ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0604 ドスの上手い活用法
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ankoss
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『ドスの上手い活用法』
農村ではゆっくりははっきり言って嫌われていた。その理由は農作物を荒らすからである。
人間の泥棒の方がまだマシだ。お野菜を1本ご拝借、なんてことでは済まない。満足するまで食い散らかし滅茶苦茶にしてしまうのだ。
農村に出没するゆっくりは通常どこかしらの群れに属している。群れ総出で畑を襲撃することもある。
一部の群れでは畑に近寄らないよう言いつけているらしいがどこの群れにもゲスがいるもの。やっぱりやってくるのだ。
農家の方は何度も何度もゆっくりを殲滅した。群れごと、山に存在する全てのゆっくりごと粛清した。
だが暫くするとまた住み着くのだ。出鱈目な生態なのだ、どこからともなくやってきて数を増やす。厄介極まりない。
そこで農村は加工所と手を組みゆっくりの対処法について色々と議論を重ねた。
「そろそろ到着する。各自支度しとけ」
バスの中で男が言った。バスには十数人の男が乗っており様々な道具が用意されていた。このバスに乗っている男は皆加工所の職員だ。
「君は新人だったな。今日は私の傍にいなさい」
「はい。色々勉強させてもらいます」
バスが止まった。とある村の役場だった。
「ご苦労様です」
数人の村人が出迎えた。
「人数は揃ってますか?」
「ええ。ここにいる全員です」
「準備は出来ていますか?質問などあれば…」
「前回と同じメンバーです。今すぐにでも行けます。前回から変更した点はありませんよね?」
「前回と一緒です。それでは皆さん行きましょう」
村で合流した人数と併せ20人程が山へ向かった。人間だけでない。れみりゃやふらんも20匹程後をついて行く。
このれみりゃやふらんは村で飼われている。いつもは村を飛び回りゆっくりが畑に侵入していないかパトロールをしている。
皆様々な道具を持っていた。中にはれいむとまりさが入った箱を抱えている人までいる。
農村と加工所は議論を重ねた結果ゆっくりに人間が恐ろしい存在であることを分からせることでゆっくりを統制することにした。
ゆっくりとは不思議なもので人間を恐れないのだ。正確には人間を舐めているのだ。ゆっくりが人間を見下している理由は諸説ある。
1つは飾りだ。ゆっくりは飾りが命の次に大切なものだ。だが人間にはそれがない。飾りの無いゆっくりは虫けらのように扱われる。
飾りの無い人間に対しても同じように接してしまうのだ。
2つ目に大きさだ。大きさといっても背丈ではなく顔の大きさだ。成体ゆっくりの大きさは人間の顔の大きさとほぼ同じか少し大きい。
ゆっくりの本体が外見上生首であることから推測するに人間の本体を首から上と捉えているのだ。
そう捉えれば人間を巨大な存在とは思わない。高いところにいる何か、と思っているのだ。だから恐れない。
「そろそろですね。では待機する人はここで一旦…」
途中数人を待機させ残る人数は更に少し歩いた。
「ゆぅ~!」
「おとうさ~ん。まってよー!」
彼らの前にゆっくりの親子が現れた。まりさ親子だ。この時間帯だと今日の餌でも探しに来たのだろう。
「ゆ!!!」
「おとうさ……ゆゆ!!」
彼らと目が合った。
「に…にんげんさまぁ!!!!!!」
「ゆああぁ!!!ごわいよおおぉ!!!!!!まりさはわるいごどじでないがらねええぇ!!!!」
まりさ親子が怯えていた。子まりさは親まりさの後ろに隠れて震えていた。
「さっさと群れに帰りな。それとも俺達が運んでやろうか?」
先頭を歩いていた男が話しかけた。
「い…いいでずぅ!!!じぶんでがえりまず!!!」
親まりさは子まりさを帽子の上に乗せると一目散に走り去ってしまった。
「…………」
まりさ親子の反応に驚いた者はいなかった、唯1人新人の加工所職員を除いて。
「ん?驚いてるだろ」
傍にいた加工所職員の男が新人に話しかけた。
「ええ。とりあえず聞いてはいたんですが…」
「ここの群れは従順な方だからな。成功した良い例だよ」
「他の所はどうなんです?」
「ん~…あ、そろそろ着くぞ。後で色々と話してあげるよ」
行進が止まった。
「れみりゃ、ふらん、れいむ、まりさ、頼んだよ」
「「「うっうー!!」」」
「「「ふらんにまかせて!!」」」
「ゆっくりりかいしたよ!」
「まりさがんばるよ!」
指示と共にれみりゃ、ふらん、れいむ、まりさが散った。
「じゃ、皆さん行きますよ」
暫く待機してから彼らは再び歩き出した。
「よ…ようこそ……いらっしゃいま…した……」
少し開けたところに出た。そこには縮こまったドスまりさがいた。ドスとしての覇気が感じられない。
「ゅ……」
「ゅぅ…」
ドスの他にゆっくりが見えなかったが気配はする。皆巣や草むらに隠れているのだろう。
「よぉ、ドス。元気そうだな」
先頭にいた男が話しかけた。他の男たちはドスの周りに群がりドスを撫でたりペチペチと軽く叩いていた。
「は…はい!!元気で…す……ひぃ…」
怯えながらドスが答えた。
「そうか!そりゃ良かったな!」
「ドス!今日も肌が綺麗じゃねえか」
「ちゃんと髪の毛洗ってるか?あぁ?」
「また少し大きくなったんじゃねぇか?」
ドスの周りに群がっていた男達が馴れ馴れしくドスにちょっかいを出していた。
「はい!!はいぃ!!!!はいぃ!!!」
ドスは泣きそうな顔をしていた。
「ハッハッハ!!ドスさんよぉ、俺達が来たんだからさ、ね、ちゃんとしてくれよ。ほら!ちゃんと指示出して!!」
「はいぃ!!!…み…みんな!!出てきてね!!」
ドスの呼びかけに隠れていたゆっくり達が出て来た。こちらも皆すっかり怯えていた。
「おお!!なぁんだ。いたんじゃねえか!心配したぞ~。まさか逃げちゃったんじゃないかなってな。なぁ、まりさ」
先頭にいた男…この男達のリーダーなのでリーダーと呼ぼう、リーダーは傍にいたまりさに話しかけた。
「に…にげたりなんか…ししししないよ!しないって!!」
「ハハハ、そうか。じゃ、早速始めようか」
彼は拳銃を取り出した。拳銃といっても本物ではない。弾はゴム弾だ。拳銃を空に向けて撃つとこう言い放った。
「今から年貢を納めてもらう!!!!!!!各自全ての食料と餓鬼を巣の外に出せっ!!!!!!!」
ゆっくり達は沈んだ顔で巣に戻り中から食料や子ゆっくり達を運び出した。
「返事しろ!!!!!!!貴様らには口は無いのかっ!!!!!!!!!!!」
再び銃声がした。
「「「「はいいいぃぃ!!!!!!!!!」」」」
「「「「わがりまじだああぁぁ!!!!!!!」」」」
「「「「ごべんなざい!!!!ごべんなざいいぃ!!!!!」」」」
必死に声を出すゆっくり。だが中には不思議そうにするゆっくりもいる。
「ど…どうなってるんだぜ?」
「ま…まりさ!ゆっくりしないでたべものとおちびちゃんをそとにだすのよ!!」
「なにいってるの?どうしてそんなことしなくちゃいけないの?」
「ゆああああ!!もうしらない!!」
言われた通りにしなかったゆっくりはまりさとれいむの夫婦だげだった。
「君は食料を回収しなさい。餓鬼の方は私が回収するから」
リーダーは新人にそう話しかけた。
「だじまじだぁ!!!!ごはんさんとあがぢゃんだじまじだぁ!!!!」
早速食料と子を巣の前に運び終えたゆっくりがいるようだ。
「ふむ…飯はこれだけか?」
「はいぃ!!!これだけです!!」
まりさが答えた。
「まりざが…いっじょうげんめい…どっだごはんなのにぃ……」
「まりざも…がんばっだのにぃ……」
こんもりと盛られた虫や木の実や花。番であろうれいむや子まりさが涙を流しながら何やら呟いていた。
「本当にこれだけか?白状するなら今のうちだぞ」
「ほ…ほんどうでずぅ!!!!これでぜんぶでず!!!!しんじでぐだざい!!!!」
まりさが泣きながら答えた。
「そうか…。じゃあこれだけ貰うぞ。…袋に入れろ」
新人はリーダーの指示でトングで食料の山を崩し一部を袋に回収した。
「ゆあああ!!!しょれはりぇいむのだよ!!!」
「がえじでね!!しょれはまりちゃのむししゃんだよ!!」
赤ゆっくりが騒ぎ出した。
「だ…だめだよ!!!あがぢゃん!!にんげんさまにさがらっぢゃだべぇぇ!!!」
「ごべんなざい!!!ごべんなざい!!ゆるじでぐだざい!!まだあがぢゃんなんでずうぅ!!」
れいむは赤ゆっくりを叱りまりさは必死に謝っていた。
「今度からはちゃんと躾けとけよ。それより、さっさと子供を並ばせろ」
「は…はい!!!ありがどうございまず!!!!……おちびぢゃん、あがぢゃん…ならんでね」
子まりさ子れいむ赤まりさ赤れいむが1列に並ばされた。
「ふぅむ……」
子ゆっくりは3匹。赤ゆっくりも3匹だ。
「こ…こわいよぉ……」
「ゆぅぅぅ……」
「も…もうずごしだがら……がまんだよ…」
子ゆっくり達は泣きそうな顔をしていた。姉らしき子まりさが2匹を宥めていた。
「かえしちぇね!!りぇいみゅのはっぱしゃんかえちてね!!」
「まりちゃのむししゃんかえちちぇね!!ひちょりじみぇはゆっくちできにゃいよ!!」
「ぴゅきゅぅ~!!」
赤ゆっくり達はリーダーに文句を言っていた。
「ぞ…ぞんなごどいっぢゃだべええぇ!!!!!」
「に…にんげんざま……たくさんいないでしょ…たくさんじゃないよ!だから…もっでがないでえええ!!!」
親ゆっくり達はおろおろしていた。
「いいだろう。今回は持ってかない。こいつらを育ててていいぞ」
「「あ…ありがどうございまずうう!!!!!」」
「ほれ、さっさと飯と子供を巣に戻しな。お前らはこれで良い」
れいむとまりさはぺこぺこ頭を下げながら食料と子供達を巣に戻した。
「きゃえしぇぇ!!!!りぇいみゅのむししゃんかえしぇえええ!!」
「おにぇえちゃん!しょこどいちぇ!!いみゃかりゃしぇいしゃいしゅりゅんだよ!!」
赤ゆっくりはまだ反抗心丸出しで膨らんでいたが親ゆっくりと子ゆっくりが無理やり巣の中に押し戻していた。
「次行くぞ」
次の巣の前で山盛りになった食料と赤ゆっくりが並んでいた。
"あれ?なんでこの赤ゆっくり3種類なんだ???"
食料の山の一部を袋の中に詰めながら新人が不思議に思った。赤ゆっくりはれいむ、まりさ、ありすが各2匹の合計6匹。
一方親はありすとまりさだった。
「にんげんさん!こっちのあかちゃんもってっていいよ!!」
あろう事かまりさが赤まりさ1匹と赤れいむを2匹前に押し出した。
「ゆびぇっ!!!いぢゃいよぉぉ!!」
「やぢゃあああ!!!おぢょうじゃんどいっじょがいい!!まりちゃかこうじょやぢゃああ!!」
「ゆえぇえぇん!!!!ゆえぇぇえん!!!」
しかもこの3匹は相当痩せこけている。
「ゆっきゅちできにゃいおにぇえちゃんはかこうじょでちんでね!!」
「ありちゅはおきゃあしゃんといっぴゃいゆっくちちゅるよ!」
「まりちゃちゃまはみゃみゃとしゅりしゅりすりゅんだじぇ!!」
他の3匹はふっくらと育っていた。
「おい、これはどういうことだ?」
リーダーが赤れいむを1匹掌に乗せて聞いた。
「ゆっぐ……おがぁざぁぁん……おがぁざぁん……」
赤れいむは掌でしくしく泣いていた。
「うるさいわね!!ありすはおかあさんじゃないってなんどいったらわかるの!!!これだからいなかものはこまるのよ!!」
ありすが赤れいむに向かってそう言った。大体事態が掴めてきた。大方このまりさはれいむと番だったのだろう。
そして赤ゆっくりを3匹、つまり今前に押し出された3匹を授かった。その後れいむが死んだか別れたかでありすと再婚したと。
「お前のお母さんとやらはどうした?あれはお前のお母さんじゃないのか?」
リーダーの問いに赤れいむが答えた。
「あんにゃの…おかあさんじゃないよ……っぐ…りぇいむの…おかあさんは…あしょこ…だよ……ゅ…ゅ…ゆえぇぇえん!!」
赤れいむは巣の方向を向いた。巣の入り口付近に墓でもあるのだろう。
本来だったらこの赤れいむは子れいむくらいに成長してるはずなのに満足に食事が与えられず虐待されてまだ小さいままなのだろうか。
「にんげんさん!!まだにひきのこってるよ!!これでゆっくりしていいんだよね!!」
まりさが嬉しそうに言った。連れ子が邪魔だから始末したいが群れではゆっくり殺しは大罪であるため出来なかった。
だが増えすぎた子供は人間に渡すことになっているから邪魔な子を渡して清々しようという薄汚い魂胆が見え見えだ。
「ふん」
リーダーは赤れいむをそっと下ろした。そしてペチャクチャとお喋りしていた残りの3匹を摘み上げ袋の中に入れた。
「ゆあ!!おしょらをういちぇるよ?……ゆびゃぁ!!!!」
「ゆ!!ど…どびょじでえ!!ゆっくちできにゃいまりちゃはあっちでじょおお!!!まりちゃはゆっくち……ゆべじ!!!」
「ぴゃぴゃぁ!!!みゃみゃぁ!!!!だじゅぎぇぢぇえええ!!!!」
予想外の出来事にまりさとありすは固まってしまった。が、すぐにリーダーに突っ掛かってきた。
「ど…どぼじでそっぢのあがぢゃんなのおお!!!!!!」
「がえじでね!!!!ありずのゆっぐりじだあがぢゃんがえじで!!!!もっでっでいいのはあっぢでじょおおおお!!!!!」
リーダーはポケットからシールを2枚取り出した。1枚ずつまりさとありすの飾りに貼り付けた。
「ゆがああ!!!!おぼうじざんになにじだあああ!!!!」
「がえぜええ!!!ありずのとかいはなあがぢゃんがえせええ!!!!!」
リーダーは2匹を1発ずつ殴った。
「ゆごおっ!!!!!」
「ゆぎゃあああ!!!!」
リーダーは痩せこけた3匹の赤ゆっくりを摘み上げまりさとありすの目の前に置いた。
「この子達を育てろ」
「な…なにいっでるのおお!!!!あ…ありずのおちびぢゃんは!!」
「こんなゆっくりできないちびなんかいらないよ!!!!おねがいだからあがぢゃんがえじでね!!!!」
後で分かった事だがこのありすは最近この群れにやってきた新参らしい。
「お前らのことは覚えたからな」
「「ゆ!!?」」
「お前らの顔は覚えたし目印も付けといた。あ、その目印はお前らの力じゃ絶対に取れないからな」
「な…なにいっで……」
「次俺達が来たときにこの子達のうち1匹でもゆっくりできてなかったら…お前らを加工所に連れて行くからな!!!」
「そ…そんなあああ!!!!かこうじょはやぢゃあああああ!!!!!」
「どぼじで!!!ねえ!!どぼじでそんなこどじなぐぢゃいげないのぉぉ!!!!!」
「答える必要は無い!!!」
今度は拳骨が2匹の顔の中心をめり込んだ。
「ゆぎょおおおっ!!!!!ゆぎぃいいいい!!!」
「ゆぎぇえええええ!!!!い…いだいよおお!!!!!」
リーダーは次の巣へと向かっていた。
「お…おちょうしゃ…ん…ま…まりちゃ…まりちゃは…ゆっくち…ちていいにょ?」
「やぢゃよぉ…まだ…いじめられりゅのはやぢゃああ!!!」
「おにゃか…しゅいちゃよぉ…」
3匹が一応実の親であるまりさのもとへ這った。
「お…おちび…ちゃん……」
まりさは3匹を拒否しなかった。とりあえずは実の娘。しかもゆっくりさせなかったら加工所行きなのだ。
「ばりざああああ!!!!!!はなじがちがうでじょおおおお!!!!!!!」
目論見が外れしかも可愛がっていた子供を連れて行かれた。よりによって連れ子の面倒をみなくてはいけなくなってしまった。
ありすがまりさに罵声を浴びせかけた。
「ゆぐっ……でもぉ……そうじないど…」
「ゆがあああああああ!!!!!!!こんないえでっでてやる!!!!!りこんよ!!!!!りこん!!!!」
ありすがどこかへ走り出した。
「ゆああああ!!!!まっでええ!!!!まっでええええ!!!!!」
まりさが追いかけた。が、ありすはすぐに立ち止まった。
「ここからはにがさないわよ!!!」
ふらんがありすの前に現れた。
「ど…どぼじでふらんがいるのおお!!!!!!!!」
人間達が群れに入る前に散開したれみりゃとふらんは群れを囲んで脱走するゆっくりを捕まえる役目を担っていた。
「あ…ありず!!!かえろう…ね、かえろうよ!!まりさがん………」
この後の安いドラマチックな展開は省こう。別れようが戻ってこようがどうでもいい。あの3匹がどうなろうが知ったことではない。
次から次へと食料と赤ゆっくり、子ゆっくりを回収していった。そして最後の巣を迎えた。
「ん?おい、どうした?さっさと食料と子供を並べろ」
巣の前には食料も赤ゆっくりも子ゆっくりもいない。まりさとれいむが巣の入り口を塞いでいた。
「わ…わたさないよ!!!!ごはんもおちびちゃんも!!!!さっさとでていってね!!!」
「まりさがとってきたごはんだよ!!!!!!にんげんになんかあげないよ!!!」
ぷくぅ~っと膨れて威嚇する2匹。
「おい!!ドス!!!!これは一体どういうことだ??」
リーダーはドスの方を向いた。
「お…おお…教えました!!!!!!教えたけど…言うこ…ゆぎゃああああああ!!!!!!!」
ドスにシャベルが突き刺さった。ドスの近くにいた男が突き刺したのだ。
「言っだのにぃぃ……いぢゃいよぉ……」
「言った?それは当たり前だ。お前がやるべきことは何だ?まだ分かんないのか!!!!!そんなに教育してほしいか!!!!!」
「ず…すいばぜん!!!!ずいばぜんっ!!!!!!わがってばず!!!!!だがら!!!いぢゃいのはやぢゃああ!!!!!!!」
どうやらこのまりさとれいむはつい最近やってきたばかりでまだここの掟というものが分かっていないらしい。
「どきな!!!この饅頭!!!!!」
リーダーは2匹を蹴飛ばした。
「ゆびゃあああああ!!!!」
「ゆばっ!!!!!」
2匹は巣から吹っ飛ばされた。
「ゆっ…ぐ……そ…そんなどごろに…いないがらね!!」
「わ…わだざないよ!!じじいなんがに…」
2匹は巣へ戻ってきた。
「早く戻ってこいよ」
リーダーは何やら丸いものを取り出していた。分かり易く髑髏のマークが貼り付けてある。
