ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2295 ブリーダーお兄さんの一日
最終更新:
ankoss
-
view
ブリーダーお兄さんの一日 22KB
現代 題名通り人間メイン 虐待成分薄し
――AM:05:00 起床
携帯の目覚ましで起きる。使用メロディはバッフェルベルのカノンだ。さすがにクラシックだけあってあまりゆっくりたちに刺激を与えない。シューベルトも結構いいそうだが、試したことはまだない。
布団から這い出て自室を出たら、もう廊下にはゆっくり特有の甘い匂いが充満している。既に嗅ぎ慣れているので十秒もすれば意識しなくなってしまうが、たまに来客が訪れるとぎょっとされる。虐待お兄さんだとでも思われているとちょっと嫌だが、やっていることは五十歩百歩である。場合によっては俺の方が酷いかもしれん。
ゆっくりたちの寝息を感じながら、静かに洗面台へと向かう。歯を磨きながら今日のスケジュールを寝ぼけ頭で思い返す。
口をすすいで顔を洗い、洗面台から離れようとしてふと気づく。髭剃りと寝癖直しがまだだった。外出予定が無い日は省略しているのでついついうっかりしていた。ゆっくりと深く付き合っていると物忘れが酷くなる気がするのは八つ当たりなのだろうか。
台所に行ってゆっくりたちの食事を用意する。特徴の無い基本種系の子ゆっくりたちにやる飯は市販のフードで間に合わせているが、他の連中はそうもいかない。
まず希少種にはそれぞれの種族ごとに好物とされているものを用意する。さなえには新鮮な果物、らんには大豆製品、おりんにはほどよく腐る直前のゆっくりの死体といった具合だ。あんまり甘やかしていると希少種といえどゲス化するが、こいつらは全員俺がみっちり教育を仕込んであるので……たまにゲス化する奴もいるが、まあ事故だと思って諦めている。大体、希少種は飼われた先で猫可愛がりされやすいのだ。今ここで俺が間引いてやったとか考えてやっても……商売人としてダメだな。ちょっと改善しよう。
次に捕食種たち。こいつらは基本的に冷凍パックの生餌を解凍して与えていることにしている。だが、飼われた先で拒食を起こされても困るので隔日おきに様々な食事を取らせて慣れさせておく。具体的には死骸、フード、などだ。ヘビなら生餌をやるのはせいぜい二週間に一度くらいで済むのに日に二回はやらないといけないとか面倒臭い連中である。好んで飼う奴はきっとれいむやまりさの断末魔がよほど好きに違いない。
最後に、子作り担当ども。だがこいつらも母体ゆっくりと種ゆで扱いに差異がある。具体的には母体の方は出産のたびに負担がかかるので、出産何日後、妊娠何日後、などという区分けに沿って栄養食や流動食を分ける。この食事を与える際に母体どもの調子を見て次の妊娠時期を決める材料にするので、割と真剣である。
種ゆは楽だ。各ゆっくりのトイレから回収した排泄物を混ぜてじょうごで流し込む。一匹二十秒で済む。というか非ゆっくり症死予防のために打っている点滴オレンジジュース代の方が高くついているし栄養価もあるだろう。
食事は一番うるさい捕食種からやる。こいつらを入れている部屋のドアや壁は防音製だ。そうでもしなければ捕食種の気配に他のゆっくりどもが気づいてストレスをかける。だから別に俺もうるさくは無いのだが、捕食種とは本来夜行性に近いれみりゃやふらんなので、早朝の方が都合がいいだろうという配慮だ。
次に希少種。こいつらも専用の部屋を与えており、水槽などには入れずにのびのびさせておくことにしている。捕食種系の希少種ならもちろん話は別だが今はいない。それぞれ専用の食事を入れたボウルをそれぞれに食わせてやる。ゆっくり丁寧に汚さず喰えと教育したのは俺だが、時折あんまりゆっくりしていてイラッとくることもあるのはご愛嬌としてほしい。商品だからもちろん傷つけるわけにもいかんしな。
それから八畳一間の洋室に入り、基本種の子ゆっくりどもにやる。これは保母として仕込んだれいむが分配してくれるので素晴らしく楽だ。俺はフードとボウルを持っていき、しかる後に回収するだけでいい。もっとも、れいむの子育て報告がいちいちゆっくり長ったらしく、一度捕まると一時間は軽く持って行きかねない。報告している間に子ゆっくりがやんちゃしているだろうに。
で、母体ゆ。こいつらと種ゆは同じ部屋に入れているが、アルミ棚を並べて水槽を所狭しと放り込みまくっているので狭苦しいことこのうえない。母体ゆどもには一応トイレや水入れを与えているが、種ゆどもは基本的に五感のほとんどを奪いあんよをフォークで滅多刺しにしているので身じろぎ一つしやしない。そのため種ゆは一つの水槽に敷居を入れて、複数の個体をすし詰め状態に詰め込んでいる。
順番に食事をやりながらトイレ掃除も終わらせ、回収した排泄物を種ゆに流し込む。時々順番が頭がごっちゃになるが、種ゆが最後であるのだけは揺るがない。おかげで種ゆに流し込み終えた後は
「ああ、今日も一日が始まるな」
という気分になる。
爽やかだったりアンニュイだったりする気分のまま種ゆのおしめを交換し、洗濯籠に放り込む。リサイクルとか環境とかはどうでもいいが、単純に経済的な理由で布おしめだ。消耗品はゴミ捨て量も馬鹿にならない。
自前の服や下着を洗うべく洗濯機にスイッチを入れる。その間に自分の食事。この時には大体七時過ぎになっており、週二度のゴミ出しの日はこの時間の内に出しておく。夜中や早朝に出すと、カラスやゆっくりおくうがゴミ袋を漁るので近所のおばちゃんに怒られる。
さなえが残したりんごを齧り、らんが残した豆腐をつつき、ふと悲しい気持ちになる。俺はゆっくりの残飯で食い繋いでいるのか。人間としてのプライドを探す。結構いい年こいて独身であることを思い出しさらに悲しい気持ちになる。俺、このまんまゆっくりまみれの人生を終えるのか。それでいいのか俺。
真剣に悩んでいると洗濯機が回転を終え、さっさと中身を干せとぴ~ひゃら電子音を奏でた。自前の洗濯物を空の洗濯籠に入れ、種ゆのおしめを放り込む。同じ洗濯機で洗って気持ち悪くないのか、と問われれば、まぁ気持ち悪くない。どうせ砂糖水とかそんなんばっかだしな。
洗濯物を干し終えると、希少種どものお勉強の時間だ。一匹一回二十分。これを日に二回。手元に置いている希少種の数で勉強時間は多少前後するが、基本一対一で勉強させるスタイルは変えない。同じ種ならまだいいが、希少種は一種一種クセの強い性格が多い。それぞれの種ごとに適した教育カリキュラムを組まないと、飼いゆとしての質が下がる。
