ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2203 八つ当たり100%
最終更新:
ankoss
-
view
八つ当たり100% 12KB
いじめ 虐待 嫉妬 番い 野良ゆ 赤ゆ 現代 理不尽モノです 以下:余白
『八つ当たり100%』
*善良なゆっくりが酷い目に遭います
俺は公園のベンチに腰かけていた。
右手のケータイを眺めて溜め息をつく。
なんということはない。
二年間付き合っていた女に振られたのだ。
その女から届いた最後のメールは「ごめんね」で始まり、二百ほどの改行を経て「さよなら」とだけ打ってあった。
なんとなく遠くに目を向けると池の真ん中に良いボートが浮かんでいる。
何が悪かったのか皆目見当がつかない。
見上げた空は残酷なまでに青かった。
「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」
不意に足元から声を掛けられる。
視線を空から地面に移すとピンポン玉ほどの大きさの赤ゆっくりが俺の足元で楽しそうにぴょんぴょん飛び跳ねていた。
少しだけ泥にまみれてはいるが赤いリボンと黒い帽子がゆらゆら揺れている。
数は五匹。
都会から少し離れているとは言え、よくもまぁこれだけの数の赤ゆが単独で行動できたものだ。
親はいったい何をしているのだろう……などと考えていたら少し遅れてバスケットボールほどの大きさのまりさが跳ねてきた。
少し不安そうな顔をしている。
当然だ。
恐らくこのまりさは赤ゆたちの親なのだろう。
「お……おちびちゃんたちっ! ゆっくりしないでこっちにきてね! すぐでいいよっ!!」
さすがに成体にまで成長しただけあって“人間”という生き物がどういう存在であるか理解しているようだ。
「ゆゆ~ん! おにいしゃんはゆっくちできりゅひと?」
親の心子知らず。
赤ゆたちは俺という存在に興味津々なのか靴の周りに頬を摺り寄せてみたり、気を引こうとその場でジャンプを繰り返している。
親まりさは益々顔色を悪くしながらようやく俺の前までたどり着く。
額に汗を浮かべながら親まりさは俺に恐る恐る話しかけてきた。
「ゆ……ゆっくりしていってね!!! お、おにいさんはゆっくりできるひと?」
思わず吹き出しそうになってしまった。
まぁ、大体三カ月程度で成体になるような生き物だ。
詰め込める知識も多くはあるまい。
それにしてもピンポン玉と同じ挨拶と質問を親まりさがしてくるとは思わなんだ。
恐らくは自分たちが生きていく上で「危険か否か」をようやく感じ取れるぐらいにまでしか思考回路が成長できないのだろう。
一匹の赤まりさは器用に親まりさの帽子のツバによじ登って更に自分の存在をアピールすべく、俺に色々と話しかけてきていた。
そこへ。
「ま……まりさ……っ。 おちびちゃんたちといっしょにこっちにきてね……?」
声のする方に目を向けると親まりさよりも少し大きめの親れいむがビクビクしながら俺とその周りを見つめていた。
「れーみゅおきゃーしゃん! あにょおにいしゃんは、まりしゃたちがあいさつしゃんをしちぇも、ちっともおへんじをかえし
ちぇくれにゃいよっ! ゆっくちできにゃいおにいしゃんだにぇっ!!」
滅多な事は言うもんじゃないとばかりに目を見開いた親れいむが顔面蒼白で俺と子まりさを交互に見る。
親れいむの動きは鈍い。
最初は食い過ぎただけでのでいぶかと思っていたがどうやら身ごもっているようだ。
五匹の赤ゆを育てるだけでも大変だろうにまだ増やそうと言うのだろうか。
この馬鹿家族は今年の冬で全滅だろう。
というか、なんだ。
ゆっくりでさえ番を見つけて夫婦になって子供作って幸せになっているというのに。
ついさっき女に振られた俺は、今この時点でこのゆっくり共以下の存在なのだろうか。