「ゆぐぐぐぐ…ででげぇ…」
「れいむおこると…つよいんだよ!!」
まずれいむが突進してきた。
「よっと」
リーダーはれいむを軽く新人の足元へ蹴り上げた。
「そいつ頼むわ」
「はい」
新人はれいむを押さえつけた。
「ゆぎぎぎぎ!!!!はなぜえええ!!!れいむをはなぜええええ!!!!」
まりさが突進してきた。
「ほっ」
リーダーは両手で受け止めると新人へ投げた。
「そいつも」
「はい」
新人は2匹を押さえ込んだ。
「はなぜえええ!!!!じじいはじねええ!!!!!」
「ばりざを…おごらぜるど…どうなっでもじらないよぉぉぉ!!!!!」
リーダーは巣に近付いた。
「………ゅ………」
「…っ…………」
どうやらいるらしい。それらしき気配がする。
「よーく見とけよ」
リーダーは髑髏マークの球体に火を点けた。この球体は煙幕だ。中身はタマネギ、山葵、ジョロキュア等の刺激物から抽出したエキスだ。
こんな危ないものを赤ゆっくりや子ゆっくりが吸ったらどうなるだろうか。
「ほらよっ」
次々と煙幕を巣の中に入れていった。巣からもくもくと煙が立ち上っていく。
「ゆがああああ!!!!なにじだああああ!!!!」
「はなじで!!!!あがぢゃんたずげないどおお!!!!!」
効果は即効だった。
「「……ぇぇぇぇぇ!」」
「「……だいよぉ!」」
「「…じゅぎぇぢぇええええ!」」
中から赤ゆっくりの叫び声が聞こえた。その声もすぐに聞こえなくなった。
「お…おちびぢゃん!!!!おちびぢゃん!!!」
「なにじだのおお!!!はなじでええ!!!!!はなじでええ!!!!」
じたばたする2匹を力ずくで押さえ込んだ。
「そろそろかな」
煙は数分で消えた。余裕を持って煙が見えなくなってから2匹を解放させた。
「中はどうなってるんだろうね?」
「ゆがああ!!!!おちび…ゆげっ!!!ゆごっ!!」
「げぼっ!!!げほっ!!!…ご…ごれどくだよぉ!!!!」
まだ巣の中の匂いは消えていないようだ。
「ゆがああああああ!!!!!!!!!」
「お…おちびぢゃん!!!!!おちびぢゃああぁぁあん!!!!!!」
中から悲鳴が聞こえた。
「ゆぐぐぐ……お…おちびぢゃん!!!!めあげでえええええ!!!!」
まずまりさが巣から出て来た。4匹の赤ゆっくりを連れて来たようだ。
「あがぢゃああん!!!!!じんじゃやぢゃあああ!!!!」
次にれいむが出て来た。こちらも2匹口に咥えていた。
「「「「…………」」」」
4匹の赤ゆっくりは苦悶に満ちた顔で固まっていた。というより事切れていた。
「「………ゅ………っ………」」
残る2匹の赤ゆっくりはどうにか生きていた。が、微かに息があるだけ。長くは無い。
「ゆがああああ!!!!!ごのゆっぐりごろじい!!!!!!」
まりさが飛び掛ってきた。
「この!!!この!!!!まりざが!!!せいさいじでやるうう!!!!」
リーダーの足元でぽこんぽこん体当たりをした。
「ふん」
リーダーは足を上げまりさを脳天から踏み付けた。
「ゆぎゃあああああああ!!!!!」
まりさを掴み持ち上げると今度は顔に平手打ちをお見舞いした。
「ゆぎょおっ!!!!ゆぎぇえっ!!!ゆぎゃっ!!!!いぢゃっ!!!!ゆびぇっ!!!!!」
新人は先程ドスを突き刺したシャベルをドスから引き抜き、それで巣を埋めていた。
「なにじでるのおお!!!!まりざとでいぶとおちびぢゃんのおうぢがああああ!!!!」
れいむが巣の前に飛び出した。新人は丁度いいとれいむを巣の中に押し込みそのまま土を埋めた。
「ゆぎょっ!!!や…やべ!!!!…ゆべっ!!!っべ!!っべ!!ゆがああ!!!!おうぢ!!!おうぢがああ!!!」
巣は土で完全に埋まった。更にご丁寧に近くにあった石を巣入口付近に山のように積み上げた。
「ハハ。君も中々やるな」
リーダーが手を止めた。
「ゆっぐ…でいぶぅ…でいぶぅ………ゆぎぃぃぃ……い…いぢゃいよぉ……ゆる…ゆるじぢぇぇ……」
まりさはボロボロ。歯も一部砕けている。
「ゆびぇっ!!!」
まりさが地面に落とされた。
「まぁまずはれいむを救ってやりな。あとはドスにでも聞け」
「…っぐ……でいぶ……ゅ…」
まりさは巣があったところへ這って行った。
「ま、とりあえずは終わりか…」
全てのゆっくりの徴収が終わった。ドスも安堵の表情をしている。だが新人はあることに疑問を感じていた。
"これで全部か?本当はどこかに隠してるんじゃないだろうな……"
確かに隠そうと思えば出来ないことではない。どこかに秘密の場所でもあるのだろうか……?
「ああ、そうだ。ドス……」
新人の疑問を読み取ったのかリーダーがドスに質問した。
「まさか……食料と餓鬼を…どこかに隠してないだろうなぁ?」
「な…何言っでるのおおお!!!!!?そんなこどじでないい!!!!」
ドスが必死な形相で叫んだ。
「本当か?群れの奴らとグルになってないだろうな?」
リーダーが周りを見回した。
「ち…ちがいまずぅ!!!!そんなごどじでまぜん!!!!」
「じらないよおぉ!!!!!まりざはそんなごどじらない!!!」
ゆっくり達は必死に否定した。
「ゆ!ちょっとまった!」
リーダーの前に1匹のれいむが飛び出した。
「れいむしってるよ!!みんなでごはんをかくしたんだよ!!」
よくよく見ればこのれいむはれみりゃ達と同時に散開したれいむだった。ということは…
「ゆ!まりさもしってるんだぜ!!おちびちゃんたちもそこにかくしたんだぜ!!」
続けてまりさが飛び出した。
「な…なにいっでるのおお!!!!じらない!!!!れいむはじらないよぉぉ!!!!」
「そんなごどじでないよお!!!ぜんぶ…ぜんぶみせだよぉ!!!!」
ゆっくり達が泣き出した。
「知らないよぉ!!!!この子だぢじらない!!!!ドスのじらないごだよおお!!!!」
流石はドス。この2匹が群れのゆっくりでないことを分かっていた。
「とか言っちゃって。本当は隠したんじゃないの?今なら片目だけで許してあげるよ?」
リーダーが詰め寄った。
「ほんどでず!!!じんじでぐだざいい!!!!かくじでまぜん!!!かくじでばぜん!!!!うそはづいでばぜん!!!!」
ドスが必死に弁解した。
「そうか…。じゃあこの子達は嘘をついてるんだな。嘘つきは加工所に連れてかないとな」
演技でここまで必死な形相はできないだろう。ということは本当に隠してないということなのか。リーダーはそう解釈した。
「「かこうじょはいやだぁ!!!!!」」
タネが分かっている人間からしてみれば2匹の悲鳴は棒読みに聞こえた。
「じゃあ俺達は帰るぜ。ちゃんと掟教えとけよ」
「は…はい!!!!わがりまじだあぁ!!!!」
「じゃあなドス!」
「あばよドス!」
「また遊びに来るぜドス!」
彼らはれみりゃ達を連れて群れを出て行った。
「さよなら!!!さよならぁ!!!」
ドスは必死に叫んで見送っていた。悪いことを考えていないことをアピールしてるのだろう。
「ゆ…ゆぅ…」
「ゆ…ゆっくり…していって…ね」
「た…たすがっだぁ…」
群れのゆっくり達は漸く安堵した。
「ゆええぇえん!!むししゃんたべちゃきゃったよぉ!!!」
「おねえちゃんがつれていきゃれちゃったよぉ!!!」
「いみょうちょぎゃぁ!!!まりちゃのいみょうちょぎゃぁ!!!!!」
「どぼじでなにもじでぐれながっだの!!!!」
「おきゃあしゃんのばきゃ!!!おはなしゃんたべちゃかったのにぃ!!」
彼らが去った後大半の巣の中で赤ゆっくりや子ゆっくりの一部が親ゆっくりに向かって泣き喚いていた。
「どずのばがあぁ!!!ごはんどられぢゃっだよぉ!!!!!」
「ゆわあぁああぁあん!!!!!でいぶのあがぢゃんがあぁ!!!!」
「どぼじでだまっでだの!!!どずならにんげんなんがやっづけられるでじょおお!!!!」
一方ドスの周りでは泣き叫ぶ成体ゆっくりがいた。この成体ゆっくりに共通していることは最近群れにやってきた新参であるということだ。
「何言っでるの!!ドスが人間さんにかなうわけないでしょ!!!!」
「そ…そんなことはないんだぜぇ!!!どすにはどすすぱーくがあるんだぜ!!!!」
「そうだよ!!どすはつよいんだよ!!だからにんげんなんかすぐたおせちゃうよ!!」
好き勝手にいい加減なことを言うゆっくりにドスはイライラしていた。そしてついにドスがキレた。
「いいかげんにしてね!!!!ドススパーク?人間さんにはきかないんだよ!!!!それに……」
ドスの怒号に群がっていたゆっくりだけでなく他のゆっくりまで驚いていた。
「ドスは……もうドスは…ドススパークはうてないんだよ……」
ドスは今にも泣きそうな顔をして呟いた。
「そ…そんな…」
「ゆ……ゆぅ……」
周りのゆっくりもうな垂れた。
「人間さんはえらいんだよ!強いんだよ!人間さんにしたがうのがここの決まりだよ!!それがいやだったらさっさと出て行ってね!!」
ドスは足元のゆっくり達を睨み付けた。
「わ…わがっだよ……」
「ゆっぐり…でぎないよぉ…」
不平を言っていたゆっくりが1匹1匹と帰っていった。
ドスは思い出していた。本当は思い出したくも無かった。だが彼らがやってくる度にどうしても思い出してしまうのだ。
『ゆぅ…まりさとれいむがもどってこないよ…』
『まさか…にんげんさんのところにいっちゃったのかしら…』
群れのれいむとまりさの夫婦が数日間帰ってこなかった。ドスは側近のありすとずっと心配していた。
『ゆ!にんげんさんがきたよ!!』
ある日大勢の人間が杖を片手にやってきた。色んな荷物を持っていた。皆屈強な体格だ。
『ゆ!れいむ!!れいむがいるよ!!』
『まりさ!!しんぱいしたんだよ!!』
彼らは行方不明になっていたれいむとまりさを箱の中に入れていた。2匹ともぐったりとしていた。
『この群れのリーダーは誰だ?さっさと呼んで来い!』
すぐにドスがやってきた。何事かと群れのゆっくりが全員集まっていた。
『に…人間さん。れいむとまりさは…』
『こいつらか。畑に入ったんだよ。無断でな。荒らす前に捕まえてお仕置きしたんだよ』
箱かられいむとまりさが解放された。
『ゆあ!!いだい!!』
『ゆべ!!……ゆ!!ど…どす!!どす!!きいてほしいんだぜ!!』
2匹はドスに近付いた。
『にんげんがかわいいれいむをいじめたんだよ!!せいさいしてね!!』
『そうなんだぜ!!じじいがまりさのことをいじめたんだぜ!!』
ドスはやれやれといった顔をした。
『人間さんの畑には近付いちゃだめって言ったでしょ!!どうしてやくそくやぶっちゃうの!!』
頭の良いゆっくりであれば勝手に他人の敷地に忍び込んだり荒らしたりするのは悪いことだと分かっている。ドスも分かっているのだ。
『なにいってるの?れいむたちはおやさいさんをとりにいっただけだよ!』
やっぱり、といった表情をするドス。
『おやさいさんはかってにはえてくるんだよ!!ひとりじめしてるにんげんがわるいんだぜ!!』
ドスの表情は勘弁してくれ、といった感じに変わった。悲しいがこれが一般的なゆっくりの知能。勿論ドスには真実は分かっている。
『何度も言ったでしょ!!お野菜さんは勝手に生えてこないの!!人間さんががんばって作ったんだよ!!』
何度も何度も説明したはずだ。それなのに覚えてくれない。困ったものだ。
『なにいってるんだぜえぇ!!どす!!わるいじじいにだまされてるだけなんだぜ!!』
『いいかげんにしてね!!』
ドスは2匹の上にゆっくりと圧し掛かった。
『ゆがががあぁぁ!!!どぼじでえぇぇ!!!』
『なにじでるんだぜぇぇぇ…ぜいざいずるのは……じじ……ゆぎぃぃぃ……』
2匹が参ったところでドスは2匹から離れ人間達の方に向いた。
『人間さん。ごめんなさい。ちゃんと言い聞かせますからゆるして下さい』
中々良く出来たドスである。
『ハッハッハ。ドスさんよぉ…。こいつらだけじゃないんだよねぇ…』
1人の男がドスの横に立ち、隣の人の肩を組むような感じで話しかけた。
『これまでにも被害が出てるんだわ。なぁ、どう落とし前をつけてくれるんだい?』
『ゆ……そ…それは……ほ…本当な………』
ドスの話の途中で横に立っていた男が指をパチンと鳴らした。
『行け!!!!』
『足を狙え!!』
『そらよ!!!!くたばれ!!!』
一斉に他の人間達が杖を逆さに持ちドスの足元に思いっきり杖を刺し込んだ。
『ゆぎゃああああ!!!!!!な…何ずるのおおおおぉぉぉ!!!!!!』
ドスは悲鳴を上げた。横に立っていた男も自らの杖をドスの足元めがけ突き刺した。
『ゆぎぃいいいい!!!!いだいい!!!いだいいい!!!いだいいいい!!!!』
ドスは暴れ回った。ドスが暴れる度に足元に刺さった何本もの杖が折れていった。
『どずぅぅぅ!!!!』
『ゆぎゃああ!!!ごっぢごないでえええ!!!』
『つぶされるうぅ!!!』
『ど…どじゅうぅぅぅぅ……』
『きょわいよおぉ!!!』
群れのゆっくり達は逃げ惑った。暴れ回るドスに潰されて死んだゆっくりやぶつかって怪我をするゆっくりもいた。
『ゆぎ!!ゆぎいぃ!!!!じみるうう!!!!じびるうう!!!!ゆぎゃああああ!!!!』
杖には仕込みがあった。杖には辛子と山葵を混ぜた液を塗っている。中の餡子に相当なダメージを与えているだろう。
『ゆがああぁ!!!にげるんだぜえぇ!!!!』
『れいむはにげるよ!!!!』
ここにいるのは危険だとゆっくり達が遠くに逃げようとした。
『ハッハ。逃がさないぜ』
『うっうー!!!』
『ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!』
だが人間やれみりゃ、ふらんがいつの間にかゆっくり達の目の前に立ち塞がっていた。
『れみりゃだあああ!!!!』
『どぼじでふらんもいっじょなのおおおぉ!!!』
『ごっぢにもいるんだぜええぇ!!!』
『ありちゅはおいちくにゃいからにぇえぇ!!!あっちいっちぇえぇぇ!!!』
人間とれみりゃ、ふらんは丁度群れをぐるっと取り囲んでいた。ゆっくり達は逃げるのを諦め固まって震えていた。
『ゆぎぃぃぃぃぃ………な…なにじだぁ……どぼじで…ごんなごどをぉ……』
漸くドスが落ち着いた。
『まだ元気そうだな。あぁ?』
男達はドスの周りに群がった。
『な…なに…なにずるぎぃ……』
『やっちまえ!!!!』
彼らはドスを殴り始めた。ドスといえば2つの大きな必殺技を持っている。1つは体当たりだ。その巨体で敵を吹っ飛ばすのだ。
だがドスは奇襲され足元を集中的に痛めつけられた。しかも足元内部の餡子は辛子と山葵で痛めつけられている。大怪我を負ったのだ。
ドスならばこれで一生歩けないということにはならないが今は動くことが出来ない。空高くジャンプすることも不可能だ。
ドスの脅威が半分封じられたことになる。
『ゆごおお!!!や…やべ…ゆぎぇえええ!!!!ぐえっ!!!!!ゆぎゃああああ!!!』
ドスがボコボコに殴られている一方で群れのゆっくり達はブルブル震えていたが1匹のありすが勇気を振り絞って叫んだ。
『ど…ど……どすにはどすすぱーくがあるじゃない!!!』
その一声に群れのゆっくり達が奮い立った。
『そ…そうだよ!!どすすぱーくがあればむてきだよ!!』
『どしゅぅ!!!どしゅしゅぱーくだよ!!』
『がんばるんだぜ!!どすだったらかてるんだぜ!!』
赤ゆっくりから成体ゆっくりまでドススパークを撃てとの声が上がった。その声は勝利を確信したものだった。
ドススパーク。これこそドスまりさの最大の必殺技である。ドスの額にしか生えないキノコを咀嚼することでレーザー光線が出せるのだ。
このドススパークが厄介なのだ。最大射程はあるものの生身の人間であれば大怪我は免れない。死ぬ場合だってある。
ドススパークをチラつかせて村を襲うなんていうドゲスもいるくらいだ。
『ゆっへっへ!!しにたくなかったらあやまるんだぜ!!』
『あやまったってゆるさないよ!!おいしいものもってきてね!!』
『もっちぇきちぇね!!』
『まりちゃはぽんでしゃんがいいよ!!』
早くも勝ち誇った顔でゆっくり達がニヤニヤし出した。
『へぇ…ドススパークね』
男達がピタッと殴るのをやめた。
『いまごろあやまったっておそいよ!!』
『くしょじじい!!まりちゃちゃまのどれいになりゅんだじぇ!!』
ゆっくり達はこの後の勝利の宴を期待していた。
『撃ってみな』
『『『ゆ!!!!?』』』
ゆっくり達の予想に反して男が言った。
『つ…つよがりはやめるんだぜ…』
『いやいや。ドススパークでしょ。おお、撃ってみなって』
『遠慮するなよ』
『ありゃ?もしかして本当は撃てない?』
『ハッタリかい?』
『見せてみろよ』
男達が挑発した。
『ゆぎぎぎぎ……よぐぼ…よぐもぉ……』
ドスの顔が怒りに満ちていた。
『ど…どす!!やっちゃえ!!!』
『このじじいをころすんだよ!!』
『分がっでるぅ……じねぇ…じねぇ…』
ドスは体を揺らし器用に帽子からキノコを口の中に転がし落とした。
『むーぢゃ…むーぢゃ…』
ドスがキノコを咀嚼する。徐々に口の中からキラキラと光が見えた。
『ほれ』
横にいた男がタイミングを見計らい開いたドスの口の中へ小さな玉を入れた。
『むーぢゃ…むー……ゆぎゅぎゅごぎょ……ゆびぇええええええ!!!!』
ドスが口の中のものを吐き出した。小さな玉は辛子と山葵とタバスコを混ぜ捏ねたものだ。
『あ………』
目の前にいた男がドスの吐瀉物を一身に浴びてしまった。
『ゆぎぇっ!!!!ゆぎぇっ!!!!っべっべ!!!!!』
ドスは咳き込み口の中のものが全て吐き出された。
『ゆぎぇえええ……がらいいい…ゆがががあぁぁ……ゆぎぃぃぃ……ゆぎぃぃぃ…』
ドスは苦しんでいた。
『『『アッハッハッハッハ!!!!!』』』
男達が爆笑した。
『なるほど!!これがドススパークね』
『確かに口から出たよな!』
『おいおい、何喰らってんだよ』
『確かに咀嚼してから吹っ飛ばしたな』
『こりゃ痛いよ。うん痛い』
男達の馬鹿にした話し声が聞こえドスは怒鳴った。
『ゆがあああ!!!!ちがう!!!今のはドズズバーグなんかじゃない!!!!!』
『っへっへ。悪かったよ。確かに精神的ダメージが大きいよ。お前はちゃんとドススパークが撃てるんだな』
