ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0618 サバイバル・ウィンター
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ankoss
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「サバイバル・ウィンター」
・駄文注意
・途中までゲス無双、そして自滅
・いくつかの名前を振って分けています(潰れ帽子→おうち宣言をしたゲスまりさ、ボサ髪→潰れ帽子の子まりさ)
・独自設定での補完があります
・人間は出てきません
「ゆゆ~ん♪おきゃあしゃんしゅーりしゅーりしちぇね!」
「ゆっくりわかったよ!すーりすーり!」
「「すーりすーり!(しゅーりしゅーり!)」」
「ゆゆ!まりしゃもしゅるんだじぇ!しゅーりしゅーり♪」
冬も初めに入った季節の街角。
住宅街に埋もれるようにして人気のない小さな公園の片隅に置かれたダンボール箱の中に3匹のゆっくりが入っていた。
2匹はソフトボールほどのサイズでもう一匹はその親であろうか。バスケットボールほどのサイズである。
このゆっくりは最近山から下りてきたゆっくりであった。街へと下った理由は群れのありすが言っていた「とかい」で暮らしたいと常々思っていたからと言ったものだ。
そのありすとは違うルートで秋頃に山を降りて街へ入ったのだった。因みにそのありすは今も見つからない、どこかへ行ってしまったのだろうか?
番いのまりさは今、ギリギリまで越冬用の食糧集めに勤しんでいるため不在である。
通常外から街へやってきたゆっくりはその慣れない狩りや山や森のそれとは違う常識が足枷となり、確実に淘汰されるといった事が殆どだ。
しかしこのゆっくり一家は運がいい事にゲスやれみりゃ、れいぱーありすにも遭遇せず、また巣も公園の片隅に廃棄されていたダンボール箱に手を加え、ダンボール箱は二重構造に、ビニールシートをかぶせボロボロではあるが毛布まで用意できたという凄まじく運のいいゆっくりであった。
越冬用の食料も「おうち」の中の片隅に置かれた大きいビニール袋にパンパンに詰まるほど貯めており、このままでも十分越冬出来るほどの量を兼ね備えていた。
当初は子ゆっくり達とれいむも狩りに参加していたが、十分量が集まるとまりさ一匹が補填の食料を集めるといった形になり、れいむと子ゆっくりは思う存分ぬくぬくの巣でゆっくりしていたのだった。
まぁ何をするかと言えば、おうちの中ですーりすーりしたり、のーびのーびしたり、まりさがいない分大きさに余裕がある箱の中でコーロコーロしたりしていたりとあまり変わったものではない。
暫くすると番いのまりさがパンパンになった帽子をかぶって戻ってくる。狩りの成果は上々のようだ。
「れいむ!ゆっくりもどったよ!」
「ゆゆ!まりさ!ゆっくおかえりなさい!」
「おとーしゃん!ごはんしゃんちょれちゃにょ?」
「まりしゃあまあましゃんがたべちゃいんだじぇ!」
満面の笑みで駆けよる子ゆっくり二匹、まりさは帽子の中から熟れた大きな柿を4つゴロンと取り出した。
「あしたのよるにはふゆごもりにはいるからきょうはかきさんをとってきたよ!ゆっくりみんなでたべようね!」
「ゆゆ!まりしゃもうがまんできにゃいんだじぇ!」
「れいみゅもおなかちゅいちゃよ!」
「ゆ!みんなでそろってたべるともっとゆっくりできるよ!じゃあたべようね!」
野良ゆっくりにとって果実や菓子類などの「あまあま」は一生に数度食べられるか食べられないかの御馳走である。それが一匹当たり一個と破格の数が当てられたのだ。
このまりさは群れ一番の狩りの名手であった。山にいた頃よりも狩りの腕は上達し、その応用力は全く訳が違う街でも十二分に発揮されているようだ。
早速四匹のゆっくりは一斉に柿にかぶりついて思う存分む~しゃむ~しゃして甘さを味わう、ジューシーな果汁と自然な甘さがゆっくり達をさらなるゆっくりへと誘っていた。
「「む~しゃむ~しゃ・・・ししししあわせええええええ!!」」
「「む~ちゃむ~ちゃ…ちあわちぇ~~~~!」」
あっという間に柿をペロリと平らげてしまうゆっくり達、その後は互いの体をぺーろぺーろし合い、体をくっつけて温かいおうちの中でゆっくりする。
「ゆゆーん♪あちゃちゃかいよ!とってもゆっきゅりできりゅね!」
「まりしゃなんぢゃかねむくなっちぇきちゃんだじぇ!ゆっきゅりしゅーやしゅーやしゅるんだじぇ!」
満腹だったからかだろうか、それまで元気にゆっくりしていた子ゆっくり達はまるで実ゆっくりが蔓に揺られているような顔ですーやすーやと寝始めた。
「おちびちゃんたち!あしたはそとさんにでるのもさいごだからゆっくりしようね!みんなですーりすーりしておうたさんもうたおうね!」
「れいむ!まりさもあしたはいっしょにゆっくりするんだぜ!」
二匹のゆっくりは頬をすーりすーりとゆっくりと互いを確認し合うように擦り合わせ始める。
幸せそうなゆっくり一家は一晩中たっぷりとすーやすーやする事が出来た。
次の日、朝から陽は燦々と昇り、陽気は春並みに暖かくなっていた。絶好のゆっくり日和である。
朝、越冬用の食料に初めて手をつけて思う存分む~しゃむ~しゃと食べた後は、外に出て人気のない公園でひたすらに遊び続けていた。
「きょーろきょーろ!」
「ゆゆ!?なんだかうんうんしゃんがしたくなっちぇきちゃんだじぇ!」
子れいむの方はころころと転がったり跳ねたりしながら越冬前日の最後に思いっきり体を動かしている。
まりさの方は公園のド真ん中で体を倒してあにゃるを向けると実に気持ちよさそうな顔で「ゆ!」というとプリプリとうんうんをしはじめた。
それを見ていた子れいむも同じように体を倒してしーしーを始める。
粗方終わった後は二匹同時に
「「ちゅっきり~~~~!」」
と声を上げる。
それを見ていたれいむとまりさは幸せそうに笑っていた。やがて
「ゆゆ!おちびちゃんたち!いっしょにおうたさんをうたおうね!」
「「ゆっきゅりわかっちゃよ(んだじぇ!)」」
というやりとりを経て、小麦粉の皮をくっつけて体をのーびのーびさせながら歌を歌い出した。山一番と言われたれいむの美声とまりさと子ゆっくりの声が辺りに響き渡る。
「「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆ~っくり~♪」」
「「ゆっきゅり~♪ゆゆ~♪」」
「やっぱりれいむはおうたさんがじょうずだね!ゆっくりできるよ!」
だがこれがいけなかった。冬には越冬準備に失敗し、街にはあぶれたゆっくりが辺りに大勢蔓延っていたのだ。
冬の陽は短く、あと数時間もすればすぐに日没という時分、無論あぶれたゆっくり達も必死になっておうち強奪や餌場の確保などを行っているのだ。そんな状況で呑気に歌を歌うなど見つけてくださいと言わんばかりの行為だった事を当のまりさ達は知る由もなかった。
それは歌い始めてすぐの事だった。ボヨンボヨンと複数のゆっくりが跳ねてくる。
「「ゆゆ!ゆっくりしていってね!」」
「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」」
それを見つけたまりさ一家はそのゆっくり達に挨拶をする。越冬準備を急ピッチに進めていたため他のゆっくりの姿は見ても交流を持とうとはしなかったのだ。群れに身を置いていたまりさ達にとっては横のつながりは重要かもしれないが、街ゆっくりにそんな物は毛ほども必要がないと言う事をまりさ達は知らない。
目もくれずに外からやってきたゆっくりはまりさ一家のダンボール箱をジロジロと眺めて唐突にこう言ってのけた。
「ゆゆ!きにいったんだぜ!ここをまりさとありすのゆっくりぷれいすにするんだぜ!」
「もうふさんもあるわ!とってもとかいはね!」
そのゆっくり、ありすとまりさ。それの後ろに一匹づつ子ありすと子まりさが連なって合計四匹の家族は「おうち宣言」を付きつけたのだ。
結構良くある組み合わせではあるが、少し違うと言えばまりさの大きさとそのゆっくり達の風貌だった。
ありす種の方は通常のバスケットボールほどで、二匹の子ゆっくりはハンドボールほどのサイズだ。だがまりさ種の方はバスケットボールのふた回りも大きい頑強なゆっくりだった。
風貌の方は凄まじく、まず全体的に汚い。底部はコンクリートの上を飛び跳ね続けたのかススが付いたように黒くなってひびが入ってガチガチであった。皮もあちこち擦り傷だらけだ。
砂糖細工の髪はボサボサで何か油粘土の様な触感をしている様でテカテカに光っており、砂やゴミのきれがあちこちに付いている。
ゆっくりにとって命ともいえる飾りも汚く、ありすの飾りは所々薄汚れていて鈍く光っており、まりさの方の山高帽はボロボロで、上の部分がベッコリと潰れてただのカウボーイハットのようにしか見えなかった。
その異様な風態のゆっくり達が突如おうちに上がり込み事もあろうに「ここを自分の家にする」と主張したのだ。当然まりさ一家は反発をする。
「なにいってるの!?ここはまりさとれいむのおうちだよ!かってなこといわないでね!」
「さっさとでていってね!れいむおこるよ!ぷんぷん!」
「しょうじゃよ!きちゃないからはいりゃにゃいぢぇね!ぷくー!」
「まりちゃはちゅよいんだじぇ!かっちぇなこちょいうちょいちゃいめをみりゅんだじぇ!」
まりさと子まりさの方は声を大にして抗議する、その少し後ろでれいむと子れいむがぷくーっと膨れて怒りを露わにしていた。左右のぴこぴこも動かしている辺り相当怒っている様だ。
それを見て、潰れ帽子のまりさとその後ろにいるゆっくり達がゲラゲラと笑い始めた。まるで何か面白い物を見たような様子で
「げらげら!"ちゅよい!"だってぜ!」
それを聞いてカチンと来たのか、子まりさが潰れ帽子に体当たりを繰り出す。しかし大きさがそもそも違うのだ。いくら渾身の力を込めたとはいえ、ボヨンとはじかれてコロコロと転がってしまう。
「こにょ!ゆっきゅりちね!」
「そんなちいさいからだでまりささまをたおせるとおもうのかぜ?ばかなの?しぬの?」
「おちびちゃんたち!やっちゃいなさい!」
ありすが叫ぶ。その途端に二匹の子ありすとボサ髪の子まりさが帽子の中から二個の小石を取り出し、子ありすに渡すと舌を使って子まりさを叩きはじめた。
