ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3389 こうまかんの食卓
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『こうまかんの食卓』 13KB
愛で 観察 愛情 日常模様 飼いゆ 希少種 現代 愛護人間 支配を良しとしない者が、最も支配者に相応しいのなら! 貴族主義は最初から間違っていたんだよ、ザビーネ!
愛で 観察 愛情 日常模様 飼いゆ 希少種 現代 愛護人間 支配を良しとしない者が、最も支配者に相応しいのなら! 貴族主義は最初から間違っていたんだよ、ザビーネ!
こうまかんの食卓
嘘あき
1,
父方の祖父の遺産である一軒家に、大学が近いこともあって一人暮らしをしている。
初めは夢の一人暮らしで心がうきうきしていたのだが、いざ家を出てみると母親の偉大さがよくわかった。
一人で家を管理するのが苦痛であったが、先住民のおかげで今日までこれたのだ。
「おにーさん! あさだどー」
胴付きのれみりゃがベットで眠る僕の体に馬乗りして起きろ起きろと揺すってくる。
カーテンを開けたのか、大きな梅の木をフィルターにして入ってくる白黒混じりの日光が脳を焦がす。
「れみりゃ、ぼくはまだねていたいんだ」
低血圧なこともあって、僕はとっても朝に弱い。偏頭痛が数分ぐらい続く。
そんな思いとは裏腹にれみりゃは僕を起こそうと太鼓の撥のように両手で僕の肩を叩く。
「だめなんだどー。あさはにぱーでおっきなんだどー!」
れみりゃ種は夜行性のゆっくりなはずなのに、見事に人間の活動時間にマッチしている。
人間の僕より一時間も早く起きて、ご飯を炊き終えてくれるから驚きだ。
僕が家事を教えたはずなのだが、今では僕よりも上手にこなしている始末である。
一人の人間として恥ずかしい話なわけで。
「うーうー☆」
トントンとリズミカルに叩くれみりゃの脇を両手でつかみ、自分の胸元に引き寄せてハグをした。
「おはよう……」
力ない霞んだ声で僕が挨拶をすると、れみりゃはニコっと笑いながら返事を返してくれた。
「ゆっくりしていってね!!」
父方の祖父の遺産である一軒家に、大学が近いこともあって一人暮らしをしている。
初めは夢の一人暮らしで心がうきうきしていたのだが、いざ家を出てみると母親の偉大さがよくわかった。
一人で家を管理するのが苦痛であったが、先住民のおかげで今日までこれたのだ。
「おにーさん! あさだどー」
胴付きのれみりゃがベットで眠る僕の体に馬乗りして起きろ起きろと揺すってくる。
カーテンを開けたのか、大きな梅の木をフィルターにして入ってくる白黒混じりの日光が脳を焦がす。
「れみりゃ、ぼくはまだねていたいんだ」
低血圧なこともあって、僕はとっても朝に弱い。偏頭痛が数分ぐらい続く。
そんな思いとは裏腹にれみりゃは僕を起こそうと太鼓の撥のように両手で僕の肩を叩く。
「だめなんだどー。あさはにぱーでおっきなんだどー!」
れみりゃ種は夜行性のゆっくりなはずなのに、見事に人間の活動時間にマッチしている。
人間の僕より一時間も早く起きて、ご飯を炊き終えてくれるから驚きだ。
僕が家事を教えたはずなのだが、今では僕よりも上手にこなしている始末である。
一人の人間として恥ずかしい話なわけで。
「うーうー☆」
トントンとリズミカルに叩くれみりゃの脇を両手でつかみ、自分の胸元に引き寄せてハグをした。
「おはよう……」
力ない霞んだ声で僕が挨拶をすると、れみりゃはニコっと笑いながら返事を返してくれた。
「ゆっくりしていってね!!」
2,
僕がこの家に引越ししてすぐの話。
荷物を解く作業だけでてんてこ舞いになっていたところに、突然れみりゃが飛来してきた。
「うー? ここはれみりゃのこうまかんだどー? おにいさんはだれだど?」
パタパタと翼を震わせるスピードを落としてれみりゃは地面に足をつける。
衣服にボロや土埃が染み付いていることから、恐らく山から降りてきたゆっくりのようだ。
「えーと、あーと、……なんだ? うーんとなぁ……」
空き家にしていた時間が長いと、ゆっくりが居ついてしまうことも珍しくもない。