明らかにネガティブシンキング全開なのは承知しているが、人間というものは一度悪い方に物事を考えるとなかなか考えのベク
トルを戻せないものである。
だがしかし、やはり今の俺はこいつら以下であることは間違いない(←ネガティブシンキング
そう考えるとなんとなく腹が立ってきた。
何が楽しくて、赤ゆに頬を摺り寄せられて顔を緩ませてるのだろう。
さっきからぴょんぴょんぴょんぴょん。
同じ動作を繰り返して楽しいのだろうか。
こんな無価値な饅頭にさえも、今の俺は劣っているのだ。
どう考えても俺とこいつらのどちらが「幸せか否か」と言えば、こいつらだろう。
「ゆ゛ぐぢッ?!!」
気が付いたら俺は足元で跳ね回っていた赤れいむを踏み潰していた。
取り残された家族が俺の足元を茫然と見つめている。
靴底から赤れいむの揉み上げの一部が覗いていた。
勢いよく飛び出した餡子が地面をどす黒く汚している。
「ゆ……ゆわぁぁぁぁッ?! まりしゃのいもうちょがぁぁぁぁ!!!!」
真っ先に金切り声を上げたのは赤まりさ。
その声を合図に親まりさは歯をカチカチと鳴らしながら赤ゆたちの回収を始めていた。
俺はそんな親まりさの顔に蹴りを食らわせて赤ゆたちから遠ざける。
強者であるはずの親まりさがごろごろと遠くへ転がる様を見て、赤ゆたちは恐怖であんよを動かせなくなったらしい。
俺はそんな四匹の赤ゆを一匹ずつ摘み上げるとコンビニ袋の中に投げ入れた。
ガサガサと音を立てながら袋の中で這いずり回る赤ゆたち。
「たしゅけちぇぇぇぇ!!!!」
「きょわいよぉぉぉぉぉ!!!!」
蹴り飛ばされた親まりさが短く呻き声を上げながら俺の元へと再び跳ね寄ってくる。
俺はそんな親まりさを捕まえると帽子を奪い取って池の水面に浮かべ、その上に親まりさを載せてやった。
この親まりさはただのまりさ種である。
水上まりさなどではない。
水を恐れるゆっくりにとって、今親まりさが置かれている状況はとてつもなく恐ろしいものであろう。
事実、親まりさは滝のように涙を流して帽子の上でガタガタ震えていた。
そんな親まりさの帽子をつい、と動かして岸から遠ざけてやる。
「やめてねっ!! やめてねっ!!! おみずさんはゆっくりできないよっ!!!」
「おにいさん!!! まりさがいやがってるからやめてあげてねっ!!!」
身重の体で必死に俺の元へと這い寄ってきたのだろう。
全身汗まみれの親れいむが泣きながら俺に懇願してくる。
そんな親れいむの髪の毛を乱暴に掴んで持ち上げると、俺は手漕ぎボートの桟橋へと足を向けた。
体内の赤ゆに障るのか身を捩ったりなどしての激しい抵抗は見せない。
「ゆ゛ぅ゛ぅ゛!!!」
引き千切れそうな髪の毛の痛みに呻き声を上げることしかしなかった。
その様子を池の上に浮かんだ親まりさが泣きながら見つめている。
「どぉしてこんなことするのぉぉぉ?! まりさたち、なんにもわるいことしてないのに……っ!!!」
そんなことは知っている。
これは間違いなく八つ当たりだ。
幸せそうな連中を地獄に叩き落とすことで自分よりも不幸な奴らを作りたいだけの話に過ぎない。
俺は桟橋の入り口で売っていた無人販売の鯉の餌を買って手漕ぎボートに乗り込んだ。
実にシュールな光景である。
桟橋へ向かう途中に拾った適当な木の枝を親まりさに渡す。
親まりさはそれを咥えて戸惑ったような、怯えたような表情で俺を見つめていた。
そんな親まりさの目での訴えを無視して池の中央へとボートを漕ぎ出す。
ボートの縁から親れいむが顔を出して必死になって親まりさに助けを求めていた。
するとどうだろうか。
水の上で震えていた親まりさが意を決してキリッとした表情になり、たどたどしい口つきで木の枝をオール代わりに池の中央へ
と漕ぎ出したのである。
