ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0211ある日の加工場の一幕 2
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ankoss
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最初に
このSSはふたば系ゆっくりいじめ 83 ある加工所の一幕の続きです
このSS単体でもお読みいただけますが、
先に上のSSを読んでいただけるとより楽しめるような気がします
※※CAUTION!!!!!!!!!!※※
加工所ってどんなところなんだろう?そんな思いで書きました
自分設定の嵐です。というより加工所に関する設定が本体と言う噂
拙作、お部屋のゆンテリア自作キットシリーズを未見の方にはとても不親切な描写が含まれます
これらのものがお嫌いな方は 誠に申し訳ありませんが
このウィンドウを閉じていただきますようお願いします
以上を許容していただける方は ゆっくりご笑覧ください
加工所
それはゆっくりをゆっくりさせない場所
だがそれはあくまでゆっくりにとっての話である
人間にとってそこは他と変わらない職場の一つでしかない
ゆっくりの生産、餡統を管理し、新しい種を生み出すこともある繁殖部
ゆっくりをペット用にするために頭の良い個体をより分け、教育する育成部
ゆっくりを菓子や製品に仕上げる加工部
ゆっくり飼育グッズ、野良対策グッズ、その他全てのゆっくり関連の道具を作る開発部
ゆっくりを全国のペットショップに卸し、対外的なゆっくりのイメージアップにも携わる営業部
他にも部署はあるが割愛する
これらの部署が連携を密に取り合って運営されているのが加工所である
それでは今日も、そんな加工所を日常を覗いてみたいと思う
場所は繁殖部・・・・・・
ある日の加工所の一幕 その2
繁殖部マニュアルP154より
ペット用と食用のゆっくりは、それを産む母体からまず分けられる。
ペット用のゆっくりは、頭がいい分中身のあんこも多く質は良いのだが如何せん甘味が足りない。
それに加えて大きさも不揃いであり、加工に手間がかかるため
ペット用に作られたゆっくりを食用に卸すことはほとんど無い。
ペット用ゆっくりの母体には、育成部の教育の過程で特に優秀さを見せたゆっくりを使う。
母体は良個体を生みだす率が高い順にナンバリングされており、
50番以内の母体が生み出す子供たちは、
生涯ゴールドバッジ取得率60パーセントを超える品質を持つとされる。
ナンバーは一定期間ごとにデータに基づいて更新されるので、常に品質は保たれる。
当加工所において、ナンバー50番以下の母体を以後プラチナ母体と呼称する。
ゆっくりにとってストレスは甘味を増やす元であると同時に、
餡子にネガティブな感情が蓄えられる原因でもある。
ゆっくりは子どもに自分の餡子をそのまま受け継がせるため、ストレスをためた個体が母体になると
あまり人間に懐かなくなる、ゲス因子が発現しやすくなるなどの不都合が起きる。
そのため、プラチナ母体には、特別な待遇を与えることとする。
繁殖部第一繁殖室
ひろびろとしたケースのなかに、ゆっくりしたおうち
あめさんはふらない れみりゃはこない
にこにこやさしいおにいさんが おいしいおやさいさんをくれる
おべんきょうをがんばると あまあまさんをくれることもある
おべんきょうはむずかしいけど とってもゆっくりできるよ!
おにいさんはときどきあかちゃんをつくらせてくれるよ
うまれたあかちゃんは おにいさんがやさしいかいぬしさんにとどけてくれるよ!
あかちゃんもおにいさんも ゆっくりしていってね!
完全個室、栄養管理、室温管理、三食完備。
ゆっくりにとって理想のゆっくりプレイスがここにあった。
プラチナ母体の飼育室である。
母体にいかにストレスをかけず、能力を高く保ち、高い生産性を実現するか。
考え抜かれた結果がこの部屋である。
部屋の構造を軽く説明しよう。
部屋に入ると、鰻の寝床のように細長く区切られたケージが並んでいる。
その一つ一つが一匹の母体の部屋だ。
全てのケージは第二繁殖室(51~200番までの母体が収められている部屋)に向かっている。
第一と第二繁殖室の間の壁はマジックミラーになっており、プラチナ母体からは第二繁殖室
の様子が丸見えになっているのだ。
理由は三つある。
まず一つはプラチナ母体に危機感を与えるため。
子供を産むごとに自身の餡子を減らすゆっくりは、勉強を止めるとどんな良個体でもすぐに頭が悪くなる。
プラチナにいることで慢心してしまうゆっくりを減らすための措置だ。
次の一つはマジックミラーである理由。
第二繁殖室のゆっくりには個室は与えられない。
担当の人員も少なければ甘いものもめったに与えられない。
そんな第二繁殖室にいるゆっくりにとって、プラチナ母体が甘受しているゆっくりした環境はまさに天国。
全てのゆっくりがそれを与えられることを望むが、努力しその待遇を勝ち取ろういう思考に
至るゆっくりはごくまれだ。
なぜあいつらは、それに比べて自分は、と、闇雲にストレスだけ貯め込んでしまう個体の方が
圧倒的に多いため、壁は一方通行でしか見られないようになっている。
最後の理由は、プラチナへの最後の試験だ。
ゆっくりというなまものは他をゆっくりさせることを好むが、ゲス資質を持つものたちの中には
「ゆっくりしていない同族を見て自分がゆっくりする」という思考回路を持つものが少なくない。
もちろん、自分がプラチナであるという多少のプライドはあるほうが望ましいが、
過剰に他のゆっくりを見下すようになってしまうようではプラチナ失格だ。
そうなってしまうと、子供にもゲス因子の芽が受け継がれる可能性が高くなる。
第一繁殖室は常時監視カメラで見張られており、母体たちの言動は全て見聞きされている。
飼育員たちは監視カメラの情報と自身の母体との対話によってゲス因子の寡多を見分け、
毎日チェックしているのだ。
繁殖部第一繁殖室 18番ケージ
「あいもかわらず、あいつらはゆっくりしてないあかちゃんころころうんでるんだぜぇー?」
部屋のパネルに映し出される問題を次々に解き続けながら、
横眼でマジックミラーを眺めているまりさがいる。
「せいぜいたりないあたまでむだなおべんきょうして、
ゆっくりしてないあかちゃんをうみつづけるがいいんだぜ!」
顎の代わりに下膨れの腹を突き出し、細めた目は人を小馬鹿にするように笑っている。
ハの字に開いて寄せられた眉毛やひんまがった口元は、
まぎれもなくゲス因子の発現を示すものである。
ナンバー18番。プラチナの中でも一ケタに近い、最高の品質を持つ母体である。
このまりさは成体になり繁殖室に移されてから5回の更新でプラチナ入りし、
その後も47番、36番、29番、と破竹の勢いでランクを上げて行った。
そしてついに、前回の更新で10番台に入ったエリートゆっくりである。
生まれた子供の迷路テスト合格率は94.8パーセント。一ケタの母体と比べても全く遜色ない。
しかし、何故頭はいいがほとんどゲス化したようなまりさから生まれる子供が、
それでもプラチナ並みの品質を保っていられるのだろうか?
それは、飼育員の足音が聞こえてきた時に起こった。
「ゆゆ!しいくいんのおにいさんがきてくれたんだぜ!」
耳も無いくせに耳聡く足音を聞きとったまりさは、表情と態度を一変させた。
姿勢を正し、真円に近い張りのある体をわずかにたわませる。
撫でたらやわらかな弾力が手を楽しませてくれそうだ。
目は媚びすぎずきつすぎない、内から溢れるような心からの笑顔に変わる。
眉は柔らかく弧を描き、口は楽しそうに、おにいさんと喋ることが本当に楽しいという風に開かれる。
まさに人が求める最上級のゆっくりの表情である。
扉が開かれた。
「あ、おにいさん!おはようございます!
