ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3196 何故
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ankoss
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『何故』 28KB
制裁 パロディ 自業自得 番い 野良ゆ 姉妹 子ゆ ゲス 都会 虐待人間 再アップばかりで、すみません。
制裁 パロディ 自業自得 番い 野良ゆ 姉妹 子ゆ ゲス 都会 虐待人間 再アップばかりで、すみません。
「あまあまあき」と申します。
4作目です。欲しいものは文才です。
4作目です。欲しいものは文才です。
全部で40KBを超える!?と焦った結果が、
前編、中編、後編のアップだったわけですが、
そんなことはなかったぜ。
ということが分かりました。
本当にすみません・・・。
そして、新たな勘違いも判明・・・。
前編、中編、後編のアップだったわけですが、
そんなことはなかったぜ。
ということが分かりました。
本当にすみません・・・。
そして、新たな勘違いも判明・・・。
では、まとめて、どうぞ。
----------------------------------------------
「何故」
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「何故」
れいむは末っ子だった。
姉れいむ、姉まりさの次に産声を上げたのだが、偶然か、はたまた運命の悪戯か。
同じ時に産まれたにもかかわらず、子ゆっくりまで成長しても上二人より、
どうしても少し小さめな身体だった。
だから、両親は末っ子を一番に心配し、可愛がった。
ゴミ漁りで得た野菜や果物など美味しいものは末っ子に与え、自分達はほぼ腐りかけたものや雑草で済ませた。
もちろん、両親は上の二人にも少しだけ余った野菜等を与えた。
しかし。
「れいみゅ、まだたべちゃい・・・!おやしゃいしゃん、ちょうだいね!」
「「で、でみょ・・・」」
難色を示す姉達に、れいむは常に叫ぶ。
「みょう、いいよ!!
れいみゅも、おねぇちゃんたちみちゃいに、おっきく、うまれちゃかったのに!!」
この言葉には、姉二人も弱かった。
実はこの家族は、三匹がまだ赤ゆっくりだった頃、野良仲間のぱちゅりーに相談をしに行ったことがある。
公園に住む野良ぱちゅりーで唯一、元飼いゆっくりだったため、そのことを鼻にかけて嫌われているが、
確かに知識だけは他のものより少しだけ上回っていた。
あくまで、ほんの少しだけだが。
そのぱちゅりーに、家族は尋ねた。
何故、末っ子だけ、こんなに小さいのかと。
自称もりけんが、それに答えられるはずもなく、されど、それを認められるわけもなく。
その窮地を救ったのは、母れいむの何気ない独り言だった。
「ひょっとして、このこのぶんのあんこがすこし、おねえちゃんたちにいっちゃったのかな・・・?」
「むきゅ!!それよ!!それしかないわ!!」
さすが、もりけん。百害あって一利なしだ。
それ以来、世界は妹れいむの思いのままだった。
比較的美味しいもの、甘いものは自分に優先されるし、足りなければ姉の分を強請ればいい。
退屈な時は、『れいみゅも、もっちょ、ちゃんと、うまれちゃかったよ』と呟けばいい。
両親は『れいむはゆっくりしてるよ!』、『れいむはかわいいよ!』と涙ながらに煽ててくれるし、
姉達は『ぎょめんね、れいみゅ・・・』、『おねぇちゃんたちがいちゅか、ゆっきゅりさしぇてあげりゅから・・・』と
無条件に頭を垂れる。
姉れいむ、姉まりさの次に産声を上げたのだが、偶然か、はたまた運命の悪戯か。
同じ時に産まれたにもかかわらず、子ゆっくりまで成長しても上二人より、
どうしても少し小さめな身体だった。
だから、両親は末っ子を一番に心配し、可愛がった。
ゴミ漁りで得た野菜や果物など美味しいものは末っ子に与え、自分達はほぼ腐りかけたものや雑草で済ませた。
もちろん、両親は上の二人にも少しだけ余った野菜等を与えた。
しかし。
「れいみゅ、まだたべちゃい・・・!おやしゃいしゃん、ちょうだいね!」
「「で、でみょ・・・」」
難色を示す姉達に、れいむは常に叫ぶ。
「みょう、いいよ!!
れいみゅも、おねぇちゃんたちみちゃいに、おっきく、うまれちゃかったのに!!」
この言葉には、姉二人も弱かった。
実はこの家族は、三匹がまだ赤ゆっくりだった頃、野良仲間のぱちゅりーに相談をしに行ったことがある。
公園に住む野良ぱちゅりーで唯一、元飼いゆっくりだったため、そのことを鼻にかけて嫌われているが、
確かに知識だけは他のものより少しだけ上回っていた。
あくまで、ほんの少しだけだが。
そのぱちゅりーに、家族は尋ねた。
何故、末っ子だけ、こんなに小さいのかと。
自称もりけんが、それに答えられるはずもなく、されど、それを認められるわけもなく。
その窮地を救ったのは、母れいむの何気ない独り言だった。
「ひょっとして、このこのぶんのあんこがすこし、おねえちゃんたちにいっちゃったのかな・・・?」
「むきゅ!!それよ!!それしかないわ!!」
さすが、もりけん。百害あって一利なしだ。
それ以来、世界は妹れいむの思いのままだった。
比較的美味しいもの、甘いものは自分に優先されるし、足りなければ姉の分を強請ればいい。
退屈な時は、『れいみゅも、もっちょ、ちゃんと、うまれちゃかったよ』と呟けばいい。
両親は『れいむはゆっくりしてるよ!』、『れいむはかわいいよ!』と涙ながらに煽ててくれるし、
姉達は『ぎょめんね、れいみゅ・・・』、『おねぇちゃんたちがいちゅか、ゆっきゅりさしぇてあげりゅから・・・』と
無条件に頭を垂れる。
だから、妹れいむは知らなかった。
知らなかったのだ。
知らなかったのだ。
休日の正午過ぎ、公園にて。
「こにょ、くしょびゃびゃあ!!」
のどかな風景にそぐわぬ怒声が響いた。
「なんぢょ、いっちゃらわきゃるの!?
しゃっしゃと、ぎょはんしゃんをよこしぇって、いっちぇるでしょお!?
ばきゃなの!?しぬにょ!?」
妹れいむが一人の女性を恫喝しているのだ。
公園に設置されたテーブルと椅子で女性がお昼を食べていたところ、
妹れいむは、その匂いに惹かれて来てしまったらしい。
「しゃっしゃと、よこしぇ!!くしょびゃびゃあ!!」
しかし、妹れいむが何を叫ぼうとも、女性は最初に一度だけ、汚らわしい物を見るような目で見下ろしただけで、
それ以降は無視を決め込んでいた。
堪忍袋の緒どころか堪忍袋自体を持っていない、妹れいむが激昂するのは自然の流れだった。
「しぇいっしゃい、しゅるよ!!」
そうは言ってみたものの、妹れいむは実際にどうしたらよいか分からなかった。
今までは『しぇいっしゃい』などしなくても、楽に生きてこれたからだ。
逡巡していると不意に、ぞくり、と冷たいものが全身を走った。
気が付けば、女性が再び、無言でれいむを見下ろしていた。
ただ、それだけだというのに。
れいむは金縛りにあったかのように動けなくなり、失禁までしていた。
「おちびちゃん!?なにやってるの!?」
その硬直を解いたのは、母れいむの声だった。
よく見れば、父まりさ、姉達も母の近くにいる。
初めての散歩の途中で急にいなくなった妹れいむを、全員が探していたのだ。
「おきゃーしゃーん!!びゃびゃあが、いじわりゅしゅるー!!」
泣き真似をしながら、妹れいむは考える。
使えない奴隷だけど、助けに来ただけましだよ。
もう、このくそばばあも終わりだね。
だが、現実は。
「「にんげんさん!ごめんなさい!!
おちびちゃんが、わるいことをしたのなら、あやまります!!
だから、いのちだけは・・・!!」」
地面に額をぶつけんばかりに、人間に何度も土下座する両親の姿だった。
一瞬、妹れいむの時が止まった。
「にゃんで!?にゃんで、あやみゃるにょ!?
わりゅいのは、こにょ、びゃびゃあにゃんだよ!?」
「「うるさいよ!!だまっててね!!」」
「ゆぅ!?」
姉達の果物を横取りした時も、姉の大切な宝物、ビー玉を無理矢理奪った時も、
両親に怒鳴られたことなど、れいむは一度もなかった。
なのに、何故。
脳内が疑問符だらけのれいむを放って、女性は両親に質問した。
「この頭が悪くて醜いゲスは、あなた達の子供?」
言葉とかけ離れた一見柔和に見える態度が、二匹には余計に怖ろしく感じられた。
「「・・・はい」」」
力なく頷いた両親に、妹れいむは思う。
姉達も惨めなものだ。
こんな風に人間に蔑まれて、しかも両親に認められるなんて。
にやけた表情を浮かべた途端、妹れいむは軽く・・・といっても潰れない程度にだが、
飾りごと女性に踏まれた。
両親の時とは違い、汚いものを吐き捨てるかのように、女性が問いかける。
「聞いてるのか。お前に言ってるんだ、このゲス」
「ゆ・・・!?」
「ゆ?じゃない。お前がゲスだから、家族が迷惑してるんだろ」
妹れいむの思考回路はショートどころか、ほぼ停止していた。
踏まれるという初めて感じる痛みもそうだが、ゲスと両親に認定されたことも、
訳が分からなかった。
「そっちの子供二匹は普通みたいなのに、何故こいつだけ、こんなにゲスなんだ。
人間相手に第一声が『くしょびゃびゃあ』って、命知らずにもほどがあるだろ」
「「ごめんなさいごめんなさい!!」」
「はいはい、鳴き声鳴き声。
久しぶりに公園でランチを食べようと、はりきった結果がこれだよ!!!
