ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0225 雨さんはゆっくりしてるね
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ankoss
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* 虐はゆるめです。
* 『ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね』続き。
* まあ、タイトルで予想できるとおり、大体定番の展開ですので、
盛り上げるためにも前置きやら小ネタが必要になりました。
『雨さんはゆっくりしてるね』
D.O
夏。
今日も町は、餡子の底まで焼けつくような暑さだ。
一昨日、小学校に居たゆうかりんからもらった水は、もはや一滴も残っていない。
れいむは今日もおちびちゃんたちとともに、水を求めて町をさまよう。
「もうゆっくちあるけにゃいよぉ。」
不満を漏らす彼女は末っ子れいむ。
「ゆっくちがんばっちぇにぇ、ときゃいはじゃにゃいわ。」
それをいさめるのは長女ありす。
れいむ自慢のゆっくりしたおちびちゃんたちだ。
でも、このままじゃおちびちゃんたちもゆっくりできなくなるよ。
ゆっくりしないでおみずさんをみつけないと。
れいむ一家が朦朧とした意識で這い進んでいると、何やら目の前に、
ゴミ捨て場さんによく似た小さな山が見えた。
「ゆう・・・ゆっ?なんだかこのはこさんゆっくりできるよ?」
「ちゅめちゃーい!ゆっくちー!」
「しゅーりしゅーりしゅると、とっちぇもしゅじゅしいわ。ときゃいはー!」
「おちびちゃんたち、ちょっとここでやすもうね!」
「「ゆっくちー!」」
「「「すーや、すーや・・・。」」」
「よーし、湯土郎!荷物積み込んだらとっとと車に乗れー。」
「キャンプッ!キャンプッ!」
ブロロロロロロォォォォォ・・・
「「「ゆっ!?」」」
「あれっ?とーちゃん、ゆっくりが乗ってる。」
「なんだとぉ?」
彼女たちが冷たいと喜んでいたのは氷を満載したクーラーボックス。
ゴミ捨て場に見えたのはキャンプ用品の山である。
こうして彼女たちは、予想だにしない形で町の熱気から解放されたのだった。
「いや、そこらに置いて行こうよ湯土郎、野良ゆはゆっくりできないってばっちゃが言ってたぞ!」
「こんなトコに置いてっちゃかわいそーだろ!
仲間のいるところに返してやろーよー。」
親子が話し合う中、人間さんのすぃーに無断で乗ってしまったことに気づいたれいむ一家は、
奥歯もかみ合わないほど震えあがっていた。
だが、彼女たちの心配は良い意味で裏切られる。
結局父が折れた。
「ありす、ゆーどろごっこしようぜ!」
「ぷきゅぅぅぅぅぅうううう!ぷきゅるるるるーーーー!ゆっくちー!」
「な!たのしいだろ!」
あにゃるからストローで息を吹き込まれるたび、
長女ありすは自分がいつもより大きく膨らんでいるような気がして、とても喜んでいた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
巷のゆっくり愛好者に人気のキャンプ場『虹浦ゆーキャンプ』。
このキャンプ場は、近くに大人の足首程度の水深の小川と、捕食種の住みつかない恵み豊かな森を有しており、
多くの人懐っこいゆっくりたちが住みつく、素晴らしいゆっくりプレイスだった。
「「「ゆっゆーーー!!!」」」
「じゃーね、れいむ!ここならたくさんゆっくりした友達がいるから、ゆっくりしていってね!」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
れいむ一家は人間さんの親子に別れを告げると、仲間達のにおいをたどって森へと入って行った。
美しい緑に興奮しつつ、れいむ一家が森を進んでいると、
木の影から、
岩の隙間から、
崖の上から、
いつの間にか、無数のゆっくりの視線がれいむ一家を取り囲んでいた。
森のゆっくり達は見かけない顔のれいむに、距離をとりつつもゾロゾロと集まる。
向けられるのは好奇の視線。
町の排気ガスと油に汚れた体、水不足と食料不足でゆっくりできていない下膨れ、森のゆっくり達とはまるで別物。
れいむ一家自身も明らかな差を自覚し、さらし者にされているかのよう、いや、実際さらし者にされていた。
それは、かつて飼いゆっくりの集まる公園にあんよを踏み入れた時の感覚に似ていた。
「ゆっくりしていってね!」
その静寂を破ったのは、森ゆの中でもひときわゆっくりしていた、一匹のまりさだった。
まりさは周囲のゆっくり達よりさらに一歩れいむに近づき、れいむの瞳をじっと見つめていた。
その視線は鋭かったが、なぜかゆっくりできないものではなく、れいむ自身もまりさに目を合わせた。
そして数時間にも感じられる数秒が過ぎたころ、まりさは再びお口を開いた
「みんなっ!このれいむたちはゆっくりできるよ。みんなもいっしょにゆっくりしてね!」
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」
れいむ一家は、こうして森に迎え入れられた。
木々の木陰はひんやりと涼しく、町の猛暑を餡子がとろけるほどに味わっていたれいむ一家にとっては、
まさに別世界だった。
ゆっくりひなたぼっこ。ごはんはどちらを向いても山のようにある。
小川の清水は、おちびちゃんたちの全身に染みついた町のホコリを清めてくれた。
全身を清め終えたれいむ一家は、栄養状態こそそこそこだが、いまや森ゆに負けない美ゆっくり達となっていた。
「べっ、べつにそんなにゆっくりしてるとかおもってないわよ!ちょっととかいはだからってちょうしにのらないでねっ!」
「とっちぇもゆっくちできりゅわ!おにぇーしゃんはとっちぇもときゃいはにぇ!」
「なっ、なによ!ありすをほめたって、このあまあまのきのみさんくらいしかでないわよっ!」