ゆっくりには“おうちせんげん”と言う名のテリトリーを定めるルールがあるからだ。
家宅侵入はゆっくり害の中でもトップ3に入るほど。
その為の対策も昨今では色々とあるのだが、どうやら両親はサボったらしい。
「ああ、ここは元々、僕のおじいさんが住んでいた家なんだ。
おじいさんが死んで少し空き家になっていただけなんだよ。
それで今日から僕はここに住もうと思うんだ。
悪いけど、ここは僕の家なんだよ」
拙いながらもれみりゃを説得するように喋ったつもりだ。
けれど、ゆっくりの事だから、多分怒るだろうと僕はタカをくくっていた。
なぜなら、人間で言えば勝手に家を奪われ所有権を掲げる行為と同じだから無理も無いだろう。
僕は相対する笑みを絶やさないれみりゃの反応をじっくりと見た。
もしもの場合は実力行使も厭わないからだ。
だが、このれみりゃは少し変わったれみりゃであった。
「うー、わかったんだど。れみりゃもここを、こうまかんにしようときめていただけなんだどー。だからへいきなんだど!」
よくよく考えれば、この家は住宅街の一つの家でしか無く、戸締りもきちんとしてある。
おまけに、胴のないゆっくりでは家に侵入できないように窓ガラスの高さが調整してあるのだ。
しかし、れみりゃなどの空を飛べて力もそこそこあれば、石を使うなりして侵入することもできるだろう。
最近の物とは違い、老朽化した建物なので頑強なガラスは使われていないはずだ。
「どうして、この家を自分のものにしようとは思わないの?」
やろうと思えばできることだと、僕が考えていたことをぶち壊すかのようにれみりゃは自信満々に答えた。
「う? だって、おうちはげんかんからはいるのがまなーなんだど! がらすさんをわるのはえれがんとじゃないんだど!!」
「それはそうだが、そうしないと家に入れないじゃないか」
「こうまかんのおぜうさまはそんなんじゃだめだど! おぜうさまがおうちをめーっ!したらだめだどー」
腕を組んで鼻息荒く語るれみりゃに、僕は外にはびこる有象無象のゆっくり達とは違う何かに見惚れたのだ。
何処か間抜けなようで実は筋が通っている。
普通に考えれば、ガラス割ってでも所有権を得るほうが実利的なのだが。
「ふーん……」
考えるふりをして、僕はれみりゃを吟味する。
ニコニコと笑い続けるまん丸な顔を眺めながら、ホームシックに近い心境も相まって、僕の口は自然と開いた。
「それなら、僕のお嬢さんにならないか?」
僕がこの家に引越ししてすぐの話。
荷物を解く作業だけでてんてこ舞いになっていたところに、突然れみりゃが飛来してきた。
「うー? ここはれみりゃのこうまかんだどー? おにいさんはだれだど?」
パタパタと翼を震わせるスピードを落としてれみりゃは地面に足をつける。
衣服にボロや土埃が染み付いていることから、恐らく山から降りてきたゆっくりのようだ。
「えーと、あーと、……なんだ? うーんとなぁ……」
空き家にしていた時間が長いと、ゆっくりが居ついてしまうことも珍しくもない。
ゆっくりには“おうちせんげん”と言う名のテリトリーを定めるルールがあるからだ。
家宅侵入はゆっくり害の中でもトップ3に入るほど。
その為の対策も昨今では色々とあるのだが、どうやら両親はサボったらしい。
「ああ、ここは元々、僕のおじいさんが住んでいた家なんだ。
おじいさんが死んで少し空き家になっていただけなんだよ。
それで今日から僕はここに住もうと思うんだ。
悪いけど、ここは僕の家なんだよ」
拙いながらもれみりゃを説得するように喋ったつもりだ。
けれど、ゆっくりの事だから、多分怒るだろうと僕はタカをくくっていた。
なぜなら、人間で言えば勝手に家を奪われ所有権を掲げる行為と同じだから無理も無いだろう。
僕は相対する笑みを絶やさないれみりゃの反応をじっくりと見た。
もしもの場合は実力行使も厭わないからだ。
だが、このれみりゃは少し変わったれみりゃであった。
「うー、わかったんだど。れみりゃもここを、こうまかんにしようときめていただけなんだどー。だからへいきなんだど!」
よくよく考えれば、この家は住宅街の一つの家でしか無く、戸締りもきちんとしてある。
おまけに、胴のないゆっくりでは家に侵入できないように窓ガラスの高さが調整してあるのだ。