希少種の勉強を終えると、捕食種と基本種の様子を見る。捕食種はふらんとれみりゃを隔離して育てているが、捕食種同士仲良くしてもらえないのは面倒だ。もちろん産まれた時からみっちり仕込めば可能な話だが、労力と利益の割が合わないのでやっていない。
基本種はあいかわらず保母れいむががんばってくれている。今日は人間さんに許可を得ない勝手なすっきりーはゆっくりできないという授業だ。教えろとれいむに叩き込んだのは俺自身だが、ぶっちゃけ成体になった時覚えているとは思えない。せいぜいバッジ試験の時に役立つか否かだ。
一通り日課を終えて、時間の確認をする。うむ、そろそろ着替えるか。
――AM:11:00 出発
れいむに任せていた基本種の子ゆっくりたちのうち、既にバッジを付けた連中だけ集めてケージに入れ、車に載せる。
向かうはこいつらの卸し先。近隣のゆっくり専門ペットショップである。
顔見知りの店員が一匹一匹の健康状態を確認し、各種書類手続きを取る。子ゆっくりどもに最後の別れを告げ、店長や店員と雑談。
客の反応、最近売れ筋の種、今度多めに仕入れるべき種は何か、逆に少なめにするべき種は何か、教育カリキュラムの変更指針は無いか……そういった情報のやりとりである。
そうこうしていると、恰幅のいいおっさんとおばちゃんがしかめっ面を晒して店内に入ってきた。そして俺と話している店長を見つけるや、顔に小皺が増えるのも気にせず怒声を浴びせかけてきた。
他人事なので十五分ばかし店内をうろつくフリをして盗み聞きをする。ひたすら自分の怒りや不満を伝えるだけで何が言いたいのかさっぱりわからなかったが、ようやくクレームの内容が判明してきた。どうやらこの店で買ったゆっくりがゲス化したらしい。金出して金バッジを買ったのにどういうことだ、とのことだ。
俺が卸すゆっくりにほとんど金バッジはいない。心落ち着けて盗み聞きに興じれるというものである。店長は平謝りしているが、どうもこの夫婦はゆっくりを甘やかしすぎたくさい。金だろうが銅だろうが野良だろうが野生だろうが、ゆっくりという奴はすぐ調子に乗る。自己の力と保護者の力を混同する。そして重要なことはさっぱり忘れる。
犬も人間もゆっくりも叱らなければダメになるのだ。猫可愛がりして問題ないペットが欲しいのなら猫を飼え。あ、ちぇんと一緒に飼うなよ。間違って喰ったら猫が死ぬからな。犬もだが。
いったん家に帰って昼食。ゆっくりたちに昼食は無い。会社務めの独身者がゆっくりを飼うことも多く、一日二食になることも多い。そのため俺が育てているうちに二食生活に慣れさせようという魂胆だ。
希少種に午後からの勉強を施し、次の外出時間が来る。家全体のゆっくりを確認後、出来の良いおりんとまりさを連れて車に乗り込んだ。
――PM:02:00 出発
俺は就活が嫌になって逃げ出し、フリーターなんぞをやっていたくらい駄目な人間だ。一言で言えば人と話すのはあまり好きではない。ゆっくりブリーダーなんて因果な商売を始めたのも「これなら人間と会わずに済む」と思っていたからだ。アホだった。
当たり前だが卸し先を開拓するのは自分である。営業は必要不可欠な仕事だ。そして今日もまた『私の育てたゆっくりはこんなに素晴らしいんですよ』と嘘八百を並べ立て相手をおだて意味なく笑うお仕事が始まる。
おりんもそんな俺に合わせて「じゃじゃーん」とか楽しそうに笑っているが、こいつの本性は恐ろしく残酷だ。小さな赤ゆを何時間も何日もかけていたぶり殺すのが何よりゆっくりできる趣味だというのだからゲスすれすれである。
だがおりんはそういう本能を餡子に刻まれて生まれてきたのだから仕方あるまい。いたぶり殺したゆっくりの死体から凄まじい甘味を帯びた中枢餡を取り出し、おかざりのしゃれこうべに食わせることで、その死体を操るという特殊能力をこいつらは持っている。そうして操った死体を使って捕食活動を行うのがおりん種の生き方である。そこにいいも悪いもない。
その点、まりさが俺に合わせて営業相手の店長に媚を売るのがありがたくも悲しかった。空気を読んでくれるのはありがたいし、そういう奴を選び抜いて連れてきたのは俺だが、あまりにもゆっくりらしくない、ゆっくりしていない必死な姿だった。捨てゆっくりの『飼ってください』コールと似たような雰囲気である。
試しに、ということで持ってきたおりんとまりさはその店に置かれることになった。まりさはまだいいが、おりんを手放すのは正直惜しかった。売るなら直接飼い主に売るスタイルを取ろうかと考えていたのだ。それくらいおりん種はクセの強い、理解され難い性質を持つゆっくりなのだ。
あの手塩にかけて育てたおりんが『珍しいから』という理由だけで小金持ちに飼われ、そこの家の先住ゆっくりを死体にして弄ぶなんていう事故が起きないことを祈る。でもあいつ口は最高に上手いからな……そういう家に飼われる可能性がまりさ以上に高いんだよな……考えれば考えるほど憂鬱だ。
俺は車を路肩に停め、公園前に置かれた自販機からコーヒーを買った。助手席側のドアを開けっぱなしにし、外に足を投げ出して座る。甘いコーヒーをちびちびやりつつ、俺は家に帰りたくない気持ちをどう落ち着けようか考えていた。
ブリーダーを始めた当初は夢の自宅勤務だと浮かれていたが、家にいても四六時中ゆっくりのことばかり考えるようになっただけだ。仕事以外のことが頭に思い浮かばない。息抜きをする場所がない。たまには旅行にでも行って綺麗さっぱりゆっくりのことなど忘れたくなるが、商品の世話を焼く人間が俺一人しかいないのでせいぜい日帰り旅行が限界だ。
なんでこんな馬鹿げたことに手を染めてしまったんだろう。高校、大学時代の友達はまっとうに就職して結婚したという報告もたびたび聞く。あいつらが自分の子供のおしめ取り替えている時に種ゆのおしめを取り替えているのだ。俺は何をやっているんだ。
「おにいさん、ちぇんはこまってるんだよー。たすけてねー」
鬱々と空を眺めていると、足下からちぇん種の声がした。見下ろすとおぼうしも尻尾も小麦粉の肌も泥やなんやらの汚れが染み付いた成体ちぇんが俺を見上げていた。ちぇんの足下にはビリヤード玉サイズの赤ちぇんが二匹連れ添っている。
「おにいさんはとってもゆっくりしたにんげんさんなんだねー。わかるよー」
「わきゃりゅよー」
「たしゅけちぇねー」
俺はため息をついた。コーヒーをホルダーの中に入れ、親ちぇんと目を合わせる。少し痩せてきているが、皮は水分をやや多めに含んでいる。瞳の寒天も不純物が見られない。恐らく純正の野良ではないだろう。つまり捨てゆだ。
「何か用か」
「ちぇんをたすけてほしいんだよー。わかってねー」
「わかっちぇねー」
「たしゅけちぇねー」
「何があった」
「にゃっ! おにいさん、たすけてくれるんだねー! ありがとー! やっぱりおにいさんはとってもゆ――」
「いいからとっとと話せ」
