ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2089 此の世のひがん
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ankoss
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今考えてみると、精神が臨界温度を超えてメルトダウンしてしまったという錯覚を覚えるほどに、衝動的な行動だった。一生、真新しいイベントに遭遇することがないであろう休日の昼間、俺は全財産の4万円とホームセンターで買った1500円のロープ・本屋から盗んできた高さ60センチ程度の脚立をリュックサックに装備して、家を飛び出た。それから市営地下鉄を使い、新幹線を駆使し、下調べもしてこなかったので駅員さんに場所を聞きながら乗り継ぐこと数時間、目的地である日本一高い山が聳える場所の最寄り駅に俺は立っている。今にも雨が降り始めそうな薄黒い曇天と人を惑わすような霧が立ち込めていて、山に来たことを証明してくれる。なんというか、ここまで来たなという実感が小学生時代の遠足のワクワク感を彷彿させ、口がにやけてきた。
そんな俺を不審に思ったのか、初老の駅員さんが声をかけたきた。
「あの、自殺ならやめたほうがいいですよ」
うん、さすがにバレバレだよな。ずっと手に握られていたロープとリュックからはみ出た脚立を見れば十中八九、俺が自殺志願者だと判断するだろう。だが、余りにも不審な俺に声をかける人はいなかった。実はこの駅員さんが最初の人である。この辺りの駅員さんだからその手の人間との接触が多いからだろうな。だけどね、ふふ、マニュアル通り俺を止めようと思っても無駄だ。良心が何ぞ。俺の決心は堅いのだ。具体的に表現するならばポリンキーが妥当だろうな。
駅員さんが俺に優しく語り続けてきているが聞こえない。聞ーこーえーなーいーのですよ。俺の足は未来へとつなぐヴィクトリーロード(?)へと向けられた。さあ、俺を止められるなら止めてみろ! 高校時代に帰宅部で鍛えた脚力をナメるなよ!
そんな俺を不審に思ったのか、初老の駅員さんが声をかけたきた。
「あの、自殺ならやめたほうがいいですよ」
うん、さすがにバレバレだよな。ずっと手に握られていたロープとリュックからはみ出た脚立を見れば十中八九、俺が自殺志願者だと判断するだろう。だが、余りにも不審な俺に声をかける人はいなかった。実はこの駅員さんが最初の人である。この辺りの駅員さんだからその手の人間との接触が多いからだろうな。だけどね、ふふ、マニュアル通り俺を止めようと思っても無駄だ。良心が何ぞ。俺の決心は堅いのだ。具体的に表現するならばポリンキーが妥当だろうな。
駅員さんが俺に優しく語り続けてきているが聞こえない。聞ーこーえーなーいーのですよ。俺の足は未来へとつなぐヴィクトリーロード(?)へと向けられた。さあ、俺を止められるなら止めてみろ! 高校時代に帰宅部で鍛えた脚力をナメるなよ!
「ぜぇ……ぜぇ……もう、無理……」
阿呆を追いかけるほど駅員さんに余裕はなかったらしく、結局、俺がトチ狂って一人全力かけっこをするだけの結果が残った。走っている最中に脚立が頭にガンガンあたってたんこぶができるし、運動不足の体に鞭を打った代償として、肺が異常に酸素を欲しがり、太ももと脹ら脛に激痛が走る。これが真夏のカンカン照りじゃなくてよかったと改めて天候に感謝した。
「ジュースが欲しい……」
時折聞こえてくる車のエンジン音をバックに道沿いに設置してある自動販売機にうめき声をあげながら駆け寄る。田舎特有の割高なジュースの値段を恨みながらポケットからお金を摘む。だが、
「30円しか無い……」
お金が足りなかった。自棄っぱちになってお金を使いすぎてしまったのだ。
どうしようかと思っていた矢先に神様の手から救いの手が差し伸べられた。
「―――ゆっくり~のひ~まったり~のひ~」
ほんの微かにだが、自動販売機の裏側からゆっくりの歌声が聞こえてくる。よく見てみると暗い森林の奥深くからゆっくりらしき物陰が見えるのだ。この際、ゆっくりを食べて喉の渇きを潤すのも良いかもしれない。今日の空気はかなり湿っているから、ゆっくりもみずみずしいに違いない。
「さて、捕まえるか」
人工樹脂で模した丸太で組まれた安全柵を飛び越えた。ゆっくりまでの距離はおよそ20メートル。人間が走れば簡単に追いつくが、筋肉痛のお陰でなるべく歩いて接近しなくてはならない。
ずーりずーりと心の中でゆっくりの真似をしながら物音建てずに接近する。だが、足元に樹の枝が転がっていたことを忘れていたのだ。
「ゆゆ?」
樹の枝が折れた音でどうやらこちらに気づいたようだ。カチューシャと金髪がキュートなありす種だ。
「………………」
互いに見つめ合う。純粋で綺麗なお目目をしたゆっくりに死んだ魚の目をした薄汚い俺。美女と野獣の構図が出てきたよ。ゆっくりごときに。末期だな。
このまま睨み続けても埒があかないので俺は渾身の挨拶をキメてみた。
「ゆッッッくりーしていってねッッ!!!!!」
以前、オレに突っかかってきてたでいぶの真似だ。でいぶ曰く、この言い方が最もゆっくりしていて、最高にゆっくりしているでいぶを見られたから甘いものを出すのは常識であるそうな。でも、残念ながら非常識な俺はでいぶの膨れた顔をつま先で蹴り飛ばしてやった。ま、今回は常識に則って挨拶をしたわけで、常識で言えばありすは自分の身を呈して甘いモノをくれるだろう。さあ、よこせ。
「でいぶっぽくってゆっくりできなぃいいいい!!!!」
いやいや、そんなこと言うなよ。てか、逃げ出すんじゃない! お兄さん、傷ついちゃったじゃないか!!