『ちがううう!!!!ちがううう!!!!今のはちがううう!!!!』
『何が違うんだよ。ドスがキノコ食って中身を吐き出すんだろ』
『そんなんじゃないい!!!!!ゆがああ!!!ごろずうう!!!ぜっだいごろじでやるううう!!!!!』
ドスは再度帽子からキノコを口の中へ転がし落とした。
『今度ごぞごろずぅぅ……むーぢゃむーぢゃ…』
ドスの自由にドススパークが撃てるわけではない。キノコを咀嚼するのに時間が掛かるのだ。
『むーぢゃむー…ゆびゃっ!!!』
ドスの背後を男がバットで殴った。
『じゃばずるなぁ……むー…ぢゃっ!!!』
今度は別の男がバットで側面を殴った。
『ゆがあぁぁぁぁ……むーぢゃ……っ!!!』
今度はドスの目の前でまた別の男が包丁を取り出した。ギラリと包丁の刃が光った。
『む……ゆぎょおおお!!』
目の前の包丁に気を取られ過ぎていた。ドスの背後と側面を同時にバットで殴られたのだ。
『こっちも忘れないでくれよ』
包丁がドスの頬に深々と突き刺さった。
『ゆぎゃあああああ!!!!!』
口の中のものは全て吐き出された。
『ま…まっ……ゆあああああああ!!!!!!!!』
男は突き刺さった包丁を引き抜かずそのまま下方向へ力を込めた。ドスの頬にザックリと切れ込みが出来た。
『いだいいい!!!!いだいいい!!!!いだいいい…ゆぎょおおお!!!』
今度は下腹部を蹴飛ばされた。
『どうした!!!撃ってみろよ!!!』
『服汚した落とし前はつけてくれるんだろうな!!!』
『ドススパーク撃てよ!!!ほら早く!!!』
全員で寄って集ってドスを攻撃し始めた。
『ゆがっ!!!やべで!!!やべでええ!!!ゆぎぃい!!!!ま…まっで!!!まっでぇ!!!!』
ドスが悲鳴を上げた。
『馬鹿だな。もうとっくにゴングは鳴ってるんだよ!!!!』
『少し待ってくれだぁ?じゃあてめぇは殺されるまでじっと待ってるってのか!!?』
『待つって何だよ!!?撃てるんだろ!!!ドススパーク!!!!』
ドスへのリンチは更に続いた。
『ゆぎゃあ!!!!いぢゃあああ!!!!ゆる……ゆびぇえええ!!!ゆ…ゆるじぢぇええ!!!!!』
群れのゆっくり達は呆然としていた。無敵を誇るドスが簡単に負けたのだ。
『ゆ…………』
『ど…どうじで………』
『どず……』
『う…うぞでじょ……』
『ぞ…ぞんなぁ……』
『あ…ありちゅたち……どうなっちゃうの……』
『ゆ…ゆるじで…ゆるじでぇ……』
ゆっくり達は逃げる気も失せていた。
『ゆぎぃっ!!!!や…やめっ!!!あぎゃああ!!!ぼ…ぼういやっ…ゆぎゃあああ!!!!』
バットで殴られ包丁で抉られタワシで擦られドスはボロボロだ。
『もう止めてやれ。ここまでやれば充分だ』
ドスが漸く解放された。
『ゆ…ひぃ……ゆはぁ……いだい…いだいよぉ……いだいよぉ……』
男達の視線が群れのゆっくり達に向けられた。
『ゆああ!!!!…ま…まりざはわるくないがらねぇ!!』
群れのゆっくり達が恐怖で固まっている中1匹のまりさが勇気を振り絞って駆け出した。
『うー!!つかまえたんだどぅ~』
『はなじでええ!!!!みのがじでぇぇ!!ばりざをおろじでええぇ!!!……ゆべっ!!!!』
呆気なくれみりゃに捕まり元いた場所に放り投げられた。
『ゆ…ゆるじでぐだざいぃ!!!!!』
『まりちゃちにちゃくにゃいよぉぉ!!!!』
『ゆえぇえぇえん!!!!おきゃあしゃあぁぁん!!!おちょうしゃぁぁん!!!』
『もうおやざいさんとりまぜんがらぁぁ!!!ごべんなざいい!!!!!』
群れのゆっくり達が命乞いを始めた。
『ゆ…ゆるじ…で…。も…もう…ざがらっだりじな…いがらぁ……』
ドスも弱々しく呻いていた。
『…………』
1人の男、彼がこの人間達のリーダーなのだが前に出てゴム弾入りの拳銃を取り出した。空に向けて2、3発発射した。
『『『ゆひぃ!!!!!』』』
『『『ゆぎゃぁ!!!!』』』
鋭い銃声に群れのゆっくり達が震え上がった。
『今からこの群れは俺達が支配する!!!!!!!!!!!!』
彼は大きな声でそう言い放った。
『ぞ…ぞんなぁ!!』
『どぼじでええ!!!!』
『どずぅ…どずぅ!!!なんどがじでええ!!!!』
ゆっくり達の声を無視し彼は続けた。
『今からお前らには3つの掟を守ってもらう!!!!!』
一呼吸置いた。
『1つ!!!!ゆっくりは人間の奴隷である!!!!!!!!』
その言葉を聞きゆっくり達が騒ぎ始めた。
『どぼじでぞうなっぢゃっだのおお!!!!!』
『まりさはどれいになんがなりだぐないよぉぉ!!!!』
『それじゃゆっぐぢでぎないでじょおお!!!!!』
『ぞんなのやぢゃあぁぁ!!!!!』
『ありずはどれいになんがならないわよ!!!!ぞんなのぜんぜんどがいはじゃないわ!!!』
彼はドスの方向を向いた。
『ドス!!!!!!復唱しろ!!!!!』
『ふ…ふぐじょう…?…』
『同じことを言えってことだよ!!!!ほら!!!ゆっくりは人間の奴隷である!!!!…言ってみろ!!!!!!』
『ぞ…ぞんなの…言えるわげないでじょぉ……。ドズたちは……どれいなんがじゃ…ないよぉ……』
『逆らわないって言わなかったか?教育が足りないな。やれ!!!!』
リーダーの指示で再びバットを持った男達がドスの周りに群がった。
『いや…いやぢゃあああああ!!!やべでやべで!!!!』
『分かるまでたっぷり教えてやるよ!!!!』
一斉にドスを殴った。
『ゆぎゃあああ!!!!!!やべでええ!!!!い…言いまず!!!ゆごぉっ!!!言いまず!!!!…っ…言いまず!!!!!!』
男達が殴るのを止めた。
『ぞ…ぞんなぁ……いっぢゃ…だべ…だべだよぉ…』
『どれい…なんがじゃ…ないよぉ…』
『ゆっくちちちゃいぎぇにゃい…にょ?りぇいみゅは……ゆっくちちちゃ…だびぇ?にゃの……』
ドスは涙を流しながら口を開けた。
『ゆぅぅ……っぐ……ゆ…ゆっぐり…はぁ…ゆっぐりはぁ…に…にんげん…の……ゆぴゃあああ!!!!』
ドスの横にいた男がスタンガンを手にしていた。
『人間?奴隷の分際で呼び捨てとは良い度胸してるよ』
『ちゃんと様付けろよな。さ・ま。分からないんだったら教えてやるぞ』
『ごべんなざい!!!ごべんなざい!!!にんげんざま!!!にんげんざば!!!!にんげんざまぁ!!!!!』
『じゃ、もう1回いくぞ。ゆっくりは人間の奴隷である!!!!』
『ゆ…ゆっぐりはぁ…にん…人間さまの…どれ……ぃ…です……っゆっぐ………ゆぴぃいい!!!!!』
涙をかみ殺しながら屈辱の掟を言ったのに再度スタンガンを当てられた。
『ど…どぼじで……ぢゃんど…ぢゃんど言っだよぉ……言っだでじょぉ……』
『もっと流れるように言えよ。スムーズにさ』
『……ぞんなぁ………やだよぉ…言えないよぉ………』
『まだ教育か足りないようだな。おい、今度は目玉刳り貫いてやれ。片方無くなったって構いやせんわ』
ドスの目の前で包丁がギラリと光った。
『ゆぎゃあああ!!!!いいばず!!!!いいばず!!!だがらぞれはいやぢゃあああああ!!!!!』
『遠慮するなって。右がいい?左がいい?』
『どっぢぼいやあああ!!!!!ゆるじでぐだざいい!!!!!いいばず!!!!いいばずぅ!!!!!』
『右にしようっと』
ドスの右目に包丁の刃先が向けられた。
『ゆ……ゆっぐりは!!!!!ゆっぐりは人間さばのどれいでず!!!!!どれいでず!!!!!ゆっぐりはどれいでず!!!』
ドスは必死に何度も言った。
『よろしい。やればできるじゃねえか。素直な子は大好きだぜ』
『……ぐずっ……っゆっぐ……えっぐ……』
ドスはポロポロと涙を流していた。悔しいのだ。
『さて…お次はお前らだな。ドスみたいにちゃんと言えよな』
リーダーは残りのゆっくり達を1匹ずつ見つめた。
『よし、まずはお前だ。れいむ!!復唱しろ!!』
まずはれいむに復唱を命じた。
『なんでぞんなごどいわなぎゃならないの!!!!』
『ほほぅ。言わないつもりか』
『あたりまえだよ!!!!れいむはどれいじゃないよ!!!!ゆっくりだよ!!!かわいいんだよ!!!』
『ふん』
彼はれいむを掴んだ。右手は頭、左手は底部を掴んでいる。
『ゆがああ!!!なにずるの!!!!かわいいれいむをはなじでね!!!!れいむはおごるど……ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!!』
彼は力一杯れいむを伸ばした。
『いだい!!!!いだいい!!!!ゆぎぎぎぎ!!!や…やびぇ!!!!ち…ちぎれるうう!!!!!ぢぎでるうう!!!!』
ゆっくりは意外と丈夫だ。素手で細かく千切ることは容易だが2つに破ることは容易なことではない。
この点は電話帳に似ている。1枚1枚を破ることは容易だが電話帳を2つに引き裂くには大変な力が要る。
『ごごごごご…ごべんなざい…ごべんない…ゆぎぎぎぎ……ちぎ…ぢぎで…ぢぎでる……やべっ…ゆぎゃああああ……』
れいむがびろーんと伸びている。そしてついにれいむの伸びきった皮が少し千切れた。
『いぢゃああ!!!!!いぢゃああ!!!ゆがああ!!!ぼ…ぼうじんぢゃう!!!じぬうう!!!!ゆぎゃああああ!!!!』
一度裂けるともう止まらない。どんどん皮が裂けていった。
『ゆぎゃああ!!!!ぼ…ぼっど…ゆっぐりじだがっ………』
断末魔とともにれいむの体は真っ二つに引き裂かれた。
『はぁ……はぁ…』
屈強な男でも結構力が要る。れいむは丁度上顎と下顎から引き裂かれていた。
『ほらよ』
彼はれいむの死骸をゆっくり達に投げた。
『ゆぎゃああ!!なにごれえええ!!!!』
『でいぶうう!!!でいぶううう!!!!じっがりじでえ!!!』
『むぎゅぅ……』
『きょわいよぉぉぉ!!!!!こんにゃのやぢゃあああ!!!!』
ゆっくり達はれいむの死骸から後退りした。
『…ゆ……ゆ……ひ…どずぎる……ひどい………』
ドスが弱々しく呻いた。
『おっと、忘れてた』
ドスの横にいた男が呟いた。
『ゆぴゃあああああああ!!!!!!!』
ドスにまたしてもスタンガンが当てられた。
『ど…どうじでぇ…どうじでぇ……なんにぼじでないのにぃ……』
『下っ端の不始末はてめえが落とし前つけるんだよ!!!!』
『ぞ…ぞんなぁ……』
『もう1回やり直しだな。ドス!!!!!!!』
『は…はい!!!!はい!!!!なにがようでずがああああ!!!!』
『復唱しろ。忘れてないだろうな?』
『おぼえでまず!!!ゆ…ゆっぐりは人間ざばのどれいでずぅ!!!!!!』
『流石はドス。物覚えが良い』
再びゆっくり達に視線が向けられた。
『今度はちゃんと言えよ。歯向かったら…ねぇ。……そこのぱちゅりー!!!!!!』
『むぎゅぅ!!!!!!』
急に指名され文字通り泡を食った。
『森の賢者の知能…みせてみろ』
『む…むぎゅ……ゆ…ゆっぐりは…っぎゅ…にんげんざまの…ど…どれい…むぎゅぶっ……』
『ぱ…ぱちぇぇ…じっがりずるんだぜ……』
『おおお、介抱してやれよ。ちゃんと言えるじゃないか』
番らしきまりさがぱちゅりーを背負って後ろへ逃げた。
『…そこのちぇん!!!!復唱しろ』
『わがらっ!!!!……ゆっぐりは…にんげんざまの……どれい…でず……』
『今度はそこのありす!!!!復唱しろ』
『ゆ…ゆぐ…ゆっぐりは…にんげん…ざま…のどれい…ぅぅ…でず…』
『中々都会派じゃねえか。次!そこのまりさ!!!!復唱しろ』
『は…はい……ぅぅ…ゆっぐりは…にんげんざまの…どれいでず…ゅぅぅ…』
『よーし。最後だ。…そこのれいむ!!!今度こそ決めてくれよ』
『ゆっくりは…にんげんさまの…どれいで…ず……』
『よーし。いい子だ。…最後にドス!!!!!!大きな声で復唱しろ』
『ゆ…ゆっぐりは!!!!!!人間ざまの…どれい!!!!!!…ぅぅ…でず!!!!!』
『いいだろう。お望み通り今日からお前らは俺達の奴隷だ!!!!!!』
『のぞんでなんが……ないのにぃ……』
『ゅぇぇぇ………っぐ……ひっぐ……』
『もう……ゆっぐぢ……でぎない………やだぁ……』
群れは悲しみに包まれた。
『それじゃ2つ目の掟だ!!!!!!』
鋭い銃声がした。
『『『ゆぴゃああ!!!!!』』』
『『『ゆひぃいいい!!!』』』
しくしく泣いていたゆっくり達がビクッと固まった。
『2つ!!!!!ゆっくりは食料と子供を人間に捧げなくてはならない!!!!!!!!!』
一瞬群れが静かになった。が、すぐにあちこちから声が上がった。
『な…なにぞれえええ!!!!!』
『ぞんなごどしぢゃっだら……ゆっぐりでぎないよ!!!!』
『あがぢゃんをっ!!!だ…だべだよぉぉ!!!!そんなひどいごどできるわけないでじょおお!!!!』
『お…おがあしゃん…りぇいみゅは…りぇいみゅはど…どうにゃっぢゃうにょ?』
『ごはんさんがないとじんじゃうよぉぉ!!!』
『まりちゃ…おきゃあしゃんといっちょにいちゃいよ!!すてちゃやぢゃああ!!!!!!』
『ごはんあげぢゃっだらゆっくりでぎないよぉ!!!』
『ありずは……ありずはすでられぢゃうの!!!?そんなのやぢゃああああ!!!』
まぁ当然といえば当然の反応だろう。
『ゆ…ゅ……に…人間ざまぁ……それだげは…それだげは…ゆるじでぐだざいぃ………』
ドスが呻いた。
『ごはん…ざんも……あ…がぢゃんも…おちびぢゃ……ゆぎゃああああああ!!!!!』
ドスの頬にバットがめり込んでいた。
『ドスさんよぉ。俺達は出来るかどうかなんて聞いてないの。やるんだよ。やるの。分かんないならちゃんと教えてやらないとな』
さっきと同じようにドスは暴行を受けた。
『ゆぎぇえ!!!!いぢゃいい!!!!!やべ!!ゆぎょおおお!!!』
『全くめんどくさい奴だな』
『やっぱり目玉刳り貫いた方がよかったか』
『ゆるじ!!!!ゆびぇええ!!!あぎゃああっ!!!いだいい!!!ぼうやぢゃあああああ!!!!はなじぢぇええ!!!!』
ドスが暴行を受けているのを無視しリーダーは残りのゆっくり達を眺めた。
『おきゃあしゃんちょ…いっちょがいいよぉ!!!まりちゃいっちょにいちゃいよぉぉ!!!』
『どうじだらいいのぉ……やだよぉ……あがぢゃんどいっじょにいだいよぉ…』
『おがあざあぁん!!!れいむをすでないでえええ!!!!』
『すてだりなんがじないよぉ…すーりすーり……なぐの…やめでよぉ…』
ゆっくりは家族ごとに固まって身をすり寄せていた。
『ドスはああだから君達から復唱してもらおうか?』
『そ…ぞんなのやぢゃああああ!!!』
『やぢゃああ!!!あがぢゃんど!!いっじょにいざぜでええ!!!』
彼はれみりゃを3匹呼び寄せ耳元で何かを囁いた。
『『『うー!!わかったどぅ!』』』
れみりゃ達は1つの家族の所へ飛んだ。
『ゆうぅぅ!!!!ごっぢごないでええ!!』
『どぼじでごっぢぐるのおお!!!!』
『やぢゃああ!!!ゆっくちさしぇちぇええ!!!!』
ターゲットとされたのはまりされいむの番と赤まりさ1匹の3匹。赤ゆっくりの数が少ない気がするが今はどうでもいい。
『ゆあああ!!!!はなじでえええ!!!!どぼじでばりざなのおお!!!!ういでる!!!!おろじでえええ!!!』
『いやあああ!!!!やべでえええ!!!!でいぶはまだゆっぐぢじだいよおお!!!!!』
『たびぇないぢぇえええ!!!!ばりぢゃはおいじぐにゃいよおお!!!!!ころぢゃないぢぇえええ!!!!』
れみりゃ達は1匹ずつ持ち上げた。
『『『いっただきまーす!!!!』』』
れみりゃ達がゆっくりを食べ始めた。
『逆らったらこうなるからね。よーく見とけよ』
ゆっくりの体が萎んできた。
『たべないぢぇえええ!!!!いやあああ!!!じにだぐないい!!!!じにだぐない!!!!ゆっぐりじだいい!!』
『どぼじでごうなるのおお!!!!!やぢゃああああ!!!ぼっどゆっぐりじだがっだのにいい!!!!』
『ゆえぇぇぇん!!!ゆええぇえぇぇえん!!!!もっどゆっぐぢじぢゃがっだあああ!!!もっどじゅりじゅりじだがっだああ!!!!』
3匹は中身を吸われ皮と飾りだけになった。
『ゆぅぅぅ……』
『じ…じにだぐないよぉ…』
『じだがう…じがないよぉ……じぬはやぢゃあぁ……』
反抗的な態度を取るゆっくりはいない。ドスがズタズタにされれいむは2つに引き千切られ、たった今まりさ家族が食べられた。
ゆっくりの餡子脳でも圧倒的な力の差を充分に理解したのだ。逆らっても意味は無い。
『そこのまりさ!!!!!復唱しろ』
『ゆぐっ!!!』
急に指名されまりさが飛び上がった。
『うっうー』
『おぜうさまもおかしたべたいんだどぅ』
『ふらんだっておなかすいた!』
群れを囲んでいたれみりゃやふらんの視線がまりさに集まった。
『ゆぅぅぅ……ご…ごわいよぉ…』
『ほらほら、早く言わないとれみりゃ達のおやつになっちまうぞ』
『ぅぅぅ……』
まりさは観念した。
『ゆ…ゆっぐりは……ごはん…ごはんざんどぉ…ぅぅ…おちびぢゃんを……ぅ…にんげんさまに…あげまず…ぅ…ぅぅ…』
涙を噛み殺しながらまりさが復唱した。
『そこのありす!!!復唱しろ』
『おちびぢゃんどぉ…ごはんざんを…あげないどいけ…ない……』
ありすに続きれいむ、ちぇん、ぱちゅりーが涙ながらに復唱した。
『聞いたか?ドス、お前んとこのゆっくりは皆復唱できたぞ』
『ゆごっ……ゆぎっ……』
ドスはさっきよりもボロボロになっていた。
『ドス!!!!最後に綺麗に復唱してくれよ!!!』
『ぅ…ゆっ…ぐりは!!!ごはんど…おちびぢゃんを……人間さまに……あげ…まず…』
一部のゆっくりはもしかしたらと淡い期待をしていた。だがドスもこの掟に屈服してしまった。
『ゆえぇえぇえぇん!!!!!!!ゆえぇえぇえぇえん!!!!!!』
『ゆっぐ……えっぐ……』
『ゆわああぁあぁあぁん!!!!ゆわああぁあぁあぁあん!!!!!』
本当に自分達が人間の奴隷になったんだと実感しドスが復唱し終えた瞬間に1匹1匹と泣き出した
『俺達だって鬼じゃねえ。そんな不味いもん食いたきゃねえよ。餓鬼だって不細工だしな。少しだけ。少しだけ頂いてやるってことさ。
餓鬼だってたくさんいたら連れて行くってことさ。餓鬼が少なかったら持って行きはしねえよ』
リーダーの声はゆっくりに届いたのであろうか?