足を振り上げて踵をおぼうしすれすれの位置まで下ろしてやると、ちぇんは慌てた様子で事情を説明し始めた。
おそらく、俺はゆっくりからしてみれば様々なゆっくりの匂いを発散しているのだろう。こういう人間は大概ブリーダーか虐待大好き人間かに大別されるのだが、俺は死臭を帯びていないはずだ。つまりゆっくり大好きお兄さんである。ゆっくりたちの観点からしてみれば、だが。
「こ、このこうえんさんはもともとちぇんたちがくらしていたんだよー。それがね……」
ちぇんいわく、このちぇんたちは番のらんと一緒に幸せに野良生活を送っていたらしい。しかしそこにゲスまりさ率いるゲス軍団が公園の縄張りの大半を奪い、主立った餌場である隣のマンションのゴミ捨て場も独占してしまった。やりたい放題しているゲス軍団に怒りを覚えた番のらんはゲスまりさに一騎討ちを申し込んだそうだが、リンチを食らって死んだ。シングルマザーになったちぇんはいつゲスどもに襲われるか不安な日々を送っている……とのことだ。
「おねがいだよおにいさん! らんしゃまのかたきをうってね!」
「なあちぇん。いくつか質問していいか?」
「わかるよー。なんでもきいてねー」
「お前、人間さんにメシ貰っていたりするか? それか世話焼いてもらっていたりするか?」
「にゃん。ないよー。ちぇんはらんしゃまがいなくなってから、しんぐるまざーとしてがんばってきたんだよー。わかってねー」
「わかった。それからもう一つ。ぶっちゃけ駆除は面倒だし一市民のやることじゃない。それくらいなら俺の飼いゆにならないか?」
「わかるよー! おちびちゃんたちもいっしょなんだねー!」
「わきゃりゅよー!」
「とってもよくわきゃりゅよー!」
『飼いゆ』の一言でちぇん一家は色めき立った。俺は確信を覚えつつ、車の中からラムネを取り出して手の平に落とし、ちぇんたちに差し出す。
「色々あって疲れただろう。これを喰ったら眠くなるが、その間に家に連れて行ってやる。喰うか?」
「わかるよー! たべるよー!」
「むーしゃ! むーしゃ! ちあわちぇだよー!」
「おにいしゃん、ありがちょうね……わきゃりゅ……すー」
体の小さな赤ちぇんは数口食べただけで夢の中にぶっ飛んだ。親ちぇんもすぐ眠り込み、俺はふむと呟く。
まず、残っていたコーヒーを飲みきった。そして赤ちぇん二匹を掴み取り、コーヒー缶の飲み口に突っ込む。
「にゃ……わぎゃ!? ぎゃい! ぎゃわ! ぎゃ……」
二匹目は入りきらず尻尾が飲み口から覗き、痙攣してぴくぴく震えていたが気にせず燃えないゴミ箱に放り込む。資源分別とかも気にしない。
残った親ちぇんの方はおぼうしで肌を拭いた後、口をこじ開けてさらにラムネを五錠ばかり飲み込ませる。そして尻尾を足で踏んづけて引っこ抜き、耳もちぎりとり、髪だけ残ったちぇんをおりんとまりさが入っていたケージにぶち込んで鍵を閉める。
「ぱちゅりーの帽子、まだ残ってたっけなぁ」
このちぇんは、今でこそ毛は汚れきっていたが本来色艶の良い個体のはずだと俺は見切った。今でも髪の毛をシャンプーで洗ってやれば中々男前になるだろう。捨てるなんてもったいないする馬鹿もいたものだ。
こいつは家に持ち帰り、母体ゆっくりとして使うことに決めた。おぼうしと耳と尻尾を奪ったのはちぇん種としてのアイデンティティを奪うためだ。かわりに死んだ種ゆぱちゅりーの遺品であるおぼうしをくれてやる。こうすることでちぇんは自分をぱちゅりーだと思い込み、ぱちゅりー種を産む可能性が出てくる。ぱちゅりー種は体が貧弱なので母体としても種ゆとしても寿命が短い。対策方法として編み出した裏技の一つだ。
だが、これは時々ぱちぇんと自称するぱちゅりーとちぇんの特徴が入り混じった畸形が産まれる。うまく固定化できれば新種にできるだろうが、畸形故にぱちゅりーよりさらに貧弱なので卸したことすらない。まあここらへんの研究は加工所に任せよう。俺はしがない個人ブリーダーだ。
「さて、もう帰ってもいいんだが、一応頼まれたことは頼まれたことだしな。真偽を確かめるくらいのことはしてやるか」
公園の中に入り込むと、なるほどまりさを中心とした基本種の野良どもが暮らしていた。俺を見たとたんほとんどが茂みの中に逃げたが、最後まで仲間が逃げるのを指示し、俺の気を引く動きを取っていたまりさが一匹だけ残る。
「まりさ、ちょっと聞きたいんだがこのあたりに子連れでシングルマザーのちぇんが暮らしていないか? 子供はまだ舌っ足らずなちぇん二匹で」
「ゆ!? おにいさん、もしかしてあのちぇんのかいぬしさん!?」
「いや、違う。あいつを飼うことにしたからさ。ここらへんのゆっくりのボス、お前だろ? 報告しておいた方がいいかと思ってな」
「ゆぅ、わかったぜ。……そうか、あのちぇんおにいさんのかいゆっくりになるのぜ。ゆっくりさせてあげてね!」
「まあ善処しておこう。他にも聞きたいことがあるんだが、あのちぇん、元は捨てゆだろ?」
「そうだぜ。すっきりー! しておちびちゃんをかいぬしさんにみせたら、すてられたんだぜ。おちびちゃんをみせたらかいぬしさんもゆっくりできるとおもったそうだぜ……ばかなんだぜ……」
そう言うまりさの瞳は哀愁を帯びていた。おそらく、こいつも過去に同じ経験をして捨てられたのだろう。それで同じ境遇の捨てゆの面倒を見ていたとしたら、お人好し……おゆ好しか? もいいとこだ。
俺は首を振り、まりさの言葉を否定してやった。
「それは違う。お前らゆっくりは馬鹿だが、お前らを捨てた飼い主はもっと馬鹿だ」
「ゆ? そ、それはちがうのぜ。まりさの……おねーさんは……」
「馬鹿だよ。いいか、お前らが子供を欲しがるのはそういう風に餡子に刻まれているんだから仕方ない。セミにミンミン鳴くなと言っても無理だろう。ハーレム乗っ取った新ボス猿に子供殺すなっていうのも無理だ。それを人間の都合で止めさせたいなら去勢すべきだ。それもしないで捨てるとか餡子脳に蛆でも湧いてるんだろう」
そういった面倒臭い層向けに、去勢済みゆっくりを卸すこともある。だが赤ゆから子ゆの時点の去勢は危険が伴うし、割高になる。結局飼われて成体になってから去勢されるのがみんな幸せなのだ。
去勢するのすら嫌だというのなら、他のゆっくりと接触しないよう完全室内飼いで管理をきっちりすべきだし、万が一子供ができた時は里親探しをするべきだ。それも面倒だというのなら、茎を引っこ抜いて自分で子供を殺せ。怨まれても捨てゆにするよりかはマシだ。結局、ゆっくりを捨てる人間というのは自分の手を汚したくないだけなのだ。
「おにいさん……おにいさんはほんとうにちぇんをゆっくりさせてくれるのぜ?」
不安になったのだろう。まりさは俺を見上げた。