「ゆびゃ!いぢゃ!いぢゃいんだじぇびゅ!ゆぎぃっ!」
「ゆっへっへ!どきょがちゅよいんだじぇ?」
「かんちぎゃいもきょきょまぢぇきゅるちょかわいちょうね!おお、あわりぇあわりぇ!」
口々に侮蔑しながら小石を振り下ろす二匹の子ありすとボサ髪。打ちすえられる子まりさは成す術もなく体を潰して耐えている。小石が当たるごとに餡子が痣の様に中で不規則に形が変わり、小麦粉の皮が凸凹に膨れていった。
暫くして子ゆっくりが手を休めると、「ゆひゅー…ゆひゅー…」と時折体を動かすだけで完全に抵抗する力も残っていないようだ。
「さっきのいせいはどうしちゃんだじぇ?」
「ゆぎぃ…もういぢゃいのいやああああ!!いぢゃいよおおおお!!やべでええええええ!!やべでえええええ!!」
「うるしゃいわよ!」
止めとばかりに子ありすが高くジャンプして子まりさを踏みつぶす。
「あ”あ”あ”ゆげぇ!」
「子」ありすとは付いているが大きさはハンドボールと大きめだ。そんなもの(子まりさにとっては巨体)が落ちてきたのだ。ブチュンと音がして餡子と皮が辺りにはじけ飛ぶ。あっという間に子まりさは物言わぬ饅頭となってしまった。
「でいぶのおぢびぢゃんがああああああああ!!」
「きょわいよおおおおおお!!ゆびぇええええええん!!」
「ゆぎいいいいい!!よぐもおぢびぢゃんをおおおおおお!!ゆっぐりじねえええええ!!」
泣き叫ぶれいむと子れいむを尻目に、怒りにまかせてまりさが潰れ帽子に向かって体当たりを繰り出す。だが対ゆっくりに関してのノウハウは潰れ帽子の方がもちろん上だ。ひらりとかわされてしまい、着地した途端を狙って潰れ帽子が大きく飛んだ。
落ちる先はまりさの頭。まりさのふた回り以上もある巨体がまりさの頭めがけて渾身のプレスを放ったのだった。
「ゆぎぇっ!までぃざのあんよがああああああああああ!!!」
潰れなかったのは成体ゆっくりだったからであろうか。ひとまず平らになる事はなかった。しかし底部がグズグズに潰れて餡子が辺りに飛び散ってしまっており、山一番の狩りの名手と言われたまりさ自慢の底部は完全にその機能を消失してしまっていた。
「ゆ”!ゆ”!までぃざのあんよざんがぁぁ…!ゆっぐりうごいでね!ゆ”!ゆ”…!どぼじでうごがないのおおおおおお!?」
「げらげら!まりささまにさからうからこうなるんだぜ!」
潰れ帽子がまりさを舌で鞭打つように打ちすえる、その度にまりさは「ゆげぇ!ゆびぃ!」と叫んではついさっき潰された子まりさの様に体を潰して痛みに耐えるしかなかった。
ありすの方はしーしーを垂れ流してその場で立ちすくむれいむを見てブルブルと震えはじめる。
「ゆゆゆゆゆ・・・!んほおおおおおおお!!でいぶうううううう!!すっきりすっきりすっきりいいいいいいいい!!」
「い”や”あ”あ”あ”あ”あ”!!ゆっぐりごないでね!ぐるなあああああ!!」
冬になるにつれゆっくりが街から姿を消す。越冬するためだ。
あぶれたゆっくりもいるがそう言ったゆっくりは少ない餌場を確保するため餡子をかけた死闘を繰り広げるため、れいぱーありす程度などあっという間に潰されてしまう。なのでよほどの事がない限り近づかない。
また、越冬をしている間もじっとしていなければならず、時たま外に出ても周りにちょうどいいゆっくりなどいる筈もない。総じてありす種は冬の間かなりのフラストレーションを貯めているのだ。
今回はそれが爆発してしまった。越冬が終わるまでの「すっきり納め」といった所か
当然発情したありすは凄まじい勢いでれいむに体をびったりとつけるとヌラヌラとした粘液をだして体を上下に伸び縮みさせて「すーりすーり」を行う。
「ずっぎりじだぐないいいいいい!!までぃざああああ!!だずげでえええええ!!までぃざあああああ!!」
「んほおおおおお!!あんなまでぃざのごどなんでずぐにわずれざぜであげるわああああ!!」
体を潰すように前のめりに抑えられて動けないまま、ありすはヘコヘコと底部を動かし始める。当然粘液が出てきて受け入れ態勢が万全に整ったれいむも砂糖水の涎とも涙かも分からない液体をまき散らしながら叫ぶ。
「すっきりすっきりすっきりすっきりいいいいいいいい!!」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!ずっぎりやべでえええええ!!までぃざあああああ!!までぃざあああああ!!」
「でいぶううううう!ゆべぇ!」
「うるさいんだぜ!かってにまりささまとありすのおうちをよこどりするようなげすはゆっくりしぬんだぜ!」
れいむの叫び空しく、まりさは潰れ帽子から舌で打ちすえられ底部も潰されて眺める事しかできなかった。
2分も経った頃だろうか、一気にありすとれいむが叫ぶ。
「んほおおおおおおおおお!!すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりいいいいいいいいい!!」
「あ”あ”あ”!!すっきりいいいいいいいい!!」
途端にれいむの頭から6本もの蔓が生えてきた。しかしいくら栄養状態がいいと言っても所詮は野良、6本も蔓が生えれば餡子を吸われて枯れてしまう。
れいむも例外ではなく見る見る萎んで潰れるように小さくなっていく。
「も・・・ゆっぐ・・・が・・・っだ」
と言い残すとヒョロヒョロの蔓が実らしき小さな物ごと枯れていき、砂糖細工の髪の毛と茶色に萎れた蔓を残して枯れ果てた何かとなって地面に転がった。
「あ”あ”あ”あ”あ”でいぶうううううう!!」
「げらげら!まりさのせいでしんだんだぜ!まりさがまりささまのおうちをまりさのだなんていわなかったらあのれいむはたすかってたんだぜ!」
「ゆ”!?ごべんねええええええ!!でいぶううううう!!ごべんねええええええ!!」
どこにそんな水分があるのかと思うぐらい砂糖水の涙を流して泣き叫ぶまりさ。潰れ帽子の言い分すらも真に受けるほど動転してしまっている様だ。
次に潰れ帽子は今度は完全に恐怖ですくんでしまった子れいむに舌を伸ばして逆さに持ち上げる。
「ゆぎゃああああああ!!きょわいよおおおおお!!おぢょーじゃんだぢゅげでえええええ!!」
それを見たまりさは正気を取り戻し、泣き叫びながら潰れ帽子に哀願した。
「おでがいじまずうううううう!!おぢびぢゃんだげはだずげでぐだざいいいいいいいい!!」
当然そんな事を潰れ帽子が聞くはずもなく、寧ろそれを見ながらニタニタと下膨れの顔で見下ろすとこう言った。
「いやだぜ!まりささまにさからうげすはみんなゆっくりできなくするんだぜ!」
「ぞんなああああああああ!!」
「おどおおおじゃああああああん!!だぢゅげでええええええ!!」
一気に上まで持ち上げられ、頭から地面に叩き降ろされる。
「ゆびぇっ!いぢゃいいいいい!!でいびゅのあぢゃまがああああああ!?」
小麦粉の皮の上部、頭頂部の部分がバックリと割れて餡子が飛び散った。続けて潰れ帽子はさらに二度三度と地面に叩きつける
「ゆびゅっ!いぢゃいいい!あんこしゃんぎゃああああゆぎぃっ!?」
三度目で完全に寒天の目が白目をむいて、時折底部の部分がウネウネと動くだけになってしまう。それもすぐに止んで完全に潰れ饅頭となってしまった。
「おぢびぢゃんがああああああびょっ!!!」
最後に大きくまりさが叫んだ直後にありすに踏みつけられる。底部からさらに餡子が吹き出し平らに潰れ、そのまま事切れてしまった。
「ゆゆ!まりささまにさからうとこうなるんだぜ!」
「おお、あわりぇあわりぇ」
「ありすたちのおうちをとろうとするなんてとんでもないいなかものね!」
「おきゃあしゃんおなかちゅいちゃわ!」
いつ自分の巣になったかは知らないが凄まじい思考回路から導かれた結論でこの「おうち」の主となった潰れ帽子一家はまりさが餡子脳を総動員して作った巣で越冬する事となったのだった。
その夜…
「ゆゆーん♪ちょっちぇもあっちゃかくちぇちょかいはにぇ!」
「ごはんしゃんもいっぱいあるんだじぇ!」
「ちょっとせまいけどなかなかとかいはなおうちね!」
「ゆゆ!まりさはおなかがすいたんだぜ!ごはんさんをたべるんだぜ!」
新たなる巣の主となった潰れ帽子ことまりさは巣の片隅に置いてあるパンパンに詰まった袋からガサガサと食料を取り出した。
明らかに取りすぎだ。山ほど盛られたビスケットやキノコ類、パンの切れ端等に一斉に四匹のゆっくりが群がる。
「「がつがつ!ぐちゃ!はふほふっ!がふ!むしゃ!」」
明日にでも春が来るから最後の食料を始末すると言わんばかりの旺盛な食欲で、あっという間に通常の越冬一日当たりの食料を遥かに超過した量を食べつくす。
「「がり!がほがふ!ぐちゃぐちゃ!しあわせ(ちあわちぇ)ええええええ!!」」
つい今日までろくな物も食べてなかったからだろうか。はたまた単に配分を考えなかったのか知らないが実に三日分ほどの食料をペロリと平らげてしまう。
「ゆ!なかなかゆっくりしたあじだったんだぜ!」
「ありすにとってはいなかなごはんさんだけどなかなかゆっくりできたわ!」
「うんうんがしたいんだじぇ!ゆ!」
「のーびのーび!しょくごのうんどうをしゅりゅわ!」
パンパンに張った小麦粉の皮を苦しそうにのーびのーびする潰れ帽子一家。ボサ髪の子まりさに至っては巣のド真ん中で大量のうんうんを出し始めた。流石にありすが外へと捨てたが全く傍若無人な振る舞いだ。
暫く上下に小麦粉の体を動かすとありすがこう切り出した。
「おちびちゃんたち!ありすにくっついてね!あったかくなるわ!」
「ほんちょなんだじぇ!あっちゃかいんだじぇ~♪」
「ちゅーりちゅーり…ちょってもちょかいはにゃせいきゃつぢゃわ!」
「こんなおうちめったにないんだぜ!ここでずっとみんなでくらすんだぜ!」
やがてすーりすーりしながら巣の真ん中で小麦粉の皮をくっつけ合ってすーやすーやと寝はじめる潰れ帽子一家。その寝顔だけ見ればさっきまでゆっくりをゆっくりできなくしたようには見えないものだが…
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次の日の朝早く、冬も初めに入って霜の降りる寒い時期ではあったが
潰れ帽子は「ごはんさんをとってくるんだぜ!」と言い残しておうちを後にしようとした。流石に昨日の暴食はまずいと感じたのか。補填に向かうようだ。