「まりさぁぁぁぁぁ!!! たすけてぇぇぇぇぇぇ!!!」
親まりさは真剣な面持ちで俺の手漕ぎボートを追いかけるがあまりにも足色が違いすぎた。
しかし、俺は別に親まりさと競艇ごっこがしたかったわけではない。
親まりさが十分に岸から離れたことを確認して、先ほど買った鯉の餌を親まりさの周辺に少しずつばら撒いてやった。
「や、やめてねっ! ゆっくりできないよっ」
鯉の餌が親まりさの周りに雨のように降り注ぐ。
すぐに池の鯉が親まりさの真下に集まってきた。
「ゆ、ゆゆゆゆッ?!!」
突然、親まりさの帽子がぐらぐらと揺れ始める。
餌を食べようとする鯉の口や体が親まりさの乗る帽子に触れているのだ。
普通のまりさ種である親まりさはすぐにバランスを崩して金髪を水に触れさせてしまう。
そこから頬へ滴る水滴が親まりさの恐怖を加速させた。
「お、おさかなさんっ!! やめてねっ!!! ゆっくりできな……ゆ、ゆあわぁぁぁ!! て、てんぷくするぅぅぅぅぅ!!」
転覆などという言葉をどこで覚えたのかは知らないが、親まりさの帽子は確かに転覆寸前である。
「まりさぁぁぁぁ!!!!!!」
「れいむぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
互いの名を叫んで悲しみをぶつけ合う二匹のゆっくり。
親まりさのお下げが水面に垂れた。
それを餌と勘違いした鯉が勢いよく食らいつく。
「ゆあ……」
一瞬だけ口を半開きにして間抜けな顔で親まりさが動きを止めた。
次の瞬間、鯉によって親まりさは水中に引きずり込まれてしまったのである。
親れいむが池にぷかぷかと浮かんでいる帽子を見て愕然とした表情を浮かべた。
「ゆぶっ!! ゆはっ!! だず……げ、でっ!! までぃざ……おぼれちゃう゛!!! い、い゛だいよっ!!! ゆっぐり
やべでぇぇ!!! おざがなざんっ!! まりざを……たべなびで……ゆ、ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
俺としては溺れてもがき苦しむ親まりさの姿を見たかったのだがこれは予想外の展開である。
まさか溺れ死ぬ前に鯉に食われて死ぬとは思わなかったのだ。
水面に金髪が浮かんでいる。
親まりさは一かけらも残さず鯉に食べられてしまった。
最愛のゆっくりの無残な最期を一部始終見せられることになった親れいむはボートの中で恐怖のあまりにしーしーを漏らす。
赤ゆたちは怯えて一言も口を利けないようだ。
コンビニ袋の中で身を寄せ合って震えているのだろう。
手漕ぎボートを桟橋につけて今度は公園の広場へと足を向ける。
今度は鳩の餌を買った。
親れいむを足で踏みつけて固定し地面に鳩の餌をばら撒く。
するとすぐに無数の鳩が上空から滑空してきた。
「ゆっひぃぃぃぃぃ!!!!」
目の前で羽根をばたつかせる鳩の群れに親れいむは恐怖を隠し切れないようだ。
先ほどの親まりさの死にざまも頭をよぎっているのだろう。
足で押さえつけられて動けない親れいむを無視して、俺はコンビニ袋の中の赤れいむを一匹鳩の群れの中に放り投げた。
「おしゃらをとんでりゅみちゃいっ!!!」
「お、おちびちゃああああぁぁぁぁぁんッ??!!!」
放物線を描いた赤れいむが顔面から地面に叩きつけられる。
すぐに大声で泣き叫んだ。
あまりの激痛に少量の餡子を吐き出している。
痛みでその場を動くことができないようだ。
「いちゃいよぉぉぉぉ!!!! おきゃあしゃ――――」
赤れいむの悲鳴はここで途切れた。
数羽の鳩に顔を食い千切られたのである。
断末魔の悲鳴を上げることなく赤れいむはその存在を消した。
後には鳩の鳴き声が一定のリズムで繰り返されるだけである。
ガサガサとコンビニ袋の中を漁っていると、足の下から親れいむが声を張り上げた。