質問そのものには答えず、俺はまりさに別の情報を与える。
「あのちぇん、お前をゲスよばわりしていたぞ」
「ゆっ!?」
「別にお前が人間には愛想良くてゆっくり相手には暴君であろうが人間にもゆっくりにも気遣いのできるお人好しだろうが俺には関係ないからどうでもいい。ただ、あのちぇんはお前はゲスであのちぇんの番を殺したから仇を取ってほしいと俺に頼んできた」
「お、おにいさんは、まりさをゆっくりできなくするのぜ?」
「しない。どうせ嘘だろうと思っていたさ。大方餌場を独り占めしたかったんだろう。だがあのちぇんの危機感は正しい。この公園、少々野良が増えすぎているな。お前が保護した成果だろうが、あんまり増えてゴミ捨て場を荒らし続けていると、駆除されるぞ」
駆除の一言でまりさの顔が青ざめる。だがこの情報を聞いたところでこいつはどうせ間引きも追放もできやしないだろう。そんなゆっくりは少ないし、人間の一言であっさりそんな行為を働く奴はそもそもゲスの素質がある。
俺はポケットに入れていたプラスチックケースを取り出す。目を><にしたゆっくりの上に骨がクロスし、ドクロマークが付いたイラストが描かれている。中身は至って普通のラムネのようだが、そのイラスト通りこれはゆっくり専用の毒だ。
まりさにそのプラスチックケースを手渡した。
「こいつは毒だ。ただし、飲んでもすぐには死なず眠るようにゆっくりとした気持ちで死ねる安楽死用の毒だ。いよいよ駆除が近づいたと思った時、みんなに食わせてやってもいいし食わせなくてもいい。俺から受け取ってもいいし受け取らなくてもいい」
「ゆ……」
まりさはしばらくドクロマークを見つめて、ゆっくりとかぶりを振った。
「……おひっこしするのぜ……おにいさん、おしえてくれてありがとうなのぜ」
「そうか。邪魔したな」
車に戻った。安らかな寝息を立てるおかざりも耳も尻尾も無くしたちぇんを見ながら考える。
俺はまりさにあの安楽死用ラムネを、何も教えずみんなに食わせてやれとだけ言った方が良かったのかもしれない。だがそうすれば翌日公園に大量のゆっくりの死骸が転がり、迷惑を被るのはマンションの住人だ。
結局俺ができたのは人間に対してもゆっくりに対しても毒にも薬にもならない結果だ。自己満足にすらなっていない。一体誰が得したというのだろう。
キーを回し、エンジンをかける。発進する車のエンジン音に紛れて「むにゃむにゃ……わかるよー……らんしゃまー……」というちぇんの寝言が聞こえた。
PM:04:30 帰宅
希少種たちに二回目の午後の勉強を施し、夕食の供給とトイレ掃除を同時に行う。それから自分の夕食を摂り、パソコンを立ち上げる。
実店舗への卸売りだけでなく、インターネットによる販売もウチは取り扱っている。『面会した上でお売り致します』と書いて上げておいたおりんをリストから削除。メールボックスを調べ、ブログを書く。アフィリエイトが稼げるし同じブリーダー仲間への情報交換なども行えるので面倒でも毎日書いている。
ブログの内容は、思う所があったのでおりんの生態について書くことにした。注意喚起のつもりだが、そもそもこういうのをインターネットで読む奴は自分から調べる奴なのであまりヘマはやらかさない。知識の無い素人に限って何も調べず勉強もせずに飼おうというのだからやめてほしい。
一通り更新作業やメールのやりとりを終えると、基本種たちの部屋に行って保母れいむから各個体の状況報告を聞く。病気の個体がいないか、性格に問題がないか、勉強がよくできる奴かなど、様々な報告だ。俺が一匹一匹に対して適切な処置を取れるとは限らないが、最低限商品としての価値は維持しなければならない。
一通り報告がてら基本種どもと遊んでやると、次は希少種たちと遊んでやる……つもりだったが、既に眠いようだ。消灯。
かわりに夜行性の捕食種たちと遊んでやる。二日に一度は二、三匹いっぺんに十五分ほどの散歩にも連れてゆく。捕食種たちはたまにはのびのび飛行させてやらないとストレスが溜まるし、他人の飼いゆを襲ってはならないと実地で躾ける必要もある。れみりゃなどはこういう時素直で良いのだが、ふらんは中々言うことを聞かないので難儀だ。
捕食種全員の散歩を終わらせ、さて風呂でも入るかという段階で車庫に入れた車の中から「だせよー! わかれよー! くらいよー! らんしゃまー!」という声が聞こえてきて思い出した。ちぇんを忘れていた。
文句をたらたら流すちぇんを無視して風呂場に持ってきてシャワーをぶっかける。大丈夫だ。すぐには溶けない。皮の薄い赤ゆっくりならば話は別だが。
全身をゆっくり用シャンプーで洗い、しっかり消毒する。他の母体ゆに何か感染されてもしょうもない。ドライヤーでしっかり乾かしているうちにちぇんが気づく。
「わからないよー。そろそろちぇんのおぼうしかえしてねー」
「ああ捨てた」
「ずぎゃーん!?」
いい機会なので洗面台まで連れて行って鏡と相対させる。
「わからないよー! おぼうしもおみみもしっぽもないちぇんはゆっくりしないではやくどっかいってね!」
「それお前だぞ」
「わからないよー! ちぇんがこんなゆっくりしていないゆっくりなわけないだろー! わかれよー!」
面倒臭いな。こりゃあ、今日中に母体ゆの水槽に入れるのは無理だな。元から期待なんぞしていなかったが。
こういう時のために、身動きが取れないくらい狭い水槽を用意してある。しかも四方鏡張りの自作品だ。この中に一昼夜放り込んでおけば今の自分がどのような姿なのか少しはわかるだろう。事情があっておかざりを無くした他人の飼いゆに攻撃しないよう躾けるために、基本種部屋に持っていって羞恥プレイしてやってもいい。
水槽からぎゃーぎゃー喚く声を無視して、風呂に入る。俺が目指すのは徹底的なちぇん種としてのアイデンティティ破壊だ。自分がなんのゆっくりだったかもうどうでも良く、おかざりがあればなんにでも飛びつくくらい精神的に追い込まないといけない。時々追い込みすぎてチョコ吐かせて死なせてしまうが。
風呂から上がり、唯一ゆっくりの匂いから隔離させた自室に入る。パソコンを再び立ち上げて余暇潰し。日付が変わる頃に布団に入り込む。
おやすみなさ……
「わかれよー!! わかってよーーー!! ちぇんはちぇんだよおおおおおお!!」
……うるせぇ。でも他の部屋に置くと商品たちが安眠できないからな。俺が拾ったんだし我慢だ。自業自得だ。
「ちぇんのまねするなあああ! わかれよーー! わかれよおおおおおおお!!」
ごつんっ
「にゃ……?」
拳骨で水槽をぶっ叩くと少しは静かになった。右手が痛いのを我慢しておやすみなさい。
「わかれよおおおおおお!」
酒でも買いに行こう。
anko2009 足りないらんと足りすぎるちぇん(前編)
