ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3984 それぞれの冬ごもり・後編
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ankoss
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『それぞれの冬ごもり・後編』 28KB
愛で 自業自得 越冬 ゲス 捕食種 希少種 自然界 人間なし 22作品目、後編です。 ぺけぽん
愛で 自業自得 越冬 ゲス 捕食種 希少種 自然界 人間なし 22作品目、後編です。 ぺけぽん
注意書きです。
1 希少種が出ます。
2 酷い目にあうゆっくりと、そうでないゆっくりがいます。
3 このSSは『anko3983 それぞれの冬ごもり・前編』の後編となっているので、先に前編を見る事をお勧めします。
2 酷い目にあうゆっくりと、そうでないゆっくりがいます。
3 このSSは『anko3983 それぞれの冬ごもり・前編』の後編となっているので、先に前編を見る事をお勧めします。
それでもOKという方のみ、どうぞ。
……数日後。
この日は雪は降っておらず、ただ冷たい風だけが吹いていた。
「ゆっへっへ!む~しゃむしゃ、しあわせーなのぜぇ!」
「ゆ~ん!きょうもごはんさんがおいしいねぇ!」
「ゆ~ん!きょうもごはんさんがおいしいねぇ!」
「……」
ありすの巣穴……、いや、まりさとれいむの巣穴と呼ぶべきなのか。
二匹は今日も、ありすに見せびらかすように悠々自適に過ごしていた。
ありすはこの数日間で、二匹の奴隷的存在になっていた。
その心境は相当辛いものだろう。
二匹は今日も、ありすに見せびらかすように悠々自適に過ごしていた。
ありすはこの数日間で、二匹の奴隷的存在になっていた。
その心境は相当辛いものだろう。
「ゆへへのへっ!ことしはかいてきなふゆがこせそうなのぜ!」
「ほんとだよね!らくしてゆっくりするのって、さいこうだよね!」
「ほんとだよね!らくしてゆっくりするのって、さいこうだよね!」
ありすとは対照的に、まりさとれいむは幸せの絶頂にいた。
苦労せずに冬を越し、暖かい春を迎えられる事に幸せを感じていた。
手段の綺麗、汚いは二匹にとって些細な事で、一番大事なのは自分がいかにゆっくり出来るか。
二匹には道徳というものが完全に欠落していた。
……もしこの世に神がいるのならば、二匹はその行いの報いを受けなければならないだろう。
苦労せずに冬を越し、暖かい春を迎えられる事に幸せを感じていた。
手段の綺麗、汚いは二匹にとって些細な事で、一番大事なのは自分がいかにゆっくり出来るか。
二匹には道徳というものが完全に欠落していた。
……もしこの世に神がいるのならば、二匹はその行いの報いを受けなければならないだろう。
ドスッ!
……どうやら、案外その報いを受ける時は早かったようだ。
「「?」」
突然入口の壁の方で、何やら音が聞こえた。
「……なんなのぜ?」
「ゆーん、なんなの?」
外からはヒュウヒュウと吹雪いている音は聞こえるが、今のは明らかに違う音だった。
例えるなら、何かがぶつかったような音だった。
「……なんなのぜ?」
「ゆーん、なんなの?」
外からはヒュウヒュウと吹雪いている音は聞こえるが、今のは明らかに違う音だった。
例えるなら、何かがぶつかったような音だった。
ドスッ!
「「ゆっ!?」」
再度音が聞こえ、二匹がブルリと震えた。
ドスンッ!ドスッ!ドスンッ!
「な、なんなのぜぇっ!?」
「なに!?なんなのぉ!?」
「なに!?なんなのぉ!?」
その音は一層大きくなり、葉っぱや木の枝で出来た壁は、ミシミシと音を立て始めた。
……そして。
……そして。
バァンッ!!
「「ゆうぅぅぅぅっ!?」」」
ついに入口の壁が破られ、巣穴の中に葉っぱや木の枝が散乱した。
入口から見えるのは、何やら白いモチモチとした壁のようなものだった。
そのモチモチとした壁がゆっくりと動いたかと思うと……。
ついに入口の壁が破られ、巣穴の中に葉っぱや木の枝が散乱した。
入口から見えるのは、何やら白いモチモチとした壁のようなものだった。
そのモチモチとした壁がゆっくりと動いたかと思うと……。
「くろまく~」
……外からそんな鳴き声が聞こえてきた。
「「れ……、れてぃだあぁぁぁぁっ!?」」
まりさとれいむはその鳴き声を聞いて絶叫した。
……巣穴の外には、全長二メートル程の、モチモチの白い肌のゆっくりがいた。
ゆっくりれてぃ。
一年の四季の中で冬以外は巣の中で眠り続け、冬にしか活動を行わない、珍しいゆっくりである。
他のゆっくり達からは、冬にしか現れない捕食種として恐れられていた。
「くろまく~」
れてぃは身を屈めて、巣穴の中を覗いた。
「ひっ……!に、にげるのぜっ!」
「ゆひいぃっ……!」
まりさとれいむは巣穴の奥へ逃げ出した。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……。どれもおいしそうねぇ~」
れてぃはのんびりした口調でゆっくり達を品定めしていた。
……そして、口を開くと、ニュ~っと長い舌を伸ばし始めた。
れてぃはゆっくりの巣穴に入れずとも、こうして長い舌を伸ばしてゆっくりを捕食する事が出来た。
そして、れてぃはゆっくりを噛んで食べるのではなく、丸飲みにして腹の中に蓄え、ゆっくりと消化して自分の栄養にするのだ。
「あらぁ~、いいものがあったわぁ~」
れてぃはそこである物に気付き、ゆっくり達の前にそれを舌で絡め取った。
「ゆわあぁぁぁぁっ!!まりさのごはんさあぁぁぁぁんっ!!」
……それは、かつてありすが集めた食糧の山だった。
「やべでえぇぇぇぇっ!!もっていかないでえぇぇぇぇっ!!」