『じゃあ最後の掟だ!!!!!』
再び銃声。
『『『まだあるのおおおお!!!!!』』』
『『『ぼうやぢゃあああ!!!!』』』
ゆっくり達が泣き叫んだ。
『3つ!!!!!ゆっくりは人間の畑に入ってはならない!!!!!!!!!』
前2つの掟に比べれば軽いものだ。
『ドス!!!!ふくしょ……』
『ゆっぐりは畑になんが入りません!!!!!!人間さまの畑にはぜっだいに入りまぜん!!!!!!』
リーダーが命じる前にドスが叫んだ。
『もうはだげにいぎまぜん!!!』
『いがないよぉ!!!!いがないがらぁ!!!』
『まりちゃもいきゃにゃいかりゃああ!!!』
『おやさいざんはかってにははえでごないよ!!!でいぶわがっだがらぁ!!!』
早く解放されたいのかそれとも実は分かりきった事だったせいか残りのゆっくり達が我先にと3つ目の掟を叫んだ。
『素直になってきたじゃないか。じゃあ最後に3つ纏めて言ってもらおうか』
『ゆっぐりはにんげんざばのどれいでずぅ!!!!』
『ゆっぐりはごはんどぉ…おちびぢゃんを…にんげんざばにあげまず!!!!』
『ゆっくりははだけにはいりまぜん!!』
『どれいぃ!!!!ゆっぐりはどれいでず!!!!』
『にんげんざまのどごろにはいぎまぜん!!!!!』
『あがぢゃんあげばず!!!!ごはんもあげまず!!!』
ゆっくりはわんわん泣きながら3つの掟を叫んだ。
『ちゃんと守れよ。守るなら別に危害は与えないさ。ただ1つでも破ってみろ。そしたらお前らを加工所でゆっくりさせないからな!!』
『はいいい!!!!わがりまじだああ!!』
『かごうじょはいやあああ!!』
『ばりぢゃまもるよ!!!!ゆっくぢぃ!!!』
『ゆぅ……ぅぅ……っぐ…』
『ゆえぇえぇえん!!!!!ごれじゃゆっぐぢでぎないよおぉ!!!!』
『ゆわあぁあぁあん!!!!!どうじだらいいのおぉ!!!!』
男達は袋を取り出していた。
『んじゃ早速頂くぜ!!!今日は特別に子供だけにしてやる!!!!!!』
男達がゆっくりに近づいた。
『いやあああ!!!!ごないでえええ!!!』
『みゃみゃあああ!!!ありぢゅはいっちょがいいよお!!!』
『すでにゃいでええ!!!!まりちゃはすてちぇやぢゃあああ!!!!』
『ゆあああ!!!!れいむのちびぢゃんがあああ!!!はなじでええええ!!はなじでええ!!!』
一部の家族は男達の包囲網を抜け出そうとした。だが男達の背後ではれみりゃとふらんが待機していた。
『ごれじゃにげられないよおお!!!!』
『おぢょうしゃぁぁん!!!!だぢゅぎぇでえええ!!!!』
『ゆあああ!!!!ばりざのあがぢゃんがああああ!!!』
本来は1家族ごとに子ゆっくりと赤ゆっくりを集めさせ…といきたかったが最初はそう簡単に従ってはくれないだろうと別の方法を試みた。
とりあえず手当たり次第小さいゆっくりを袋の中に入れるのだ。今目の前にいる半分も持って行けばいいだろう。
『よし。これだけ回収すりゃ充分だろ。加工所に持ってくぞ』
残った子ゆっくりや赤ゆっくりは親ゆっくりにしがみ付いて離れなかった。
『がえじでえええ!!!!!おちびぢゃんがえじでえええええ!!!!』
『かこうじょはゆっぐりでぎないよ!!!!!あがぢゃんがえじでええ!!!!』
『ばりざのあがぢゃんがえぜええぇぇ!!!!どっでもゆっぐりじだあがぢゃんがえぜえ!!!!』
『どぼじでかごうじょにづれでっぢゃうのおぉ!!!!わるいごどじでないでじょおぉ!!!!』
男達は足元に纏わりつくゆっくりを蹴散らした。彼らはドスのもとへ近付いた。
『よし、ドスを治してやれ』
ドスには生きてもらわなくてはならない。生きてこの辺りのゆっくりを統制してもらわなくてはならないのだ。
『帽子を取れ。中身を確認するぞ』
帽子を脱がせた。中からは色々なものが出て来た。
『あったぞ』
キノコがコロリと2本出て来た。
『おい、キノコはこれだけか?』
『はいぃぃ!!!これと今生えてるやつだけでず!!!それいがいにはありばぜん!!!』
ドスの額には2本のキノコが生えていた。統計からみるとキノコはドスの額にのみ生えるらしい。それ以外の場所から生えた例は極々少数だ。
ドスは植物型妊娠をしない代わりに額からはドススパークのエネルギーとなるキノコを生やす、と仮定されている。
『しんじでぐだざい!!!ほんどうなんでず!!!ほんど…ゆぎゃああああああああ!!!』
額に生えたキノコを無理やり抜かれた。
『ゆぐっ……い…いだいよぉぉぉ!!!…いだいぃ……』
苦痛は更に続く。誰かが火炎放射器を持ってきた。
『額だけだぞ。他の部分には当てるなよ』
適度な大きさの炎が上がった。
『な…何ずるのおお!!!!!!??ごわい!!!やべでええ!!!!…ゆぴゃああああ!!!!』
炎はドスの額を燃やした。饅頭が焼ける匂いがしたが同じところをずっと燃やしているためすぐに焦げ臭くなった。
『あぢぃいいいい!!!!あづいい!!!じぬううう!!!!じぬううう!!!!!だずげでええ!!!!ゆるじぢぇえええええ!!!』
額を満遍なく燃やした。
『ゆぎぃい!!!ゆぎぇえ!!!ゆぎゃああ!!!!あづいよおおお!!!!!!ゆぎゃああああああああ!!!!!!』
『もういいだろ。消してやれ』
炎が消えた。
『ゆぎぃぃ……ゆひぃぃぃぃ……っはぁ…はぁ……いぢゃい……いぢゃいよぉ………』
ドスの額は真っ黒。ここまで酷いともう二度とキノコは生えてこないだろう。
『おーし、杖抜いてやれ。小麦粉塗れば問題無いだろう』
刺さっていた杖が抜かれ傷口や焦げた額を溶いた小麦粉で塗った。酷い箇所は餃子の皮を貼り付けて治療をする。
『どぼじで……どぼじで…こんなごどずるのぉ……。ひどずぎるよぉ……』
男の手にはキノコが4本。そのうち中くらいの大きさのキノコを1本残し残り3本を焼却処分した。
『ぎのこ…きのごぉ………それがないど……うでないよぉ……うでないぃ……』
ドスの最大のアイデンティティであるドススパークが事実上封じられた。ドスには相当なショックだ。
『ほらよ』
ドスの前にキノコが1本投げ出された。
『キノコは1つだけ残しておいてやる。これで1回だけドススパークを撃つも良し。細かく分けて弱っちいドススパークを2回3回撃つも良し。
……あとはお前の自由だ。だがドス…。判断を間違うなよ。間違った使い方だけはするな。分かったな』
『はいぃ……わがりまじだぁ……』
ドスの体から徐々に傷跡が見えなくなった。通常であれば再起不能の大怪我でもドスならば治すことが出来る。
数日休めば真っ黒に焦げた額以外は元通りだろう。
『飾り、あそこの木に打ち付けとけ』
2つに引き千切られたれいむのリボンとれみりゃに食べられたまりさ家族、まりさの帽子とれいむのリボンと赤まりさの小さな帽子。
転がっていた飾りを拾い適当な木に釘で打ち付けた。数日もすれば朽ちて無くなるだろうがゆっくりに恐怖を残すには充分だ。
そしてドスの治療が終わった。
『お前、中々見所のあるドスじゃねえか。気に入った。これからも仲良くしようぜ』
『ゆぅぅぅぅ………ゆ……っぐ……ひっぐ……』
『あれ?仲良くしたくないの?おじさん達困っちゃうな。また喧嘩しないといけないのかな?』
『ゆうぅぅ!!!ながよくじだいでず!!!!ながよく!!!!人間さんたちとなかよぐじだいでずうぅ!!!!!』
『そうそう。仲が良いのがいいよな。じゃあ俺達は帰るよ。また来るぜ』
人間達はれみりゃとふらんを連れて群れから出て行った。
「ゆぅ……」
ドスは帽子の中からキノコを取り出した。1本だけしかない。本当に危なくなった場合に使おうと大切に保管している。
「ゆぐっ!!!………」
人間に痛めつけられたときのことを思い出し身を竦めた。今でもあのときの痛みをはっきりと覚えている。
最近ドスは不思議に思うことがある。
"人間さんはこわいけど…ルールをやぶる子が少なくなったよ。前よりもドスはゆっくりできてるよ…。人間さんのおかげなのかな?"