「おい、まて! あまあまよこせよ!!」
ありすがウサギで俺がアリスで。筋肉痛のハンデもあり俺はアリスと良い勝負を繰り広げざるを得なくなった。この先がワンダーランドだったらうれしいな。そんな間抜けな妄想をしながら知らない間に帰り道を失うほどに奧深くへと進んでいった――
阿呆を追いかけるほど駅員さんに余裕はなかったらしく、結局、俺がトチ狂って一人全力かけっこをするだけの結果が残った。走っている最中に脚立が頭にガンガンあたってたんこぶができるし、運動不足の体に鞭を打った代償として、肺が異常に酸素を欲しがり、太ももと脹ら脛に激痛が走る。これが真夏のカンカン照りじゃなくてよかったと改めて天候に感謝した。
「ジュースが欲しい……」
時折聞こえてくる車のエンジン音をバックに道沿いに設置してある自動販売機にうめき声をあげながら駆け寄る。田舎特有の割高なジュースの値段を恨みながらポケットからお金を摘む。だが、
「30円しか無い……」
お金が足りなかった。自棄っぱちになってお金を使いすぎてしまったのだ。
どうしようかと思っていた矢先に神様の手から救いの手が差し伸べられた。
「―――ゆっくり~のひ~まったり~のひ~」
ほんの微かにだが、自動販売機の裏側からゆっくりの歌声が聞こえてくる。よく見てみると暗い森林の奥深くからゆっくりらしき物陰が見えるのだ。この際、ゆっくりを食べて喉の渇きを潤すのも良いかもしれない。今日の空気はかなり湿っているから、ゆっくりもみずみずしいに違いない。
「さて、捕まえるか」
人工樹脂で模した丸太で組まれた安全柵を飛び越えた。ゆっくりまでの距離はおよそ20メートル。人間が走れば簡単に追いつくが、筋肉痛のお陰でなるべく歩いて接近しなくてはならない。
ずーりずーりと心の中でゆっくりの真似をしながら物音建てずに接近する。だが、足元に樹の枝が転がっていたことを忘れていたのだ。
「ゆゆ?」
樹の枝が折れた音でどうやらこちらに気づいたようだ。カチューシャと金髪がキュートなありす種だ。
「………………」
互いに見つめ合う。純粋で綺麗なお目目をしたゆっくりに死んだ魚の目をした薄汚い俺。美女と野獣の構図が出てきたよ。ゆっくりごときに。末期だな。
このまま睨み続けても埒があかないので俺は渾身の挨拶をキメてみた。
「ゆッッッくりーしていってねッッ!!!!!」
以前、オレに突っかかってきてたでいぶの真似だ。でいぶ曰く、この言い方が最もゆっくりしていて、最高にゆっくりしているでいぶを見られたから甘いものを出すのは常識であるそうな。でも、残念ながら非常識な俺はでいぶの膨れた顔をつま先で蹴り飛ばしてやった。ま、今回は常識に則って挨拶をしたわけで、常識で言えばありすは自分の身を呈して甘いモノをくれるだろう。さあ、よこせ。
「でいぶっぽくってゆっくりできなぃいいいい!!!!」
いやいや、そんなこと言うなよ。てか、逃げ出すんじゃない! お兄さん、傷ついちゃったじゃないか!!
「おい、まて! あまあまよこせよ!!」
ありすがウサギで俺がアリスで。筋肉痛のハンデもあり俺はアリスと良い勝負を繰り広げざるを得なくなった。この先がワンダーランドだったらうれしいな。そんな間抜けな妄想をしながら知らない間に帰り道を失うほどに奧深くへと進んでいった――
「ゆんやぁーーー!!はなしてぇえ!!」
肺………痛…………足……ヤバ…………………かゆ……うま。
「どぼじでごんなごどするのぉおお!!! どがいばじゃないわぁああああ!!!」
苔にまみた緑青色の大樹が一定の間隔で立ち並び、見下ろしてくるのでどこか薄暗い。ここが一体どこなのかが分からないほどに木が生えているので、帰る方法が分からなくなってしまった。まあ、目的のことを考えれば大した問題ではない。
体積と排出量のバランスがおかしいんじゃねぇのと、疑ってしまうほどに砂糖水を目から垂れ流すありす。それを片手で掴んでいるこっちの身にもなって欲しいな。手がベトベトだし、体力が限界で握力もヤバイ。
「いや、俺、喉が渇いててさ」
体中から汗が拭きでてくる。その原因は先程までのかけっこというよりは痛みが最大の原因である。要するに冷や汗だ。呼吸が定まらなくて苦しい。
「じゃあ、なんでありすをつかまえるのぉおおお???」
「そりゃ、お前の中身を食べるためだよ。今日は寒いからありすの中身も冷たくって美味しいかなって」
「おにいさんはれみりゃじゃないでしょおおおおお!?? ありすをたべないでみずをのめばいいじゃない!!!!!」
パンが無ければケーキを食べればみたいに聞こえてなんだか腹がたってきたぞ。ついでにブリオッシュも無理だから。
「だって、水がないから仕方ないじゃないか」
「それなら、みずうみさんをあんないするからはなしてー!!!」
肺………痛…………足……ヤバ…………………かゆ……うま。
「どぼじでごんなごどするのぉおお!!! どがいばじゃないわぁああああ!!!」
苔にまみた緑青色の大樹が一定の間隔で立ち並び、見下ろしてくるのでどこか薄暗い。ここが一体どこなのかが分からないほどに木が生えているので、帰る方法が分からなくなってしまった。まあ、目的のことを考えれば大した問題ではない。
体積と排出量のバランスがおかしいんじゃねぇのと、疑ってしまうほどに砂糖水を目から垂れ流すありす。それを片手で掴んでいるこっちの身にもなって欲しいな。手がベトベトだし、体力が限界で握力もヤバイ。
「いや、俺、喉が渇いててさ」
体中から汗が拭きでてくる。その原因は先程までのかけっこというよりは痛みが最大の原因である。要するに冷や汗だ。呼吸が定まらなくて苦しい。
「じゃあ、なんでありすをつかまえるのぉおおお???」
「そりゃ、お前の中身を食べるためだよ。今日は寒いからありすの中身も冷たくって美味しいかなって」
「おにいさんはれみりゃじゃないでしょおおおおお!?? ありすをたべないでみずをのめばいいじゃない!!!!!」
パンが無ければケーキを食べればみたいに聞こえてなんだか腹がたってきたぞ。ついでにブリオッシュも無理だから。
「だって、水がないから仕方ないじゃないか」
「それなら、みずうみさんをあんないするからはなしてー!!!」
「ゆゆ? にんげんさん、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
大樹の根っこが迸る腐葉土で彩られた大地の上に、案内役のありすとは別に帽子を何かで満杯にさせたまりさが挨拶をしてくれた。
「にんげんさんもぶーらぶーらしにきたの?」