「ゆ!ありすはおちびちゃんとおうちにいるんだぜ!」
「ゆゆ?なんでなの?」
「げすなゆっくりがごはんさんをとっていったりするからだぜ!すをからっぽにするのはとくさくじゃないんだぜ!」
「ゆっくりわかったわ!」
こうして、ありすと子ゆっくり二匹はおうちにいる事となった。他のゆっくりの巣を奪うことに長けた潰れ帽子にとって一番恐れるのは、自分と同じようなゆっくりが不在の内におうち宣言をされたり毛布やシート、食料などが取られる事だ。
なのでありすに残れと言いつけてとりあえずは追い払えるようにしたというわけだ。ありすとハンドボールほどに育った子ゆっくりなら追い返すことぐらいは可能だと判断したと言っていい。
越冬の準備も全くせずに昨日まであぶれたゆっくりの一匹として街をさまよっていたが、中々目端のきくまりさである。
ただひとつ誤算があるとすれば、ありすとその子ゆっくりがそれほど賢いかと言う事である…
さて一方潰れ帽子が出て行ったすぐ後、ありすの方は外から自身の「おうち」を眺めて不機嫌そうにしていた。
「このあおいのはとかいはじゃないわ!ありすがとかいはに「こーでぃねーと」しなっくっちゃ!」
ありす種ないしありす種から生まれた子ゆっくりは種類に問わず巣を「こーでぃねーと」と称してガラクタ類を置いたり貯め込んだりする習性がある。習性と言うより親ゆっくりであるありす種に教えられるのだ。
このありすも例外でなく、ダンボール箱の上にかかったビニールシートが如何せん気に入らないようで、様々な角度から見ては勝手に地団太を踏んで怒り狂っていた。
やがて口でビニールシートを引きはがしてそこらに捨てると、子ゆっくり二匹にこう言った。
「おちびちゃんたち!いまからおうちさんをこーでぃねーとするからそのざいりょうをさがしにいくわ!ゆっくりついてくるのよ!」
「ゆゆ?じぇもおとうしゃんがそちょにいっちゃぢゃめっていっちぇちゃわ・・・」
「ゆ!ありしゅはおくびょうなんだじぇ!かってにぐずなゆっくりがおうちさんにいたってまりしゃがおいかえしちぇやりゅんだじぇ!」
「ゆゆ~…でもありちゅもきょのあおいにょはいなきゃっぽいとおもっちぇちゃわ!ちょかいはにゃありちゅにふしゃわしいようにこーでぃねーちょしゅるべきぢゃわ!」
「ちょっとぐらいならおうちをあけてももんだいないわ!はやくとかいはにこーでぃねーとしないとこんないなかなおうちのでざいんじゃゆっくりできないわ!すぐにいきましょう!」
「「ゆっきゅりわかっちゃよ(んだじぇ)!」」
あっと言う間に潰れ帽子の言いつけを破り勢いよくボヨンボヨンと公園を後にするありす一行。勿論外にはかつてのこの一家と同じように「越冬準備に失敗してあぶれた街ゆっくりがそこら中にはびこっている中で」である。
当然の如く15分後には入れ違いで大小8匹ものゆっくりが公園に入ってきた。きょろきょろとあたりを覗うと「おうち」の中にモゾモゾと入り込む。
「ゆ…ぱちゅりー…ほんとにもっていっていいの?」
父親であろうまりさが言った。実はこの一家、冬も目前に控えている季節にすっきりしすぎて子ゆっくり達が多くなってしまい、ニッチもサッチも行かなくなってしまったというあまりにもお粗末な背景を持っていた。
可愛い子ゆっくりにひもじい思いをさせる訳にもいかず、越冬用に貯め込む分までその日その日に食べてしまい、食料を探している間が長すぎて越冬のための準備もまともにできなかったという何とも典型的なあぶれ組だ。
戸惑うまりさにその番いであるぱちゅりーがぷくーっと膨れて怒ったような口調でまりさに答える。
「むきゅ!なにいってるの!?まりさがぐずなせいでこどもたちのぶんまでしょくりょうをあつめられなかったのがわるいんでしょ!?」
勿論このぱちゅりーにも責はある。「子ゆっくり達のためだ」と言っては狩りにもいかず、かと言って巣の補修もせずに毎日食っちゃ寝を繰り返していた典型的な「ぶらさがりゆっくり」であった。
しかも自分の分は子ゆっくりの1,5倍増しで食べていたのだ。それを表すようにまりさはボロボロだがぱちゅりーの方は下顎が不自然に垂れているほど肥えており、かなり栄養を貯め込んでいる事がうかがえる。
後ろにはソフトボールほどのまりさ種とぱちゅりー種が3・3という構成で6匹、じっとぱちゅりーとまりさを見つめて何かを訴えかけている。
毎日持ってきたと言ってもぱちゅりーが増量して食べてる上に、6匹もの子ゆっくりが満足になるほどの食料なんて皆が越冬するために貯め込む中で用意できるはずもなく、一様に空腹を訴えていた。
立て続けにぱちゅりーが捲くし立てる。
「だいたいおうちさんもそとだけしかできてないのにどうやってふゆをこすの!?ちょくせつじめんにあんよさんをおろさなきゃだめだからとってもつめたいのよ!?」
「お前のせいだろ」と突っ込みたくなる気持ちをまりさは押さえて暫く考え込む。このままでは子ゆっくり達を間引いても間もなく枕を並べて飢え死にだ。仕方がないけどまりさたちが生きるためだから持っていってしまおう、と。
そしてまりさは結論は出した。
「ゆうう…しかたないよ…まずごはんさんからもっていくよ…」
「むきゅ!おちびちゃんたち!ゆっくりおうちにはこぶのよ!ぱちぇとまりさはもうふさんとしーとさんをはこぶわ!」
「「ゆっきゅりわかっちゃよ!」」
6匹の子ゆっくりが一斉にダンボール箱の中から袋に詰まった食料を乗せて、低く跳ねながら一目散に公園を後にする。子ゆっくりに持って行かせたと言う事は、かなり近い場所に巣があるようだ。ぱちゅりーとまりさはビニールシートを二匹がかりで口を使って器用に持つと公園を後にする。
十分ほどするとまた8匹のゆっくりが戻ってきて今度はダンボール箱の中の毛布を慎重に引っ張り出した。少々ダンボール箱が動いたが大した問題ではない。
「むきゅ!いちにのさんでもちあげるのよ!」
「ゆっくりわかったよ!おちびちゃんたち!あわせてね!いちにのさん!」
「「いちににょしゃん!」」
クシャクシャになった毛布に埋もれるように頭を支点に使ってタイミングを合わせて飛び跳ねながら毛布を運ぶ。息の合った連係プレーであっという間に毛布が公園から消え去った。
「こりぇでゆっきゅりできりゅね!」
「むきゅ~ん♪ちょっちぇもあちゃちゃかちょうぢゃわ!」
「きょのうえぢぇきょーろきょーろはやくしちゃいよ!」
「むきゅ!きょれぢぇあっちゃかきゅちゅーやちゅーやできりゅわ!」
口々にうれしさを漏らす子ゆっくり達。昨日まで冷たくてゴツゴツしてまともに眠れなかったが今日からは別だ。食料も防寒具も風よけも手に入ったのだから。
こうしてぱちゅりー一家は越冬に必要な道具の殆どをホクホク顔で持っていってしまったのだった。
貧相になったダンボール箱は風に吹かれてズズズと動いていくばかりであった。
その日の夜…
「どぼじでもうぶさんどごばんざんがないんだぜえええええええええ!!」
「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああああ!!」
「ゆびぇえええええん!ありちゅのごばんじゃんがあああああああ!!」
「ちゃむいんだじぇえええええええ!!」
潰れ帽子一家の悲鳴がこだまする。前の巣主であるまりさが丹精込めて改造したおうちはビニールシートが取り払われ、上には空き瓶だの破れた雑誌のページや雑草などの物体が置かれており、入口はビニールシートの代わりにコンビニのレジ袋があてがわれていた。ありすが食料や毛布の捜索を途中で打ち切り、自分の目的を優先して補修(?)したのだ。
食料も毛布も持っていかれたとあっては完全に詰み状態、折しも空はどんよりと曇って今にも雨が降りそうな天気だ。いくら二重構造とは言えビニールシートが無くてはそう何回も雨に耐えられるものではない。
しかも潰れ帽子が食料を探しに行ってもどこの餌場も寒天の目を血走らせたゆっくりが我先にとゆっくり同士で餌場をめぐって壮絶な争いを繰り返しており、潰れ帽子は怖気づいて遠目に見ていただけで食料なんてまったく集められなかったのだ。
ふた回りも大きいと言ってもそれは自分の大きさを誇示してそれに驚いたゆっくりを倒したと言うだけの話。全ゆん生をかけたあぶれゆっくり達にはサイズなど関係なく襲いかかってくるため潰れ帽子の優位性などないに等しいのだ。
そう言った背景もあってか言いつけ破った揚句に巣を脆弱化させ、シートに食料と防寒兼床の毛布まで紛失させたありすとその子ゆっくりに潰れ帽子は怒り狂った。
「どぼじでばりざのいうごどまもらながっだんだぜ!?」
「ちょっとめをはなしてすきになぐなっでだのよおおおおおおお!!」
「うぞづぐんじゃないぜえええええ!!じーどどもうぶどあれだげあるごばんざんをずぐにもっでいげるゆっぐりがいるわげないんだぜええええええ!!」
当然ありすは嘘を付いていた。戻ったのは公園を出て4時間後の事だったからだ。挙句子ゆっくりが跳ねて十分ほどしかかからない様な近場に犯人ならぬ犯ゆっくりがいると言うのにコーディネイトを優先して早々と捜索を打ち切ってしまったのだ。
その気になれば一発で見つけられただろうチャンスを完全に潰してしまったのである。
むしろダンボール箱そのものに他のゆっくりが居着かなかったのは奇跡に等しい事であった。
「まりぢゃおながぢゅいだんだじぇえええええ!ぱんしゃんがたべちゃいんだじぇえええええ!!」
「ゆびぇぇぇえん!きのこしゃんがちゃべちゃいわあああああ!!おやさいしゃんがちゃべちゃいわあああああ!!」
二匹の子ゆっくり達はただひたすら泣く事しかできなかった。ヌクヌクだった毛布の床はすでになく、底部からは冷たく硬い感触が伝わるたびにみじめな気持になってしまうのだ。
そしてとうとうポツポツと雨が降り始めた。冬の初めの雨はかなり冷たく、街にあぶれた街ゆっくりの体力を容赦なく奪うだろう。
怒り心頭の潰れ帽子は、二匹の子ゆっくりを見た途端に事もあろうに帽子の中から小石を取り出すと舌を使って子ゆっくりを打ち倒した。
「ゆべぇ!いぢゃいいいいいい!ありぢゅのぢょがいばなぎゃおがああああああ!!」
「ゆびぇ!ゆぎぃっ!いぢゃいんだじぇえええええ!!ゆびえええええん!!」
「うるさいんだぜ!だいたいなんでおちびちゃんたちがとめなかったんだぜ!もうおまえたちはまりさのおちびちゃんじゃないんだぜ!でていくんだぜ!」