人間に殴られるのは凄く痛い。だが以前よりも群れのゆっくりをコントロールし易くなったのだ。
"これで…本当はいいのかな……?…分からないよ…。ドスじゃ…人間さんにかなわないんだね……"
「………ゆぅ……ゆぅ………ぅ……ゆぅ……」
暫くあれこれ考えていたが人間達と会った疲れがどっと来てそのまま眠ってしまった。
「あれドスがいる群れじゃないと有効じゃないんですか」
山を降りながら新人が先輩職員とこんな話をしていた。
「ああ。通常サイズのゆっくりしかいない群れだとリーダーはちょいとばかし大きくて強くて頭の良い個体なだけだろ。ドスは違う。
大きさも強さも知能も桁違いな差だ。ドスがいない群れだとクーデターでリーダーが変わる。ドスならばそうクーデターは起こらない」
「ふむふむ」
「だからドスをしっかりと躾けてやれば皆それに従う。ドスだって自分の命が惜しいものさ。痛い目に遭いたくないから甘えさせない。
だけどこれがドスのいない群れだとクーデターでリーダーが新しくなって元に戻っちまう。実際試したんだがやっぱり失敗したな」
「駄目だったんですか」
「駄目というよりそれ以前の問題だったな。人間に対して恐怖しか感じないようになるまで痛めつけるってのがさ」
「ああ、加減が分からないんですね」
「そうそう。一番最初はありすだったかな。簡単に死にやがってな。群れの連中パニックになって逃げ出そうとしたから皆殺しにしたよ」
「ドスなら下手したら人間よりも耐久力ありますから死ななくていいですね」
「そうだな。その次はまりさだったかな。その時は手加減したんだがそんなに痛くなかったようでな。あんまり効果無かったわ」
「そうですか……」
「もう少しドスがいてくれたらいいのにな!そしたらこっちもやり易いのだが」
「あのキノコ…。本当にもう生えてこないんですか?」
「とりあえず1~2ヶ月ごとに各群れに行って確認してるんだが今のところ再生した例は無いぜ。安心しな」
このシステムが出来てからドス絡みの問題は一気に無くなった。ドスが統治している群れが農村に迷惑をかけることは無くなった。
他愛も無い話が暫く続いた。
「よし、ここらで捨てるぞ。回収した餌をそこらじゅうにばら撒いとけ」
途中で行進が止まり袋に入った餌をばら撒き始めた。
「え、それ捨てちゃうんですか?」
新人が質問した。
「別にこんなもん欲しく無いだろ。それにこうやって捨てておけばそのうちあいつらが新しい食料として見つけるだろう」
「あれ?食い扶持は同じって事ですよね」
「そこだよ、そこ。別に俺らはゆっくりを殲滅しに来たわけじゃない。恐怖を与えるために来ただけだ。それにな…」
傍に村人もいるせいか声を潜めた。
「俺達はゆっくりを利用して稼いでるんだ。そう簡単に死んでもらっちゃ困る。ゆっくりは生かさず殺さず。これが一番さ」
「ふふっ。上手いですね」
袋はもう1種類ある。子ゆっくりや赤ゆっくりが詰まっている袋だ。
「まりちゃもおしょどにでぢゃいよぉぉ!!!!」
「おぎゃあじゃあぁん!!!!おぎゃあじゃあぁん!!!!」
「ありぢゅもだじぢぇええ!!!!」
「ゆっくちぢだいよぉ!!!かきょうじょはやぢゃあああ!!!」
袋の中でピーピー泣いていた。
「………」
袋を持っていた男は地面に袋を置くと思いっきり袋を踏んづけた。
「ゆぴゃああああ!!!」
「ゆびゅっ!!!!」
「ゆぎゃああああ!!!」
詰まっていたゆっくりの3分の1程が潰れた。
「ゆぎゃああああ!!!!ば…ばりぢゃああ!!!ばりぢゃああああ!!!」
「ころちゃないぢぇええ!!!!やぢゃああ!!!ちぬのはやぢゃああ!!!」
「みゃみゃぁ!!!みゃみゃぁ!!どびょじぢぇだじゅぎぇでぐれにゃいのぉ!!!」
目の前で潰されたゆっくりだった餡子と皮を見て生き残ったゆっくり達が悲鳴を上げた。
「お前達はダメ。今から加工所に行ってこんな風にすり潰されちゃうの。ぶちゅぶちゅ!!ってね。今のうちに泣き喚いときな」
男は袋を少し開け中のゆっくり達にそう言った。
「しょんにゃのやぢゃああ!!!!」
「ちにちゃぐにゃいよおぉ!!!ゆっくちちたい!!!ゆっくちちたいよぉ!!」
「ゆあぁあぁあぁん!!!!おがあざぁん!!!おがあざぁん!!」
「ゆっくちちちゃかっちゃよぉ!!!おにぇえちゃあん!!!おにぇえぢゃあぁん!!!」
袋の中のゆっくりの泣き声をBGMに彼らは山を降りて行った
終わり
by エルダーあき
農村ではゆっくりははっきり言って嫌われていた。その理由は農作物を荒らすからである。
人間の泥棒の方がまだマシだ。お野菜を1本ご拝借、なんてことでは済まない。満足するまで食い散らかし滅茶苦茶にしてしまうのだ。
農村に出没するゆっくりは通常どこかしらの群れに属している。群れ総出で畑を襲撃することもある。
一部の群れでは畑に近寄らないよう言いつけているらしいがどこの群れにもゲスがいるもの。やっぱりやってくるのだ。
農家の方は何度も何度もゆっくりを殲滅した。群れごと、山に存在する全てのゆっくりごと粛清した。
だが暫くするとまた住み着くのだ。出鱈目な生態なのだ、どこからともなくやってきて数を増やす。厄介極まりない。
そこで農村は加工所と手を組みゆっくりの対処法について色々と議論を重ねた。
「そろそろ到着する。各自支度しとけ」
バスの中で男が言った。バスには十数人の男が乗っており様々な道具が用意されていた。このバスに乗っている男は皆加工所の職員だ。
「君は新人だったな。今日は私の傍にいなさい」
「はい。色々勉強させてもらいます」
バスが止まった。とある村の役場だった。
「ご苦労様です」
数人の村人が出迎えた。
「人数は揃ってますか?」
「ええ。ここにいる全員です」
「準備は出来ていますか?質問などあれば…」
「前回と同じメンバーです。今すぐにでも行けます。前回から変更した点はありませんよね?」
「前回と一緒です。それでは皆さん行きましょう」
村で合流した人数と併せ20人程が山へ向かった。人間だけでない。れみりゃやふらんも20匹程後をついて行く。
このれみりゃやふらんは村で飼われている。いつもは村を飛び回りゆっくりが畑に侵入していないかパトロールをしている。
皆様々な道具を持っていた。中にはれいむとまりさが入った箱を抱えている人までいる。
農村と加工所は議論を重ねた結果ゆっくりに人間が恐ろしい存在であることを分からせることでゆっくりを統制することにした。
ゆっくりとは不思議なもので人間を恐れないのだ。正確には人間を舐めているのだ。ゆっくりが人間を見下している理由は諸説ある。
1つは飾りだ。ゆっくりは飾りが命の次に大切なものだ。だが人間にはそれがない。飾りの無いゆっくりは虫けらのように扱われる。
飾りの無い人間に対しても同じように接してしまうのだ。
2つ目に大きさだ。大きさといっても背丈ではなく顔の大きさだ。成体ゆっくりの大きさは人間の顔の大きさとほぼ同じか少し大きい。
ゆっくりの本体が外見上生首であることから推測するに人間の本体を首から上と捉えているのだ。
そう捉えれば人間を巨大な存在とは思わない。高いところにいる何か、と思っているのだ。だから恐れない。
「そろそろですね。では待機する人はここで一旦…」
途中数人を待機させ残る人数は更に少し歩いた。
「ゆぅ~!」
「おとうさ~ん。まってよー!」
彼らの前にゆっくりの親子が現れた。まりさ親子だ。この時間帯だと今日の餌でも探しに来たのだろう。
「ゆ!!!」
「おとうさ……ゆゆ!!」
彼らと目が合った。
「に…にんげんさまぁ!!!!!!」
「ゆああぁ!!!ごわいよおおぉ!!!!!!まりさはわるいごどじでないがらねええぇ!!!!」
まりさ親子が怯えていた。子まりさは親まりさの後ろに隠れて震えていた。
「さっさと群れに帰りな。それとも俺達が運んでやろうか?」
先頭を歩いていた男が話しかけた。
「い…いいでずぅ!!!じぶんでがえりまず!!!」
親まりさは子まりさを帽子の上に乗せると一目散に走り去ってしまった。
「…………」
まりさ親子の反応に驚いた者はいなかった、唯1人新人の加工所職員を除いて。
「ん?驚いてるだろ」
傍にいた加工所職員の男が新人に話しかけた。
「ええ。とりあえず聞いてはいたんですが…」
「ここの群れは従順な方だからな。成功した良い例だよ」
「他の所はどうなんです?」
「ん~…あ、そろそろ着くぞ。後で色々と話してあげるよ」
行進が止まった。
「れみりゃ、ふらん、れいむ、まりさ、頼んだよ」
「「「うっうー!!」」」
「「「ふらんにまかせて!!」」」
「ゆっくりりかいしたよ!」
「まりさがんばるよ!」
指示と共にれみりゃ、ふらん、れいむ、まりさが散った。
「じゃ、皆さん行きますよ」
暫く待機してから彼らは再び歩き出した。
「よ…ようこそ……いらっしゃいま…した……」
少し開けたところに出た。そこには縮こまったドスまりさがいた。ドスとしての覇気が感じられない。
「ゅ……」
「ゅぅ…」
ドスの他にゆっくりが見えなかったが気配はする。皆巣や草むらに隠れているのだろう。
「よぉ、ドス。元気そうだな」
先頭にいた男が話しかけた。他の男たちはドスの周りに群がりドスを撫でたりペチペチと軽く叩いていた。
「は…はい!!元気で…す……ひぃ…」
怯えながらドスが答えた。
「そうか!そりゃ良かったな!」
「ドス!今日も肌が綺麗じゃねえか」
「ちゃんと髪の毛洗ってるか?あぁ?」
「また少し大きくなったんじゃねぇか?」
ドスの周りに群がっていた男達が馴れ馴れしくドスにちょっかいを出していた。
「はい!!はいぃ!!!!はいぃ!!!」
ドスは泣きそうな顔をしていた。
「ハッハッハ!!ドスさんよぉ、俺達が来たんだからさ、ね、ちゃんとしてくれよ。ほら!ちゃんと指示出して!!」
「はいぃ!!!…み…みんな!!出てきてね!!」
ドスの呼びかけに隠れていたゆっくり達が出て来た。こちらも皆すっかり怯えていた。
「おお!!なぁんだ。いたんじゃねえか!心配したぞ~。まさか逃げちゃったんじゃないかなってな。なぁ、まりさ」
先頭にいた男…この男達のリーダーなのでリーダーと呼ぼう、リーダーは傍にいたまりさに話しかけた。
「に…にげたりなんか…ししししないよ!しないって!!」
「ハハハ、そうか。じゃ、早速始めようか」
彼は拳銃を取り出した。拳銃といっても本物ではない。弾はゴム弾だ。拳銃を空に向けて撃つとこう言い放った。
「今から年貢を納めてもらう!!!!!!!各自全ての食料と餓鬼を巣の外に出せっ!!!!!!!」
ゆっくり達は沈んだ顔で巣に戻り中から食料や子ゆっくり達を運び出した。
「返事しろ!!!!!!!貴様らには口は無いのかっ!!!!!!!!!!!」
再び銃声がした。
「「「「はいいいぃぃ!!!!!!!!!」」」」
「「「「わがりまじだああぁぁ!!!!!!!」」」」
「「「「ごべんなざい!!!!ごべんなざいいぃ!!!!!」」」」
必死に声を出すゆっくり。だが中には不思議そうにするゆっくりもいる。
「ど…どうなってるんだぜ?」
「ま…まりさ!ゆっくりしないでたべものとおちびちゃんをそとにだすのよ!!」
「なにいってるの?どうしてそんなことしなくちゃいけないの?」
「ゆああああ!!もうしらない!!」
言われた通りにしなかったゆっくりはまりさとれいむの夫婦だげだった。
「君は食料を回収しなさい。餓鬼の方は私が回収するから」
リーダーは新人にそう話しかけた。
「だじまじだぁ!!!!ごはんさんとあがぢゃんだじまじだぁ!!!!」
早速食料と子を巣の前に運び終えたゆっくりがいるようだ。
「ふむ…飯はこれだけか?」
「はいぃ!!!これだけです!!」
まりさが答えた。
「まりざが…いっじょうげんめい…どっだごはんなのにぃ……」
「まりざも…がんばっだのにぃ……」
こんもりと盛られた虫や木の実や花。番であろうれいむや子まりさが涙を流しながら何やら呟いていた。
「本当にこれだけか?白状するなら今のうちだぞ」
「ほ…ほんどうでずぅ!!!!これでぜんぶでず!!!!しんじでぐだざい!!!!」
まりさが泣きながら答えた。
「そうか…。じゃあこれだけ貰うぞ。…袋に入れろ」
新人はリーダーの指示でトングで食料の山を崩し一部を袋に回収した。
「ゆあああ!!!しょれはりぇいむのだよ!!!」
「がえじでね!!しょれはまりちゃのむししゃんだよ!!」
赤ゆっくりが騒ぎ出した。
「だ…だめだよ!!!あがぢゃん!!にんげんさまにさがらっぢゃだべぇぇ!!!」
「ごべんなざい!!!ごべんなざい!!ゆるじでぐだざい!!まだあがぢゃんなんでずうぅ!!」
れいむは赤ゆっくりを叱りまりさは必死に謝っていた。
「今度からはちゃんと躾けとけよ。それより、さっさと子供を並ばせろ」
「は…はい!!!ありがどうございまず!!!!……おちびぢゃん、あがぢゃん…ならんでね」
子まりさ子れいむ赤まりさ赤れいむが1列に並ばされた。
「ふぅむ……」
子ゆっくりは3匹。赤ゆっくりも3匹だ。
「こ…こわいよぉ……」
「ゆぅぅぅ……」
「も…もうずごしだがら……がまんだよ…」
子ゆっくり達は泣きそうな顔をしていた。姉らしき子まりさが2匹を宥めていた。
「かえしちぇね!!りぇいみゅのはっぱしゃんかえちてね!!」
「まりちゃのむししゃんかえちちぇね!!ひちょりじみぇはゆっくちできにゃいよ!!」
「ぴゅきゅぅ~!!」
赤ゆっくり達はリーダーに文句を言っていた。
「ぞ…ぞんなごどいっぢゃだべええぇ!!!!!」
「に…にんげんざま……たくさんいないでしょ…たくさんじゃないよ!だから…もっでがないでえええ!!!」
親ゆっくり達はおろおろしていた。
「いいだろう。今回は持ってかない。こいつらを育ててていいぞ」
「「あ…ありがどうございまずうう!!!!!」」
「ほれ、さっさと飯と子供を巣に戻しな。お前らはこれで良い」
れいむとまりさはぺこぺこ頭を下げながら食料と子供達を巣に戻した。
「きゃえしぇぇ!!!!りぇいみゅのむししゃんかえしぇえええ!!」
「おにぇえちゃん!しょこどいちぇ!!いみゃかりゃしぇいしゃいしゅりゅんだよ!!」
赤ゆっくりはまだ反抗心丸出しで膨らんでいたが親ゆっくりと子ゆっくりが無理やり巣の中に押し戻していた。
「次行くぞ」
次の巣の前で山盛りになった食料と赤ゆっくりが並んでいた。
"あれ?なんでこの赤ゆっくり3種類なんだ???"
食料の山の一部を袋の中に詰めながら新人が不思議に思った。赤ゆっくりはれいむ、まりさ、ありすが各2匹の合計6匹。
一方親はありすとまりさだった。
「にんげんさん!こっちのあかちゃんもってっていいよ!!」
あろう事かまりさが赤まりさ1匹と赤れいむを2匹前に押し出した。
「ゆびぇっ!!!いぢゃいよぉぉ!!」
「やぢゃあああ!!!おぢょうじゃんどいっじょがいい!!まりちゃかこうじょやぢゃああ!!」
「ゆえぇえぇん!!!!ゆえぇぇえん!!!」
しかもこの3匹は相当痩せこけている。
「ゆっきゅちできにゃいおにぇえちゃんはかこうじょでちんでね!!」
「ありちゅはおきゃあしゃんといっぴゃいゆっくちちゅるよ!」
「まりちゃちゃまはみゃみゃとしゅりしゅりすりゅんだじぇ!!」
他の3匹はふっくらと育っていた。
「おい、これはどういうことだ?」
リーダーが赤れいむを1匹掌に乗せて聞いた。
「ゆっぐ……おがぁざぁぁん……おがぁざぁん……」
赤れいむは掌でしくしく泣いていた。
「うるさいわね!!ありすはおかあさんじゃないってなんどいったらわかるの!!!これだからいなかものはこまるのよ!!」
ありすが赤れいむに向かってそう言った。大体事態が掴めてきた。大方このまりさはれいむと番だったのだろう。
そして赤ゆっくりを3匹、つまり今前に押し出された3匹を授かった。その後れいむが死んだか別れたかでありすと再婚したと。
「お前のお母さんとやらはどうした?あれはお前のお母さんじゃないのか?」
リーダーの問いに赤れいむが答えた。
「あんにゃの…おかあさんじゃないよ……っぐ…りぇいむの…おかあさんは…あしょこ…だよ……ゅ…ゅ…ゆえぇぇえん!!」
赤れいむは巣の方向を向いた。巣の入り口付近に墓でもあるのだろう。
本来だったらこの赤れいむは子れいむくらいに成長してるはずなのに満足に食事が与えられず虐待されてまだ小さいままなのだろうか。
「にんげんさん!!まだにひきのこってるよ!!これでゆっくりしていいんだよね!!」
まりさが嬉しそうに言った。連れ子が邪魔だから始末したいが群れではゆっくり殺しは大罪であるため出来なかった。
だが増えすぎた子供は人間に渡すことになっているから邪魔な子を渡して清々しようという薄汚い魂胆が見え見えだ。
「ふん」
リーダーは赤れいむをそっと下ろした。そしてペチャクチャとお喋りしていた残りの3匹を摘み上げ袋の中に入れた。
「ゆあ!!おしょらをういちぇるよ?……ゆびゃぁ!!!!」
「ゆ!!ど…どびょじでえ!!ゆっくちできにゃいまりちゃはあっちでじょおお!!!まりちゃはゆっくち……ゆべじ!!!」
「ぴゃぴゃぁ!!!みゃみゃぁ!!!!だじゅぎぇぢぇえええ!!!!」
予想外の出来事にまりさとありすは固まってしまった。が、すぐにリーダーに突っ掛かってきた。
「ど…どぼじでそっぢのあがぢゃんなのおお!!!!!!」
「がえじでね!!!!ありずのゆっぐりじだあがぢゃんがえじで!!!!もっでっでいいのはあっぢでじょおおおお!!!!!」
リーダーはポケットからシールを2枚取り出した。1枚ずつまりさとありすの飾りに貼り付けた。
「ゆがああ!!!!おぼうじざんになにじだあああ!!!!」
「がえぜええ!!!ありずのとかいはなあがぢゃんがえせええ!!!!!」
リーダーは2匹を1発ずつ殴った。
「ゆごおっ!!!!!」
「ゆぎゃあああ!!!!」
リーダーは痩せこけた3匹の赤ゆっくりを摘み上げまりさとありすの目の前に置いた。
「この子達を育てろ」
「な…なにいっでるのおお!!!!あ…ありずのおちびぢゃんは!!」
「こんなゆっくりできないちびなんかいらないよ!!!!おねがいだからあがぢゃんがえじでね!!!!」
後で分かった事だがこのありすは最近この群れにやってきた新参らしい。
「お前らのことは覚えたからな」
「「ゆ!!?」」
「お前らの顔は覚えたし目印も付けといた。あ、その目印はお前らの力じゃ絶対に取れないからな」
「な…なにいっで……」
「次俺達が来たときにこの子達のうち1匹でもゆっくりできてなかったら…お前らを加工所に連れて行くからな!!!」
「そ…そんなあああ!!!!かこうじょはやぢゃあああああ!!!!!」
「どぼじで!!!ねえ!!どぼじでそんなこどじなぐぢゃいげないのぉぉ!!!!!」
「答える必要は無い!!!」
今度は拳骨が2匹の顔の中心をめり込んだ。
「ゆぎょおおおっ!!!!!ゆぎぃいいいい!!!」
「ゆぎぇえええええ!!!!い…いだいよおお!!!!!」
リーダーは次の巣へと向かっていた。
「お…おちょうしゃ…ん…ま…まりちゃ…まりちゃは…ゆっくち…ちていいにょ?」
「やぢゃよぉ…まだ…いじめられりゅのはやぢゃああ!!!」
「おにゃか…しゅいちゃよぉ…」
3匹が一応実の親であるまりさのもとへ這った。
「お…おちび…ちゃん……」
まりさは3匹を拒否しなかった。とりあえずは実の娘。しかもゆっくりさせなかったら加工所行きなのだ。
「ばりざああああ!!!!!!はなじがちがうでじょおおおお!!!!!!!」