二匹はれてぃに止めるよう叫ぶも、れてぃはそんな事はお構いなしだった。
「む~しゃむ~しゃ……、とりあえずはらはちぶんめねぇ……」
このままでは当然満足出来ないだろう。
れてぃは再度舌を伸ばし始めた。
「ど、どれい!まりさのかわりにたべられるのぜ!」
「はやくしてね!こういうときくらい、やくにたたないんだから!」
二匹はこのままでは食べられてしまうと思い、巣穴の奥にいるありすを引っ張り出し、れてぃのいる方へ突き飛ばした。
「っ……!」
満身創痍のありすには、すぐに逃げ出せるだけの体力は残っていなかった。
「このありすもおいしそうねぇ~」
ありすにターゲットを絞ったれてぃは、舌をありすの方へ伸ばした。
「うっ……!」
れてぃの舌がありすの目の前まで伸びて来た。
ありすはもう駄目だと思い、ギュッと目を閉じた。
……しかし。
「うーん……。これいじょう、したがとどかないわねぇ~」
僅かながらに舌が届かなかったらしく、間一髪でありすは食べられずに済んだ。
「うーん……。あのこのところにいくまえに、べつのばしょではらごしらえしようかしら~」
巣穴のゆっくり達を捕食する事が難しいと考えたれてぃは、ゆっくりのっそりと巣穴から離れ、どこかへと去って行った。
……巣穴に残されたのはありすとまりさとれいむの三匹。
そしてバリケードの役目を果たしていた葉っぱと木の残骸、れてぃが取りこぼした食糧だけとなった。
「た……、たすかったのぜ……」
「ふぅ……。よかったね……」
二匹は目の前の危機が去って行った事に安堵していた。
……だが、今度は別の危機が訪れていた。
……巣穴の外には、全長二メートル程の、モチモチの白い肌のゆっくりがいた。
ゆっくりれてぃ。
一年の四季の中で冬以外は巣の中で眠り続け、冬にしか活動を行わない、珍しいゆっくりである。
他のゆっくり達からは、冬にしか現れない捕食種として恐れられていた。
「くろまく~」
れてぃは身を屈めて、巣穴の中を覗いた。
「ひっ……!に、にげるのぜっ!」
「ゆひいぃっ……!」
まりさとれいむは巣穴の奥へ逃げ出した。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……。どれもおいしそうねぇ~」
れてぃはのんびりした口調でゆっくり達を品定めしていた。
……そして、口を開くと、ニュ~っと長い舌を伸ばし始めた。
れてぃはゆっくりの巣穴に入れずとも、こうして長い舌を伸ばしてゆっくりを捕食する事が出来た。
そして、れてぃはゆっくりを噛んで食べるのではなく、丸飲みにして腹の中に蓄え、ゆっくりと消化して自分の栄養にするのだ。
「あらぁ~、いいものがあったわぁ~」
れてぃはそこである物に気付き、ゆっくり達の前にそれを舌で絡め取った。
「ゆわあぁぁぁぁっ!!まりさのごはんさあぁぁぁぁんっ!!」
……それは、かつてありすが集めた食糧の山だった。
「やべでえぇぇぇぇっ!!もっていかないでえぇぇぇぇっ!!」
二匹はれてぃに止めるよう叫ぶも、れてぃはそんな事はお構いなしだった。
「む~しゃむ~しゃ……、とりあえずはらはちぶんめねぇ……」
このままでは当然満足出来ないだろう。
れてぃは再度舌を伸ばし始めた。
「ど、どれい!まりさのかわりにたべられるのぜ!」
「はやくしてね!こういうときくらい、やくにたたないんだから!」
二匹はこのままでは食べられてしまうと思い、巣穴の奥にいるありすを引っ張り出し、れてぃのいる方へ突き飛ばした。
「っ……!」
満身創痍のありすには、すぐに逃げ出せるだけの体力は残っていなかった。
「このありすもおいしそうねぇ~」
ありすにターゲットを絞ったれてぃは、舌をありすの方へ伸ばした。
「うっ……!」
れてぃの舌がありすの目の前まで伸びて来た。
ありすはもう駄目だと思い、ギュッと目を閉じた。
……しかし。
「うーん……。これいじょう、したがとどかないわねぇ~」
僅かながらに舌が届かなかったらしく、間一髪でありすは食べられずに済んだ。
「うーん……。あのこのところにいくまえに、べつのばしょではらごしらえしようかしら~」
巣穴のゆっくり達を捕食する事が難しいと考えたれてぃは、ゆっくりのっそりと巣穴から離れ、どこかへと去って行った。
……巣穴に残されたのはありすとまりさとれいむの三匹。
そしてバリケードの役目を果たしていた葉っぱと木の残骸、れてぃが取りこぼした食糧だけとなった。
「た……、たすかったのぜ……」
「ふぅ……。よかったね……」
二匹は目の前の危機が去って行った事に安堵していた。
……だが、今度は別の危機が訪れていた。
ヒュオォォォォ……。
「「さ……、さぶいぃぃぃぃっ!!」」
れてぃが入口の壁を壊してしまった為、外から冷たい風が入り込んでいた。
このまま放置すれば、全員凍死してしまう。
「どれい!はやくいりぐちをふさぐのぜぇっ!」
「……」
まりさにそう命令されたありすは、無言で近くにあった木の枝を一本咥えた。
「う……、ぐっ……」
……が、リンチによる傷が疼き、ありすは満足に動く事が出来なかった。
「ゆぐうぅぅぅぅっ!!とんでもないやくたたずなのぜっ!!」
任せられないとばかりにまりさがありすから木の枝を引ったくり、入口へと向かった。
れてぃが入口の壁を壊してしまった為、外から冷たい風が入り込んでいた。
このまま放置すれば、全員凍死してしまう。
「どれい!はやくいりぐちをふさぐのぜぇっ!」
「……」
まりさにそう命令されたありすは、無言で近くにあった木の枝を一本咥えた。
「う……、ぐっ……」
……が、リンチによる傷が疼き、ありすは満足に動く事が出来なかった。
「ゆぐうぅぅぅぅっ!!とんでもないやくたたずなのぜっ!!」
任せられないとばかりにまりさがありすから木の枝を引ったくり、入口へと向かった。
ビュオォォォォッ!!