潰れ帽子の巨体がドンっとボサ髪と子ありすを弾き飛ばす。ゴロゴロと転がって二匹の子ゆっくりは雨がぽつぽつと降る極寒の外へ放り出されてしまった。
「なにずるのおおおおお!?あでぃずのおぢびぢゃんがあああああ!!ゆぎぃ!」
抗議するありすも突き飛ばして外へ追い出すと、唯一の入り口の前に背部をくっ付けて中に入れないようにブロックする。
「ぢゃむいんだぢぇえええええ!いれぢぇぼじいんだじぇええええええ!!」
「ぢゃっぢゃどいれりょきょにいにゃきゃもにょおおおおおお!!」
「このいなかものおおおおおお!!わるいのはさきにでていっだまでぃざでじょおおおおおお!!」
口々に勝手な事を言いながら潰れ帽子の背中に体当たり繰り返す。しかし普通のゆっくりよりもふた回りも大きい潰れ帽子にそんなチャチな攻撃は効かなかった。
幾度も体当たりを繰り返すがその度弾き返されてしまう。
それでもあきらめずに子ありすがぶつかろうとすると、突如潰れ帽子がくるっと振り返る。子ありすがねじ込むように巣の中に入ろうとした途端にブスっと子ありすの寒天でできた右目に何かが刺さった。
「いぢゃいいいいいいいい!!ありぢゅのおべべぎゃあああああああああ!!」
ゴロゴロと辺りを転がりのた打つ子ありす。そう、潰れ帽子は舌で木の枝を帽子から取り出しそれを振り下ろしたのだ。
「あ”あ”あ”あ”あ”!?おぢびぢゃんんんんんん!?」
ありすが跳ねよってぺーろぺーろを始める。
「おちびちゃん!ゆっくりよくなるのよ!ぺーろぺーろ!」
「ゆぐっ!ゆびぇええええん!いぢゃいわああああ!!ありぢゅのおべべえええええ!!」
「ぺーろぺーろ!ごのいながぼのおおおおおおお!!ゆっぐりじねええええええ!!」
ありすと子ゆっくり二匹はなすすべもなく立ちつくし、罵声を浴びせる事しかできない。その内雨脚は強まり、とうとうザーザーと音を立てて振るほどになってしまった。
「あめしゃんはゆっきゅりできにゃいんだじぇ!ゆ!ゆ!」
「ぢゃむいいいいいいい!!いなぎゃもにょにょあめじゃんはゆっぎゅりぢょまれええええええ!!」
「ゆぐぐ・・・!おちびちゃんたち!ありすのおくちのなかにはいるのよ!」
右往左往に飛び跳ねるボサ髪と上を向いて怒り叫ぶ子ありす。当然雨が止む気配はなかった。
とうとうありすが切羽詰まって行動を開始した。ハンドボールサイズほどもある子ゆっくり二匹を口の中に入れると言う事をしたのだ。「ゆぐぐ…」と苦しみながらもハンドボールサイズの子ゆっくり二匹を口内に収容するとのたのたとした足取りでそこらを右往左往し始める。
雨は雹も入り混じり容赦なくありすの小麦粉の皮を傷つけ、溶かす。
「ゆぐ!ゆぐうううう!?ゆぎ!?ゆぎいいいい!?ゆぐぐぐぐううううう!!」
バチンバチンと雹が当たるたびに寒天の目を血走らせて体を捩じらせ、雨が容赦なく体力を奪っていった。
あっという間に底部から三分の一以上が溶けてどんどん目線が下がっていく。
その時左右にボコっと膨れた顔が一変する。突如口からブッと二匹の子ゆっくりが飛び出した。
「ゆぶっ!おぢびぢゃんだぢいいいいい!でぢゃあぶないわあああああ!!」
「ゆゆ!まりちゃはきょんにゃぐずなありちゅたちはもういやなんだぢぇ…ゆぎぎぎぃ!いぢゃいいいいい!!ぢゅめぢゃいいいいい!?」
「きょんにゃいなきゃもにょにょゆっきゅりちょはゆっきゅりできにゃいよ!ありちゅはもっちょちょかい・・・ゆぎっ!?ゆびゃびゃびゃ!?あんよぢゃんがうごぎゃなやいいいいいいいい!?」
親ゆっくりであるありすを見捨てて一目散に逃げようとした子ありすとボサ髪。しかし雹と雨のコンボにより辺りを転がり小麦粉の皮に水が染み込む要因を自ら作り、排水性が悪い地面はあっという間に水たまりが出来ていた。そこに転がり底部が水を吸ってブヨブヨになってしまい動けなくなってしまう。
「だぢゅげぢぇえええええええ!!ぎゃらぢゃが…うぎょ…ぎゃ…」
「ゆ”…!あり…ぢゅ……ちょ…け…」
「おぢびぢゃああああああん!?ゆ”!?ぎゃらぢゃがぢょげ…りゅぅ…!」
底部から吸われた水と合わせて今度は容赦ない雨が小麦粉の皮に沁み入り、底部の方からデロデロに溶けていってしまう。とうとう水を吸いすぎたのかまともに喋る事もかなわなくなっていた。
「「もっぢょ…ゆっぎゅ…ぢぢゃが…ぢゃ」」
三匹仲良くハモるとそのまま雨に打たれて髪飾りと帽子を残して餡子と皮が水に溶けだし、完全に溶けてしまった。
「ゆ!まりささまのあしをひっぱるからいけないんだぜ!」
下膨れの下顎を上に倒してゆふんと自慢するも、潰れ帽子を取り巻く環境も過酷な物だった。
二重構造のダンボールハウスのため内側のダンボールは濡れてはいないが外側は叩きつける様な雨とおまけに雹が外側のダンボールを濡らしてボロボロになっていた。
雨が本降りになって数時間で外側がここまで痛んだのだ。雨はやむ気配もなくバチバチと潰れ帽子の入っているダンボールに降り注いでいる。
そして二時間後…
「ゆ!ゆ!やねさんゆっくりおちるんじゃないぜ!」
とうとう雨に濡れたダンボールが重みで潰れはじめた。潰れ帽子は舌を伸ばして必死に天井を押し返して応急処置をしている。
「ゆぐ!あめざんんんん!!ゆっぐりどまるんだぜえええええええええ!!」
砂糖水の涙を流して叫ぶが嘲笑うかの様に雨脚はさらに強まり朝までやむことはなかった。
朝になると完全にダンボールハウスはダメになっていた。雨ならまだよかったが雹まで降っていたのが原因で二重構造のダンボールを完全に破壊してしまったのだ。
「ゆ…!ゆ…!」
潰れ帽子はクタクタになりながらも奇跡的に無事であった。潰れたダンボールからズリズリと這いだすと、ひたすらに途方に暮れるだけであった…
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それから二週間後…
「ぞごのにんげんざん!までぃざをがいゆっぐりにずるんだぜええええええ!!」
「うわっ!きったね!」
「あ”あ”あ”あ”!いだいいいいいい!!ゆ”!ゆ”!ぜめでぶゆのあいだだげでいいがらおうぢざんにいれでぐだざいいいいいい!!」
「嫌だよ!」
「ゆぎゃ!おでがいでずうううううう!!ごばんざんだげでもいいんでずううううう!!」
薄らでかくて小汚い一匹のまりさが人通りの多い場所でなり振りかまわずすーりすーりを繰り返し、通行人に蹴とばされ踏まれながらも凄まじい声をあげている。
帽子はなかったがサイズで分かる、あの潰れ帽子のまりさだ。しかしバッジ付きでもなんでもないゆっくり、それも寒天の左目が無く小麦粉の皮の表面にはカビが生え始めて帽子も無い、その上皮が余ってビロビロで皮の色だって緑色になっているまりさを拾う物はいなかった。
あれから潰れ帽子はもう一度越冬中のゆっくりを襲おうとした。しかし出てきたのが潰れ帽子より素早く、そして強いみょん種だった。木の枝で目を潰されほうほうの体で逃げ帰ったのだ。
それから一週間後、潰れ帽子は次に餌場へと向かった。しかしいくら大きいと言っても一週間以上何も食べていない潰れ帽子が常にゆっくりと餌場を争って鎬を削り続けているゆっくり達に到底かなう筈もなくボコボコに体当たりを受けた上に帽子のないまりさにその帽子を取られ、ドブにたたき落とされると言う仕打ちまで受けてしまった。
まともな物も食べずに水にぬれてしまった潰れ帽子、水浴びする水場も「あぶれゆっくり」達が押さえていて水浴びする事も叶わなかった。お陰で表面にカビが生え始めて小麦粉の皮が緑色に変色し始める。
それから三日後、潰れ帽子は最後の望みをかける。飼いゆっくりにしてもらおうとしたのだ。
当初は「そこのじじい!まりさをかいゆっくりにするんだぜ!」と強硬な態度で臨んでいたが全く無視され、挙句に果てには蹴られる始末。
それから夜はれみりゃやふらんから常に逃げ続けるために全く眠らず動き続け、朝になればずっと夜まで飼いゆっくりにしろと人間にすり寄っていった。
そして潰れ帽子にとっては今日が最後のチャンスであった。既に体力的にも気力的にも限界を迎えており、冬も本格的になってくる。今日こそはと潰れ帽子なりに低姿勢で臨んでも結局この様で潰れ帽子の最後の望みは完全に絶たれてしまった。
「ゆひゅー…ゆひゅー…おながずいだんだぜぇぇ…」
路地裏で潰れ帽子は壁にもたれかかっていた。既に動ける力はなく完全に積んだ状態だ。
薄れゆく意識の中で潰れ帽子は必死に考えていた。何がダメだったのか?どこで失敗したのか?いくら考えても答えは出ない。
「ゆ”…!ゆ”…!ゅ”…」
遂に寒天の白目をむいてビクビクと痙攣しだした、餡子が三分の一以上減り限界が来たようだ。徐々に徐々に動きが無くなっていき、1分もしない内に完全にもの言わぬ饅頭となってしまった。
冬、それは街ゆっくりにとっては過酷な季節である。
越冬準備ができたゆっくりもゲスの襲撃に備えねばならず、越冬準備に失敗した物は少ない餌場と水場を巡り争いを繰り広げるのだ。
食う物と食われるもの、まさに生き残りをかけた弱肉強食の世界「サバイバル・ウィンター」であった―――
過去作品
ふたば系ゆっくりいじめ 504 かりすま☆ふぁいたー
・駄文注意
・途中までゲス無双、そして自滅
・いくつかの名前を振って分けています(潰れ帽子→おうち宣言をしたゲスまりさ、ボサ髪→潰れ帽子の子まりさ)
・独自設定での補完があります
・人間は出てきません
「ゆゆ~ん♪おきゃあしゃんしゅーりしゅーりしちぇね!」
「ゆっくりわかったよ!すーりすーり!」
「「すーりすーり!(しゅーりしゅーり!)」」
「ゆゆ!まりしゃもしゅるんだじぇ!しゅーりしゅーり♪」
冬も初めに入った季節の街角。
住宅街に埋もれるようにして人気のない小さな公園の片隅に置かれたダンボール箱の中に3匹のゆっくりが入っていた。
2匹はソフトボールほどのサイズでもう一匹はその親であろうか。バスケットボールほどのサイズである。
このゆっくりは最近山から下りてきたゆっくりであった。街へと下った理由は群れのありすが言っていた「とかい」で暮らしたいと常々思っていたからと言ったものだ。
そのありすとは違うルートで秋頃に山を降りて街へ入ったのだった。因みにそのありすは今も見つからない、どこかへ行ってしまったのだろうか?