anko2010 足りないらんと足りすぎるちぇん(後編)
anko2227 保母らん(前)
anko2228 保母らん(後)
現代 題名通り人間メイン 虐待成分薄し
――AM:05:00 起床
携帯の目覚ましで起きる。使用メロディはバッフェルベルのカノンだ。さすがにクラシックだけあってあまりゆっくりたちに刺激を与えない。シューベルトも結構いいそうだが、試したことはまだない。
布団から這い出て自室を出たら、もう廊下にはゆっくり特有の甘い匂いが充満している。既に嗅ぎ慣れているので十秒もすれば意識しなくなってしまうが、たまに来客が訪れるとぎょっとされる。虐待お兄さんだとでも思われているとちょっと嫌だが、やっていることは五十歩百歩である。場合によっては俺の方が酷いかもしれん。
ゆっくりたちの寝息を感じながら、静かに洗面台へと向かう。歯を磨きながら今日のスケジュールを寝ぼけ頭で思い返す。
口をすすいで顔を洗い、洗面台から離れようとしてふと気づく。髭剃りと寝癖直しがまだだった。外出予定が無い日は省略しているのでついついうっかりしていた。ゆっくりと深く付き合っていると物忘れが酷くなる気がするのは八つ当たりなのだろうか。
台所に行ってゆっくりたちの食事を用意する。特徴の無い基本種系の子ゆっくりたちにやる飯は市販のフードで間に合わせているが、他の連中はそうもいかない。
まず希少種にはそれぞれの種族ごとに好物とされているものを用意する。さなえには新鮮な果物、らんには大豆製品、おりんにはほどよく腐る直前のゆっくりの死体といった具合だ。あんまり甘やかしていると希少種といえどゲス化するが、こいつらは全員俺がみっちり教育を仕込んであるので……たまにゲス化する奴もいるが、まあ事故だと思って諦めている。大体、希少種は飼われた先で猫可愛がりされやすいのだ。今ここで俺が間引いてやったとか考えてやっても……商売人としてダメだな。ちょっと改善しよう。
次に捕食種たち。こいつらは基本的に冷凍パックの生餌を解凍して与えていることにしている。だが、飼われた先で拒食を起こされても困るので隔日おきに様々な食事を取らせて慣れさせておく。具体的には死骸、フード、などだ。ヘビなら生餌をやるのはせいぜい二週間に一度くらいで済むのに日に二回はやらないといけないとか面倒臭い連中である。好んで飼う奴はきっとれいむやまりさの断末魔がよほど好きに違いない。
最後に、子作り担当ども。だがこいつらも母体ゆっくりと種ゆで扱いに差異がある。具体的には母体の方は出産のたびに負担がかかるので、出産何日後、妊娠何日後、などという区分けに沿って栄養食や流動食を分ける。この食事を与える際に母体どもの調子を見て次の妊娠時期を決める材料にするので、割と真剣である。
種ゆは楽だ。各ゆっくりのトイレから回収した排泄物を混ぜてじょうごで流し込む。一匹二十秒で済む。というか非ゆっくり症死予防のために打っている点滴オレンジジュース代の方が高くついているし栄養価もあるだろう。
食事は一番うるさい捕食種からやる。こいつらを入れている部屋のドアや壁は防音製だ。そうでもしなければ捕食種の気配に他のゆっくりどもが気づいてストレスをかける。だから別に俺もうるさくは無いのだが、捕食種とは本来夜行性に近いれみりゃやふらんなので、早朝の方が都合がいいだろうという配慮だ。
次に希少種。こいつらも専用の部屋を与えており、水槽などには入れずにのびのびさせておくことにしている。捕食種系の希少種ならもちろん話は別だが今はいない。それぞれ専用の食事を入れたボウルをそれぞれに食わせてやる。ゆっくり丁寧に汚さず喰えと教育したのは俺だが、時折あんまりゆっくりしていてイラッとくることもあるのはご愛嬌としてほしい。商品だからもちろん傷つけるわけにもいかんしな。
それから八畳一間の洋室に入り、基本種の子ゆっくりどもにやる。これは保母として仕込んだれいむが分配してくれるので素晴らしく楽だ。俺はフードとボウルを持っていき、しかる後に回収するだけでいい。もっとも、れいむの子育て報告がいちいちゆっくり長ったらしく、一度捕まると一時間は軽く持って行きかねない。報告している間に子ゆっくりがやんちゃしているだろうに。
で、母体ゆ。こいつらと種ゆは同じ部屋に入れているが、アルミ棚を並べて水槽を所狭しと放り込みまくっているので狭苦しいことこのうえない。母体ゆどもには一応トイレや水入れを与えているが、種ゆどもは基本的に五感のほとんどを奪いあんよをフォークで滅多刺しにしているので身じろぎ一つしやしない。そのため種ゆは一つの水槽に敷居を入れて、複数の個体をすし詰め状態に詰め込んでいる。
順番に食事をやりながらトイレ掃除も終わらせ、回収した排泄物を種ゆに流し込む。時々順番が頭がごっちゃになるが、種ゆが最後であるのだけは揺るがない。おかげで種ゆに流し込み終えた後は
「ああ、今日も一日が始まるな」
という気分になる。
爽やかだったりアンニュイだったりする気分のまま種ゆのおしめを交換し、洗濯籠に放り込む。リサイクルとか環境とかはどうでもいいが、単純に経済的な理由で布おしめだ。消耗品はゴミ捨て量も馬鹿にならない。
自前の服や下着を洗うべく洗濯機にスイッチを入れる。その間に自分の食事。この時には大体七時過ぎになっており、週二度のゴミ出しの日はこの時間の内に出しておく。夜中や早朝に出すと、カラスやゆっくりおくうがゴミ袋を漁るので近所のおばちゃんに怒られる。
さなえが残したりんごを齧り、らんが残した豆腐をつつき、ふと悲しい気持ちになる。俺はゆっくりの残飯で食い繋いでいるのか。人間としてのプライドを探す。結構いい年こいて独身であることを思い出しさらに悲しい気持ちになる。俺、このまんまゆっくりまみれの人生を終えるのか。それでいいのか俺。
真剣に悩んでいると洗濯機が回転を終え、さっさと中身を干せとぴ~ひゃら電子音を奏でた。自前の洗濯物を空の洗濯籠に入れ、種ゆのおしめを放り込む。同じ洗濯機で洗って気持ち悪くないのか、と問われれば、まぁ気持ち悪くない。どうせ砂糖水とかそんなんばっかだしな。
洗濯物を干し終えると、希少種どものお勉強の時間だ。一匹一回二十分。これを日に二回。手元に置いている希少種の数で勉強時間は多少前後するが、基本一対一で勉強させるスタイルは変えない。同じ種ならまだいいが、希少種は一種一種クセの強い性格が多い。それぞれの種ごとに適した教育カリキュラムを組まないと、飼いゆとしての質が下がる。
希少種の勉強を終えると、捕食種と基本種の様子を見る。捕食種はふらんとれみりゃを隔離して育てているが、捕食種同士仲良くしてもらえないのは面倒だ。もちろん産まれた時からみっちり仕込めば可能な話だが、労力と利益の割が合わないのでやっていない。