まりさはきょうもおべんきょうがんばるから、ゆっくりおしえてね!ゆっくりしていってね!」
「おはようまりさ。今日もゆっくりしてるね。
今日のお勉強が終わったらあまあまを2枚上げるから頑張ってね!」
「ありがとう!まりさがんばるよ!」
飼育員の男性は、にっこりとほほ笑むとまりさに食事を与え、
モニターに付属している機械から問題の入ったディスクを抜き、新しいディスクを差し込んだ。
「じゃあまりさ、今日の問題はこれだよ。
全部で50問あるから、40問以上正解できるように頑張ってね!」
「ゆゆっ!まりさぜんもんせいかいしちゃうよ!!」
「頼もしいね。じゃあがんばってね!またお昼に来るからね!」
男性は扉を閉め、隣の部屋のゆっくりに餌をやりに行った。
「ぷひゅぅ~、いいこのふりはつかれるんだぜ!
これをいちにちじゅうつづけるまりさのおちびちゃんたちはすごいんだぜ!
でもそれがおちびちゃんのためだから、ゆっくりがんばるんだぜ!!」
飼育員が部屋のメンテナンスをしている間中ずっとにこにこと笑い続けていたまりさだったが、
もう飼育員の男性はここには来ないと判断した瞬間に、元の表情に戻ってしまった。
そしてにやにや笑いを浮かべながらあんよでスイッチを踏み、今日の分の問題をスタートさせる。
このまりさは50と言う数字を理解している。
そしておそらく、今日の問題も9割以上の正答率を見せるだろう。
頭・・・餡子の出来がとてつもなく良いのだ。
新しい問題を上機嫌に解き続けながらまりさがひとりごちる。
「まりさはもっともっとおべんきょうをがんばって、ひとけたになるんだぜ。
ひとけたになれば、『しぜんはんしょく』でこどもをつくらせてもらえるんだぜ。
どんなびれいむでもびありすでもすっきりしほうだいなんだぜー!!」
このまりさの餡を引く子供たちは、ほとんどすべてが人間との力関係を理解し、
完璧な飼いゆっくりとして振る舞おうとする性向を持っていた。
それがこのまりさを18番にまで押し上げた理由である。
このまりさはゲスではないのかもしれない。
努力し、人間との力関係を完璧に把握し、人をゆっくりさせ、
その上でその対価として自分をゆっくりさせてもらおうとしている。
だが、残念ながら人間はゆっくりの演技を読み取ってしまう。読み取れてしまう。
人がゴールドバッジのゆっくりに求めるものは賢さと、そしてそれ以上に天真爛漫な純粋さ。
その点においてまりさは、最上級の母体としての資質に欠けている、と言われざるを得なかったのだ。
同時刻 繁殖部監視室
卓上まりさ。開発部が開発し、近々全国的に発売されるゆンテリア。
卓上まりさの開発元であるこの加工所には、全国の加工所から水上まりさの母体をくれという要求が
ひっきりなしに来ていた。
「どうする?シルバーバッジレベルを安定して産める母体10体だってよ」
「こっちは20体だ」
「いや、無理だろ。そんな簡単にシルバー産める母体なんて作れないって・・・。
50番以内レベルの精子餡使わないと」
「50番以内は基本的に母体として使ってるから、精子餡取れないしなぁ・・・どうしよう」
「じゃあ、50番落ちそうなやつ使うか・・・?」
「いや、つってもプラチナレベルともなったら番号の変動そんな無いだろ・・・?
どれが落ちるかなんて分かんねぇよ・・・」
飼育員の男性たちが顔を突き合わせて悩んでいた。
「でも使うとしたらどれだろーな?」
「うーん・・・下位の番号の奴ら見ててもそんなゲスいのいねーよなー・・・」
パネルを眺めながら悩む飼育員たち。その時、18番まりさのパネルから声が聞こえてきた。
「94点なんだぜ!!やっぱりまりさはえらいんだぜ!かしこくてどりょくかでいけめんなんだぜ!!
むのーなばかどもとはちがうんだぜー!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ゲスまりさちゃん入りましたー」
「誰だよ18番の担当。ていうかなんでこんな末期なゲス因子発現個体がプラチナにいんだよ」
「あー、そいつ担当俺。そいつすげー演技上手くてさー、子供にもその因子完璧に受け継いでんの。
ついでに餡子の出来めっちゃ良いからショップのウケ良いんだよねー」
「いや、っつってもそれじゃ長期的に見てクレーム率高くなりすぎるだろ。何やってんだお前」
「まぁそうだろうな。次の次あたりの更新でクレームの減点めちゃ増えると思うよ」
「いや、だったらお前が点数減らして落とせよ。何のために毎日チェックしてんだ」
「つってもよぉ、あいつ本気でカンが良いんだ。抜き打ちで何回行っても絶対気付きやがる。
隠しカメラのことはゆっくりに知らせない事になってるから、あいつがゲス因子を直接俺らに見せない限り
うかつに評価も下げれんのよ」
「はーん・・・・・・。時々そういうやつプラチナまで上がってくるよなー。
クレーム率増えるから育成には怒られる元なんだよなそういうの。
そもそも評価のシステムが悪いんだよったくー」
「まぁいいじゃん。遠慮なく使えるプラチナなんてそうそういねーんだし。
このまりさちゃんにはせいぜい役に立ってもらうとしようや」
「んじゃそうすっかー」
繁殖部第一繁殖室18番ケージ
「ゆゆっ、あしおとがするんだぜ!まだおひるにははやいんだぜ?」
などと言いながらも即座に「良い子」モードを発動するまりさ。
そこまでするぐらいなら常に顔ぐらい引き締めておけと思わないでもない。
「まりさ、おはよう!」
「おにーさんおはようございます!ゆっくりしていってね!」
「うん、まりさもゆっくりしていってね。
今日はね、まりさに特別なお仕事をしてもらいたいんだ」
「ゆゆ?とくべつなおしごと?なにをすればいいんですか?」
「うんまりさ。君の特別な仕事、それは好きなだけすっきりすることだよ!」
「ほんとなんだぜ!?じゃなくてほんとですか!?」
「ほんとほんと。
まりさはすっきりさせられるんじゃなくてすっきりさせたいよっていっつも言ってたでしょ?
