ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3727 きょせいきょうせい(後)
最終更新:
ankoss
-
view
『きょせいきょうせい(後)』 25KB
虐待 自業自得 家族崩壊 番い 現代 独自設定 ぺにまむ 後編。虐待SSは難しいと、改めて実感
虐待 自業自得 家族崩壊 番い 現代 独自設定 ぺにまむ 後編。虐待SSは難しいと、改めて実感
※注
- anko3726「きょせいきょうせい(前)」の後編となります
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――まりさは、確かに飼いゆっくりとしては愚かなゆっくりだったと言えるだろう。
…だが、金バッジ試験の内容を合格することができたその餡子脳は、短い野良ゆっくりの生活の中から一つだけ大切なことを学び取っていた。
…だが、金バッジ試験の内容を合格することができたその餡子脳は、短い野良ゆっくりの生活の中から一つだけ大切なことを学び取っていた。
『ゆっくりにとってバッジの有無とは、天と地ほどの差がある』ということを――
――あれは忘れもしない。まりさが初めて飼い主の元へと貰われていった日のことだ。
餡統書付きの金バッジとして生まれ、赤ゆの頃から飼いゆっくりとしての教育を叩きこまれてきたまりさに待っていたもの。
…それは、今まで学んできた飼いゆっくりの知識とは遥かにかけ離れた、最高にゆっくりした生活であった。
餡統書付きの金バッジとして生まれ、赤ゆの頃から飼いゆっくりとしての教育を叩きこまれてきたまりさに待っていたもの。
…それは、今まで学んできた飼いゆっくりの知識とは遥かにかけ離れた、最高にゆっくりした生活であった。
まるで神に接するかのごとく、逆らってはいけない。言うことを聞かなければならないと教えられてきた『にんげんさん』は、まりさが望むままに食事やあまあまを持ってきてくれ、多少のわがままだって聞いてくれた。
飼い主だけではない。まりさの『おうち』に入ってきた他の人間さん達もまた、まりさが挨拶すると快く返事を返してくれるし、時にはあまあまを貰ったり、なでなでして貰ったりといっぱいいっぱい可愛がってくれた。
飼い主だけではない。まりさの『おうち』に入ってきた他の人間さん達もまた、まりさが挨拶すると快く返事を返してくれるし、時にはあまあまを貰ったり、なでなでして貰ったりといっぱいいっぱい可愛がってくれた。
初めてお外に出た時もそうだった。
あんなにも関わってはいけない。怖い怖いと言われて続けていた野良ゆっくり達は、いつもまりさを尊敬の眼差しで見つめてくる。
歩いているだけで沢山の野良ゆっくりからプロポーズを受け、中にはいきなりまむまむを開いて誘惑してくる者までいたほどだ。
公園内で噂になっている『らんぼうものまりさ』も、まりさのことを一目置いており、まさに怖いもの無しの好待遇であった。
あんなにも関わってはいけない。怖い怖いと言われて続けていた野良ゆっくり達は、いつもまりさを尊敬の眼差しで見つめてくる。
歩いているだけで沢山の野良ゆっくりからプロポーズを受け、中にはいきなりまむまむを開いて誘惑してくる者までいたほどだ。
公園内で噂になっている『らんぼうものまりさ』も、まりさのことを一目置いており、まさに怖いもの無しの好待遇であった。
…飼いゆっくりになって最初のころは、何をするにあたってもおっかなびっくりしていたまりさだったが、時が経つにつれてその生活が当たり前のようになってくると、いつしか自分の中にある考えが浮かんでくるようになっていた。
(じぶんは『かいゆっくり』のなかでも、とくにえらばれたそんざいなんだよ!)