加工所に電話するわ」
「「かこうじょは、ゆっくりできなぃいいいいいいいい!!」」
「「おとーしゃん!!おかーしゃん!!ゆぇええええん!!」」
加工所と聞いて、妹れいむ以外は涙を撒き散らして、泣き叫んだ。
そんな様子を不憫に思ったのだろう。
「大丈夫大丈夫」
それまで無表情または顰め面だった女性が、薄く微笑んだ。
「みんな一緒だから。
あ、みんなっていうのは、この公園のゆっくり全部って意味ね」
その時、公園全体に電流が走る。
ざわ・・・ざわ・・・。
瞬時に張り詰めた雰囲気だけで、人間と家族の成り行きを息を潜めて見守っていた野良達が、
その言葉に動揺しているのが分かる。
「でも、公園全部のゆっくりは可哀想ね。
この『ゲス』みたいに悪いゆっくりは仕方ないけど、
いいゆっくりは見逃してあげようかな。
もちろん、あなた達の家族も含めてね」
「「ほんとうですか!?」」
「でも、条件があるの」
「「します!なんでも、します!!」」
「なら・・・」
女性に踏まれて、余計に横長になった妹れいむは展開についていけなかった。
れいむの中では、両親がこの人間を制裁して、今頃は美味しいご飯を独り占めにしていたはずなのに。
何故。
「この『ゲス』を制裁して。
生まれてきたことを後悔するぐらいに」
ただ、女性の静かな声だけが、飾りごと押し潰された餡子の中で反響していた。
「こにょ、くしょびゃびゃあ!!」
のどかな風景にそぐわぬ怒声が響いた。
「なんぢょ、いっちゃらわきゃるの!?
しゃっしゃと、ぎょはんしゃんをよこしぇって、いっちぇるでしょお!?
ばきゃなの!?しぬにょ!?」
妹れいむが一人の女性を恫喝しているのだ。
公園に設置されたテーブルと椅子で女性がお昼を食べていたところ、
妹れいむは、その匂いに惹かれて来てしまったらしい。
「しゃっしゃと、よこしぇ!!くしょびゃびゃあ!!」
しかし、妹れいむが何を叫ぼうとも、女性は最初に一度だけ、汚らわしい物を見るような目で見下ろしただけで、
それ以降は無視を決め込んでいた。
堪忍袋の緒どころか堪忍袋自体を持っていない、妹れいむが激昂するのは自然の流れだった。
「しぇいっしゃい、しゅるよ!!」
そうは言ってみたものの、妹れいむは実際にどうしたらよいか分からなかった。
今までは『しぇいっしゃい』などしなくても、楽に生きてこれたからだ。
逡巡していると不意に、ぞくり、と冷たいものが全身を走った。
気が付けば、女性が再び、無言でれいむを見下ろしていた。
ただ、それだけだというのに。
れいむは金縛りにあったかのように動けなくなり、失禁までしていた。
「おちびちゃん!?なにやってるの!?」
その硬直を解いたのは、母れいむの声だった。
よく見れば、父まりさ、姉達も母の近くにいる。
初めての散歩の途中で急にいなくなった妹れいむを、全員が探していたのだ。
「おきゃーしゃーん!!びゃびゃあが、いじわりゅしゅるー!!」
泣き真似をしながら、妹れいむは考える。
使えない奴隷だけど、助けに来ただけましだよ。
もう、このくそばばあも終わりだね。
だが、現実は。
「「にんげんさん!ごめんなさい!!
おちびちゃんが、わるいことをしたのなら、あやまります!!
だから、いのちだけは・・・!!」」
地面に額をぶつけんばかりに、人間に何度も土下座する両親の姿だった。
一瞬、妹れいむの時が止まった。
「にゃんで!?にゃんで、あやみゃるにょ!?
わりゅいのは、こにょ、びゃびゃあにゃんだよ!?」
「「うるさいよ!!だまっててね!!」」
「ゆぅ!?」
姉達の果物を横取りした時も、姉の大切な宝物、ビー玉を無理矢理奪った時も、
両親に怒鳴られたことなど、れいむは一度もなかった。
なのに、何故。
脳内が疑問符だらけのれいむを放って、女性は両親に質問した。
「この頭が悪くて醜いゲスは、あなた達の子供?」
言葉とかけ離れた一見柔和に見える態度が、二匹には余計に怖ろしく感じられた。
「「・・・はい」」」
力なく頷いた両親に、妹れいむは思う。
姉達も惨めなものだ。
こんな風に人間に蔑まれて、しかも両親に認められるなんて。
にやけた表情を浮かべた途端、妹れいむは軽く・・・といっても潰れない程度にだが、
飾りごと女性に踏まれた。
両親の時とは違い、汚いものを吐き捨てるかのように、女性が問いかける。
「聞いてるのか。お前に言ってるんだ、このゲス」
「ゆ・・・!?」
「ゆ?じゃない。お前がゲスだから、家族が迷惑してるんだろ」
妹れいむの思考回路はショートどころか、ほぼ停止していた。
踏まれるという初めて感じる痛みもそうだが、ゲスと両親に認定されたことも、
訳が分からなかった。
「そっちの子供二匹は普通みたいなのに、何故こいつだけ、こんなにゲスなんだ。
人間相手に第一声が『くしょびゃびゃあ』って、命知らずにもほどがあるだろ」
「「ごめんなさいごめんなさい!!」」
「はいはい、鳴き声鳴き声。
久しぶりに公園でランチを食べようと、はりきった結果がこれだよ!!!
加工所に電話するわ」
「「かこうじょは、ゆっくりできなぃいいいいいいいい!!」」
「「おとーしゃん!!おかーしゃん!!ゆぇええええん!!」」
加工所と聞いて、妹れいむ以外は涙を撒き散らして、泣き叫んだ。
そんな様子を不憫に思ったのだろう。
「大丈夫大丈夫」
それまで無表情または顰め面だった女性が、薄く微笑んだ。
「みんな一緒だから。
あ、みんなっていうのは、この公園のゆっくり全部って意味ね」
その時、公園全体に電流が走る。
ざわ・・・ざわ・・・。
瞬時に張り詰めた雰囲気だけで、人間と家族の成り行きを息を潜めて見守っていた野良達が、
その言葉に動揺しているのが分かる。
「でも、公園全部のゆっくりは可哀想ね。
この『ゲス』みたいに悪いゆっくりは仕方ないけど、
いいゆっくりは見逃してあげようかな。
もちろん、あなた達の家族も含めてね」
「「ほんとうですか!?」」
「でも、条件があるの」
「「します!なんでも、します!!」」
「なら・・・」
女性に踏まれて、余計に横長になった妹れいむは展開についていけなかった。
れいむの中では、両親がこの人間を制裁して、今頃は美味しいご飯を独り占めにしていたはずなのに。
何故。
「この『ゲス』を制裁して。
生まれてきたことを後悔するぐらいに」
ただ、女性の静かな声だけが、飾りごと押し潰された餡子の中で反響していた。
公園全体が、水を打ったように静かになった。
固まってしまったゆっくりの両親に、女性は優しく話しかける。
「私が言ったこと、理解できる?」
「「は、はい・・・。でも・・・!!
このこはすえっこで、まだ、なにもわかってないんです!!」」
「それで?」
両親の必死な懇願を、女性はあっさり流した。
「末っ子でまだ何も分からない子供だから、許せと言うの?
でも、ここで何もせずに許したら、こいつ、同じことを繰り返すわよ。
その度に、その言い訳が通用すると思う?
それに、子供子供って言うけど、こいつ、もうすぐ大人じゃない」
その言葉に、両親は何も言い返せなかった。
巣立ちの時期がもうすぐ来る。
だから、狩りや危険なもの等を覚えさせるために、子供達を連れて今日初めて外出した。
しかし、出かける前に、
「にんげんさんはこわいから、ぜったいに、ちかづいちゃだめだよ!!
わるいことをしていなくても、ふみつぶされることもあるんだよ!!」
子供達に何度も何度も言い聞かせたのに、今はその一匹が踏み潰されそうになっている。
青ざめて頷く上の二匹と違い、自分には関係ないと上の空だった、その一匹が。
「この『ゲス』を制裁して。
あと、私の気が済むまでは殺さないで。
こんな『ゲス』、楽には死なせたくないの」
「れいみゅは、ゲスじゃないぃいいいい!!」
リボン共々踏みつけられ、『ゲス』と連発されることに耐えられなくなったのか、ぶりぶり醜く尻を振る。
そんなれいむに、女性は話しかける。
ただし、両親の時とは違い、冷たく引き離したような言葉で。
「いいことを教えてやる。
本当のことを指摘されると、ゆっくりは激怒して否定するそうだ。
お前みたいな『ゲス』は特にな」
「ゆがぁああああああああああ!!