番いのまりさは今、ギリギリまで越冬用の食糧集めに勤しんでいるため不在である。
通常外から街へやってきたゆっくりはその慣れない狩りや山や森のそれとは違う常識が足枷となり、確実に淘汰されるといった事が殆どだ。
しかしこのゆっくり一家は運がいい事にゲスやれみりゃ、れいぱーありすにも遭遇せず、また巣も公園の片隅に廃棄されていたダンボール箱に手を加え、ダンボール箱は二重構造に、ビニールシートをかぶせボロボロではあるが毛布まで用意できたという凄まじく運のいいゆっくりであった。
越冬用の食料も「おうち」の中の片隅に置かれた大きいビニール袋にパンパンに詰まるほど貯めており、このままでも十分越冬出来るほどの量を兼ね備えていた。
当初は子ゆっくり達とれいむも狩りに参加していたが、十分量が集まるとまりさ一匹が補填の食料を集めるといった形になり、れいむと子ゆっくりは思う存分ぬくぬくの巣でゆっくりしていたのだった。
まぁ何をするかと言えば、おうちの中ですーりすーりしたり、のーびのーびしたり、まりさがいない分大きさに余裕がある箱の中でコーロコーロしたりしていたりとあまり変わったものではない。
暫くすると番いのまりさがパンパンになった帽子をかぶって戻ってくる。狩りの成果は上々のようだ。
「れいむ!ゆっくりもどったよ!」
「ゆゆ!まりさ!ゆっくおかえりなさい!」
「おとーしゃん!ごはんしゃんちょれちゃにょ?」
「まりしゃあまあましゃんがたべちゃいんだじぇ!」
満面の笑みで駆けよる子ゆっくり二匹、まりさは帽子の中から熟れた大きな柿を4つゴロンと取り出した。
「あしたのよるにはふゆごもりにはいるからきょうはかきさんをとってきたよ!ゆっくりみんなでたべようね!」
「ゆゆ!まりしゃもうがまんできにゃいんだじぇ!」
「れいみゅもおなかちゅいちゃよ!」
「ゆ!みんなでそろってたべるともっとゆっくりできるよ!じゃあたべようね!」
野良ゆっくりにとって果実や菓子類などの「あまあま」は一生に数度食べられるか食べられないかの御馳走である。それが一匹当たり一個と破格の数が当てられたのだ。
このまりさは群れ一番の狩りの名手であった。山にいた頃よりも狩りの腕は上達し、その応用力は全く訳が違う街でも十二分に発揮されているようだ。
早速四匹のゆっくりは一斉に柿にかぶりついて思う存分む~しゃむ~しゃして甘さを味わう、ジューシーな果汁と自然な甘さがゆっくり達をさらなるゆっくりへと誘っていた。
「「む~しゃむ~しゃ・・・ししししあわせええええええ!!」」
「「む~ちゃむ~ちゃ…ちあわちぇ~~~~!」」
あっという間に柿をペロリと平らげてしまうゆっくり達、その後は互いの体をぺーろぺーろし合い、体をくっつけて温かいおうちの中でゆっくりする。
「ゆゆーん♪あちゃちゃかいよ!とってもゆっきゅりできりゅね!」
「まりしゃなんぢゃかねむくなっちぇきちゃんだじぇ!ゆっきゅりしゅーやしゅーやしゅるんだじぇ!」
満腹だったからかだろうか、それまで元気にゆっくりしていた子ゆっくり達はまるで実ゆっくりが蔓に揺られているような顔ですーやすーやと寝始めた。
「おちびちゃんたち!あしたはそとさんにでるのもさいごだからゆっくりしようね!みんなですーりすーりしておうたさんもうたおうね!」
「れいむ!まりさもあしたはいっしょにゆっくりするんだぜ!」
二匹のゆっくりは頬をすーりすーりとゆっくりと互いを確認し合うように擦り合わせ始める。
幸せそうなゆっくり一家は一晩中たっぷりとすーやすーやする事が出来た。
次の日、朝から陽は燦々と昇り、陽気は春並みに暖かくなっていた。絶好のゆっくり日和である。
朝、越冬用の食料に初めて手をつけて思う存分む~しゃむ~しゃと食べた後は、外に出て人気のない公園でひたすらに遊び続けていた。
「きょーろきょーろ!」
「ゆゆ!?なんだかうんうんしゃんがしたくなっちぇきちゃんだじぇ!」
子れいむの方はころころと転がったり跳ねたりしながら越冬前日の最後に思いっきり体を動かしている。
まりさの方は公園のド真ん中で体を倒してあにゃるを向けると実に気持ちよさそうな顔で「ゆ!」というとプリプリとうんうんをしはじめた。
それを見ていた子れいむも同じように体を倒してしーしーを始める。
粗方終わった後は二匹同時に
「「ちゅっきり~~~~!」」
と声を上げる。
それを見ていたれいむとまりさは幸せそうに笑っていた。やがて
「ゆゆ!おちびちゃんたち!いっしょにおうたさんをうたおうね!」
「「ゆっきゅりわかっちゃよ(んだじぇ!)」」
というやりとりを経て、小麦粉の皮をくっつけて体をのーびのーびさせながら歌を歌い出した。山一番と言われたれいむの美声とまりさと子ゆっくりの声が辺りに響き渡る。
「「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆ~っくり~♪」」
「「ゆっきゅり~♪ゆゆ~♪」」
「やっぱりれいむはおうたさんがじょうずだね!ゆっくりできるよ!」
だがこれがいけなかった。冬には越冬準備に失敗し、街にはあぶれたゆっくりが辺りに大勢蔓延っていたのだ。
冬の陽は短く、あと数時間もすればすぐに日没という時分、無論あぶれたゆっくり達も必死になっておうち強奪や餌場の確保などを行っているのだ。そんな状況で呑気に歌を歌うなど見つけてくださいと言わんばかりの行為だった事を当のまりさ達は知る由もなかった。
それは歌い始めてすぐの事だった。ボヨンボヨンと複数のゆっくりが跳ねてくる。
「「ゆゆ!ゆっくりしていってね!」」
「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」」
それを見つけたまりさ一家はそのゆっくり達に挨拶をする。越冬準備を急ピッチに進めていたため他のゆっくりの姿は見ても交流を持とうとはしなかったのだ。群れに身を置いていたまりさ達にとっては横のつながりは重要かもしれないが、街ゆっくりにそんな物は毛ほども必要がないと言う事をまりさ達は知らない。
目もくれずに外からやってきたゆっくりはまりさ一家のダンボール箱をジロジロと眺めて唐突にこう言ってのけた。
「ゆゆ!きにいったんだぜ!ここをまりさとありすのゆっくりぷれいすにするんだぜ!」
「もうふさんもあるわ!とってもとかいはね!」
そのゆっくり、ありすとまりさ。それの後ろに一匹づつ子ありすと子まりさが連なって合計四匹の家族は「おうち宣言」を付きつけたのだ。
結構良くある組み合わせではあるが、少し違うと言えばまりさの大きさとそのゆっくり達の風貌だった。
ありす種の方は通常のバスケットボールほどで、二匹の子ゆっくりはハンドボールほどのサイズだ。だがまりさ種の方はバスケットボールのふた回りも大きい頑強なゆっくりだった。
風貌の方は凄まじく、まず全体的に汚い。底部はコンクリートの上を飛び跳ね続けたのかススが付いたように黒くなってひびが入ってガチガチであった。皮もあちこち擦り傷だらけだ。
砂糖細工の髪はボサボサで何か油粘土の様な触感をしている様でテカテカに光っており、砂やゴミのきれがあちこちに付いている。
ゆっくりにとって命ともいえる飾りも汚く、ありすの飾りは所々薄汚れていて鈍く光っており、まりさの方の山高帽はボロボロで、上の部分がベッコリと潰れてただのカウボーイハットのようにしか見えなかった。
その異様な風態のゆっくり達が突如おうちに上がり込み事もあろうに「ここを自分の家にする」と主張したのだ。当然まりさ一家は反発をする。
「なにいってるの!?ここはまりさとれいむのおうちだよ!かってなこといわないでね!」
「さっさとでていってね!れいむおこるよ!ぷんぷん!」
「しょうじゃよ!きちゃないからはいりゃにゃいぢぇね!ぷくー!」
「まりちゃはちゅよいんだじぇ!かっちぇなこちょいうちょいちゃいめをみりゅんだじぇ!」
まりさと子まりさの方は声を大にして抗議する、その少し後ろでれいむと子れいむがぷくーっと膨れて怒りを露わにしていた。左右のぴこぴこも動かしている辺り相当怒っている様だ。
それを見て、潰れ帽子のまりさとその後ろにいるゆっくり達がゲラゲラと笑い始めた。まるで何か面白い物を見たような様子で
「げらげら!"ちゅよい!"だってぜ!」
それを聞いてカチンと来たのか、子まりさが潰れ帽子に体当たりを繰り出す。しかし大きさがそもそも違うのだ。いくら渾身の力を込めたとはいえ、ボヨンとはじかれてコロコロと転がってしまう。
「こにょ!ゆっきゅりちね!」
「そんなちいさいからだでまりささまをたおせるとおもうのかぜ?ばかなの?しぬの?」
「おちびちゃんたち!やっちゃいなさい!」
ありすが叫ぶ。その途端に二匹の子ありすとボサ髪の子まりさが帽子の中から二個の小石を取り出し、子ありすに渡すと舌を使って子まりさを叩きはじめた。
「ゆびゃ!いぢゃ!いぢゃいんだじぇびゅ!ゆぎぃっ!」
「ゆっへっへ!どきょがちゅよいんだじぇ?」
「かんちぎゃいもきょきょまぢぇきゅるちょかわいちょうね!おお、あわりぇあわりぇ!」
口々に侮蔑しながら小石を振り下ろす二匹の子ありすとボサ髪。打ちすえられる子まりさは成す術もなく体を潰して耐えている。小石が当たるごとに餡子が痣の様に中で不規則に形が変わり、小麦粉の皮が凸凹に膨れていった。
暫くして子ゆっくりが手を休めると、「ゆひゅー…ゆひゅー…」と時折体を動かすだけで完全に抵抗する力も残っていないようだ。
「さっきのいせいはどうしちゃんだじぇ?」
「ゆぎぃ…もういぢゃいのいやああああ!!いぢゃいよおおおお!!やべでええええええ!!やべでえええええ!!」
「うるしゃいわよ!」
止めとばかりに子ありすが高くジャンプして子まりさを踏みつぶす。