だから、お勉強を頑張ってるまりさに特別なお仕事を任せることになったんだ。やってくれるかい?」
「やるよ!まりさぜったいやるよ!いますぐやらせてね!!」
目をキラキラと輝かせながらぽよんぽよんと飛び跳ねるまりさ。
「やってくれるかい。やっぱりまりさは良い子だ。じゃあ行こうね」
飼育員はまりさを持ち上げ、採取保存室に運んだ。
繁殖部第五繁殖室内 採取保存室
ここは食品用ゆっくりの繁殖室だ。
本来プラチナレベルの母体の精子餡を絞るなら、適当なゆっくりをあてがってやり
自然なすっきりを使って精子餡を採集するか、あるいは母体に直接精子餡を注ぐのが普通である。
しかし、今回必要な精子餡の量はそれではとても足りない。
2、3回すっきりーして終わりというわけにはいかないのだ。
なので今回は、精子餡を絞るための振動機械にまりさを縛りつけ、
ぺにぺにに搾乳機に似た搾精機を取り付け放置しておく手法を取る。
通常この手法で精子餡を絞られるのは、食品用の種ゆっくりである。
当たり前だが、精子餡を休みなしの連続で絞られつづけるのは大きなストレスであり、
一発で種ゆっくりの餡子が劣化してしまう。
食料用のゆっくりはゲスだろうが人になつかなかろうが、加工してしまえば一緒なので関係ない。
むしろ、種ゆっくりのゆっくりできない記憶を受け継いでくれるため赤ゆっくりに甘みが増して都合がよい。
しかし、同時に上記の理由からペット用ゆっくりに使うべき機械では無い。
今回は本当に急ぎの突貫工事であり、特別なのである。
「ゆゆ?ここはどこ?びありすは?びれいむは?」
ペット用の繁殖室にしかいたことの無いまりさには、この部屋が何のための部屋なのか分からない。
「おにいさん?まりさすっきりするのがおしごとじゃないの?」
飼育員のお兄さんは、にこにこと笑いながら、しかし問答無用にまりさを機械に備え付け、装置をセットする。
「おにいさん?おにいさん?ゆっくりしていってね?まりさおしごとがんばるからね?ゆっくりさせてね?」
不穏な空気を感じ取ったのだろう、飼育員に必死で話しかけているまりさ。
「まりさは偉い子だから、ゆっくりがんばってね」
取り付けを終えた飼育員は、まりさの頭をなでながら、笑顔でスイッチを入れた。
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
装置が動きだす。上下左右に細かく振動し、まりさを強制的に発情させる。
「ゆゆゆゆゆゆ・・・なんだかきもちよくなってきたよ!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「ぺにぺにきもちいいよおおぉぉぉ!すいこまれるみたいだよおおぉぉぉぉ!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「すっきりー!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「ゆゆ?もうまりさはすっきりしたよ?ちょっとおやすみさせてね?」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「なんでどばっでぐれないのぉー!?」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「じゃあ今日のお仕事は三時間だから、すきなだけすっきりしてね!」
一回目のすっきりと同時に放出された精子餡がきちんと搾精機に吸い込まれていくのを確認し、
飼育員は採取保存室を後にした。
「すっきりー!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「すっぎりー!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「ずっぎりーーーー!!!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「もうずっぎりじだぐないいいぃぃぃぃー!!!!」
数日後
繁殖部生産管理室
「やべ、育成に明日持ってく最高品質の赤ゆっくり数足りてねぇ」
発注と在庫の書類を見比べながら、やっちまったと呟く男が一人。
「まじか。どうすんだよ。
一日で赤ゆっくり作るとか、疑似れいぱー体験でもさせるしかないじゃねーか」
それを後から覗きこみながら、もう一人の男が応じる。
れいぱーににんっしんっさせられて出来た子供は生まれるのが早く、遅くとも一昼夜の間には生まれ落ちる。
「最高品質だしなー・・・数だけ揃えりゃ良いってもんでもねーしな・・・どーしよ」
「素直に謝っちまえよ、今こっちも忙しいんだからそれぐらい許してくれるって」
「嫌だよ、育成のエム部長、あの人めっちゃ怖いし」
「そりゃそうだが・・・・・・最高品質だろ・・・?プラチナでれいぱー体験させていいやつだろ・・・?」
「そんな都合のいいのが・・・・・・あるじゃねーか」
「・・・・・・あぁ、アレか。
いやでも、今アレ精子餡搾って2割ぐらい縮んでなかったか?
んな状態でれいぱーなんてされたら死んじゃわねーかな?」
「そんな時はあれだろ・・・オレンジジュース」
「無理やり餡子増やしたら、餡質の劣化が決定的になっちまうじゃねーか、精子餡搾りにも影響が出るぞ」
「精子餡は、特急で欲しいって言ってた加工所分作れるぐらいは摂れたしまぁ問題ねーよ」
「まだまだ要請来るに決まってんだろー?今足りてるからってんな無責任な・・・」
「体高2割も縮んだら、体積で言ったら半分ぐらいじゃねーか?どっちにしろそろそろ潮時だよ」
「まぁ・・・それもそうか」
「「やるか」」
繁殖部第五繁殖室 採取保存室
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「すっきりぃー!!すっきりぃーー!!すっきりぃぃーー!!!!」
「ずいぶん縮んだなー」
「毎日三時間だからなー・・・むしろ良く保ってるよ
こいつ、まだテストでプラチナの合格ライン維持してるんだぜ?」
「そりゃすげぇ・・・。
実際惜しいよな。そんだけ賢いなら、加工に持ってけば喜んでくれるだろうに」
「ま、それがこいつの運命だったのさ・・・・・・さっさとやっちまうぜ」
飼育員がスイッチを止めた。
「・・・・・・ゆはぁ・・・ゆはぁ・・・きょうはもうおわりなの・・・・・・?」
ぜいぜいと荒い息をつきながら飼育員を見上げるまりさ。
身体は一回り縮み、目は落ちくぼんでクマのような影ができ、皮にも張りがない。
それでも、瞳はぎらぎらと光っていた。この仕事をやりとげてやるという決意・・・・・・
やりとげて、もっとすばらしいゆっくりを与えてもらうのだという決意かも知れないが・・・
そう言ったオーラが全身から溢れていた。
作業員はそんなまりさに向かってにっこりと笑い、死刑を宣告する
「まりさ、毎日すっきりご苦労様
今日はね、まりさに最後のお仕事をしてもらうことにしたんだ」
「さいご・・・?まりさおしごとやりおわったんですか・・・・・・?」
「うん、まりさはほんとに頑張ってくれたよ。
このお仕事が終わってプラチナにいられたら、これまでよりももっともっとゆっくりさせてもらえるよ。
きっと自然繁殖のすっきりもいっぱいさせてもらえるし、食事も良い物を貰えるよ」
「やったよ・・・まりさはやりとげたんだよ・・・・・・」
疲弊しきった体で、目だけをギラギラと光らせ、会心の笑みを浮かべるまりさ。
だがこのまりさがプラチナに残ることは無い。オレンジジュースで無理やりに増やした餡には
「記憶」や「経験」が宿っていないからだ。
「ペットのゆっくりがにんっしんっして、出産したとたんゲス化した」
そういう事例は良く聞くが、それは親ゆっくりが赤ゆっくりに餡子を取られた後
潤沢な栄養によって野生ではありえない速度で餡子を補充してしまったせいだ。
簡単に言えば、無理やり新品の餡子を増やしたせいで、ゆっくりの頭が悪くなってしまったとういことだ。
飼育員は、にこにこと笑いながら拘束用のものを除いて器具を外していく。
「最後のお仕事はちょっと辛いよ?まりさに我慢できるかな?」
意地悪そうにまりさに聞く飼育員。
「まりさはつよいよ!がんばってさいごのおしごともやるよ!!」
気丈に答えるまりさ。
「よし、良く言ってくれた。頑張ってね!!」
拘束用の物を除いて全ての器具が取り外され、身動きが出来ないまりさに飼育員微笑みかけた。
そして、もう一人の飼育員が持っていた袋から何かを取り出した。
ゆっくりありすだ。
飼育員はありすを取りだすと、ゆさゆさと揺すり始めた。
加工所ではれいぱーありすの使い道はペット、食用共にあまり無いので、
飼育用の母体不適格になった廃棄個体を持って来たらしい。
「んほおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
すぐに発情するありす。母体不適格になった個体などこんなものである。
度重なる出産に餡子が耐えきれず、もはや知性や理性を学習で補いきれないのだ。
「そこのとってもきれいでどがいはなまりざあああぁぁぁぁ!!!!ずっぎりじばじょおお!!!!」
作業員の手の中でびたんびたんと暴れるありす。
目は血走り、口は醜く吊りあがりながら半開きになっている。
作業員は、拘束の終わったまりさに向かってありすを放した。
「ばりさああぁぁぁ!!!!こがらなからだががわいいわああぁぁぁ!!!」
「ゆぎゃああぁぁぁ!!!なんで!どぼじでばりざがれいぱーありすにいいぃぃぃ!!??」
ぬっちゃぬっちゃ、と、粘度の高い音が室内に響き渡る。
「ばりざああああああぁぁぁぁ!!!!!きもちいいでしょおおおおおおおお!!!!
とかいはなあいでにんっしんっさせてあげるわあああああぁぁぁぁぁ!!!」
「ぎぼちわるいいい!!!なんでえええぇぇぇ!!どぼじでごんなごどずるのおおおお!!!!!」
まりさには理解できない。自分は頑張った。頑張ってきた。なのに何故?どうして?
そうだろう。
まりさには理解できない。これまで人間さんをゆっくりさせてきたのに、なんでこんなことするの?