おちょーしゃん!おきゃーしゃん!
はやきゅ、こにょびゃびゃあを、しぇいっしゃい、しちぇね!!
いますぎゅで、いいよ!!」
「えーと、加工所の番号は・・・」
この女性、携帯に加工所の番号を登録していたらしい。
ゆっくり達に目もくれず、ディスプレイだけを見つめる女性に、両親は叫んだ。
「「う、うわぁあああああああああああああ!!
や、やります!!せいっさい、します!!」」
「しょうだよ!!しょれでいいんぢゃゆげぇ!!」
女性が妹れいむから靴を離した途端、れいむの望みどおり、父まりさのもみあげが唸りをあげて打擲した。
ただし、女性ではなく妹れいむの頬を。
空を舞ったれいむは、『おそらをとんでるみたい』という暇もなく、
「ゆべっ!!」
テーブルの支えに激しくぶつかり、少量とはいえない餡子を吐いた。
再び込み上げてくる餡子を何とか飲み込み、妹れいむは怒鳴り散らした。
「にゃんで!?にゃんで、れいみゅをぶつにょ!?」
「おちびちゃん、ごめんね・・・!」
「あやみゃるぐりゃいなら、しゃっしゃと、こにょびゃびゃあを」
制裁してね、と訴えたかったようだが、最後まで言うことができなかった。
最後の『びゃ』で、今度は母れいむのもみあげで頬を思い切り張られたのだ。
グチ!と鈍い音を立てて、椅子の脚にぶつかったれいむは目を回しながら、先ほど飲み込んだ以上に、
大量の餡子を吐き出していた。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」
小さく痙攣し始めた我が子を見つめ、涙を浮かべた両親は思う。
この子は、もう長くはない。
楽には殺すなと人間に命令されたが、両親はたとえ『ゲス』と認めざるを得なくても、
我が子を苦しませたくなかった。
せめて、楽に逝かせてあげたい。
だから二匹は、全力で我が子を殴ったのだが。
「ほら、頑張れー」
その痛切な願いは、女性の棒読みで水泡と帰した。
飲みかけのジュースを瀕死の我が子にかける女性に、両親は目を疑った。
何故と問いかける前に、全身の餡子が凍るような視線で射抜かれた。
「私の気が済むまで殺さないでって、言ったわよね?
楽には殺すなとも言ったはず」
「ご、ごめんなさい!うまく、たたけなくて・・・!」
「べ、べつに、おちびちゃんをらくに、ゆっくりさせたかったわけじゃないよ!?
しんじてね!?しんじてね!?」
まりさ、れいむの順に言い訳したものの、女性は全てお見通しだったようだ。
「言い訳なんか要らない。
二度目はないわ。また失敗したら、公園の全員が加工所行きよ。
それでもいいなら、どうぞご自由に」
鋼のように冷たい声だった。
ところが。
「ゆっ!?まぢゃ、びゃびゃあがいるにょ!?
はやきゅ、しぇーしゃいっしりょ!!こにょ、くじゅおやぁああ!!!!」
奇跡の生還を果たした妹れいむの、空気が読めないこの叫びに公園全体が揺らいだ。
「もう、がまんできないんだぜ・・・!せいっさい、するんだぜ!!」
「なんで、こんなにゲスなんだよー!!わからないよー!!」
「この、いなかもの!あんたさえ、いなければ・・・!」
成り行きを見守っていた他の野良ゆっくりの数匹が、叫びを上げ、茂みから跳ね出てきたのだ。
敵意、殺意、憤怒などが複雑に混じりあったものが、その叫びにはあった。
それを感じ取った妹れいむは、誇らしげに胸を張った。
「ゆふん!やっぴゃり、れいみゅがただちかっちゃんぢゃね。
びゃびゃあは、みょう、おわりぢゃよ!!」
「おわりなのは、おまえなんだぜ!!」
「!?いぢゃあああああああああああああ!?」
何が起こったのか、妹れいむには分からなかった。
正しい自分を守るために、愚かな人間を制裁する見知らぬ奴隷が沢山、現れた。
だが何故か、その奴隷の一人が木の枝で、自分の左目を貫いているのだ。
「その目は潰してもいいわ。
でも、もう片方の目は残しておいてちょうだい。
敵意丸出しで自分に向かってくる相手や、
少しずつボロボロになっていく自分を見せつけてやりたいの」
「わかったんだぜ!」
「それから、木の枝を抜くときは、ゆっくりね」
「なんでなんだぜ?」
「だって、その方が抜かれる痛みを感じる時間が長いじゃない」
恐ろしい言葉に、だぜまりさは小さく震えながらも、木の枝をゆっくりと引き抜いた。
自分の眼球が少しずつ引き抜かれる激痛、そして、その光景に、妹れいむは絶叫した。
「ゆぎゃああああああああああああ!!!!
れいみゅにょ、おほししゃまみちゃいに、きゃぎゃやきゅ、ひちょみがぁあああ!!」
「しずかにしなさい!!この、いなかもの!!」
「じごうじとくなんだね!!わかるよー!!」
暴れようとしても、成体のありす、ちぇんがしっかり押さえつけているので、叫ぶことしかできない。
妹れいむは激痛で思いつかなかったが、『最初の奴隷』、家族は。
「おちびちゃん・・・!れいむの、おちびちゃん・・・!」
「ごめんね、ごめんね・・・」
「「・・・」」
制裁の邪魔をせぬよう、他のゆっくり達に囲まれていた。
両親は涙に咽び、姉達はどこか遠くを見るような瞳で妹を見つめていた。
固まってしまったゆっくりの両親に、女性は優しく話しかける。
「私が言ったこと、理解できる?」
「「は、はい・・・。でも・・・!!
このこはすえっこで、まだ、なにもわかってないんです!!」」
「それで?」
両親の必死な懇願を、女性はあっさり流した。
「末っ子でまだ何も分からない子供だから、許せと言うの?
でも、ここで何もせずに許したら、こいつ、同じことを繰り返すわよ。
その度に、その言い訳が通用すると思う?
それに、子供子供って言うけど、こいつ、もうすぐ大人じゃない」
その言葉に、両親は何も言い返せなかった。
巣立ちの時期がもうすぐ来る。
だから、狩りや危険なもの等を覚えさせるために、子供達を連れて今日初めて外出した。
しかし、出かける前に、
「にんげんさんはこわいから、ぜったいに、ちかづいちゃだめだよ!!
わるいことをしていなくても、ふみつぶされることもあるんだよ!!」
子供達に何度も何度も言い聞かせたのに、今はその一匹が踏み潰されそうになっている。
青ざめて頷く上の二匹と違い、自分には関係ないと上の空だった、その一匹が。
「この『ゲス』を制裁して。
あと、私の気が済むまでは殺さないで。
こんな『ゲス』、楽には死なせたくないの」
「れいみゅは、ゲスじゃないぃいいいい!!」
リボン共々踏みつけられ、『ゲス』と連発されることに耐えられなくなったのか、ぶりぶり醜く尻を振る。
そんなれいむに、女性は話しかける。
ただし、両親の時とは違い、冷たく引き離したような言葉で。
「いいことを教えてやる。
本当のことを指摘されると、ゆっくりは激怒して否定するそうだ。
お前みたいな『ゲス』は特にな」
「ゆがぁああああああああああ!!
おちょーしゃん!おきゃーしゃん!
はやきゅ、こにょびゃびゃあを、しぇいっしゃい、しちぇね!!
いますぎゅで、いいよ!!」
「えーと、加工所の番号は・・・」
この女性、携帯に加工所の番号を登録していたらしい。
ゆっくり達に目もくれず、ディスプレイだけを見つめる女性に、両親は叫んだ。
「「う、うわぁあああああああああああああ!!
や、やります!!せいっさい、します!!」」
「しょうだよ!!しょれでいいんぢゃゆげぇ!!」
女性が妹れいむから靴を離した途端、れいむの望みどおり、父まりさのもみあげが唸りをあげて打擲した。
ただし、女性ではなく妹れいむの頬を。
空を舞ったれいむは、『おそらをとんでるみたい』という暇もなく、
「ゆべっ!!」
テーブルの支えに激しくぶつかり、少量とはいえない餡子を吐いた。
再び込み上げてくる餡子を何とか飲み込み、妹れいむは怒鳴り散らした。
「にゃんで!?にゃんで、れいみゅをぶつにょ!?」
「おちびちゃん、ごめんね・・・!」
「あやみゃるぐりゃいなら、しゃっしゃと、こにょびゃびゃあを」
制裁してね、と訴えたかったようだが、最後まで言うことができなかった。
最後の『びゃ』で、今度は母れいむのもみあげで頬を思い切り張られたのだ。
グチ!と鈍い音を立てて、椅子の脚にぶつかったれいむは目を回しながら、先ほど飲み込んだ以上に、
大量の餡子を吐き出していた。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」
小さく痙攣し始めた我が子を見つめ、涙を浮かべた両親は思う。
この子は、もう長くはない。
楽には殺すなと人間に命令されたが、両親はたとえ『ゲス』と認めざるを得なくても、
我が子を苦しませたくなかった。
せめて、楽に逝かせてあげたい。
だから二匹は、全力で我が子を殴ったのだが。
「ほら、頑張れー」
その痛切な願いは、女性の棒読みで水泡と帰した。
飲みかけのジュースを瀕死の我が子にかける女性に、両親は目を疑った。
何故と問いかける前に、全身の餡子が凍るような視線で射抜かれた。
「私の気が済むまで殺さないでって、言ったわよね?