しかし、れみりゃなどの空を飛べて力もそこそこあれば、石を使うなりして侵入することもできるだろう。
最近の物とは違い、老朽化した建物なので頑強なガラスは使われていないはずだ。
「どうして、この家を自分のものにしようとは思わないの?」
やろうと思えばできることだと、僕が考えていたことをぶち壊すかのようにれみりゃは自信満々に答えた。
「う? だって、おうちはげんかんからはいるのがまなーなんだど! がらすさんをわるのはえれがんとじゃないんだど!!」
「それはそうだが、そうしないと家に入れないじゃないか」
「こうまかんのおぜうさまはそんなんじゃだめだど! おぜうさまがおうちをめーっ!したらだめだどー」
腕を組んで鼻息荒く語るれみりゃに、僕は外にはびこる有象無象のゆっくり達とは違う何かに見惚れたのだ。
何処か間抜けなようで実は筋が通っている。
普通に考えれば、ガラス割ってでも所有権を得るほうが実利的なのだが。
「ふーん……」
考えるふりをして、僕はれみりゃを吟味する。
ニコニコと笑い続けるまん丸な顔を眺めながら、ホームシックに近い心境も相まって、僕の口は自然と開いた。
「それなら、僕のお嬢さんにならないか?」
3,
大学生で子持ちになった僕は、それなりに幸福ありきの大学生活を営んでいると思う。
家が元々、ゆっくりを扱う流通業をしていたのでそれなりの知識があったのだが、それが役に立った覚えはない。
れみりゃの方が一人暮らし歴が長いため、何事も自分でこなしてしまうのだ。
やって欲しいことを言えばきちんとこなしてくれる。
しかも、立派な“おぜうさま”に成る為に人間の礼儀作法を教えて欲しいとせがんでくるほどだ。
「うー、きょうのおかずさんがたのしみだど~」
優秀なれみりゃといえど、細かい作業は向いていない。
幼稚園児のような体型のれみりゃでは、幼稚園児程度のことしか出来ない。
指はぷくぷくと膨らんだ幼児の指で、箸を握らせるのにも苦労したのは良い思い出。
「少し待って」
ましてや、刃物や火等の危険なものに触れさせたくはなかったのだ。
ゆっくりに刃物を与えてはいけないという法律があるのも前提だが。
「今日も作りおきの味噌汁と目玉焼きだ」
小皿に盛った、胡椒がちょっぴりかかった目玉焼きを前にれみりゃは今日も喜ぶ。
「うー!! めだまやきさんだどー!!!」
お箸を持った右手を天井に掲げながら喜びを表現する。
そんな姿を毎日見ても僕はちっとも飽きなかった。
「それじゃ、いただきますをしようか」
掲げていた箸を手元の机に置き、れみりゃは僕と一緒に両手を合わせる。
「いただきま~すだどー」
大学生で子持ちになった僕は、それなりに幸福ありきの大学生活を営んでいると思う。
家が元々、ゆっくりを扱う流通業をしていたのでそれなりの知識があったのだが、それが役に立った覚えはない。
れみりゃの方が一人暮らし歴が長いため、何事も自分でこなしてしまうのだ。
やって欲しいことを言えばきちんとこなしてくれる。
しかも、立派な“おぜうさま”に成る為に人間の礼儀作法を教えて欲しいとせがんでくるほどだ。
「うー、きょうのおかずさんがたのしみだど~」
優秀なれみりゃといえど、細かい作業は向いていない。
幼稚園児のような体型のれみりゃでは、幼稚園児程度のことしか出来ない。
指はぷくぷくと膨らんだ幼児の指で、箸を握らせるのにも苦労したのは良い思い出。
「少し待って」
ましてや、刃物や火等の危険なものに触れさせたくはなかったのだ。
ゆっくりに刃物を与えてはいけないという法律があるのも前提だが。
「今日も作りおきの味噌汁と目玉焼きだ」
小皿に盛った、胡椒がちょっぴりかかった目玉焼きを前にれみりゃは今日も喜ぶ。
「うー!! めだまやきさんだどー!!!」
お箸を持った右手を天井に掲げながら喜びを表現する。
そんな姿を毎日見ても僕はちっとも飽きなかった。
「それじゃ、いただきますをしようか」
掲げていた箸を手元の机に置き、れみりゃは僕と一緒に両手を合わせる。
「いただきま~すだどー」
4,
食後に僕とれみりゃはミルク紅茶を嗜みながら一息ついた。
「れみりゃ、少し前に話したと思うが」
「うー? おにーさんにかのじょができたんだど?」