「どぼじでごんな゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛!!! れ゛い゛む゛だち……ここでゆっぐりじでだだけな゛のにぃぃぃぃ!!!」
その時、合点がいった。
このゆっくり親子はこの公園でばら撒かれた鳩の餌のお零れで今日まで生活してきたのではなかろうか。
或いはマナーの悪い公園利用者の捨てたゴミを漁って。
それならば五匹もの赤ゆを育てつつ、更に胎生にんっしんっ!までさせてのけるかも知れない。
まぁ、そんなことはもうどうだっていいのだが。
無言でぽいぽいとコンビニ袋から赤ゆを鳩の群れの中央に投げ続ける。
地面に叩きつけられた衝撃で皮が破れて即死する赤ゆもいたが、今度は必死に逃げ回ろうとしたがために苦しんで殺される事に
なった赤ゆもいた。
「ゆあぁ……ちびちゃん……れいむのかわいいかわいいちびちゃんたちが……」
ゆんゆんとすすり泣く親れいむを一思いに踏み潰してやろうと力をかけたが、俺がアクションを起こす前に親れいむは痙攣のよ
うな動きを始めた。
「ゆぎ……ぎ、う、うばれ゛る゛ぅぅぅ!!!」
貴重な親れいむの出産シーンである。
俺は下卑た笑みを浮かべて親れいむを両手で掴んで腰の辺りまで持ち上げた。
まるでお母さんが赤ん坊におしっこをさせようとしているようなポーズである。
そのまま餌に群がり蠢く鳩の群れの中央に歩み寄っていく。
親れいむは俺が何をしようとしているのかを察したのか、開きかけた産道を必死に閉じようとして歯を食いしばっている。
それでも生まれようとしている新しい命の力は凄まじく、産道を押し広げた赤ゆの顔がついに出てきてしまった。
「ゆっくちうんじぇにぇ!!!」
「ちびちゃ……う、うばれ゛ちゃ、だめ゛ぇぇぇ……ッ!!!!」
「ゆゆーん!! れーみゅはゆっくちうまれりゅよっ!!!」
スポーン……
間抜けな効果音と一緒に赤ゆが産道から飛び出す。
そのまま地面に叩きつけられて絶命したかに見えた。
しかし、生まれてすぐに砕けた歯と飛び出した目玉に怯えながら赤れいむは懸命に親れいむの名を呼び続けている。
それもそう長くは続かなかった。
鳩に食われて死んでしまったのである。
僅か十秒にも満たない生涯。
“ゆっくりしていってね”の一言も言えずにその一生を終えたのだ。
自分を生んでくれた最愛の母の目の前で。
「う……うわぁぁぁぁ!!!!!」
親れいむが叫び声を上げた勢いでもう一匹産道から赤ゆが飛び出す。
今度は中腰になって生まれてすぐに瀕死にならないように気を使った。
「ゆっくちしちぇ……い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛ッ?!! や゛べちぇぇ!!! たじぇげ……おきゃッ?!!!」
自信満々の笑みで挨拶をしようとした赤まりさは、鳩たちによって滅茶苦茶に顔を食い破られて死んでしまった。
その様子を産道から顔を出していた最後の赤ゆが目の当りにしてしまっている。
産道から赤ゆが叫ぶ。
「ゆんやぁぁぁ!! うまにゃいでにぇ!!! れーみゅ、うまれちゃくにゃいよっ!!!!」
「ちびちゃん……うまれちゃだめぇぇぇぇぇッ!!!!」
「早く産めよ」
親れいむの両頬を力任せに押すとそれだけで産道から赤ゆが飛び出していった。
まるで小さな大砲である。
最後の赤ゆも鳩の群れの餌食となった。
死ぬ直前まで泣き叫び、“どうしてれいむを産んだの”と親れいむを罵りながら。
放心状態の親れいむを公園の真ん中に置いた。
親れいむはそこから一歩も動こうとはしない。
俺はそれ以上親れいむに危害を加えようとはしなかった。
同情したわけではない。
俺と親れいむ。
どちらが「幸せか否か」と言えば、間違いなく俺のほうが幸せだろうから。
おわり