「ありがちょー。」
今や、だれが見てもれいむ達は立派な森ゆであろう。
そして数日後。
そんな美ゆっくりとなったれいむに、まりさが惹かれたのか、
ゆっくりしていなかった自分を森に受け入れてくれたまりさに、れいむが惹かれたのか、
確実なことは、まりさとれいむが周囲のゆっくり達公認のカップルとなったことだった。
むろん新参のよそ者と、森でもそのゆっくりっぷりが評判のまりさが恋仲となるので波紋は生じる。
例えば、
「ふんっ!そんなれいむをすきになるなんて、まりさもとんだいなかものだったのねっ!」
捨て台詞を残して去って行ったのは、まりさと並ぶ美貌を誇っていた、つんでれありすだ。
お察しのとおり、彼女はまりさのことを愛していたが、厄介な性格のせいで告白できなかった。
これまたお察しのとおり、まりさ以外の森ゆ全員が彼女の想いを知っていた。
所詮は個ゆっくり間の色恋沙汰など、誰も進んで関わりたがらなかったが。
「「「「「わかるよー。」」」」」
他のゆっくり達はわりかし物分かりがよく、お祝い事を素直に喜んでいた。さすがにゆっくりである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今日も見事な青空だった。
空には大きな大きな入道雲。
森のみんなは狩りもそこそこで終わらせて、浅い小川でサッと水浴び、
そのあとは岩の上で横になり、日光浴ですっきりーする。
みんながゆっくりしている姿の中にあっても、まりさは本当にゆっくりしていた。
おちびちゃんたちと水浴びを終えたれいむは、ふと以前から持っていた疑問を投げかけてみた。
「ねぇ、まりさ。」
「なに、れいむ。」
「はじめてあったとき、まりさはどうして、れいむとゆっくりしてくれたの?」
「・・・・・・。」
「れいむは、よごれてて、やせてて、とってもゆっくりしてなかったよ。どうしてゆっくりさせてくれたの?」
「・・・なんとなくだよ。」
「?」 ゴロゴロゴロ・・・
「なんとなく、れいむはゆっくりしてたよ。それだけだよ。」
「ゆ、ゆーん。なんだかれいむもよくわからなくなってきたよ。まりさはれいむのこと、ほめてくれてるの?」
「よくわからないよ。」
「ゆがーん!」
「それに、そんなのどうでもいいよ。まりさは、れいむのことがだいすきだよ。それだけでじゅうぶんなんだよ。」
「まりさ・・・。」 ゴロゴロゴロゴロッ・・・
「れいむ・・・。」
見つめあう二匹。
だが、れいむがまりさの下膨れにうっとりとしていたその時、まりさは突然はっとして、空を見上げた。
まりさは気づいたのだった。
先ほどまで何事もなかった自分のお肌が、しっとりと濡れていることに。
「!」
慣れ、
気の緩み、
れいむともっとゆっくりしたいという願望、
いずれか、あるいはその全てであったかも知れない。
まりさは出せる限りの大声で叫んだ。
「みんなっあめさんがふるよ!ゆっくりしないでおうちにもどってね!!!」
まりさは、その大して長くもないゆん生において、
数えることができるほどしか(具体的には3回以下)してこなかった、
そして、もっとも致命的な失敗を犯した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
まりさの声が川原に響いた瞬間、
ピッッッシャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!
雷鳴。
そして、次の瞬間
「「「わがらにゃぁぁあああああ・・・・・・・・・!!!」」」
桶の底を叩き割ったような大雨。
小川で水浴びに興じていた数十匹のゆっくりが一瞬で砕けちった。
かろうじて森の中に逃げ込んだれいむたち。しかしまだまだ安泰とは言えない。
「このあめさんは、はっぱさんじゃふせぎきれないよっ!
みんな、まりさといっしょにどうくつさんにいくよ!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ゆぁぁ・・・」
「ゆびっ・・・」
「やめじぇぇぇ・・・」
「あめざんやべじぇ・・・」
「あんよが、あんよが・・・」
「「「ゆっぐりざぜでぇぇぇぇえええええ・・・!!!」
「おぎゃあじゃぁぁん・・・」
「ばりざぁぁぁあ・・・」
「・・・をつかわざるをえない・・・」
「ぎゃぼ・・・」
「こんなのおかしいよぉ。」
ほんの少し前までここはたしかに至高のゆっくりぷれいすだったはずなのに。
今、れいむの眼前には地獄絵図が広がっていた。
もともと森の人気者だったまりさの周囲には、いつのまにか多くの森ゆたちが集まり、
一緒に洞窟に向けて、なるべく深い茂みの中を進んでいた。しかし、
「おきゃあしゃ『ボタッ』ゆびっ・・・。」
「おちびちゃん?おちびちゃぁぁぁあああん!!」
茂みをくぐり抜けた雨粒は、肌の薄い子ゆ、赤ゆ達を確実に狙撃していく。
しかし、森の豊富な食糧によって大きく育った赤ゆたちすべてをおくちの中に避難させることはできない。
れいむ一家にしても状況は深刻だ。
ここ数日の食生活のおかげもあってか、長女ありすも末っ子れいむも、急速に子ゆっくりサイズ近くへと成長してしまった。
もはやおくちの中に入れて運んであげることなどできない。
れいむ達は、自分と、おちびちゃんの頭上に死が降りかからないことを祈ることしかできなかった。
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「おちび、しげみさんのおくにきなさい!おちびのくせにあめさんにぬれるつもり!」
「ゆあーん。でもありしゅおにぇーしゃんがぬれちゃうよぉ」
「あっ、ありすはへいきにきまってるでしょ!すこしあめさんにぬれたいきぶんなのよ!」
「ゆーん、ありしゅおにぇえ・・・ゆ?」
「ゆぁぁぁああああん!!!ありしゅおにぇえちゃんのおかおがくじゅれちゃっちゃよぉぉぉおおお!!!」