そうだろう。
まりさには理解できない。まりさは何にも悪いことしてないのに。人間さんのいうことを聞いて頑張ったのに。
そうなのだろう。
まりさには理解できなかった。
結局のところ、自分が人間の都合で運命を左右される儚いなまものだったのだという事を。
「それが最後のお仕事だよまりさ。がんばって、いい子を産んでね!」
飼育員は何の優しさも感じられない笑みを浮かべ、まりさに言った。
「あ、やばいやっぱり耐えられないっぽい」
ありすとまりさのすっきりが始まってしばらくたつと、まりさの体が急速に乾きはじめた。
黒ずんで死んでしまう前兆だ。
まりさの本体である餡子がにんっしんっの準備によって極度の飢餓状態に晒されることで、
ついには自身の皮さえも餡子にしてしまおうとしているのだ。
その結果、全身がくまなくスカスカの餡子になってしまう。
栄養状態の悪い個体や子供がすっきりをするとまるで黒ずんで死んでしまったように見えるが、
その理由はこういうことだ。
「あーあ、やっぱり使わないといけないか・・・」
オレンジジュースが入った点滴のパックと注射器を構えて飼育員が呟く。
出来れば使いたくは無かったのだろう。オレンジジュースを使ってしまえば、このまりさは
事実上死亡したも同然なのだから。
餡子の質が修正不可能なまでに劣化してしまえば、このまりさの商品価値は全くなくなってしまう。
産めない母体に価値などないのだ。
ぷすり、と、針が刺され、まりさの中ににオレンジジュースが流れ込む。
命を繋ぐ特効薬でもあり、ある意味において最悪の毒薬でもある。
オレンジジュースは速やかにまりさの体を駆け巡り、餡子となってまりさに定着していった。
まっさらな、新品の、何の価値も無いただの餡子がまりさの体に満ちていった。
オレンジジュースを注がれたまりさはれいぱーに耐えることが出来た。
泣き叫び、理不尽だと叫びながらも体は朽ちることは無かった。
すっきりはフィニッシュを迎えようとしていた。
「ばりざあああああぁぁそろそろいっちゃうわああああぁぁぁ!!」
「やべろおおおぉぉぉぉ!!!ずっぎりずるなああああぁぁぁ!!!!
おにいざあああああああん!!!なんでごんなごとずるのおおぉぉぉ!!!
ばりざはぷらちななんだよおおおおぉぉぉぉ!!!!」
「プラチナだから、さ」
飼育員が呟いた。
すっきりが終わる直前を見計らい、飼育員はれいぱーありすを蹴とばした。
「んほおおおおおおおお!!!!すっきぶちょあぁ!!」
すかさずもう一人の飼育員がまりさに注射を刺す。プラチナ一ケタの精子餡だ。
これによってまりさは、「れいぱーされた時の速度で」「一ケタの子供を産む」ことになる。
「それにしても、その精子餡どこから持ってきたんだ?」
飼育員がもう一人が問う。
「あぁ、これ5番の精子餡。俺猫好きでさぁ、ひいきしてたら5番のちぇんと仲良くなっちゃったんだ。
誰にも言うなよって口止めしてそのちぇんから採ってきたんだ」
「ふーん。お前猫好きなのか。俺はどのゆっくりでもなーんも変わらんがね」
するするとツタを生やし始めたまりさの横で、飼育員2人はのんびりと会話をしていた。
「さて、結局オレンジジュース使っちまったけど、大丈夫かね?」
「母体の方はアウトだろうけど、子供はどーかねー?五分五分じゃね?」
「一ケタの精子餡なんてめったにつかわねーもん入れてんだから、頑張ってほしいよなー」
「「たのむ!今回だけは良い子を産んでくれまりさ!!」」
飼育員2人はまりさに手を合わせて祈った。
某日
繁殖部第三繁殖室 332番箱
第三繁殖室。通称「ベイビーズインコインロッカー」。
「うわああああぁぁぁぁぁん!!うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
更新の直後にはいつもゆっくりの泣き声が響き渡る、飼育用ゆっくりの最下層母体が集められる部屋。
この部屋のゆっくりはコインロッカーのように並んだ狭い箱に閉じ込められ、
栄養はチューブで流しこまれ、ひたすら目の前の現れ続ける問題を解き続け、ひたすら子供を生み続ける。
生まれた子供は選別され一箱いくらで卸されていく。
ゆっくりにとって地獄のような環境だ。
そこに、一匹のまりさがいた。
「わがらないいいぃぃぃぃ!!おなかへっだあああぁぁぁ!!ゆっぐりざぜでええええ!!!」
かつてはプラチナだったまりさだ。
「わがらないいぃぃぃぃ!!ばりざは18番なのにいいぃぃ!!18ってなんばんなのおお!!!」
錯乱しながら目の前の問題を凝視し問題を解こうとするが、
それは今のまりさにとってはまるで異世界の言語のようだった。
まりさが最後の仕事を終えて間もなく順位の更新が来た。
前一週間のテストの平均正解率は0.8パーセント。
「プラチナ用問題の問題文が理解できない」状態にまで知能の後退したまりさが、
プラチナに残れるはずはなかった。
「うわああああああああん!!うわああああああああああああああああああああんん!!!」
まりさが泣いていると、第三繁殖室担当の飼育員が近寄って来た。
「うっせーばか!!おまえがばかだからこんなとこまで落ちちまったんだろが!!
さっさと問題解いてちょっとでも頭の中身マシにしろ!!」
泣きやまぬゆっくりはこの部屋では更新後の恒例行事の様なものらしい。がんがんと箱を叩き
中のゆっくりを威嚇する。
「ばりざはぷらちななんだよおおおおお!!!じゅうはちばんだったんだよおおおお!!!!」
まりさはそれでも泣きやまず、わが身の不幸を嘆く。
「はいはい妄想ですね減点1っと。
しかし、プラチナなんてこのランクのゆっくりが知ってる言葉じゃねーはずなんだがな?」
飼育員の男性は首を傾げながら箱に付いているタグのバーコードを専用の機械で読み取る。
「ふむ・・・こいつの更新前は・・・と」
大して興味もなさそうに飼育員は機械を操作していたが、そこに出てきた結果を見て目を丸くする。
「まじかよ。こいつほんとに更新前のランクプラチナじゃねーか・・・」
機械を握りしめたまま目を丸くして飼育員は元プラチナのまりさを見た。
「プラチナが一発でこんなとこまで落ちるなんて聞いたことねーよ・・・何があったんだ・・・?」
「まりさはぷらちななんだよおおおお!!おしごとがんばったんだよおおおおおお!!!」
飼育員はしげしげとまりさを眺めていたが、肩をすくめるとまりさに話しかけた。
「よく分からんが、何か事故でもあったのかねぇ?
ま、ここの生活を楽しめよまりさ。運が良けりゃまた上に行けることもあるかもな?
それまではここで・・・ゆっくりしていってね!」
それだけ言うと、飼育員は他のゆっくりの見回りに戻っていった。
後にはまりさだけが残された。
身体に刺された管が痛い。目の前には訳の分からない模様がちかちかしている。
このちかちかがまりさを救うただ一つのものなのだ、とまりさは知っている。
だが、分からない。これは何なの?ゆっくりできないよ?まりさはぷらちなだったはずなのに。
どうして?なんで?なんでこんなことに?
「わがらないいいいいぃぃぃぃ!!なんでごんなもんだいもわがらないのおおおおぉぉぉぉ!!?
