ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2251 背中から割ってはいけない
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ankoss
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背中から割ってはいけない 5KB
小ネタ 稲川怪談風 ほんのり黒二行作
ゆっくり、胴無しのゆっくり。
そのゆっくりを背中から割ってはいけない、という話があるんです。後頭部じゃないですよ、背中です。
ある男がですね、まりさを飼っていたわけです。
ある夏の日だ。どうにもまりさが暑そうだったから、少し髪の毛を切ってやろうかってね、まあ、冗談半分ですよ。
帽子を取ってね、最初はハサミでチョキチョキやっていたんですけど、だんだん面倒臭くなっちゃて。
カミソリ持ってきてね、それで髪の毛をすいてやることにしたんですよ。
シャッ、シャッ、シャッ、シャッ。
刃を動かす度にブロンドの毛がパラパラと落ちていく。
当のまりさはね、気持ちいいのか、寝息を立てていたんです。
ゆぴー、ゆぴー。
そこで飼い主のお兄さんがね、イタズラ心がムラムラと湧いてきて。後ろ頭を思いっきり刈り上げてやった。
ジョリッ。
後姿が不自然につるっつるになった饅頭を見て、いよいよお兄さんは面白がっちゃって。
起きないのをいいことに、たった今禿げ上がった場所を背中にしようと思い付いたんです。
頭だけの生き物に背中を作る。随分グロテスクな思いつき。
カミソリの刃がゆっくりまりさの肌を削っていくわけです。少しずつ少しずつ彫刻のように。
サクッ、サクッ、サクッ。
サクッ、サクッ。
サクッ。
手先が器用だったんでしょうね。背骨と肩甲骨がうっすら浮き上がった立派な背中を、カミソリ一本で作り上げちゃったんです。
で、まりさはまだ寝てる。いい加減起こして、驚かそうと頭だけの生き物をちょっと揺らす。
ふと気づくと、まりさの背中に亀裂のような一筋の傷。ああ、うっかり切っちゃってたのかなあと、そっと手を添えた。
そうすると傷口を中心に綺麗に裂けていって、音もなくまりさが割れていくんです。まるでお食べなさいをしたかのように。
男は慌ててね。そりゃそうだ。それなりに可愛がってた飼いゆですから。
バッと持ち上げると、もう繋がってるのは顔の皮一枚だけ。餡子という餡子がデロデロと流れ出していく、落ちていく。
ベチョッ、ベチョッ、ベチョッ。
やがて顔の裏側が見えてきて、白玉の目玉が浮かび上がってくるんだけど、どうもおかしい。
お面を反対側から見ているようなもんなんですから、そこはのっぺりしてなきゃおかしいんですよ。
だけどゆっくりまりさの裏に張り付いてるのは、筋張った表情。まるで皺くちゃの年寄みたいなのが、男の手の上にあるわけです。
むき出しの唇からのぞく歯がカチカチと音を立ててね、まるでバイブレーターでも仕込んでるように、顔全体が小刻みに震えている。
特に男から見て右側のまぶたが、脈打っているように酷く痙攣しているんです。
やがて目玉がぐるんとひっくり返って、黒目が男を見上げる。
そのまま何かを呟くように口をパクパクさせた頃には、もう男はすっかり青ざめちゃって、まりさだったものを床に投げつけた。
水風船が割れたような音がして、フローリング中に餡子が飛び散る。
部屋は派手に汚れてしまったけれど、もうさっきまでの不気味な顔はいなくなっていました。
その時点で、ああ、あれは何かの見間違いだったんだなと思い込んでおけば、それだけの話だったんですけど。
あれ以来、彼はどうにも気になっちゃってね。
本当にゆっくりの顔の後には、あの妙なものが張り付いてるのか確かめようと思い立ったわけです。
近所のゆっくりショップで、処分品のれいむとまりさの番を買ってきて。
ラムネ食ってよく眠ってる汚い番。妙にれいむだけ太っていてね。
部屋の床の上に新聞紙を敷いて、まずはまりさを寝かすんです。そして、包丁でもって一気に顔を削ぎ落とす。
まさに縁日で売られてるお面みたいになった。ひっくり返して裏側を見る。
皮の中にみっちり餡子は詰まっている。それだけ。
古墳で発掘作業してる人みたいに、ツラの中の餡子をこそいでみたりしたけど、あの時のような筋張った顔は出てこない。