「さぶいぃぃぃぃっ!!」
……最も、ただ向かっただけで寒さに負けて巣穴の奥へ戻る事になった。
「れ、れいむ……、とりあえず、すーりすーりするのぜ……」
「そ、そうだね……。いっしょにあったまろうね……」
二匹は寒さをしのごうと体を寄せ合い、擦り始めた。
「すーりすー……、さ、さぶいのぜぇ……!」
「すーり……、つ、つめたいぃぃぃぃっ……!」
巣穴の気温が徐々に下がり、すーりすーりも大した効果が無かった。
せめて天気が良くなれば寒さもある程度改善され、入口の補強でも出来るのだが、今度は別の問題があった。
「ま、まりさ……、どうしよう……。ご、ごはんさんがないよぉ……」
……そう、れてぃが食糧のほとんどを食べてしまい、食糧不足に陥っていた。
寒さをしのぐ事が出来ても、いずれは春が来る前に餓死してしまう。
「……まだなのぜ。まだ……、たべれるものならあるのぜ……」
まりさは小声でそう言った。
……まりさの視線の先には、痛みと寒さの苦しみに耐えているありすの姿があった。
「あ、ありすがいきているあいだに、すっきりーできるだけすっきりーして、あかゆどもをたくさんうませるのぜ……」
「そ、それならなんとかなりそうだね……。じゃあ、は、はやくやろうよ……」
「ゆへへ……。どれいはどれいらしく、やくにたってもらうのぜぇ……」
……最も、ただ向かっただけで寒さに負けて巣穴の奥へ戻る事になった。
「れ、れいむ……、とりあえず、すーりすーりするのぜ……」
「そ、そうだね……。いっしょにあったまろうね……」
二匹は寒さをしのごうと体を寄せ合い、擦り始めた。
「すーりすー……、さ、さぶいのぜぇ……!」
「すーり……、つ、つめたいぃぃぃぃっ……!」
巣穴の気温が徐々に下がり、すーりすーりも大した効果が無かった。
せめて天気が良くなれば寒さもある程度改善され、入口の補強でも出来るのだが、今度は別の問題があった。
「ま、まりさ……、どうしよう……。ご、ごはんさんがないよぉ……」
……そう、れてぃが食糧のほとんどを食べてしまい、食糧不足に陥っていた。
寒さをしのぐ事が出来ても、いずれは春が来る前に餓死してしまう。
「……まだなのぜ。まだ……、たべれるものならあるのぜ……」
まりさは小声でそう言った。
……まりさの視線の先には、痛みと寒さの苦しみに耐えているありすの姿があった。
「あ、ありすがいきているあいだに、すっきりーできるだけすっきりーして、あかゆどもをたくさんうませるのぜ……」
「そ、それならなんとかなりそうだね……。じゃあ、は、はやくやろうよ……」
「ゆへへ……。どれいはどれいらしく、やくにたってもらうのぜぇ……」
二匹はありすに気付かれないよう、じりじりと忍び寄っていた……。
……同時刻。
「ふぅ……。ながかった……。ながかったわ……。なかなかにてこずったわね、ふゆもっこり……」
ちるのは積もりに積もった雪の山を見て呟いた。
ちるのはあの日からずっと自分の『冬ごもり』の為の作業を続けていた。
雪の鑑定をしたのも、その為である。
そしてとうとう、ちるのが求めていた『冬ごもり』を自分の手で完成させる事が出来た。
「ほんとうは、いますぐにでもふゆもっこりしたいけど……。れてぃといっしょにふゆもっこりがしたいわ!」
今すぐにでも『冬ごもり』をしたいが、友達と一緒に喜びを分かり合いたい。
ちるのはそう思っていた。
「……うん!そろそろれてぃもおきるころだし、さがしにいこうかしら!」
いつもはれてぃが来るのを待っていたが、今回は自分から探しに行こうと思った。
「まっててねれてぃ!すぐいくからね!」
そうと決まれば善は急げ。
ちるのはふわりと飛んで、れてぃを探しに出掛けた。
ちるのはあの日からずっと自分の『冬ごもり』の為の作業を続けていた。
雪の鑑定をしたのも、その為である。
そしてとうとう、ちるのが求めていた『冬ごもり』を自分の手で完成させる事が出来た。
「ほんとうは、いますぐにでもふゆもっこりしたいけど……。れてぃといっしょにふゆもっこりがしたいわ!」
今すぐにでも『冬ごもり』をしたいが、友達と一緒に喜びを分かり合いたい。
ちるのはそう思っていた。
「……うん!そろそろれてぃもおきるころだし、さがしにいこうかしら!」
いつもはれてぃが来るのを待っていたが、今回は自分から探しに行こうと思った。
「まっててねれてぃ!すぐいくからね!」
そうと決まれば善は急げ。
ちるのはふわりと飛んで、れてぃを探しに出掛けた。
……十分後。
「れてぃ~、れてぃ~、どこにいるの~?」
ちるのはれてぃがいそうな場所を一ヶ所ずつ回っていた。
れてぃはちるのの巣穴がどこなのかはきちんと把握しているが、逆にちるのはれてぃの巣穴がどこにあるのかは分からなかった。
以前、何回か教えてもらった事があるのだが、一年通してその場所を覚えている事は出来なかったのだ。
恐らく、すでに教えてもらった事すら忘れてしまっているだろう。
「いたらへんじして~、れてぃ~」
その点では、こちらかられてぃを探すのは困難だった。
ちるのは何度もれてぃの名を呼び掛けるが、それに答える者は誰もいなかった。
「れてぃ~……、どこなの~?」
それでもちるのはめげずにれてぃを探し続けた。
ちるのはれてぃがいそうな場所を一ヶ所ずつ回っていた。
れてぃはちるのの巣穴がどこなのかはきちんと把握しているが、逆にちるのはれてぃの巣穴がどこにあるのかは分からなかった。
以前、何回か教えてもらった事があるのだが、一年通してその場所を覚えている事は出来なかったのだ。
恐らく、すでに教えてもらった事すら忘れてしまっているだろう。
「いたらへんじして~、れてぃ~」
その点では、こちらかられてぃを探すのは困難だった。
ちるのは何度もれてぃの名を呼び掛けるが、それに答える者は誰もいなかった。
「れてぃ~……、どこなの~?」
それでもちるのはめげずにれてぃを探し続けた。