まりざは、まりざはぷらちなで、ひとけたになって、ゆっくりするはずだったのにいぃぃいぃ・・・・・・」
まりさの絶叫は他のゆっくりの声にかき消された。
もはや誰もまりさを見ようとはしなかった。
end
あとがき
1にちょっとだけ出てきた18番まりさのお話でした。
ゲス制裁系を目指して書いたんですけれど、「18番であること」がネックになって、
そこまで突き抜けたゲスにはできませんでした。
その結果理不尽系と制裁系が混じってややピントがボケてしまったかなぁ・・・とも思っています。
人間に振り回されて結果的に制裁、いう手法はどうなんだろう・・・うーん・・・難しい・・・。
それではここまで読んでくださったあなたに感謝をささげつつ、今日はさようなら
by ゆンテリアとか描いてる人
このSSはふたば系ゆっくりいじめ 83 ある加工所の一幕の続きです
このSS単体でもお読みいただけますが、
先に上のSSを読んでいただけるとより楽しめるような気がします
※※CAUTION!!!!!!!!!!※※
加工所ってどんなところなんだろう?そんな思いで書きました
自分設定の嵐です。というより加工所に関する設定が本体と言う噂
拙作、お部屋のゆンテリア自作キットシリーズを未見の方にはとても不親切な描写が含まれます
これらのものがお嫌いな方は 誠に申し訳ありませんが
このウィンドウを閉じていただきますようお願いします
以上を許容していただける方は ゆっくりご笑覧ください
加工所
それはゆっくりをゆっくりさせない場所
だがそれはあくまでゆっくりにとっての話である
人間にとってそこは他と変わらない職場の一つでしかない
ゆっくりの生産、餡統を管理し、新しい種を生み出すこともある繁殖部
ゆっくりをペット用にするために頭の良い個体をより分け、教育する育成部
ゆっくりを菓子や製品に仕上げる加工部
ゆっくり飼育グッズ、野良対策グッズ、その他全てのゆっくり関連の道具を作る開発部
ゆっくりを全国のペットショップに卸し、対外的なゆっくりのイメージアップにも携わる営業部
他にも部署はあるが割愛する
これらの部署が連携を密に取り合って運営されているのが加工所である
それでは今日も、そんな加工所を日常を覗いてみたいと思う
場所は繁殖部・・・・・・
ある日の加工所の一幕 その2
繁殖部マニュアルP154より
ペット用と食用のゆっくりは、それを産む母体からまず分けられる。
ペット用のゆっくりは、頭がいい分中身のあんこも多く質は良いのだが如何せん甘味が足りない。
それに加えて大きさも不揃いであり、加工に手間がかかるため
ペット用に作られたゆっくりを食用に卸すことはほとんど無い。
ペット用ゆっくりの母体には、育成部の教育の過程で特に優秀さを見せたゆっくりを使う。
母体は良個体を生みだす率が高い順にナンバリングされており、
50番以内の母体が生み出す子供たちは、
生涯ゴールドバッジ取得率60パーセントを超える品質を持つとされる。
ナンバーは一定期間ごとにデータに基づいて更新されるので、常に品質は保たれる。
当加工所において、ナンバー50番以下の母体を以後プラチナ母体と呼称する。
ゆっくりにとってストレスは甘味を増やす元であると同時に、
餡子にネガティブな感情が蓄えられる原因でもある。
ゆっくりは子どもに自分の餡子をそのまま受け継がせるため、ストレスをためた個体が母体になると
あまり人間に懐かなくなる、ゲス因子が発現しやすくなるなどの不都合が起きる。
そのため、プラチナ母体には、特別な待遇を与えることとする。
繁殖部第一繁殖室
ひろびろとしたケースのなかに、ゆっくりしたおうち
あめさんはふらない れみりゃはこない
にこにこやさしいおにいさんが おいしいおやさいさんをくれる
おべんきょうをがんばると あまあまさんをくれることもある
おべんきょうはむずかしいけど とってもゆっくりできるよ!
おにいさんはときどきあかちゃんをつくらせてくれるよ
うまれたあかちゃんは おにいさんがやさしいかいぬしさんにとどけてくれるよ!
あかちゃんもおにいさんも ゆっくりしていってね!
完全個室、栄養管理、室温管理、三食完備。
ゆっくりにとって理想のゆっくりプレイスがここにあった。
プラチナ母体の飼育室である。
母体にいかにストレスをかけず、能力を高く保ち、高い生産性を実現するか。
考え抜かれた結果がこの部屋である。
部屋の構造を軽く説明しよう。
部屋に入ると、鰻の寝床のように細長く区切られたケージが並んでいる。
その一つ一つが一匹の母体の部屋だ。
全てのケージは第二繁殖室(51~200番までの母体が収められている部屋)に向かっている。
第一と第二繁殖室の間の壁はマジックミラーになっており、プラチナ母体からは第二繁殖室
の様子が丸見えになっているのだ。
理由は三つある。
まず一つはプラチナ母体に危機感を与えるため。
子供を産むごとに自身の餡子を減らすゆっくりは、勉強を止めるとどんな良個体でもすぐに頭が悪くなる。
プラチナにいることで慢心してしまうゆっくりを減らすための措置だ。
次の一つはマジックミラーである理由。
第二繁殖室のゆっくりには個室は与えられない。
担当の人員も少なければ甘いものもめったに与えられない。
そんな第二繁殖室にいるゆっくりにとって、プラチナ母体が甘受しているゆっくりした環境はまさに天国。
全てのゆっくりがそれを与えられることを望むが、努力しその待遇を勝ち取ろういう思考に
至るゆっくりはごくまれだ。
なぜあいつらは、それに比べて自分は、と、闇雲にストレスだけ貯め込んでしまう個体の方が
圧倒的に多いため、壁は一方通行でしか見られないようになっている。
最後の理由は、プラチナへの最後の試験だ。
ゆっくりというなまものは他をゆっくりさせることを好むが、ゲス資質を持つものたちの中には
「ゆっくりしていない同族を見て自分がゆっくりする」という思考回路を持つものが少なくない。
もちろん、自分がプラチナであるという多少のプライドはあるほうが望ましいが、
過剰に他のゆっくりを見下すようになってしまうようではプラチナ失格だ。
そうなってしまうと、子供にもゲス因子の芽が受け継がれる可能性が高くなる。
第一繁殖室は常時監視カメラで見張られており、母体たちの言動は全て見聞きされている。
飼育員たちは監視カメラの情報と自身の母体との対話によってゲス因子の寡多を見分け、
毎日チェックしているのだ。
繁殖部第一繁殖室 18番ケージ
「あいもかわらず、あいつらはゆっくりしてないあかちゃんころころうんでるんだぜぇー?」
部屋のパネルに映し出される問題を次々に解き続けながら、
横眼でマジックミラーを眺めているまりさがいる。
「せいぜいたりないあたまでむだなおべんきょうして、
ゆっくりしてないあかちゃんをうみつづけるがいいんだぜ!」
顎の代わりに下膨れの腹を突き出し、細めた目は人を小馬鹿にするように笑っている。
ハの字に開いて寄せられた眉毛やひんまがった口元は、
まぎれもなくゲス因子の発現を示すものである。
ナンバー18番。プラチナの中でも一ケタに近い、最高の品質を持つ母体である。
このまりさは成体になり繁殖室に移されてから5回の更新でプラチナ入りし、
その後も47番、36番、29番、と破竹の勢いでランクを上げて行った。
そしてついに、前回の更新で10番台に入ったエリートゆっくりである。
生まれた子供の迷路テスト合格率は94.8パーセント。一ケタの母体と比べても全く遜色ない。
しかし、何故頭はいいがほとんどゲス化したようなまりさから生まれる子供が、
それでもプラチナ並みの品質を保っていられるのだろうか?
それは、飼育員の足音が聞こえてきた時に起こった。
「ゆゆ!しいくいんのおにいさんがきてくれたんだぜ!」
耳も無いくせに耳聡く足音を聞きとったまりさは、表情と態度を一変させた。
姿勢を正し、真円に近い張りのある体をわずかにたわませる。
撫でたらやわらかな弾力が手を楽しませてくれそうだ。
目は媚びすぎずきつすぎない、内から溢れるような心からの笑顔に変わる。
眉は柔らかく弧を描き、口は楽しそうに、おにいさんと喋ることが本当に楽しいという風に開かれる。
まさに人が求める最上級のゆっくりの表情である。
扉が開かれた。
「あ、おにいさん!おはようございます!