楽には殺すなとも言ったはず」
「ご、ごめんなさい!うまく、たたけなくて・・・!」
「べ、べつに、おちびちゃんをらくに、ゆっくりさせたかったわけじゃないよ!?
しんじてね!?しんじてね!?」
まりさ、れいむの順に言い訳したものの、女性は全てお見通しだったようだ。
「言い訳なんか要らない。
二度目はないわ。また失敗したら、公園の全員が加工所行きよ。
それでもいいなら、どうぞご自由に」
鋼のように冷たい声だった。
ところが。
「ゆっ!?まぢゃ、びゃびゃあがいるにょ!?
はやきゅ、しぇーしゃいっしりょ!!こにょ、くじゅおやぁああ!!!!」
奇跡の生還を果たした妹れいむの、空気が読めないこの叫びに公園全体が揺らいだ。
「もう、がまんできないんだぜ・・・!せいっさい、するんだぜ!!」
「なんで、こんなにゲスなんだよー!!わからないよー!!」
「この、いなかもの!あんたさえ、いなければ・・・!」
成り行きを見守っていた他の野良ゆっくりの数匹が、叫びを上げ、茂みから跳ね出てきたのだ。
敵意、殺意、憤怒などが複雑に混じりあったものが、その叫びにはあった。
それを感じ取った妹れいむは、誇らしげに胸を張った。
「ゆふん!やっぴゃり、れいみゅがただちかっちゃんぢゃね。
びゃびゃあは、みょう、おわりぢゃよ!!」
「おわりなのは、おまえなんだぜ!!」
「!?いぢゃあああああああああああああ!?」
何が起こったのか、妹れいむには分からなかった。
正しい自分を守るために、愚かな人間を制裁する見知らぬ奴隷が沢山、現れた。
だが何故か、その奴隷の一人が木の枝で、自分の左目を貫いているのだ。
「その目は潰してもいいわ。
でも、もう片方の目は残しておいてちょうだい。
敵意丸出しで自分に向かってくる相手や、
少しずつボロボロになっていく自分を見せつけてやりたいの」
「わかったんだぜ!」
「それから、木の枝を抜くときは、ゆっくりね」
「なんでなんだぜ?」
「だって、その方が抜かれる痛みを感じる時間が長いじゃない」
恐ろしい言葉に、だぜまりさは小さく震えながらも、木の枝をゆっくりと引き抜いた。
自分の眼球が少しずつ引き抜かれる激痛、そして、その光景に、妹れいむは絶叫した。
「ゆぎゃああああああああああああ!!!!
れいみゅにょ、おほししゃまみちゃいに、きゃぎゃやきゅ、ひちょみがぁあああ!!」
「しずかにしなさい!!この、いなかもの!!」
「じごうじとくなんだね!!わかるよー!!」
暴れようとしても、成体のありす、ちぇんがしっかり押さえつけているので、叫ぶことしかできない。
妹れいむは激痛で思いつかなかったが、『最初の奴隷』、家族は。
「おちびちゃん・・・!れいむの、おちびちゃん・・・!」
「ごめんね、ごめんね・・・」
「「・・・」」
制裁の邪魔をせぬよう、他のゆっくり達に囲まれていた。
両親は涙に咽び、姉達はどこか遠くを見るような瞳で妹を見つめていた。
数分後。
自分の片目を、残されたもう片方の目で見るという状態になると、妹れいむは嗚咽をあげることもできなくなっていた。
ただ、
「れいみゅにょ、おべべ・・・おほししゃま、みちゃいな・・・」
地面に無慈悲に転がされた眼球に、何度も同じ言葉を繰り返すだけになっていたのだが。
「星に謝れ」
砂まみれになっていた、寒天の目玉。
それを、女性が割り箸でぐちゃ!と真上から押し潰すと、妹れいむは号泣し始めた。
「にゃんで!?にゃんで、れいみゅが、こんにゃめにあうにょ!?
じぇんぶ、びゃびゃあがわりゅいにょに!!」
「この、いなかもの!!いいかげんにしなさい!!」
「ゆぎぃ!!れいみゅにょ、しゃらしゃらの、かみしゃんがー!!」
今度は、先程のありすに、髪の毛を千切っては抜かれを繰り返される。
「髪は少しだけ残しておいて。
その方が、より無様になるから」
「わかったわ!おねぇさん!」
「あと、ついでにリボンも千切っておいて。
もちろん、少しだけ残る程度にね」
「わかったよー!!」
いつの間にか現れた先程のちぇんが、リボンの端に噛み付いた。
「!?れいみゅの、きりぇいな、おりぼんしゃん!!
やめちぇね!!しゃわらにゃいでね!!」
「うるさいんだよー!!ぜんぶ、おまえのせいなんだよー!!」
怒声と共に、赤いリボンが千切れ、その欠片が宙をひらひらと舞う。
「ゆんやぁあああああ!!れいみゅにょ、おりぼんしゃん!!
もちょに、もちょに、もどっちぇね!!」
悲痛な叫びも虚しく、あっという間に中途半端なハゲ饅頭(みすぼらしいリボン付)が完成した。
声もなく小さく震える、片目もないそれに、女性は呟いた。
「うわぁ・・・これは、ひどい。
でも、こんなになったら、人間に喧嘩を売ったりしないでしょ。
売っても、ボロ饅頭って嘲笑されるのがオチだわ」
既に嘲う女性の足元から、小さな声が聞こえた。
「にゃんで・・・」
「あら、何か言った?」
「にゃんで、こんにゃこちょするにょおおおおお!?
れいみゅ、にゃんにも、わりゅくにゃいにょに!!」
「・・・まだ分からないの?
頭も性格も悪いのは分かっていたけど、まさか、これほどなんて。
ちょっと、こいつの両親。どういう教育してんのよ」
ゆっくり達のバリケードの中、両親は俯いて泣いていた。
女性の声も聞こえていないかもしれない。
廃ゆのように、ひたすら「ごめんね、おちびちゃん・・・」と繰り返すだけだった。
どうしたものかと女性が腕を組むと、輪の中から声が聞こえた。
「れいむのおねえちゃんの、れいむが、おはなしするよ・・・」
「まりさもおねぇちゃんだから、おはなしする・・・」
姉達は、緊張の中でたどたどしく語った。
自分達は同時期に産まれたが、その時から末っ子のれいむだけ、身体が少しだけ小さいこと。
元飼いゆっくりで、知り合いぱちゅりーの説明によると、
それは母の胎内で姉達が妹の餡子まで吸ってしまったからだということ。
そのため、家族全員が末っ子れいむに申し訳なさを感じていること、
末っ子が悪さをしても強くは怒れないことを。
「いままでは、れいむたちがわるいから、れいむたちががまんすればいい、とおもってたよ」
「でも、むれのみんなにめいわくをかけるなんて、いけないよ。
むれのみんなは、なにもわるくないのに・・・」
姉達は話し終わる頃には、大粒の涙を溢していた。
今まで、ずっと我慢していたのだろう。
自分だって美味しいものを食べたい、自分だって両親にかまってもらいたい。
でも、それはできない。
何故なら、母の胎内で自分達が末っ子の栄養を奪ってしまったから。
そのため、末っ子はいつまでたっても、あまり大きくなれない。
自分達のせいで、末っ子はゆっくりできなくなってしまったから。
「なるほどねぇ・・・。まぁ、そんなこともあるかもしれないけど。
ところで、そのぱちゅりーはどこ?少し話がしたいんだけど」
返事はなかった。
当然だろう。
ここで人間と一対一で会話といえば、死亡フラグとしか思えない。
「あら、いないの?