だから、人間さんも野良ゆっくりも、普通の飼いゆっくり以上に特別扱いしてくれる。
自分には、いろんな人間さんやゆっくりを引きつける『みりょくっ』がある。
自分には、いろんな人間さんやゆっくりを引きつける『みりょくっ』がある。
飼い主の仕事が激化し、家に帰る暇が少なくなったことが不幸にも後押しとなり、まりさの増長は静かにむくむくと膨らんでいった。
――そして、ついに爆発の時が訪れる。
きっかけは、飼い主がまりさの誕生日に、ありすを新しい家族の一員として連れてきた事であった。
ずっと仕事で構ってやれず、まりさに寂しい思いをさせていると懸念したのだろう。たまたま売り出し期間を過ぎて安売りしていた金バッジありすを衝動買いし、まりさと一緒に住まわせる事にしたのだ。
きっかけは、飼い主がまりさの誕生日に、ありすを新しい家族の一員として連れてきた事であった。
ずっと仕事で構ってやれず、まりさに寂しい思いをさせていると懸念したのだろう。たまたま売り出し期間を過ぎて安売りしていた金バッジありすを衝動買いし、まりさと一緒に住まわせる事にしたのだ。
…もし、飼い主がありすを飼う前に、まりさのバッジの再試験を行っていたのならば、この問題は未然に防げたのかもしれない。
この時まりさはすでに金バッジとしての倫理が欠如しており『飼い主に最低限の迷惑をかけない』レベルである銀バッジですら通過できない状態であったのだから。
だが、飼い主はそれをしなかった。
仕事で忙しかったという理由もあったが、何より飼いゆっくり初心者であった飼い主がゆっくりのバッジシステムを過信し過ぎていたこと。
『無知』
それこそが、まりさの暴走を止め切れなかった最大の原因であった。
この時まりさはすでに金バッジとしての倫理が欠如しており『飼い主に最低限の迷惑をかけない』レベルである銀バッジですら通過できない状態であったのだから。
だが、飼い主はそれをしなかった。
仕事で忙しかったという理由もあったが、何より飼いゆっくり初心者であった飼い主がゆっくりのバッジシステムを過信し過ぎていたこと。
『無知』
それこそが、まりさの暴走を止め切れなかった最大の原因であった。
野良とは違う、完成された美貌を持つありすを見て、増長したまりさの理性の糸が切れるのはもはや時間の問題だった。
もちろん金バッジ試験を叩きこまれてすぐのありすは、まりさとのすっきりを断固として拒否し続けていたが、やがてパートナーを用意して安心し切った飼い主との交流が疎遠になるに従い、ありすもまた先方のまりさのように次第に増長が現れ始めていき――
――胎生にんっしんで産んだ子まりさを飼い主に見せた所で、まりさ達の飼いゆっくり生活は唐突に終わりを迎えた。
もちろん金バッジ試験を叩きこまれてすぐのありすは、まりさとのすっきりを断固として拒否し続けていたが、やがてパートナーを用意して安心し切った飼い主との交流が疎遠になるに従い、ありすもまた先方のまりさのように次第に増長が現れ始めていき――
――胎生にんっしんで産んだ子まりさを飼い主に見せた所で、まりさ達の飼いゆっくり生活は唐突に終わりを迎えた。
それでもまりさ達は、自分には『みりょくっ』があると信じ続け、事態を楽観視し続けていた。
あの飼い主が駄目でも、まりさ達に好意的な人間さんはまだに沢山いる。最低野良で生きていくにしても、人気者の自分達なら平均以上の暮らしができると。
生まれてこのかた温室育ちであったまりさ達もまた、『無知』によって己の身を滅ぼす結果となったのである。
あの飼い主が駄目でも、まりさ達に好意的な人間さんはまだに沢山いる。最低野良で生きていくにしても、人気者の自分達なら平均以上の暮らしができると。
生まれてこのかた温室育ちであったまりさ達もまた、『無知』によって己の身を滅ぼす結果となったのである。
…最も、その思い込みが間違いだと気付くのには、それほど時間は掛からなかった。
声をかければ振り向き、優しく接してくれていた人間さんは、今では誰も立ち止まってはくれなくなっていた。
それどころか、まるでゆっくりできないものを見るかのような目で睨みつけられたり、酷い時には蹴飛ばされたりすることすらあった。
声をかければ振り向き、優しく接してくれていた人間さんは、今では誰も立ち止まってはくれなくなっていた。
それどころか、まるでゆっくりできないものを見るかのような目で睨みつけられたり、酷い時には蹴飛ばされたりすることすらあった。
野良ゆっくりに対しても同様だった。
あんなにゆっくりしてるゆっくりしてると言っていた野良達の目が、今では蔑み、軽蔑の視線をこちらへ向けてくる。
よく遊び回っていた公園では『かいゆっくりをすてた、おろかなゆっくり』と嘲笑され、自分に味方してくれる者はもはや誰もいなくなっていた。
さらに追い打ちをかけるように『らんぼうものまりさ』に理不尽な理由でボコボコにされ、必死で集めた食料を全て奪われたところでやっと、まりさ達は理解することができた。
あんなにゆっくりしてるゆっくりしてると言っていた野良達の目が、今では蔑み、軽蔑の視線をこちらへ向けてくる。
よく遊び回っていた公園では『かいゆっくりをすてた、おろかなゆっくり』と嘲笑され、自分に味方してくれる者はもはや誰もいなくなっていた。
さらに追い打ちをかけるように『らんぼうものまりさ』に理不尽な理由でボコボコにされ、必死で集めた食料を全て奪われたところでやっと、まりさ達は理解することができた。
今まで人間さんと野良ゆっくり達が見ていたのは『まりさ』ではなく、帽子に貼りついた『飼いゆっくりのバッジ』だけだった。ということに――