目論見が外れしかも可愛がっていた子供を連れて行かれた。よりによって連れ子の面倒をみなくてはいけなくなってしまった。
ありすがまりさに罵声を浴びせかけた。
「ゆぐっ……でもぉ……そうじないど…」
「ゆがあああああああ!!!!!!!こんないえでっでてやる!!!!!りこんよ!!!!!りこん!!!!」
ありすがどこかへ走り出した。
「ゆああああ!!!!まっでええ!!!!まっでええええ!!!!!」
まりさが追いかけた。が、ありすはすぐに立ち止まった。
「ここからはにがさないわよ!!!」
ふらんがありすの前に現れた。
「ど…どぼじでふらんがいるのおお!!!!!!!!」
人間達が群れに入る前に散開したれみりゃとふらんは群れを囲んで脱走するゆっくりを捕まえる役目を担っていた。
「あ…ありず!!!かえろう…ね、かえろうよ!!まりさがん………」
この後の安いドラマチックな展開は省こう。別れようが戻ってこようがどうでもいい。あの3匹がどうなろうが知ったことではない。
次から次へと食料と赤ゆっくり、子ゆっくりを回収していった。そして最後の巣を迎えた。
「ん?おい、どうした?さっさと食料と子供を並べろ」
巣の前には食料も赤ゆっくりも子ゆっくりもいない。まりさとれいむが巣の入り口を塞いでいた。
「わ…わたさないよ!!!!ごはんもおちびちゃんも!!!!さっさとでていってね!!!」
「まりさがとってきたごはんだよ!!!!!!にんげんになんかあげないよ!!!」
ぷくぅ~っと膨れて威嚇する2匹。
「おい!!ドス!!!!これは一体どういうことだ??」
リーダーはドスの方を向いた。
「お…おお…教えました!!!!!!教えたけど…言うこ…ゆぎゃああああああ!!!!!!!」
ドスにシャベルが突き刺さった。ドスの近くにいた男が突き刺したのだ。
「言っだのにぃぃ……いぢゃいよぉ……」
「言った?それは当たり前だ。お前がやるべきことは何だ?まだ分かんないのか!!!!!そんなに教育してほしいか!!!!!」
「ず…すいばぜん!!!!ずいばぜんっ!!!!!!わがってばず!!!!!だがら!!!いぢゃいのはやぢゃああ!!!!!!!」
どうやらこのまりさとれいむはつい最近やってきたばかりでまだここの掟というものが分かっていないらしい。
「どきな!!!この饅頭!!!!!」
リーダーは2匹を蹴飛ばした。
「ゆびゃあああああ!!!!」
「ゆばっ!!!!!」
2匹は巣から吹っ飛ばされた。
「ゆっ…ぐ……そ…そんなどごろに…いないがらね!!」
「わ…わだざないよ!!じじいなんがに…」
2匹は巣へ戻ってきた。
「早く戻ってこいよ」
リーダーは何やら丸いものを取り出していた。分かり易く髑髏のマークが貼り付けてある。
「ゆぐぐぐぐ…ででげぇ…」
「れいむおこると…つよいんだよ!!」
まずれいむが突進してきた。
「よっと」
リーダーはれいむを軽く新人の足元へ蹴り上げた。
「そいつ頼むわ」
「はい」
新人はれいむを押さえつけた。
「ゆぎぎぎぎ!!!!はなぜえええ!!!れいむをはなぜええええ!!!!」
まりさが突進してきた。
「ほっ」
リーダーは両手で受け止めると新人へ投げた。
「そいつも」
「はい」
新人は2匹を押さえ込んだ。
「はなぜえええ!!!!じじいはじねええ!!!!!」
「ばりざを…おごらぜるど…どうなっでもじらないよぉぉぉ!!!!!」
リーダーは巣に近付いた。
「………ゅ………」
「…っ…………」
どうやらいるらしい。それらしき気配がする。
「よーく見とけよ」
リーダーは髑髏マークの球体に火を点けた。この球体は煙幕だ。中身はタマネギ、山葵、ジョロキュア等の刺激物から抽出したエキスだ。
こんな危ないものを赤ゆっくりや子ゆっくりが吸ったらどうなるだろうか。
「ほらよっ」
次々と煙幕を巣の中に入れていった。巣からもくもくと煙が立ち上っていく。
「ゆがああああ!!!!なにじだああああ!!!!」
「はなじで!!!!あがぢゃんたずげないどおお!!!!!」
効果は即効だった。
「「……ぇぇぇぇぇ!」」
「「……だいよぉ!」」
「「…じゅぎぇぢぇええええ!」」
中から赤ゆっくりの叫び声が聞こえた。その声もすぐに聞こえなくなった。
「お…おちびぢゃん!!!!おちびぢゃん!!!」
「なにじだのおお!!!はなじでええ!!!!!はなじでええ!!!!」
じたばたする2匹を力ずくで押さえ込んだ。
「そろそろかな」
煙は数分で消えた。余裕を持って煙が見えなくなってから2匹を解放させた。
「中はどうなってるんだろうね?」
「ゆがああ!!!!おちび…ゆげっ!!!ゆごっ!!」
「げぼっ!!!げほっ!!!…ご…ごれどくだよぉ!!!!」
まだ巣の中の匂いは消えていないようだ。
「ゆがああああああ!!!!!!!!!」
「お…おちびぢゃん!!!!!おちびぢゃああぁぁあん!!!!!!」
中から悲鳴が聞こえた。
「ゆぐぐぐ……お…おちびぢゃん!!!!めあげでえええええ!!!!」
まずまりさが巣から出て来た。4匹の赤ゆっくりを連れて来たようだ。
「あがぢゃああん!!!!!じんじゃやぢゃあああ!!!!」
次にれいむが出て来た。こちらも2匹口に咥えていた。
「「「「…………」」」」
4匹の赤ゆっくりは苦悶に満ちた顔で固まっていた。というより事切れていた。
「「………ゅ………っ………」」
残る2匹の赤ゆっくりはどうにか生きていた。が、微かに息があるだけ。長くは無い。
「ゆがああああ!!!!!ごのゆっぐりごろじい!!!!!!」
まりさが飛び掛ってきた。
「この!!!この!!!!まりざが!!!せいさいじでやるうう!!!!」
リーダーの足元でぽこんぽこん体当たりをした。
「ふん」
リーダーは足を上げまりさを脳天から踏み付けた。
「ゆぎゃあああああああ!!!!!」
まりさを掴み持ち上げると今度は顔に平手打ちをお見舞いした。
「ゆぎょおっ!!!!ゆぎぇえっ!!!ゆぎゃっ!!!!いぢゃっ!!!!ゆびぇっ!!!!!」
新人は先程ドスを突き刺したシャベルをドスから引き抜き、それで巣を埋めていた。
「なにじでるのおお!!!!まりざとでいぶとおちびぢゃんのおうぢがああああ!!!!」
れいむが巣の前に飛び出した。新人は丁度いいとれいむを巣の中に押し込みそのまま土を埋めた。
「ゆぎょっ!!!や…やべ!!!!…ゆべっ!!!っべ!!っべ!!ゆがああ!!!!おうぢ!!!おうぢがああ!!!」
巣は土で完全に埋まった。更にご丁寧に近くにあった石を巣入口付近に山のように積み上げた。
「ハハ。君も中々やるな」
リーダーが手を止めた。
「ゆっぐ…でいぶぅ…でいぶぅ………ゆぎぃぃぃ……い…いぢゃいよぉ……ゆる…ゆるじぢぇぇ……」
まりさはボロボロ。歯も一部砕けている。
「ゆびぇっ!!!」
まりさが地面に落とされた。
「まぁまずはれいむを救ってやりな。あとはドスにでも聞け」
「…っぐ……でいぶ……ゅ…」
まりさは巣があったところへ這って行った。
「ま、とりあえずは終わりか…」
全てのゆっくりの徴収が終わった。ドスも安堵の表情をしている。だが新人はあることに疑問を感じていた。
"これで全部か?本当はどこかに隠してるんじゃないだろうな……"
確かに隠そうと思えば出来ないことではない。どこかに秘密の場所でもあるのだろうか……?
「ああ、そうだ。ドス……」
新人の疑問を読み取ったのかリーダーがドスに質問した。
「まさか……食料と餓鬼を…どこかに隠してないだろうなぁ?」
「な…何言っでるのおおお!!!!!?そんなこどじでないい!!!!」
ドスが必死な形相で叫んだ。
「本当か?群れの奴らとグルになってないだろうな?」
リーダーが周りを見回した。
「ち…ちがいまずぅ!!!!そんなごどじでまぜん!!!!」
「じらないよおぉ!!!!!まりざはそんなごどじらない!!!」
ゆっくり達は必死に否定した。
「ゆ!ちょっとまった!」
リーダーの前に1匹のれいむが飛び出した。
「れいむしってるよ!!みんなでごはんをかくしたんだよ!!」
よくよく見ればこのれいむはれみりゃ達と同時に散開したれいむだった。ということは…
「ゆ!まりさもしってるんだぜ!!おちびちゃんたちもそこにかくしたんだぜ!!」
続けてまりさが飛び出した。
「な…なにいっでるのおお!!!!じらない!!!!れいむはじらないよぉぉ!!!!」
「そんなごどじでないよお!!!ぜんぶ…ぜんぶみせだよぉ!!!!」
ゆっくり達が泣き出した。
「知らないよぉ!!!!この子だぢじらない!!!!ドスのじらないごだよおお!!!!」
流石はドス。この2匹が群れのゆっくりでないことを分かっていた。
「とか言っちゃって。本当は隠したんじゃないの?今なら片目だけで許してあげるよ?」
リーダーが詰め寄った。
「ほんどでず!!!じんじでぐだざいい!!!!かくじでまぜん!!!かくじでばぜん!!!!うそはづいでばぜん!!!!」
ドスが必死に弁解した。
「そうか…。じゃあこの子達は嘘をついてるんだな。嘘つきは加工所に連れてかないとな」
演技でここまで必死な形相はできないだろう。ということは本当に隠してないということなのか。リーダーはそう解釈した。
「「かこうじょはいやだぁ!!!!!」」
タネが分かっている人間からしてみれば2匹の悲鳴は棒読みに聞こえた。
「じゃあ俺達は帰るぜ。ちゃんと掟教えとけよ」
「は…はい!!!!わがりまじだあぁ!!!!」
「じゃあなドス!」
「あばよドス!」
「また遊びに来るぜドス!」
彼らはれみりゃ達を連れて群れを出て行った。
「さよなら!!!さよならぁ!!!」
ドスは必死に叫んで見送っていた。悪いことを考えていないことをアピールしてるのだろう。
「ゆ…ゆぅ…」
「ゆ…ゆっくり…していって…ね」
「た…たすがっだぁ…」
群れのゆっくり達は漸く安堵した。
「ゆええぇえん!!むししゃんたべちゃきゃったよぉ!!!」
「おねえちゃんがつれていきゃれちゃったよぉ!!!」
「いみょうちょぎゃぁ!!!まりちゃのいみょうちょぎゃぁ!!!!!」
「どぼじでなにもじでぐれながっだの!!!!」
「おきゃあしゃんのばきゃ!!!おはなしゃんたべちゃかったのにぃ!!」
彼らが去った後大半の巣の中で赤ゆっくりや子ゆっくりの一部が親ゆっくりに向かって泣き喚いていた。
「どずのばがあぁ!!!ごはんどられぢゃっだよぉ!!!!!」
「ゆわあぁああぁあん!!!!!でいぶのあがぢゃんがあぁ!!!!」
「どぼじでだまっでだの!!!どずならにんげんなんがやっづけられるでじょおお!!!!」
一方ドスの周りでは泣き叫ぶ成体ゆっくりがいた。この成体ゆっくりに共通していることは最近群れにやってきた新参であるということだ。
「何言っでるの!!ドスが人間さんにかなうわけないでしょ!!!!」
「そ…そんなことはないんだぜぇ!!!どすにはどすすぱーくがあるんだぜ!!!!」
「そうだよ!!どすはつよいんだよ!!だからにんげんなんかすぐたおせちゃうよ!!」
好き勝手にいい加減なことを言うゆっくりにドスはイライラしていた。そしてついにドスがキレた。
「いいかげんにしてね!!!!ドススパーク?人間さんにはきかないんだよ!!!!それに……」
ドスの怒号に群がっていたゆっくりだけでなく他のゆっくりまで驚いていた。
「ドスは……もうドスは…ドススパークはうてないんだよ……」
ドスは今にも泣きそうな顔をして呟いた。
「そ…そんな…」
「ゆ……ゆぅ……」
周りのゆっくりもうな垂れた。
「人間さんはえらいんだよ!強いんだよ!人間さんにしたがうのがここの決まりだよ!!それがいやだったらさっさと出て行ってね!!」
ドスは足元のゆっくり達を睨み付けた。
「わ…わがっだよ……」
「ゆっぐり…でぎないよぉ…」
不平を言っていたゆっくりが1匹1匹と帰っていった。
ドスは思い出していた。本当は思い出したくも無かった。だが彼らがやってくる度にどうしても思い出してしまうのだ。
『ゆぅ…まりさとれいむがもどってこないよ…』
『まさか…にんげんさんのところにいっちゃったのかしら…』
群れのれいむとまりさの夫婦が数日間帰ってこなかった。ドスは側近のありすとずっと心配していた。
『ゆ!にんげんさんがきたよ!!』
ある日大勢の人間が杖を片手にやってきた。色んな荷物を持っていた。皆屈強な体格だ。
『ゆ!れいむ!!れいむがいるよ!!』
『まりさ!!しんぱいしたんだよ!!』
彼らは行方不明になっていたれいむとまりさを箱の中に入れていた。2匹ともぐったりとしていた。
『この群れのリーダーは誰だ?さっさと呼んで来い!』
すぐにドスがやってきた。何事かと群れのゆっくりが全員集まっていた。
『に…人間さん。れいむとまりさは…』
『こいつらか。畑に入ったんだよ。無断でな。荒らす前に捕まえてお仕置きしたんだよ』
箱かられいむとまりさが解放された。
『ゆあ!!いだい!!』
『ゆべ!!……ゆ!!ど…どす!!どす!!きいてほしいんだぜ!!』
2匹はドスに近付いた。
『にんげんがかわいいれいむをいじめたんだよ!!せいさいしてね!!』
『そうなんだぜ!!じじいがまりさのことをいじめたんだぜ!!』
ドスはやれやれといった顔をした。
『人間さんの畑には近付いちゃだめって言ったでしょ!!どうしてやくそくやぶっちゃうの!!』
頭の良いゆっくりであれば勝手に他人の敷地に忍び込んだり荒らしたりするのは悪いことだと分かっている。ドスも分かっているのだ。
『なにいってるの?れいむたちはおやさいさんをとりにいっただけだよ!』
やっぱり、といった表情をするドス。
『おやさいさんはかってにはえてくるんだよ!!ひとりじめしてるにんげんがわるいんだぜ!!』
ドスの表情は勘弁してくれ、といった感じに変わった。悲しいがこれが一般的なゆっくりの知能。勿論ドスには真実は分かっている。
『何度も言ったでしょ!!お野菜さんは勝手に生えてこないの!!人間さんががんばって作ったんだよ!!』
何度も何度も説明したはずだ。それなのに覚えてくれない。困ったものだ。
『なにいってるんだぜえぇ!!どす!!わるいじじいにだまされてるだけなんだぜ!!』
『いいかげんにしてね!!』
ドスは2匹の上にゆっくりと圧し掛かった。
『ゆがががあぁぁ!!!どぼじでえぇぇ!!!』
『なにじでるんだぜぇぇぇ…ぜいざいずるのは……じじ……ゆぎぃぃぃ……』
2匹が参ったところでドスは2匹から離れ人間達の方に向いた。
『人間さん。ごめんなさい。ちゃんと言い聞かせますからゆるして下さい』
中々良く出来たドスである。
『ハッハッハ。ドスさんよぉ…。こいつらだけじゃないんだよねぇ…』
1人の男がドスの横に立ち、隣の人の肩を組むような感じで話しかけた。
『これまでにも被害が出てるんだわ。なぁ、どう落とし前をつけてくれるんだい?』
『ゆ……そ…それは……ほ…本当な………』
ドスの話の途中で横に立っていた男が指をパチンと鳴らした。
『行け!!!!』
『足を狙え!!』
『そらよ!!!!くたばれ!!!』
一斉に他の人間達が杖を逆さに持ちドスの足元に思いっきり杖を刺し込んだ。
『ゆぎゃああああ!!!!!!な…何ずるのおおおおぉぉぉ!!!!!!』
ドスは悲鳴を上げた。横に立っていた男も自らの杖をドスの足元めがけ突き刺した。
『ゆぎぃいいいい!!!!いだいい!!!いだいいい!!!いだいいいい!!!!』
ドスは暴れ回った。ドスが暴れる度に足元に刺さった何本もの杖が折れていった。
『どずぅぅぅ!!!!』
『ゆぎゃああ!!!ごっぢごないでえええ!!!』
『つぶされるうぅ!!!』
『ど…どじゅうぅぅぅぅ……』
『きょわいよおぉ!!!』
群れのゆっくり達は逃げ惑った。暴れ回るドスに潰されて死んだゆっくりやぶつかって怪我をするゆっくりもいた。
『ゆぎ!!ゆぎいぃ!!!!じみるうう!!!!じびるうう!!!!ゆぎゃああああ!!!!』
杖には仕込みがあった。杖には辛子と山葵を混ぜた液を塗っている。中の餡子に相当なダメージを与えているだろう。
『ゆがああぁ!!!にげるんだぜえぇ!!!!』
『れいむはにげるよ!!!!』
ここにいるのは危険だとゆっくり達が遠くに逃げようとした。
『ハッハ。逃がさないぜ』
『うっうー!!!』
『ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!』
だが人間やれみりゃ、ふらんがいつの間にかゆっくり達の目の前に立ち塞がっていた。
『れみりゃだあああ!!!!』
『どぼじでふらんもいっじょなのおおおぉ!!!』
『ごっぢにもいるんだぜええぇ!!!』
『ありちゅはおいちくにゃいからにぇえぇ!!!あっちいっちぇえぇぇ!!!』
人間とれみりゃ、ふらんは丁度群れをぐるっと取り囲んでいた。ゆっくり達は逃げるのを諦め固まって震えていた。
『ゆぎぃぃぃぃぃ………な…なにじだぁ……どぼじで…ごんなごどをぉ……』
漸くドスが落ち着いた。
『まだ元気そうだな。あぁ?』
男達はドスの周りに群がった。
『な…なに…なにずるぎぃ……』
『やっちまえ!!!!』
彼らはドスを殴り始めた。ドスといえば2つの大きな必殺技を持っている。1つは体当たりだ。その巨体で敵を吹っ飛ばすのだ。
だがドスは奇襲され足元を集中的に痛めつけられた。しかも足元内部の餡子は辛子と山葵で痛めつけられている。大怪我を負ったのだ。
ドスならばこれで一生歩けないということにはならないが今は動くことが出来ない。空高くジャンプすることも不可能だ。
ドスの脅威が半分封じられたことになる。
『ゆごおお!!!や…やべ…ゆぎぇえええ!!!!ぐえっ!!!!!ゆぎゃああああ!!!』
ドスがボコボコに殴られている一方で群れのゆっくり達はブルブル震えていたが1匹のありすが勇気を振り絞って叫んだ。
『ど…ど……どすにはどすすぱーくがあるじゃない!!!』
その一声に群れのゆっくり達が奮い立った。
『そ…そうだよ!!どすすぱーくがあればむてきだよ!!』
『どしゅぅ!!!どしゅしゅぱーくだよ!!』
『がんばるんだぜ!!どすだったらかてるんだぜ!!』
赤ゆっくりから成体ゆっくりまでドススパークを撃てとの声が上がった。その声は勝利を確信したものだった。
ドススパーク。これこそドスまりさの最大の必殺技である。ドスの額にしか生えないキノコを咀嚼することでレーザー光線が出せるのだ。
このドススパークが厄介なのだ。最大射程はあるものの生身の人間であれば大怪我は免れない。死ぬ場合だってある。
ドススパークをチラつかせて村を襲うなんていうドゲスもいるくらいだ。
『ゆっへっへ!!しにたくなかったらあやまるんだぜ!!』
『あやまったってゆるさないよ!!おいしいものもってきてね!!』
『もっちぇきちぇね!!』
『まりちゃはぽんでしゃんがいいよ!!』
早くも勝ち誇った顔でゆっくり達がニヤニヤし出した。
『へぇ…ドススパークね』
男達がピタッと殴るのをやめた。
『いまごろあやまったっておそいよ!!』
『くしょじじい!!まりちゃちゃまのどれいになりゅんだじぇ!!』
ゆっくり達はこの後の勝利の宴を期待していた。
『撃ってみな』
『『『ゆ!!!!?』』』
ゆっくり達の予想に反して男が言った。
『つ…つよがりはやめるんだぜ…』
『いやいや。ドススパークでしょ。おお、撃ってみなって』
『遠慮するなよ』
『ありゃ?もしかして本当は撃てない?』
『ハッタリかい?』
『見せてみろよ』
男達が挑発した。
『ゆぎぎぎぎ……よぐぼ…よぐもぉ……』
ドスの顔が怒りに満ちていた。
『ど…どす!!やっちゃえ!!!』
『このじじいをころすんだよ!!』
『分がっでるぅ……じねぇ…じねぇ…』