日常起こりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。
いじめ 虐待 嫉妬 番い 野良ゆ 赤ゆ 現代 理不尽モノです 以下:余白
『八つ当たり100%』
*善良なゆっくりが酷い目に遭います
俺は公園のベンチに腰かけていた。
右手のケータイを眺めて溜め息をつく。
なんということはない。
二年間付き合っていた女に振られたのだ。
その女から届いた最後のメールは「ごめんね」で始まり、二百ほどの改行を経て「さよなら」とだけ打ってあった。
なんとなく遠くに目を向けると池の真ん中に良いボートが浮かんでいる。
何が悪かったのか皆目見当がつかない。
見上げた空は残酷なまでに青かった。
「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」
不意に足元から声を掛けられる。
視線を空から地面に移すとピンポン玉ほどの大きさの赤ゆっくりが俺の足元で楽しそうにぴょんぴょん飛び跳ねていた。
少しだけ泥にまみれてはいるが赤いリボンと黒い帽子がゆらゆら揺れている。
数は五匹。
都会から少し離れているとは言え、よくもまぁこれだけの数の赤ゆが単独で行動できたものだ。
親はいったい何をしているのだろう……などと考えていたら少し遅れてバスケットボールほどの大きさのまりさが跳ねてきた。
少し不安そうな顔をしている。
当然だ。
恐らくこのまりさは赤ゆたちの親なのだろう。
「お……おちびちゃんたちっ! ゆっくりしないでこっちにきてね! すぐでいいよっ!!」
さすがに成体にまで成長しただけあって“人間”という生き物がどういう存在であるか理解しているようだ。
「ゆゆ~ん! おにいしゃんはゆっくちできりゅひと?」
親の心子知らず。
赤ゆたちは俺という存在に興味津々なのか靴の周りに頬を摺り寄せてみたり、気を引こうとその場でジャンプを繰り返している。
親まりさは益々顔色を悪くしながらようやく俺の前までたどり着く。
額に汗を浮かべながら親まりさは俺に恐る恐る話しかけてきた。
「ゆ……ゆっくりしていってね!!! お、おにいさんはゆっくりできるひと?」
思わず吹き出しそうになってしまった。
まぁ、大体三カ月程度で成体になるような生き物だ。
詰め込める知識も多くはあるまい。
それにしてもピンポン玉と同じ挨拶と質問を親まりさがしてくるとは思わなんだ。
恐らくは自分たちが生きていく上で「危険か否か」をようやく感じ取れるぐらいにまでしか思考回路が成長できないのだろう。
一匹の赤まりさは器用に親まりさの帽子のツバによじ登って更に自分の存在をアピールすべく、俺に色々と話しかけてきていた。
そこへ。
「ま……まりさ……っ。 おちびちゃんたちといっしょにこっちにきてね……?」
声のする方に目を向けると親まりさよりも少し大きめの親れいむがビクビクしながら俺とその周りを見つめていた。
「れーみゅおきゃーしゃん! あにょおにいしゃんは、まりしゃたちがあいさつしゃんをしちぇも、ちっともおへんじをかえし
ちぇくれにゃいよっ! ゆっくちできにゃいおにいしゃんだにぇっ!!」
滅多な事は言うもんじゃないとばかりに目を見開いた親れいむが顔面蒼白で俺と子まりさを交互に見る。
親れいむの動きは鈍い。
最初は食い過ぎただけでのでいぶかと思っていたがどうやら身ごもっているようだ。
五匹の赤ゆを育てるだけでも大変だろうにまだ増やそうと言うのだろうか。
この馬鹿家族は今年の冬で全滅だろう。
というか、なんだ。
ゆっくりでさえ番を見つけて夫婦になって子供作って幸せになっているというのに。
ついさっき女に振られた俺は、今この時点でこのゆっくり共以下の存在なのだろうか。
明らかにネガティブシンキング全開なのは承知しているが、人間というものは一度悪い方に物事を考えるとなかなか考えのベク