折角、公園一番の賢者の知恵を、お菓子を一緒に食べながらお聞きしたかったのに。
・・・残念だわ」
女性がクッキーの袋を取り出した途端、茂みから微かな音がした。
「むきゅ!!」
元飼いゆっくりだったため、甘いお菓子の味が忘れられないのだろう。
バッジを毟り取られた跡があるナイトキャップが、女性に近付く。
「こんにちは、にんげんさん。
ぱちゅのちえをききたいなんて、いいこころがけね!」
「こんにちは、ぱちゅりー。
どうでもいいけど、涎が垂れてるわよ。このナプキンで拭きなさいな」
さりげなく毒を吐きながらも、女性は温和な態度で接する。
優しくナプキンで拭かれる感触に安心したのか、ぱちゅりーがお菓子をねだろうとするのを見計らったかのように、
女性が口を開いた。
「人間でも、未熟児が産まれることがあるわ。
たとえば、妊婦がアルコールを嗜んだり喫煙したりしたら、
未熟児が産まれる可能性が高くなるの。
しかも、死産だったり、産まれても先天的な障害を抱えていることもある。
これは膨大なデータに基づき、科学的にも証明されているわ。
これぐらい、ぱちゅりーなら分かるわよね?」
「む、むきゅ!!も、もちろんよ!!」
そう答えたものの、女性が語る言葉の半分も理解できていなかった。
女性もそれを見越して、「アルコール」、「喫煙」など、ゆっくりにはやや難しい言葉を敢えて使っているのだが。
「でも、そんなことをしていなくても、未熟児が産まれることがあるの。
何故だと思う?」
「むきゅ?そ、それは・・・」
「無理に答えなくていいわ。人間の問題だもの。
しかも調査中で、まだ完全に解明されていないことだし」
「そ、そうよ!まだまだ、しらべなくちゃいけないのよ!」
知らなくても仕方がない!と誇らしげになるぱちゅりー、それだけに聞こえるような小声で女性は小さく呟いた。
「・・・うざい。こいつだけ先に潰すか」
「むきゅ!?」
「どうしたの?」
「いま、おねぇさん・・・」
何か、ゆっくりできないことを言った?
そう、ぱちゅりーが続ける前に、女性は薄く微笑んでみせた。
「ところで人間で小さい赤ちゃんが産まれる場合、大雑把に言うと、
お母さんの側に問題がある場合と、お腹の赤ちゃんに問題がある場合があるの」
「そ、それで・・・?」
「その線引きは、専門のお医者さんじゃないと分からないぐらいなんだけど・・・。
何故、あなたはそれができたの?」
「むきゅ!?」
「人間でも、お医者さんがお母さんに色々尋ねて、沢山の機械やお薬で検査をして、
長い時間をかけて、やっと分かるようなことなの。
それが何故、あなたには瞬時に分かったの?」
矢継ぎ早に問い詰められ、ぱちゅりーには答えられなかった。
女性の質問の意味さえ、理解できていなかったのかもしれない。
「要するに、何か根拠があって、あの家族にそう説明したんでしょ?
じゃないと、あなたの知ったかぶりが、あの家庭を壊す一因になったのよ」
「ぱちゅりーは、知ったかぶりなんかしないわ!!」
「なら、根拠を教えて」
「こん、きょ・・・?」
「まさか、『根拠』も分からないの?」
「わ、わかるわよ!!ばかにしないでちょうだい!!」
「なら、まず意味を教えて。『根拠』の意味を」
女性に真っ直ぐ見つめられ、ぱちゅりーは今にも嘔吐しそうだった。
おかしい。
馬鹿な元飼い主と違い、この女性は自分の知恵に感動し、お菓子を与えるどころか、
自分を再び飼いゆっくりにするかもしれない。
そう計画して、草むらから出てきたのに。
何故。
体内を逆流する生クリームが溢れそうになった瞬間、女性が呟いた。
「まぁ、そんなことより、私は知りたいの。
このボロ饅頭は、他の子達より小さく産まれた。
それが、姉達がこの子の分の栄養を吸い取ったからだという証拠を」
「しょうこ・・・?」
「そう。『しょうこ』なら分かるのね。
えらいえらい」
何か馬鹿にされているような気がするものの、ぱちゅりーは堂々と答えた。
「そんなの、かんたんよ!
おねぇちゃんたちがおおきくて、いもうとだけがちいさいなんて、
おねぇちゃんたちが、いもうとのあんこをすいとったとしか、かんがえられないわ!」
その言葉に、遠くにいる二匹が新たな涙を流した時、女性が首を傾げた。
「本当に、そうかしら?」
「むきゅ?」
「もちろん、その可能性もあると思うわ。
でも、こんなことも考えられない?
赤ちゃん達がお母さんのお腹の中にできた時、偶然その子だけ小さかったとか」
「どういうこと・・・?」
「つまり、妹だけ、身体が元から小さかったということよ。
もちろん、お姉ちゃん達は妹の餡子を奪ってなんかいないし、
むしろ妹が要らないといった餡子まで、引き受けなくちゃいけないから大変よ。
だって、餡子が身体に入る量は決まってるんですもの」
「むきゅ・・・」
ぱちゅりーは再び悩み始めた。
確かに人間が言うことも、ありえるかもしれない。
だが、しかし。
「でも、ぱちゅりーは、そうじゃないって見抜いたのよね?
お母さんのお腹の中で、お姉ちゃん達が妹の餡子を吸い取ったと分かったのよね?
それは何故?」
女性に畳み掛けられ、体内の生クリームが逆流しながら沸騰しそうだった。
白目を剥きかけたぱちゅりーに、女性は救いの手を差し伸べた。
「あなたがそう見抜いたということは、何か決定的な証拠があるんでしょ?」
半分意識を失いながらも、ぱちゅりーは考えた。
何故、あの時、自分がその結論を出したか。
思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ。
半分トランス状態だったぱちゅりーが不意に、目を大きく見開く。
「『しょうこ』なら、あるわ!!
そこのれいむが、そういったからよ!!」
右のもみあげで母れいむを指しながら、自信満々で言い切った。
「本当なの?」
女性がれいむに尋ねると、嗚咽を溢すだけだったれいむが小さく頷いた。
「・・・ゆん・・・」
「そう言ったのには、何か理由があったの?」
「りゆうなんて、ないよ。
ただ、そうなのかなって・・・」
「ほら、これが『しょうこ』よ!!むきゅん!!」
胸を張ったパチュリーは、内心でも自画自賛する。
全く賢者の知恵は素晴らしい。
人間も、自分に平伏すに違いない。
これでお菓子が食べられるし、飼いゆっくりにもなれる。
「それのどこが証拠だ。単なる憶測だろうが」
だが、呆気なく、そのふざけた幻想はぶち壊された。
汚いものを触りたくないと言わんばかりに、ナプキンを何重にもして、
ぱちゅりーの左のもみあげだけを摘み上げる。
「むぎゅうううううううううう!?
にんげんさん、なにしてるの!?」
「何って。ゴミ掃除だ。やっぱり家からトングを持ってくればよかった」
女性の視線の先には、ゆっくり専用のゴミ箱があった。
理由は分からずとも、自分の行く末だけは理解したのか、必死に懇願し始める。
「やめて!!にんげんさん!!
ぱちゅをうしなえば、せかいのそんしつになるのよ!!」
「ふーん。それはすごい」
「だから、だから、ぱちゅをたすけてちょうだい!!」
「はいはい、鳴き声鳴き声。
しかし、賢者を名乗るだけならまだしも、知ったかぶりで人の家庭を壊すようなゲスを
群れが温かく迎えてくれるかな!!」
「おそらをとんでるみぱちゅのみずみずしい、もみあげがぁああああああああ!!」
テンプレの台詞を叫ぶ途中で、もみあげが千切れた。
いや、女性が敢えて引き千切ったのだ。
「むぎゃん!!」
女性に放り投げられ、顔面からアスファルトに激突したぱちゅりーの口からは折れた歯、生クリームが溢れていた。
それでも、誰も助けようとはしなかった。
元飼いゆっくりであることを自慢していたため、あまり好かれていなかったこともある。
しかも、今回の件で知ったかぶりであることも露呈したのだ。
「むぎゅ・・・はやぐ・・・げんじゃの、ぱぢゅを、だずげろ・・・ゆげぇええ!!
どうじで、どうじで、だれも、ぱぢゅを、だずげないんだぁあああああああ!!」
何故、誰も自分を助けない。
何故。
何故!!
恨みがましい絶叫の後、致死量のクリームを吐いて暫らく小さく痙攣した後、ぱちゅりーは動かなくなった。
ゴミ箱の方から歩いてきた女性が、獲物の感触を確かめるように、右手のそれをカチカチ鳴らす。
「やっぱりトングの方が馴染む。
紙ナプキンだと、中身が手に付きそうで嫌なんだ。
・・・って、お前達もういいぞ。制裁は終わりだ。お疲れ様」
まだバリケードを張り続けるゆっくり達に呼びかけ、女性は『知ったかぶり』をトングで掴んだ。
自分の片目を、残されたもう片方の目で見るという状態になると、妹れいむは嗚咽をあげることもできなくなっていた。
ただ、
「れいみゅにょ、おべべ・・・おほししゃま、みちゃいな・・・」
地面に無慈悲に転がされた眼球に、何度も同じ言葉を繰り返すだけになっていたのだが。
「星に謝れ」
砂まみれになっていた、寒天の目玉。
それを、女性が割り箸でぐちゃ!と真上から押し潰すと、妹れいむは号泣し始めた。
「にゃんで!?にゃんで、れいみゅが、こんにゃめにあうにょ!?