「違うよ、僕は未だに経験なしのバージン野郎だ」
「う? うー?」
わからない言葉でごまかすのは良くないと友人に忠告されたことがあるが、使い勝手が良いのだから勘弁して欲しい。
「れみりゃはさくやが欲しいか?」
「うー??」
説明もなしに事を言い始められると訳が分からないだろう。
これは数週間前に遡る話だ。
前述した通り、両親はゆっくりを扱う仕事をしている。
主な仕事は業者からペットショップに商品であるゆっくりを流す仕事だ。
そのゆっくりの中には欠陥品―ジャンク―と呼ばれるゆっくりが存在する。
例えば、飾りがかけていたり、性格が改善できないほど悪かったり、個性が強すぎたり。
大抵のジャンクは捕食種の餌替わりに売られたりするのだが、稀少種に関しては処理の問題が難しくなる。
性格や個性が悪くても欲しいという人もいるが、商品化しているゆっくりの全体的な値段を下げることになるので売ることすら出来ない。
その為、知人に明け渡したり、加工場やゆっくり系の企業に被験体として提供することがある。
今回の場合、両親が個性が強すぎて返品され続けた胴付きさくやを引き取って欲しいと連絡が入ったのだ。
曰く、「瀟洒なさくやではない」と。
「そのさくやはれみりゃが好きすぎてゆっくりしてないゆっくりらしい」
通常、さくやは主人としたものを徹底的に慕う。
これを瀟洒なさくや種と呼ぶ。
だが、れみりゃ種への原理的な愛があり、それが強いさくやはれみりゃを求めてペットをストライキすることさえ有る。
ストライキというと、さくやの趣味である家事手伝いをしなくなったり、しまいには暴れて家具を破壊することもある。
今回、自分に頼まれたさくやはれみりゃが好き過ぎて、れみりゃを購入してもらえない飼い主に暴力を振ってしまった強者である。
いざ、れみりゃを充てがえば、れみりゃ本来の我儘で家庭崩壊を起こしてしう結果になってしまった。
胴付きさくやは非情に珍しいこともあり、加工場に渡すのは忍びないということで返品されたゆっくりである。
ちなみに、れみりゃはそのまま加工場に連れて行かれミンチにされたとか。
「れみりゃはさくやと一緒にゆっくりしたいか?」
「うー。おにいさんがいいならだいじょうぶだど!」
万歳をしながられみりゃは返事をする。
それとは裏腹に両親の思惑に苛立ちと歓迎の気持ちが交差していた。
僕が思うに、問題児のさくやはれみりゃがしっかりしていれば扱いやすかろうと踏んで僕に押し付けたのだろう。
その点に関してはイラっと来たが、日中一匹で過ごしているれみりゃには良き友人が与えられると思い両親には感謝をしたかった。
食後に僕とれみりゃはミルク紅茶を嗜みながら一息ついた。
「れみりゃ、少し前に話したと思うが」
「うー? おにーさんにかのじょができたんだど?」
「違うよ、僕は未だに経験なしのバージン野郎だ」
「う? うー?」
わからない言葉でごまかすのは良くないと友人に忠告されたことがあるが、使い勝手が良いのだから勘弁して欲しい。
「れみりゃはさくやが欲しいか?」
「うー??」
説明もなしに事を言い始められると訳が分からないだろう。
これは数週間前に遡る話だ。
前述した通り、両親はゆっくりを扱う仕事をしている。
主な仕事は業者からペットショップに商品であるゆっくりを流す仕事だ。
そのゆっくりの中には欠陥品―ジャンク―と呼ばれるゆっくりが存在する。
例えば、飾りがかけていたり、性格が改善できないほど悪かったり、個性が強すぎたり。
大抵のジャンクは捕食種の餌替わりに売られたりするのだが、稀少種に関しては処理の問題が難しくなる。
性格や個性が悪くても欲しいという人もいるが、商品化しているゆっくりの全体的な値段を下げることになるので売ることすら出来ない。
その為、知人に明け渡したり、加工場やゆっくり系の企業に被験体として提供することがある。
今回の場合、両親が個性が強すぎて返品され続けた胴付きさくやを引き取って欲しいと連絡が入ったのだ。
曰く、「瀟洒なさくやではない」と。
「そのさくやはれみりゃが好きすぎてゆっくりしてないゆっくりらしい」
通常、さくやは主人としたものを徹底的に慕う。
これを瀟洒なさくや種と呼ぶ。