「あ”あ”あ”ゆげぇ!」
「子」ありすとは付いているが大きさはハンドボールと大きめだ。そんなもの(子まりさにとっては巨体)が落ちてきたのだ。ブチュンと音がして餡子と皮が辺りにはじけ飛ぶ。あっという間に子まりさは物言わぬ饅頭となってしまった。
「でいぶのおぢびぢゃんがああああああああ!!」
「きょわいよおおおおおお!!ゆびぇええええええん!!」
「ゆぎいいいいい!!よぐもおぢびぢゃんをおおおおおお!!ゆっぐりじねえええええ!!」
泣き叫ぶれいむと子れいむを尻目に、怒りにまかせてまりさが潰れ帽子に向かって体当たりを繰り出す。だが対ゆっくりに関してのノウハウは潰れ帽子の方がもちろん上だ。ひらりとかわされてしまい、着地した途端を狙って潰れ帽子が大きく飛んだ。
落ちる先はまりさの頭。まりさのふた回り以上もある巨体がまりさの頭めがけて渾身のプレスを放ったのだった。
「ゆぎぇっ!までぃざのあんよがああああああああああ!!!」
潰れなかったのは成体ゆっくりだったからであろうか。ひとまず平らになる事はなかった。しかし底部がグズグズに潰れて餡子が辺りに飛び散ってしまっており、山一番の狩りの名手と言われたまりさ自慢の底部は完全にその機能を消失してしまっていた。
「ゆ”!ゆ”!までぃざのあんよざんがぁぁ…!ゆっぐりうごいでね!ゆ”!ゆ”…!どぼじでうごがないのおおおおおお!?」
「げらげら!まりささまにさからうからこうなるんだぜ!」
潰れ帽子がまりさを舌で鞭打つように打ちすえる、その度にまりさは「ゆげぇ!ゆびぃ!」と叫んではついさっき潰された子まりさの様に体を潰して痛みに耐えるしかなかった。
ありすの方はしーしーを垂れ流してその場で立ちすくむれいむを見てブルブルと震えはじめる。
「ゆゆゆゆゆ・・・!んほおおおおおおお!!でいぶうううううう!!すっきりすっきりすっきりいいいいいいいい!!」
「い”や”あ”あ”あ”あ”あ”!!ゆっぐりごないでね!ぐるなあああああ!!」
冬になるにつれゆっくりが街から姿を消す。越冬するためだ。
あぶれたゆっくりもいるがそう言ったゆっくりは少ない餌場を確保するため餡子をかけた死闘を繰り広げるため、れいぱーありす程度などあっという間に潰されてしまう。なのでよほどの事がない限り近づかない。
また、越冬をしている間もじっとしていなければならず、時たま外に出ても周りにちょうどいいゆっくりなどいる筈もない。総じてありす種は冬の間かなりのフラストレーションを貯めているのだ。
今回はそれが爆発してしまった。越冬が終わるまでの「すっきり納め」といった所か
当然発情したありすは凄まじい勢いでれいむに体をびったりとつけるとヌラヌラとした粘液をだして体を上下に伸び縮みさせて「すーりすーり」を行う。
「ずっぎりじだぐないいいいいい!!までぃざああああ!!だずげでえええええ!!までぃざあああああ!!」
「んほおおおおお!!あんなまでぃざのごどなんでずぐにわずれざぜであげるわああああ!!」
体を潰すように前のめりに抑えられて動けないまま、ありすはヘコヘコと底部を動かし始める。当然粘液が出てきて受け入れ態勢が万全に整ったれいむも砂糖水の涎とも涙かも分からない液体をまき散らしながら叫ぶ。
「すっきりすっきりすっきりすっきりいいいいいいいい!!」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!ずっぎりやべでえええええ!!までぃざあああああ!!までぃざあああああ!!」
「でいぶううううう!ゆべぇ!」
「うるさいんだぜ!かってにまりささまとありすのおうちをよこどりするようなげすはゆっくりしぬんだぜ!」
れいむの叫び空しく、まりさは潰れ帽子から舌で打ちすえられ底部も潰されて眺める事しかできなかった。
2分も経った頃だろうか、一気にありすとれいむが叫ぶ。
「んほおおおおおおおおお!!すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりいいいいいいいいい!!」
「あ”あ”あ”!!すっきりいいいいいいいい!!」
途端にれいむの頭から6本もの蔓が生えてきた。しかしいくら栄養状態がいいと言っても所詮は野良、6本も蔓が生えれば餡子を吸われて枯れてしまう。
れいむも例外ではなく見る見る萎んで潰れるように小さくなっていく。
「も・・・ゆっぐ・・・が・・・っだ」
と言い残すとヒョロヒョロの蔓が実らしき小さな物ごと枯れていき、砂糖細工の髪の毛と茶色に萎れた蔓を残して枯れ果てた何かとなって地面に転がった。
「あ”あ”あ”あ”あ”でいぶうううううう!!」
「げらげら!まりさのせいでしんだんだぜ!まりさがまりささまのおうちをまりさのだなんていわなかったらあのれいむはたすかってたんだぜ!」
「ゆ”!?ごべんねええええええ!!でいぶううううう!!ごべんねええええええ!!」
どこにそんな水分があるのかと思うぐらい砂糖水の涙を流して泣き叫ぶまりさ。潰れ帽子の言い分すらも真に受けるほど動転してしまっている様だ。
次に潰れ帽子は今度は完全に恐怖ですくんでしまった子れいむに舌を伸ばして逆さに持ち上げる。
「ゆぎゃああああああ!!きょわいよおおおおお!!おぢょーじゃんだぢゅげでえええええ!!」
それを見たまりさは正気を取り戻し、泣き叫びながら潰れ帽子に哀願した。
「おでがいじまずうううううう!!おぢびぢゃんだげはだずげでぐだざいいいいいいいい!!」
当然そんな事を潰れ帽子が聞くはずもなく、寧ろそれを見ながらニタニタと下膨れの顔で見下ろすとこう言った。
「いやだぜ!まりささまにさからうげすはみんなゆっくりできなくするんだぜ!」
「ぞんなああああああああ!!」
「おどおおおじゃああああああん!!だぢゅげでええええええ!!」
一気に上まで持ち上げられ、頭から地面に叩き降ろされる。
「ゆびぇっ!いぢゃいいいいい!!でいびゅのあぢゃまがああああああ!?」
小麦粉の皮の上部、頭頂部の部分がバックリと割れて餡子が飛び散った。続けて潰れ帽子はさらに二度三度と地面に叩きつける
「ゆびゅっ!いぢゃいいい!あんこしゃんぎゃああああゆぎぃっ!?」
三度目で完全に寒天の目が白目をむいて、時折底部の部分がウネウネと動くだけになってしまう。それもすぐに止んで完全に潰れ饅頭となってしまった。
「おぢびぢゃんがああああああびょっ!!!」
最後に大きくまりさが叫んだ直後にありすに踏みつけられる。底部からさらに餡子が吹き出し平らに潰れ、そのまま事切れてしまった。
「ゆゆ!まりささまにさからうとこうなるんだぜ!」
「おお、あわりぇあわりぇ」
「ありすたちのおうちをとろうとするなんてとんでもないいなかものね!」
「おきゃあしゃんおなかちゅいちゃわ!」
いつ自分の巣になったかは知らないが凄まじい思考回路から導かれた結論でこの「おうち」の主となった潰れ帽子一家はまりさが餡子脳を総動員して作った巣で越冬する事となったのだった。
その夜…
「ゆゆーん♪ちょっちぇもあっちゃかくちぇちょかいはにぇ!」
「ごはんしゃんもいっぱいあるんだじぇ!」
「ちょっとせまいけどなかなかとかいはなおうちね!」
「ゆゆ!まりさはおなかがすいたんだぜ!ごはんさんをたべるんだぜ!」
新たなる巣の主となった潰れ帽子ことまりさは巣の片隅に置いてあるパンパンに詰まった袋からガサガサと食料を取り出した。
明らかに取りすぎだ。山ほど盛られたビスケットやキノコ類、パンの切れ端等に一斉に四匹のゆっくりが群がる。
「「がつがつ!ぐちゃ!はふほふっ!がふ!むしゃ!」」
明日にでも春が来るから最後の食料を始末すると言わんばかりの旺盛な食欲で、あっという間に通常の越冬一日当たりの食料を遥かに超過した量を食べつくす。
「「がり!がほがふ!ぐちゃぐちゃ!しあわせ(ちあわちぇ)ええええええ!!」」
つい今日までろくな物も食べてなかったからだろうか。はたまた単に配分を考えなかったのか知らないが実に三日分ほどの食料をペロリと平らげてしまう。
「ゆ!なかなかゆっくりしたあじだったんだぜ!」
「ありすにとってはいなかなごはんさんだけどなかなかゆっくりできたわ!」
「うんうんがしたいんだじぇ!ゆ!」
「のーびのーび!しょくごのうんどうをしゅりゅわ!」
パンパンに張った小麦粉の皮を苦しそうにのーびのーびする潰れ帽子一家。ボサ髪の子まりさに至っては巣のド真ん中で大量のうんうんを出し始めた。流石にありすが外へと捨てたが全く傍若無人な振る舞いだ。
暫く上下に小麦粉の体を動かすとありすがこう切り出した。
「おちびちゃんたち!ありすにくっついてね!あったかくなるわ!」
「ほんちょなんだじぇ!あっちゃかいんだじぇ~♪」
「ちゅーりちゅーり…ちょってもちょかいはにゃせいきゃつぢゃわ!」
「こんなおうちめったにないんだぜ!ここでずっとみんなでくらすんだぜ!」
やがてすーりすーりしながら巣の真ん中で小麦粉の皮をくっつけ合ってすーやすーやと寝はじめる潰れ帽子一家。その寝顔だけ見ればさっきまでゆっくりをゆっくりできなくしたようには見えないものだが…
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次の日の朝早く、冬も初めに入って霜の降りる寒い時期ではあったが
潰れ帽子は「ごはんさんをとってくるんだぜ!」と言い残しておうちを後にしようとした。流石に昨日の暴食はまずいと感じたのか。補填に向かうようだ。
「ゆ!ありすはおちびちゃんとおうちにいるんだぜ!」
「ゆゆ?なんでなの?」
「げすなゆっくりがごはんさんをとっていったりするからだぜ!すをからっぽにするのはとくさくじゃないんだぜ!」