じぇんぶ、びゃびゃあがわりゅいにょに!!」
「この、いなかもの!!いいかげんにしなさい!!」
「ゆぎぃ!!れいみゅにょ、しゃらしゃらの、かみしゃんがー!!」
今度は、先程のありすに、髪の毛を千切っては抜かれを繰り返される。
「髪は少しだけ残しておいて。
その方が、より無様になるから」
「わかったわ!おねぇさん!」
「あと、ついでにリボンも千切っておいて。
もちろん、少しだけ残る程度にね」
「わかったよー!!」
いつの間にか現れた先程のちぇんが、リボンの端に噛み付いた。
「!?れいみゅの、きりぇいな、おりぼんしゃん!!
やめちぇね!!しゃわらにゃいでね!!」
「うるさいんだよー!!ぜんぶ、おまえのせいなんだよー!!」
怒声と共に、赤いリボンが千切れ、その欠片が宙をひらひらと舞う。
「ゆんやぁあああああ!!れいみゅにょ、おりぼんしゃん!!
もちょに、もちょに、もどっちぇね!!」
悲痛な叫びも虚しく、あっという間に中途半端なハゲ饅頭(みすぼらしいリボン付)が完成した。
声もなく小さく震える、片目もないそれに、女性は呟いた。
「うわぁ・・・これは、ひどい。
でも、こんなになったら、人間に喧嘩を売ったりしないでしょ。
売っても、ボロ饅頭って嘲笑されるのがオチだわ」
既に嘲う女性の足元から、小さな声が聞こえた。
「にゃんで・・・」
「あら、何か言った?」
「にゃんで、こんにゃこちょするにょおおおおお!?
れいみゅ、にゃんにも、わりゅくにゃいにょに!!」
「・・・まだ分からないの?
頭も性格も悪いのは分かっていたけど、まさか、これほどなんて。
ちょっと、こいつの両親。どういう教育してんのよ」
ゆっくり達のバリケードの中、両親は俯いて泣いていた。
女性の声も聞こえていないかもしれない。
廃ゆのように、ひたすら「ごめんね、おちびちゃん・・・」と繰り返すだけだった。
どうしたものかと女性が腕を組むと、輪の中から声が聞こえた。
「れいむのおねえちゃんの、れいむが、おはなしするよ・・・」
「まりさもおねぇちゃんだから、おはなしする・・・」
姉達は、緊張の中でたどたどしく語った。
自分達は同時期に産まれたが、その時から末っ子のれいむだけ、身体が少しだけ小さいこと。
元飼いゆっくりで、知り合いぱちゅりーの説明によると、
それは母の胎内で姉達が妹の餡子まで吸ってしまったからだということ。
そのため、家族全員が末っ子れいむに申し訳なさを感じていること、
末っ子が悪さをしても強くは怒れないことを。
「いままでは、れいむたちがわるいから、れいむたちががまんすればいい、とおもってたよ」
「でも、むれのみんなにめいわくをかけるなんて、いけないよ。
むれのみんなは、なにもわるくないのに・・・」
姉達は話し終わる頃には、大粒の涙を溢していた。
今まで、ずっと我慢していたのだろう。
自分だって美味しいものを食べたい、自分だって両親にかまってもらいたい。
でも、それはできない。
何故なら、母の胎内で自分達が末っ子の栄養を奪ってしまったから。
そのため、末っ子はいつまでたっても、あまり大きくなれない。
自分達のせいで、末っ子はゆっくりできなくなってしまったから。
「なるほどねぇ・・・。まぁ、そんなこともあるかもしれないけど。
ところで、そのぱちゅりーはどこ?少し話がしたいんだけど」
返事はなかった。
当然だろう。
ここで人間と一対一で会話といえば、死亡フラグとしか思えない。
「あら、いないの?
折角、公園一番の賢者の知恵を、お菓子を一緒に食べながらお聞きしたかったのに。
・・・残念だわ」
女性がクッキーの袋を取り出した途端、茂みから微かな音がした。
「むきゅ!!」
元飼いゆっくりだったため、甘いお菓子の味が忘れられないのだろう。
バッジを毟り取られた跡があるナイトキャップが、女性に近付く。
「こんにちは、にんげんさん。
ぱちゅのちえをききたいなんて、いいこころがけね!」
「こんにちは、ぱちゅりー。
どうでもいいけど、涎が垂れてるわよ。このナプキンで拭きなさいな」
さりげなく毒を吐きながらも、女性は温和な態度で接する。
優しくナプキンで拭かれる感触に安心したのか、ぱちゅりーがお菓子をねだろうとするのを見計らったかのように、
女性が口を開いた。
「人間でも、未熟児が産まれることがあるわ。
たとえば、妊婦がアルコールを嗜んだり喫煙したりしたら、
未熟児が産まれる可能性が高くなるの。
しかも、死産だったり、産まれても先天的な障害を抱えていることもある。
これは膨大なデータに基づき、科学的にも証明されているわ。
これぐらい、ぱちゅりーなら分かるわよね?」
「む、むきゅ!!も、もちろんよ!!」
そう答えたものの、女性が語る言葉の半分も理解できていなかった。
女性もそれを見越して、「アルコール」、「喫煙」など、ゆっくりにはやや難しい言葉を敢えて使っているのだが。
「でも、そんなことをしていなくても、未熟児が産まれることがあるの。
何故だと思う?」
「むきゅ?そ、それは・・・」
「無理に答えなくていいわ。人間の問題だもの。
しかも調査中で、まだ完全に解明されていないことだし」
「そ、そうよ!まだまだ、しらべなくちゃいけないのよ!」
知らなくても仕方がない!と誇らしげになるぱちゅりー、それだけに聞こえるような小声で女性は小さく呟いた。
「・・・うざい。こいつだけ先に潰すか」
「むきゅ!?」
「どうしたの?」
「いま、おねぇさん・・・」
何か、ゆっくりできないことを言った?
そう、ぱちゅりーが続ける前に、女性は薄く微笑んでみせた。
「ところで人間で小さい赤ちゃんが産まれる場合、大雑把に言うと、
お母さんの側に問題がある場合と、お腹の赤ちゃんに問題がある場合があるの」
「そ、それで・・・?」
「その線引きは、専門のお医者さんじゃないと分からないぐらいなんだけど・・・。
何故、あなたはそれができたの?」
「むきゅ!?」
「人間でも、お医者さんがお母さんに色々尋ねて、沢山の機械やお薬で検査をして、
長い時間をかけて、やっと分かるようなことなの。
それが何故、あなたには瞬時に分かったの?」
矢継ぎ早に問い詰められ、ぱちゅりーには答えられなかった。
女性の質問の意味さえ、理解できていなかったのかもしれない。
「要するに、何か根拠があって、あの家族にそう説明したんでしょ?
じゃないと、あなたの知ったかぶりが、あの家庭を壊す一因になったのよ」
「ぱちゅりーは、知ったかぶりなんかしないわ!!」
「なら、根拠を教えて」
「こん、きょ・・・?」
「まさか、『根拠』も分からないの?」
「わ、わかるわよ!!ばかにしないでちょうだい!!」
「なら、まず意味を教えて。『根拠』の意味を」
女性に真っ直ぐ見つめられ、ぱちゅりーは今にも嘔吐しそうだった。
おかしい。
馬鹿な元飼い主と違い、この女性は自分の知恵に感動し、お菓子を与えるどころか、
自分を再び飼いゆっくりにするかもしれない。
そう計画して、草むらから出てきたのに。
何故。
体内を逆流する生クリームが溢れそうになった瞬間、女性が呟いた。
「まぁ、そんなことより、私は知りたいの。
このボロ饅頭は、他の子達より小さく産まれた。
それが、姉達がこの子の分の栄養を吸い取ったからだという証拠を」
「しょうこ・・・?」
「そう。『しょうこ』なら分かるのね。
えらいえらい」
何か馬鹿にされているような気がするものの、ぱちゅりーは堂々と答えた。
「そんなの、かんたんよ!
おねぇちゃんたちがおおきくて、いもうとだけがちいさいなんて、
おねぇちゃんたちが、いもうとのあんこをすいとったとしか、かんがえられないわ!」
その言葉に、遠くにいる二匹が新たな涙を流した時、女性が首を傾げた。
「本当に、そうかしら?」
「むきゅ?」
「もちろん、その可能性もあると思うわ。
でも、こんなことも考えられない?
赤ちゃん達がお母さんのお腹の中にできた時、偶然その子だけ小さかったとか」
「どういうこと・・・?」
「つまり、妹だけ、身体が元から小さかったということよ。
もちろん、お姉ちゃん達は妹の餡子を奪ってなんかいないし、
むしろ妹が要らないといった餡子まで、引き受けなくちゃいけないから大変よ。
だって、餡子が身体に入る量は決まってるんですもの」
「むきゅ・・・」
ぱちゅりーは再び悩み始めた。
確かに人間が言うことも、ありえるかもしれない。
だが、しかし。
「でも、ぱちゅりーは、そうじゃないって見抜いたのよね?
お母さんのお腹の中で、お姉ちゃん達が妹の餡子を吸い取ったと分かったのよね?
それは何故?」
女性に畳み掛けられ、体内の生クリームが逆流しながら沸騰しそうだった。
白目を剥きかけたぱちゅりーに、女性は救いの手を差し伸べた。
「あなたがそう見抜いたということは、何か決定的な証拠があるんでしょ?」
半分意識を失いながらも、ぱちゅりーは考えた。
何故、あの時、自分がその結論を出したか。
思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ。
半分トランス状態だったぱちゅりーが不意に、目を大きく見開く。
「『しょうこ』なら、あるわ!!