「ぶーらぶーら?」
「ゆ! ここにくるにんげんさんはきのえださんにひもさんをむすんで、わっかにくびをいれてぶーらぶーらするのぜ!!」
さすが、自殺の名所といったところだろう。この辺りに住んでいるゆっくり達にとっては当たり前の光景らしい。でもな、ぶーらぶーらは楽しくてやってるんじゃないぞ。
「ま、そんな所だけど、まずは水を飲みに湖に向かうところさ」
「ゆ? それならまりさもいっしょだからいっしょにいくのぜ!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
大樹の根っこが迸る腐葉土で彩られた大地の上に、案内役のありすとは別に帽子を何かで満杯にさせたまりさが挨拶をしてくれた。
「にんげんさんもぶーらぶーらしにきたの?」
「ぶーらぶーら?」
「ゆ! ここにくるにんげんさんはきのえださんにひもさんをむすんで、わっかにくびをいれてぶーらぶーらするのぜ!!」
さすが、自殺の名所といったところだろう。この辺りに住んでいるゆっくり達にとっては当たり前の光景らしい。でもな、ぶーらぶーらは楽しくてやってるんじゃないぞ。
「ま、そんな所だけど、まずは水を飲みに湖に向かうところさ」
「ゆ? それならまりさもいっしょだからいっしょにいくのぜ!」
「ゆゆ? にんげんさん、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていって、ん? お前たち帽子はどうしたんだ?」
今度は帽子のないゆっくりたちが集団で歩いている。ちぇん・まりさ・みょん・ありす種。お飾りがアイデンティティでレゾンデートルなハズなのにな。
「ゆ? ちぇんはしっこうにんなんだよーわかってねー」
しっこうにん? 執行人だろうか。よく見ると髪の毛の間に彼岸花が括りつけられている。それも他のヤツらにもだ。
だが、一匹だけ違う。ゆん相も悪いし、なんだかわーぎゃーとゆっくりせずに喚いている。
「おい、そこのくそにんげん!! はやくでいぶをたすけろぉおおおおおおおお!!!!」
こちらに気付いたのか俺に対して偉そうな口を聞いてきやがった。此の世のシガラミからお前を助けてやろうか。
「うるさいからだまるみょん!!!」
「とりあえずせいっさいだよ!!!!」
「ゆがぁあああやべでぇえええええええええ!!! でいぶがわるがっだでずうううう!!!」
ゆっくりの中でも腕が立つようで、瞬く間に噛み付いたりどついたりする執行人ゆっくり達。でいぶの発言からして、捕まえられるときに相当ぼこられたんだろうな。うん、なかなかゆっくりにしては面白い奴らだ。
でいぶの懇願の声も乏しくなり始めた頃、一匹の執行人ゆっくりのまりさが俺の前に向き直った。
「にんげんさんはいったいどこにいくのぜ? ぶーらぶーらは、」
「このにんげんさんはみずをのみにみずうみにいくのよ。ありすはいなかものでやばんなにんげんさんをあんないしてあげてるの!」
「そうだね、都会派だね。野蛮なお兄さんはやっぱり喉が乾いたしお腹も空いたから」
「もうすぐだからゆっくりいそぎましょ!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていって、ん? お前たち帽子はどうしたんだ?」
今度は帽子のないゆっくりたちが集団で歩いている。ちぇん・まりさ・みょん・ありす種。お飾りがアイデンティティでレゾンデートルなハズなのにな。
「ゆ? ちぇんはしっこうにんなんだよーわかってねー」
しっこうにん? 執行人だろうか。よく見ると髪の毛の間に彼岸花が括りつけられている。それも他のヤツらにもだ。
だが、一匹だけ違う。ゆん相も悪いし、なんだかわーぎゃーとゆっくりせずに喚いている。
「おい、そこのくそにんげん!! はやくでいぶをたすけろぉおおおおおおおお!!!!」
こちらに気付いたのか俺に対して偉そうな口を聞いてきやがった。此の世のシガラミからお前を助けてやろうか。
「うるさいからだまるみょん!!!」
「とりあえずせいっさいだよ!!!!」
「ゆがぁあああやべでぇえええええええええ!!! でいぶがわるがっだでずうううう!!!」
ゆっくりの中でも腕が立つようで、瞬く間に噛み付いたりどついたりする執行人ゆっくり達。でいぶの発言からして、捕まえられるときに相当ぼこられたんだろうな。うん、なかなかゆっくりにしては面白い奴らだ。
でいぶの懇願の声も乏しくなり始めた頃、一匹の執行人ゆっくりのまりさが俺の前に向き直った。
「にんげんさんはいったいどこにいくのぜ? ぶーらぶーらは、」
「このにんげんさんはみずをのみにみずうみにいくのよ。ありすはいなかものでやばんなにんげんさんをあんないしてあげてるの!」
「そうだね、都会派だね。野蛮なお兄さんはやっぱり喉が乾いたしお腹も空いたから」
「もうすぐだからゆっくりいそぎましょ!」
湿度100%以上じゃないかと疑いそうになるほどの濃い霧が湖畔を覆う。その中心部に一本の枯れ木が聳え立つ小島がある。
「ここが、湖か」
湖畔を囲うように拳大の砂利が敷き詰められており、所々に石を摘んで遊ぶゆっくり達がいる。ポツポツと生えている曼珠沙華が血のような赤黒さを持ち、白黒のモザイクがかった風景にアクセントを付けている。どうみても、三途の川周辺だな。
「俺、いつ死んだんだ?」
「ちゃんといきてるのぜ! へんなこというんじゃないのぜ!!」
ゆっくりに窘められた。死にたい。いや、死にに来たんだけどね。
「これで、ありすのことはたべないわよね」
本来の目的も達成され、約束を守ってよねと不安な表情を浮かべるありす。いたずらにたーべちゃーうぞーとか言いたくなったけど、大人気ないのでやめた。
「ありがとうな」
感謝の言葉と共にデレるありすがちょっとキモイ。いや、脅した相手に出れるなよ。
「どうせなら、えいきのところにいっしょにいかないかだみょん!!」
ウホッ、いいゆっくり。いいゆっくりに弱い俺は、
「えいきの所ってなんだ?」
慎重に質問を重ねるタイプでしたとさ。
「このわるいでいぶをさいっばんにかけるんだみょん!!」
目蜂子ができちゃったみたいな目で視線を泳がせているでいぶ。まあ、面からして悪そうだよな。でだ、でいぶをわざわざ裁判にかけてどうこうするというのも変わった話だな。
「いいけど、場所はどこなんだ?」
「あっちだみょん!!」
みょんが振り向いた先に見えるのは、湖畔の小島だ。
「どうやってあっちまで行くんだ? 船でもあるのか?」
「そうだみょん!!」
用意周到だな。作為を感じるぜ!