――頭の中に次々と浮かび上がってくる過去の記憶を振り払おうと、まりさは軽く頭を振った。
そして目の前の現実に、ゆっくりと視界を合わせていく。
そして目の前の現実に、ゆっくりと視界を合わせていく。
「お、おちょーちゃぁぁん…ゆぎゅ、も、もうこいちゅ、ころちてよぉぉぉ…!」
愛するおちびちゃんがもるもるプルンプルンと、体とぺにぺにを震わせて叫ぶ姿を見てまりさの心が一瞬揺らぐ。
だが、すぐにその先にぶら下がる『希望』に後押しされ、何とか気持ちを立て直す。
だが、すぐにその先にぶら下がる『希望』に後押しされ、何とか気持ちを立て直す。
(ごめんね、おちびちゃん…だけど、これはおちびちゃんのしあわせー! のためでもあるんだよ…)
そう自分に強く言い聞かせ、まりさは割り箸を銜える歯に更に力を込める。
…この状況は、まりさ達にとってもゆん生最大のチャンスであった。
ここで従順なゆっくりとして振舞い、人間さんの機嫌を取ることが出来さえすれば、まりさ達もまた飼いゆっくりに戻れるかも知れない。
銅バッジでも構わない。とにかく飼いゆっくりになれさえすれば、またあの日々が戻ってくるんだ。
だから――
ここで従順なゆっくりとして振舞い、人間さんの機嫌を取ることが出来さえすれば、まりさ達もまた飼いゆっくりに戻れるかも知れない。
銅バッジでも構わない。とにかく飼いゆっくりになれさえすれば、またあの日々が戻ってくるんだ。
だから――
「おちびちゃん………ごめんねぇぇぇぇっ!!」
ぷちゅっ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「…」
押さえつけていた手にずしりと圧力が伝わると同時に、突然暴れ回っていた子まりさが静かになった。
そのあまりの唐突さから、最初親まりさが狙いを誤って子まりさを殺してしまったのかとも思ったほどだ。
そのあまりの唐突さから、最初親まりさが狙いを誤って子まりさを殺してしまったのかとも思ったほどだ。
「……………………ゅ?」
ここからでは良く見えないので、親まりさを見下ろすように屈みこみ、その口元から伸びる割り箸を眼で辿っていく。
「……・ゅ……ゆ? ゆ!? ゆ!? ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!?」
本来の役目を終えてからかなりの時間が経過したであろう、黒ずんだ木製の箸。
…その先端は、子まりさのあんよの下――ちょうどぺにぺにの一番膨らんだ個所に突き刺さっていた。
…その先端は、子まりさのあんよの下――ちょうどぺにぺにの一番膨らんだ個所に突き刺さっていた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああああああああああああああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああ!?」
周囲を見ると、少し前まで子まりさを形成していた黒い飛沫があちこちに飛び散っているのが見えた。
中身を放出し、皮だけとなったぺにぺにを中心にして撒き散らされたそれは、まるで子まりさの惨めさをさらに引き立てる役割を果たしているかのようだ。
中身を放出し、皮だけとなったぺにぺにを中心にして撒き散らされたそれは、まるで子まりさの惨めさをさらに引き立てる役割を果たしているかのようだ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアア!! ああああああああああアアああアアアアああアアアアアアああああああああアぁぁぁあぁぁぁあああぁ~ あああああああああアああああああ~~あ~あああぁああああ~! あが!! あぁ~!!」
時間が経つごとに、子まりさの悲鳴が壊れたテープを再生するかのように崩れ始めてきた。
視線は完全に焦点が定まっておらず、ぐるぐるぐるぐると目の前と自分の足元の間を暴れ回っているその様は、必死に今の現実を拒絶しているかのようにも感じとれた。
視線は完全に焦点が定まっておらず、ぐるぐるぐるぐると目の前と自分の足元の間を暴れ回っているその様は、必死に今の現実を拒絶しているかのようにも感じとれた。
「あァあああああああああああああああああああああっああああああああああアアアああああああああアぁぁぁあぁぁぁあああぁ~! あああああああああアあああああああああああああああああああああああああぁぁ~あああああああああああっああああああああああ――」
「……」
「おいまりさ」
「ひっ!?」
「おいまりさ」
「ひっ!?」
子まりさの反応に意識を失ってしまっていたのか、割り箸を銜えたまま黙っている親まりさに向かって声をかける。
その一声で我に返ったらしく、突然親まりさの体がびくりと硬直した。
その一声で我に返ったらしく、突然親まりさの体がびくりと硬直した。
「それ、ゆ着(癒着)しないようにちゃんと切り離しておけよ」
「……」
「……」
親まりさは何も答えなかった。
それでも言葉の内容は理解したらしく、ただ黙々と銜えた割り箸を横へ横へとずらしていく。
それでも言葉の内容は理解したらしく、ただ黙々と銜えた割り箸を横へ横へとずらしていく。
…ずずっ…ぶちぶちっ…
「あアッ!? ガ ィギィィィィィィィィィィ!?」
親まりさが割り箸を動かすたびにぺにぺにだったものがブチブチと裂け、子まりさが再び言葉にし難い悲鳴をあげた。
ぐちゃぐちゃになった傷口をさらに掻き回されているのだ。その激痛は知るべくもないだろう。
ぐちゃぐちゃになった傷口をさらに掻き回されているのだ。その激痛は知るべくもないだろう。
ぶちちちち…びちぃっ!!