ドスは体を揺らし器用に帽子からキノコを口の中に転がし落とした。
『むーぢゃ…むーぢゃ…』
ドスがキノコを咀嚼する。徐々に口の中からキラキラと光が見えた。
『ほれ』
横にいた男がタイミングを見計らい開いたドスの口の中へ小さな玉を入れた。
『むーぢゃ…むー……ゆぎゅぎゅごぎょ……ゆびぇええええええ!!!!』
ドスが口の中のものを吐き出した。小さな玉は辛子と山葵とタバスコを混ぜ捏ねたものだ。
『あ………』
目の前にいた男がドスの吐瀉物を一身に浴びてしまった。
『ゆぎぇっ!!!!ゆぎぇっ!!!!っべっべ!!!!!』
ドスは咳き込み口の中のものが全て吐き出された。
『ゆぎぇえええ……がらいいい…ゆがががあぁぁ……ゆぎぃぃぃ……ゆぎぃぃぃ…』
ドスは苦しんでいた。
『『『アッハッハッハッハ!!!!!』』』
男達が爆笑した。
『なるほど!!これがドススパークね』
『確かに口から出たよな!』
『おいおい、何喰らってんだよ』
『確かに咀嚼してから吹っ飛ばしたな』
『こりゃ痛いよ。うん痛い』
男達の馬鹿にした話し声が聞こえドスは怒鳴った。
『ゆがあああ!!!!ちがう!!!今のはドズズバーグなんかじゃない!!!!!』
『っへっへ。悪かったよ。確かに精神的ダメージが大きいよ。お前はちゃんとドススパークが撃てるんだな』
『ちがううう!!!!ちがううう!!!!今のはちがううう!!!!』
『何が違うんだよ。ドスがキノコ食って中身を吐き出すんだろ』
『そんなんじゃないい!!!!!ゆがああ!!!ごろずうう!!!ぜっだいごろじでやるううう!!!!!』
ドスは再度帽子からキノコを口の中へ転がし落とした。
『今度ごぞごろずぅぅ……むーぢゃむーぢゃ…』
ドスの自由にドススパークが撃てるわけではない。キノコを咀嚼するのに時間が掛かるのだ。
『むーぢゃむー…ゆびゃっ!!!』
ドスの背後を男がバットで殴った。
『じゃばずるなぁ……むー…ぢゃっ!!!』
今度は別の男がバットで側面を殴った。
『ゆがあぁぁぁぁ……むーぢゃ……っ!!!』
今度はドスの目の前でまた別の男が包丁を取り出した。ギラリと包丁の刃が光った。
『む……ゆぎょおおお!!』
目の前の包丁に気を取られ過ぎていた。ドスの背後と側面を同時にバットで殴られたのだ。
『こっちも忘れないでくれよ』
包丁がドスの頬に深々と突き刺さった。
『ゆぎゃあああああ!!!!!』
口の中のものは全て吐き出された。
『ま…まっ……ゆあああああああ!!!!!!!!』
男は突き刺さった包丁を引き抜かずそのまま下方向へ力を込めた。ドスの頬にザックリと切れ込みが出来た。
『いだいいい!!!!いだいいい!!!!いだいいい…ゆぎょおおお!!!』
今度は下腹部を蹴飛ばされた。
『どうした!!!撃ってみろよ!!!』
『服汚した落とし前はつけてくれるんだろうな!!!』
『ドススパーク撃てよ!!!ほら早く!!!』
全員で寄って集ってドスを攻撃し始めた。
『ゆがっ!!!やべで!!!やべでええ!!!ゆぎぃい!!!!ま…まっで!!!まっでぇ!!!!』
ドスが悲鳴を上げた。
『馬鹿だな。もうとっくにゴングは鳴ってるんだよ!!!!』
『少し待ってくれだぁ?じゃあてめぇは殺されるまでじっと待ってるってのか!!?』
『待つって何だよ!!?撃てるんだろ!!!ドススパーク!!!!』
ドスへのリンチは更に続いた。
『ゆぎゃあ!!!!いぢゃあああ!!!!ゆる……ゆびぇえええ!!!ゆ…ゆるじぢぇええ!!!!!』
群れのゆっくり達は呆然としていた。無敵を誇るドスが簡単に負けたのだ。
『ゆ…………』
『ど…どうじで………』
『どず……』
『う…うぞでじょ……』
『ぞ…ぞんなぁ……』
『あ…ありちゅたち……どうなっちゃうの……』
『ゆ…ゆるじで…ゆるじでぇ……』
ゆっくり達は逃げる気も失せていた。
『ゆぎぃっ!!!!や…やめっ!!!あぎゃああ!!!ぼ…ぼういやっ…ゆぎゃあああ!!!!』
バットで殴られ包丁で抉られタワシで擦られドスはボロボロだ。
『もう止めてやれ。ここまでやれば充分だ』
ドスが漸く解放された。
『ゆ…ひぃ……ゆはぁ……いだい…いだいよぉ……いだいよぉ……』
男達の視線が群れのゆっくり達に向けられた。
『ゆああ!!!!…ま…まりざはわるくないがらねぇ!!』
群れのゆっくり達が恐怖で固まっている中1匹のまりさが勇気を振り絞って駆け出した。
『うー!!つかまえたんだどぅ~』
『はなじでええ!!!!みのがじでぇぇ!!ばりざをおろじでええぇ!!!……ゆべっ!!!!』
呆気なくれみりゃに捕まり元いた場所に放り投げられた。
『ゆ…ゆるじでぐだざいぃ!!!!!』
『まりちゃちにちゃくにゃいよぉぉ!!!!』
『ゆえぇえぇえん!!!!おきゃあしゃあぁぁん!!!おちょうしゃぁぁん!!!』
『もうおやざいさんとりまぜんがらぁぁ!!!ごべんなざいい!!!!!』
群れのゆっくり達が命乞いを始めた。
『ゆ…ゆるじ…で…。も…もう…ざがらっだりじな…いがらぁ……』
ドスも弱々しく呻いていた。
『…………』
1人の男、彼がこの人間達のリーダーなのだが前に出てゴム弾入りの拳銃を取り出した。空に向けて2、3発発射した。
『『『ゆひぃ!!!!!』』』
『『『ゆぎゃぁ!!!!』』』
鋭い銃声に群れのゆっくり達が震え上がった。
『今からこの群れは俺達が支配する!!!!!!!!!!!!』
彼は大きな声でそう言い放った。
『ぞ…ぞんなぁ!!』
『どぼじでええ!!!!』
『どずぅ…どずぅ!!!なんどがじでええ!!!!』
ゆっくり達の声を無視し彼は続けた。
『今からお前らには3つの掟を守ってもらう!!!!!』
一呼吸置いた。
『1つ!!!!ゆっくりは人間の奴隷である!!!!!!!!』
その言葉を聞きゆっくり達が騒ぎ始めた。
『どぼじでぞうなっぢゃっだのおお!!!!!』
『まりさはどれいになんがなりだぐないよぉぉ!!!!』
『それじゃゆっぐぢでぎないでじょおお!!!!!』
『ぞんなのやぢゃあぁぁ!!!!!』
『ありずはどれいになんがならないわよ!!!!ぞんなのぜんぜんどがいはじゃないわ!!!』
彼はドスの方向を向いた。
『ドス!!!!!!復唱しろ!!!!!』
『ふ…ふぐじょう…?…』
『同じことを言えってことだよ!!!!ほら!!!ゆっくりは人間の奴隷である!!!!…言ってみろ!!!!!!』
『ぞ…ぞんなの…言えるわげないでじょぉ……。ドズたちは……どれいなんがじゃ…ないよぉ……』
『逆らわないって言わなかったか?教育が足りないな。やれ!!!!』
リーダーの指示で再びバットを持った男達がドスの周りに群がった。
『いや…いやぢゃあああああ!!!やべでやべで!!!!』
『分かるまでたっぷり教えてやるよ!!!!』
一斉にドスを殴った。
『ゆぎゃあああ!!!!!!やべでええ!!!!い…言いまず!!!ゆごぉっ!!!言いまず!!!!…っ…言いまず!!!!!!』
男達が殴るのを止めた。
『ぞ…ぞんなぁ……いっぢゃ…だべ…だべだよぉ…』
『どれい…なんがじゃ…ないよぉ…』
『ゆっくちちちゃいぎぇにゃい…にょ?りぇいみゅは……ゆっくちちちゃ…だびぇ?にゃの……』
ドスは涙を流しながら口を開けた。
『ゆぅぅ……っぐ……ゆ…ゆっぐり…はぁ…ゆっぐりはぁ…に…にんげん…の……ゆぴゃあああ!!!!』
ドスの横にいた男がスタンガンを手にしていた。
『人間?奴隷の分際で呼び捨てとは良い度胸してるよ』
『ちゃんと様付けろよな。さ・ま。分からないんだったら教えてやるぞ』
『ごべんなざい!!!ごべんなざい!!!にんげんざま!!!にんげんざば!!!!にんげんざまぁ!!!!!』
『じゃ、もう1回いくぞ。ゆっくりは人間の奴隷である!!!!』
『ゆ…ゆっぐりはぁ…にん…人間さまの…どれ……ぃ…です……っゆっぐ………ゆぴぃいい!!!!!』
涙をかみ殺しながら屈辱の掟を言ったのに再度スタンガンを当てられた。
『ど…どぼじで……ぢゃんど…ぢゃんど言っだよぉ……言っだでじょぉ……』
『もっと流れるように言えよ。スムーズにさ』
『……ぞんなぁ………やだよぉ…言えないよぉ………』
『まだ教育か足りないようだな。おい、今度は目玉刳り貫いてやれ。片方無くなったって構いやせんわ』
ドスの目の前で包丁がギラリと光った。
『ゆぎゃあああ!!!!いいばず!!!!いいばず!!!だがらぞれはいやぢゃあああああ!!!!!』
『遠慮するなって。右がいい?左がいい?』
『どっぢぼいやあああ!!!!!ゆるじでぐだざいい!!!!!いいばず!!!!いいばずぅ!!!!!』
『右にしようっと』
ドスの右目に包丁の刃先が向けられた。
『ゆ……ゆっぐりは!!!!!ゆっぐりは人間さばのどれいでず!!!!!どれいでず!!!!!ゆっぐりはどれいでず!!!』
ドスは必死に何度も言った。
『よろしい。やればできるじゃねえか。素直な子は大好きだぜ』
『……ぐずっ……っゆっぐ……えっぐ……』
ドスはポロポロと涙を流していた。悔しいのだ。
『さて…お次はお前らだな。ドスみたいにちゃんと言えよな』
リーダーは残りのゆっくり達を1匹ずつ見つめた。
『よし、まずはお前だ。れいむ!!復唱しろ!!』
まずはれいむに復唱を命じた。
『なんでぞんなごどいわなぎゃならないの!!!!』
『ほほぅ。言わないつもりか』
『あたりまえだよ!!!!れいむはどれいじゃないよ!!!!ゆっくりだよ!!!かわいいんだよ!!!』
『ふん』
彼はれいむを掴んだ。右手は頭、左手は底部を掴んでいる。
『ゆがああ!!!なにずるの!!!!かわいいれいむをはなじでね!!!!れいむはおごるど……ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!!』
彼は力一杯れいむを伸ばした。
『いだい!!!!いだいい!!!!ゆぎぎぎぎ!!!や…やびぇ!!!!ち…ちぎれるうう!!!!!ぢぎでるうう!!!!』
ゆっくりは意外と丈夫だ。素手で細かく千切ることは容易だが2つに破ることは容易なことではない。
この点は電話帳に似ている。1枚1枚を破ることは容易だが電話帳を2つに引き裂くには大変な力が要る。
『ごごごごご…ごべんなざい…ごべんない…ゆぎぎぎぎ……ちぎ…ぢぎで…ぢぎでる……やべっ…ゆぎゃああああ……』
れいむがびろーんと伸びている。そしてついにれいむの伸びきった皮が少し千切れた。
『いぢゃああ!!!!!いぢゃああ!!!ゆがああ!!!ぼ…ぼうじんぢゃう!!!じぬうう!!!!ゆぎゃああああ!!!!』
一度裂けるともう止まらない。どんどん皮が裂けていった。
『ゆぎゃああ!!!!ぼ…ぼっど…ゆっぐりじだがっ………』
断末魔とともにれいむの体は真っ二つに引き裂かれた。
『はぁ……はぁ…』
屈強な男でも結構力が要る。れいむは丁度上顎と下顎から引き裂かれていた。
『ほらよ』
彼はれいむの死骸をゆっくり達に投げた。
『ゆぎゃああ!!なにごれえええ!!!!』
『でいぶうう!!!でいぶううう!!!!じっがりじでえ!!!』
『むぎゅぅ……』
『きょわいよぉぉぉ!!!!!こんにゃのやぢゃあああ!!!!』
ゆっくり達はれいむの死骸から後退りした。
『…ゆ……ゆ……ひ…どずぎる……ひどい………』
ドスが弱々しく呻いた。
『おっと、忘れてた』
ドスの横にいた男が呟いた。
『ゆぴゃあああああああ!!!!!!!』
ドスにまたしてもスタンガンが当てられた。
『ど…どうじでぇ…どうじでぇ……なんにぼじでないのにぃ……』
『下っ端の不始末はてめえが落とし前つけるんだよ!!!!』
『ぞ…ぞんなぁ……』
『もう1回やり直しだな。ドス!!!!!!!』
『は…はい!!!!はい!!!!なにがようでずがああああ!!!!』
『復唱しろ。忘れてないだろうな?』
『おぼえでまず!!!ゆ…ゆっぐりは人間ざばのどれいでずぅ!!!!!!』
『流石はドス。物覚えが良い』
再びゆっくり達に視線が向けられた。
『今度はちゃんと言えよ。歯向かったら…ねぇ。……そこのぱちゅりー!!!!!!』
『むぎゅぅ!!!!!!』
急に指名され文字通り泡を食った。
『森の賢者の知能…みせてみろ』
『む…むぎゅ……ゆ…ゆっぐりは…っぎゅ…にんげんざまの…ど…どれい…むぎゅぶっ……』
『ぱ…ぱちぇぇ…じっがりずるんだぜ……』
『おおお、介抱してやれよ。ちゃんと言えるじゃないか』
番らしきまりさがぱちゅりーを背負って後ろへ逃げた。
『…そこのちぇん!!!!復唱しろ』
『わがらっ!!!!……ゆっぐりは…にんげんざまの……どれい…でず……』
『今度はそこのありす!!!!復唱しろ』
『ゆ…ゆぐ…ゆっぐりは…にんげん…ざま…のどれい…ぅぅ…でず…』
『中々都会派じゃねえか。次!そこのまりさ!!!!復唱しろ』
『は…はい……ぅぅ…ゆっぐりは…にんげんざまの…どれいでず…ゅぅぅ…』
『よーし。最後だ。…そこのれいむ!!!今度こそ決めてくれよ』
『ゆっくりは…にんげんさまの…どれいで…ず……』
『よーし。いい子だ。…最後にドス!!!!!!大きな声で復唱しろ』
『ゆ…ゆっぐりは!!!!!!人間ざまの…どれい!!!!!!…ぅぅ…でず!!!!!』
『いいだろう。お望み通り今日からお前らは俺達の奴隷だ!!!!!!』
『のぞんでなんが……ないのにぃ……』
『ゅぇぇぇ………っぐ……ひっぐ……』
『もう……ゆっぐぢ……でぎない………やだぁ……』
群れは悲しみに包まれた。
『それじゃ2つ目の掟だ!!!!!!』
鋭い銃声がした。
『『『ゆぴゃああ!!!!!』』』
『『『ゆひぃいいい!!!』』』
しくしく泣いていたゆっくり達がビクッと固まった。
『2つ!!!!!ゆっくりは食料と子供を人間に捧げなくてはならない!!!!!!!!!』
一瞬群れが静かになった。が、すぐにあちこちから声が上がった。
『な…なにぞれえええ!!!!!』
『ぞんなごどしぢゃっだら……ゆっぐりでぎないよ!!!!』
『あがぢゃんをっ!!!だ…だべだよぉぉ!!!!そんなひどいごどできるわけないでじょおお!!!!』
『お…おがあしゃん…りぇいみゅは…りぇいみゅはど…どうにゃっぢゃうにょ?』
『ごはんさんがないとじんじゃうよぉぉ!!!』
『まりちゃ…おきゃあしゃんといっちょにいちゃいよ!!すてちゃやぢゃああ!!!!!!』
『ごはんあげぢゃっだらゆっくりでぎないよぉ!!!』
『ありずは……ありずはすでられぢゃうの!!!?そんなのやぢゃああああ!!!』
まぁ当然といえば当然の反応だろう。
『ゆ…ゅ……に…人間ざまぁ……それだげは…それだげは…ゆるじでぐだざいぃ………』
ドスが呻いた。
『ごはん…ざんも……あ…がぢゃんも…おちびぢゃ……ゆぎゃああああああ!!!!!』
ドスの頬にバットがめり込んでいた。
『ドスさんよぉ。俺達は出来るかどうかなんて聞いてないの。やるんだよ。やるの。分かんないならちゃんと教えてやらないとな』
さっきと同じようにドスは暴行を受けた。
『ゆぎぇえ!!!!いぢゃいい!!!!!やべ!!ゆぎょおおお!!!』
『全くめんどくさい奴だな』
『やっぱり目玉刳り貫いた方がよかったか』
『ゆるじ!!!!ゆびぇええ!!!あぎゃああっ!!!いだいい!!!ぼうやぢゃあああああ!!!!はなじぢぇええ!!!!』
ドスが暴行を受けているのを無視しリーダーは残りのゆっくり達を眺めた。
『おきゃあしゃんちょ…いっちょがいいよぉ!!!まりちゃいっちょにいちゃいよぉぉ!!!』
『どうじだらいいのぉ……やだよぉ……あがぢゃんどいっじょにいだいよぉ…』
『おがあざあぁん!!!れいむをすでないでえええ!!!!』
『すてだりなんがじないよぉ…すーりすーり……なぐの…やめでよぉ…』
ゆっくりは家族ごとに固まって身をすり寄せていた。
『ドスはああだから君達から復唱してもらおうか?』
『そ…ぞんなのやぢゃああああ!!!』
『やぢゃああ!!!あがぢゃんど!!いっじょにいざぜでええ!!!』
彼はれみりゃを3匹呼び寄せ耳元で何かを囁いた。
『『『うー!!わかったどぅ!』』』
れみりゃ達は1つの家族の所へ飛んだ。
『ゆうぅぅ!!!!ごっぢごないでええ!!』
『どぼじでごっぢぐるのおお!!!!』
『やぢゃああ!!!ゆっくちさしぇちぇええ!!!!』
ターゲットとされたのはまりされいむの番と赤まりさ1匹の3匹。赤ゆっくりの数が少ない気がするが今はどうでもいい。
『ゆあああ!!!!はなじでえええ!!!!どぼじでばりざなのおお!!!!ういでる!!!!おろじでえええ!!!』
『いやあああ!!!!やべでえええ!!!!でいぶはまだゆっぐぢじだいよおお!!!!!』
『たびぇないぢぇえええ!!!!ばりぢゃはおいじぐにゃいよおお!!!!!ころぢゃないぢぇえええ!!!!』
れみりゃ達は1匹ずつ持ち上げた。
『『『いっただきまーす!!!!』』』
れみりゃ達がゆっくりを食べ始めた。
『逆らったらこうなるからね。よーく見とけよ』
ゆっくりの体が萎んできた。
『たべないぢぇえええ!!!!いやあああ!!!じにだぐないい!!!!じにだぐない!!!!ゆっぐりじだいい!!』
『どぼじでごうなるのおお!!!!!やぢゃああああ!!!ぼっどゆっぐりじだがっだのにいい!!!!』
『ゆえぇぇぇん!!!ゆええぇえぇぇえん!!!!もっどゆっぐぢじぢゃがっだあああ!!!もっどじゅりじゅりじだがっだああ!!!!』
3匹は中身を吸われ皮と飾りだけになった。
『ゆぅぅぅ……』
『じ…じにだぐないよぉ…』
『じだがう…じがないよぉ……じぬはやぢゃあぁ……』
反抗的な態度を取るゆっくりはいない。ドスがズタズタにされれいむは2つに引き千切られ、たった今まりさ家族が食べられた。
ゆっくりの餡子脳でも圧倒的な力の差を充分に理解したのだ。逆らっても意味は無い。
『そこのまりさ!!!!!復唱しろ』
『ゆぐっ!!!』
急に指名されまりさが飛び上がった。
『うっうー』
『おぜうさまもおかしたべたいんだどぅ』
『ふらんだっておなかすいた!』
群れを囲んでいたれみりゃやふらんの視線がまりさに集まった。
『ゆぅぅぅ……ご…ごわいよぉ…』
『ほらほら、早く言わないとれみりゃ達のおやつになっちまうぞ』
『ぅぅぅ……』
まりさは観念した。
『ゆ…ゆっぐりは……ごはん…ごはんざんどぉ…ぅぅ…おちびぢゃんを……ぅ…にんげんさまに…あげまず…ぅ…ぅぅ…』
涙を噛み殺しながらまりさが復唱した。
『そこのありす!!!復唱しろ』
『おちびぢゃんどぉ…ごはんざんを…あげないどいけ…ない……』
ありすに続きれいむ、ちぇん、ぱちゅりーが涙ながらに復唱した。
『聞いたか?ドス、お前んとこのゆっくりは皆復唱できたぞ』
『ゆごっ……ゆぎっ……』
ドスはさっきよりもボロボロになっていた。
『ドス!!!!最後に綺麗に復唱してくれよ!!!』
『ぅ…ゆっ…ぐりは!!!ごはんど…おちびぢゃんを……人間さまに……あげ…まず…』
一部のゆっくりはもしかしたらと淡い期待をしていた。だがドスもこの掟に屈服してしまった。
『ゆえぇえぇえぇん!!!!!!!ゆえぇえぇえぇえん!!!!!!』
『ゆっぐ……えっぐ……』
『ゆわああぁあぁあぁん!!!!ゆわああぁあぁあぁあん!!!!!』
本当に自分達が人間の奴隷になったんだと実感しドスが復唱し終えた瞬間に1匹1匹と泣き出した
『俺達だって鬼じゃねえ。そんな不味いもん食いたきゃねえよ。餓鬼だって不細工だしな。少しだけ。少しだけ頂いてやるってことさ。
餓鬼だってたくさんいたら連れて行くってことさ。餓鬼が少なかったら持って行きはしねえよ』
リーダーの声はゆっくりに届いたのであろうか?