「いや・・・いやぁぁぁあああ!!!」
「ありすっ、おちついてよー!」
「こんなのとかいがじゃないわぁぁぁぁぁぁ。」
「ありすー、だいじょうぶだよー、ぺーろぺーろしたらよくなるよー。」
「だめぇ、こんなゆっくりしてないおかおじゃ、まりさのちかくにいられないのぉ。
ありすみたいな、いじわるでゆっくりできないゆっくりが、おかおまでゆっくりできなくなっちゃったらぁ・・・。」
「・・・ちがうよー。ありすはやさしくってゆっくりできるありすだよー。
ちぇんはずっとすきだったよー。おちびちゃんをまもってけがしちゃったありすはもっとすきになったよー。
わかるー?」
「ちぇん・・・」
「あめさんがやんだらちぇんとずっとゆっくりしてほしいよー。
へんじはこんどでいいよー。わかってねー。」
「・・・・・・。」
つんでれありすは気づかない。
愛の告白をした、ちぇんの尻尾の付け根はすでにふやけて痛々しく裂けており、
ありすとすーりすーりするたびにチョコレートを大量に流していたことに。
ちぇんは気づいていない。
ありすの崩れた顔は、もはや皮としての強度を持ち合わせておらず、
ちぇんとすーりすーりするたびにカスタードを大量に流していたことに。
その光景を眺めていた赤まりさは、
彼女たちのあまりにゆっくりした姿に、自分も加えてもらおうと、
餡子をボロボロとこぼすあんよでゆっくりと這い進み、二匹にそっと寄り添った。
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一方れいむ一家はまりさや森ゆ達と茂みを進んでいたが、
普段は雨さんから守ってくれるはずの葉っぱさんから、さらに大粒になった水滴が降り注ぐ中で、
赤ゆ、子ゆから次々に餡子を散らしていく。
「ゆぴっ・・・・」
「ゆげぇ・・・」
「おちびじゃん、おちびちゃんがぁぁぁ・・・ゆべぇ。」
いつのまにか周囲には、れいむ一家とまりさ以外は誰も居なくなってしまっていた。
「おきゃあしゃん・・・もぉあるけにゃいよぉ。」
末っ子れいむがついに弱音を吐き始めた。
とはいえ今回ばかりは甘えだとも言い切れない。
事実末っ子れいむと長女ありすのあんよはぶよぶよにふやけて限界まで来ていた。
まりさが2匹を、帽子に交互に入れてあげてはいたが、
洞窟が見えるところまで来て、ついにれいむ達は完全に身動きを取れなくなった。
れいむ一家は近くにあった木の洞に隠れる。
「まりさ、まりさもきのあなさんのなかにはいってね。」
「まりさはおぼうしがあるからへいきだよ!れいむたちこそもっとおくにはいってね!」
「おきゃあしゃぁぁあん、このあなしゃん、おみじゅしゃんがはいっちぇくるよぉぉ。」
しかし、ゆっくり達のおうちに使われてないだけあり、
その洞はあまりに小さく、雨から完全に身を守ることはできなかった。
その時、少しだけ雨が弱まった。
あんよが濡れる危険があろうとも今洞窟に向かうしかない。
「れいむ、これからおちびちゃんといっしょに、どうくつさんにむかってね。」
「「まりしゃおにぇーしゃん?」」
「まりさ、なにいってるの?」
「よくきいてね。まりさだけならこのあなさんのなかでもだいじょうぶだよ。
でもおちびちゃんたちまではむりだよ。」
「まりさをおいてなんていけないよ!
それにれいむたちはおぼうしがないから、あめさんのなかをどうくつさんまでいけないよ。」
「れいむはまりさのおぼうしをかぶってね。
おちびちゃんたちは、きゅうくつでもおぼうしのなかにはいってね。とにかくまりさはここにのこるんだよ。」
その時れいむは、洞に入らず雨にさらされ続けていたまりさのあんよが、
ろくに動かせないほどふやけていることに気づいた。
「ありしゅものこるよ!」
「なにいってるの、おちびちゃん!」
「まりしゃおにーちゃんがいりゅからだいじょうぶだよ。
おきゃーしゃんは、りぇいむをちゅれてどうくつさんにいっっちぇにぇ!」
普段ならば、いかにおちびちゃんの言葉とは言え、じゃあゆっくりのこってね、とはいかない。
しかし、
「わかったよ。おちびちゃんはまりさとゆっくりしていってね。」
れいむは、末っ子れいむだけを帽子に入れて、洞を飛び出していった。泣き叫ぶのをこらえながら。
「ありすはもう、あんよがやぶれちゃってたんだね・・・。」
「でも、もういちゃくにゃいんだよ。へんだにぇ・・・。」
「おそとはつめたいよ。まりさのおくちにはいってね。」
「まりしゃおとーちゃんのおくち、あっちゃきゃいにぇ。」
「がんばったね、おちびちゃん。もうきょうはすーやすーやしようね。」
「ゆっくち。おとーしゃんのおくち、とっちぇもときゃいはにぇ。おきゃーしゃんとおなじくらいゆっくちしちぇるよ。」
「ゆっくりしていってね、おちびちゃん・・・」
「おやしゅみにゃしゃい・・・」
木の洞にあった丸い影は、少しずつ形を崩していき、ついには赤いカチューシャの他に何一つ痕跡を残さず消え去っていった。
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洞窟内には、周辺の群れも合わせて数百の家族がひしめきつつ、一様にすすり泣いていた。
「まりさぁぁ・・・」
「おとうしゃぁぁぁあああん・・・」
家族たちの中には、ゆっくりまりさのとんがり帽子をかぶったありすやちぇんも多い。
そばに寄り添う赤ゆに、必ずと言ってよいほど赤まりさがいたことで、れいむはおおよその事情を悟ったのだった。
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雨のあがった夕方、川原は、泥を洗い流すゆっくり達で、タコ焼き機を敷き詰めたような賑わいだった。
川の水も若干増水しており、流れもすっかり速くなっていた。
とはいえ元々きれいな水である。多少濁ってはいてもきれいきれいする分には問題なかった。
「かわさんはちょっとゆっくりしてないよ!おちびちゃんたちは、かわさんのなかにはいらないでね!