「ここが、湖か」
湖畔を囲うように拳大の砂利が敷き詰められており、所々に石を摘んで遊ぶゆっくり達がいる。ポツポツと生えている曼珠沙華が血のような赤黒さを持ち、白黒のモザイクがかった風景にアクセントを付けている。どうみても、三途の川周辺だな。
「俺、いつ死んだんだ?」
「ちゃんといきてるのぜ! へんなこというんじゃないのぜ!!」
ゆっくりに窘められた。死にたい。いや、死にに来たんだけどね。
「これで、ありすのことはたべないわよね」
本来の目的も達成され、約束を守ってよねと不安な表情を浮かべるありす。いたずらにたーべちゃーうぞーとか言いたくなったけど、大人気ないのでやめた。
「ありがとうな」
感謝の言葉と共にデレるありすがちょっとキモイ。いや、脅した相手に出れるなよ。
「どうせなら、えいきのところにいっしょにいかないかだみょん!!」
ウホッ、いいゆっくり。いいゆっくりに弱い俺は、
「えいきの所ってなんだ?」
慎重に質問を重ねるタイプでしたとさ。
「このわるいでいぶをさいっばんにかけるんだみょん!!」
目蜂子ができちゃったみたいな目で視線を泳がせているでいぶ。まあ、面からして悪そうだよな。でだ、でいぶをわざわざ裁判にかけてどうこうするというのも変わった話だな。
「いいけど、場所はどこなんだ?」
「あっちだみょん!!」
みょんが振り向いた先に見えるのは、湖畔の小島だ。
「どうやってあっちまで行くんだ? 船でもあるのか?」
「そうだみょん!!」
用意周到だな。作為を感じるぜ!
「ゆ! にんげんさんだねゆっくり」
「その流れは仏様が許さないので却下」
「あいさつぐらいはちゃんとしようよ」
川岸に作られた木製の船着場。その横には何十年前のものか分からない、赤錆と船底に苔がこびりついた鉄製の船がある。その上にゆっくりが木の棒をかざしていた。
「初めて見るゆっくりだけど、名前は?」
「こまちはこまちだよ、ゆっくりしていってね!!」
仏キックという名の飛び蹴りを食らわせようかと思ったが、船の上にいるのでやめた。
「ここは人間が来たりするのか?」
「おにいさんがはじめてだよ」
「でも、この船着場や船は人間のものじゃないのか?」
「ここはえきさまが、えいきさまのさいばんじょだよってせんげんしてもだれもいいかえさなかったから、ここはえいきさまのゆっくりぷれいすだよ!!」
はいはい、お得意のおうち宣言ですか。だが、撤去をされないところを見ると、この辺りには人間が介入していないのだろう。死体探しに出てくる人があっぴろげなこの場所を知らないというのもおかしな話だが。本当にここは此の世じゃないんじゃないか?
「こまち! きょうはでいぶをつれてきたよ!!」
みょん達執行人ゆっくりが船にゾロリゾロリと乗船している。
「わかったよ。それで、おだいはどこにあるんだい?」
「ちょっとまつみょん!」
でいぶを抑えている一匹のちぇんが、みょんの意図を汲んだらしく、でいぶの頬に近づいた。
「や、やめてね……ゆぎゃっ!!!」
そのまま頬を食いちぎったのだ。
痛みに震えるでいぶを他のゆっくりが抑えつける。
「いだいぃいいいいいい!!! ゆっぐちできないぃいいいいいいい!!!!」
「一体、何をしているんだ?」
「さんずのかわのわたりちんをれいむからしぼりとっているんだみょん!!」
傷跡からゆっくりたちの圧迫と共にモリモリと餡子が流れ出ている。それをありすが予め用意していた葉っぱを二枚取り出し、一枚をれいむから流れ出る餡子を掬う為に使い、もう一枚を傷口に貼りつけた。
「で、でいぶのあんござん。もっでがないで……」
でいぶの声をまるで聞こえないかのように、ありすは口で挟んだ木の葉をこまちの元へ持って来た。
「たしかに、おだいはいただいたよ。でもね、もしでいぶがむざいだったらどうするんだい?」
意地悪く聞くこまちだが、
「それはありえないみょん。かりにむざいだとしたらえいきがさばいてくれるみょん」
あっさりとみょんは解答というなの刃先を返した。
それにしてもゆっくりがゆっくりを裁く姿はどのようなものか。また、それに依存するゆっくり。なんだかオラ、ワクワクしてきたぞよ。
「ゆ! まりさまのせていってね!!」
最初にあったまりさだ。帽子に物を詰めすぎているので、でこぼこしていて気持ち悪い。
「たしか、まりさはれいむとりこんしたまりさだったね」
ゆっくりにとって離婚は禁忌のはず。もし、離婚してしまえばゲス認定が入るってテレビでやってた。だが、まりさの態度はどこかすっきりと背中から重荷が剥がれたような笑顔だ。
「ゆん、きょうはいしゃりょうをはらいにきたのぜ! これででいぶともおわかれなのぜ!!」
「そうかい。それはよかったねぇ。でも、もらうものはもらうからね」
まりさは帽子を頭からおろして枯葉や木ノ実、茸を幾つか取り出して渡した。
「それで、そこのありすとにんげんさんは?」
こまちが俺とありすに尋ねてきた。そもそも人間も船に乗れるのか? 船の大きさ的には大丈夫だけど。
「ありすはにんげんさんをあんないしにきただけよ! だから、ふねにはのらないでかえるわ!!」
「せっかくだからみにいかないのかい?」
「わたしちんもないからいいわ!!」
「つけといてあげるのに」
「いいわよ、めいわくだし」
早く人間とオサラバしたいという気持ちがビンビンと伝わってくる。そういえば、元は脅されてたんだよな、お前。2度も言うけど。
「にんげんさんもみずのまないの? ありすがなんのためにあんないしたか、わからなくなってきたわ!!」
赤錆にまみれた水を飲む勇気はないな。まあ、喉の渇きは気にしなくなったし。霧のせいだろうか。仙人になった気分だ。
「渡し賃ならこれでどうだ?」
六文銭も1オロボスもないけど、10円銅貨3枚を目の前に転がした。
「これでどうだ?」
「……………」
無言だ。小町がうつむいて震えている。やっぱ、30円ポッチじゃダメか。
「あー、それならツケって効くかな?」
「にんげんさん、ほんとにこれもらってもいいの!!!???」
あげたんだからそうだろうが。
「いいよ、そんなはした金」
「ゆぁあああ!!! こまち、おかねさんもらっちゃったよおおおお!!!!!」
「ゆゆゆゆ!! きれいなきらきらさんだよ!!!!!」
なんだかここまで喜ばれると悪い気がしてきた。
「ありす、おだいはいらないからのってかない!!??」
「ゆっ!?」
鼻息混じりの興奮したこまちが森に帰ろうとするありすを引き止めた。
「ゆ、でも」
「お前に決定権があるのか!」
4人目のキャスバル兄さんはカッコいいのですよ。
むんずと片手で再度つかみ、腐りかけの木の板を渡り船に乗船した。
「その流れは仏様が許さないので却下」
「あいさつぐらいはちゃんとしようよ」
川岸に作られた木製の船着場。その横には何十年前のものか分からない、赤錆と船底に苔がこびりついた鉄製の船がある。その上にゆっくりが木の棒をかざしていた。
「初めて見るゆっくりだけど、名前は?」
「こまちはこまちだよ、ゆっくりしていってね!!」
仏キックという名の飛び蹴りを食らわせようかと思ったが、船の上にいるのでやめた。
「ここは人間が来たりするのか?」
「おにいさんがはじめてだよ」
「でも、この船着場や船は人間のものじゃないのか?」
「ここはえきさまが、えいきさまのさいばんじょだよってせんげんしてもだれもいいかえさなかったから、ここはえいきさまのゆっくりぷれいすだよ!!」
はいはい、お得意のおうち宣言ですか。だが、撤去をされないところを見ると、この辺りには人間が介入していないのだろう。死体探しに出てくる人があっぴろげなこの場所を知らないというのもおかしな話だが。本当にここは此の世じゃないんじゃないか?