トルを戻せないものである。
だがしかし、やはり今の俺はこいつら以下であることは間違いない(←ネガティブシンキング
そう考えるとなんとなく腹が立ってきた。
何が楽しくて、赤ゆに頬を摺り寄せられて顔を緩ませてるのだろう。
さっきからぴょんぴょんぴょんぴょん。
同じ動作を繰り返して楽しいのだろうか。
こんな無価値な饅頭にさえも、今の俺は劣っているのだ。
どう考えても俺とこいつらのどちらが「幸せか否か」と言えば、こいつらだろう。
「ゆ゛ぐぢッ?!!」
気が付いたら俺は足元で跳ね回っていた赤れいむを踏み潰していた。
取り残された家族が俺の足元を茫然と見つめている。
靴底から赤れいむの揉み上げの一部が覗いていた。
勢いよく飛び出した餡子が地面をどす黒く汚している。
「ゆ……ゆわぁぁぁぁッ?! まりしゃのいもうちょがぁぁぁぁ!!!!」
真っ先に金切り声を上げたのは赤まりさ。
その声を合図に親まりさは歯をカチカチと鳴らしながら赤ゆたちの回収を始めていた。
俺はそんな親まりさの顔に蹴りを食らわせて赤ゆたちから遠ざける。
強者であるはずの親まりさがごろごろと遠くへ転がる様を見て、赤ゆたちは恐怖であんよを動かせなくなったらしい。
俺はそんな四匹の赤ゆを一匹ずつ摘み上げるとコンビニ袋の中に投げ入れた。
ガサガサと音を立てながら袋の中で這いずり回る赤ゆたち。
「たしゅけちぇぇぇぇ!!!!」
「きょわいよぉぉぉぉぉ!!!!」
蹴り飛ばされた親まりさが短く呻き声を上げながら俺の元へと再び跳ね寄ってくる。
俺はそんな親まりさを捕まえると帽子を奪い取って池の水面に浮かべ、その上に親まりさを載せてやった。
この親まりさはただのまりさ種である。
水上まりさなどではない。
水を恐れるゆっくりにとって、今親まりさが置かれている状況はとてつもなく恐ろしいものであろう。
事実、親まりさは滝のように涙を流して帽子の上でガタガタ震えていた。
そんな親まりさの帽子をつい、と動かして岸から遠ざけてやる。
「やめてねっ!! やめてねっ!!! おみずさんはゆっくりできないよっ!!!」
「おにいさん!!! まりさがいやがってるからやめてあげてねっ!!!」
身重の体で必死に俺の元へと這い寄ってきたのだろう。
全身汗まみれの親れいむが泣きながら俺に懇願してくる。
そんな親れいむの髪の毛を乱暴に掴んで持ち上げると、俺は手漕ぎボートの桟橋へと足を向けた。
体内の赤ゆに障るのか身を捩ったりなどしての激しい抵抗は見せない。
「ゆ゛ぅ゛ぅ゛!!!」
引き千切れそうな髪の毛の痛みに呻き声を上げることしかしなかった。
その様子を池の上に浮かんだ親まりさが泣きながら見つめている。
「どぉしてこんなことするのぉぉぉ?! まりさたち、なんにもわるいことしてないのに……っ!!!」
そんなことは知っている。
これは間違いなく八つ当たりだ。
幸せそうな連中を地獄に叩き落とすことで自分よりも不幸な奴らを作りたいだけの話に過ぎない。
俺は桟橋の入り口で売っていた無人販売の鯉の餌を買って手漕ぎボートに乗り込んだ。
実にシュールな光景である。
桟橋へ向かう途中に拾った適当な木の枝を親まりさに渡す。
親まりさはそれを咥えて戸惑ったような、怯えたような表情で俺を見つめていた。
そんな親まりさの目での訴えを無視して池の中央へとボートを漕ぎ出す。
ボートの縁から親れいむが顔を出して必死になって親まりさに助けを求めていた。
するとどうだろうか。
水の上で震えていた親まりさが意を決してキリッとした表情になり、たどたどしい口つきで木の枝をオール代わりに池の中央へ
と漕ぎ出したのである。
「まりさぁぁぁぁぁ!!! たすけてぇぇぇぇぇぇ!!!」
親まりさは真剣な面持ちで俺の手漕ぎボートを追いかけるがあまりにも足色が違いすぎた。