おかーさんにきれいきれいしてもらうんだよ!」
「「「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」」」
先代の群れの長まりさも永遠にゆっくりしてしまっていたため、
急きょ新しい長となった若いまりさは、群れのゆっくり達に注意を促す。
突然の任命に多少動揺していたものの、その眼には、誇りと責任感がはっきりと見て取ることができた。
群れは数を減らしはしたが、今後も安泰であろう。
「すっきりー!」
きれいに晴れた空を見ながら、れいむはまりさと赤ありすのゆっくりした下膨れを思い出す。
まりさ・・・ありす・・・ゆっくりしていってね。
れいむはふたりのぶんまでゆっくりするよ。
「おきゃーしゃん!りぇいみゅあのいわしゃんのうえでぽーかぽーかしゅるよっ!」
そこには、大きな岩が転がる川原の中にあって、ひときわ大きな岩があった。
子ゆっくりでも登るのは一苦労、ましてギリギリ赤ゆといった末っ子れいむでは転んで怪我をする危険もある。
「れいみゅひちょりでにょぼるよ!おきゃーしゃんはみちぇちぇにぇ!」
「ゆーん。おちびちゃん。あぶないよ。」
「れいみゅだいじょうぶだよっ!
れいみゅも、まりしゃおにぇーしゃんみちゃいに、ありしゅおにぇーしゃんみちゃいに、
ゆっくちしたゆっくちにゃるんだよっ!」
「・・・おちびちゃん、たいようさんにゆっくりかわかしてもらってね!」
ありす、まりさ。ふたりがいなくても、れいむはもうなかないよ。
おちびちゃんが、あんなにゆっくりてるから。
だから、おちびちゃんを、ずっといっしょにみまもっててね・・・。
末っ子れいむは、お母さんれいむにキレイに泥を落としてもらうと、
日向ぼっこをするために、川原から少しのぼった先の岩の上に駆け上がる。
ぴょんっ!
ぴょんっ!
ぴょんっ! ドドドドォォォォオオオオオオオオオオオ・・・・・・・
ぴょんっ!「ゆっ!」
ぴょんっ!「ゆっくち!」
ぴょんっ!「あともうしゅこちだよっ!」
ぴょんっ!「ゆぅーん!」
「おきゃーしゃんっ!れいみゅひちょりでのぼれちゃよっ!!!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」
*
o
+
#
*
o
+
#
*
o
+
#
* 。
末っ子れいむが振り返ると、そこには先ほどまでの2倍以上の幅、10倍どころではない深さとなった濁流が、
とてもゆっくりしてない速さで流れていた。
ついさっきまで水浴びを楽しんでいた群れのゆっくり達は、どこを見ても影も形もない。
山津波。
それは上流で山地に蓄えられた水が、豪雨などにより貯水限界を超えて、土砂を巻き込み一気に流れ落ちる現象。
野生のゆっくり達にとっても、その川の姿は想像を超えていたことだろう。
「おきゃーしゃん。ゆっくち・・・しちぇいっちぇにぇ・・・。」
末っ子れいむは、小首(?)をかしげつつ、いつまでも母を呼び続けるのだった。
前作『真夏はゆっくりできるね』では脇役がヘタにキャラ立ちしていたため、おまけSS作成が大変でした。
今回はほぼ全員にしっかりトドメを入れておいたのでおまけは書かずに済みそう。
でも、雨ってやっぱり味気なくてイマイチ面白くなりませんね。すみません。
小ネタに頼らざるを得ないのは悪い傾向です。
ちなみに『ゆうかりんのご奉仕授業』の校長の名前は倉塚先生でした。
あと、『ゆっくりのみるゆめ』の虐待お兄さんは天霧さんです。
過度な絵師さんいじりにはならないよう、なるべくイメージと遠いキャラに、名前を使わせていただいております。
苦情があったらやめますが。
実は、登場予定だった長まりさと側近みょんを削っています。だって悲劇にならなかったんですよ。
(一部抜粋)「もうまりさはここまでだぜ。みょんははやくどうくつにむかうんだぜ。」
「何言ってるんですかい、おやっさん。最後までお供させていただきやすぜぇ。みょん。」
「ばかなこといってるんじゃないんだぜ。みょんはむれのこれからにひつようなゆっくりなんだぜ。」
「ふっ。あっしみてぇなロートルが残ったところで、若けぇもんに腫れもの扱いされんのがオチでさぁ。
それに、おやっさんと三途の川ぁ渡って、あっちでひと暴れすんのが楽しみってもんでさぁ。みょん。」
「ふぅ・・・つくづくどうしようもないみょんなんだぜ。もういいんだぜ、ここまでにしてくれだぜ。」
「介錯は任せてくんなせぇ。あっしもすぐにお供させていただきやすぜ。みょん。」
ギャグですね。
※次回予告
最愛の母と姉を失いながらも赤れいむは強く生き続ける。
そして、町に戻った彼女が母と同じ大きさに育った頃、彼女に最後の試練が降りかかるのであった。
次回、D.Oが送る季節モノ系SS最終回『クリスマスイブさんはゆっくりしてね』(仮)。
まあ、あんまり期待しないで待っててください。ダラダラ書きます。
過去作品
ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり
ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね
ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ
ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業
* 『ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね』続き。
* まあ、タイトルで予想できるとおり、大体定番の展開ですので、
盛り上げるためにも前置きやら小ネタが必要になりました。