……二十分後。
「れてぃ~……。れてぃ~……」
あれかられてぃの姿を探し続けるも、れてぃの姿はどこにもなかった。
辺りに広がるのは積もった雪や木のみ。
懐かしい友達の姿は、どこにも無い。
「……れてぃ~……」
れてぃが起きているという確証も無い中での捜索。
「れてぃはねぼすけだから、まだねてるのかなぁ……」
そんな考えが頭をよぎった、その時だった。
あれかられてぃの姿を探し続けるも、れてぃの姿はどこにもなかった。
辺りに広がるのは積もった雪や木のみ。
懐かしい友達の姿は、どこにも無い。
「……れてぃ~……」
れてぃが起きているという確証も無い中での捜索。
「れてぃはねぼすけだから、まだねてるのかなぁ……」
そんな考えが頭をよぎった、その時だった。
「……となしく……のぜ!」
「あばれ……でね!」
「あばれ……でね!」
「あれ?」
どこからか、聞いた事があるような声が聞こえてきた。
「ふゆになると、みんないなくなるのに……?」
ちるのは辺りを見回すが、どこにも自分以外のゆっくりの姿は無い。
……すると、少し離れた所にゆっくりの巣穴があった。
普通なら入口は閉じられている為見つけにくいが、その巣穴は入口が空いている状態だった。
「あそこかな?」
ちるのがその巣穴に近付き、中を覗いてみた。
「ふゆになると、みんないなくなるのに……?」
ちるのは辺りを見回すが、どこにも自分以外のゆっくりの姿は無い。
……すると、少し離れた所にゆっくりの巣穴があった。
普通なら入口は閉じられている為見つけにくいが、その巣穴は入口が空いている状態だった。
「あそこかな?」
ちるのがその巣穴に近付き、中を覗いてみた。
「う……、や、やめ……」
「なにいってるのぜ!こうしないと、まりさがしんじゃうのぜ!」
「これしかほうほうがないんだから、おとなしくしてね!」
「なにいってるのぜ!こうしないと、まりさがしんじゃうのぜ!」
「これしかほうほうがないんだから、おとなしくしてね!」
「!?」
巣穴の中で、まりさとれいむが、嫌がるありすを押さえつけようとしていた。
……そのまりさとれいむは、ちるのにとって忘れられない二匹だった。
「なにをしているの!?」
思わずちるのはそう叫んでいた。
「「!?」」
二匹は声のした、入口の方を見た。
「なっ!?ち、ちるの!?」
「なんでちるのがここに……!?」
「……?」
二匹はちるのの姿を見て相当驚き、ありすは状況がよく分かっていないようだった。
「ふたりとも、ありすになにをしているの!?」
ちるのは二匹を問い詰めた。
「ゆ……」
「そ、それは……」
二匹は口ごもってしまった。
まさかこの時期に外に出ているような馬鹿などいないと思っていただけに、当然と言えば当然だった。
(ど、どうしよう、まりさ……!)
れいむは小声でまりさに話しかけた。
……もし、仮にありすに赤ゆを沢山産ませて、赤ゆだけを食べて春を迎える事が出来たとしても。
現にこうして、ありすを襲っている現場を見られている。
もし、春になってちるのが他のゆっくり達に自分達がやった事を喋られたら……?
お家宣言、強奪、強姦、ゆっくり殺し、etx……、様々な罪でリンチを受け、殺されてしまう。
今すぐちるのを殺した方が良いのでは?
れいむの目はそう語っていた。
(れ、れいむ!ここはいったんごまかすのぜ!)
(ゆっ……!?)
(いま、ちるのをころさないほうがつごうがいいのぜ!とにかく、ごまかすのぜ!)
(そ、そうだね!ちるのはばかだから、ごまかすのもかんたんだよね!)
二匹は小声で、口裏を合わせるようにした。
(……へんなことをしゃべったら、そっこくころすのぜ!)
「……」
当然、ありすに釘を刺しておく事も忘れなかった。
「なにをはなしているの!?」
「ゆへっ……、ち、ちるの、まりさたちはべつに、やましいことはしていないのぜ?」
「そ、そうだよ!いりぐちのかべさんがこわれちゃって、さむくておしくらまんじゅうしようとしてただけだよ!」
「へ?そうなの?」
何とも苦しい言い訳だが、ちるのには通用しそうだった。
「そ、そうなのぜ!ただありすがはずかしがってただけだから、ついむきになっちゃっただけなのぜ……」
「そうなの?ありす?」
ちるのはありすにも尋ねてみた。
まりさとれいむは、ありすが余計な事を喋らないか気が気でなかった。
「……えぇ、そうよ。ごめんなさいね、ちるの。そういうわけなのよ」
「でも……、ありす、けがもしているよ?」
「ふゆごもりのまえにけがをしちゃって……。まりさとれいむにたすけてもらって、ふたりのおうちにすまわせてもらってるの」
「……そっか。そうだったんだね!うたがってごめんね!まりさ!れいむ!」
ちるのは三匹の言葉を完全に信じてしまった。
「ふたりとも、ほんとうはやさしいところがあったんだね!」
「い、いやぁ、べつにいいのぜ。……ところでちるのぉ、ちょっとききたいことがあるのぜぇ?」
「?」
「ちるののところでは、もう、ふゆごもりのじゅんびはすんでいるのぜぇ……?」
「うん!たったいま、ふゆもっこりのじゅんびがおわったところだよ!」
巣穴の中で、まりさとれいむが、嫌がるありすを押さえつけようとしていた。
……そのまりさとれいむは、ちるのにとって忘れられない二匹だった。
「なにをしているの!?」
思わずちるのはそう叫んでいた。
「「!?」」
二匹は声のした、入口の方を見た。
「なっ!?ち、ちるの!?」
「なんでちるのがここに……!?」
「……?」
二匹はちるのの姿を見て相当驚き、ありすは状況がよく分かっていないようだった。
「ふたりとも、ありすになにをしているの!?」
ちるのは二匹を問い詰めた。
「ゆ……」
「そ、それは……」
二匹は口ごもってしまった。
まさかこの時期に外に出ているような馬鹿などいないと思っていただけに、当然と言えば当然だった。
(ど、どうしよう、まりさ……!)