「ゆっくりわかったわ!」
こうして、ありすと子ゆっくり二匹はおうちにいる事となった。他のゆっくりの巣を奪うことに長けた潰れ帽子にとって一番恐れるのは、自分と同じようなゆっくりが不在の内におうち宣言をされたり毛布やシート、食料などが取られる事だ。
なのでありすに残れと言いつけてとりあえずは追い払えるようにしたというわけだ。ありすとハンドボールほどに育った子ゆっくりなら追い返すことぐらいは可能だと判断したと言っていい。
越冬の準備も全くせずに昨日まであぶれたゆっくりの一匹として街をさまよっていたが、中々目端のきくまりさである。
ただひとつ誤算があるとすれば、ありすとその子ゆっくりがそれほど賢いかと言う事である…
さて一方潰れ帽子が出て行ったすぐ後、ありすの方は外から自身の「おうち」を眺めて不機嫌そうにしていた。
「このあおいのはとかいはじゃないわ!ありすがとかいはに「こーでぃねーと」しなっくっちゃ!」
ありす種ないしありす種から生まれた子ゆっくりは種類に問わず巣を「こーでぃねーと」と称してガラクタ類を置いたり貯め込んだりする習性がある。習性と言うより親ゆっくりであるありす種に教えられるのだ。
このありすも例外でなく、ダンボール箱の上にかかったビニールシートが如何せん気に入らないようで、様々な角度から見ては勝手に地団太を踏んで怒り狂っていた。
やがて口でビニールシートを引きはがしてそこらに捨てると、子ゆっくり二匹にこう言った。
「おちびちゃんたち!いまからおうちさんをこーでぃねーとするからそのざいりょうをさがしにいくわ!ゆっくりついてくるのよ!」
「ゆゆ?じぇもおとうしゃんがそちょにいっちゃぢゃめっていっちぇちゃわ・・・」
「ゆ!ありしゅはおくびょうなんだじぇ!かってにぐずなゆっくりがおうちさんにいたってまりしゃがおいかえしちぇやりゅんだじぇ!」
「ゆゆ~…でもありちゅもきょのあおいにょはいなきゃっぽいとおもっちぇちゃわ!ちょかいはにゃありちゅにふしゃわしいようにこーでぃねーちょしゅるべきぢゃわ!」
「ちょっとぐらいならおうちをあけてももんだいないわ!はやくとかいはにこーでぃねーとしないとこんないなかなおうちのでざいんじゃゆっくりできないわ!すぐにいきましょう!」
「「ゆっきゅりわかっちゃよ(んだじぇ)!」」
あっと言う間に潰れ帽子の言いつけを破り勢いよくボヨンボヨンと公園を後にするありす一行。勿論外にはかつてのこの一家と同じように「越冬準備に失敗してあぶれた街ゆっくりがそこら中にはびこっている中で」である。
当然の如く15分後には入れ違いで大小8匹ものゆっくりが公園に入ってきた。きょろきょろとあたりを覗うと「おうち」の中にモゾモゾと入り込む。
「ゆ…ぱちゅりー…ほんとにもっていっていいの?」
父親であろうまりさが言った。実はこの一家、冬も目前に控えている季節にすっきりしすぎて子ゆっくり達が多くなってしまい、ニッチもサッチも行かなくなってしまったというあまりにもお粗末な背景を持っていた。
可愛い子ゆっくりにひもじい思いをさせる訳にもいかず、越冬用に貯め込む分までその日その日に食べてしまい、食料を探している間が長すぎて越冬のための準備もまともにできなかったという何とも典型的なあぶれ組だ。
戸惑うまりさにその番いであるぱちゅりーがぷくーっと膨れて怒ったような口調でまりさに答える。
「むきゅ!なにいってるの!?まりさがぐずなせいでこどもたちのぶんまでしょくりょうをあつめられなかったのがわるいんでしょ!?」
勿論このぱちゅりーにも責はある。「子ゆっくり達のためだ」と言っては狩りにもいかず、かと言って巣の補修もせずに毎日食っちゃ寝を繰り返していた典型的な「ぶらさがりゆっくり」であった。
しかも自分の分は子ゆっくりの1,5倍増しで食べていたのだ。それを表すようにまりさはボロボロだがぱちゅりーの方は下顎が不自然に垂れているほど肥えており、かなり栄養を貯め込んでいる事がうかがえる。
後ろにはソフトボールほどのまりさ種とぱちゅりー種が3・3という構成で6匹、じっとぱちゅりーとまりさを見つめて何かを訴えかけている。
毎日持ってきたと言ってもぱちゅりーが増量して食べてる上に、6匹もの子ゆっくりが満足になるほどの食料なんて皆が越冬するために貯め込む中で用意できるはずもなく、一様に空腹を訴えていた。
立て続けにぱちゅりーが捲くし立てる。
「だいたいおうちさんもそとだけしかできてないのにどうやってふゆをこすの!?ちょくせつじめんにあんよさんをおろさなきゃだめだからとってもつめたいのよ!?」
「お前のせいだろ」と突っ込みたくなる気持ちをまりさは押さえて暫く考え込む。このままでは子ゆっくり達を間引いても間もなく枕を並べて飢え死にだ。仕方がないけどまりさたちが生きるためだから持っていってしまおう、と。
そしてまりさは結論は出した。
「ゆうう…しかたないよ…まずごはんさんからもっていくよ…」
「むきゅ!おちびちゃんたち!ゆっくりおうちにはこぶのよ!ぱちぇとまりさはもうふさんとしーとさんをはこぶわ!」
「「ゆっきゅりわかっちゃよ!」」
6匹の子ゆっくりが一斉にダンボール箱の中から袋に詰まった食料を乗せて、低く跳ねながら一目散に公園を後にする。子ゆっくりに持って行かせたと言う事は、かなり近い場所に巣があるようだ。ぱちゅりーとまりさはビニールシートを二匹がかりで口を使って器用に持つと公園を後にする。
十分ほどするとまた8匹のゆっくりが戻ってきて今度はダンボール箱の中の毛布を慎重に引っ張り出した。少々ダンボール箱が動いたが大した問題ではない。
「むきゅ!いちにのさんでもちあげるのよ!」
「ゆっくりわかったよ!おちびちゃんたち!あわせてね!いちにのさん!」
「「いちににょしゃん!」」
クシャクシャになった毛布に埋もれるように頭を支点に使ってタイミングを合わせて飛び跳ねながら毛布を運ぶ。息の合った連係プレーであっという間に毛布が公園から消え去った。
「こりぇでゆっきゅりできりゅね!」
「むきゅ~ん♪ちょっちぇもあちゃちゃかちょうぢゃわ!」
「きょのうえぢぇきょーろきょーろはやくしちゃいよ!」
「むきゅ!きょれぢぇあっちゃかきゅちゅーやちゅーやできりゅわ!」
口々にうれしさを漏らす子ゆっくり達。昨日まで冷たくてゴツゴツしてまともに眠れなかったが今日からは別だ。食料も防寒具も風よけも手に入ったのだから。
こうしてぱちゅりー一家は越冬に必要な道具の殆どをホクホク顔で持っていってしまったのだった。
貧相になったダンボール箱は風に吹かれてズズズと動いていくばかりであった。
その日の夜…
「どぼじでもうぶさんどごばんざんがないんだぜえええええええええ!!」
「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああああ!!」
「ゆびぇえええええん!ありちゅのごばんじゃんがあああああああ!!」
「ちゃむいんだじぇえええええええ!!」
潰れ帽子一家の悲鳴がこだまする。前の巣主であるまりさが丹精込めて改造したおうちはビニールシートが取り払われ、上には空き瓶だの破れた雑誌のページや雑草などの物体が置かれており、入口はビニールシートの代わりにコンビニのレジ袋があてがわれていた。ありすが食料や毛布の捜索を途中で打ち切り、自分の目的を優先して補修(?)したのだ。
食料も毛布も持っていかれたとあっては完全に詰み状態、折しも空はどんよりと曇って今にも雨が降りそうな天気だ。いくら二重構造とは言えビニールシートが無くてはそう何回も雨に耐えられるものではない。
しかも潰れ帽子が食料を探しに行ってもどこの餌場も寒天の目を血走らせたゆっくりが我先にとゆっくり同士で餌場をめぐって壮絶な争いを繰り返しており、潰れ帽子は怖気づいて遠目に見ていただけで食料なんてまったく集められなかったのだ。
ふた回りも大きいと言ってもそれは自分の大きさを誇示してそれに驚いたゆっくりを倒したと言うだけの話。全ゆん生をかけたあぶれゆっくり達にはサイズなど関係なく襲いかかってくるため潰れ帽子の優位性などないに等しいのだ。
そう言った背景もあってか言いつけ破った揚句に巣を脆弱化させ、シートに食料と防寒兼床の毛布まで紛失させたありすとその子ゆっくりに潰れ帽子は怒り狂った。
「どぼじでばりざのいうごどまもらながっだんだぜ!?」
「ちょっとめをはなしてすきになぐなっでだのよおおおおおおお!!」
「うぞづぐんじゃないぜえええええ!!じーどどもうぶどあれだげあるごばんざんをずぐにもっでいげるゆっぐりがいるわげないんだぜええええええ!!」
当然ありすは嘘を付いていた。戻ったのは公園を出て4時間後の事だったからだ。挙句子ゆっくりが跳ねて十分ほどしかかからない様な近場に犯人ならぬ犯ゆっくりがいると言うのにコーディネイトを優先して早々と捜索を打ち切ってしまったのだ。
その気になれば一発で見つけられただろうチャンスを完全に潰してしまったのである。
むしろダンボール箱そのものに他のゆっくりが居着かなかったのは奇跡に等しい事であった。
「まりぢゃおながぢゅいだんだじぇえええええ!ぱんしゃんがたべちゃいんだじぇえええええ!!」
「ゆびぇぇぇえん!きのこしゃんがちゃべちゃいわあああああ!!おやさいしゃんがちゃべちゃいわあああああ!!」
二匹の子ゆっくり達はただひたすら泣く事しかできなかった。ヌクヌクだった毛布の床はすでになく、底部からは冷たく硬い感触が伝わるたびにみじめな気持になってしまうのだ。
そしてとうとうポツポツと雨が降り始めた。冬の初めの雨はかなり冷たく、街にあぶれた街ゆっくりの体力を容赦なく奪うだろう。