基本種はあいかわらず保母れいむががんばってくれている。今日は人間さんに許可を得ない勝手なすっきりーはゆっくりできないという授業だ。教えろとれいむに叩き込んだのは俺自身だが、ぶっちゃけ成体になった時覚えているとは思えない。せいぜいバッジ試験の時に役立つか否かだ。
一通り日課を終えて、時間の確認をする。うむ、そろそろ着替えるか。
――AM:11:00 出発
れいむに任せていた基本種の子ゆっくりたちのうち、既にバッジを付けた連中だけ集めてケージに入れ、車に載せる。
向かうはこいつらの卸し先。近隣のゆっくり専門ペットショップである。
顔見知りの店員が一匹一匹の健康状態を確認し、各種書類手続きを取る。子ゆっくりどもに最後の別れを告げ、店長や店員と雑談。
客の反応、最近売れ筋の種、今度多めに仕入れるべき種は何か、逆に少なめにするべき種は何か、教育カリキュラムの変更指針は無いか……そういった情報のやりとりである。
そうこうしていると、恰幅のいいおっさんとおばちゃんがしかめっ面を晒して店内に入ってきた。そして俺と話している店長を見つけるや、顔に小皺が増えるのも気にせず怒声を浴びせかけてきた。
他人事なので十五分ばかし店内をうろつくフリをして盗み聞きをする。ひたすら自分の怒りや不満を伝えるだけで何が言いたいのかさっぱりわからなかったが、ようやくクレームの内容が判明してきた。どうやらこの店で買ったゆっくりがゲス化したらしい。金出して金バッジを買ったのにどういうことだ、とのことだ。
俺が卸すゆっくりにほとんど金バッジはいない。心落ち着けて盗み聞きに興じれるというものである。店長は平謝りしているが、どうもこの夫婦はゆっくりを甘やかしすぎたくさい。金だろうが銅だろうが野良だろうが野生だろうが、ゆっくりという奴はすぐ調子に乗る。自己の力と保護者の力を混同する。そして重要なことはさっぱり忘れる。
犬も人間もゆっくりも叱らなければダメになるのだ。猫可愛がりして問題ないペットが欲しいのなら猫を飼え。あ、ちぇんと一緒に飼うなよ。間違って喰ったら猫が死ぬからな。犬もだが。
いったん家に帰って昼食。ゆっくりたちに昼食は無い。会社務めの独身者がゆっくりを飼うことも多く、一日二食になることも多い。そのため俺が育てているうちに二食生活に慣れさせようという魂胆だ。
希少種に午後からの勉強を施し、次の外出時間が来る。家全体のゆっくりを確認後、出来の良いおりんとまりさを連れて車に乗り込んだ。
――PM:02:00 出発
俺は就活が嫌になって逃げ出し、フリーターなんぞをやっていたくらい駄目な人間だ。一言で言えば人と話すのはあまり好きではない。ゆっくりブリーダーなんて因果な商売を始めたのも「これなら人間と会わずに済む」と思っていたからだ。アホだった。
当たり前だが卸し先を開拓するのは自分である。営業は必要不可欠な仕事だ。そして今日もまた『私の育てたゆっくりはこんなに素晴らしいんですよ』と嘘八百を並べ立て相手をおだて意味なく笑うお仕事が始まる。
おりんもそんな俺に合わせて「じゃじゃーん」とか楽しそうに笑っているが、こいつの本性は恐ろしく残酷だ。小さな赤ゆを何時間も何日もかけていたぶり殺すのが何よりゆっくりできる趣味だというのだからゲスすれすれである。
だがおりんはそういう本能を餡子に刻まれて生まれてきたのだから仕方あるまい。いたぶり殺したゆっくりの死体から凄まじい甘味を帯びた中枢餡を取り出し、おかざりのしゃれこうべに食わせることで、その死体を操るという特殊能力をこいつらは持っている。そうして操った死体を使って捕食活動を行うのがおりん種の生き方である。そこにいいも悪いもない。
その点、まりさが俺に合わせて営業相手の店長に媚を売るのがありがたくも悲しかった。空気を読んでくれるのはありがたいし、そういう奴を選び抜いて連れてきたのは俺だが、あまりにもゆっくりらしくない、ゆっくりしていない必死な姿だった。捨てゆっくりの『飼ってください』コールと似たような雰囲気である。
試しに、ということで持ってきたおりんとまりさはその店に置かれることになった。まりさはまだいいが、おりんを手放すのは正直惜しかった。売るなら直接飼い主に売るスタイルを取ろうかと考えていたのだ。それくらいおりん種はクセの強い、理解され難い性質を持つゆっくりなのだ。
あの手塩にかけて育てたおりんが『珍しいから』という理由だけで小金持ちに飼われ、そこの家の先住ゆっくりを死体にして弄ぶなんていう事故が起きないことを祈る。でもあいつ口は最高に上手いからな……そういう家に飼われる可能性がまりさ以上に高いんだよな……考えれば考えるほど憂鬱だ。
俺は車を路肩に停め、公園前に置かれた自販機からコーヒーを買った。助手席側のドアを開けっぱなしにし、外に足を投げ出して座る。甘いコーヒーをちびちびやりつつ、俺は家に帰りたくない気持ちをどう落ち着けようか考えていた。
ブリーダーを始めた当初は夢の自宅勤務だと浮かれていたが、家にいても四六時中ゆっくりのことばかり考えるようになっただけだ。仕事以外のことが頭に思い浮かばない。息抜きをする場所がない。たまには旅行にでも行って綺麗さっぱりゆっくりのことなど忘れたくなるが、商品の世話を焼く人間が俺一人しかいないのでせいぜい日帰り旅行が限界だ。
なんでこんな馬鹿げたことに手を染めてしまったんだろう。高校、大学時代の友達はまっとうに就職して結婚したという報告もたびたび聞く。あいつらが自分の子供のおしめ取り替えている時に種ゆのおしめを取り替えているのだ。俺は何をやっているんだ。
「おにいさん、ちぇんはこまってるんだよー。たすけてねー」
鬱々と空を眺めていると、足下からちぇん種の声がした。見下ろすとおぼうしも尻尾も小麦粉の肌も泥やなんやらの汚れが染み付いた成体ちぇんが俺を見上げていた。ちぇんの足下にはビリヤード玉サイズの赤ちぇんが二匹連れ添っている。
「おにいさんはとってもゆっくりしたにんげんさんなんだねー。わかるよー」
「わきゃりゅよー」
「たしゅけちぇねー」
俺はため息をついた。コーヒーをホルダーの中に入れ、親ちぇんと目を合わせる。少し痩せてきているが、皮は水分をやや多めに含んでいる。瞳の寒天も不純物が見られない。恐らく純正の野良ではないだろう。つまり捨てゆだ。
「何か用か」
「ちぇんをたすけてほしいんだよー。わかってねー」
「わかっちぇねー」
「たしゅけちぇねー」
「何があった」
「にゃっ! おにいさん、たすけてくれるんだねー! ありがとー! やっぱりおにいさんはとってもゆ――」
「いいからとっとと話せ」
足を振り上げて踵をおぼうしすれすれの位置まで下ろしてやると、ちぇんは慌てた様子で事情を説明し始めた。