れいむは小声でまりさに話しかけた。
……もし、仮にありすに赤ゆを沢山産ませて、赤ゆだけを食べて春を迎える事が出来たとしても。
現にこうして、ありすを襲っている現場を見られている。
もし、春になってちるのが他のゆっくり達に自分達がやった事を喋られたら……?
お家宣言、強奪、強姦、ゆっくり殺し、etx……、様々な罪でリンチを受け、殺されてしまう。
今すぐちるのを殺した方が良いのでは?
れいむの目はそう語っていた。
(れ、れいむ!ここはいったんごまかすのぜ!)
(ゆっ……!?)
(いま、ちるのをころさないほうがつごうがいいのぜ!とにかく、ごまかすのぜ!)
(そ、そうだね!ちるのはばかだから、ごまかすのもかんたんだよね!)
二匹は小声で、口裏を合わせるようにした。
(……へんなことをしゃべったら、そっこくころすのぜ!)
「……」
当然、ありすに釘を刺しておく事も忘れなかった。
「なにをはなしているの!?」
「ゆへっ……、ち、ちるの、まりさたちはべつに、やましいことはしていないのぜ?」
「そ、そうだよ!いりぐちのかべさんがこわれちゃって、さむくておしくらまんじゅうしようとしてただけだよ!」
「へ?そうなの?」
何とも苦しい言い訳だが、ちるのには通用しそうだった。
「そ、そうなのぜ!ただありすがはずかしがってただけだから、ついむきになっちゃっただけなのぜ……」
「そうなの?ありす?」
ちるのはありすにも尋ねてみた。
まりさとれいむは、ありすが余計な事を喋らないか気が気でなかった。
「……えぇ、そうよ。ごめんなさいね、ちるの。そういうわけなのよ」
「でも……、ありす、けがもしているよ?」
「ふゆごもりのまえにけがをしちゃって……。まりさとれいむにたすけてもらって、ふたりのおうちにすまわせてもらってるの」
「……そっか。そうだったんだね!うたがってごめんね!まりさ!れいむ!」
ちるのは三匹の言葉を完全に信じてしまった。
「ふたりとも、ほんとうはやさしいところがあったんだね!」
「い、いやぁ、べつにいいのぜ。……ところでちるのぉ、ちょっとききたいことがあるのぜぇ?」
「?」
「ちるののところでは、もう、ふゆごもりのじゅんびはすんでいるのぜぇ……?」
「うん!たったいま、ふゆもっこりのじゅんびがおわったところだよ!」
(ど、どんぴしゃなのぜっ!)
まりさは心の中で叫んだ。
「ち、ちるの……。おねがいなのぜ!ま、まりさたちを、ちるののおうちにすまわせてほしいのぜ!」
まりさはちるのに土下座した。
「このとおり!このとおりなのぜぇっ!!」
(そ、そうか!そういうことだったんだね!さすがまりさだよ!)
れいむもまりさが何をしたかったのか理解した。
このままでは冬を越すのも難しい、仮に越したとしても、ちるのが邪魔だ。
……まりさは一つの可能性に賭けてみた。
それは、ちるのの情に訴え、ちるのの巣穴に自分達を住まわせてもらい、隙あらばちるのを殺してしまおうというものだった。
ここでちるのを殺せば、飢えの危険性がある状態で冬を越さなくてはいけない。
だったら、今度はちるのの全てを奪えば良い。
……もし断られたら、殺すぞとでも脅して巣穴に案内させる事も出来るが、全く別の場所に案内されてしまう可能性もある。
脅す事は最後の手段としておきたかったのだ。
……そして、『れてぃに襲われた』と言わなかったのにも理由があった。
「このとおり!このとおりなのぜぇっ!!」
(そ、そうか!そういうことだったんだね!さすがまりさだよ!)
れいむもまりさが何をしたかったのか理解した。
このままでは冬を越すのも難しい、仮に越したとしても、ちるのが邪魔だ。
……まりさは一つの可能性に賭けてみた。
それは、ちるのの情に訴え、ちるのの巣穴に自分達を住まわせてもらい、隙あらばちるのを殺してしまおうというものだった。
ここでちるのを殺せば、飢えの危険性がある状態で冬を越さなくてはいけない。
だったら、今度はちるのの全てを奪えば良い。
……もし断られたら、殺すぞとでも脅して巣穴に案内させる事も出来るが、全く別の場所に案内されてしまう可能性もある。
脅す事は最後の手段としておきたかったのだ。
……そして、『れてぃに襲われた』と言わなかったのにも理由があった。
(いま、ちるのににげられたらこまるのぜ……!!)