まりさはきょうもおべんきょうがんばるから、ゆっくりおしえてね!ゆっくりしていってね!」
「おはようまりさ。今日もゆっくりしてるね。
今日のお勉強が終わったらあまあまを2枚上げるから頑張ってね!」
「ありがとう!まりさがんばるよ!」
飼育員の男性は、にっこりとほほ笑むとまりさに食事を与え、
モニターに付属している機械から問題の入ったディスクを抜き、新しいディスクを差し込んだ。
「じゃあまりさ、今日の問題はこれだよ。
全部で50問あるから、40問以上正解できるように頑張ってね!」
「ゆゆっ!まりさぜんもんせいかいしちゃうよ!!」
「頼もしいね。じゃあがんばってね!またお昼に来るからね!」
男性は扉を閉め、隣の部屋のゆっくりに餌をやりに行った。
「ぷひゅぅ~、いいこのふりはつかれるんだぜ!
これをいちにちじゅうつづけるまりさのおちびちゃんたちはすごいんだぜ!
でもそれがおちびちゃんのためだから、ゆっくりがんばるんだぜ!!」
飼育員が部屋のメンテナンスをしている間中ずっとにこにこと笑い続けていたまりさだったが、
もう飼育員の男性はここには来ないと判断した瞬間に、元の表情に戻ってしまった。
そしてにやにや笑いを浮かべながらあんよでスイッチを踏み、今日の分の問題をスタートさせる。
このまりさは50と言う数字を理解している。
そしておそらく、今日の問題も9割以上の正答率を見せるだろう。
頭・・・餡子の出来がとてつもなく良いのだ。
新しい問題を上機嫌に解き続けながらまりさがひとりごちる。
「まりさはもっともっとおべんきょうをがんばって、ひとけたになるんだぜ。
ひとけたになれば、『しぜんはんしょく』でこどもをつくらせてもらえるんだぜ。
どんなびれいむでもびありすでもすっきりしほうだいなんだぜー!!」
このまりさの餡を引く子供たちは、ほとんどすべてが人間との力関係を理解し、
完璧な飼いゆっくりとして振る舞おうとする性向を持っていた。
それがこのまりさを18番にまで押し上げた理由である。
このまりさはゲスではないのかもしれない。
努力し、人間との力関係を完璧に把握し、人をゆっくりさせ、
その上でその対価として自分をゆっくりさせてもらおうとしている。
だが、残念ながら人間はゆっくりの演技を読み取ってしまう。読み取れてしまう。
人がゴールドバッジのゆっくりに求めるものは賢さと、そしてそれ以上に天真爛漫な純粋さ。
その点においてまりさは、最上級の母体としての資質に欠けている、と言われざるを得なかったのだ。
同時刻 繁殖部監視室
卓上まりさ。開発部が開発し、近々全国的に発売されるゆンテリア。
卓上まりさの開発元であるこの加工所には、全国の加工所から水上まりさの母体をくれという要求が
ひっきりなしに来ていた。
「どうする?シルバーバッジレベルを安定して産める母体10体だってよ」
「こっちは20体だ」
「いや、無理だろ。そんな簡単にシルバー産める母体なんて作れないって・・・。
50番以内レベルの精子餡使わないと」
「50番以内は基本的に母体として使ってるから、精子餡取れないしなぁ・・・どうしよう」
「じゃあ、50番落ちそうなやつ使うか・・・?」
「いや、つってもプラチナレベルともなったら番号の変動そんな無いだろ・・・?
どれが落ちるかなんて分かんねぇよ・・・」
飼育員の男性たちが顔を突き合わせて悩んでいた。
「でも使うとしたらどれだろーな?」
「うーん・・・下位の番号の奴ら見ててもそんなゲスいのいねーよなー・・・」
パネルを眺めながら悩む飼育員たち。その時、18番まりさのパネルから声が聞こえてきた。
「94点なんだぜ!!やっぱりまりさはえらいんだぜ!かしこくてどりょくかでいけめんなんだぜ!!
むのーなばかどもとはちがうんだぜー!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ゲスまりさちゃん入りましたー」
「誰だよ18番の担当。ていうかなんでこんな末期なゲス因子発現個体がプラチナにいんだよ」
「あー、そいつ担当俺。そいつすげー演技上手くてさー、子供にもその因子完璧に受け継いでんの。
ついでに餡子の出来めっちゃ良いからショップのウケ良いんだよねー」
「いや、っつってもそれじゃ長期的に見てクレーム率高くなりすぎるだろ。何やってんだお前」
「まぁそうだろうな。次の次あたりの更新でクレームの減点めちゃ増えると思うよ」
「いや、だったらお前が点数減らして落とせよ。何のために毎日チェックしてんだ」
「つってもよぉ、あいつ本気でカンが良いんだ。抜き打ちで何回行っても絶対気付きやがる。
隠しカメラのことはゆっくりに知らせない事になってるから、あいつがゲス因子を直接俺らに見せない限り
うかつに評価も下げれんのよ」
「はーん・・・・・・。時々そういうやつプラチナまで上がってくるよなー。
クレーム率増えるから育成には怒られる元なんだよなそういうの。
そもそも評価のシステムが悪いんだよったくー」
「まぁいいじゃん。遠慮なく使えるプラチナなんてそうそういねーんだし。
このまりさちゃんにはせいぜい役に立ってもらうとしようや」
「んじゃそうすっかー」
繁殖部第一繁殖室18番ケージ
「ゆゆっ、あしおとがするんだぜ!まだおひるにははやいんだぜ?」
などと言いながらも即座に「良い子」モードを発動するまりさ。
そこまでするぐらいなら常に顔ぐらい引き締めておけと思わないでもない。
「まりさ、おはよう!」
「おにーさんおはようございます!ゆっくりしていってね!」
「うん、まりさもゆっくりしていってね。
今日はね、まりさに特別なお仕事をしてもらいたいんだ」
「ゆゆ?とくべつなおしごと?なにをすればいいんですか?」
「うんまりさ。君の特別な仕事、それは好きなだけすっきりすることだよ!」
「ほんとなんだぜ!?じゃなくてほんとですか!?」
「ほんとほんと。
まりさはすっきりさせられるんじゃなくてすっきりさせたいよっていっつも言ってたでしょ?