「イ"!?」
――そしてついに、子まりさのぺにぺには切り落とされ、ころころと俺の足元に転がった。
その持ち主のいなくなった先端部分を指でつまみ、勢いよく後ろの茂みへと放り投げる。
その持ち主のいなくなった先端部分を指でつまみ、勢いよく後ろの茂みへと放り投げる。
「ぁ…」
「何? どうせもう必要無いだろ。それとも何か文句でもあんの?」
「…ゅぅ……」
「何? どうせもう必要無いだろ。それとも何か文句でもあんの?」
「…ゅぅ……」
ぺに片を放った際、ありすが何やら物言いたそうにしていたが、一睨みしたらすぐに大人しくなった。
そして暗い面持ちのまま子まりさの下まで這い寄ると、傷口を舐めて気休め程度の治療を試み始める。
そして暗い面持ちのまま子まりさの下まで這い寄ると、傷口を舐めて気休め程度の治療を試み始める。
「ぺーろ…ぺーろぉ…おちびぢゃん…ごべんね…ごべんねぇぇぇぇ…」
「あ"…ア"…………あぁ……ぁ…」
「あ"…ア"…………あぁ……ぁ…」
虚ろな表情で虚空を見上げる子まりさの瞳からは、完全に光が失われていた。
実際に見た事は無いが、これが俗に言う『レイプ目』というやつなのだろうか。
実際に見た事は無いが、これが俗に言う『レイプ目』というやつなのだろうか。
「…………にんげん…ざん…」
うっかり聞き逃してしまいそうなほどのかすれ声に気が付き、ふと足元を見てみる。
そこには、子まりさと同じくらい憔悴し切った顔をした親まりさが、縋りつくような眼でこちらを見上げていた。
もはやゆっくりの見せるものとは思えないその表情は、悲壮感と絶望感をこれ以上ないというほどに表現しているようだ。
そこには、子まりさと同じくらい憔悴し切った顔をした親まりさが、縋りつくような眼でこちらを見上げていた。
もはやゆっくりの見せるものとは思えないその表情は、悲壮感と絶望感をこれ以上ないというほどに表現しているようだ。
「まりざ……ぢゃんどやっだよ…ごれで…がいゆっぐりになれるんだよねぇぇぇぇぇ…?」
「…ん~、まぁ、確かにお前のこと、少しは見直したわ。正直ここまでするとは思わなかったし」
「ほん……ど…?」
「ああ本当だ。いや、さすが元金バッジだわ、偉い偉い」
「…ん~、まぁ、確かにお前のこと、少しは見直したわ。正直ここまでするとは思わなかったし」
「ほん……ど…?」
「ああ本当だ。いや、さすが元金バッジだわ、偉い偉い」
その一言で心の支えが外れたのか、親まりさの両目から大量の砂糖水がぼたぼたと溢れ出した。
まるで臨界点を超えたかのように流れ落ちていく砂糖水が、親まりさの足元で水たまりを形成していく。
まるで臨界点を超えたかのように流れ落ちていく砂糖水が、親まりさの足元で水たまりを形成していく。
「ゆ"うぅぅぅぅ…ゆう"う"う"う"う"う"う"ぅぅ……やっだ…やっだよぉぉぉぉぉ…」
…どうやら、いつの間にか自分も飼いゆっくりにして貰えると勘違いしているようだが、あえて指摘しないでやることにした。
「じゃあさ、まりさ――」
これから告げる言葉への、せめてもの気休めとして
「次は、こいつのまむまむも潰してね」
「」
「」
「…もう一度言おうか? 今度は、こいつのまむまむも潰してね」
「」
「」
「聞こえてる? 今度は、こいつのまむまむも潰してね」
「」
「」
親まりさは、何も答えなかった。
砂糖水でぐしゃぐしゃになった顔のまま、ぴくりとも動かずに固まっている。
砂糖水でぐしゃぐしゃになった顔のまま、ぴくりとも動かずに固まっている。
後ろを振り向くと、ありすも同じように固まっていた。
公園内とは思えないほどの静寂の中、失速気味になってきた子まりさの「あっあっあっ」という呻き声だけがただただ木霊していた。
公園内とは思えないほどの静寂の中、失速気味になってきた子まりさの「あっあっあっ」という呻き声だけがただただ木霊していた。
「にんげん さ ん?」
数十秒くらい経っただろうか。やっとのことで親まりさが途切れ途切れの声を絞り出す。
あまりのショックに突き抜けて一周してしまったのだろうか。その落ち着いた口調には、今までとは違う威圧感がこもっているような気がした。
あまりのショックに突き抜けて一周してしまったのだろうか。その落ち着いた口調には、今までとは違う威圧感がこもっているような気がした。
「まりさ だ ました の? うそ ついた の? 」
「…騙した? 何言ってんの?」
「…騙した? 何言ってんの?」
びくんびくんと痙攣している子まりさを掴み、持ち上げる。
「俺はね、おちびちゃんを『去勢』しろって言ったんだよ。まむまむが残ってたら、意味無いじゃないか」
あれほどまでに抵抗していた子まりさも、今ではすっかり大人しくなってしまった。
もう一度、子まりさの状態を観察する。
髪の毛でぺにぺにを縛っていたのが功を奏したのだろう。潰れたぺにぺに以外の外傷はほとんど無く、傷口は窄まってまむまむへと戻っていた。