そこのれいむが、そういったからよ!!」
右のもみあげで母れいむを指しながら、自信満々で言い切った。
「本当なの?」
女性がれいむに尋ねると、嗚咽を溢すだけだったれいむが小さく頷いた。
「・・・ゆん・・・」
「そう言ったのには、何か理由があったの?」
「りゆうなんて、ないよ。
ただ、そうなのかなって・・・」
「ほら、これが『しょうこ』よ!!むきゅん!!」
胸を張ったパチュリーは、内心でも自画自賛する。
全く賢者の知恵は素晴らしい。
人間も、自分に平伏すに違いない。
これでお菓子が食べられるし、飼いゆっくりにもなれる。
「それのどこが証拠だ。単なる憶測だろうが」
だが、呆気なく、そのふざけた幻想はぶち壊された。
汚いものを触りたくないと言わんばかりに、ナプキンを何重にもして、
ぱちゅりーの左のもみあげだけを摘み上げる。
「むぎゅうううううううううう!?
にんげんさん、なにしてるの!?」
「何って。ゴミ掃除だ。やっぱり家からトングを持ってくればよかった」
女性の視線の先には、ゆっくり専用のゴミ箱があった。
理由は分からずとも、自分の行く末だけは理解したのか、必死に懇願し始める。
「やめて!!にんげんさん!!
ぱちゅをうしなえば、せかいのそんしつになるのよ!!」
「ふーん。それはすごい」
「だから、だから、ぱちゅをたすけてちょうだい!!」
「はいはい、鳴き声鳴き声。
しかし、賢者を名乗るだけならまだしも、知ったかぶりで人の家庭を壊すようなゲスを
群れが温かく迎えてくれるかな!!」
「おそらをとんでるみぱちゅのみずみずしい、もみあげがぁああああああああ!!」
テンプレの台詞を叫ぶ途中で、もみあげが千切れた。
いや、女性が敢えて引き千切ったのだ。
「むぎゃん!!」
女性に放り投げられ、顔面からアスファルトに激突したぱちゅりーの口からは折れた歯、生クリームが溢れていた。
それでも、誰も助けようとはしなかった。
元飼いゆっくりであることを自慢していたため、あまり好かれていなかったこともある。
しかも、今回の件で知ったかぶりであることも露呈したのだ。
「むぎゅ・・・はやぐ・・・げんじゃの、ぱぢゅを、だずげろ・・・ゆげぇええ!!
どうじで、どうじで、だれも、ぱぢゅを、だずげないんだぁあああああああ!!」
何故、誰も自分を助けない。
何故。
何故!!
恨みがましい絶叫の後、致死量のクリームを吐いて暫らく小さく痙攣した後、ぱちゅりーは動かなくなった。
ゴミ箱の方から歩いてきた女性が、獲物の感触を確かめるように、右手のそれをカチカチ鳴らす。
「やっぱりトングの方が馴染む。
紙ナプキンだと、中身が手に付きそうで嫌なんだ。
・・・って、お前達もういいぞ。制裁は終わりだ。お疲れ様」
まだバリケードを張り続けるゆっくり達に呼びかけ、女性は『知ったかぶり』をトングで掴んだ。
夕日が沈み始める頃。
ゴミを片付けた後、女性が元のテーブルに戻ってくると。
「あれ?まだいたのか・・・?」
足元の、ハゲ饅頭に声をかけたのではない。
我が子、妹にどう接したらよいのか分からない家族四匹に、彼女は近付いた。
「おねぇさんがいうとおり、おちびちゃんはゲスかもしれない。
でも、そうなったのは、まりさたちのせいかもしれないんだよ・・・」
その言葉に頷く、他三匹。
「末っ子以外は、本当にできた家族だな。
でも、どうするんだ。
『あれ』をまた育てるにしても」
「れいみゅは、わりゅくにゃいにょに・・・」
まるで自分に言い聞かせるように、『あれ』は何度も同じ言葉を繰り返す。
女性は大きく溜息を吐きながら、続けた。
「あんな感じじゃ、また同じことが起きるぞ。
それに、この公園にもいづらくなるんじゃないか?
・・・私が言えた義理じゃないんだが」
「おねぇさんは、わるくないよ。
おねぇさんから、ごはんをうばおうとした、おちびちゃんが・・・」
「本当に仏みたいだな、お前ら。
ひょっとして、元飼いゆっくりか?」
「・・・そうだよ。
れいむとまりさは、もとかいゆっくりだよ。
でも、おちびちゃんをほしがったら」
「捨てられたと」
「ゆん・・・。
でも、いまなら、わかるよ。
かいぬしさんがいったとおり、おちびちゃんをそだてるのは、たいへんだって。
それでも、やっぱり、おちびちゃんたちは、かわいいんだよ・・・」
その『おちびちゃんたち』の中に、ハゲ饅頭は含まれているのだろうか。
訊きたかったが、女性にはできなかった。
「とにかく、こいつはこの公園にはいない方がいいだろう。
こいつがまた何かしでかして、一斉駆除が行われるかもしれないから」
「ゆん・・・」
「お前らも他の所に移り住んだらどうだ。
何なら私が手伝ってもいい」
「え・・・?」
「ゆっくりカフェって聞いたことがあるか?」
「あるよ。
にんげんさんが、ゆっくりとあそぶところだよね?」
「そう。
ゆっくりを飼いたいけど、家や個人の都合で飼えない。
そんな人間のために開かれたカフェだ。
すぐ潰れると思ったんだが、愛で派の愛は異常だな。
今や全国展開どころか、海外にまで進出だ。
実は、私の友人がそこで働いているんだが・・・」
「「「「・・・まさか・・・」」」」
四匹はありえないと思った。
だから。
「お前らをまとめて、そこに置いてもらえないか頼んでみる。
もちろん、簡単なテストや身体の検査があるが、お前らなら大丈夫だろ」
「「「「ゆぅううううううううううううう!?」」」」
信じられなくて、つい大声で叫んでしまった。
「うわ!!急に叫ぶな!!
びびるわぁ!!マジびびるわぁ!!」
「「「「ほ、ほんとうなの!?」」」」
「あぁ、本当だ。ただし、条件がある」
今度は「なんでもします!」と即座に答えないあたり、意外と賢い奴らなのかもしれない。
そう考えながら、女性は告げた。
「末っ子のことは、ここで諦めろ。
たとえ、他人の入れ知恵で増長したとしても、家族がそれを止められなくても、
わがままで家族をこんなに疲弊させるなんて・・・。
生まれついてのゲスとしか思えない。矯正は不可能だ。
現に今も、『自分は悪くない』と繰り返すだけだろ」
女性の言葉は、ゆっくり達にとっては少し難しかった。
ただ、自分達のせいで末っ子はゲスになった、しかし、それは末っ子にも原因があったからだと。
それだけは、理解できた。
四匹は暫らくの間、無言だったが、互いに目配せをした後、父まりさが話しかけた。
「・・・おねぇさん」
「何だ」
「すこしだけ、かんがえさせてほしいよ。
もちろん、ゆっくりカフェのおはなしは、うれしいよ!
でも・・・」
家族全員の目線の先にはやはり、『あれ』があった。
「まぁ、気持ちは分からないでもない。
今日は色々あったからな。
何日かしたら来るから、その時に返事を聞かせてくれ」
「ありがとう、おねぇさん」
家族四匹に微笑みかけてから、女性は『それ』をキッチンペーパーで摘み上げた。
それに複雑な顔をした四匹に、女性はもう一度、笑いかけた。
「このままだと、他の奴らに苛められるかもしれない。
だから暫らく、私の家で治療してやるだけだ。
・・・もちろん、傷が塞がるだけだが」
「おねぇさん、ほんとうに、ありがとう・・・!」
涙を流して感謝する四匹に手を振り、女性は公園を後にした。
ゴミを片付けた後、女性が元のテーブルに戻ってくると。
「あれ?まだいたのか・・・?」
足元の、ハゲ饅頭に声をかけたのではない。
我が子、妹にどう接したらよいのか分からない家族四匹に、彼女は近付いた。
「おねぇさんがいうとおり、おちびちゃんはゲスかもしれない。
でも、そうなったのは、まりさたちのせいかもしれないんだよ・・・」
その言葉に頷く、他三匹。
「末っ子以外は、本当にできた家族だな。
でも、どうするんだ。
『あれ』をまた育てるにしても」
「れいみゅは、わりゅくにゃいにょに・・・」
まるで自分に言い聞かせるように、『あれ』は何度も同じ言葉を繰り返す。
女性は大きく溜息を吐きながら、続けた。
「あんな感じじゃ、また同じことが起きるぞ。
それに、この公園にもいづらくなるんじゃないか?