もし、ちるのがまだ近くにれてぃがいるかもしれないと考え、この巣穴から逃げ出されでもしたら全てがおじゃんになってしまう。
……まりさの心配とは裏腹に、ちるのはれてぃに会いたくてたまらないのだが。
……まりさの心配とは裏腹に、ちるのはれてぃに会いたくてたまらないのだが。
「……うん!いいよ!いっしょにふゆもっこりしよう!」
……そして、まりさはその賭けに勝った。
「あ、ありがとうなのぜ!!」
「ゆ~ん!たすかった!たすかったよぉ!!」
飢え死にの危険性が無くなったと、二匹は大喜びした。
「それじゃ、ついてきてね!」
「わ、わかったのぜ!」
「ゆ~ん!ゆっくりいそぐよ!」
ちるのに連れられ、二匹は巣穴の外に出た。
「あっ!そうだ!ありすはどうするの?」
「「!?」」
「……」
ちるのはありすにどうするか尋ねた。
「……きもちはうれしいけれど、ありすはいいわ。ここでゆっくりきずをいやすわ……」
「そっか。けが、はやくなおるといいね!」
「おねがいがあるんだけど……、いりぐちをゆきでふさいでくれないかしら?どうもさむくて……」
「うん!それくらいおやすいごようだよ!」
ちるのは雪を口に頬張り、入口の前に雪を積み始めた。
(まりさ、いいの……?ありすをあのままにして……)
(いいのぜ。どうせ、もうたべるものなんか、なにもないのぜ。うえじにするだけなのぜ……)
(そ、そうだよね……、うえじにするだけだもんね……)
食糧が無い状態の中、ありすを殺そうが生かそうが何ら変わらない。
二匹はそう思い、ありすをこのまま放置する事にした。
「そ、それにしでも、さぶいねぇ……、ばりざぁ……」
「が、がまんずるのぜ、でいぶぅ……」
……その間、二匹は寒い外で待たされる事になるのだが。
「あ、ありがとうなのぜ!!」
「ゆ~ん!たすかった!たすかったよぉ!!」
飢え死にの危険性が無くなったと、二匹は大喜びした。
「それじゃ、ついてきてね!」
「わ、わかったのぜ!」
「ゆ~ん!ゆっくりいそぐよ!」
ちるのに連れられ、二匹は巣穴の外に出た。
「あっ!そうだ!ありすはどうするの?」
「「!?」」
「……」
ちるのはありすにどうするか尋ねた。
「……きもちはうれしいけれど、ありすはいいわ。ここでゆっくりきずをいやすわ……」
「そっか。けが、はやくなおるといいね!」
「おねがいがあるんだけど……、いりぐちをゆきでふさいでくれないかしら?どうもさむくて……」
「うん!それくらいおやすいごようだよ!」
ちるのは雪を口に頬張り、入口の前に雪を積み始めた。
(まりさ、いいの……?ありすをあのままにして……)
(いいのぜ。どうせ、もうたべるものなんか、なにもないのぜ。うえじにするだけなのぜ……)
(そ、そうだよね……、うえじにするだけだもんね……)
食糧が無い状態の中、ありすを殺そうが生かそうが何ら変わらない。
二匹はそう思い、ありすをこのまま放置する事にした。
「そ、それにしでも、さぶいねぇ……、ばりざぁ……」
「が、がまんずるのぜ、でいぶぅ……」
……その間、二匹は寒い外で待たされる事になるのだが。
……数分後。
「それじゃあありす!ゆっくりきずをいやしてね!」
入口はほぼ雪で閉じられており、ちるのは雪の隙間から、中にいるありすに話しかけた。
「えぇ。……めいわくかけてごめんなさいね」
ちるのは雪を頬張り、その隙間を雪で埋めた。
入口は完全に雪で閉ざされた。
「ふたりとも、おまたせ!それじゃ、あたいについてきてね!」
「さ、さぶい……、のぜぇ……」
「は、はやぐ、いごうねぇ……」
こうして三匹は、巣穴から去って行ったのだった。
入口はほぼ雪で閉じられており、ちるのは雪の隙間から、中にいるありすに話しかけた。
「えぇ。……めいわくかけてごめんなさいね」
ちるのは雪を頬張り、その隙間を雪で埋めた。
入口は完全に雪で閉ざされた。
「ふたりとも、おまたせ!それじゃ、あたいについてきてね!」
「さ、さぶい……、のぜぇ……」
「は、はやぐ、いごうねぇ……」
こうして三匹は、巣穴から去って行ったのだった。
「……」
巣穴に残る事を選んだありすは、外から声が聞こえなくなった事を確認した。
「……」
ありすは無言で巣穴の奥まで這って行き、何故か壁に歯を立てた。
その壁はあっさりと崩れ、簡単に掘り進める事が出来た。
「……」
ありすがある程度壁を掘り進めると、穴のようなスペースが出てきた。
……その穴の中には、先程れてぃに食べられた量と同じ位の食糧が積まれていた。
「……やっぱり、こういうじゅんびはしておくものね……」
ありすは食糧を見て、ボソリと呟いた。
ありすは以前からもしもの時の為に別に食糧を蓄え、柔らかい土で作ったダミーの壁で隠していた。
もし、この準備をしていなければ間違いなく、ありすは餓死する運命を辿っていただろう。
……いや、事前の準備だけではこうはならなかった。
れてぃが巣穴を襲撃し、見ず知らずのちるのがこの巣穴を見つけなければ、あの二匹に殺されていただろう。
そう考えると、ありすは相当運が良かった。
「む~しゃ、む~しゃ……。……しあわせー……」
ありすは涙を流しながら食糧に口を付け、今こうして生きている喜びを味わっていた。
そして腹八分目になったありすは、草のベッドがある所まで這って行き、柔らかい草に身を委ねた。
「はぁ……」
冬ごもりが始まってからゆっくりと身を休めたのは、これが初めてだった。
溜まりに溜まった疲労から、徐々にありすを眠気が襲う。
(ほんとうは、こうするべきじゃなかったのよね……)
ありすは安堵感と同時に、罪悪感も感じていた。
結果的に、見ず知らずのちるのに全てを押しつけてしまったのだから。
ありすはちるのの事を考えるよりも、自分の保身を選んだのだった。
「ありすも、あのまりさとれいむとおなじ、げすだったってことかしら……」
ありすの独白に答える者は誰もいない。
正しいとも、間違っているとも、誰も答えてくれない。
結局は自分で答えを見出すしかなかった。
……そして、今はただ、休みたかった。
この疲れた体を休ませたかった。
それから考えたかった。
「……」
ありすは無言で巣穴の奥まで這って行き、何故か壁に歯を立てた。
その壁はあっさりと崩れ、簡単に掘り進める事が出来た。
「……」
ありすがある程度壁を掘り進めると、穴のようなスペースが出てきた。
……その穴の中には、先程れてぃに食べられた量と同じ位の食糧が積まれていた。
「……やっぱり、こういうじゅんびはしておくものね……」
ありすは食糧を見て、ボソリと呟いた。
ありすは以前からもしもの時の為に別に食糧を蓄え、柔らかい土で作ったダミーの壁で隠していた。
もし、この準備をしていなければ間違いなく、ありすは餓死する運命を辿っていただろう。
……いや、事前の準備だけではこうはならなかった。
れてぃが巣穴を襲撃し、見ず知らずのちるのがこの巣穴を見つけなければ、あの二匹に殺されていただろう。
そう考えると、ありすは相当運が良かった。
「む~しゃ、む~しゃ……。……しあわせー……」
ありすは涙を流しながら食糧に口を付け、今こうして生きている喜びを味わっていた。
そして腹八分目になったありすは、草のベッドがある所まで這って行き、柔らかい草に身を委ねた。
「はぁ……」
冬ごもりが始まってからゆっくりと身を休めたのは、これが初めてだった。
溜まりに溜まった疲労から、徐々にありすを眠気が襲う。
(ほんとうは、こうするべきじゃなかったのよね……)
ありすは安堵感と同時に、罪悪感も感じていた。
結果的に、見ず知らずのちるのに全てを押しつけてしまったのだから。
ありすはちるのの事を考えるよりも、自分の保身を選んだのだった。
「ありすも、あのまりさとれいむとおなじ、げすだったってことかしら……」
ありすの独白に答える者は誰もいない。
正しいとも、間違っているとも、誰も答えてくれない。
結局は自分で答えを見出すしかなかった。
……そして、今はただ、休みたかった。
この疲れた体を休ませたかった。
それから考えたかった。
「……すぅ……、すぅ……」
……ありすはただ、そう思いながら眠りに落ちた。
「ついたよ!ここだよ!」
「こ、ここなのぜぇ……?」
「ど、どこ?どこにあるの……?」
「こ、ここなのぜぇ……?」
「ど、どこ?どこにあるの……?」
あれからちるの達は、ちるのが『冬ごもり』の準備が整っている場所へと辿り着いた。
……が、そこには何も無かった。
辺り一面白い雪が広がっているだけで、ちるのの巣穴らしきものはどこにも見当たらなかった。
「ち、ちるの!いったいどこに、ちるののおうちがあるのぜ!?」
「れいむをだましたの!?ばかなの!?しぬの!?」
もしや最初から騙されていたのではと思い始めた二匹はちるのに詰め寄った。
「へ?なにいってるの?ほら、あそこだよ、あそこ!」
「「ゆ……?」」
ちるのの視線の先には、ゆっくりが入れるような大きさの穴が開いていた。
「あのなかでふゆもっこりをするんだよ!」
ちるのは自信満々にそう言った。
(あ、あれがちるののおうちなのぜ……?もしそうなら、あのなかに、ごはんさんが……!)