じゃあこっちだと気を取り直して、れいむというかでいぶを、手に取った。
後頭部に威勢良く包丁突き立てて、饅頭も合わせて「ゆぎっ」とか言っちゃったりしてね。
無事真後ろに切れ目も入ったんで、そこから2つに裂いていこうとするんですけど、綺麗に割れない。
ミチミチッと不快な音を立てながら、思い切り力を入れて、袋とじを無理やりこじ開けるような、みっともない破れ方なんです。
息を切らしながら、爪の間まで餡子塗れにして、ようやく顔の裏が現れたんだけど、やっぱり老婆のような顔なんて出てこない。
ああ、これは紛れもない徒労だ。男はぐったりして、もう寝ようと。
すると、今しがた息絶えた餡の塊の中から、何やら音がする。
ゆぴー、ゆぴー。
黒いものをかき分けると、いた。出産直前だったんでしょうね。丸々太った赤れいむがイビキなんてかいている。
なんだ、やたら太っていたのはこのせいかと思いながら、ふと、男はまた思い付いちゃったんです。
ふらっと立ち上がってカミソリを持ってきて、まるで取り憑かれたように、刃を動かす。
シャッ、シャッ、ジョリッ。
後頭部が綺麗に剃り上がる。
そこへ、さらに刃物の光が入った。
サクッ、サクッ、サクッ。
サクッ、サクッ。
サクッ。
あの時と全く同じ背中、背骨と肩甲骨がうっすら浮き上がったように見える背中を彫り上げた。
違うのは大きさだけ、まるで精巧なミニチュアだ。
そしてやっぱり、まるで作った覚えのない鮮やかな裂け目が、背中を上から下へ走ってる。
ふっと指で触れる。
ぱっかりと割れる。
ベチョッ。
ほんの一握りの餡子が流れ落ちると、皺くちゃの顔がれいむの裏側に張り付いている。
凍えるように震えて、イラつくように右側のまぶたが痙攣してる。
白目が裏返って、黒目と男が目を合わせて。
そうして小さな唇を開き、今度ははっきりとした声で、こう言った。
「また、会ったなあ」
ゆっくりを背中から割ってはいけない。
それは、見なくてもいいものを見てしまうからだそうです。
(終)
感想板:http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852937/
過去作:http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/392.html
小ネタ 稲川怪談風 ほんのり黒二行作
ゆっくり、胴無しのゆっくり。
そのゆっくりを背中から割ってはいけない、という話があるんです。後頭部じゃないですよ、背中です。
ある男がですね、まりさを飼っていたわけです。
ある夏の日だ。どうにもまりさが暑そうだったから、少し髪の毛を切ってやろうかってね、まあ、冗談半分ですよ。
帽子を取ってね、最初はハサミでチョキチョキやっていたんですけど、だんだん面倒臭くなっちゃて。
カミソリ持ってきてね、それで髪の毛をすいてやることにしたんですよ。
シャッ、シャッ、シャッ、シャッ。
刃を動かす度にブロンドの毛がパラパラと落ちていく。
当のまりさはね、気持ちいいのか、寝息を立てていたんです。
ゆぴー、ゆぴー。
そこで飼い主のお兄さんがね、イタズラ心がムラムラと湧いてきて。後ろ頭を思いっきり刈り上げてやった。
ジョリッ。
後姿が不自然につるっつるになった饅頭を見て、いよいよお兄さんは面白がっちゃって。
起きないのをいいことに、たった今禿げ上がった場所を背中にしようと思い付いたんです。
頭だけの生き物に背中を作る。随分グロテスクな思いつき。
カミソリの刃がゆっくりまりさの肌を削っていくわけです。少しずつ少しずつ彫刻のように。
サクッ、サクッ、サクッ。
サクッ、サクッ。
サクッ。
手先が器用だったんでしょうね。背骨と肩甲骨がうっすら浮き上がった立派な背中を、カミソリ一本で作り上げちゃったんです。
で、まりさはまだ寝てる。いい加減起こして、驚かそうと頭だけの生き物をちょっと揺らす。
ふと気づくと、まりさの背中に亀裂のような一筋の傷。ああ、うっかり切っちゃってたのかなあと、そっと手を添えた。
そうすると傷口を中心に綺麗に裂けていって、音もなくまりさが割れていくんです。まるでお食べなさいをしたかのように。
男は慌ててね。そりゃそうだ。それなりに可愛がってた飼いゆですから。