だから、お勉強を頑張ってるまりさに特別なお仕事を任せることになったんだ。やってくれるかい?」
「やるよ!まりさぜったいやるよ!いますぐやらせてね!!」
目をキラキラと輝かせながらぽよんぽよんと飛び跳ねるまりさ。
「やってくれるかい。やっぱりまりさは良い子だ。じゃあ行こうね」
飼育員はまりさを持ち上げ、採取保存室に運んだ。
繁殖部第五繁殖室内 採取保存室
ここは食品用ゆっくりの繁殖室だ。
本来プラチナレベルの母体の精子餡を絞るなら、適当なゆっくりをあてがってやり
自然なすっきりを使って精子餡を採集するか、あるいは母体に直接精子餡を注ぐのが普通である。
しかし、今回必要な精子餡の量はそれではとても足りない。
2、3回すっきりーして終わりというわけにはいかないのだ。
なので今回は、精子餡を絞るための振動機械にまりさを縛りつけ、
ぺにぺにに搾乳機に似た搾精機を取り付け放置しておく手法を取る。
通常この手法で精子餡を絞られるのは、食品用の種ゆっくりである。
当たり前だが、精子餡を休みなしの連続で絞られつづけるのは大きなストレスであり、
一発で種ゆっくりの餡子が劣化してしまう。
食料用のゆっくりはゲスだろうが人になつかなかろうが、加工してしまえば一緒なので関係ない。
むしろ、種ゆっくりのゆっくりできない記憶を受け継いでくれるため赤ゆっくりに甘みが増して都合がよい。
しかし、同時に上記の理由からペット用ゆっくりに使うべき機械では無い。
今回は本当に急ぎの突貫工事であり、特別なのである。
「ゆゆ?ここはどこ?びありすは?びれいむは?」
ペット用の繁殖室にしかいたことの無いまりさには、この部屋が何のための部屋なのか分からない。
「おにいさん?まりさすっきりするのがおしごとじゃないの?」
飼育員のお兄さんは、にこにこと笑いながら、しかし問答無用にまりさを機械に備え付け、装置をセットする。
「おにいさん?おにいさん?ゆっくりしていってね?まりさおしごとがんばるからね?ゆっくりさせてね?」
不穏な空気を感じ取ったのだろう、飼育員に必死で話しかけているまりさ。
「まりさは偉い子だから、ゆっくりがんばってね」
取り付けを終えた飼育員は、まりさの頭をなでながら、笑顔でスイッチを入れた。
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
装置が動きだす。上下左右に細かく振動し、まりさを強制的に発情させる。
「ゆゆゆゆゆゆ・・・なんだかきもちよくなってきたよ!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「ぺにぺにきもちいいよおおぉぉぉ!すいこまれるみたいだよおおぉぉぉぉ!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「すっきりー!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「ゆゆ?もうまりさはすっきりしたよ?ちょっとおやすみさせてね?」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「なんでどばっでぐれないのぉー!?」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「じゃあ今日のお仕事は三時間だから、すきなだけすっきりしてね!」
一回目のすっきりと同時に放出された精子餡がきちんと搾精機に吸い込まれていくのを確認し、
飼育員は採取保存室を後にした。
「すっきりー!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「すっぎりー!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「ずっぎりーーーー!!!!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「もうずっぎりじだぐないいいぃぃぃぃー!!!!」
数日後
繁殖部生産管理室
「やべ、育成に明日持ってく最高品質の赤ゆっくり数足りてねぇ」
発注と在庫の書類を見比べながら、やっちまったと呟く男が一人。
「まじか。どうすんだよ。
一日で赤ゆっくり作るとか、疑似れいぱー体験でもさせるしかないじゃねーか」
それを後から覗きこみながら、もう一人の男が応じる。
れいぱーににんっしんっさせられて出来た子供は生まれるのが早く、遅くとも一昼夜の間には生まれ落ちる。
「最高品質だしなー・・・数だけ揃えりゃ良いってもんでもねーしな・・・どーしよ」
「素直に謝っちまえよ、今こっちも忙しいんだからそれぐらい許してくれるって」
「嫌だよ、育成のエム部長、あの人めっちゃ怖いし」
「そりゃそうだが・・・・・・最高品質だろ・・・?プラチナでれいぱー体験させていいやつだろ・・・?」
「そんな都合のいいのが・・・・・・あるじゃねーか」
「・・・・・・あぁ、アレか。
いやでも、今アレ精子餡搾って2割ぐらい縮んでなかったか?
んな状態でれいぱーなんてされたら死んじゃわねーかな?」
「そんな時はあれだろ・・・オレンジジュース」
「無理やり餡子増やしたら、餡質の劣化が決定的になっちまうじゃねーか、精子餡搾りにも影響が出るぞ」
「精子餡は、特急で欲しいって言ってた加工所分作れるぐらいは摂れたしまぁ問題ねーよ」
「まだまだ要請来るに決まってんだろー?今足りてるからってんな無責任な・・・」
「体高2割も縮んだら、体積で言ったら半分ぐらいじゃねーか?どっちにしろそろそろ潮時だよ」
「まぁ・・・それもそうか」
「「やるか」」
繁殖部第五繁殖室 採取保存室
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん・・・・・・
「すっきりぃー!!すっきりぃーー!!すっきりぃぃーー!!!!」
「ずいぶん縮んだなー」
「毎日三時間だからなー・・・むしろ良く保ってるよ
こいつ、まだテストでプラチナの合格ライン維持してるんだぜ?」
「そりゃすげぇ・・・。
実際惜しいよな。そんだけ賢いなら、加工に持ってけば喜んでくれるだろうに」
「ま、それがこいつの運命だったのさ・・・・・・さっさとやっちまうぜ」
飼育員がスイッチを止めた。
「・・・・・・ゆはぁ・・・ゆはぁ・・・きょうはもうおわりなの・・・・・・?」
ぜいぜいと荒い息をつきながら飼育員を見上げるまりさ。
身体は一回り縮み、目は落ちくぼんでクマのような影ができ、皮にも張りがない。
それでも、瞳はぎらぎらと光っていた。この仕事をやりとげてやるという決意・・・・・・
やりとげて、もっとすばらしいゆっくりを与えてもらうのだという決意かも知れないが・・・
そう言ったオーラが全身から溢れていた。
作業員はそんなまりさに向かってにっこりと笑い、死刑を宣告する
「まりさ、毎日すっきりご苦労様
今日はね、まりさに最後のお仕事をしてもらうことにしたんだ」
「さいご・・・?まりさおしごとやりおわったんですか・・・・・・?」
「うん、まりさはほんとに頑張ってくれたよ。
このお仕事が終わってプラチナにいられたら、これまでよりももっともっとゆっくりさせてもらえるよ。
きっと自然繁殖のすっきりもいっぱいさせてもらえるし、食事も良い物を貰えるよ」
「やったよ・・・まりさはやりとげたんだよ・・・・・・」
疲弊しきった体で、目だけをギラギラと光らせ、会心の笑みを浮かべるまりさ。
だがこのまりさがプラチナに残ることは無い。オレンジジュースで無理やりに増やした餡には
「記憶」や「経験」が宿っていないからだ。
「ペットのゆっくりがにんっしんっして、出産したとたんゲス化した」
そういう事例は良く聞くが、それは親ゆっくりが赤ゆっくりに餡子を取られた後
潤沢な栄養によって野生ではありえない速度で餡子を補充してしまったせいだ。
簡単に言えば、無理やり新品の餡子を増やしたせいで、ゆっくりの頭が悪くなってしまったとういことだ。
飼育員は、にこにこと笑いながら拘束用のものを除いて器具を外していく。
「最後のお仕事はちょっと辛いよ?まりさに我慢できるかな?」
意地悪そうにまりさに聞く飼育員。
「まりさはつよいよ!がんばってさいごのおしごともやるよ!!」
気丈に答えるまりさ。
「よし、良く言ってくれた。頑張ってね!!」
拘束用の物を除いて全ての器具が取り外され、身動きが出来ないまりさに飼育員微笑みかけた。
そして、もう一人の飼育員が持っていた袋から何かを取り出した。
ゆっくりありすだ。
飼育員はありすを取りだすと、ゆさゆさと揺すり始めた。
加工所ではれいぱーありすの使い道はペット、食用共にあまり無いので、
飼育用の母体不適格になった廃棄個体を持って来たらしい。
「んほおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
すぐに発情するありす。母体不適格になった個体などこんなものである。
度重なる出産に餡子が耐えきれず、もはや知性や理性を学習で補いきれないのだ。
「そこのとってもきれいでどがいはなまりざあああぁぁぁぁ!!!!ずっぎりじばじょおお!!!!」
作業員の手の中でびたんびたんと暴れるありす。
目は血走り、口は醜く吊りあがりながら半開きになっている。
作業員は、拘束の終わったまりさに向かってありすを放した。
「ばりさああぁぁぁ!!!!こがらなからだががわいいわああぁぁぁ!!!」
「ゆぎゃああぁぁぁ!!!なんで!どぼじでばりざがれいぱーありすにいいぃぃぃ!!??」
ぬっちゃぬっちゃ、と、粘度の高い音が室内に響き渡る。
「ばりざああああああぁぁぁぁ!!!!!きもちいいでしょおおおおおおおお!!!!
とかいはなあいでにんっしんっさせてあげるわあああああぁぁぁぁぁ!!!」
「ぎぼちわるいいい!!!なんでえええぇぇぇ!!どぼじでごんなごどずるのおおおお!!!!!」
まりさには理解できない。自分は頑張った。頑張ってきた。なのに何故?どうして?
そうだろう。
まりさには理解できない。これまで人間さんをゆっくりさせてきたのに、なんでこんなことするの?