だが、れみりゃ種への原理的な愛があり、それが強いさくやはれみりゃを求めてペットをストライキすることさえ有る。
ストライキというと、さくやの趣味である家事手伝いをしなくなったり、しまいには暴れて家具を破壊することもある。
今回、自分に頼まれたさくやはれみりゃが好き過ぎて、れみりゃを購入してもらえない飼い主に暴力を振ってしまった強者である。
いざ、れみりゃを充てがえば、れみりゃ本来の我儘で家庭崩壊を起こしてしう結果になってしまった。
胴付きさくやは非情に珍しいこともあり、加工場に渡すのは忍びないということで返品されたゆっくりである。
ちなみに、れみりゃはそのまま加工場に連れて行かれミンチにされたとか。
「れみりゃはさくやと一緒にゆっくりしたいか?」
「うー。おにいさんがいいならだいじょうぶだど!」
万歳をしながられみりゃは返事をする。
それとは裏腹に両親の思惑に苛立ちと歓迎の気持ちが交差していた。
僕が思うに、問題児のさくやはれみりゃがしっかりしていれば扱いやすかろうと踏んで僕に押し付けたのだろう。
その点に関してはイラっと来たが、日中一匹で過ごしているれみりゃには良き友人が与えられると思い両親には感謝をしたかった。
5,
休みの日に僕は一人でさくやを受け取りに実家に戻った。
「ああ、母さんただいま」
実家まで電車で1時間の所なので帰ろうと思えばいつでも帰れる。
「ああ、おかえりなさい。…あれ? れみりゃは?」
ゆっくりは交通機関の使用が禁止されているため連れてこなかった。
と、言うのは方便で、父の言うさくやがどんな奴かを直で見たかったから一人で返って来たのだ。
「今日はさくやを引き取りに来たよ」
玄関でくつを脱いで、傍で僕を見ている母の元に用意されていたスリッパに履き替えた。
「まあ、せっかちね」
勝手知ったる我が実家なのでとやかく言われる筋合いわないと思う。
「とりあえず、お茶でも入れてくるわ」
エプロン姿で休日ルックな母はスリッパのパタパタと響く音と共に食道へと歩いて行った。
その背中についていこうと僕も食道へと向かうと、母以外の誰かが居た。
「あれ、その子」
れみりゃと同じくらいの背丈のゆっくりが母の給仕の手伝いをしている。
「ええ、この子がそうよ」
テーブルに並ぶ椅子の一つの上に立ちながら、急須でお茶を注いでいるさくやが僕に顔を向けた。
「ゆっくりしていってください」
生気を感じない返事で応答すると、直ぐ様目線はお茶の入った湯のみへと戻った。
「えー、なんでここにいるの?」
僕はてっきり両親の仕事場に預けられているものだと思っていたのだが、予想に反していた。
問題児だと聞かされていたので、動物用の籠にでもぶち込まれているものだと思っていたのだ。
さくや種はゆっくりの中でも戦闘力が高い方で、人間に傷を与えることも可能だからだ。
現に、飼い主に怪我をさせた時点で凶暴だと聞いとれた。
だが、目の前にいるのは瀟洒なさくやだ。
「この子、ちょっと弱っているのよ。察してあげてね」
「………」
口には出さないが僕にはわかる。
本来、さくやはペットだ。しかもエリートの。
業者からの訓練もたくさん受け、自分に自身があったに違いない。
だが、自分のリピドーが抑えきれずペットの座を無くしてしまった。
それはすなわちペット失格であり、従者失格でもある。
だから、眼が死んだ魚のように白けているのだろう。
「でも、今日から大丈夫。さくやちゃんはもう一回ペットになれるわ」
「……っ!」
ピクンっと背筋に電流が走ったようだ。
さくやも意識はしていたのだろう。
「しかも、今回はカリスマな“おぜうさま”に仕えることができるのよ」
ガタリと手に持っていた急須をさくやは落し、その場で涙を流して黙り込んだ。
休みの日に僕は一人でさくやを受け取りに実家に戻った。
「ああ、母さんただいま」
実家まで電車で1時間の所なので帰ろうと思えばいつでも帰れる。
「ああ、おかえりなさい。…あれ? れみりゃは?」
ゆっくりは交通機関の使用が禁止されているため連れてこなかった。
と、言うのは方便で、父の言うさくやがどんな奴かを直で見たかったから一人で返って来たのだ。
「今日はさくやを引き取りに来たよ」