『雨さんはゆっくりしてるね』
D.O
夏。
今日も町は、餡子の底まで焼けつくような暑さだ。
一昨日、小学校に居たゆうかりんからもらった水は、もはや一滴も残っていない。
れいむは今日もおちびちゃんたちとともに、水を求めて町をさまよう。
「もうゆっくちあるけにゃいよぉ。」
不満を漏らす彼女は末っ子れいむ。
「ゆっくちがんばっちぇにぇ、ときゃいはじゃにゃいわ。」
それをいさめるのは長女ありす。
れいむ自慢のゆっくりしたおちびちゃんたちだ。
でも、このままじゃおちびちゃんたちもゆっくりできなくなるよ。
ゆっくりしないでおみずさんをみつけないと。
れいむ一家が朦朧とした意識で這い進んでいると、何やら目の前に、
ゴミ捨て場さんによく似た小さな山が見えた。
「ゆう・・・ゆっ?なんだかこのはこさんゆっくりできるよ?」
「ちゅめちゃーい!ゆっくちー!」
「しゅーりしゅーりしゅると、とっちぇもしゅじゅしいわ。ときゃいはー!」
「おちびちゃんたち、ちょっとここでやすもうね!」
「「ゆっくちー!」」
「「「すーや、すーや・・・。」」」
「よーし、湯土郎!荷物積み込んだらとっとと車に乗れー。」
「キャンプッ!キャンプッ!」
ブロロロロロロォォォォォ・・・
「「「ゆっ!?」」」
「あれっ?とーちゃん、ゆっくりが乗ってる。」
「なんだとぉ?」
彼女たちが冷たいと喜んでいたのは氷を満載したクーラーボックス。
ゴミ捨て場に見えたのはキャンプ用品の山である。
こうして彼女たちは、予想だにしない形で町の熱気から解放されたのだった。
「いや、そこらに置いて行こうよ湯土郎、野良ゆはゆっくりできないってばっちゃが言ってたぞ!」
「こんなトコに置いてっちゃかわいそーだろ!
仲間のいるところに返してやろーよー。」
親子が話し合う中、人間さんのすぃーに無断で乗ってしまったことに気づいたれいむ一家は、
奥歯もかみ合わないほど震えあがっていた。
だが、彼女たちの心配は良い意味で裏切られる。
結局父が折れた。
「ありす、ゆーどろごっこしようぜ!」
「ぷきゅぅぅぅぅぅうううう!ぷきゅるるるるーーーー!ゆっくちー!」
「な!たのしいだろ!」
あにゃるからストローで息を吹き込まれるたび、
長女ありすは自分がいつもより大きく膨らんでいるような気がして、とても喜んでいた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
巷のゆっくり愛好者に人気のキャンプ場『虹浦ゆーキャンプ』。
このキャンプ場は、近くに大人の足首程度の水深の小川と、捕食種の住みつかない恵み豊かな森を有しており、
多くの人懐っこいゆっくりたちが住みつく、素晴らしいゆっくりプレイスだった。
「「「ゆっゆーーー!!!」」」
「じゃーね、れいむ!ここならたくさんゆっくりした友達がいるから、ゆっくりしていってね!」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
れいむ一家は人間さんの親子に別れを告げると、仲間達のにおいをたどって森へと入って行った。
美しい緑に興奮しつつ、れいむ一家が森を進んでいると、
木の影から、
岩の隙間から、
崖の上から、
いつの間にか、無数のゆっくりの視線がれいむ一家を取り囲んでいた。
森のゆっくり達は見かけない顔のれいむに、距離をとりつつもゾロゾロと集まる。
向けられるのは好奇の視線。
町の排気ガスと油に汚れた体、水不足と食料不足でゆっくりできていない下膨れ、森のゆっくり達とはまるで別物。
れいむ一家自身も明らかな差を自覚し、さらし者にされているかのよう、いや、実際さらし者にされていた。
それは、かつて飼いゆっくりの集まる公園にあんよを踏み入れた時の感覚に似ていた。
「ゆっくりしていってね!」
その静寂を破ったのは、森ゆの中でもひときわゆっくりしていた、一匹のまりさだった。
まりさは周囲のゆっくり達よりさらに一歩れいむに近づき、れいむの瞳をじっと見つめていた。
その視線は鋭かったが、なぜかゆっくりできないものではなく、れいむ自身もまりさに目を合わせた。
そして数時間にも感じられる数秒が過ぎたころ、まりさは再びお口を開いた
「みんなっ!このれいむたちはゆっくりできるよ。みんなもいっしょにゆっくりしてね!」
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」
れいむ一家は、こうして森に迎え入れられた。
木々の木陰はひんやりと涼しく、町の猛暑を餡子がとろけるほどに味わっていたれいむ一家にとっては、
まさに別世界だった。
ゆっくりひなたぼっこ。ごはんはどちらを向いても山のようにある。
小川の清水は、おちびちゃんたちの全身に染みついた町のホコリを清めてくれた。
全身を清め終えたれいむ一家は、栄養状態こそそこそこだが、いまや森ゆに負けない美ゆっくり達となっていた。
「べっ、べつにそんなにゆっくりしてるとかおもってないわよ!ちょっととかいはだからってちょうしにのらないでねっ!」
「とっちぇもゆっくちできりゅわ!おにぇーしゃんはとっちぇもときゃいはにぇ!」
「なっ、なによ!ありすをほめたって、このあまあまのきのみさんくらいしかでないわよっ!」
「ありがちょー。」
今や、だれが見てもれいむ達は立派な森ゆであろう。
そして数日後。
そんな美ゆっくりとなったれいむに、まりさが惹かれたのか、
ゆっくりしていなかった自分を森に受け入れてくれたまりさに、れいむが惹かれたのか、
確実なことは、まりさとれいむが周囲のゆっくり達公認のカップルとなったことだった。
むろん新参のよそ者と、森でもそのゆっくりっぷりが評判のまりさが恋仲となるので波紋は生じる。