少々の餡が付着したそれは、まるでロストバージンしたま…いや、考えない方が良さそうだ、気分が悪くなる。
もう一度、子まりさの状態を観察する。
髪の毛でぺにぺにを縛っていたのが功を奏したのだろう。潰れたぺにぺに以外の外傷はほとんど無く、傷口は窄まってまむまむへと戻っていた。
少々の餡が付着したそれは、まるでロストバージンしたま…いや、考えない方が良さそうだ、気分が悪くなる。
「…あ…ぁ………ぁ…」
先ほどの内容が聞こえているかどうかわからないが、子まりさの表情は未だ、虚ろなままだ。
失餡はさほどでもないから死にはしないだろうが、精神的にはもう限界とでも言うべきだろうか。
その子まりさをとん。と親まりさの前に置き、ありすを後ろに置いて支えにしてやる。
失餡はさほどでもないから死にはしないだろうが、精神的にはもう限界とでも言うべきだろうか。
その子まりさをとん。と親まりさの前に置き、ありすを後ろに置いて支えにしてやる。
「さ、今度はありすにも手伝ってもらわないとな。飼いゆっくりになるための二人の共同作業だ、感動的だね」
「そ そんな… なん で なん で?」
「…ぁ………ぁぁ…ぁ」
「そ そんな… なん で なん で?」
「…ぁ………ぁぁ…ぁ」
「いやいや、何でもなにもさぁ――」
ぶるぶる――いや、わなわなと震える親まりさの後ろへ回り込み、腰をかがめる。
そしてゆっくりと、静かに親まりさの後頭部に向かって囁いた。
そしてゆっくりと、静かに親まりさの後頭部に向かって囁いた。
「もう、あとにはひきかえせないんじゃないの?」
「――――!?」
「――――!?」
「いまやめたら、おちびちゃんどうおもうかなぁ? ぺにぺにきられて、かいゆっくりにもなれなくて、どうおもうかなぁ?」
「ゆ……ゅ…」
「ゆ……ゅ…」
「ほら、おちびちゃん。あんなにくるしがってるよ? ゆっくりできないことは、はやくおわらせてあげたほうがいいんじゃないかなぁ?」
「…ゅぁ…ぁ……ぁ」
「…ゅぁ…ぁ……ぁ」
「…どうするの?」
『飼いゆっくりにしたいの? したくないの?』
「あ"
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
ぶじゅっ!!
「あ"ギぃっ!? ア"! ア"―――――!! ア"ア"ア"――――――――z!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
ずぶっ! ずぶっ! ずぶっ!!
「ア"ア"ア"ア"!! あ゛ア゛ァ―――――――! ぽぴいいいいいィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイ!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「おいおい、それじゃただ割り箸を『そうっにゅう!!』して、よがらせてるだけじゃねぇか。ちゃんと掻き回して使い物にならないようにしないと…」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
ぐじゅっ!! ぐじゅっ! ぐじぐじゅっ!!
「ピいいいいいィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイア"ア"ア"ァ"ア"――ッアアアアアアアアアァァアアアアアアアアアアアアアア"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「――そうそう、その調子その調子。ちゃんとやらないとおちびちゃんの苦しむ時間が伸びるだけだぞ」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
まりさは、ひたすら叫び続けた。
ありすも、おちびちゃんも、ただただ叫び続けた。
後戻りできない今の現状から、少しでも逃げるために。
今やっていることを忘れてしまえるよう、少しでも狂うために。
――それなのに、人間さんの冷静な声だけは、なぜか鮮明に聞こえた。
「――おーい。お前ら、ちゃんと起きてる?」
「………」
「……ゅ…」
「………」
「……ゅ…」
下を向いて固まったまま動かない二匹の頬を、両手でぺちぺちと叩く。
精神状態によって変化するのだろうか? 饅頭とは思えないほど張りの無くなった小麦粉の皮を揺すっていると、かろうじて呻くような声が洩れた。
精神状態によって変化するのだろうか? 饅頭とは思えないほど張りの無くなった小麦粉の皮を揺すっていると、かろうじて呻くような声が洩れた。
「あぁ良かった。全く返事しないもんだから、どうしたのかと心配しちゃったよ」
「……ゅ……」
「…ぅ……ぅ…」
「……ゅ……」
「…ぅ……ぅ…」
最初に会った時も相当ボロボロの外見だったが、今ではそれに惨めさもプラスされ、さらに酷い状態となっていた。
…心なしか、体つきも一回りほど縮んだような気がする。