しかし、俺は別に親まりさと競艇ごっこがしたかったわけではない。
親まりさが十分に岸から離れたことを確認して、先ほど買った鯉の餌を親まりさの周辺に少しずつばら撒いてやった。
「や、やめてねっ! ゆっくりできないよっ」
鯉の餌が親まりさの周りに雨のように降り注ぐ。
すぐに池の鯉が親まりさの真下に集まってきた。
「ゆ、ゆゆゆゆッ?!!」
突然、親まりさの帽子がぐらぐらと揺れ始める。
餌を食べようとする鯉の口や体が親まりさの乗る帽子に触れているのだ。
普通のまりさ種である親まりさはすぐにバランスを崩して金髪を水に触れさせてしまう。
そこから頬へ滴る水滴が親まりさの恐怖を加速させた。
「お、おさかなさんっ!! やめてねっ!!! ゆっくりできな……ゆ、ゆあわぁぁぁ!! て、てんぷくするぅぅぅぅぅ!!」
転覆などという言葉をどこで覚えたのかは知らないが、親まりさの帽子は確かに転覆寸前である。
「まりさぁぁぁぁ!!!!!!」
「れいむぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
互いの名を叫んで悲しみをぶつけ合う二匹のゆっくり。
親まりさのお下げが水面に垂れた。
それを餌と勘違いした鯉が勢いよく食らいつく。
「ゆあ……」
一瞬だけ口を半開きにして間抜けな顔で親まりさが動きを止めた。
次の瞬間、鯉によって親まりさは水中に引きずり込まれてしまったのである。
親れいむが池にぷかぷかと浮かんでいる帽子を見て愕然とした表情を浮かべた。
「ゆぶっ!! ゆはっ!! だず……げ、でっ!! までぃざ……おぼれちゃう゛!!! い、い゛だいよっ!!! ゆっぐり
やべでぇぇ!!! おざがなざんっ!! まりざを……たべなびで……ゆ、ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
俺としては溺れてもがき苦しむ親まりさの姿を見たかったのだがこれは予想外の展開である。
まさか溺れ死ぬ前に鯉に食われて死ぬとは思わなかったのだ。
水面に金髪が浮かんでいる。
親まりさは一かけらも残さず鯉に食べられてしまった。
最愛のゆっくりの無残な最期を一部始終見せられることになった親れいむはボートの中で恐怖のあまりにしーしーを漏らす。
赤ゆたちは怯えて一言も口を利けないようだ。
コンビニ袋の中で身を寄せ合って震えているのだろう。
手漕ぎボートを桟橋につけて今度は公園の広場へと足を向ける。
今度は鳩の餌を買った。
親れいむを足で踏みつけて固定し地面に鳩の餌をばら撒く。
するとすぐに無数の鳩が上空から滑空してきた。
「ゆっひぃぃぃぃぃ!!!!」
目の前で羽根をばたつかせる鳩の群れに親れいむは恐怖を隠し切れないようだ。
先ほどの親まりさの死にざまも頭をよぎっているのだろう。
足で押さえつけられて動けない親れいむを無視して、俺はコンビニ袋の中の赤れいむを一匹鳩の群れの中に放り投げた。
「おしゃらをとんでりゅみちゃいっ!!!」
「お、おちびちゃああああぁぁぁぁぁんッ??!!!」
放物線を描いた赤れいむが顔面から地面に叩きつけられる。
すぐに大声で泣き叫んだ。
あまりの激痛に少量の餡子を吐き出している。
痛みでその場を動くことができないようだ。
「いちゃいよぉぉぉぉ!!!! おきゃあしゃ――――」
赤れいむの悲鳴はここで途切れた。
数羽の鳩に顔を食い千切られたのである。
断末魔の悲鳴を上げることなく赤れいむはその存在を消した。
後には鳩の鳴き声が一定のリズムで繰り返されるだけである。
ガサガサとコンビニ袋の中を漁っていると、足の下から親れいむが声を張り上げた。
「どぼじでごんな゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛!!! れ゛い゛む゛だち……ここでゆっぐりじでだだけな゛のにぃぃぃぃ!!!」
