ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1549 素直なれいむ
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ankoss
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「おねえさん! ごはんがたりないよ!」
横柄な口調でそう言ったのは、私の飼っている――いや、家族同然に暮らしているれいむだ。
「なにしてるの、このぐず! さっさとごはんのおかわりさんをもってきてね! あまあまでもいいよ!」
私は動転していた。自分の目が、耳が信じられなかった。
なぜなら、私のれいむは昨日まではこんな態度をとる子ではなかったからだ。れいむはとても素直ないい子だったはずだ。
少なくとも夕べ一緒にテレビを観ていた――もっとも、れいむは途中で眠ってしまったが――時までは、いつもとなんら変わった様子はなかった。
それが今朝いきなり「ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ! おねえさんはどれいにしてあげるね! うれしいでしょ?」などと言い放つ始末だ。
いつもならば「ゆっくりおはよう! おねえさん、きょうもゆっくりしていってね!」というかわいい挨拶をしてくれていたというのに――。
一夜にして、何かが狂ってしまったのか。その何かが私にはわからない。何かとは何なのか、誰でもいいから教えて欲しかった。
「むーしゃむーしゃ! がーつがーつ! ししししっ! しゃーわせー!!」
――ああ……。
ゆっくりの「しあわせー!」という言動自体とてもかわいらしく、私はとても大好きだ。けれど、今朝のれいむを見ても、とてもそんな感想は持てない。
食べカスを辺り構わず飛び散らせながら食事をする様は、なんと言うか――あまりにも下品すぎる。
れいむは、いったいどうしてしまったのだろうか。
子ゆっくりの頃から今まで、二人三脚で――というのも変だろうか――仲良くやってきたというのに。
一緒に頑張って金バッヂも見事に取得した。あの時は二人で泣いて喜んだ。本当に、本当に自慢の家族だった。
それがなぜ――。
ふと、私の頭に『でいぶ』というおぞましい言葉が浮かんだ。
いかに金バッヂと言えど――いや、躾けの行き届いた金バッヂだからこそ、堕落するのはあっという間らしい。
私のれいむも、そうなってしまったのだろうか。――考えたくはないが、目の前のれいむを見ていると、どうしてもその嫌な考えを払拭できなかった。
「ゆげっぷう! しーはーしーはー! ゆふふっ! それなりーなごはんだったよ!」
食後にゲップなんて――。今までこんなことはしたことがなかった。
本当にれいむは変わってしまったのか。
涙が出そうになるのを堪えて、私はれいむに言った。
「……れいむ? 食後の体操をしましょうか。今日は……」
「ゆゆっ? そんなことより、ゆーと……べっどさんをよういしてね! れいむは、しょくごのすーやすーやをごしょもうだよ」
「でも……。食後にすぐ寝たら、牛さんになっちゃうって……」
「う、うるさいよ! どれいはれいむのいうことを、よくきいていればいいんだよ!」
「れいむ……。そんなこと言ったら駄目でしょ?」
涙で目の前が霞んできた。声も震えているのが、自分でもよくわかる。
「うう……うううるさいよおおおお!! れいむのいうことをきかないどれいは、ゆっくりしないでそくざにしね! し、しねえ!!」
反射的に、れいむの柔らかいほっぺに平手打ちをしてしまった。私がこの子に手を上げたのは……数えるほどしかない。
「れいむっ……! どうして……どうしてそういう事を言うの!? お姉さんのこと、嫌いになっちゃったの!?」
限界だった。悲しくて悲しくて、私は思わず金切り声で叫んでしまった。れいむに「おねえさんはゆっくりしていないね!」と言われても仕方ない。
私はれいむの、この子の家族としては失格だろう。
しかし私は知りたかった。れいむがどうしてこうなってしまったのかを。
するとれいむは、ぽかんとした後、急に泣き出した。
「ゆええええええええん!! おねえさんがぶったああああああああ!!」
今度は私がぽかんとする番だった。てっきり、機関銃のような罵詈雑言でもって攻撃されるものだと覚悟していたからだ。
私の涙は止まっていた。れいむの号泣の勢いに涙腺も驚いたのだろうか。
「れいぶ、いっしょうけんめいがんばったのにいいいいい!! おねえさんによろこんでもらおうとおもったのにいいいいいい!!」
私が喜ぶ? どういうことだろう。
大好きなれいむに虐められて、どうして私が喜ぶと思えるのだろう。私に、その、そういう趣味はない。
「れ、れいむ? 落ち着いて? ね? なにがどうしたのか、お姉さんに話してみてね?」
私が努めて優しくそういうと、ようやく泣き止んだれいむが私に言った。
「ゆっぐ、ゆっぐ! だって、ゆうべのてれびさんで『ひとがいやがることはすすんでやりましょう』っていっていたよ! だかられいむ、がんばって……おねえさんがいやがることをしたんだよ!」
涙目のまま、れいむは続ける。
「おねえさん、ひどいこといってごめんなさい! ゆっくりごめんなさい! ……でも、れいむはただしかったんだよね!? どうしておこられたの!?」
私は思わず笑ってしまった。
「……ふふっ。そう、テレビさんが言ってたのね? ふふふ、あははっ!」
れいむはそんな私を見て、「ゆゆっ?」と不思議そうな顔をしている。
良かれと思って、何の疑いもなく、すべて自分が正しいと思っていたという意味では、なるほどれいむは『でいぶ』だったのだろう。