玄関でくつを脱いで、傍で僕を見ている母の元に用意されていたスリッパに履き替えた。
「まあ、せっかちね」
勝手知ったる我が実家なのでとやかく言われる筋合いわないと思う。
「とりあえず、お茶でも入れてくるわ」
エプロン姿で休日ルックな母はスリッパのパタパタと響く音と共に食道へと歩いて行った。
その背中についていこうと僕も食道へと向かうと、母以外の誰かが居た。
「あれ、その子」
れみりゃと同じくらいの背丈のゆっくりが母の給仕の手伝いをしている。
「ええ、この子がそうよ」
テーブルに並ぶ椅子の一つの上に立ちながら、急須でお茶を注いでいるさくやが僕に顔を向けた。
「ゆっくりしていってください」
生気を感じない返事で応答すると、直ぐ様目線はお茶の入った湯のみへと戻った。
「えー、なんでここにいるの?」
僕はてっきり両親の仕事場に預けられているものだと思っていたのだが、予想に反していた。
問題児だと聞かされていたので、動物用の籠にでもぶち込まれているものだと思っていたのだ。
さくや種はゆっくりの中でも戦闘力が高い方で、人間に傷を与えることも可能だからだ。
現に、飼い主に怪我をさせた時点で凶暴だと聞いとれた。
だが、目の前にいるのは瀟洒なさくやだ。
「この子、ちょっと弱っているのよ。察してあげてね」
「………」
口には出さないが僕にはわかる。
本来、さくやはペットだ。しかもエリートの。
業者からの訓練もたくさん受け、自分に自身があったに違いない。
だが、自分のリピドーが抑えきれずペットの座を無くしてしまった。
それはすなわちペット失格であり、従者失格でもある。
だから、眼が死んだ魚のように白けているのだろう。
「でも、今日から大丈夫。さくやちゃんはもう一回ペットになれるわ」
「……っ!」
ピクンっと背筋に電流が走ったようだ。
さくやも意識はしていたのだろう。
「しかも、今回はカリスマな“おぜうさま”に仕えることができるのよ」
ガタリと手に持っていた急須をさくやは落し、その場で涙を流して黙り込んだ。
6,
「言ってくれれば車で迎えに行ってあげたのに」
後部座席に載せたさくやと一緒に、僕は母の動かすミニバンに乗って家まで送ってもらっている。
「いや、実家に顔を出したかったのさ」
夕暮れ時の太陽が黒とオレンジの境界線を描く。
大人になったんだなぁと、走る景色を子供の頃と比べて懐かしんだ。
「あのさ、俺もゆっくりを商売にしてみたいんだ」
沈黙を打ち破るように僕は会話を切り出した。
「大学で勉強しているとお母さんとお父さんがやってる仕事に興味を持ったんだ」
ゆっくり売買は日本でしか行われていないマーケットである。
海外にゆっくりを持って行くと魂が抜けたようにゆっくりが死んでしまうため、ペット向けには販売できない。
それでも、ゆっくりを扱う企業はトップクラスの成績を有している。
自分もその産業に手をつけられたらなとわれながら浅はかな考えをもってしての願望だ。
「あんまり良い仕事じゃないわよ」
犬猫と同じようにゆっくりは扱えないことぐらい百も承知だ。
「僕はそこまで情が厚いわけじゃないよ」
ゆっくりは人間の言葉をしゃべるため、商品として扱うときに道徳心をよく痛める。
ノイローゼになって辞めてしまう人もいる。
特に加工場で働く人間は入れ替わりが早くて有名だ。
だが、産業としてはとてつもなく魅力のあるビジネスで合る。
犬猫を越える最高のペットとして君臨するゆっくりをペット面から食料面まで様々なスタイルがあるからだ。
「ゆっくりが可愛いだけで、この仕事は出来ないわよ……」
「わかってるよ……多分」
お母さんは僕をどう見ているのだろうか。
やっぱり、ただの夢見る子供なだけなのかな。
「言ってくれれば車で迎えに行ってあげたのに」
後部座席に載せたさくやと一緒に、僕は母の動かすミニバンに乗って家まで送ってもらっている。
「いや、実家に顔を出したかったのさ」
夕暮れ時の太陽が黒とオレンジの境界線を描く。
大人になったんだなぁと、走る景色を子供の頃と比べて懐かしんだ。
「あのさ、俺もゆっくりを商売にしてみたいんだ」
沈黙を打ち破るように僕は会話を切り出した。
「大学で勉強しているとお母さんとお父さんがやってる仕事に興味を持ったんだ」