おそらく、俺はゆっくりからしてみれば様々なゆっくりの匂いを発散しているのだろう。こういう人間は大概ブリーダーか虐待大好き人間かに大別されるのだが、俺は死臭を帯びていないはずだ。つまりゆっくり大好きお兄さんである。ゆっくりたちの観点からしてみれば、だが。
「こ、このこうえんさんはもともとちぇんたちがくらしていたんだよー。それがね……」
ちぇんいわく、このちぇんたちは番のらんと一緒に幸せに野良生活を送っていたらしい。しかしそこにゲスまりさ率いるゲス軍団が公園の縄張りの大半を奪い、主立った餌場である隣のマンションのゴミ捨て場も独占してしまった。やりたい放題しているゲス軍団に怒りを覚えた番のらんはゲスまりさに一騎討ちを申し込んだそうだが、リンチを食らって死んだ。シングルマザーになったちぇんはいつゲスどもに襲われるか不安な日々を送っている……とのことだ。
「おねがいだよおにいさん! らんしゃまのかたきをうってね!」
「なあちぇん。いくつか質問していいか?」
「わかるよー。なんでもきいてねー」
「お前、人間さんにメシ貰っていたりするか? それか世話焼いてもらっていたりするか?」
「にゃん。ないよー。ちぇんはらんしゃまがいなくなってから、しんぐるまざーとしてがんばってきたんだよー。わかってねー」
「わかった。それからもう一つ。ぶっちゃけ駆除は面倒だし一市民のやることじゃない。それくらいなら俺の飼いゆにならないか?」
「わかるよー! おちびちゃんたちもいっしょなんだねー!」
「わきゃりゅよー!」
「とってもよくわきゃりゅよー!」
『飼いゆ』の一言でちぇん一家は色めき立った。俺は確信を覚えつつ、車の中からラムネを取り出して手の平に落とし、ちぇんたちに差し出す。
「色々あって疲れただろう。これを喰ったら眠くなるが、その間に家に連れて行ってやる。喰うか?」
「わかるよー! たべるよー!」
「むーしゃ! むーしゃ! ちあわちぇだよー!」
「おにいしゃん、ありがちょうね……わきゃりゅ……すー」
体の小さな赤ちぇんは数口食べただけで夢の中にぶっ飛んだ。親ちぇんもすぐ眠り込み、俺はふむと呟く。
まず、残っていたコーヒーを飲みきった。そして赤ちぇん二匹を掴み取り、コーヒー缶の飲み口に突っ込む。
「にゃ……わぎゃ!? ぎゃい! ぎゃわ! ぎゃ……」
二匹目は入りきらず尻尾が飲み口から覗き、痙攣してぴくぴく震えていたが気にせず燃えないゴミ箱に放り込む。資源分別とかも気にしない。
残った親ちぇんの方はおぼうしで肌を拭いた後、口をこじ開けてさらにラムネを五錠ばかり飲み込ませる。そして尻尾を足で踏んづけて引っこ抜き、耳もちぎりとり、髪だけ残ったちぇんをおりんとまりさが入っていたケージにぶち込んで鍵を閉める。
「ぱちゅりーの帽子、まだ残ってたっけなぁ」
このちぇんは、今でこそ毛は汚れきっていたが本来色艶の良い個体のはずだと俺は見切った。今でも髪の毛をシャンプーで洗ってやれば中々男前になるだろう。捨てるなんてもったいないする馬鹿もいたものだ。
こいつは家に持ち帰り、母体ゆっくりとして使うことに決めた。おぼうしと耳と尻尾を奪ったのはちぇん種としてのアイデンティティを奪うためだ。かわりに死んだ種ゆぱちゅりーの遺品であるおぼうしをくれてやる。こうすることでちぇんは自分をぱちゅりーだと思い込み、ぱちゅりー種を産む可能性が出てくる。ぱちゅりー種は体が貧弱なので母体としても種ゆとしても寿命が短い。対策方法として編み出した裏技の一つだ。
だが、これは時々ぱちぇんと自称するぱちゅりーとちぇんの特徴が入り混じった畸形が産まれる。うまく固定化できれば新種にできるだろうが、畸形故にぱちゅりーよりさらに貧弱なので卸したことすらない。まあここらへんの研究は加工所に任せよう。俺はしがない個人ブリーダーだ。
「さて、もう帰ってもいいんだが、一応頼まれたことは頼まれたことだしな。真偽を確かめるくらいのことはしてやるか」
公園の中に入り込むと、なるほどまりさを中心とした基本種の野良どもが暮らしていた。俺を見たとたんほとんどが茂みの中に逃げたが、最後まで仲間が逃げるのを指示し、俺の気を引く動きを取っていたまりさが一匹だけ残る。
「まりさ、ちょっと聞きたいんだがこのあたりに子連れでシングルマザーのちぇんが暮らしていないか? 子供はまだ舌っ足らずなちぇん二匹で」
「ゆ!? おにいさん、もしかしてあのちぇんのかいぬしさん!?」
「いや、違う。あいつを飼うことにしたからさ。ここらへんのゆっくりのボス、お前だろ? 報告しておいた方がいいかと思ってな」
「ゆぅ、わかったぜ。……そうか、あのちぇんおにいさんのかいゆっくりになるのぜ。ゆっくりさせてあげてね!」
「まあ善処しておこう。他にも聞きたいことがあるんだが、あのちぇん、元は捨てゆだろ?」
「そうだぜ。すっきりー! しておちびちゃんをかいぬしさんにみせたら、すてられたんだぜ。おちびちゃんをみせたらかいぬしさんもゆっくりできるとおもったそうだぜ……ばかなんだぜ……」
そう言うまりさの瞳は哀愁を帯びていた。おそらく、こいつも過去に同じ経験をして捨てられたのだろう。それで同じ境遇の捨てゆの面倒を見ていたとしたら、お人好し……おゆ好しか? もいいとこだ。
俺は首を振り、まりさの言葉を否定してやった。
「それは違う。お前らゆっくりは馬鹿だが、お前らを捨てた飼い主はもっと馬鹿だ」
「ゆ? そ、それはちがうのぜ。まりさの……おねーさんは……」
「馬鹿だよ。いいか、お前らが子供を欲しがるのはそういう風に餡子に刻まれているんだから仕方ない。セミにミンミン鳴くなと言っても無理だろう。ハーレム乗っ取った新ボス猿に子供殺すなっていうのも無理だ。それを人間の都合で止めさせたいなら去勢すべきだ。それもしないで捨てるとか餡子脳に蛆でも湧いてるんだろう」
そういった面倒臭い層向けに、去勢済みゆっくりを卸すこともある。だが赤ゆから子ゆの時点の去勢は危険が伴うし、割高になる。結局飼われて成体になってから去勢されるのがみんな幸せなのだ。
去勢するのすら嫌だというのなら、他のゆっくりと接触しないよう完全室内飼いで管理をきっちりすべきだし、万が一子供ができた時は里親探しをするべきだ。それも面倒だというのなら、茎を引っこ抜いて自分で子供を殺せ。怨まれても捨てゆにするよりかはマシだ。結局、ゆっくりを捨てる人間というのは自分の手を汚したくないだけなのだ。
「おにいさん……おにいさんはほんとうにちぇんをゆっくりさせてくれるのぜ?」
不安になったのだろう。まりさは俺を見上げた。
質問そのものには答えず、俺はまりさに別の情報を与える。
「あのちぇん、お前をゲスよばわりしていたぞ」
「ゆっ!?」