(ふゆごもりがおわったばかりだから、きっとごはんさんだって……!)
「どうぞ、さきにはいってね!」
「そ、それじゃあおことばにあまえるのぜ!」
「ゆゆ~ん!やっとこのさむさとおさらばだよぉっ!」
ちるのに促され、二匹はその穴に飛び込んだ。
「ゆべっ!?」
「ゆぐぅっ!?」
……穴の深さは結構深く、二匹は顔面から落ちてしまった。
「い、いだいのぜぇ……!」
「ゆぎぃ……、でいぶのじろいおはだがぁ……!」
二匹は痛みで顔を歪めながらも、辺りを見回した。
二匹が今いる穴の中は、他にゆっくりが数匹は入れる位のスペースがあった。
「ご、ごはんさん!まりさのごはんさんは……!?」
「れいむ、おなかぺこぺこだよっ!」
二匹の頭の中ではすでにちるのの食べ物は自分の物になっていた。
……が、どこにも食べ物らしい物は無かった。
……と言うよりも、そこには何も無かった。
「は……、はあぁぁぁぁっ!?」
「どういうことなのおぉぉぉぉっ!?」
あるとばかり思っていた食糧はどこにも無く、二匹はただただ絶叫するしかなかった。
……が、そこには何も無かった。
辺り一面白い雪が広がっているだけで、ちるのの巣穴らしきものはどこにも見当たらなかった。
「ち、ちるの!いったいどこに、ちるののおうちがあるのぜ!?」
「れいむをだましたの!?ばかなの!?しぬの!?」
もしや最初から騙されていたのではと思い始めた二匹はちるのに詰め寄った。
「へ?なにいってるの?ほら、あそこだよ、あそこ!」
「「ゆ……?」」
ちるのの視線の先には、ゆっくりが入れるような大きさの穴が開いていた。
「あのなかでふゆもっこりをするんだよ!」
ちるのは自信満々にそう言った。
(あ、あれがちるののおうちなのぜ……?もしそうなら、あのなかに、ごはんさんが……!)
(ふゆごもりがおわったばかりだから、きっとごはんさんだって……!)
「どうぞ、さきにはいってね!」
「そ、それじゃあおことばにあまえるのぜ!」
「ゆゆ~ん!やっとこのさむさとおさらばだよぉっ!」
ちるのに促され、二匹はその穴に飛び込んだ。
「ゆべっ!?」
「ゆぐぅっ!?」
……穴の深さは結構深く、二匹は顔面から落ちてしまった。
「い、いだいのぜぇ……!」
「ゆぎぃ……、でいぶのじろいおはだがぁ……!」
二匹は痛みで顔を歪めながらも、辺りを見回した。
二匹が今いる穴の中は、他にゆっくりが数匹は入れる位のスペースがあった。
「ご、ごはんさん!まりさのごはんさんは……!?」
「れいむ、おなかぺこぺこだよっ!」
二匹の頭の中ではすでにちるのの食べ物は自分の物になっていた。
……が、どこにも食べ物らしい物は無かった。
……と言うよりも、そこには何も無かった。
「は……、はあぁぁぁぁっ!?」
「どういうことなのおぉぉぉぉっ!?」
あるとばかり思っていた食糧はどこにも無く、二匹はただただ絶叫するしかなかった。
「どう?あたいのふゆもっこり!さけんじゃうくらいすごいでしょ!」
二匹が上を見上げると、穴の外からちるのが覗いていた。
「ここまでよういするの、すんごくたいへんだったんだよ!」
「な、なにをいってるのぜ!?」
「よういもなにも、なんにもないでしょ!?」
「なにいってるの?あたいはこのあなをつくったんだよ?」
「「……は?」」
「ほんとうにたいへんだったんだよ?ひとりでここまでほるの、じかんがかかったんだから!」
「「……はぁ?」」
「あたい、ふゆもっこりについてかんがえて、きづいたんだよ!」
止めろ、止めてくれ、嫌な予感しかしないから、言わないでくれ。
二匹はそう願った。
「ここまでよういするの、すんごくたいへんだったんだよ!」
「な、なにをいってるのぜ!?」
「よういもなにも、なんにもないでしょ!?」
「なにいってるの?あたいはこのあなをつくったんだよ?」
「「……は?」」
「ほんとうにたいへんだったんだよ?ひとりでここまでほるの、じかんがかかったんだから!」
「「……はぁ?」」
「あたい、ふゆもっこりについてかんがえて、きづいたんだよ!」
止めろ、止めてくれ、嫌な予感しかしないから、言わないでくれ。
二匹はそう願った。
「ふゆもっこりって、ゆきのなかにこもるから、ふゆもっこりっていうんでしょ?」
……ちるのは冬ごもりについて、本気で考えた。
そして一つの結論に辿り着いた。
冬には雪が降る。
だから、冬は雪の中にこもるから、冬ごもりと呼ぶのだ。
冬に他のゆっくりがいなかったのは、雪の中にこもっていたから見つけられなかったからだ。
……ちるのはそう考え、この穴を掘ったのだ。
自分も皆と同じように、『冬ごもり』をする為に。
そして一つの結論に辿り着いた。