例えば、
「ふんっ!そんなれいむをすきになるなんて、まりさもとんだいなかものだったのねっ!」
捨て台詞を残して去って行ったのは、まりさと並ぶ美貌を誇っていた、つんでれありすだ。
お察しのとおり、彼女はまりさのことを愛していたが、厄介な性格のせいで告白できなかった。
これまたお察しのとおり、まりさ以外の森ゆ全員が彼女の想いを知っていた。
所詮は個ゆっくり間の色恋沙汰など、誰も進んで関わりたがらなかったが。
「「「「「わかるよー。」」」」」
他のゆっくり達はわりかし物分かりがよく、お祝い事を素直に喜んでいた。さすがにゆっくりである。
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今日も見事な青空だった。
空には大きな大きな入道雲。
森のみんなは狩りもそこそこで終わらせて、浅い小川でサッと水浴び、
そのあとは岩の上で横になり、日光浴ですっきりーする。
みんながゆっくりしている姿の中にあっても、まりさは本当にゆっくりしていた。
おちびちゃんたちと水浴びを終えたれいむは、ふと以前から持っていた疑問を投げかけてみた。
「ねぇ、まりさ。」
「なに、れいむ。」
「はじめてあったとき、まりさはどうして、れいむとゆっくりしてくれたの?」
「・・・・・・。」
「れいむは、よごれてて、やせてて、とってもゆっくりしてなかったよ。どうしてゆっくりさせてくれたの?」
「・・・なんとなくだよ。」
「?」 ゴロゴロゴロ・・・
「なんとなく、れいむはゆっくりしてたよ。それだけだよ。」
「ゆ、ゆーん。なんだかれいむもよくわからなくなってきたよ。まりさはれいむのこと、ほめてくれてるの?」
「よくわからないよ。」
「ゆがーん!」
「それに、そんなのどうでもいいよ。まりさは、れいむのことがだいすきだよ。それだけでじゅうぶんなんだよ。」
「まりさ・・・。」 ゴロゴロゴロゴロッ・・・
「れいむ・・・。」
見つめあう二匹。
だが、れいむがまりさの下膨れにうっとりとしていたその時、まりさは突然はっとして、空を見上げた。
まりさは気づいたのだった。
先ほどまで何事もなかった自分のお肌が、しっとりと濡れていることに。
「!」
慣れ、
気の緩み、
れいむともっとゆっくりしたいという願望、
いずれか、あるいはその全てであったかも知れない。
まりさは出せる限りの大声で叫んだ。
「みんなっあめさんがふるよ!ゆっくりしないでおうちにもどってね!!!」
まりさは、その大して長くもないゆん生において、
数えることができるほどしか(具体的には3回以下)してこなかった、
そして、もっとも致命的な失敗を犯した。
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まりさの声が川原に響いた瞬間、
ピッッッシャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!
雷鳴。
そして、次の瞬間
「「「わがらにゃぁぁあああああ・・・・・・・・・!!!」」」
桶の底を叩き割ったような大雨。
小川で水浴びに興じていた数十匹のゆっくりが一瞬で砕けちった。
かろうじて森の中に逃げ込んだれいむたち。しかしまだまだ安泰とは言えない。
「このあめさんは、はっぱさんじゃふせぎきれないよっ!
みんな、まりさといっしょにどうくつさんにいくよ!」
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「ゆぁぁ・・・」
「ゆびっ・・・」
「やめじぇぇぇ・・・」
「あめざんやべじぇ・・・」
「あんよが、あんよが・・・」
「「「ゆっぐりざぜでぇぇぇぇえええええ・・・!!!」
「おぎゃあじゃぁぁん・・・」
「ばりざぁぁぁあ・・・」
「・・・をつかわざるをえない・・・」
「ぎゃぼ・・・」
「こんなのおかしいよぉ。」
ほんの少し前までここはたしかに至高のゆっくりぷれいすだったはずなのに。
今、れいむの眼前には地獄絵図が広がっていた。
もともと森の人気者だったまりさの周囲には、いつのまにか多くの森ゆたちが集まり、
一緒に洞窟に向けて、なるべく深い茂みの中を進んでいた。しかし、
「おきゃあしゃ『ボタッ』ゆびっ・・・。」
「おちびちゃん?おちびちゃぁぁぁあああん!!」
茂みをくぐり抜けた雨粒は、肌の薄い子ゆ、赤ゆ達を確実に狙撃していく。
しかし、森の豊富な食糧によって大きく育った赤ゆたちすべてをおくちの中に避難させることはできない。
れいむ一家にしても状況は深刻だ。
ここ数日の食生活のおかげもあってか、長女ありすも末っ子れいむも、急速に子ゆっくりサイズ近くへと成長してしまった。
もはやおくちの中に入れて運んであげることなどできない。
れいむ達は、自分と、おちびちゃんの頭上に死が降りかからないことを祈ることしかできなかった。
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「おちび、しげみさんのおくにきなさい!おちびのくせにあめさんにぬれるつもり!」
「ゆあーん。でもありしゅおにぇーしゃんがぬれちゃうよぉ」
「あっ、ありすはへいきにきまってるでしょ!すこしあめさんにぬれたいきぶんなのよ!」
「ゆーん、ありしゅおにぇえ・・・ゆ?」
「ゆぁぁぁああああん!!!ありしゅおにぇえちゃんのおかおがくじゅれちゃっちゃよぉぉぉおおお!!!」
「いや・・・いやぁぁぁあああ!!!」
「ありすっ、おちついてよー!」
「こんなのとかいがじゃないわぁぁぁぁぁぁ。」
「ありすー、だいじょうぶだよー、ぺーろぺーろしたらよくなるよー。」