・・・私が言えた義理じゃないんだが」
「おねぇさんは、わるくないよ。
おねぇさんから、ごはんをうばおうとした、おちびちゃんが・・・」
「本当に仏みたいだな、お前ら。
ひょっとして、元飼いゆっくりか?」
「・・・そうだよ。
れいむとまりさは、もとかいゆっくりだよ。
でも、おちびちゃんをほしがったら」
「捨てられたと」
「ゆん・・・。
でも、いまなら、わかるよ。
かいぬしさんがいったとおり、おちびちゃんをそだてるのは、たいへんだって。
それでも、やっぱり、おちびちゃんたちは、かわいいんだよ・・・」
その『おちびちゃんたち』の中に、ハゲ饅頭は含まれているのだろうか。
訊きたかったが、女性にはできなかった。
「とにかく、こいつはこの公園にはいない方がいいだろう。
こいつがまた何かしでかして、一斉駆除が行われるかもしれないから」
「ゆん・・・」
「お前らも他の所に移り住んだらどうだ。
何なら私が手伝ってもいい」
「え・・・?」
「ゆっくりカフェって聞いたことがあるか?」
「あるよ。
にんげんさんが、ゆっくりとあそぶところだよね?」
「そう。
ゆっくりを飼いたいけど、家や個人の都合で飼えない。
そんな人間のために開かれたカフェだ。
すぐ潰れると思ったんだが、愛で派の愛は異常だな。
今や全国展開どころか、海外にまで進出だ。
実は、私の友人がそこで働いているんだが・・・」
「「「「・・・まさか・・・」」」」
四匹はありえないと思った。
だから。
「お前らをまとめて、そこに置いてもらえないか頼んでみる。
もちろん、簡単なテストや身体の検査があるが、お前らなら大丈夫だろ」
「「「「ゆぅううううううううううううう!?」」」」
信じられなくて、つい大声で叫んでしまった。
「うわ!!急に叫ぶな!!
びびるわぁ!!マジびびるわぁ!!」
「「「「ほ、ほんとうなの!?」」」」
「あぁ、本当だ。ただし、条件がある」
今度は「なんでもします!」と即座に答えないあたり、意外と賢い奴らなのかもしれない。
そう考えながら、女性は告げた。
「末っ子のことは、ここで諦めろ。
たとえ、他人の入れ知恵で増長したとしても、家族がそれを止められなくても、
わがままで家族をこんなに疲弊させるなんて・・・。
生まれついてのゲスとしか思えない。矯正は不可能だ。
現に今も、『自分は悪くない』と繰り返すだけだろ」
女性の言葉は、ゆっくり達にとっては少し難しかった。
ただ、自分達のせいで末っ子はゲスになった、しかし、それは末っ子にも原因があったからだと。
それだけは、理解できた。
四匹は暫らくの間、無言だったが、互いに目配せをした後、父まりさが話しかけた。
「・・・おねぇさん」
「何だ」
「すこしだけ、かんがえさせてほしいよ。
もちろん、ゆっくりカフェのおはなしは、うれしいよ!
でも・・・」
家族全員の目線の先にはやはり、『あれ』があった。
「まぁ、気持ちは分からないでもない。
今日は色々あったからな。
何日かしたら来るから、その時に返事を聞かせてくれ」
「ありがとう、おねぇさん」
家族四匹に微笑みかけてから、女性は『それ』をキッチンペーパーで摘み上げた。
それに複雑な顔をした四匹に、女性はもう一度、笑いかけた。
「このままだと、他の奴らに苛められるかもしれない。
だから暫らく、私の家で治療してやるだけだ。
・・・もちろん、傷が塞がるだけだが」
「おねぇさん、ほんとうに、ありがとう・・・!」
涙を流して感謝する四匹に手を振り、女性は公園を後にした。
そして、女性の友人宅。
「・・・ということがあったんだ」
「偽善者乙!」
「どぼじで、ぞんなごどいうのぉおおおおおおおお!?
・・・いや、そうじゃなくて」
「まぁ、話を聞く限りじゃ、その四匹は合格ラインかもな。
よかったでちゅねー、れいみゅちゃーん。
あなた、反面教師になれたんでちゅよー?
あなたのおかげで、四匹は幸せに幸せに、暮らせるんでちゅよー?」
オレンジジュースで延命措置をした『それ』に話しかける友人に、女性は一言。
「キモ」
「どぼじで、ぞんなごどいうのぉおおおおおおおお!?
って、止めろ。
大体、こんなの、そこらのゴミ箱に捨ててくればよかっただろうが。
何故、私の家までお持ち帰りした」
「私だって、ゴミ箱を見る度に、思い切り叩きつけたくなる衝動を抑えるのに大変だった。
しかし」
「しかし、楽には死なせたくなかった」
「それもある」
「うぉぉ~!やっぱり怖えぇ!」
「それに、あの家族に約束したんだ。『治療』はしてやると。
後は、『ゲス矯正施設で治療を受けさせたが、ゲスが治るどころか
非ゆっくち症で永遠にゆっくりした』とでも言うさ」
「・・・まぁ、それが一番かもな。
専門の機関で矯正しようとしたけど、やはり無理でした、
ゲスを治す治療を受けて非ゆっくち症になったと聞けば、諦めもつくだろ。
しかし、ゲス治療を受けただけで非ゆっくち症になるって、どんだけなんだ」
「いや、本当にそれだけのゲスなんだ。
こいつはどこに出しても恥かしくない、立派なゲスだ。
このカシオミニを賭けてもいい」
「それのどこがカシオミニだ。
それ以前に、お前の古びた携帯なんか要るか」
「いやぁ、スイマセーン」
かしましくない、女性同士とは思えない会話。
それを耳にしながら、れいむは朧げに考える。
何故、自分はここにいるのか。
何故、自分はこんな目に遭っているのか。
何故、『奴隷』・・・自分以外の家族が、幸せになろうとしているのか。
何故。
何故、一思いに自分を殺してくれないのか。
何故。
「・・・ということがあったんだ」
「偽善者乙!」
「どぼじで、ぞんなごどいうのぉおおおおおおおお!?
・・・いや、そうじゃなくて」
「まぁ、話を聞く限りじゃ、その四匹は合格ラインかもな。
よかったでちゅねー、れいみゅちゃーん。
あなた、反面教師になれたんでちゅよー?
あなたのおかげで、四匹は幸せに幸せに、暮らせるんでちゅよー?」
オレンジジュースで延命措置をした『それ』に話しかける友人に、女性は一言。
「キモ」
「どぼじで、ぞんなごどいうのぉおおおおおおおお!?
って、止めろ。
大体、こんなの、そこらのゴミ箱に捨ててくればよかっただろうが。
何故、私の家までお持ち帰りした」
「私だって、ゴミ箱を見る度に、思い切り叩きつけたくなる衝動を抑えるのに大変だった。
しかし」
「しかし、楽には死なせたくなかった」
「それもある」
「うぉぉ~!やっぱり怖えぇ!」
「それに、あの家族に約束したんだ。『治療』はしてやると。
後は、『ゲス矯正施設で治療を受けさせたが、ゲスが治るどころか
非ゆっくち症で永遠にゆっくりした』とでも言うさ」
「・・・まぁ、それが一番かもな。
専門の機関で矯正しようとしたけど、やはり無理でした、
ゲスを治す治療を受けて非ゆっくち症になったと聞けば、諦めもつくだろ。
しかし、ゲス治療を受けただけで非ゆっくち症になるって、どんだけなんだ」
「いや、本当にそれだけのゲスなんだ。
こいつはどこに出しても恥かしくない、立派なゲスだ。
このカシオミニを賭けてもいい」
「それのどこがカシオミニだ。
それ以前に、お前の古びた携帯なんか要るか」
「いやぁ、スイマセーン」
かしましくない、女性同士とは思えない会話。
それを耳にしながら、れいむは朧げに考える。
何故、自分はここにいるのか。
何故、自分はこんな目に遭っているのか。
何故、『奴隷』・・・自分以外の家族が、幸せになろうとしているのか。
何故。
何故、一思いに自分を殺してくれないのか。
何故。
それに答えてくれる者は、当然いなかった。
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読んでくださって、ありがとうございました。
感想をいただけたら、早く春が来る気がするんだ・・・。
読んでくださって、ありがとうございました。
感想をいただけたら、早く春が来る気がするんだ・・・。
感想で
>片方が大きく片方が小さくなんて普通に良くあることなんだぜ
とありましたが、お姉さんもその可能性は認めています。
むしろ、その方がよくあることかと。
ただ、我が子を心配して相談しに来た家族に、
理由を知らないと素直に言えず、
母れいむの何気ない一言だけで、理由を決め付けるのはどうよ、
「そうかもしれないわね・・・」と言葉を濁しておけば、
家族も末っ子の暴走を少しは止められたのでは?と思ったわけです。
その辺りが上手く書けませんでした。
力不足です。すみません。
むしろ、その方がよくあることかと。
ただ、我が子を心配して相談しに来た家族に、
理由を知らないと素直に言えず、
母れいむの何気ない一言だけで、理由を決め付けるのはどうよ、
「そうかもしれないわね・・・」と言葉を濁しておけば、
家族も末っ子の暴走を少しは止められたのでは?と思ったわけです。
その辺りが上手く書けませんでした。
力不足です。すみません。
次回は頑張ります・・・!