バッと持ち上げると、もう繋がってるのは顔の皮一枚だけ。餡子という餡子がデロデロと流れ出していく、落ちていく。
ベチョッ、ベチョッ、ベチョッ。
やがて顔の裏側が見えてきて、白玉の目玉が浮かび上がってくるんだけど、どうもおかしい。
お面を反対側から見ているようなもんなんですから、そこはのっぺりしてなきゃおかしいんですよ。
だけどゆっくりまりさの裏に張り付いてるのは、筋張った表情。まるで皺くちゃの年寄みたいなのが、男の手の上にあるわけです。
むき出しの唇からのぞく歯がカチカチと音を立ててね、まるでバイブレーターでも仕込んでるように、顔全体が小刻みに震えている。
特に男から見て右側のまぶたが、脈打っているように酷く痙攣しているんです。
やがて目玉がぐるんとひっくり返って、黒目が男を見上げる。
そのまま何かを呟くように口をパクパクさせた頃には、もう男はすっかり青ざめちゃって、まりさだったものを床に投げつけた。
水風船が割れたような音がして、フローリング中に餡子が飛び散る。
部屋は派手に汚れてしまったけれど、もうさっきまでの不気味な顔はいなくなっていました。
その時点で、ああ、あれは何かの見間違いだったんだなと思い込んでおけば、それだけの話だったんですけど。
あれ以来、彼はどうにも気になっちゃってね。
本当にゆっくりの顔の後には、あの妙なものが張り付いてるのか確かめようと思い立ったわけです。
近所のゆっくりショップで、処分品のれいむとまりさの番を買ってきて。
ラムネ食ってよく眠ってる汚い番。妙にれいむだけ太っていてね。
部屋の床の上に新聞紙を敷いて、まずはまりさを寝かすんです。そして、包丁でもって一気に顔を削ぎ落とす。
まさに縁日で売られてるお面みたいになった。ひっくり返して裏側を見る。
皮の中にみっちり餡子は詰まっている。それだけ。
古墳で発掘作業してる人みたいに、ツラの中の餡子をこそいでみたりしたけど、あの時のような筋張った顔は出てこない。
じゃあこっちだと気を取り直して、れいむというかでいぶを、手に取った。
後頭部に威勢良く包丁突き立てて、饅頭も合わせて「ゆぎっ」とか言っちゃったりしてね。
無事真後ろに切れ目も入ったんで、そこから2つに裂いていこうとするんですけど、綺麗に割れない。
ミチミチッと不快な音を立てながら、思い切り力を入れて、袋とじを無理やりこじ開けるような、みっともない破れ方なんです。
息を切らしながら、爪の間まで餡子塗れにして、ようやく顔の裏が現れたんだけど、やっぱり老婆のような顔なんて出てこない。
ああ、これは紛れもない徒労だ。男はぐったりして、もう寝ようと。
すると、今しがた息絶えた餡の塊の中から、何やら音がする。
ゆぴー、ゆぴー。
黒いものをかき分けると、いた。出産直前だったんでしょうね。丸々太った赤れいむがイビキなんてかいている。
なんだ、やたら太っていたのはこのせいかと思いながら、ふと、男はまた思い付いちゃったんです。
ふらっと立ち上がってカミソリを持ってきて、まるで取り憑かれたように、刃を動かす。
シャッ、シャッ、ジョリッ。
後頭部が綺麗に剃り上がる。
そこへ、さらに刃物の光が入った。
サクッ、サクッ、サクッ。
サクッ、サクッ。
サクッ。
あの時と全く同じ背中、背骨と肩甲骨がうっすら浮き上がったように見える背中を彫り上げた。
違うのは大きさだけ、まるで精巧なミニチュアだ。
そしてやっぱり、まるで作った覚えのない鮮やかな裂け目が、背中を上から下へ走ってる。
ふっと指で触れる。
ぱっかりと割れる。
ベチョッ。
ほんの一握りの餡子が流れ落ちると、皺くちゃの顔がれいむの裏側に張り付いている。
凍えるように震えて、イラつくように右側のまぶたが痙攣してる。
白目が裏返って、黒目と男が目を合わせて。
そうして小さな唇を開き、今度ははっきりとした声で、こう言った。
「また、会ったなあ」
ゆっくりを背中から割ってはいけない。
それは、見なくてもいいものを見てしまうからだそうです。
(終)
感想板:http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852937/
過去作:http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/392.html