「こまち! きょうはでいぶをつれてきたよ!!」
みょん達執行人ゆっくりが船にゾロリゾロリと乗船している。
「わかったよ。それで、おだいはどこにあるんだい?」
「ちょっとまつみょん!」
でいぶを抑えている一匹のちぇんが、みょんの意図を汲んだらしく、でいぶの頬に近づいた。
「や、やめてね……ゆぎゃっ!!!」
そのまま頬を食いちぎったのだ。
痛みに震えるでいぶを他のゆっくりが抑えつける。
「いだいぃいいいいいい!!! ゆっぐちできないぃいいいいいいい!!!!」
「一体、何をしているんだ?」
「さんずのかわのわたりちんをれいむからしぼりとっているんだみょん!!」
傷跡からゆっくりたちの圧迫と共にモリモリと餡子が流れ出ている。それをありすが予め用意していた葉っぱを二枚取り出し、一枚をれいむから流れ出る餡子を掬う為に使い、もう一枚を傷口に貼りつけた。
「で、でいぶのあんござん。もっでがないで……」
でいぶの声をまるで聞こえないかのように、ありすは口で挟んだ木の葉をこまちの元へ持って来た。
「たしかに、おだいはいただいたよ。でもね、もしでいぶがむざいだったらどうするんだい?」
意地悪く聞くこまちだが、
「それはありえないみょん。かりにむざいだとしたらえいきがさばいてくれるみょん」
あっさりとみょんは解答というなの刃先を返した。
それにしてもゆっくりがゆっくりを裁く姿はどのようなものか。また、それに依存するゆっくり。なんだかオラ、ワクワクしてきたぞよ。
「ゆ! まりさまのせていってね!!」
最初にあったまりさだ。帽子に物を詰めすぎているので、でこぼこしていて気持ち悪い。
「たしか、まりさはれいむとりこんしたまりさだったね」
ゆっくりにとって離婚は禁忌のはず。もし、離婚してしまえばゲス認定が入るってテレビでやってた。だが、まりさの態度はどこかすっきりと背中から重荷が剥がれたような笑顔だ。
「ゆん、きょうはいしゃりょうをはらいにきたのぜ! これででいぶともおわかれなのぜ!!」
「そうかい。それはよかったねぇ。でも、もらうものはもらうからね」
まりさは帽子を頭からおろして枯葉や木ノ実、茸を幾つか取り出して渡した。
「それで、そこのありすとにんげんさんは?」
こまちが俺とありすに尋ねてきた。そもそも人間も船に乗れるのか? 船の大きさ的には大丈夫だけど。
「ありすはにんげんさんをあんないしにきただけよ! だから、ふねにはのらないでかえるわ!!」
「せっかくだからみにいかないのかい?」
「わたしちんもないからいいわ!!」
「つけといてあげるのに」
「いいわよ、めいわくだし」
早く人間とオサラバしたいという気持ちがビンビンと伝わってくる。そういえば、元は脅されてたんだよな、お前。2度も言うけど。
「にんげんさんもみずのまないの? ありすがなんのためにあんないしたか、わからなくなってきたわ!!」
赤錆にまみれた水を飲む勇気はないな。まあ、喉の渇きは気にしなくなったし。霧のせいだろうか。仙人になった気分だ。
「渡し賃ならこれでどうだ?」
六文銭も1オロボスもないけど、10円銅貨3枚を目の前に転がした。
「これでどうだ?」
「……………」
無言だ。小町がうつむいて震えている。やっぱ、30円ポッチじゃダメか。
「あー、それならツケって効くかな?」
「にんげんさん、ほんとにこれもらってもいいの!!!???」
あげたんだからそうだろうが。
「いいよ、そんなはした金」
「ゆぁあああ!!! こまち、おかねさんもらっちゃったよおおおお!!!!!」
「ゆゆゆゆ!! きれいなきらきらさんだよ!!!!!」
なんだかここまで喜ばれると悪い気がしてきた。
「ありす、おだいはいらないからのってかない!!??」
「ゆっ!?」
鼻息混じりの興奮したこまちが森に帰ろうとするありすを引き止めた。
「ゆ、でも」
「お前に決定権があるのか!」
4人目のキャスバル兄さんはカッコいいのですよ。
むんずと片手で再度つかみ、腐りかけの木の板を渡り船に乗船した。
予想していたよりも小さい。心理的な効果・霧で遠くを見据えることができなかったのもあるが、直径30センチ台のゆっくりが50匹入ったら良いところ。
「みんな、おりてね!!」
「わかったよ!」
尻をつつきながら霊夢と共に下船する執行人ゆっくり達。ぞろりぞろりと桟橋を歩く。その後ろを離婚調停のまりさと共に付いて行った。
雷に打たれたのか、幹が縦に割れている枯れ木の元に5匹のゆっくりが待ち構えていた。人間が置いていったちゃぶ台に稀少種のゆっくりえいきが一匹、その近くに整列するゆっくりようむが4匹。みな静謐で普通のゆっくりとは違う威厳に満ちていた。
「しろ」
「きょうのさいばんをはじめるみょん! ようぎしゃはまえへでるみょん!!」
「さあ、いくのぜ!!」
手入れをしていない先っぽがボサボサのモミアゲを掴み、えいきの前へれいむを放り投げた。
「ようぎしゃれいむのはんこうはなんだみょん?」
執行人ゆっくりの中からリーダー格であるゆっくりみょんが前へ出た。