『じゃあ最後の掟だ!!!!!』
再び銃声。
『『『まだあるのおおおお!!!!!』』』
『『『ぼうやぢゃあああ!!!!』』』
ゆっくり達が泣き叫んだ。
『3つ!!!!!ゆっくりは人間の畑に入ってはならない!!!!!!!!!』
前2つの掟に比べれば軽いものだ。
『ドス!!!!ふくしょ……』
『ゆっぐりは畑になんが入りません!!!!!!人間さまの畑にはぜっだいに入りまぜん!!!!!!』
リーダーが命じる前にドスが叫んだ。
『もうはだげにいぎまぜん!!!』
『いがないよぉ!!!!いがないがらぁ!!!』
『まりちゃもいきゃにゃいかりゃああ!!!』
『おやさいざんはかってにははえでごないよ!!!でいぶわがっだがらぁ!!!』
早く解放されたいのかそれとも実は分かりきった事だったせいか残りのゆっくり達が我先にと3つ目の掟を叫んだ。
『素直になってきたじゃないか。じゃあ最後に3つ纏めて言ってもらおうか』
『ゆっぐりはにんげんざばのどれいでずぅ!!!!』
『ゆっぐりはごはんどぉ…おちびぢゃんを…にんげんざばにあげまず!!!!』
『ゆっくりははだけにはいりまぜん!!』
『どれいぃ!!!!ゆっぐりはどれいでず!!!!』
『にんげんざまのどごろにはいぎまぜん!!!!!』
『あがぢゃんあげばず!!!!ごはんもあげまず!!!』
ゆっくりはわんわん泣きながら3つの掟を叫んだ。
『ちゃんと守れよ。守るなら別に危害は与えないさ。ただ1つでも破ってみろ。そしたらお前らを加工所でゆっくりさせないからな!!』
『はいいい!!!!わがりまじだああ!!』
『かごうじょはいやあああ!!』
『ばりぢゃまもるよ!!!!ゆっくぢぃ!!!』
『ゆぅ……ぅぅ……っぐ…』
『ゆえぇえぇえん!!!!!ごれじゃゆっぐぢでぎないよおぉ!!!!』
『ゆわあぁあぁあん!!!!!どうじだらいいのおぉ!!!!』
男達は袋を取り出していた。
『んじゃ早速頂くぜ!!!今日は特別に子供だけにしてやる!!!!!!』
男達がゆっくりに近づいた。
『いやあああ!!!!ごないでえええ!!!』
『みゃみゃあああ!!!ありぢゅはいっちょがいいよお!!!』
『すでにゃいでええ!!!!まりちゃはすてちぇやぢゃあああ!!!!』
『ゆあああ!!!!れいむのちびぢゃんがあああ!!!はなじでええええ!!はなじでええ!!!』
一部の家族は男達の包囲網を抜け出そうとした。だが男達の背後ではれみりゃとふらんが待機していた。
『ごれじゃにげられないよおお!!!!』
『おぢょうしゃぁぁん!!!!だぢゅぎぇでえええ!!!!』
『ゆあああ!!!!ばりざのあがぢゃんがああああ!!!』
本来は1家族ごとに子ゆっくりと赤ゆっくりを集めさせ…といきたかったが最初はそう簡単に従ってはくれないだろうと別の方法を試みた。
とりあえず手当たり次第小さいゆっくりを袋の中に入れるのだ。今目の前にいる半分も持って行けばいいだろう。
『よし。これだけ回収すりゃ充分だろ。加工所に持ってくぞ』
残った子ゆっくりや赤ゆっくりは親ゆっくりにしがみ付いて離れなかった。
『がえじでえええ!!!!!おちびぢゃんがえじでえええええ!!!!』
『かこうじょはゆっぐりでぎないよ!!!!!あがぢゃんがえじでええ!!!!』
『ばりざのあがぢゃんがえぜええぇぇ!!!!どっでもゆっぐりじだあがぢゃんがえぜえ!!!!』
『どぼじでかごうじょにづれでっぢゃうのおぉ!!!!わるいごどじでないでじょおぉ!!!!』
男達は足元に纏わりつくゆっくりを蹴散らした。彼らはドスのもとへ近付いた。
『よし、ドスを治してやれ』
ドスには生きてもらわなくてはならない。生きてこの辺りのゆっくりを統制してもらわなくてはならないのだ。
『帽子を取れ。中身を確認するぞ』
帽子を脱がせた。中からは色々なものが出て来た。
『あったぞ』
キノコがコロリと2本出て来た。
『おい、キノコはこれだけか?』
『はいぃぃ!!!これと今生えてるやつだけでず!!!それいがいにはありばぜん!!!』
ドスの額には2本のキノコが生えていた。統計からみるとキノコはドスの額にのみ生えるらしい。それ以外の場所から生えた例は極々少数だ。
ドスは植物型妊娠をしない代わりに額からはドススパークのエネルギーとなるキノコを生やす、と仮定されている。
『しんじでぐだざい!!!ほんどうなんでず!!!ほんど…ゆぎゃああああああああ!!!』
額に生えたキノコを無理やり抜かれた。
『ゆぐっ……い…いだいよぉぉぉ!!!…いだいぃ……』
苦痛は更に続く。誰かが火炎放射器を持ってきた。
『額だけだぞ。他の部分には当てるなよ』
適度な大きさの炎が上がった。
『な…何ずるのおお!!!!!!??ごわい!!!やべでええ!!!!…ゆぴゃああああ!!!!』
炎はドスの額を燃やした。饅頭が焼ける匂いがしたが同じところをずっと燃やしているためすぐに焦げ臭くなった。
『あぢぃいいいい!!!!あづいい!!!じぬううう!!!!じぬううう!!!!!だずげでええ!!!!ゆるじぢぇえええええ!!!』
額を満遍なく燃やした。
『ゆぎぃい!!!ゆぎぇえ!!!ゆぎゃああ!!!!あづいよおおお!!!!!!ゆぎゃああああああああ!!!!!!』
『もういいだろ。消してやれ』
炎が消えた。
『ゆぎぃぃ……ゆひぃぃぃぃ……っはぁ…はぁ……いぢゃい……いぢゃいよぉ………』
ドスの額は真っ黒。ここまで酷いともう二度とキノコは生えてこないだろう。
『おーし、杖抜いてやれ。小麦粉塗れば問題無いだろう』
刺さっていた杖が抜かれ傷口や焦げた額を溶いた小麦粉で塗った。酷い箇所は餃子の皮を貼り付けて治療をする。
『どぼじで……どぼじで…こんなごどずるのぉ……。ひどずぎるよぉ……』
男の手にはキノコが4本。そのうち中くらいの大きさのキノコを1本残し残り3本を焼却処分した。
『ぎのこ…きのごぉ………それがないど……うでないよぉ……うでないぃ……』
ドスの最大のアイデンティティであるドススパークが事実上封じられた。ドスには相当なショックだ。
『ほらよ』
ドスの前にキノコが1本投げ出された。
『キノコは1つだけ残しておいてやる。これで1回だけドススパークを撃つも良し。細かく分けて弱っちいドススパークを2回3回撃つも良し。
……あとはお前の自由だ。だがドス…。判断を間違うなよ。間違った使い方だけはするな。分かったな』
『はいぃ……わがりまじだぁ……』
ドスの体から徐々に傷跡が見えなくなった。通常であれば再起不能の大怪我でもドスならば治すことが出来る。
数日休めば真っ黒に焦げた額以外は元通りだろう。
『飾り、あそこの木に打ち付けとけ』
2つに引き千切られたれいむのリボンとれみりゃに食べられたまりさ家族、まりさの帽子とれいむのリボンと赤まりさの小さな帽子。
転がっていた飾りを拾い適当な木に釘で打ち付けた。数日もすれば朽ちて無くなるだろうがゆっくりに恐怖を残すには充分だ。
そしてドスの治療が終わった。
『お前、中々見所のあるドスじゃねえか。気に入った。これからも仲良くしようぜ』
『ゆぅぅぅぅ………ゆ……っぐ……ひっぐ……』
『あれ?仲良くしたくないの?おじさん達困っちゃうな。また喧嘩しないといけないのかな?』
『ゆうぅぅ!!!ながよくじだいでず!!!!ながよく!!!!人間さんたちとなかよぐじだいでずうぅ!!!!!』
『そうそう。仲が良いのがいいよな。じゃあ俺達は帰るよ。また来るぜ』
人間達はれみりゃとふらんを連れて群れから出て行った。
「ゆぅ……」
ドスは帽子の中からキノコを取り出した。1本だけしかない。本当に危なくなった場合に使おうと大切に保管している。
「ゆぐっ!!!………」
人間に痛めつけられたときのことを思い出し身を竦めた。今でもあのときの痛みをはっきりと覚えている。
最近ドスは不思議に思うことがある。
"人間さんはこわいけど…ルールをやぶる子が少なくなったよ。前よりもドスはゆっくりできてるよ…。人間さんのおかげなのかな?"
人間に殴られるのは凄く痛い。だが以前よりも群れのゆっくりをコントロールし易くなったのだ。
"これで…本当はいいのかな……?…分からないよ…。ドスじゃ…人間さんにかなわないんだね……"
「………ゆぅ……ゆぅ………ぅ……ゆぅ……」
暫くあれこれ考えていたが人間達と会った疲れがどっと来てそのまま眠ってしまった。
「あれドスがいる群れじゃないと有効じゃないんですか」
山を降りながら新人が先輩職員とこんな話をしていた。
「ああ。通常サイズのゆっくりしかいない群れだとリーダーはちょいとばかし大きくて強くて頭の良い個体なだけだろ。ドスは違う。
大きさも強さも知能も桁違いな差だ。ドスがいない群れだとクーデターでリーダーが変わる。ドスならばそうクーデターは起こらない」
「ふむふむ」
「だからドスをしっかりと躾けてやれば皆それに従う。ドスだって自分の命が惜しいものさ。痛い目に遭いたくないから甘えさせない。
だけどこれがドスのいない群れだとクーデターでリーダーが新しくなって元に戻っちまう。実際試したんだがやっぱり失敗したな」
「駄目だったんですか」
「駄目というよりそれ以前の問題だったな。人間に対して恐怖しか感じないようになるまで痛めつけるってのがさ」
「ああ、加減が分からないんですね」
「そうそう。一番最初はありすだったかな。簡単に死にやがってな。群れの連中パニックになって逃げ出そうとしたから皆殺しにしたよ」
「ドスなら下手したら人間よりも耐久力ありますから死ななくていいですね」
「そうだな。その次はまりさだったかな。その時は手加減したんだがそんなに痛くなかったようでな。あんまり効果無かったわ」
「そうですか……」
「もう少しドスがいてくれたらいいのにな!そしたらこっちもやり易いのだが」
「あのキノコ…。本当にもう生えてこないんですか?」
「とりあえず1~2ヶ月ごとに各群れに行って確認してるんだが今のところ再生した例は無いぜ。安心しな」
このシステムが出来てからドス絡みの問題は一気に無くなった。ドスが統治している群れが農村に迷惑をかけることは無くなった。
他愛も無い話が暫く続いた。
「よし、ここらで捨てるぞ。回収した餌をそこらじゅうにばら撒いとけ」
途中で行進が止まり袋に入った餌をばら撒き始めた。
「え、それ捨てちゃうんですか?」
新人が質問した。
「別にこんなもん欲しく無いだろ。それにこうやって捨てておけばそのうちあいつらが新しい食料として見つけるだろう」
「あれ?食い扶持は同じって事ですよね」
「そこだよ、そこ。別に俺らはゆっくりを殲滅しに来たわけじゃない。恐怖を与えるために来ただけだ。それにな…」
傍に村人もいるせいか声を潜めた。
「俺達はゆっくりを利用して稼いでるんだ。そう簡単に死んでもらっちゃ困る。ゆっくりは生かさず殺さず。これが一番さ」
「ふふっ。上手いですね」
袋はもう1種類ある。子ゆっくりや赤ゆっくりが詰まっている袋だ。
「まりちゃもおしょどにでぢゃいよぉぉ!!!!」
「おぎゃあじゃあぁん!!!!おぎゃあじゃあぁん!!!!」
「ありぢゅもだじぢぇええ!!!!」
「ゆっくちぢだいよぉ!!!かきょうじょはやぢゃあああ!!!」
袋の中でピーピー泣いていた。
「………」
袋を持っていた男は地面に袋を置くと思いっきり袋を踏んづけた。
「ゆぴゃああああ!!!」
「ゆびゅっ!!!!」
「ゆぎゃああああ!!!」
詰まっていたゆっくりの3分の1程が潰れた。
「ゆぎゃああああ!!!!ば…ばりぢゃああ!!!ばりぢゃああああ!!!」
「ころちゃないぢぇええ!!!!やぢゃああ!!!ちぬのはやぢゃああ!!!」
「みゃみゃぁ!!!みゃみゃぁ!!どびょじぢぇだじゅぎぇでぐれにゃいのぉ!!!」
目の前で潰されたゆっくりだった餡子と皮を見て生き残ったゆっくり達が悲鳴を上げた。
「お前達はダメ。今から加工所に行ってこんな風にすり潰されちゃうの。ぶちゅぶちゅ!!ってね。今のうちに泣き喚いときな」
男は袋を少し開け中のゆっくり達にそう言った。
「しょんにゃのやぢゃああ!!!!」
「ちにちゃぐにゃいよおぉ!!!ゆっくちちたい!!!ゆっくちちたいよぉ!!」
「ゆあぁあぁあぁん!!!!おがあざぁん!!!おがあざぁん!!」
「ゆっくちちちゃかっちゃよぉ!!!おにぇえちゃあん!!!おにぇえぢゃあぁん!!!」
袋の中のゆっくりの泣き声をBGMに彼らは山を降りて行った
終わり
by エルダーあき