怒り心頭の潰れ帽子は、二匹の子ゆっくりを見た途端に事もあろうに帽子の中から小石を取り出すと舌を使って子ゆっくりを打ち倒した。
「ゆべぇ!いぢゃいいいいいい!ありぢゅのぢょがいばなぎゃおがああああああ!!」
「ゆびぇ!ゆぎぃっ!いぢゃいんだじぇえええええ!!ゆびえええええん!!」
「うるさいんだぜ!だいたいなんでおちびちゃんたちがとめなかったんだぜ!もうおまえたちはまりさのおちびちゃんじゃないんだぜ!でていくんだぜ!」
潰れ帽子の巨体がドンっとボサ髪と子ありすを弾き飛ばす。ゴロゴロと転がって二匹の子ゆっくりは雨がぽつぽつと降る極寒の外へ放り出されてしまった。
「なにずるのおおおおお!?あでぃずのおぢびぢゃんがあああああ!!ゆぎぃ!」
抗議するありすも突き飛ばして外へ追い出すと、唯一の入り口の前に背部をくっ付けて中に入れないようにブロックする。
「ぢゃむいんだぢぇえええええ!いれぢぇぼじいんだじぇええええええ!!」
「ぢゃっぢゃどいれりょきょにいにゃきゃもにょおおおおおお!!」
「このいなかものおおおおおお!!わるいのはさきにでていっだまでぃざでじょおおおおおお!!」
口々に勝手な事を言いながら潰れ帽子の背中に体当たり繰り返す。しかし普通のゆっくりよりもふた回りも大きい潰れ帽子にそんなチャチな攻撃は効かなかった。
幾度も体当たりを繰り返すがその度弾き返されてしまう。
それでもあきらめずに子ありすがぶつかろうとすると、突如潰れ帽子がくるっと振り返る。子ありすがねじ込むように巣の中に入ろうとした途端にブスっと子ありすの寒天でできた右目に何かが刺さった。
「いぢゃいいいいいいいい!!ありぢゅのおべべぎゃあああああああああ!!」
ゴロゴロと辺りを転がりのた打つ子ありす。そう、潰れ帽子は舌で木の枝を帽子から取り出しそれを振り下ろしたのだ。
「あ”あ”あ”あ”あ”!?おぢびぢゃんんんんんん!?」
ありすが跳ねよってぺーろぺーろを始める。
「おちびちゃん!ゆっくりよくなるのよ!ぺーろぺーろ!」
「ゆぐっ!ゆびぇええええん!いぢゃいわああああ!!ありぢゅのおべべえええええ!!」
「ぺーろぺーろ!ごのいながぼのおおおおおおお!!ゆっぐりじねええええええ!!」
ありすと子ゆっくり二匹はなすすべもなく立ちつくし、罵声を浴びせる事しかできない。その内雨脚は強まり、とうとうザーザーと音を立てて振るほどになってしまった。
「あめしゃんはゆっきゅりできにゃいんだじぇ!ゆ!ゆ!」
「ぢゃむいいいいいいい!!いなぎゃもにょにょあめじゃんはゆっぎゅりぢょまれええええええ!!」
「ゆぐぐ・・・!おちびちゃんたち!ありすのおくちのなかにはいるのよ!」
右往左往に飛び跳ねるボサ髪と上を向いて怒り叫ぶ子ありす。当然雨が止む気配はなかった。
とうとうありすが切羽詰まって行動を開始した。ハンドボールサイズほどもある子ゆっくり二匹を口の中に入れると言う事をしたのだ。「ゆぐぐ…」と苦しみながらもハンドボールサイズの子ゆっくり二匹を口内に収容するとのたのたとした足取りでそこらを右往左往し始める。
雨は雹も入り混じり容赦なくありすの小麦粉の皮を傷つけ、溶かす。
「ゆぐ!ゆぐうううう!?ゆぎ!?ゆぎいいいい!?ゆぐぐぐぐううううう!!」
バチンバチンと雹が当たるたびに寒天の目を血走らせて体を捩じらせ、雨が容赦なく体力を奪っていった。
あっという間に底部から三分の一以上が溶けてどんどん目線が下がっていく。
その時左右にボコっと膨れた顔が一変する。突如口からブッと二匹の子ゆっくりが飛び出した。
「ゆぶっ!おぢびぢゃんだぢいいいいい!でぢゃあぶないわあああああ!!」
「ゆゆ!まりちゃはきょんにゃぐずなありちゅたちはもういやなんだぢぇ…ゆぎぎぎぃ!いぢゃいいいいい!!ぢゅめぢゃいいいいい!?」
「きょんにゃいなきゃもにょにょゆっきゅりちょはゆっきゅりできにゃいよ!ありちゅはもっちょちょかい・・・ゆぎっ!?ゆびゃびゃびゃ!?あんよぢゃんがうごぎゃなやいいいいいいいい!?」
親ゆっくりであるありすを見捨てて一目散に逃げようとした子ありすとボサ髪。しかし雹と雨のコンボにより辺りを転がり小麦粉の皮に水が染み込む要因を自ら作り、排水性が悪い地面はあっという間に水たまりが出来ていた。そこに転がり底部が水を吸ってブヨブヨになってしまい動けなくなってしまう。
「だぢゅげぢぇえええええええ!!ぎゃらぢゃが…うぎょ…ぎゃ…」
「ゆ”…!あり…ぢゅ……ちょ…け…」
「おぢびぢゃああああああん!?ゆ”!?ぎゃらぢゃがぢょげ…りゅぅ…!」
底部から吸われた水と合わせて今度は容赦ない雨が小麦粉の皮に沁み入り、底部の方からデロデロに溶けていってしまう。とうとう水を吸いすぎたのかまともに喋る事もかなわなくなっていた。
「「もっぢょ…ゆっぎゅ…ぢぢゃが…ぢゃ」」
三匹仲良くハモるとそのまま雨に打たれて髪飾りと帽子を残して餡子と皮が水に溶けだし、完全に溶けてしまった。
「ゆ!まりささまのあしをひっぱるからいけないんだぜ!」
下膨れの下顎を上に倒してゆふんと自慢するも、潰れ帽子を取り巻く環境も過酷な物だった。
二重構造のダンボールハウスのため内側のダンボールは濡れてはいないが外側は叩きつける様な雨とおまけに雹が外側のダンボールを濡らしてボロボロになっていた。
雨が本降りになって数時間で外側がここまで痛んだのだ。雨はやむ気配もなくバチバチと潰れ帽子の入っているダンボールに降り注いでいる。
そして二時間後…
「ゆ!ゆ!やねさんゆっくりおちるんじゃないぜ!」
とうとう雨に濡れたダンボールが重みで潰れはじめた。潰れ帽子は舌を伸ばして必死に天井を押し返して応急処置をしている。
「ゆぐ!あめざんんんん!!ゆっぐりどまるんだぜえええええええええ!!」
砂糖水の涙を流して叫ぶが嘲笑うかの様に雨脚はさらに強まり朝までやむことはなかった。
朝になると完全にダンボールハウスはダメになっていた。雨ならまだよかったが雹まで降っていたのが原因で二重構造のダンボールを完全に破壊してしまったのだ。
「ゆ…!ゆ…!」
潰れ帽子はクタクタになりながらも奇跡的に無事であった。潰れたダンボールからズリズリと這いだすと、ひたすらに途方に暮れるだけであった…
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それから二週間後…
「ぞごのにんげんざん!までぃざをがいゆっぐりにずるんだぜええええええ!!」
「うわっ!きったね!」
「あ”あ”あ”あ”!いだいいいいいい!!ゆ”!ゆ”!ぜめでぶゆのあいだだげでいいがらおうぢざんにいれでぐだざいいいいいい!!」
「嫌だよ!」
「ゆぎゃ!おでがいでずうううううう!!ごばんざんだげでもいいんでずううううう!!」
薄らでかくて小汚い一匹のまりさが人通りの多い場所でなり振りかまわずすーりすーりを繰り返し、通行人に蹴とばされ踏まれながらも凄まじい声をあげている。
帽子はなかったがサイズで分かる、あの潰れ帽子のまりさだ。しかしバッジ付きでもなんでもないゆっくり、それも寒天の左目が無く小麦粉の皮の表面にはカビが生え始めて帽子も無い、その上皮が余ってビロビロで皮の色だって緑色になっているまりさを拾う物はいなかった。
あれから潰れ帽子はもう一度越冬中のゆっくりを襲おうとした。しかし出てきたのが潰れ帽子より素早く、そして強いみょん種だった。木の枝で目を潰されほうほうの体で逃げ帰ったのだ。
それから一週間後、潰れ帽子は次に餌場へと向かった。しかしいくら大きいと言っても一週間以上何も食べていない潰れ帽子が常にゆっくりと餌場を争って鎬を削り続けているゆっくり達に到底かなう筈もなくボコボコに体当たりを受けた上に帽子のないまりさにその帽子を取られ、ドブにたたき落とされると言う仕打ちまで受けてしまった。
まともな物も食べずに水にぬれてしまった潰れ帽子、水浴びする水場も「あぶれゆっくり」達が押さえていて水浴びする事も叶わなかった。お陰で表面にカビが生え始めて小麦粉の皮が緑色に変色し始める。
それから三日後、潰れ帽子は最後の望みをかける。飼いゆっくりにしてもらおうとしたのだ。
当初は「そこのじじい!まりさをかいゆっくりにするんだぜ!」と強硬な態度で臨んでいたが全く無視され、挙句に果てには蹴られる始末。
それから夜はれみりゃやふらんから常に逃げ続けるために全く眠らず動き続け、朝になればずっと夜まで飼いゆっくりにしろと人間にすり寄っていった。
そして潰れ帽子にとっては今日が最後のチャンスであった。既に体力的にも気力的にも限界を迎えており、冬も本格的になってくる。今日こそはと潰れ帽子なりに低姿勢で臨んでも結局この様で潰れ帽子の最後の望みは完全に絶たれてしまった。
「ゆひゅー…ゆひゅー…おながずいだんだぜぇぇ…」
路地裏で潰れ帽子は壁にもたれかかっていた。既に動ける力はなく完全に積んだ状態だ。
薄れゆく意識の中で潰れ帽子は必死に考えていた。何がダメだったのか?どこで失敗したのか?いくら考えても答えは出ない。
「ゆ”…!ゆ”…!ゅ”…」
遂に寒天の白目をむいてビクビクと痙攣しだした、餡子が三分の一以上減り限界が来たようだ。徐々に徐々に動きが無くなっていき、1分もしない内に完全にもの言わぬ饅頭となってしまった。
冬、それは街ゆっくりにとっては過酷な季節である。
越冬準備ができたゆっくりもゲスの襲撃に備えねばならず、越冬準備に失敗した物は少ない餌場と水場を巡り争いを繰り広げるのだ。
食う物と食われるもの、まさに生き残りをかけた弱肉強食の世界「サバイバル・ウィンター」であった―――
過去作品
ふたば系ゆっくりいじめ 504 かりすま☆ふぁいたー