そうだろう。
まりさには理解できない。まりさは何にも悪いことしてないのに。人間さんのいうことを聞いて頑張ったのに。
そうなのだろう。
まりさには理解できなかった。
結局のところ、自分が人間の都合で運命を左右される儚いなまものだったのだという事を。
「それが最後のお仕事だよまりさ。がんばって、いい子を産んでね!」
飼育員は何の優しさも感じられない笑みを浮かべ、まりさに言った。
「あ、やばいやっぱり耐えられないっぽい」
ありすとまりさのすっきりが始まってしばらくたつと、まりさの体が急速に乾きはじめた。
黒ずんで死んでしまう前兆だ。
まりさの本体である餡子がにんっしんっの準備によって極度の飢餓状態に晒されることで、
ついには自身の皮さえも餡子にしてしまおうとしているのだ。
その結果、全身がくまなくスカスカの餡子になってしまう。
栄養状態の悪い個体や子供がすっきりをするとまるで黒ずんで死んでしまったように見えるが、
その理由はこういうことだ。
「あーあ、やっぱり使わないといけないか・・・」
オレンジジュースが入った点滴のパックと注射器を構えて飼育員が呟く。
出来れば使いたくは無かったのだろう。オレンジジュースを使ってしまえば、このまりさは
事実上死亡したも同然なのだから。
餡子の質が修正不可能なまでに劣化してしまえば、このまりさの商品価値は全くなくなってしまう。
産めない母体に価値などないのだ。
ぷすり、と、針が刺され、まりさの中ににオレンジジュースが流れ込む。
命を繋ぐ特効薬でもあり、ある意味において最悪の毒薬でもある。
オレンジジュースは速やかにまりさの体を駆け巡り、餡子となってまりさに定着していった。
まっさらな、新品の、何の価値も無いただの餡子がまりさの体に満ちていった。
オレンジジュースを注がれたまりさはれいぱーに耐えることが出来た。
泣き叫び、理不尽だと叫びながらも体は朽ちることは無かった。
すっきりはフィニッシュを迎えようとしていた。
「ばりざあああああぁぁそろそろいっちゃうわああああぁぁぁ!!」
「やべろおおおぉぉぉぉ!!!ずっぎりずるなああああぁぁぁ!!!!
おにいざあああああああん!!!なんでごんなごとずるのおおぉぉぉ!!!
ばりざはぷらちななんだよおおおおぉぉぉぉ!!!!」
「プラチナだから、さ」
飼育員が呟いた。
すっきりが終わる直前を見計らい、飼育員はれいぱーありすを蹴とばした。
「んほおおおおおおおお!!!!すっきぶちょあぁ!!」
すかさずもう一人の飼育員がまりさに注射を刺す。プラチナ一ケタの精子餡だ。
これによってまりさは、「れいぱーされた時の速度で」「一ケタの子供を産む」ことになる。
「それにしても、その精子餡どこから持ってきたんだ?」
飼育員がもう一人が問う。
「あぁ、これ5番の精子餡。俺猫好きでさぁ、ひいきしてたら5番のちぇんと仲良くなっちゃったんだ。
誰にも言うなよって口止めしてそのちぇんから採ってきたんだ」
「ふーん。お前猫好きなのか。俺はどのゆっくりでもなーんも変わらんがね」
するするとツタを生やし始めたまりさの横で、飼育員2人はのんびりと会話をしていた。
「さて、結局オレンジジュース使っちまったけど、大丈夫かね?」
「母体の方はアウトだろうけど、子供はどーかねー?五分五分じゃね?」
「一ケタの精子餡なんてめったにつかわねーもん入れてんだから、頑張ってほしいよなー」
「「たのむ!今回だけは良い子を産んでくれまりさ!!」」
飼育員2人はまりさに手を合わせて祈った。
某日
繁殖部第三繁殖室 332番箱
第三繁殖室。通称「ベイビーズインコインロッカー」。
「うわああああぁぁぁぁぁん!!うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
更新の直後にはいつもゆっくりの泣き声が響き渡る、飼育用ゆっくりの最下層母体が集められる部屋。
この部屋のゆっくりはコインロッカーのように並んだ狭い箱に閉じ込められ、
栄養はチューブで流しこまれ、ひたすら目の前の現れ続ける問題を解き続け、ひたすら子供を生み続ける。
生まれた子供は選別され一箱いくらで卸されていく。
ゆっくりにとって地獄のような環境だ。
そこに、一匹のまりさがいた。
「わがらないいいぃぃぃぃ!!おなかへっだあああぁぁぁ!!ゆっぐりざぜでええええ!!!」
かつてはプラチナだったまりさだ。
「わがらないいぃぃぃぃ!!ばりざは18番なのにいいぃぃ!!18ってなんばんなのおお!!!」
錯乱しながら目の前の問題を凝視し問題を解こうとするが、
それは今のまりさにとってはまるで異世界の言語のようだった。
まりさが最後の仕事を終えて間もなく順位の更新が来た。
前一週間のテストの平均正解率は0.8パーセント。
「プラチナ用問題の問題文が理解できない」状態にまで知能の後退したまりさが、
プラチナに残れるはずはなかった。
「うわああああああああん!!うわああああああああああああああああああああんん!!!」
まりさが泣いていると、第三繁殖室担当の飼育員が近寄って来た。
「うっせーばか!!おまえがばかだからこんなとこまで落ちちまったんだろが!!
さっさと問題解いてちょっとでも頭の中身マシにしろ!!」
泣きやまぬゆっくりはこの部屋では更新後の恒例行事の様なものらしい。がんがんと箱を叩き
中のゆっくりを威嚇する。
「ばりざはぷらちななんだよおおおおお!!!じゅうはちばんだったんだよおおおお!!!!」
まりさはそれでも泣きやまず、わが身の不幸を嘆く。
「はいはい妄想ですね減点1っと。
しかし、プラチナなんてこのランクのゆっくりが知ってる言葉じゃねーはずなんだがな?」
飼育員の男性は首を傾げながら箱に付いているタグのバーコードを専用の機械で読み取る。
「ふむ・・・こいつの更新前は・・・と」
大して興味もなさそうに飼育員は機械を操作していたが、そこに出てきた結果を見て目を丸くする。
「まじかよ。こいつほんとに更新前のランクプラチナじゃねーか・・・」
機械を握りしめたまま目を丸くして飼育員は元プラチナのまりさを見た。
「プラチナが一発でこんなとこまで落ちるなんて聞いたことねーよ・・・何があったんだ・・・?」
「まりさはぷらちななんだよおおおお!!おしごとがんばったんだよおおおおおお!!!」
飼育員はしげしげとまりさを眺めていたが、肩をすくめるとまりさに話しかけた。
「よく分からんが、何か事故でもあったのかねぇ?
ま、ここの生活を楽しめよまりさ。運が良けりゃまた上に行けることもあるかもな?
それまではここで・・・ゆっくりしていってね!」
それだけ言うと、飼育員は他のゆっくりの見回りに戻っていった。
後にはまりさだけが残された。
身体に刺された管が痛い。目の前には訳の分からない模様がちかちかしている。
このちかちかがまりさを救うただ一つのものなのだ、とまりさは知っている。
だが、分からない。これは何なの?ゆっくりできないよ?まりさはぷらちなだったはずなのに。
どうして?なんで?なんでこんなことに?
「わがらないいいいいぃぃぃぃ!!なんでごんなもんだいもわがらないのおおおおぉぉぉぉ!!?
まりざは、まりざはぷらちなで、ひとけたになって、ゆっくりするはずだったのにいぃぃいぃ・・・・・・」
まりさの絶叫は他のゆっくりの声にかき消された。
もはや誰もまりさを見ようとはしなかった。
end
あとがき
1にちょっとだけ出てきた18番まりさのお話でした。
ゲス制裁系を目指して書いたんですけれど、「18番であること」がネックになって、
そこまで突き抜けたゲスにはできませんでした。
その結果理不尽系と制裁系が混じってややピントがボケてしまったかなぁ・・・とも思っています。
人間に振り回されて結果的に制裁、いう手法はどうなんだろう・・・うーん・・・難しい・・・。
それではここまで読んでくださったあなたに感謝をささげつつ、今日はさようなら
by ゆンテリアとか描いてる人