「だめぇ、こんなゆっくりしてないおかおじゃ、まりさのちかくにいられないのぉ。
ありすみたいな、いじわるでゆっくりできないゆっくりが、おかおまでゆっくりできなくなっちゃったらぁ・・・。」
「・・・ちがうよー。ありすはやさしくってゆっくりできるありすだよー。
ちぇんはずっとすきだったよー。おちびちゃんをまもってけがしちゃったありすはもっとすきになったよー。
わかるー?」
「ちぇん・・・」
「あめさんがやんだらちぇんとずっとゆっくりしてほしいよー。
へんじはこんどでいいよー。わかってねー。」
「・・・・・・。」
つんでれありすは気づかない。
愛の告白をした、ちぇんの尻尾の付け根はすでにふやけて痛々しく裂けており、
ありすとすーりすーりするたびにチョコレートを大量に流していたことに。
ちぇんは気づいていない。
ありすの崩れた顔は、もはや皮としての強度を持ち合わせておらず、
ちぇんとすーりすーりするたびにカスタードを大量に流していたことに。
その光景を眺めていた赤まりさは、
彼女たちのあまりにゆっくりした姿に、自分も加えてもらおうと、
餡子をボロボロとこぼすあんよでゆっくりと這い進み、二匹にそっと寄り添った。
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一方れいむ一家はまりさや森ゆ達と茂みを進んでいたが、
普段は雨さんから守ってくれるはずの葉っぱさんから、さらに大粒になった水滴が降り注ぐ中で、
赤ゆ、子ゆから次々に餡子を散らしていく。
「ゆぴっ・・・・」
「ゆげぇ・・・」
「おちびじゃん、おちびちゃんがぁぁぁ・・・ゆべぇ。」
いつのまにか周囲には、れいむ一家とまりさ以外は誰も居なくなってしまっていた。
「おきゃあしゃん・・・もぉあるけにゃいよぉ。」
末っ子れいむがついに弱音を吐き始めた。
とはいえ今回ばかりは甘えだとも言い切れない。
事実末っ子れいむと長女ありすのあんよはぶよぶよにふやけて限界まで来ていた。
まりさが2匹を、帽子に交互に入れてあげてはいたが、
洞窟が見えるところまで来て、ついにれいむ達は完全に身動きを取れなくなった。
れいむ一家は近くにあった木の洞に隠れる。
「まりさ、まりさもきのあなさんのなかにはいってね。」
「まりさはおぼうしがあるからへいきだよ!れいむたちこそもっとおくにはいってね!」
「おきゃあしゃぁぁあん、このあなしゃん、おみじゅしゃんがはいっちぇくるよぉぉ。」
しかし、ゆっくり達のおうちに使われてないだけあり、
その洞はあまりに小さく、雨から完全に身を守ることはできなかった。
その時、少しだけ雨が弱まった。
あんよが濡れる危険があろうとも今洞窟に向かうしかない。
「れいむ、これからおちびちゃんといっしょに、どうくつさんにむかってね。」
「「まりしゃおにぇーしゃん?」」
「まりさ、なにいってるの?」
「よくきいてね。まりさだけならこのあなさんのなかでもだいじょうぶだよ。
でもおちびちゃんたちまではむりだよ。」
「まりさをおいてなんていけないよ!
それにれいむたちはおぼうしがないから、あめさんのなかをどうくつさんまでいけないよ。」
「れいむはまりさのおぼうしをかぶってね。
おちびちゃんたちは、きゅうくつでもおぼうしのなかにはいってね。とにかくまりさはここにのこるんだよ。」
その時れいむは、洞に入らず雨にさらされ続けていたまりさのあんよが、
ろくに動かせないほどふやけていることに気づいた。
「ありしゅものこるよ!」
「なにいってるの、おちびちゃん!」
「まりしゃおにーちゃんがいりゅからだいじょうぶだよ。
おきゃーしゃんは、りぇいむをちゅれてどうくつさんにいっっちぇにぇ!」
普段ならば、いかにおちびちゃんの言葉とは言え、じゃあゆっくりのこってね、とはいかない。
しかし、
「わかったよ。おちびちゃんはまりさとゆっくりしていってね。」
れいむは、末っ子れいむだけを帽子に入れて、洞を飛び出していった。泣き叫ぶのをこらえながら。
「ありすはもう、あんよがやぶれちゃってたんだね・・・。」
「でも、もういちゃくにゃいんだよ。へんだにぇ・・・。」
「おそとはつめたいよ。まりさのおくちにはいってね。」
「まりしゃおとーちゃんのおくち、あっちゃきゃいにぇ。」
「がんばったね、おちびちゃん。もうきょうはすーやすーやしようね。」
「ゆっくち。おとーしゃんのおくち、とっちぇもときゃいはにぇ。おきゃーしゃんとおなじくらいゆっくちしちぇるよ。」
「ゆっくりしていってね、おちびちゃん・・・」
「おやしゅみにゃしゃい・・・」
木の洞にあった丸い影は、少しずつ形を崩していき、ついには赤いカチューシャの他に何一つ痕跡を残さず消え去っていった。
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洞窟内には、周辺の群れも合わせて数百の家族がひしめきつつ、一様にすすり泣いていた。
「まりさぁぁ・・・」
「おとうしゃぁぁぁあああん・・・」
家族たちの中には、ゆっくりまりさのとんがり帽子をかぶったありすやちぇんも多い。
そばに寄り添う赤ゆに、必ずと言ってよいほど赤まりさがいたことで、れいむはおおよその事情を悟ったのだった。
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雨のあがった夕方、川原は、泥を洗い流すゆっくり達で、タコ焼き機を敷き詰めたような賑わいだった。
川の水も若干増水しており、流れもすっかり速くなっていた。
とはいえ元々きれいな水である。多少濁ってはいてもきれいきれいする分には問題なかった。
「かわさんはちょっとゆっくりしてないよ!おちびちゃんたちは、かわさんのなかにはいらないでね!
