた彼女は怪しい笑みを浮かべた。
「愛護団体だって、スポンサーがないと生きていけないでしょう?まあ、そういう事よ♪」
「そうね…」
「そうよ…」
お互いの顔を見てふふふと笑う。
彼女はとても邪悪な笑い顔をしている。
それはきっと私も同じ事だろう。
まるでお代官様と越後屋のような感じだ。
『貴方と友達で良かったわ』
声をそろえてそう言う。
でいぶのおかげで、私達はさらに強い絆で結ばれた。
まあ、恋愛対象ではないけれど…
でいぶも人の役に立つ事があるのね。
一応お礼を言っておくわ。
でいぶ、ありがとう。
完