「このれいむはおっとであるまりさをいっぱいかりにいかせてゆっくりできなくしたみょん! そのあいだにできたおちびちゃんたちのなかのまりさだけにごはんさんをわけあたえずがしさせたみょん! つぎにみんなのゆっくりぷれいすにおうちせんげんをして、しんぐるまざーをうたってみんなのごはんをごうだつしようとしたみょん! そこでかけつけたゆんけいとしっこうにんでつかまえたんだみょん!! じんもんのけっかはいじょうだみょん!!」
言い終わるとみょんは引き下がった。裁判官であるえいきは少し間をおいて口を開いた。
「ぱんだ!」
いきなり動物の名前を叫ぶ。感想がパンダって斬新だな。俺も今度使ってみよう。
「れいむ、なにかいいたいことはあるのかみょん?」
もしかして、本当かどうかって事か? あらやだ、田舎の方言って難解だな。
そうこうしているうちに追い詰められるれいむ。罪悪感というか罪の意識があったらしく体中の皮膚から汗を垂れ流している。茄子型の体系をウニョンウニョン引き伸ばしている姿は気持ち悪いの一言で収斂される。
「うううううううううううううそだぁあああああああああああああ!!!! でいぶはせいれんけっぱくっ! だよおお!!!!!」
どこからどう見ても嘘です。嘘だァ!
「しろ?」
「しょうこはあるのかみょん?」
えいきのお供のみょんが執行人ゆっくりのみょんに尋ねる。
「そうだ! しょうこをだすんだよおおおお!!!!」
調子づいたでいぶが捲し立てた。
「わかったみょん! しょうこをていじするみょん!!」
「ゆ?」
証拠って、ゆっくりごときにそんな能力はないはずだ。だが、昔は写真が無いのに犯人を断定したという人間には歴史がある。なんか、思っていた以上に面白いなこいつら。
「まずはこれだみょん」
部下のまりさが薄汚いカチューシャを持って来た。
「これはでいぶにはんろんしてぎゃくぎれされてころされたありすのおかざりさんだみょん!」
「しろ!」
「かんしきにみてもらうみょん!」
「わふ!!」
どこからとも無く尻尾と耳が生えている白髪のゆっくりが現れた。
「もみじ! たのむみょん!!」
「わふっ!!」
稀少種のゆっくりもみじだ。
「まず、このかちゅーしゃのにおいをかいでほしいみょん!」
言われたとおりにもみじはかちゅーしゃに近づいた。
「くんくん」
鼻がないのに顔を動かしながら臭いを確かめる。犬の特性があるもみじならではのスキルか。
「わふ!」
「つぎはれいむのにおいをかぐんだみょん!!」
「ゆゆ! きもちわるいゆっくりはこっちにこないでね!」
喚くれいむを執行人が抑えている間にもみじがれいむの体中の臭いをかいだ。
「わふ! わふぅうう!!!」
もみじが叫んだ。どうやら結果を伝えているらしい。
「はんていがでたみょん!」
空気が人間の裁判さながらガラリと変わる。自分以外のゆっくりは真面目な顔でその判断を待っている。
「でいぶはくろだみょん!! ありすのかちゅーしゃからはでいぶのしーしーとあしのにおいがしたといっているみょん!」
「みんな、おりてね!!」
「わかったよ!」
尻をつつきながら霊夢と共に下船する執行人ゆっくり達。ぞろりぞろりと桟橋を歩く。その後ろを離婚調停のまりさと共に付いて行った。
雷に打たれたのか、幹が縦に割れている枯れ木の元に5匹のゆっくりが待ち構えていた。人間が置いていったちゃぶ台に稀少種のゆっくりえいきが一匹、その近くに整列するゆっくりようむが4匹。みな静謐で普通のゆっくりとは違う威厳に満ちていた。
「しろ」
「きょうのさいばんをはじめるみょん! ようぎしゃはまえへでるみょん!!」
「さあ、いくのぜ!!」
手入れをしていない先っぽがボサボサのモミアゲを掴み、えいきの前へれいむを放り投げた。
「ようぎしゃれいむのはんこうはなんだみょん?」
執行人ゆっくりの中からリーダー格であるゆっくりみょんが前へ出た。
「このれいむはおっとであるまりさをいっぱいかりにいかせてゆっくりできなくしたみょん! そのあいだにできたおちびちゃんたちのなかのまりさだけにごはんさんをわけあたえずがしさせたみょん! つぎにみんなのゆっくりぷれいすにおうちせんげんをして、しんぐるまざーをうたってみんなのごはんをごうだつしようとしたみょん! そこでかけつけたゆんけいとしっこうにんでつかまえたんだみょん!! じんもんのけっかはいじょうだみょん!!」
言い終わるとみょんは引き下がった。裁判官であるえいきは少し間をおいて口を開いた。
「ぱんだ!」
いきなり動物の名前を叫ぶ。感想がパンダって斬新だな。俺も今度使ってみよう。
「れいむ、なにかいいたいことはあるのかみょん?」
もしかして、本当かどうかって事か? あらやだ、田舎の方言って難解だな。
そうこうしているうちに追い詰められるれいむ。罪悪感というか罪の意識があったらしく体中の皮膚から汗を垂れ流している。茄子型の体系をウニョンウニョン引き伸ばしている姿は気持ち悪いの一言で収斂される。
「うううううううううううううそだぁあああああああああああああ!!!! でいぶはせいれんけっぱくっ! だよおお!!!!!」
どこからどう見ても嘘です。嘘だァ!