おかーさんにきれいきれいしてもらうんだよ!」
「「「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」」」
先代の群れの長まりさも永遠にゆっくりしてしまっていたため、
急きょ新しい長となった若いまりさは、群れのゆっくり達に注意を促す。
突然の任命に多少動揺していたものの、その眼には、誇りと責任感がはっきりと見て取ることができた。
群れは数を減らしはしたが、今後も安泰であろう。
「すっきりー!」
きれいに晴れた空を見ながら、れいむはまりさと赤ありすのゆっくりした下膨れを思い出す。
まりさ・・・ありす・・・ゆっくりしていってね。
れいむはふたりのぶんまでゆっくりするよ。
「おきゃーしゃん!りぇいみゅあのいわしゃんのうえでぽーかぽーかしゅるよっ!」
そこには、大きな岩が転がる川原の中にあって、ひときわ大きな岩があった。
子ゆっくりでも登るのは一苦労、ましてギリギリ赤ゆといった末っ子れいむでは転んで怪我をする危険もある。
「れいみゅひちょりでにょぼるよ!おきゃーしゃんはみちぇちぇにぇ!」
「ゆーん。おちびちゃん。あぶないよ。」
「れいみゅだいじょうぶだよっ!
れいみゅも、まりしゃおにぇーしゃんみちゃいに、ありしゅおにぇーしゃんみちゃいに、
ゆっくちしたゆっくちにゃるんだよっ!」
「・・・おちびちゃん、たいようさんにゆっくりかわかしてもらってね!」
ありす、まりさ。ふたりがいなくても、れいむはもうなかないよ。
おちびちゃんが、あんなにゆっくりてるから。
だから、おちびちゃんを、ずっといっしょにみまもっててね・・・。
末っ子れいむは、お母さんれいむにキレイに泥を落としてもらうと、
日向ぼっこをするために、川原から少しのぼった先の岩の上に駆け上がる。
ぴょんっ!
ぴょんっ!
ぴょんっ! ドドドドォォォォオオオオオオオオオオオ・・・・・・・
ぴょんっ!「ゆっ!」
ぴょんっ!「ゆっくち!」
ぴょんっ!「あともうしゅこちだよっ!」
ぴょんっ!「ゆぅーん!」
「おきゃーしゃんっ!れいみゅひちょりでのぼれちゃよっ!!!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」
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o
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末っ子れいむが振り返ると、そこには先ほどまでの2倍以上の幅、10倍どころではない深さとなった濁流が、
とてもゆっくりしてない速さで流れていた。
ついさっきまで水浴びを楽しんでいた群れのゆっくり達は、どこを見ても影も形もない。
山津波。
それは上流で山地に蓄えられた水が、豪雨などにより貯水限界を超えて、土砂を巻き込み一気に流れ落ちる現象。
野生のゆっくり達にとっても、その川の姿は想像を超えていたことだろう。
「おきゃーしゃん。ゆっくち・・・しちぇいっちぇにぇ・・・。」
末っ子れいむは、小首(?)をかしげつつ、いつまでも母を呼び続けるのだった。
前作『真夏はゆっくりできるね』では脇役がヘタにキャラ立ちしていたため、おまけSS作成が大変でした。
今回はほぼ全員にしっかりトドメを入れておいたのでおまけは書かずに済みそう。
でも、雨ってやっぱり味気なくてイマイチ面白くなりませんね。すみません。
小ネタに頼らざるを得ないのは悪い傾向です。
ちなみに『ゆうかりんのご奉仕授業』の校長の名前は倉塚先生でした。
あと、『ゆっくりのみるゆめ』の虐待お兄さんは天霧さんです。
過度な絵師さんいじりにはならないよう、なるべくイメージと遠いキャラに、名前を使わせていただいております。
苦情があったらやめますが。
実は、登場予定だった長まりさと側近みょんを削っています。だって悲劇にならなかったんですよ。
(一部抜粋)「もうまりさはここまでだぜ。みょんははやくどうくつにむかうんだぜ。」
「何言ってるんですかい、おやっさん。最後までお供させていただきやすぜぇ。みょん。」
「ばかなこといってるんじゃないんだぜ。みょんはむれのこれからにひつようなゆっくりなんだぜ。」
「ふっ。あっしみてぇなロートルが残ったところで、若けぇもんに腫れもの扱いされんのがオチでさぁ。
それに、おやっさんと三途の川ぁ渡って、あっちでひと暴れすんのが楽しみってもんでさぁ。みょん。」
「ふぅ・・・つくづくどうしようもないみょんなんだぜ。もういいんだぜ、ここまでにしてくれだぜ。」
「介錯は任せてくんなせぇ。あっしもすぐにお供させていただきやすぜ。みょん。」
ギャグですね。
※次回予告
最愛の母と姉を失いながらも赤れいむは強く生き続ける。
そして、町に戻った彼女が母と同じ大きさに育った頃、彼女に最後の試練が降りかかるのであった。
次回、D.Oが送る季節モノ系SS最終回『クリスマスイブさんはゆっくりしてね』(仮)。
まあ、あんまり期待しないで待っててください。ダラダラ書きます。
過去作品
ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり
ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね
ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ
ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業