しかしこの子は――この子はやはり私の大好きな、素直なれいむだったのだ。
「あのね、れいむ。『人が嫌がることは進んでやりましょう』って言うのは――」
私がゆっくり説明してあげると、れいむは真っ赤になって恥ずかしがった。
(了)
横柄な口調でそう言ったのは、私の飼っている――いや、家族同然に暮らしているれいむだ。
「なにしてるの、このぐず! さっさとごはんのおかわりさんをもってきてね! あまあまでもいいよ!」
私は動転していた。自分の目が、耳が信じられなかった。
なぜなら、私のれいむは昨日まではこんな態度をとる子ではなかったからだ。れいむはとても素直ないい子だったはずだ。
少なくとも夕べ一緒にテレビを観ていた――もっとも、れいむは途中で眠ってしまったが――時までは、いつもとなんら変わった様子はなかった。
それが今朝いきなり「ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ! おねえさんはどれいにしてあげるね! うれしいでしょ?」などと言い放つ始末だ。
いつもならば「ゆっくりおはよう! おねえさん、きょうもゆっくりしていってね!」というかわいい挨拶をしてくれていたというのに――。
一夜にして、何かが狂ってしまったのか。その何かが私にはわからない。何かとは何なのか、誰でもいいから教えて欲しかった。
「むーしゃむーしゃ! がーつがーつ! ししししっ! しゃーわせー!!」
――ああ……。
ゆっくりの「しあわせー!」という言動自体とてもかわいらしく、私はとても大好きだ。けれど、今朝のれいむを見ても、とてもそんな感想は持てない。
食べカスを辺り構わず飛び散らせながら食事をする様は、なんと言うか――あまりにも下品すぎる。
れいむは、いったいどうしてしまったのだろうか。
子ゆっくりの頃から今まで、二人三脚で――というのも変だろうか――仲良くやってきたというのに。
一緒に頑張って金バッヂも見事に取得した。あの時は二人で泣いて喜んだ。本当に、本当に自慢の家族だった。
それがなぜ――。
ふと、私の頭に『でいぶ』というおぞましい言葉が浮かんだ。
いかに金バッヂと言えど――いや、躾けの行き届いた金バッヂだからこそ、堕落するのはあっという間らしい。
私のれいむも、そうなってしまったのだろうか。――考えたくはないが、目の前のれいむを見ていると、どうしてもその嫌な考えを払拭できなかった。
「ゆげっぷう! しーはーしーはー! ゆふふっ! それなりーなごはんだったよ!」
食後にゲップなんて――。今までこんなことはしたことがなかった。
本当にれいむは変わってしまったのか。
涙が出そうになるのを堪えて、私はれいむに言った。
「……れいむ? 食後の体操をしましょうか。今日は……」
「ゆゆっ? そんなことより、ゆーと……べっどさんをよういしてね! れいむは、しょくごのすーやすーやをごしょもうだよ」
「でも……。食後にすぐ寝たら、牛さんになっちゃうって……」
「う、うるさいよ! どれいはれいむのいうことを、よくきいていればいいんだよ!」
「れいむ……。そんなこと言ったら駄目でしょ?」
涙で目の前が霞んできた。声も震えているのが、自分でもよくわかる。
「うう……うううるさいよおおおお!! れいむのいうことをきかないどれいは、ゆっくりしないでそくざにしね! し、しねえ!!」
反射的に、れいむの柔らかいほっぺに平手打ちをしてしまった。私がこの子に手を上げたのは……数えるほどしかない。
「れいむっ……! どうして……どうしてそういう事を言うの!? お姉さんのこと、嫌いになっちゃったの!?」
限界だった。悲しくて悲しくて、私は思わず金切り声で叫んでしまった。れいむに「おねえさんはゆっくりしていないね!」と言われても仕方ない。
私はれいむの、この子の家族としては失格だろう。
しかし私は知りたかった。れいむがどうしてこうなってしまったのかを。
するとれいむは、ぽかんとした後、急に泣き出した。
「ゆええええええええん!! おねえさんがぶったああああああああ!!」
今度は私がぽかんとする番だった。てっきり、機関銃のような罵詈雑言でもって攻撃されるものだと覚悟していたからだ。
私の涙は止まっていた。れいむの号泣の勢いに涙腺も驚いたのだろうか。
「れいぶ、いっしょうけんめいがんばったのにいいいいい!! おねえさんによろこんでもらおうとおもったのにいいいいいい!!」
私が喜ぶ? どういうことだろう。
大好きなれいむに虐められて、どうして私が喜ぶと思えるのだろう。私に、その、そういう趣味はない。
「れ、れいむ? 落ち着いて? ね? なにがどうしたのか、お姉さんに話してみてね?」
私が努めて優しくそういうと、ようやく泣き止んだれいむが私に言った。
「ゆっぐ、ゆっぐ! だって、ゆうべのてれびさんで『ひとがいやがることはすすんでやりましょう』っていっていたよ! だかられいむ、がんばって……おねえさんがいやがることをしたんだよ!」
涙目のまま、れいむは続ける。
「おねえさん、ひどいこといってごめんなさい! ゆっくりごめんなさい! ……でも、れいむはただしかったんだよね!? どうしておこられたの!?」
私は思わず笑ってしまった。
「……ふふっ。そう、テレビさんが言ってたのね? ふふふ、あははっ!」
れいむはそんな私を見て、「ゆゆっ?」と不思議そうな顔をしている。
良かれと思って、何の疑いもなく、すべて自分が正しいと思っていたという意味では、なるほどれいむは『でいぶ』だったのだろう。
しかしこの子は――この子はやはり私の大好きな、素直なれいむだったのだ。
「あのね、れいむ。『人が嫌がることは進んでやりましょう』って言うのは――」
私がゆっくり説明してあげると、れいむは真っ赤になって恥ずかしがった。
(了)