…心なしか、体つきも一回りほど縮んだような気がする。
「…ぼ…いぃ……でじょぉ……」
「何が?」
「おぢび…ぢゃ…べに…べ……づぶじ…だ…まぶば……ぼ…」
「何が?」
「おぢび…ぢゃ…べに…べ……づぶじ…だ…まぶば……ぼ…」
先ほどぺにぺにを潰した時に、水分を全て出し尽くしてしまったのだろうか。今度の親まりさは一滴も涙を流していなかった。
…その代わり、生気を失ったかのような乾いた瞳でこちらをじっと見上げている。
…その代わり、生気を失ったかのような乾いた瞳でこちらをじっと見上げている。
「おぢびぢゃ……どご…どごぉ……?」
辺りをふらふらとさまよっているありすの全身には、あちこちにかすれた様な傷跡が浮かんでいた。
恐らく、押さえつけていた際に子まりさの体ごしから割り箸の衝撃を受け続けていたのだろう。
それでも、その痛みを気にすることなく我が子を求めて瞳をぎょろぎょろと動かすその姿は、ある意味『ぼせい』が成せることなのだろうか。
恐らく、押さえつけていた際に子まりさの体ごしから割り箸の衝撃を受け続けていたのだろう。
それでも、その痛みを気にすることなく我が子を求めて瞳をぎょろぎょろと動かすその姿は、ある意味『ぼせい』が成せることなのだろうか。
「どご……おぢびぢゃ…ありずはごごよ……おぢび…ぢゃ…」
「に…げん……ざ……おぢび…どご…?」
「どこ? 何言ってんの。さっきからずっとそこにいるじゃん
「に…げん……ざ……おぢび…どご…?」
「どこ? 何言ってんの。さっきからずっとそこにいるじゃん
そう言ったところで俺は落ちていた帽子に気付き、あぁ と小さく声をあげた。
その帽子の先端を指でつまみ上げ、軽く形を整える。
その帽子の先端を指でつまみ上げ、軽く形を整える。
「ほら、これで分かるかな」
そのすぐ近くにいた持ち主に帽子を被せると、俺は両親の二匹の顔をこちらへと向けさせてやる。
そして――
そして――
「ぴょぴゅ~! ぴょピぃぴゅピピぴぃ!! あピょぴゅっ ピュぴぴぃぃいいいぃぃぃぃぃぃぃぃいぃいいいいぃィィぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
――そこには、意味不明な奇声を上げ続ける帽子の持ち主がいた。
「ぺにゅぺにゅ!! ぺにゅぺにゅぺニュぺにゅ~ゥ!! ぷチゅ! ぶっちゅブッチゅちょぅぅゥゥゥゥゥウウウぅ~ん!! ぱぴェ!!」
頭と胴体を逆方向に捻じりながら、その持ち主は仰向けにころんと倒れた。
そのはずみで、再び被っていた帽子が地面に落ちる。
そのはずみで、再び被っていた帽子が地面に落ちる。
「あ~あ、また落としたよ。普段はこのくらいじゃ落とさないはずなのに」
「……ぁ………ぁ…」
「ぉ…おぢび……ぢゃ…?」
「……ぁ………ぁ…」
「ぉ…おぢび……ぢゃ…?」
「キゅぷっちっ!! きゅプきュぷきゅぷっチ!! ぎょぴょピぇぴぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~!! 」
「ほら動くな。ちゃんと帽子被んないとゆっくりできないんだろ、お前らは」
「ほら動くな。ちゃんと帽子被んないとゆっくりできないんだろ、お前らは」
持ち主が奇声を上げながら笑い回り、跳ね回り、転がり回るごとに、帽子は何度も持ち主の元を離れる。
それでも両親の二匹は、今見たものだけで十分に理解することができた。
それでも両親の二匹は、今見たものだけで十分に理解することができた。
――おちびちゃんはもう、壊れてしまったということに。
「…この通り、非ゆっくちを突き抜けて狂っちまったな。おちびちゃん」
「……あ…あ…あああ…」
「…なんで…なん…で…」
「まぁ――当然だろうな。いきなりぺにぺにとまむまむを潰されて、しかもそれをやったのが大好きなお父さんときたもんじゃ、おかしくなっても無理無いわ」
「………ぞ…ん…な…」
「あ、そうそう。解ってるとは思うけど、飼いゆっくりにする話は無しな。こんなイカレゆっくり押し付けられて絶対ゆっくりできるわけ無いし、俺も困るから」
「……え…?」
「残念だったな」
「……あ…あ…あああ…」
「…なんで…なん…で…」
「まぁ――当然だろうな。いきなりぺにぺにとまむまむを潰されて、しかもそれをやったのが大好きなお父さんときたもんじゃ、おかしくなっても無理無いわ」
「………ぞ…ん…な…」
「あ、そうそう。解ってるとは思うけど、飼いゆっくりにする話は無しな。こんなイカレゆっくり押し付けられて絶対ゆっくりできるわけ無いし、俺も困るから」
「……え…?」
「残念だったな」
いきなり告げられたその一言に、二匹の両目が剥き出さんばかりに見開かれた。
飼いゆっくりになれない。
今までずっと縋りついていた、どんなことをしてでも得ようとした、唯一の希望。
あんなにも人間さんの言うことを聞いたのに
あんなにもおちびちゃんをゆっくりできなくしたのに?
あんなにも人間さんの言うことを聞いたのに
あんなにもおちびちゃんをゆっくりできなくしたのに?
なんで?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!?
「…なん…で…?」
「?」
「?」
「なんで……ごんな…ごと…ずる…の?」
「……」
「……」
「まりざ…だち……ただ…ゆっ…り…したか……だけ…な…に…」
「…『何で?』 お前それ、本気で言ってんの?」
「――――――――!?」
「――――――――!?」
「むしろ俺はさぁ、逆にお前達に聞きたいよ『なんでこんなに、ゆっくりできないことばかりするの!?』」
「――――――――!?」
「――――――――!?」
「だってそうだろ。約束を破って、飼いゆっくりとして育ててくれたペットショップの人をゆっくりできなくさせて――」
「…ぁ……ぁ…ぁ…」
「…ぁ……ぁ…ぁ…」
「自分達のわがままで、今まで面倒見てくれた飼い主さんをゆっくりできなくさせて――」
「…ゃだ…やべ…ゃべ…で…」
「…ゃだ…やべ…ゃべ…で…」
「野良に落ちて、自分達どころか周りの人達までゆっくりできなくさせて、それどころかおちびちゃんまでゆっくりできなくさせて――」
「やべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやべでぇぇ!」
「やべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやべでやべでやへでやべでやべでやべでやべでぇぇ!」
「挙句の果てに、ゆっくりできなくなったおちびちゃんを押し付けようとして、俺までゆっくりできなくさせようとして――」
「あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"あ"ア"あ"!!!!」
「あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"あ"ア"あ"!!!!」
「――ねぇお前達、なんでこんなにゆっくりできないことばかりするの? 皆のゆっくりを奪って、何が楽しいの?」
『お前達、本当にゆっくりなの?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「――801番の番号札のお客様、窓口までお越しください」
「はい」
「はい」
清潔感で満たされた、白を基調とした待合室の中で、俺はゆっくりと立ち上がった。
そして足元に置いた段ボール箱を両手に抱え、空いていた窓口の席へと座る。
そして足元に置いた段ボール箱を両手に抱え、空いていた窓口の席へと座る。
「用件は――ゆっくりの持ち込みですか?」
「あぁはい。公園内にいた野良なんですが、どうも飼われていたものらしいんで…」
「飼いゆっくりを証明するバッジ等は?」
「…いや、バッジは持ってませんでした。跡もちょっと見つけられなくて…」
「そうですか。そのゆっくりは、箱の中に?」
「はい、確認しますか?」
「あぁはい。公園内にいた野良なんですが、どうも飼われていたものらしいんで…」
「飼いゆっくりを証明するバッジ等は?」
「…いや、バッジは持ってませんでした。跡もちょっと見つけられなくて…」
「そうですか。そのゆっくりは、箱の中に?」
「はい、確認しますか?」
そう言って段ボール箱を手渡すと、職員はガムテープを剥がし、箱の蓋を開けた。
「ごめんなざいごめんなざざびゆっぐりざぜなぐでごめんなジャいおみぜのおにいざごめんなざいやぐぞぐやぶっじぇごめんなざざいおねえざんごめんなざいわがばばいっでごべんなざいおぢびざんごべんだだいだめなおどうざんでごめめんなざいおねおねおねざんごめんなざいわがわがわががばばいっでごべんなざいおみぜのおにいじゃんごめんなざびやぐぞグやぶっでごめなななざいおいぜのおにいざんごめんなざいやぐぐぐぞぐやぶっでごめんなざいおぢびぢびぢゃんごべんなざいだめなおぼうざんでごめんばばい……」
箱の中では、呪詛のような謝罪の言葉を撒き散らす、二匹のゆっくりが入っていた。
まりさは、焦点を失った目で天井を見上げたまま、ひたすら店の人を、飼い主を、我が子に対して謝罪を繰り返していた。もはや呂律が回らないのか、何度もつっかえたり言葉が崩れたりしてもなお、止まる気配はない。
「おぢびぢゃん……おぢ…おぢびぢゃぁぁん……ごべんねぇぇ…ごべんねぇぇ…ごべんねぇぇ…おぢ…おぢびぢび……おぢび…おぢびぢゃぁぁん……ごべんねぇぇ…おぢびぃぃぃぃぃぃぃぃ…ごべんごべんごべんごべんごべんごべんごべんごべんごベンごべんごべんごべんんん……」
もう一匹――逆さになっているが、恐らくありすだろう。奇声にも近いかすれた声を出しながら、ひたすら目の前の丸い物体を舐め続けている。
言葉から察するに、恐らくあれがありすにとっての『おちびちゃん』なのだろう。何度も舐められたせいで外皮が完全に削り取られており、もはや何の種類だったのかすら分からなくなっているが。
言葉から察するに、恐らくあれがありすにとっての『おちびちゃん』なのだろう。何度も舐められたせいで外皮が完全に削り取られており、もはや何の種類だったのかすら分からなくなっているが。
あまりにも異常な二匹の姿に気分を悪くしたのか、職員はすぐに箱の蓋を閉めた。
それでも顔色一つ変えていないところは、さすが『加工所』職員というべきだろうか。
それでも顔色一つ変えていないところは、さすが『加工所』職員というべきだろうか。
「これ、最初からこの状態だったのですか?」
「ええ。言葉からするに、前に誰かに飼われていたらしいんで、ここに持ってきた方が良いかなと」
「そうですか…分かりました」
「ええ。言葉からするに、前に誰かに飼われていたらしいんで、ここに持ってきた方が良いかなと」
「そうですか…分かりました」
それだけ言うと、職員は段ボール箱を受付の向こう側に置き、代わりに一枚の手続きの用の紙を窓口に置いた。
「そこに拾った時の詳細を書いてください。三日以内に飼い主が現れた際、それが重要な手掛かりとなりますので」
「はい。分かりました」
「はい。分かりました」
…恐らく職員も、絶対に持ち主が来ないとは思っているのだろう。
それでも、業務内容に従って手続きを行うその姿には、ある意味プロ意識のようなものを感じた。
それでも、業務内容に従って手続きを行うその姿には、ある意味プロ意識のようなものを感じた。
原則的に、加工所に「回収」されたゆっくりは、三日間の猶予を置いて処分される。
もしバッジ付きの飼いゆっくりを誤って処分し、それが発覚してしまうと、銅バッジといえど法的な罰則が発生するためである。
(バッジ付きの飼いゆっくりは『人間の所有物』として扱われるため、障害や事故には他のペットと同じく器物破損罪が適用される)
…最も、万が一のための措置であるため、引き取りに来る人間は全くと言っていいほど皆無なのだが…
もしバッジ付きの飼いゆっくりを誤って処分し、それが発覚してしまうと、銅バッジといえど法的な罰則が発生するためである。
(バッジ付きの飼いゆっくりは『人間の所有物』として扱われるため、障害や事故には他のペットと同じく器物破損罪が適用される)
…最も、万が一のための措置であるため、引き取りに来る人間は全くと言っていいほど皆無なのだが…
「それと、ご存知かもしれませんが、大半の公共施設内には野良ゆっくりの回収ボックスがあるので、今度からはそこに入れて頂くだけで結構ですよ」
「分かりました。ご親切にどうも」
「分かりました。ご親切にどうも」
形だけの手続きを終えた後、俺は軽く職員に会釈してその場を後にした。
――野良ゆっくり専用の回収ボックスが出来てからというもの、加工所への持ち込み件数は急激に低下した。
しかしそれは同時に、飼いゆっくりに対してのモラルの低下にも繋がる結果となった。
しかしそれは同時に、飼いゆっくりに対してのモラルの低下にも繋がる結果となった。
飽きたから、アホだから、大きくなったから…
生物としてのカテゴリに分類されていないことも後押しとなり、飼い主とは思えないような理由で大量の元飼いゆっくりが捨てられ、処分されていく。
…あのまりさ達もまた、間接的とはいえその風流の被害者なのだろう。
生物としてのカテゴリに分類されていないことも後押しとなり、飼い主とは思えないような理由で大量の元飼いゆっくりが捨てられ、処分されていく。
…あのまりさ達もまた、間接的とはいえその風流の被害者なのだろう。
ボックスと持ち込み。…確かに行き着く先は同じだが、その扱いは微妙に違う。
『元飼いゆっくり』として最期を迎えるのか、又は『ただの生ゴミ』として処分されるのか――
『元飼いゆっくり』として最期を迎えるのか、又は『ただの生ゴミ』として処分されるのか――
「…約束は守れなかったが、せめてもの情けだ。死ぬ時くらいは『飼いゆっくり』として最期を迎えるんだな」
先ほどまでいた建物に向かってそう呟くと、俺はゆっくりと家路に向かって歩き出した。
あとがき
あ…ありのまま 今 書き終わった時のことを話すぜ!
『おれは短編物のSSを書いていたと思ったら、容量が50KBを超えていた』
な…何を言ってるのか わからねーと思うが、俺もどうしてこうなったのか分からなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
遅筆だとか尺稼ぎだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
今までのSSとは異なり、セリフを使って追い詰める形式に挑戦してはみたものの、どうも最後までしっくりきませんでした。
今後のSS制作のためにも、辛口の批評をしていただけると助かります。
今後のSS制作のためにも、辛口の批評をしていただけると助かります。
バニラあき