その時、合点がいった。
このゆっくり親子はこの公園でばら撒かれた鳩の餌のお零れで今日まで生活してきたのではなかろうか。
或いはマナーの悪い公園利用者の捨てたゴミを漁って。
それならば五匹もの赤ゆを育てつつ、更に胎生にんっしんっ!までさせてのけるかも知れない。
まぁ、そんなことはもうどうだっていいのだが。
無言でぽいぽいとコンビニ袋から赤ゆを鳩の群れの中央に投げ続ける。
地面に叩きつけられた衝撃で皮が破れて即死する赤ゆもいたが、今度は必死に逃げ回ろうとしたがために苦しんで殺される事に
なった赤ゆもいた。
「ゆあぁ……ちびちゃん……れいむのかわいいかわいいちびちゃんたちが……」
ゆんゆんとすすり泣く親れいむを一思いに踏み潰してやろうと力をかけたが、俺がアクションを起こす前に親れいむは痙攣のよ
うな動きを始めた。
「ゆぎ……ぎ、う、うばれ゛る゛ぅぅぅ!!!」
貴重な親れいむの出産シーンである。
俺は下卑た笑みを浮かべて親れいむを両手で掴んで腰の辺りまで持ち上げた。
まるでお母さんが赤ん坊におしっこをさせようとしているようなポーズである。
そのまま餌に群がり蠢く鳩の群れの中央に歩み寄っていく。
親れいむは俺が何をしようとしているのかを察したのか、開きかけた産道を必死に閉じようとして歯を食いしばっている。
それでも生まれようとしている新しい命の力は凄まじく、産道を押し広げた赤ゆの顔がついに出てきてしまった。
「ゆっくちうんじぇにぇ!!!」
「ちびちゃ……う、うばれ゛ちゃ、だめ゛ぇぇぇ……ッ!!!!」
「ゆゆーん!! れーみゅはゆっくちうまれりゅよっ!!!」
スポーン……
間抜けな効果音と一緒に赤ゆが産道から飛び出す。
そのまま地面に叩きつけられて絶命したかに見えた。
しかし、生まれてすぐに砕けた歯と飛び出した目玉に怯えながら赤れいむは懸命に親れいむの名を呼び続けている。
それもそう長くは続かなかった。
鳩に食われて死んでしまったのである。
僅か十秒にも満たない生涯。
“ゆっくりしていってね”の一言も言えずにその一生を終えたのだ。
自分を生んでくれた最愛の母の目の前で。
「う……うわぁぁぁぁ!!!!!」
親れいむが叫び声を上げた勢いでもう一匹産道から赤ゆが飛び出す。
今度は中腰になって生まれてすぐに瀕死にならないように気を使った。
「ゆっくちしちぇ……い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛ッ?!! や゛べちぇぇ!!! たじぇげ……おきゃッ?!!!」
自信満々の笑みで挨拶をしようとした赤まりさは、鳩たちによって滅茶苦茶に顔を食い破られて死んでしまった。
その様子を産道から顔を出していた最後の赤ゆが目の当りにしてしまっている。
産道から赤ゆが叫ぶ。
「ゆんやぁぁぁ!! うまにゃいでにぇ!!! れーみゅ、うまれちゃくにゃいよっ!!!!」
「ちびちゃん……うまれちゃだめぇぇぇぇぇッ!!!!」
「早く産めよ」
親れいむの両頬を力任せに押すとそれだけで産道から赤ゆが飛び出していった。
まるで小さな大砲である。
最後の赤ゆも鳩の群れの餌食となった。
死ぬ直前まで泣き叫び、“どうしてれいむを産んだの”と親れいむを罵りながら。
放心状態の親れいむを公園の真ん中に置いた。
親れいむはそこから一歩も動こうとはしない。
俺はそれ以上親れいむに危害を加えようとはしなかった。
同情したわけではない。
俺と親れいむ。
どちらが「幸せか否か」と言えば、間違いなく俺のほうが幸せだろうから。
おわり
日常起こりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。