ゆっくり売買は日本でしか行われていないマーケットである。
海外にゆっくりを持って行くと魂が抜けたようにゆっくりが死んでしまうため、ペット向けには販売できない。
それでも、ゆっくりを扱う企業はトップクラスの成績を有している。
自分もその産業に手をつけられたらなとわれながら浅はかな考えをもってしての願望だ。
「あんまり良い仕事じゃないわよ」
犬猫と同じようにゆっくりは扱えないことぐらい百も承知だ。
「僕はそこまで情が厚いわけじゃないよ」
ゆっくりは人間の言葉をしゃべるため、商品として扱うときに道徳心をよく痛める。
ノイローゼになって辞めてしまう人もいる。
特に加工場で働く人間は入れ替わりが早くて有名だ。
だが、産業としてはとてつもなく魅力のあるビジネスで合る。
犬猫を越える最高のペットとして君臨するゆっくりをペット面から食料面まで様々なスタイルがあるからだ。
「ゆっくりが可愛いだけで、この仕事は出来ないわよ……」
「わかってるよ……多分」
お母さんは僕をどう見ているのだろうか。
やっぱり、ただの夢見る子供なだけなのかな。
7,
家に着くと、僕はすぐさまインターフォンを鳴らした。
『はーいだどー』
インターフォンのカメラの前で右手を振って返事をする。
『いまあけますだど~』
木製の床を叩く音が近づいてくる。
「ただいまーなんだどー……ままさん?」
「あら、お久しぶりね。元気してた?」
両手を広げた母の胸元にれみりゃは飛びついた。
「うー!! げんきだどー!!! ままさんはだいじょうぶかどー!!?」
「私はいつも通りよ」
うふふと笑いあいながら頬を摺り合う二人を僕と中に入れないさくやは見ていた。
「おい、さくや……」
声をかけようとさくやへ振り向くと体をわなわなと震わせていた。
一体どうしたものかと、顔を覗いてみるとなにやら黒い液体が垂れ下がっている。
「もしや……」
さくやは滝のような涙を流していたのだ。
「おぜうさまぁああああああああ!!!!!!!!」
「うー?」
端からちろりと出たプリンが、勢い余ってぶつかってしまった母のジーパンに染み付いた。
家に着くと、僕はすぐさまインターフォンを鳴らした。
『はーいだどー』
インターフォンのカメラの前で右手を振って返事をする。
『いまあけますだど~』
木製の床を叩く音が近づいてくる。
「ただいまーなんだどー……ままさん?」
「あら、お久しぶりね。元気してた?」
両手を広げた母の胸元にれみりゃは飛びついた。
「うー!! げんきだどー!!! ままさんはだいじょうぶかどー!!?」
「私はいつも通りよ」
うふふと笑いあいながら頬を摺り合う二人を僕と中に入れないさくやは見ていた。
「おい、さくや……」
声をかけようとさくやへ振り向くと体をわなわなと震わせていた。
一体どうしたものかと、顔を覗いてみるとなにやら黒い液体が垂れ下がっている。
「もしや……」
さくやは滝のような涙を流していたのだ。
「おぜうさまぁああああああああ!!!!!!!!」
「うー?」
端からちろりと出たプリンが、勢い余ってぶつかってしまった母のジーパンに染み付いた。
8,
あれから数日がたって、生活も徐々に変化が現れてきた。
「おきてくださいまし、ごしゅじんさま。おぜうさまはもうおっきなさいましたよ? それなのにあなたというひとは」
ガミガミと尻をたたくメイド長が一人増えたといったところだ。
「ねぇ、わかってますの? おぜうさまはあなたがおきるいちじかんまえにごはんをあらってたいてらっしゃるのですよ?」
そんなことは君よりも先に知っていると反論したかったが、あいにく僕は低血圧だ。
「あーうー」
舌っ足らずな僕に腹を立てたのか、さくやはカーテンを全開にする。
「やめてぇ!」
まるで自分を狙い定めていたんじゃないかという光線が目に突き刺さって神経をいじくり倒す。
「むぎゃぁああ」
「ほら、はやくおきてください!!」
上にかぶせてあった布団替わりのバスタオルを剥ぎ取られ、嫌々ながらもベットから起き上がった。
あれから数日がたって、生活も徐々に変化が現れてきた。
「おきてくださいまし、ごしゅじんさま。おぜうさまはもうおっきなさいましたよ? それなのにあなたというひとは」