「しろ?」
「しょうこはあるのかみょん?」
えいきのお供のみょんが執行人ゆっくりのみょんに尋ねる。
「そうだ! しょうこをだすんだよおおおお!!!!」
調子づいたでいぶが捲し立てた。
「わかったみょん! しょうこをていじするみょん!!」
「ゆ?」
証拠って、ゆっくりごときにそんな能力はないはずだ。だが、昔は写真が無いのに犯人を断定したという人間には歴史がある。なんか、思っていた以上に面白いなこいつら。
「まずはこれだみょん」
部下のまりさが薄汚いカチューシャを持って来た。
「これはでいぶにはんろんしてぎゃくぎれされてころされたありすのおかざりさんだみょん!」
「しろ!」
「かんしきにみてもらうみょん!」
「わふ!!」
どこからとも無く尻尾と耳が生えている白髪のゆっくりが現れた。
「もみじ! たのむみょん!!」
「わふっ!!」
稀少種のゆっくりもみじだ。
「まず、このかちゅーしゃのにおいをかいでほしいみょん!」
言われたとおりにもみじはかちゅーしゃに近づいた。
「くんくん」
鼻がないのに顔を動かしながら臭いを確かめる。犬の特性があるもみじならではのスキルか。
「わふ!」
「つぎはれいむのにおいをかぐんだみょん!!」
「ゆゆ! きもちわるいゆっくりはこっちにこないでね!」
喚くれいむを執行人が抑えている間にもみじがれいむの体中の臭いをかいだ。
「わふ! わふぅうう!!!」
もみじが叫んだ。どうやら結果を伝えているらしい。
「はんていがでたみょん!」
空気が人間の裁判さながらガラリと変わる。自分以外のゆっくりは真面目な顔でその判断を待っている。
「でいぶはくろだみょん!! ありすのかちゅーしゃからはでいぶのしーしーとあしのにおいがしたといっているみょん!」
えいきの判決は死刑。宣言した直後に最後の抵抗をするでいぶだったが、腕っ節の強いゆっくりたちにこてんぱんにのされ、執行人ゆっくりによってどこかへ輸送されてしまった。
「つぎはまりさのばんなのぜ!」
離婚の調停の為にきたまりさだ。
「しろ!」
「ちゃんといわれたりょうのごはんさんはとったのかみょん?」
まりさは帽子を脱いで三角帽子の尖った先端を口に挟んで引きずった。
「かくにんしてほしいのぜ!」
みょんが散らばった木の実やきのこを確かめる。
「たしかにいわれたりょうだみょん」
「しろ!!」
えいきの確認を取り、散らばった物をまりさとお付きのゆっくりと共に文字が薄れてしまったビニール袋の中に回収した。
「これで、りこんはみとめられたみょん」
「ふぅ、よかったのぜ!! これであんなでいぶとはおわかれなのぜ!!」
無い胸を降ろすまりさ。先程のでいぶの元夫の末路を通わないでよかったな。ということは、あのでいぶのまりさはただのマヌケだったか、それとも心底優しいヤツだったかの二つだな。固定概念を拭い去り改善する、このルールを決めたえいきは本当に変わったヤツだ。
「でも、これだけはこころえておくみょん! このてのれいむはぜったいにまりさにたかりにくるみょん! そのときはしっこうにんかゆんけいをよぶといいみょん!!」
「わかったのぜ!!」
所詮、ルールがあろうとお構いなしなのがゲスか。人間でもそうだが。
「つぎはまりさのばんなのぜ!」
離婚の調停の為にきたまりさだ。
「しろ!」
「ちゃんといわれたりょうのごはんさんはとったのかみょん?」
まりさは帽子を脱いで三角帽子の尖った先端を口に挟んで引きずった。
「かくにんしてほしいのぜ!」
みょんが散らばった木の実やきのこを確かめる。
「たしかにいわれたりょうだみょん」
「しろ!!」
えいきの確認を取り、散らばった物をまりさとお付きのゆっくりと共に文字が薄れてしまったビニール袋の中に回収した。
「これで、りこんはみとめられたみょん」
「ふぅ、よかったのぜ!! これであんなでいぶとはおわかれなのぜ!!」
無い胸を降ろすまりさ。先程のでいぶの元夫の末路を通わないでよかったな。ということは、あのでいぶのまりさはただのマヌケだったか、それとも心底優しいヤツだったかの二つだな。固定概念を拭い去り改善する、このルールを決めたえいきは本当に変わったヤツだ。
「でも、これだけはこころえておくみょん! このてのれいむはぜったいにまりさにたかりにくるみょん! そのときはしっこうにんかゆんけいをよぶといいみょん!!」
「わかったのぜ!!」
所詮、ルールがあろうとお構いなしなのがゲスか。人間でもそうだが。
これ以上見るものはないと判断しありすとまりさと共に船へ戻ると、先程の執行人ゆっくりとでいぶがいた。
それから、こまちが船を出し、小島と岸の間の辺りに船を止めた。
「これから、でいぶのしけいをはじめるみょん!」
執行人ゆっくりと呼ばれる意味がよくわかった。
みょんがそう宣言すると、でいぶを船の先端に押し上げたのだ。
「や、やめてね! でいぶはしんぐるまざーなんだよ! やさしくしないとだめなんだよおおおおお!!!」
「おとすんだみょん!!」
「やべろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
水しぶきをあげながらでいぶは落ちた。
「ゆがあああああああああああああああああああ!!!!」
水を口に含みながら喘ぐでいぶ。そして、それを執行人ゆっくりたちは静観していた。どうやら、死ぬまででいぶを見届けるらしい。
「やべ、やばばばば、だじゅ、くじょお」
たとえモミアゲを回したところで助かるわけでもない。
「ゆが、あぎゃ、いぎぃいいいい」
水しぶきは勢いを衰えさせ、水を含んで重くなったでいぶは顔を水面っから下へと落としていった。
「………………」
苦悶の表情を最後にでいぶは沈んだ。
それから、こまちが船を出し、小島と岸の間の辺りに船を止めた。
「これから、でいぶのしけいをはじめるみょん!」
執行人ゆっくりと呼ばれる意味がよくわかった。
みょんがそう宣言すると、でいぶを船の先端に押し上げたのだ。
「や、やめてね! でいぶはしんぐるまざーなんだよ! やさしくしないとだめなんだよおおおおお!!!」
「おとすんだみょん!!」
「やべろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
水しぶきをあげながらでいぶは落ちた。
「ゆがあああああああああああああああああああ!!!!」