「別にお前が人間には愛想良くてゆっくり相手には暴君であろうが人間にもゆっくりにも気遣いのできるお人好しだろうが俺には関係ないからどうでもいい。ただ、あのちぇんはお前はゲスであのちぇんの番を殺したから仇を取ってほしいと俺に頼んできた」
「お、おにいさんは、まりさをゆっくりできなくするのぜ?」
「しない。どうせ嘘だろうと思っていたさ。大方餌場を独り占めしたかったんだろう。だがあのちぇんの危機感は正しい。この公園、少々野良が増えすぎているな。お前が保護した成果だろうが、あんまり増えてゴミ捨て場を荒らし続けていると、駆除されるぞ」
駆除の一言でまりさの顔が青ざめる。だがこの情報を聞いたところでこいつはどうせ間引きも追放もできやしないだろう。そんなゆっくりは少ないし、人間の一言であっさりそんな行為を働く奴はそもそもゲスの素質がある。
俺はポケットに入れていたプラスチックケースを取り出す。目を><にしたゆっくりの上に骨がクロスし、ドクロマークが付いたイラストが描かれている。中身は至って普通のラムネのようだが、そのイラスト通りこれはゆっくり専用の毒だ。
まりさにそのプラスチックケースを手渡した。
「こいつは毒だ。ただし、飲んでもすぐには死なず眠るようにゆっくりとした気持ちで死ねる安楽死用の毒だ。いよいよ駆除が近づいたと思った時、みんなに食わせてやってもいいし食わせなくてもいい。俺から受け取ってもいいし受け取らなくてもいい」
「ゆ……」
まりさはしばらくドクロマークを見つめて、ゆっくりとかぶりを振った。
「……おひっこしするのぜ……おにいさん、おしえてくれてありがとうなのぜ」
「そうか。邪魔したな」
車に戻った。安らかな寝息を立てるおかざりも耳も尻尾も無くしたちぇんを見ながら考える。
俺はまりさにあの安楽死用ラムネを、何も教えずみんなに食わせてやれとだけ言った方が良かったのかもしれない。だがそうすれば翌日公園に大量のゆっくりの死骸が転がり、迷惑を被るのはマンションの住人だ。
結局俺ができたのは人間に対してもゆっくりに対しても毒にも薬にもならない結果だ。自己満足にすらなっていない。一体誰が得したというのだろう。
キーを回し、エンジンをかける。発進する車のエンジン音に紛れて「むにゃむにゃ……わかるよー……らんしゃまー……」というちぇんの寝言が聞こえた。
PM:04:30 帰宅
希少種たちに二回目の午後の勉強を施し、夕食の供給とトイレ掃除を同時に行う。それから自分の夕食を摂り、パソコンを立ち上げる。
実店舗への卸売りだけでなく、インターネットによる販売もウチは取り扱っている。『面会した上でお売り致します』と書いて上げておいたおりんをリストから削除。メールボックスを調べ、ブログを書く。アフィリエイトが稼げるし同じブリーダー仲間への情報交換なども行えるので面倒でも毎日書いている。
ブログの内容は、思う所があったのでおりんの生態について書くことにした。注意喚起のつもりだが、そもそもこういうのをインターネットで読む奴は自分から調べる奴なのであまりヘマはやらかさない。知識の無い素人に限って何も調べず勉強もせずに飼おうというのだからやめてほしい。
一通り更新作業やメールのやりとりを終えると、基本種たちの部屋に行って保母れいむから各個体の状況報告を聞く。病気の個体がいないか、性格に問題がないか、勉強がよくできる奴かなど、様々な報告だ。俺が一匹一匹に対して適切な処置を取れるとは限らないが、最低限商品としての価値は維持しなければならない。
一通り報告がてら基本種どもと遊んでやると、次は希少種たちと遊んでやる……つもりだったが、既に眠いようだ。消灯。
かわりに夜行性の捕食種たちと遊んでやる。二日に一度は二、三匹いっぺんに十五分ほどの散歩にも連れてゆく。捕食種たちはたまにはのびのび飛行させてやらないとストレスが溜まるし、他人の飼いゆを襲ってはならないと実地で躾ける必要もある。れみりゃなどはこういう時素直で良いのだが、ふらんは中々言うことを聞かないので難儀だ。
捕食種全員の散歩を終わらせ、さて風呂でも入るかという段階で車庫に入れた車の中から「だせよー! わかれよー! くらいよー! らんしゃまー!」という声が聞こえてきて思い出した。ちぇんを忘れていた。
文句をたらたら流すちぇんを無視して風呂場に持ってきてシャワーをぶっかける。大丈夫だ。すぐには溶けない。皮の薄い赤ゆっくりならば話は別だが。
全身をゆっくり用シャンプーで洗い、しっかり消毒する。他の母体ゆに何か感染されてもしょうもない。ドライヤーでしっかり乾かしているうちにちぇんが気づく。
「わからないよー。そろそろちぇんのおぼうしかえしてねー」
「ああ捨てた」
「ずぎゃーん!?」
いい機会なので洗面台まで連れて行って鏡と相対させる。
「わからないよー! おぼうしもおみみもしっぽもないちぇんはゆっくりしないではやくどっかいってね!」
「それお前だぞ」
「わからないよー! ちぇんがこんなゆっくりしていないゆっくりなわけないだろー! わかれよー!」
面倒臭いな。こりゃあ、今日中に母体ゆの水槽に入れるのは無理だな。元から期待なんぞしていなかったが。
こういう時のために、身動きが取れないくらい狭い水槽を用意してある。しかも四方鏡張りの自作品だ。この中に一昼夜放り込んでおけば今の自分がどのような姿なのか少しはわかるだろう。事情があっておかざりを無くした他人の飼いゆに攻撃しないよう躾けるために、基本種部屋に持っていって羞恥プレイしてやってもいい。
水槽からぎゃーぎゃー喚く声を無視して、風呂に入る。俺が目指すのは徹底的なちぇん種としてのアイデンティティ破壊だ。自分がなんのゆっくりだったかもうどうでも良く、おかざりがあればなんにでも飛びつくくらい精神的に追い込まないといけない。時々追い込みすぎてチョコ吐かせて死なせてしまうが。
風呂から上がり、唯一ゆっくりの匂いから隔離させた自室に入る。パソコンを再び立ち上げて余暇潰し。日付が変わる頃に布団に入り込む。
おやすみなさ……
「わかれよー!! わかってよーーー!! ちぇんはちぇんだよおおおおおお!!」
……うるせぇ。でも他の部屋に置くと商品たちが安眠できないからな。俺が拾ったんだし我慢だ。自業自得だ。
「ちぇんのまねするなあああ! わかれよーー! わかれよおおおおおおお!!」
ごつんっ
「にゃ……?」
拳骨で水槽をぶっ叩くと少しは静かになった。右手が痛いのを我慢しておやすみなさい。
「わかれよおおおおおお!」
酒でも買いに行こう。
anko2009 足りないらんと足りすぎるちぇん(前編)
anko2010 足りないらんと足りすぎるちぇん(後編)
anko2227 保母らん(前)
anko2228 保母らん(後)