ガミガミと尻をたたくメイド長が一人増えたといったところだ。
「ねぇ、わかってますの? おぜうさまはあなたがおきるいちじかんまえにごはんをあらってたいてらっしゃるのですよ?」
そんなことは君よりも先に知っていると反論したかったが、あいにく僕は低血圧だ。
「あーうー」
舌っ足らずな僕に腹を立てたのか、さくやはカーテンを全開にする。
「やめてぇ!」
まるで自分を狙い定めていたんじゃないかという光線が目に突き刺さって神経をいじくり倒す。
「むぎゃぁああ」
「ほら、はやくおきてください!!」
上にかぶせてあった布団替わりのバスタオルを剥ぎ取られ、嫌々ながらもベットから起き上がった。
8,
さくやは結構しっかり者のゆっくりだ。
れみりゃの代わりにやっていた家事の全てをさくやが担っているので、僕はただ椅子に座るだけの存在になってしまった。
もちろん、刃物を持たせてはいけないので料理だけは僕のルーチンワークだ。
「おぜうさまはきょうもごりっぱですわ!」
「う、うー……」
目を光らせて賛美するさくやに苦手意識を持つれみりゃは、僕に助けを乞う様に唸る。
だが、僕はそのまま卵焼きをくるくるとへらでひっくり返す。
「おぜうさまこそ、こうまかんのあるじですわ! かりすまあふれるおぜうさまののぶれすおぶりーじゅです!!」
「そ、そんなこと……」
「いいえ! そんなことあります。おぜうさまのかりすまはせかいのすべてをつつむいだいなはきです!!」
そんなこんなでれみりゃ教の信者であるさくやは信仰心を僕に押し付けようとしてくる。
話には聞いていたが、さくやがここまでれみりゃを愛しているとは知らなかった。
多分、このさくやは僕を除外してこうまかんを築きあげたいと目論んでいるフシがある。
いや、僕はれみりゃの従者扱いなのだろう。
れみりゃ以上の存在は居ない、さくやの原理的な思考がじわじわと僕に掛かってくる。
朝起こされるときの愚痴に、今のような当て付けな賛美も。
だが、そんなこんなでさくやの望む世界は来るんじゃないのかなとも思っている。
なぜなら、大学生は4年で飛び立つ生き物だから。
その時が来るのを僕とさくやとれみりゃは各々の希望を乗せて時は動く。
「はい、卵焼きだよ」
そっと差し出された玉子焼きに二匹は喜んで見せる。
僕も笑って見せる。
そんなふうに時間が過ごせたらなぁと僕は希望を持ちながら大人になる夢をみる。
さくやは結構しっかり者のゆっくりだ。
れみりゃの代わりにやっていた家事の全てをさくやが担っているので、僕はただ椅子に座るだけの存在になってしまった。
もちろん、刃物を持たせてはいけないので料理だけは僕のルーチンワークだ。
「おぜうさまはきょうもごりっぱですわ!」
「う、うー……」
目を光らせて賛美するさくやに苦手意識を持つれみりゃは、僕に助けを乞う様に唸る。
だが、僕はそのまま卵焼きをくるくるとへらでひっくり返す。
「おぜうさまこそ、こうまかんのあるじですわ! かりすまあふれるおぜうさまののぶれすおぶりーじゅです!!」
「そ、そんなこと……」
「いいえ! そんなことあります。おぜうさまのかりすまはせかいのすべてをつつむいだいなはきです!!」
そんなこんなでれみりゃ教の信者であるさくやは信仰心を僕に押し付けようとしてくる。
話には聞いていたが、さくやがここまでれみりゃを愛しているとは知らなかった。
多分、このさくやは僕を除外してこうまかんを築きあげたいと目論んでいるフシがある。
いや、僕はれみりゃの従者扱いなのだろう。
れみりゃ以上の存在は居ない、さくやの原理的な思考がじわじわと僕に掛かってくる。
朝起こされるときの愚痴に、今のような当て付けな賛美も。
だが、そんなこんなでさくやの望む世界は来るんじゃないのかなとも思っている。
なぜなら、大学生は4年で飛び立つ生き物だから。
その時が来るのを僕とさくやとれみりゃは各々の希望を乗せて時は動く。
「はい、卵焼きだよ」
そっと差し出された玉子焼きに二匹は喜んで見せる。
僕も笑って見せる。
そんなふうに時間が過ごせたらなぁと僕は希望を持ちながら大人になる夢をみる。
<了>
続編を作る際には、紅魔館メンバーをどんどん付け足す感じになると思います。
でわでわ。
でわでわ。