水を口に含みながら喘ぐでいぶ。そして、それを執行人ゆっくりたちは静観していた。どうやら、死ぬまででいぶを見届けるらしい。
「やべ、やばばばば、だじゅ、くじょお」
たとえモミアゲを回したところで助かるわけでもない。
「ゆが、あぎゃ、いぎぃいいいい」
水しぶきは勢いを衰えさせ、水を含んで重くなったでいぶは顔を水面っから下へと落としていった。
「………………」
苦悶の表情を最後にでいぶは沈んだ。
いま、俺は大木を睨んでいる。その大きさは脚立を使えばちょうど届く距離であり、首を吊るのには絶好の場所なのだ。
先程の死刑を見て、死を恐れた。だが、死よりも怖いものが自分を待っている。
覚悟の上だ。脚立を広げる。
「……………」
何か気を紛らわせることを口に出せない。顔から汗が出るだけで、手を動かしているだけで。
脚立に立ち、木の枝に固結びで縄を括りつけ、反対の縄にも輪っかを作って固結びで結んだ。
地団駄を踏む。無意識に震えだす体を抑えるために。
「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
叫んだと同時に首に輪っかをかけ、脚立を蹴り飛ばした。
先程の死刑を見て、死を恐れた。だが、死よりも怖いものが自分を待っている。
覚悟の上だ。脚立を広げる。
「……………」
何か気を紛らわせることを口に出せない。顔から汗が出るだけで、手を動かしているだけで。
脚立に立ち、木の枝に固結びで縄を括りつけ、反対の縄にも輪っかを作って固結びで結んだ。
地団駄を踏む。無意識に震えだす体を抑えるために。
「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
叫んだと同時に首に輪っかをかけ、脚立を蹴り飛ばした。
「……ゆ……し………のぜ?」
俺はあの世で目が覚めたらしい。
「そ……わ……………ねて…………だわ!」
体中に、特に背中に痛みが走り思うように動けない。だが、耳は聞こえる。
無我夢中に手を動かす。微々たるものだが、手首を持ち上げるだけの力が戻ってきた。
「いきてるのぜ!!」
「ンガッッッ!!」
その言葉を聞いた瞬間、背中の筋肉は痛みを忘れ、上半身を持ち上げた。
「ぶーらぶーらはたのしかったのぜ? でも、おちちゃうといたいのぜ!!」
わるいな、まりさ。俺は先輩方と違ってぶーらぶーらが下手くそみたいだ。
ボンヤリする資格を整えて辺りを見回すと、枝を口に挟んだまりさとありす、その周辺に蹴り倒された脚立と一本のロープが落ちていた。俺は死に損なったらしい。
「造語はゆっくりできねーな」
「ゆ?」
死ねば変わる訳でもなく。死という欲望にまんまと飲み込まれて、カタストロフィった訳だ。要するに、性欲に負けて出しちまったのと同じで。
「賢者タイムに突入だよ」
「おにいさんがなにをいってるのかありすにはぜんぜんりかいできないわ!」
いいよ、理解しなくて。いや、理解が欲しいのかもしれないが、お前には無理だ。
「これからどうするかなのさ!」
地獄は死の先にはない。地獄や天国はこの世のものであって、あの世には何も無いのに期待した。本当に、愚かだ。
「お兄さんはね、ゆっくりを探すことに決めたよ」
そうだ、貧弱なゆっくりでも自分の存在意義を持って活動している。人間の場合は生きること。生きてその中に秘めたる欲を解消することだ。
「それじゃあな」
彼岸が俺を悟してくれた。
自分を冷静に考えろと足止めをしてくれたのだろうな……
さて、今考えるべきことは帰り道をどうするかだ。
俺はあの世で目が覚めたらしい。
「そ……わ……………ねて…………だわ!」
体中に、特に背中に痛みが走り思うように動けない。だが、耳は聞こえる。
無我夢中に手を動かす。微々たるものだが、手首を持ち上げるだけの力が戻ってきた。
「いきてるのぜ!!」
「ンガッッッ!!」
その言葉を聞いた瞬間、背中の筋肉は痛みを忘れ、上半身を持ち上げた。
「ぶーらぶーらはたのしかったのぜ? でも、おちちゃうといたいのぜ!!」
わるいな、まりさ。俺は先輩方と違ってぶーらぶーらが下手くそみたいだ。
ボンヤリする資格を整えて辺りを見回すと、枝を口に挟んだまりさとありす、その周辺に蹴り倒された脚立と一本のロープが落ちていた。俺は死に損なったらしい。
「造語はゆっくりできねーな」
「ゆ?」
死ねば変わる訳でもなく。死という欲望にまんまと飲み込まれて、カタストロフィった訳だ。要するに、性欲に負けて出しちまったのと同じで。
「賢者タイムに突入だよ」
「おにいさんがなにをいってるのかありすにはぜんぜんりかいできないわ!」
いいよ、理解しなくて。いや、理解が欲しいのかもしれないが、お前には無理だ。
「これからどうするかなのさ!」
地獄は死の先にはない。地獄や天国はこの世のものであって、あの世には何も無いのに期待した。本当に、愚かだ。
「お兄さんはね、ゆっくりを探すことに決めたよ」
そうだ、貧弱なゆっくりでも自分の存在意義を持って活動している。人間の場合は生きること。生きてその中に秘めたる欲を解消することだ。
「それじゃあな」
彼岸が俺を悟してくれた。
自分を冷静に考えろと足止めをしてくれたのだろうな……
さて、今考えるべきことは帰り道をどうするかだ。
あとがき
オチは投げた。うん。もっと書きたいこともあったが、疲れたのです。
えいきについてもろもろと話も考えていました。元は群のおさだったとか、裁判官として間違ったジャッジをしてしまい、善良なゆっくりを死刑にしてしまったとか。でも、関係ないからやめた。
正式名がようむであるのにみょんと書いてしまった。俗称ということで。
あと、首を吊る時は固結びだと簡単に解けます。あとは自分で調べてね!
えいきについてもろもろと話も考えていました。元は群のおさだったとか、裁判官として間違ったジャッジをしてしまい、善良なゆっくりを死刑にしてしまったとか。でも、関係ないからやめた。
正式名がようむであるのにみょんと書いてしまった。俗称ということで。
あと、首を吊る時は固結びだと簡単に解けます。あとは自分で調べてね!
そんなに無いジャンルを目標に書いてみました。前述した通り、えいきの一生という感じで書けばよかったのですが、作者の趣味です。
これからは嘘あきと名乗ります。私の言ってることや書いてることは嘘たっぷりです。こんなSS読まない方がいいよ! 読む方も馬鹿で書いた方も馬鹿なのです。富野監督風に締めさせていただきます。
挿絵: