ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3894 続・えどてんせいっ!
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ankoss
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『続・えどてんせいっ!』 33KB
虐待 制裁 改造 同族殺し 駆除 ドスまりさ 希少種 失礼します
虐待 制裁 改造 同族殺し 駆除 ドスまりさ 希少種 失礼します
真横にスコップを突き刺し、俺は大きく息を吐いた。
小山になったゆっくりたち。
ほとんどが潰れたり皮が破れたりとケガを負っている。必要なのはドスまりさ一体分の
生きたゆっくりだ。集めに集めたり百五十匹。子ゆ、赤ゆ除いて。近所の野良ゆっくりが
いなくなるくらい頑張った。それでも半分以上が泥や草だけど、問題はない。
小山の上にはドスまりさの帽子が載せてあり、横にはお下げがくっつけてある。
そして、その小山の前には俺の飼いおりんが一匹。
小山になったゆっくりたち。
ほとんどが潰れたり皮が破れたりとケガを負っている。必要なのはドスまりさ一体分の
生きたゆっくりだ。集めに集めたり百五十匹。子ゆ、赤ゆ除いて。近所の野良ゆっくりが
いなくなるくらい頑張った。それでも半分以上が泥や草だけど、問題はない。
小山の上にはドスまりさの帽子が載せてあり、横にはお下げがくっつけてある。
そして、その小山の前には俺の飼いおりんが一匹。
「GO!! おりん!」
びしっと小山を指差すと、おりんは一度尻尾をすり合わせ、元気に叫んだ。
「えどてんせいっ!」
「ゆあああぁぁ……」
「ゆあああぁぁ……」
ドス帽子が蠢き、お下げが揺れる。
小山になったゆっくりたちが融け合いながら、ドスの身体を形作っていった。眼や口が
潰れ、髪の毛やお飾りが崩れ、泥や草を巻き込んでいく。
三十秒ほど掛けて、巨大な饅頭となった。
そこからさらに金髪が生え、眼や口が形作られる。
小山になったゆっくりたちが融け合いながら、ドスの身体を形作っていった。眼や口が
潰れ、髪の毛やお飾りが崩れ、泥や草を巻き込んでいく。
三十秒ほど掛けて、巨大な饅頭となった。
そこからさらに金髪が生え、眼や口が形作られる。
「ゆん?」
合計一分ほどでドスまりさが造られた。
復活したてで意識がはっきりしないらしく、ドスはぼんやりと周囲を見回している。
復活したてで意識がはっきりしないらしく、ドスはぼんやりと周囲を見回している。
「やった……よ! せいこうだよ。おりん、さいきょうだね!」
「本当に成長したなー」
「本当に成長したなー」
消耗で眼を回しているおりんを撫でてから、俺はその口にストローを咥えさせる。スト
ローの先には果汁100%のオレンジジュース。ゆっくりの体力回復にはやっぱオレンジジュ
ースだ。回復するまでは、しばらく時間が掛かるだろう。
ローの先には果汁100%のオレンジジュース。ゆっくりの体力回復にはやっぱオレンジジュ
ースだ。回復するまでは、しばらく時間が掛かるだろう。
「おにいさん。ドスはドスだよ、ゆっくりしていってね!」
「お兄さんはお兄さんだ。ゆっくりしてけ」
「お兄さんはお兄さんだ。ゆっくりしてけ」
おりんから眼を離し、俺はドスに向き直った。
叔父の所有する山でゆっくりが大量繁殖した。山と言っても普通の丘だけど。一年前ま
ではこのドスまりさが群れを治めていたんだが、ドスが事故死してから群れは舵取りを間
違え大増殖。テンプレ通りに越冬前に餌が不足し、街に降りようとしているらしい。
そこで俺が実験がてら、おりんを連れて駆除に乗り出した。
叔父の所有する山でゆっくりが大量繁殖した。山と言っても普通の丘だけど。一年前ま
ではこのドスまりさが群れを治めていたんだが、ドスが事故死してから群れは舵取りを間
違え大増殖。テンプレ通りに越冬前に餌が不足し、街に降りようとしているらしい。
そこで俺が実験がてら、おりんを連れて駆除に乗り出した。
「よくわからないけど、おにいさんがドスをたすけてくれたんだね。ひどいけがだったけ
ど、すっかりもとどおりだよ。おれいをいうよ」
ど、すっかりもとどおりだよ。おれいをいうよ」
嬉しそうにのーびのーびしている。
去年の秋のこと。ドスは二メートルほどの崖から落ち、枝に貫かれて死んだ。それを俺
が発見し、何かに使えるかもしれないと帽子やおさげを持って行ったんだが、こういう形
で役に立つとは思わなかった。
去年の秋のこと。ドスは二メートルほどの崖から落ち、枝に貫かれて死んだ。それを俺
が発見し、何かに使えるかもしれないと帽子やおさげを持って行ったんだが、こういう形
で役に立つとは思わなかった。
「いや、お前は一回死んだんだよ。そこをこいつが生き返らせた」
と、おりんを指差す。
おりんの穢土転生。NARUTOの同名の術を真似した能力だ。生きたゆっくりを生け贄に死
んだゆっくりを蘇生させる。ゾンビゆっくり作成の応用だ。外見、記憶、性格、能力。生
前のままに再現し、生け贄分の養分を使い尽くすまで超再生力を持つ。また、蘇生したゆ
っくりはおりんの命令に逆らえない。
んだゆっくりを蘇生させる。ゾンビゆっくり作成の応用だ。外見、記憶、性格、能力。生
前のままに再現し、生け贄分の養分を使い尽くすまで超再生力を持つ。また、蘇生したゆ
っくりはおりんの命令に逆らえない。
「いきかえ?」
「分からないなら聞き流せ」
「分からないなら聞き流せ」
手を動かしてから、俺は山の方を指差した。
紅葉した木々が並ぶ森。それなりの広さがあり、土地が盛り上がっているので山と呼ば
れている。周囲は川や用水路、フェンスなどで覆われていた。外と繋がっている場所は少
ない。俺が立っているのは、入り口の砂利道である。
空は秋晴れ。白い羽雲がきれいだ。
紅葉した木々が並ぶ森。それなりの広さがあり、土地が盛り上がっているので山と呼ば
れている。周囲は川や用水路、フェンスなどで覆われていた。外と繋がっている場所は少
ない。俺が立っているのは、入り口の砂利道である。
空は秋晴れ。白い羽雲がきれいだ。
「これからお前を群れを駆除するから手伝え」
「なにいってるのおおお!」
「なにいってるのおおお!」
眼を丸くして驚くドス。
普通は駆除なんて一人でやるもんじゃないけど、加工所とかに私有地の駆除頼むとかな
り高く付く。身内にそれなりの金額でやって貰えるならそれに越したことはない。俺が失
敗すれば、正式に駆除を依頼するらしい。
普通は駆除なんて一人でやるもんじゃないけど、加工所とかに私有地の駆除頼むとかな
り高く付く。身内にそれなりの金額でやって貰えるならそれに越したことはない。俺が失
敗すれば、正式に駆除を依頼するらしい。
「お前が死んでから、群れの連中が大増殖してな。餌不足になって街に降りてこようとし
てるんだ。だからこれから駆除する。元はお前の群れだ、ケジメは付けろ」
「くじょはゆっくりできないんだよ! そんなこというなら、たとえにんげんでもドスは
たたかうよ! てかげんはしないんだよ!」
てるんだ。だからこれから駆除する。元はお前の群れだ、ケジメは付けろ」
「くじょはゆっくりできないんだよ! そんなこというなら、たとえにんげんでもドスは
たたかうよ! てかげんはしないんだよ!」
飛び跳ねようと、一度身体を縮ませるドス。
だが。
だが。
「すとっぷ。ドスはおにいさんのめいれいにしたがってね!」
「ゆっ。うごかないよ? ドスのあんよがうごかないよ?」
「ゆっ。うごかないよ? ドスのあんよがうごかないよ?」
おりんの命令であっさり止まった。
自分の身体が思うように動かないことに、ドスが戸惑っている。穢土転生ゆっくりはお
りんの命令には逆らえない。今まで色々試したが、命令ならうんうんも食べるし、親も子
も殺す。今のところ逆らった例はない。
自分の身体が思うように動かないことに、ドスが戸惑っている。穢土転生ゆっくりはお
りんの命令には逆らえない。今まで色々試したが、命令ならうんうんも食べるし、親も子
も殺す。今のところ逆らった例はない。
「めいれいはみっつだ」
俺はドスの前に指を三本突きだした。
「1.人間に攻撃するな」
「ゆっ」
「2.今から広場に行ってそこにいるゆっくりを殺せ」
「ゆっ!」
「3.十匹くらい殺したらそこで待っていろ」
「なにいっでるのおおお! ぞんなごどでぎるわげないでしょおお!」
「ゆっ」
「2.今から広場に行ってそこにいるゆっくりを殺せ」
「ゆっ!」
「3.十匹くらい殺したらそこで待っていろ」
「なにいっでるのおおお! ぞんなごどでぎるわげないでしょおお!」
ドスは泣きながら拒否の言葉を吐く。群れの仲間を殺す。人間の命令だろうと、そんな
事はできるわけない。しかし、ドスはおりんの命令に逆らえず、命令通り俺の命令にも逆
らえない。おりんの命令が最優先されるようだけど。
俺はドスの前にスコップを放り出し、命令する。
事はできるわけない。しかし、ドスはおりんの命令に逆らえず、命令通り俺の命令にも逆
らえない。おりんの命令が最優先されるようだけど。
俺はドスの前にスコップを放り出し、命令する。
「行け」
「どぼじてドスのからだ、かってにうごくのおおお!」
「どぼじてドスのからだ、かってにうごくのおおお!」
スコップを咥え、ドスは山の奥に向かって砂利道を跳ねていった。
「むきゅ……はやくしないと、ふゆさんがくるわ」
「にんげんをやっつけるほうほうをかんがえないといけないんだぜ」
「にんげんをやっつけるほうほうをかんがえないといけないんだぜ」
山の中程にある広場。
元は何かの作業小屋があったが、小屋は取り壊され、今ではゆっくりたちの広場と化し
ている。群れの幹部を含む二十匹ほどが集まって会議をしていた。けんじゃかいぎ、と参
加ゆっくりは勝手に呼んでいる。
元は何かの作業小屋があったが、小屋は取り壊され、今ではゆっくりたちの広場と化し
ている。群れの幹部を含む二十匹ほどが集まって会議をしていた。けんじゃかいぎ、と参
加ゆっくりは勝手に呼んでいる。
「にんげんはつよいよ。でも、みんなできょうりょくすればたおせるよ」
会議の中心となっているのは、群れの長であるれいむだった。ドスが事故死した跡を継
いだゆっくり。子育てや結界など、地味な仕事を得意とするれいむ種にありながら、群れ
を率いるという最前線の大仕事を行う変わり種。その知力も体力も熱意も、群れの長に相
応しいものだった。
いだゆっくり。子育てや結界など、地味な仕事を得意とするれいむ種にありながら、群れ
を率いるという最前線の大仕事を行う変わり種。その知力も体力も熱意も、群れの長に相
応しいものだった。
「ゆああああああ!」
遠くから声が聞こえてきた。
普通のゆっくりよりも一オクターブほど低い、間延びした声。
普通のゆっくりよりも一オクターブほど低い、間延びした声。
「ドス?」
その場にいるゆっくりが全員、声の下方向に向き直る。
本能が教える。それはドスまりさの声だった。
本能が教える。それはドスまりさの声だった。
「ああああッ!」
大声を上げながら広場に飛び込んできたもの。それは声の通りドスまりさだった。しか
も去年の秋に崖から落ちて死んでしまったドスまりさ。口にスコップを咥え、両目から滝
のような涙を流しながら、どすどすと跳ねてくる。
も去年の秋に崖から落ちて死んでしまったドスまりさ。口にスコップを咥え、両目から滝
のような涙を流しながら、どすどすと跳ねてくる。
「ドス!」
「ドス、いきてたの!」
「ドス、いきてたの!」
ドスを知る年長のゆっくりたちが声を上げる。
一匹のちぇんが感動の涙を流しながら、ドスに向かって走り出した。
一匹のちぇんが感動の涙を流しながら、ドスに向かって走り出した。
「ドスううう! わかるよおおお、あいたかったよおお!」
「みんなにげてええ! にげてぇ! ドスからはなれてえええ! どっかいってよおお!
いやあああ! ころしたくないよおお!」
「みんなにげてええ! にげてぇ! ドスからはなれてえええ! どっかいってよおお!
いやあああ! ころしたくないよおお!」
ザシュッ。
スコップの刃で真っ二つにされ、ちぇんは即死する。
断末魔を上げる暇も無かった。金属の刃が中枢餡ごと身体を両断している。自分がどう
なったのかも分からず、永遠にゆっくりしてしまった。
断末魔を上げる暇も無かった。金属の刃が中枢餡ごと身体を両断している。自分がどう
なったのかも分からず、永遠にゆっくりしてしまった。
「ゆ?」
「これは、どういうこと?」
「み゙ょ……」
「これは、どういうこと?」
「み゙ょ……」
ぶちゅり、とみょんが潰れた。ドスの力で金属のスコップを叩き付けられれば、普通サ
イズのゆっくりなどひとたまりもない。
イズのゆっくりなどひとたまりもない。
「にげてえええ! みんな、どっかいってええええ!」
泣きながらスコップを振り回すドス。言葉とは裏腹に動きに躊躇いはなかった。全力で
スコップを振り回し、斬りつけ叩き潰す。その巨体でのし掛かり押し潰す。顔と言葉とは
対照的に、次々とゆっくりを殺していく。
スコップを振り回し、斬りつけ叩き潰す。その巨体でのし掛かり押し潰す。顔と言葉とは
対照的に、次々とゆっくりを殺していく。
「ドス! やめるんだぜ! みんなしんじゃうんだぜ!」
泣きながらドスを静止するまりさだが、のし掛かりによって潰れた。
ドスの戦闘力は高い。命令によって全力戦闘モードで行動するドスと、突然の事態に何
をしていいか分からない普通のゆっくり。それはただの虐殺だった。
ドスの戦闘力は高い。命令によって全力戦闘モードで行動するドスと、突然の事態に何
をしていいか分からない普通のゆっくり。それはただの虐殺だった。
「どう、して?」
長れいむは呆然とドスを見つめた。
れいむがかつて慕ったドス。事故で死んでからは、ドスの群れを大きく立派なものにし
とうと毎日頑張ってきた。チーム制の食料調達、結界とコーディネイトによるおうちの快
適化、簡単な病院や警察機構の設立。ただ、肝心な部分を間違えてこの致命的状況を作り
出してしまったが……。ともあれ、ドスはれいむが尊敬するゆっくりだった。決してこん
な事をするゆっくりではなかった。
れいむがかつて慕ったドス。事故で死んでからは、ドスの群れを大きく立派なものにし
とうと毎日頑張ってきた。チーム制の食料調達、結界とコーディネイトによるおうちの快
適化、簡単な病院や警察機構の設立。ただ、肝心な部分を間違えてこの致命的状況を作り
出してしまったが……。ともあれ、ドスはれいむが尊敬するゆっくりだった。決してこん
な事をするゆっくりではなかった。
「ごべんだざいいいいい!」
ドスはそれには答えず、れいむの頭にスコップを振下ろした。
「ゆっ……ゆぁああ……。みんなぁ、ごめんなさあいいいい!」
広場の隅っこで泣いているドスを眺めながら、俺は荷物を置いた。
自分で大事な群れの仲間を殺したんだ。そりゃ辛いだろうに。広場にいたらしい二十三
匹は全滅。全員潰れた饅頭になっている。だが、お飾りは無事で餡子もある。穢土転生す
ることは充分に可能だ。
自分で大事な群れの仲間を殺したんだ。そりゃ辛いだろうに。広場にいたらしい二十三
匹は全滅。全員潰れた饅頭になっている。だが、お飾りは無事で餡子もある。穢土転生す
ることは充分に可能だ。
「じゃっじゃーん! おりんりんらんど、はじまるよー!」
荷物から飛び降り、はしゃぐおりん。オレンジジュースを一リットル飲み干し、ほぼ全
回復している。これからおりんの仕事は色々ある。暢気に寝てられても困るのだ。
回復している。これからおりんの仕事は色々ある。暢気に寝てられても困るのだ。
「少し待ってなさい」
「はーい」
「はーい」
おりんが素直に後ろに下がる。
俺は荷物から、れみりゃを十匹取り出した。さすがにこれだけの数は重い……。全員ラ
ムネで眠っている。騒がれては困るので、前処理はきっちりしてあった。でも、起こした
まま紐でも付けて連れてきた方がよかったかも。れみりゃは飛べるし。
俺は荷物から、れみりゃを十匹取り出した。さすがにこれだけの数は重い……。全員ラ
ムネで眠っている。騒がれては困るので、前処理はきっちりしてあった。でも、起こした
まま紐でも付けて連れてきた方がよかったかも。れみりゃは飛べるし。
「まずは――」
潰れたゆっくりのお飾りをれみりゃの頭に乗せ、中身をぺたぺたとくっつける。ついで
に髪の毛を適量振りかけた。穢土転生に必要なのは、ゆっくりの情報である。色々試した
結果、お飾りと餡子と髪の毛が一番おりんの負担が少ない。
ここで中身が混じったりすると上手く行かないので注意する。
に髪の毛を適量振りかけた。穢土転生に必要なのは、ゆっくりの情報である。色々試した
結果、お飾りと餡子と髪の毛が一番おりんの負担が少ない。
ここで中身が混じったりすると上手く行かないので注意する。
「おりん、GO!!!」
「おどてんせいっ!」
「おどてんせいっ!」
帽子や髪の毛が蠢き、れみりゃを包み込んだ。死んだゆっくりの組織がれみりゃを飲み
込み、生前の姿を再現していく。
蘇生したゆっくりは生前の身体能力が再現される。だが、生前より強いゆっくりを生け
贄にすると、生け贄と同じくらいの身体能力を作れるのだ。ふらんと同じくらいに動き回
るぱちゅりーなども制作可能。とりあえず、ここで復活した連中は、種類問わずれみりゃ
と同程度の身体能力となった。
込み、生前の姿を再現していく。
蘇生したゆっくりは生前の身体能力が再現される。だが、生前より強いゆっくりを生け
贄にすると、生け贄と同じくらいの身体能力を作れるのだ。ふらんと同じくらいに動き回
るぱちゅりーなども制作可能。とりあえず、ここで復活した連中は、種類問わずれみりゃ
と同程度の身体能力となった。
「ゆ?」
「みんなおにいさんのめいれいにしたがってね!」
「全員注目」
「みんなおにいさんのめいれいにしたがってね!」
「全員注目」
おりんの命令に続き、俺の指示が飛ぶ。
蘇生したてでぼんやりしているゆっくりが、全員俺に眼を向けてきた。稀に寝起きのい
いゆっくりもいるが、大抵は数分寝ぼけたようになっている。
蘇生したてでぼんやりしているゆっくりが、全員俺に眼を向けてきた。稀に寝起きのい
いゆっくりもいるが、大抵は数分寝ぼけたようになっている。
「お前らは今から俺の奴隷だ。ゆっくり理解しろ」
「なにいってるのおお!」
「なにいってるのおお!」
大声で言い返してきた。ゆっくり出来ない事をすればすぐさま眼を覚ます。
だが、続けて声を上げたのは復活したゆっくりではなかった。
だが、続けて声を上げたのは復活したゆっくりではなかった。
「ゆわあああ! ドスたちはにんげんのどれいなんかじゃないよおお!」
「ゆっ?」
「ドス?」
「ゆっ?」
「ドス?」
ドスの叫びに振り返るゆっくりたち。頭に疑問符が浮かんでいる。ドスは去年の秋に死
んだのに、ここにいることに戸惑っているんだろう。永遠にゆっくしりたゆっくりは戻っ
てこない。それは本能で理解している。ドスの存在はその理に反していた。
んだのに、ここにいることに戸惑っているんだろう。永遠にゆっくしりたゆっくりは戻っ
てこない。それは本能で理解している。ドスの存在はその理に反していた。
「ドス、命令だ。躍れ」
「ゆううううっ」
「ゆううううっ」
俺の命令に、ドスは言い返すこともなく踊り出す。全身をもるんもるんさせながら、踊
っていた。人間視点だと踊りなのかは不明だが、踊りなのだろう。
っていた。人間視点だと踊りなのかは不明だが、踊りなのだろう。
「どういうこと? ドスがなんでにんげんのめいれいきくの?」
「ドス! おどりをやめるんだぜ! にんげんのめいれいなんか、むしするんだぜ!」
「ドス! おどりをやめるんだぜ! にんげんのめいれいなんか、むしするんだぜ!」
れいむやまりさが言うが、ドスは踊りをやめない。
「かってにうごくんだよおお! しかたないんだよおお!」
泣きながら答えるだけだった。
それで黙るゆっくりたち。ただならぬものを感じ取ったようだ。穢土転生ゆっくりは命
令された事はできる範囲で勝手に実行してしまう。羽の無いゆっくりに飛べと命令しても
飛ばないが、走れと命令されれば身体が壊れるまで走り続ける。
それで黙るゆっくりたち。ただならぬものを感じ取ったようだ。穢土転生ゆっくりは命
令された事はできる範囲で勝手に実行してしまう。羽の無いゆっくりに飛べと命令しても
飛ばないが、走れと命令されれば身体が壊れるまで走り続ける。
「これから、この群れを全滅させる。お前らはその手伝いをしてもらう」
「ありすがなんでそんなことしなきゃいけないのよ」
「むきゅぁ! おうぼうだわ!」
「ありすがなんでそんなことしなきゃいけないのよ」
「むきゅぁ! おうぼうだわ!」
身体を伸ばしながら、口々に反論してくる。
その向こうでもるんもるんしているドス。
その向こうでもるんもるんしているドス。
「命令だ。聞け」
俺は命令した。
「1.人間に攻撃するな」
「ゆっ」
「2.今から山の西の端っこまで行け。そこから東に向って全力前進!」
「ゆあっ」
「3.ゆっくりを見つけ次第殺せ。知ってるお家があったら、入り込んで全員殺せ。友達、
家族、子ゆっくり、赤ゆっくり構わず殺せ。ゆっくりは全滅だ」
「ぞんなごとでぎるわげないでしょおおおおお!」
「ゆっ」
「2.今から山の西の端っこまで行け。そこから東に向って全力前進!」
「ゆあっ」
「3.ゆっくりを見つけ次第殺せ。知ってるお家があったら、入り込んで全員殺せ。友達、
家族、子ゆっくり、赤ゆっくり構わず殺せ。ゆっくりは全滅だ」
「ぞんなごとでぎるわげないでしょおおおおお!」
全員泣きながら拒否する。人間の奴隷となって群れの仲間を殺す。子ゆっくりをゆ質に
取られるなど、本当に絶望的状況でもない限り絶対に実行しないだろう。だが、穢土転生
ゆっくりは命令されれば実行する。ドスでも抵抗できない。
取られるなど、本当に絶望的状況でもない限り絶対に実行しないだろう。だが、穢土転生
ゆっくりは命令されれば実行する。ドスでも抵抗できない。
「武器はこれを使え」
取り出した百均のステーキナイフをばらまく。先の尖ったキザギザのナイフ。人間の皮
膚を切るのは難しいが、ゆっくり相手ならその限りではない。突いてよし、斬ってよし、
叩いてよしのお手頃武器である。
膚を切るのは難しいが、ゆっくり相手ならその限りではない。突いてよし、斬ってよし、
叩いてよしのお手頃武器である。
「そこのれいむとぱちゅりー以外、理解したらさっさと行け」
「いやあああああ!」
「いやあああああ!」
それぞれナイフを咥え、西に向かって跳ねていった。
木々の間に消えていく。
木々の間に消えていく。
もはや無言で躍りつづけるドス。
俺はれいむとぱちゅりーの前に腰を屈め、荷物からガラス瓶を取り出した。中身は赤い
瞳がふたつ。保存液の中に浮かぶ、ゆっくりうどんげの瞳。凄ク高カッタデス……。
瞳がふたつ。保存液の中に浮かぶ、ゆっくりうどんげの瞳。凄ク高カッタデス……。
「お前らには別の事をしてもらう」
蓋を開け、中の瞳を取り出す。
「れ、れいむはこのむれのおさなんだよ……! と、とってもつよいんだよ……! にん
げんなんかに、くっしたりしないよ……!」
「ぱ、ぱちぇはもりのけんじゃよ……! むきゅぅ。このむれのさんぼうなのよ……!
いなくなったら、せかいのそんしつだわ……!」
げんなんかに、くっしたりしないよ……!」
「ぱ、ぱちぇはもりのけんじゃよ……! むきゅぅ。このむれのさんぼうなのよ……!
いなくなったら、せかいのそんしつだわ……!」
残ったれいむとぱちゅりーが寄り添って震えている。強がってはいるが、人間に勝てな
い事は十二分に理解しているようだ。長っぽいのを残してみたけど、当たりだった。
長れいむと参謀ぱちゅりー。文句は無い。
てなわけで右手を一振り。
い事は十二分に理解しているようだ。長っぽいのを残してみたけど、当たりだった。
長れいむと参謀ぱちゅりー。文句は無い。
てなわけで右手を一振り。
「ゆやああっ!」
れいむの右目とぱちゅりーの左目を、指で抉り飛ばす。
すかさずそこにうどんげの瞳を差し込んだ。削り取られた餡子とクリームが元の位置に
戻り、破損した組織を速やかに修復する。即死レベルのダメージすら回復させる、不死身
に近い再生能力だ。
再生したれいむとぱちゅりーの眼窩には、うどんげの眼が取り込まれていた。
狂気を操るうどんげの瞳である。
すかさずそこにうどんげの瞳を差し込んだ。削り取られた餡子とクリームが元の位置に
戻り、破損した組織を速やかに修復する。即死レベルのダメージすら回復させる、不死身
に近い再生能力だ。
再生したれいむとぱちゅりーの眼窩には、うどんげの眼が取り込まれていた。
狂気を操るうどんげの瞳である。
「お前達は東のの端から、群れの仲間を集めてこい」
痙攣している二匹に、俺は命令を告げる。
「悪い人間か来たから一緒に戦うように説得しろ。戦場はこの広場だ。みんなをここにに
集合させろ。その眼で見つめてやれば、誰でも言う事聞くから」
「わ、わかったよ……」
「……むきゅ、こうかいさせてあげるわ」
集合させろ。その眼で見つめてやれば、誰でも言う事聞くから」
「わ、わかったよ……」
「……むきゅ、こうかいさせてあげるわ」
赤い眼を俺に向けてから、二匹は東に向かって跳ねていった。
「おりんはくうきなんだねー。わかるよー」
暇を潰すように地面を転がりながら、おりんが呟いた。
森の中を返り餡子に染まったまりさが跳ねていた。
人間の命令通り、山の西端から東に向かって走っている。途中で見つけたゆっくりは例
外無く殺していた。成体から子ゆっくり、赤ゆっくりまで例外無く。れみりゃの身体能力
に金属製のナイフまであるのだ。成体でも殺すのは容易い。
人間の命令通り、山の西端から東に向かって走っている。途中で見つけたゆっくりは例
外無く殺していた。成体から子ゆっくり、赤ゆっくりまで例外無く。れみりゃの身体能力
に金属製のナイフまであるのだ。成体でも殺すのは容易い。
「ゆあっ!」
不運な事に、まりさは自分のおうちを見つけていた。南向きの斜面に掘られた横穴。
おうちの前では干し草のおふとんを干しているつがいのれいむがいる。その横には長女
まりさが手伝いをしていた。平和な光景である。
おうちの前では干し草のおふとんを干しているつがいのれいむがいる。その横には長女
まりさが手伝いをしていた。平和な光景である。
「れいむうううう!」
まりさは悲鳴を上げた。見つけたゆっくりは殺す。赤ゆっくりでも、子ゆっくりでも、
友達でも、家族でも例外なく。命令通り、身体が勝手に動いてしまう。
友達でも、家族でも例外なく。命令通り、身体が勝手に動いてしまう。
「まりさ、ゆっくりおかえりなさい」
暢気に挨拶をしてくるが、それどころではない。
ぴょんぴょんと走ってくる長女まりさ。
ぴょんぴょんと走ってくる長女まりさ。
「おとーしゃん、ゆっくちおかえりなしゃい」
ナイフを咥えたまま、まりさはれいむの元に向かっている。必死に向きを変えようと足
に力を込めるが、身体は全く従わない。思考や意志とは別に動いていた。
まりさにできることは、ただ叫ぶだけだった。
に力を込めるが、身体は全く従わない。思考や意志とは別に動いていた。
まりさにできることは、ただ叫ぶだけだった。
「おちびちゃん、きちゃだめええ! こないでええ! にげてええ! ゆっくりしないで
にげてえええ! まりさからにげてええ! いやああああ!」
「ゆっ」
にげてえええ! まりさからにげてええ! いやああああ!」
「ゆっ」
長女まりさが潰れた。頭からナイフを叩き付けられ。
「ああああああ!」
まりさは泣いた。だが、身体は勝手に動き、長女まりさにナイフを二度、三度と叩き付
けていく。一発目で致命傷だったが、確実に殺すように何度もナイフを叩き付けた。
餡子がおふとんやれいむに飛び散る。
けていく。一発目で致命傷だったが、確実に殺すように何度もナイフを叩き付けた。
餡子がおふとんやれいむに飛び散る。
「ばりざあああ! なにじでるのおおお!」
「いやあああ! ごろじだぐないいい! しんじゃだめええ!」
「いやあああ! ごろじだぐないいい! しんじゃだめええ!」
絶叫するれいむに、まりさはナイフを突き立てていた。柔らかな皮を刺し貫き、餡子の
奥へと金属の刃が侵入していく。
奥へと金属の刃が侵入していく。
「ゆぐっ」
「れいぶううう! しなないでええええ! ゆああああ!」
「れいぶううう! しなないでええええ! ゆああああ!」
何度も勢いよくナイフを突き刺すまりさ。両目から涙を溢れさせながら、言葉とは逆の
行動を繰り返す。ずっとゆっくりしようと誓ったれいむ。可愛い子供が生まれ、ゆっくり
した日々が続いていた。だが、それは唐突に終わる。
行動を繰り返す。ずっとゆっくりしようと誓ったれいむ。可愛い子供が生まれ、ゆっくり
した日々が続いていた。だが、それは唐突に終わる。
「ゆっ、がっ……ばりざは、ゆっくり、しね……」
それがれいむの最期の言葉だった。
「ああああああ! いやあああ!」
つがいの返り餡子を全身に浴びながら、まりさは慟哭する。美ゆっくりのれいむ、可愛
い子ゆっくりのまりさ。それを自分が殺した。永遠にゆっくりさせてしまった。
ナイフを咥えたまま、くるりとおうちの入り口に向き直る。
い子ゆっくりのまりさ。それを自分が殺した。永遠にゆっくりさせてしまった。
ナイフを咥えたまま、くるりとおうちの入り口に向き直る。
「おちびちゃん、おとーさんだよ。ゆっくりでてきてね!」
「ゆっくりわかっちゃよ」
「ゆっくりわかっちゃよ」
まりさの声に、おうちの奥から声が返ってきた。
「なにいってるのおおおおおお!」
自分の口から出た言葉に、まりさはさらに叫んだ。
キィン!
金属と金属のぶつかり合う音。
ナイフを咥えたみょんが飛退いた。
みょんと対峙しているのは一匹のまりさである。普通のゆっくりよりも体格のよいまり
さだ。構えているのは、パン斬り包丁だった。刃渡り二十センチの波刃に、木の柄がつい
た大物。まさに大剣。それをおさげと口で器用に構えている。
ナイフを咥えたみょんが飛退いた。
みょんと対峙しているのは一匹のまりさである。普通のゆっくりよりも体格のよいまり
さだ。構えているのは、パン斬り包丁だった。刃渡り二十センチの波刃に、木の柄がつい
た大物。まさに大剣。それをおさげと口で器用に構えている。
群れ一番の剣士みょんと、その弟子まりさだ。
「ししょう、ごめんだぜ……」
「きにするなみょん。はやくころしてほしいみょん」
「きにするなみょん。はやくころしてほしいみょん」
お互いに呟いてから、駆け出す。
二匹はすれ違い、みょんの口からナイフが落ちた。顔の正面から後頭部まで、横一文字
の傷が刻まれている。まりさのパン斬り包丁は、中枢餡ごとみょんを両断していた。
二匹はすれ違い、みょんの口からナイフが落ちた。顔の正面から後頭部まで、横一文字
の傷が刻まれている。まりさのパン斬り包丁は、中枢餡ごとみょんを両断していた。
「またつまらぬものをきってしまったのぜ……。ししょう、ごめんなさいなのぜ。てんご
くでゆっくりしてほしいのぜ……」
くでゆっくりしてほしいのぜ……」
目元から涙をこぼし、まりさが振り向く。
しかし、まりさが見たのは信じられない光景だった。みょんの傷口から溢れたホワイト
チョコ。それが蠢きながら傷口に戻っていく。さらに切れた皮も塞がった。
くるりと振り向くみょん。落ちたナイフを咥え、突進してくる。
しかし、まりさが見たのは信じられない光景だった。みょんの傷口から溢れたホワイト
チョコ。それが蠢きながら傷口に戻っていく。さらに切れた皮も塞がった。
くるりと振り向くみょん。落ちたナイフを咥え、突進してくる。
「なんでいきてるんだぜええ! かんぜんにはいったのぜえええ!」
「それは、こっちがききたいみょぉおん!」
「それは、こっちがききたいみょぉおん!」
再び刃を打ち合わせてから。
「しぬんだぜええ!」
まりさの振り抜いたパン斬り包丁が、みょんを切裂いた。
この弟子まりさ、いわゆる天才である。普通のゆっくりでは振り回せないパン切り包丁
を振り回し、れみりゃの身体能力を持つ師匠みょんを二度も斬り捨てている。主人公補正
でも入っているような天才だった。
だが、その傷もあっさりと再生する。
この弟子まりさ、いわゆる天才である。普通のゆっくりでは振り回せないパン切り包丁
を振り回し、れみりゃの身体能力を持つ師匠みょんを二度も斬り捨てている。主人公補正
でも入っているような天才だった。
だが、その傷もあっさりと再生する。
「なぁんで、なおるのぜぇ!」
「わからないみょん!」
「わからないみょん!」
不死身の相手を倒す方法は主にふたつ。頑張って殺す、動けなくする。前者は再生力の
限界まで破壊し続ける。後者は穴でも掘って埋める。まりさは天才だったが、どちらを実
行する力も無かった。絶望的状況を打破する主人公補正も無い。
その場合は、倒されるか逃げるか。
限界まで破壊し続ける。後者は穴でも掘って埋める。まりさは天才だったが、どちらを実
行する力も無かった。絶望的状況を打破する主人公補正も無い。
その場合は、倒されるか逃げるか。
「わがらッ!」
「みょん……」
「みょん……」
ちぇんを斬り殺し、師匠みょんは泣いていた。
もはや同族殺しはどうでもいい。なによりも愛弟子を殺してしまった事が悲しかった。
赤ゆっくりの頃に拾い、手塩に掛けて育ててきたのである。
六度目の斬り合いで、まりさは斬り裂かれた。
もはや同族殺しはどうでもいい。なによりも愛弟子を殺してしまった事が悲しかった。
赤ゆっくりの頃に拾い、手塩に掛けて育ててきたのである。
六度目の斬り合いで、まりさは斬り裂かれた。
「むきゅぅぅ! これは、どういうことなのおお!」
ちぇんのつがいのぱちゅりーが叫んでいる。
ざすっ。
その身体が斜めに裂けた。
二十センチを越える銀色の刃。所々が欠けた波模様の金属。柄の上下を口とおさげで掴
む独特の構え。パン斬り包丁を構えているのは、見覚えのあるまりさだった。
二十センチを越える銀色の刃。所々が欠けた波模様の金属。柄の上下を口とおさげで掴
む独特の構え。パン斬り包丁を構えているのは、見覚えのあるまりさだった。
「じじょおぉ……」
「なんで……みょん……」
「なんで……みょん……」
穢土転生された弟子まりさの姿に、師匠みょんは驚くだけだった。
「わがらないよおお!」
命令に従い跳ねていくちぇんを見送る。
俺は森の中を歩いていた。途中でよさそうなゆっくりがいれば、適当に穢土転生させて
駆除組に入れている。屍体と生け贄はそれこそ捨てるほどあるのだ。
俺は森の中を歩いていた。途中でよさそうなゆっくりがいれば、適当に穢土転生させて
駆除組に入れている。屍体と生け贄はそれこそ捨てるほどあるのだ。
「将棋みたいだな」
取った駒を自分が使える。将棋って割と残酷な仕組みだと思う。
足元で尻尾を動かしているおりんを見た。
足元で尻尾を動かしているおりんを見た。
「コレクション候補は見つかったか?」
おりん種は屍体やゾンビゆっくりを集める癖がある。飼いゆっくりの身分で屍体収集は
できない。衛生的理由である。けど、俺は穢土転生させたゆっくりなら五体までコレクシ
ョンしていいと許可をだしていた。
できない。衛生的理由である。けど、俺は穢土転生させたゆっくりなら五体までコレクシ
ョンしていいと許可をだしていた。
「いないね。でも、おきにいりはめったにみつからないよ」
首、というか身体を左右に振る。
俺は地面にこびりついたチョコレートの残骸を眺めながら、
俺は地面にこびりついたチョコレートの残骸を眺めながら、
「しかし、お前もこれだけ殺す手伝いして……よく平気だな」
ゆっくりは同族殺しは禁忌である。通常種でも希少種でも。捕食種は捕食種同士適用さ
れるらしい。虐待お兄さんとは違うが、俺は抵抗無くゆっくりを殺す人間だ。おりんはそ
れに普通に付き合っている。そこそこ賢いなら抵抗感あるのが普通なのだが。
れるらしい。虐待お兄さんとは違うが、俺は抵抗無くゆっくりを殺す人間だ。おりんはそ
れに普通に付き合っている。そこそこ賢いなら抵抗感あるのが普通なのだが。
「おりんはおりんだもん。しんだゆっくりにしかきょうみないよ。さとりさまやおくうな
らべつだけど。そういうものなんだね。しかたないよ」
らべつだけど。そういうものなんだね。しかたないよ」
おりんは横を向いて、小さくため息をついた。
「わるいにんげんがやってきて、むれのみんなをころしてるよ。まりさやみょんもにんげ
んにあやつられちゃったよ。でもだいじょうぶだよ!」
んにあやつられちゃったよ。でもだいじょうぶだよ!」
長れいむの前には、ありすとぱちゅりーのつがいがいた。子ゆっくりも一緒である。み
んな呆けたように、れいむを見つめている。正確には、れいむの赤い右目。移植されたう
どんげの眼である。
ありすとぱちゅりーは、うどんげの眼に見つめられることで正気を失っていた。
んな呆けたように、れいむを見つめている。正確には、れいむの赤い右目。移植されたう
どんげの眼である。
ありすとぱちゅりーは、うどんげの眼に見つめられることで正気を失っていた。
「れいむたちでちからをあわせてにんげんとたたかうよ!」
れいむは人間の命令通り、東からゆっくりを集めていた。
「だからみんなひろばにあつまってね! みんなでにんげんをせいっさいっするよ!」
「ゆっくりわかったわ。にんげんはせいさいっよ!」
「むきゅ、もりのけんじゃにまかせなさい!」
「おかーしゃん、ありしゅがんばるわ」
「ぱちぇたちがいれば、かったもどうじぇんね」
「ゆっくりわかったわ。にんげんはせいさいっよ!」
「むきゅ、もりのけんじゃにまかせなさい!」
「おかーしゃん、ありしゅがんばるわ」
「ぱちぇたちがいれば、かったもどうじぇんね」
親だけでなく、子ありすや子ぱちゅりーまで闘志を燃やしている。
基本種では比較的大人しいありす(れいぱー除く)やぱちゅりー。襲ってきた人間を相手
に戦う。これが通常なら嫌がっただろう。しかし、れいむに埋め込まれたうどんげの眼に
暗示を掛けられ、れいむの言葉をそのまま自分の考えとしていた。
広場に行って人間と戦い、人間を倒す。
基本種では比較的大人しいありす(れいぱー除く)やぱちゅりー。襲ってきた人間を相手
に戦う。これが通常なら嫌がっただろう。しかし、れいむに埋め込まれたうどんげの眼に
暗示を掛けられ、れいむの言葉をそのまま自分の考えとしていた。
広場に行って人間と戦い、人間を倒す。
「むっきゅー!」
「とかいっ、はぁー!」
「とかいっ、はぁー!」
異常な闘志を燃やし、ありす一家は広場へ向かって跳ねていった。
どうする事もできない長れいむ。
どうする事もできない長れいむ。
「みんなでちからをあわせれば……なんとかなるよ!」
だが、れいむは前向きだった。
「むきゅ。すごいちからだわ!」
森の中を跳ねながら、ぱちゅりーは有頂天だった。
群れ一番の知恵者、参謀ぱちゅりー。自惚れが含まれているが、実際に頭はいい。れい
むがアイディアを出し、ぱちゅりーが具体案を考える。これが群れの構造だった。
ぱちゅりーの悩みは他のゆっくりの頭の悪さだった。ぱちゅりーの考えに他の連中はほ
とんど付いて来られない。天才である自分の考えを凡才である他ゆっくりに理解させ、さ
らにその通りに行動させるのはいつも苦労する。
だが、人間に渡された左目があれば、簡単だった。
群れ一番の知恵者、参謀ぱちゅりー。自惚れが含まれているが、実際に頭はいい。れい
むがアイディアを出し、ぱちゅりーが具体案を考える。これが群れの構造だった。
ぱちゅりーの悩みは他のゆっくりの頭の悪さだった。ぱちゅりーの考えに他の連中はほ
とんど付いて来られない。天才である自分の考えを凡才である他ゆっくりに理解させ、さ
らにその通りに行動させるのはいつも苦労する。
だが、人間に渡された左目があれば、簡単だった。
ちぇんとみょんのつがいに出くわす。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
ぱちゅりーの挨拶に、挨拶を返すちぇんとみょん。
ぱちゅりーは二匹の両目を、左目で見つめた。途端、二匹の眼から光が消える。うどん
げの眼によって催眠状態に陥ったのだ。
ぱちゅりーは二匹の両目を、左目で見つめた。途端、二匹の眼から光が消える。うどん
げの眼によって催眠状態に陥ったのだ。
「たいへんよ。わるいにんげんが、むれのみんなをころそうとしているわ――」
ぱちゅりーは得意げに"説得"を始めた。
広場の半分はゆっくりで埋まっていた。
長れいむと参謀ぱちゅりーを戦闘に、成体百匹くらいが後ろに集まっている。子ゆっく
りや赤ゆっくりも加えれば、さらに数は増える。
長れいむと参謀ぱちゅりーを戦闘に、成体百匹くらいが後ろに集まっている。子ゆっく
りや赤ゆっくりも加えれば、さらに数は増える。
「ゆぅ。がんばるよ! れいむたちは、まけないよ! みんな、わるいにんげんをやっつ
けて、まりさたちをたすけるよ!」
けて、まりさたちをたすけるよ!」
恐怖に震えながらも、先頭で声を上げるれいむ。群れのみんなで頑張って力を合わせれ
ば何でもできる。事実、今までみんなで何でもやってきた。だから、今回も何とかなる。
今までの長としての行動の根っこには、群れのみんなへの強い信頼があった。
ば何でもできる。事実、今までみんなで何でもやってきた。だから、今回も何とかなる。
今までの長としての行動の根っこには、群れのみんなへの強い信頼があった。
「むっきゃきゃ! かくごしなさい、にんげんッ! これだけのかずのゆっくりに、ぱち
ぇのずのうがくわわれば、むてきよ! さいっきょうっよ!」
ぇのずのうがくわわれば、むてきよ! さいっきょうっよ!」
一方、調子に乗りまくったぱちゅりー。埋め込まれたうどんげの眼によって、どんなゆ
っくりも文句も言わず自分の言葉を受け入れる。それは快感だった。ぱちゅりーの中に眠
っていたゲスを呼び覚ますほどに。
っくりも文句も言わず自分の言葉を受け入れる。それは快感だった。ぱちゅりーの中に眠
っていたゲスを呼び覚ますほどに。
「集まったなー」
生きたゆっくりを見回し、俺は満足げに頷いた。後ろには、穢土転生ゆっくり十五匹。
ドス除く。広場の東西を挟んで対立するゆっくりたち。
ドス除く。広場の東西を挟んで対立するゆっくりたち。
「ゆぅ、もうイヤなんだぜ……」
「ひどいみょん……。もうころしてみょん……」
「わからないよお……。だれかたすけてよぉ……」
「どうぞくごろしは、ゆっくりできないわ……」
「ひどいみょん……。もうころしてみょん……」
「わからないよお……。だれかたすけてよぉ……」
「どうぞくごろしは、ゆっくりできないわ……」
穢土転生ゆっくりたちは、全員泣いている。闘志や士気どころではない。普通に戦闘と
なったら、抵抗することもなく嬲り殺しだろう。こいつらは違う。命令を受ければ、意志
とは無関係に全力で戦うのだ。
吹き抜ける風に、落ち葉が舞う。
だが、戦いを始める前にやることがある。
なったら、抵抗することもなく嬲り殺しだろう。こいつらは違う。命令を受ければ、意志
とは無関係に全力で戦うのだ。
吹き抜ける風に、落ち葉が舞う。
だが、戦いを始める前にやることがある。
「れいむ、ぱちゅりー前に出ろ」
「ゆ、からだがかってに……」
「どういうことっ!」
「ゆ、からだがかってに……」
「どういうことっ!」
俺の命令に従い、れいむとぱちゅりーが前に進み出てくる。俺も穢土転生ゆっくりを置
いて前に足を進めた。それぞれ成り行きを見守る他のゆっくりたち。
生きたゆっくりたちと死んだゆっくりの間で、俺とれいむ、ぱちゅりーが対峙する。
いて前に足を進めた。それぞれ成り行きを見守る他のゆっくりたち。
生きたゆっくりたちと死んだゆっくりの間で、俺とれいむ、ぱちゅりーが対峙する。
「目、返してもらうぞ」
そう告げるなり、俺は二匹の目を手で抉った。うどんげの瞳は貴重品である。このまま
こ渡すわけにはいかないし、これからの戦いで潰されるのも困る。超再生力を持っていて
も外付けパーツは復活しないのだ。
こ渡すわけにはいかないし、これからの戦いで潰されるのも困る。超再生力を持っていて
も外付けパーツは復活しないのだ。
「いだいいいいっ!」
「むきゃああああ!」
「ゆっくり戦闘開始ぃぃ! 全員進めええええ!」
「むきゃああああ!」
「ゆっくり戦闘開始ぃぃ! 全員進めええええ!」
痛みに悶える二匹を無視し、俺は高らかに宣言した。
「いやだあああああ!」
「ごろじだぐないよおおお!」
「ごろじだぐないよおおお!」
命令通りに突撃を開始する穢土転生ゆっくり。
「ゆっくりしねええええ!」
「せいさいっだあああ!」
「せいさいっだあああ!」
それに反応して走り出す、群れのゆっくりたち。
生きてる方はどいつもこいつも正気を失っている。うどんげの眼の狂気に当てられた結
果だろう。どちらが勝っても特をしない、実に不毛な戦いが始まった。
真ん中に残っていたれいむとぱちゅりーが押し潰される。
生きてる方はどいつもこいつも正気を失っている。うどんげの眼の狂気に当てられた結
果だろう。どちらが勝っても特をしない、実に不毛な戦いが始まった。
真ん中に残っていたれいむとぱちゅりーが押し潰される。
「おお、むざんむざん」
俺は素早く広場の端に退避している。
横にはドスまりさと、ドスが掘った穴があった。ドス一匹収まるくらいの大穴。ドス自
身に掘らせたのである。ドスはお帽子の上に木の枝や葉っぱを乗せている。いわゆるすて
るす。頭に枝や葉を付けるだけで、ゆっくりはそれを木と認識してしまうのだ。
横にはドスまりさと、ドスが掘った穴があった。ドス一匹収まるくらいの大穴。ドス自
身に掘らせたのである。ドスはお帽子の上に木の枝や葉っぱを乗せている。いわゆるすて
るす。頭に枝や葉を付けるだけで、ゆっくりはそれを木と認識してしまうのだ。
「どうして……にんげんは、こんなことするの……?」
目を腫らしたドス。
「俺が殺さなかったら、加工所の駆除で全滅だ。俺が殺すか加工所の専門家が殺すか、ど
っちかなんだよ。増えすぎた時点でお前らは詰んでた」
「ゆぅうう……」
っちかなんだよ。増えすぎた時点でお前らは詰んでた」
「ゆぅうう……」
ゆっくりが増えすぎるとゆっくりできなくなる。ドスはそれを理解していた。だからす
っきり制限と間引きをしてきた。でも、今の長は個体調整をする気は無いらしい。その結
果が全滅だ。よくある群れの末路である。
はらはらと涙を流すドス。
テンプレ的な喜劇に、ドスは何を思うやら。
っきり制限と間引きをしてきた。でも、今の長は個体調整をする気は無いらしい。その結
果が全滅だ。よくある群れの末路である。
はらはらと涙を流すドス。
テンプレ的な喜劇に、ドスは何を思うやら。
「さてと――」
俺はきれいに汚れを取ったうどんげの瞳を瓶に入れ、荷物に戻した。これは今後色々使
うのでしっかり保存しておく。
うのでしっかり保存しておく。
「ちぇえん。これからちぇんはおりんとずっといっしょだよ。たっぷりかわいがってあげ
るからね! ずっと、ずっとゆっくりしていってね!」
「わがらないよぉ、わがらないよおぉ」
るからね! ずっと、ずっとゆっくりしていってね!」
「わがらないよぉ、わがらないよおぉ」
おりんがコレクションに加わったちぇんにすーりすーりしている。頬を赤くして、口元
から涎を垂らしながら。
から涎を垂らしながら。
「おい、ドス」
俺は立ち上がって、乱闘を繰り広げるゆっくりたちを指差した。殺しても死なない穢土
転生ゆっくりと、殺意と闘争心剥き出しで暴れる生きているゆっくり。殺したり殺された
り、死んだり死なせたり。泥沼の白兵戦。
転生ゆっくりと、殺意と闘争心剥き出しで暴れる生きているゆっくり。殺したり殺された
り、死んだり死なせたり。泥沼の白兵戦。
「ドススパークで群れのゆっくり消し飛ばせ」
「なんでえええええ!」
「なんでえええええ!」
身体を伸ばし、ドスが驚く。
「ほい、キノコ」
俺が取り出したのは、ドススパーク用のきのこだった。
加工所製の養殖ドスパきのこ。加熱食用、二十個入りで千円。いかにもキノコって形の
毒々しい色合いのきのこ。どう見ても毒キノコだけど、毒はない。それどころか意外と美
味しい。俺としては七輪で焼いて醤油を少し付けるのが一番だ。
加工所製の養殖ドスパきのこ。加熱食用、二十個入りで千円。いかにもキノコって形の
毒々しい色合いのきのこ。どう見ても毒キノコだけど、毒はない。それどころか意外と美
味しい。俺としては七輪で焼いて醤油を少し付けるのが一番だ。
ゆっくりに食べさせないで下さい。暴発します。
そんな注意書き。
キノコを一個取り出し、ドスの口に放り込む。
キノコを一個取り出し、ドスの口に放り込む。
「むーしゃ、むーしゃ。いやああっ!」
「狙いは右ー。てー!」
「狙いは右ー。てー!」
ボッ。
大きく開いたドスの口から、爆音とともに白い閃光が吐き出された。ドスの必殺技、ド
ススパーク。ゆっくりがこれを喰らえば、ほぼ例外なく塵と消える。耐えられるのは一部
の本当に頑丈な希少種のみ。
ドススパークは群れの一角を呑み込み、約二十匹を消し飛ばした。
ススパーク。ゆっくりがこれを喰らえば、ほぼ例外なく塵と消える。耐えられるのは一部
の本当に頑丈な希少種のみ。
ドススパークは群れの一角を呑み込み、約二十匹を消し飛ばした。
「ゆぅ、ゆっ」
その中から塵が寄り集まり、数匹のゆっくりを再生させている。穢土転生されたゆっく
りだ。超再生力を持ち合わせているため、ドススパークに巻き込まれて消し飛んでも、そ
こから復活できる。このレベルでの全身再生は、三回くらいが限度っぽいけど。
俺は次のキノコをドスの口に放り込んだ。
りだ。超再生力を持ち合わせているため、ドススパークに巻き込まれて消し飛んでも、そ
こから復活できる。このレベルでの全身再生は、三回くらいが限度っぽいけど。
俺は次のキノコをドスの口に放り込んだ。
「二発目、真ん中狙え!」
「ああああ!」
「ああああ!」
ドッ。
ドススパークが戦場の真ん中を消し飛ばす。光の中に溶けて消えるゆっくりたち。やや
遅れて穢土転生ゆっくりが再生していた。
すぐさまドスの口にキノコを放り込む。
遅れて穢土転生ゆっくりが再生していた。
すぐさまドスの口にキノコを放り込む。
「三発目、今度は左。薙ぎ払え!」
「ゆああああッ」
「ゆああああッ」
ドススパークが発射される。
ドスの口は既にボロボロだ。本来、ドススパークは一発しか撃たないもの。見掛けの派
手さ通り、反動はかなり大きいのだ。間を置かず連射すれば、修復不可能な損傷を負って
しまう。だが、穢土転生は自己再生するし、俺の命令は拒否できない。
今のドスは砲台だ。
ドスの口は既にボロボロだ。本来、ドススパークは一発しか撃たないもの。見掛けの派
手さ通り、反動はかなり大きいのだ。間を置かず連射すれば、修復不可能な損傷を負って
しまう。だが、穢土転生は自己再生するし、俺の命令は拒否できない。
今のドスは砲台だ。
「四発目、撃てぇ!」
むーしゃむーしゃ。
ああ、まだ咀嚼中か。ちょっと合図が早かったか。意外と長いんだよな、ドススパーク
の溜めって。俺はドスを睨み付け、叫ぶ。
の溜めって。俺はドスを睨み付け、叫ぶ。
「焼き払え! どうした! それでも世界で最も邪悪な一族の末裔か!」
「ゆあああああ!」
「ゆあああああ!」
閃光がゆっくりたちを薙ぎ払う。
「みんな……」
残ったゆっくりは少なかった。
長れいむに参謀ぱちゅりー、あとパン斬り包丁を持ったまりさ、ちぇん、みょん、あり
す、まりさ、ぱちゅりー。最後にドスまりさ。生きたゆっくりは全滅。穢土転生組もドス
スパークの連射で半減している。
長れいむに参謀ぱちゅりー、あとパン斬り包丁を持ったまりさ、ちぇん、みょん、あり
す、まりさ、ぱちゅりー。最後にドスまりさ。生きたゆっくりは全滅。穢土転生組もドス
スパークの連射で半減している。
「もう、だめなんだね。わがるよぉ……」
おりんにすーりすーりされているコレクションちぇんは無傷だ。
でも、こいつが一番悲惨かもしれない。
でも、こいつが一番悲惨かもしれない。
「君らのおかげで駆除は成功した。ありがとう」
爽やか笑顔で言ってみるが、ゆっくりたちの反応は薄い。心が完全に砕けてしまったよ
うだ。家族も友達も、仲間もお家も、あっという間に全てを失っている。脳天気に発狂し
ている余裕もなかった。
うだ。家族も友達も、仲間もお家も、あっという間に全てを失っている。脳天気に発狂し
ている余裕もなかった。
「みんな……てんごくでゆっくりしてね」
涙を流しながら、長れいむが呟く。
空高く浮かぶ鱗雲が、夕日を受けて赤く染まっていた。天気は緩やかに下り坂。明日の
夜から二日ほど雨が降る。死んだゆっくりの餡子は、雨に溶けて消えるだろう。
それはさておき。
空高く浮かぶ鱗雲が、夕日を受けて赤く染まっていた。天気は緩やかに下り坂。明日の
夜から二日ほど雨が降る。死んだゆっくりの餡子は、雨に溶けて消えるだろう。
それはさておき。
「お前ら、天国行けるのか?」
気になって俺はそう訊いてみた。永遠にゆっくりしたゆっくりは天国に行ける。多くの
ゆっくりはそう信じている。どう考えても無理だろってゲスも。
ゆっくりはそう信じている。どう考えても無理だろってゲスも。
「いけるよ。みんなゆっくりしてたよ……」
長れいむの答え。
その妄想について特に言う気はない。ただ、気になるのは死後の世界だ。こいつらは一
度死んで生き返った連中。理論上、一回仕死後の世界を見ているはずだ。
その妄想について特に言う気はない。ただ、気になるのは死後の世界だ。こいつらは一
度死んで生き返った連中。理論上、一回仕死後の世界を見ているはずだ。
「ドス、ちょうどいいから聞いておこう。お前が死んだのは一年前だが、今日復活するま
でどこにいた? 天国にいたのか? 地獄にいたのか?」
でどこにいた? 天国にいたのか? 地獄にいたのか?」
長れいむたちは死んだ直後に生き返っている。しかし、ドスは死んでから生き返るまで
一年ほどの間がある。その間死後の世界にいたなら、何らかの記憶はあるだろう。
一年ほどの間がある。その間死後の世界にいたなら、何らかの記憶はあるだろう。
「ゆっ。しらないよぉ……」
しかし、答えはあっけなかった。復活した直後も死んでる最中の記憶は無いような様子
だったから、この答えは予想済みだ。
だったから、この答えは予想済みだ。
「知らないか。なら、次復活する時は覚えててくれないか?」
俺はドスの帽子をつかみ取り、おさげを引っこ抜いた。
「ドスのおぼうしとおさげがああ!」
ドスが身体を揺らしながら悲鳴を上げる。
これはドスの生きていた時の情報だ。材料さえあれば穢土転生は何度でも使える。材料
が消耗することはない。このお帽子とおさげがあれば、ドスを何度でもこの世に呼び戻す
ことができる。生け贄集めるのに苦労はするけど。
でも、今日はこれでドスの役目は終わりだ。
これはドスの生きていた時の情報だ。材料さえあれば穢土転生は何度でも使える。材料
が消耗することはない。このお帽子とおさげがあれば、ドスを何度でもこの世に呼び戻す
ことができる。生け贄集めるのに苦労はするけど。
でも、今日はこれでドスの役目は終わりだ。
「ていっ」
「ゆがぁ!」
「ゆがぁ!」
ドスを穴へと蹴り落とす。
自分の掘った穴にすっぽり収まり、もこもこしているドスに俺は手を振った。
自分の掘った穴にすっぽり収まり、もこもこしているドスに俺は手を振った。
「じゃ、ドス。今回はこれでさよならだ。また必要になった時は復活させるから、その時
は協力してくれ。次も駆除だろうけど。それまであの世でゆっくりしてくれ。あと、次復
活した時はあの世の事教えてくれよ。あの世が存在するなら」
は協力してくれ。次も駆除だろうけど。それまであの世でゆっくりしてくれ。あと、次復
活した時はあの世の事教えてくれよ。あの世が存在するなら」
「いやだあああ! もういやだあああ!」
「えどてんせいっ、かいじょっ」
「えどてんせいっ、かいじょっ」
おりんが穢土転生を解除する。
「あ……あぁ……」
ドスの姿が見る間に崩れていった。復活する時は一分くらい時間が掛かったけど、解除
されれば元に戻るのはほんの数秒。元のゆっくりと土と草に戻り、穴の中に広がる。生け
贄となったゆっくりは全員死んでいた。
この生け贄には加工所製のゆっくり肥料の元を混ぜてある。放っておけばほどよい堆肥
になるだろう。死んだゆっくりは速やかに塵芥となり、草さんのご飯となる。人間が手を
加えれば優秀な肥料となるが、ただ放置してもそれなりに優秀な肥料だ。
されれば元に戻るのはほんの数秒。元のゆっくりと土と草に戻り、穴の中に広がる。生け
贄となったゆっくりは全員死んでいた。
この生け贄には加工所製のゆっくり肥料の元を混ぜてある。放っておけばほどよい堆肥
になるだろう。死んだゆっくりは速やかに塵芥となり、草さんのご飯となる。人間が手を
加えれば優秀な肥料となるが、ただ放置してもそれなりに優秀な肥料だ。
生き残ったゆっくりたちが、ドスだったものを見つめて涙を流している。
「じゃ、お前らはここでずっと暮らせ」
「ゆっ?」
「ゆっ?」
全員同時に俺を見上げる。
どうやら自分たちも死ぬと思っていたようだ。このまま苦しみ続けるなら死んで楽にな
りたい。そう考えていたんだろう。
そうは問屋が卸さななえ!
どうやら自分たちも死ぬと思っていたようだ。このまま苦しみ続けるなら死んで楽にな
りたい。そう考えていたんだろう。
そうは問屋が卸さななえ!
「ゆっくりは勝手に生えてくるからなぁ。次の群れに人間との付き合い方教えるのも面倒
だから、お前たちを教育係に任命する! ゆっくりおめでとう!」
だから、お前たちを教育係に任命する! ゆっくりおめでとう!」
穢土転生ゆっくりは擬似的な生命活動を行う。餌食ったりうんうんしたり。子供はでき
ないようだが。どこまで生き続けるかは調査段階だが、多分かなり長生きする。しかも、
即死のダメージをものともしない超再生力があるので、早々死ぬ事はない。
ないようだが。どこまで生き続けるかは調査段階だが、多分かなり長生きする。しかも、
即死のダメージをものともしない超再生力があるので、早々死ぬ事はない。
「お前たちに命令する。今度は人間の迷惑にならない群れを作れ。せいさい、しゅくせい、
あんさつ、まびき。どんな手段を使ってでもな。あと、お前たちは生き続けろ。自殺とか
おたべなさいとかはするなよ」
「………」
あんさつ、まびき。どんな手段を使ってでもな。あと、お前たちは生き続けろ。自殺とか
おたべなさいとかはするなよ」
「………」
返事はない。
声も出せず、表情も作れず。ゆっくりたちはただ俺を見つめる。何もかも失った顔。大
事なものを全て失い、さらに死という逃げ場も失っている。痛みや恐怖に我を忘れること
もできない。これから先は、ひたすら俺の命令通りに生きる未来だけがあった。
声も出せず、表情も作れず。ゆっくりたちはただ俺を見つめる。何もかも失った顔。大
事なものを全て失い、さらに死という逃げ場も失っている。痛みや恐怖に我を忘れること
もできない。これから先は、ひたすら俺の命令通りに生きる未来だけがあった。
絶望。
まさにそれだろう。
おまけ。
ドアを開けると、おりんが床にコレクションを並べていた。
「まりさああっ。まりさっ、かっこいいよよ!」
コレクションゆっくりに囲まれ、物凄い顔をしている。頬を染め、涎を垂らし、汗のよ
うな液体を垂らし。尻尾と三つ編みをいごいごと動かしながら、身体を捻っている。目の
焦点も合っていない。いわゆるアヘ顔だ。他人が見ている所だと猫被ってるけど、おりん
の素は色々と終わってる。
うな液体を垂らし。尻尾と三つ編みをいごいごと動かしながら、身体を捻っている。目の
焦点も合っていない。いわゆるアヘ顔だ。他人が見ている所だと猫被ってるけど、おりん
の素は色々と終わってる。
「れいむもすてきだねっ。ちぇんもすてきだよおおお! こんなゆっくりしたゆっくりに
かこまれて、おりんはしあわせだよ!」
かこまれて、おりんはしあわせだよ!」
俺は無言のままドアを閉めようとして。
おりんと目が合った。
一瞬で元の表情に戻ったおりんが、大慌てで駆け寄ってくる。閉まっていくドアの間に
自分の身体を差し込みながら。
おりんと目が合った。
一瞬で元の表情に戻ったおりんが、大慌てで駆け寄ってくる。閉まっていくドアの間に
自分の身体を差し込みながら。
「おにいさん、まってね! どんびきはやめてね! すっごいきずつくよ!」
「だって、キモイもん」
「ゆがーん」
「だって、キモイもん」
「ゆがーん」
そんな掛け合いをしていると。
「おにいざん……まりざをごろじで……」
「もういやだよ……。いやだよぉ、しなせてぇ……」
「わがらないよぉ……。しにたいよぉ……」
「もういやだよ……。いやだよぉ、しなせてぇ……」
「わがらないよぉ……。しにたいよぉ……」
コレクションたちが口々に言ってくる。
穢土転生ゆっくり。擬似的な生命活動をしているので、最低限の環境は保証している。
しかし、日々のストレスは相当なもんだろう。おりんの気色悪い寵愛も含め、日常の全て
がゆっくりできない。
穢土転生ゆっくり。擬似的な生命活動をしているので、最低限の環境は保証している。
しかし、日々のストレスは相当なもんだろう。おりんの気色悪い寵愛も含め、日常の全て
がゆっくりできない。
「いや、お前らもうとっくに死んでるし」
「あああ……」
「あああ……」
俺の言葉に、ゆっくりたちは悲しげに呻いた。
「ゆっくりおうちにもどってね!」
おりんお命令に、身体が勝手に動く。
ぽよぽよと床を跳ね、白木の箱へと戻って行った。ゆっくり一匹がぴったり収まる棺桶
のようなお家。というか、棺桶。穢土転生といったらこれだろって事で作ってみた。中の
ゆっくりが蓋を閉める。蓋に書かれた魔、霊、橙の文字。
ぽよぽよと床を跳ね、白木の箱へと戻って行った。ゆっくり一匹がぴったり収まる棺桶
のようなお家。というか、棺桶。穢土転生といったらこれだろって事で作ってみた。中の
ゆっくりが蓋を閉める。蓋に書かれた魔、霊、橙の文字。
「ゆふん」
おりんは満足げに、その棺桶を眺めていた。
投稿ミス、すみませんでした。