冬には雪が降る。
だから、冬は雪の中にこもるから、冬ごもりと呼ぶのだ。
冬に他のゆっくりがいなかったのは、雪の中にこもっていたから見つけられなかったからだ。
……ちるのはそう考え、この穴を掘ったのだ。
自分も皆と同じように、『冬ごもり』をする為に。
「「……」」
ちるのの説明を聞いた二匹は、ただ呆れていた。
「けど、あのありすはなんでゆきのなかにいなかったんだろう?ねぇ、なんでだとおもう?」
「「……」」
ちるのに尋ねられても、二匹は答えなかった。
と言うよりも、頭に入っていなかった。
「まぁ、いいや!それじゃふたりとも、あたい、ようじがあるからそこでゆっくりしていってね!」
「なっ……!」
「ま、まって……!」
「おなかがすいたら、ゆきをたべるといいよ!ここのゆきは、ぱーぺきなおいしさだからね!」
そう言ってちるのは穴から顔を引っ込め、れてぃを探しに出掛けた。
「ま、まつのぜっ!!よくもだましたのぜえぇぇぇぇっ!!」
「ふざけるなあぁぁぁぁっ!!もどってこいぃぃぃぃっ!!くそちるのがあぁぁぁぁっ!!」
二匹は口汚く叫ぶも、既にちるのは遠くへ行ってしまい、聞こえる事は無かった。
ちるのの説明を聞いた二匹は、ただ呆れていた。
「けど、あのありすはなんでゆきのなかにいなかったんだろう?ねぇ、なんでだとおもう?」
「「……」」
ちるのに尋ねられても、二匹は答えなかった。
と言うよりも、頭に入っていなかった。
「まぁ、いいや!それじゃふたりとも、あたい、ようじがあるからそこでゆっくりしていってね!」
「なっ……!」
「ま、まって……!」
「おなかがすいたら、ゆきをたべるといいよ!ここのゆきは、ぱーぺきなおいしさだからね!」
そう言ってちるのは穴から顔を引っ込め、れてぃを探しに出掛けた。
「ま、まつのぜっ!!よくもだましたのぜえぇぇぇぇっ!!」
「ふざけるなあぁぁぁぁっ!!もどってこいぃぃぃぃっ!!くそちるのがあぁぁぁぁっ!!」
二匹は口汚く叫ぶも、既にちるのは遠くへ行ってしまい、聞こえる事は無かった。
ヒュオォォォォ……。
「「さ、さぶいぃぃぃぃっ!!」」
頭上の穴からは冷たい風が入り込んでいた。
周りの壁も雪で出来ているだけに、寒さが一段と増していた。
「れ、れいむ!こんなところすぐにでるのぜ!」
「そ、そうだね!あのくそちるの!!せいっさいっしてやるよ!!」
二匹はすぐにこの穴から出ようと考えた。
……しかし。
頭上の穴からは冷たい風が入り込んでいた。
周りの壁も雪で出来ているだけに、寒さが一段と増していた。
「れ、れいむ!こんなところすぐにでるのぜ!」
「そ、そうだね!あのくそちるの!!せいっさいっしてやるよ!!」
二匹はすぐにこの穴から出ようと考えた。
……しかし。
「「どぼぢでとどかないのおぉぉぉぉっ!?」」
唯一の出口は二匹の頭上にある穴だけで、穴は意外と深く、ただ跳ねただけでは届かなかったのだ。
ちるのは飛ぶ事が出来るので、穴の深さは関係無かったのだろう。
「こ、これじゃでれないのぜえぇぇぇぇっ!!」
「さぶいよおぉぉぉぉっ!!おながずいだよおぉぉぉぉっ!!」
二匹はただのゆっくりまりさとゆっくりれいむ。
当然空を飛ぶ事など出来ないので、脱出しようがなかった。
このままでは穴から入る風と、雪の壁の冷たさで氷饅頭になってしまう。
「れ、れいむ!かべをほっていくのぜ!」
まりさは雪の壁を斜め上へと掘り進み、外へ出ようと試みた。
「がっがっが……、れいむ!れいむもやるのぜっ!!」
「がつがつがつ……、つ、つべだいぃぃぃぃっ!!」
「そんなこといってるばあいじゃないのぜぇっ!!」
二匹は喧嘩しつつも、二匹並んで少しずつ、少しずつ上へと掘り進んだ。
幸い、雪が丁度良い柔らかさだったので案外簡単に掘る出来た。
「ゆへっ、こ、このちょうしなら……!」
ある程度掘り進み、まりさは内心余裕が出て来たようで、笑みも浮かべていた。
……が、世の中そこまで甘くない。
ちるのは飛ぶ事が出来るので、穴の深さは関係無かったのだろう。
「こ、これじゃでれないのぜえぇぇぇぇっ!!」
「さぶいよおぉぉぉぉっ!!おながずいだよおぉぉぉぉっ!!」
二匹はただのゆっくりまりさとゆっくりれいむ。
当然空を飛ぶ事など出来ないので、脱出しようがなかった。
このままでは穴から入る風と、雪の壁の冷たさで氷饅頭になってしまう。
「れ、れいむ!かべをほっていくのぜ!」
まりさは雪の壁を斜め上へと掘り進み、外へ出ようと試みた。
「がっがっが……、れいむ!れいむもやるのぜっ!!」
「がつがつがつ……、つ、つべだいぃぃぃぃっ!!」
「そんなこといってるばあいじゃないのぜぇっ!!」
二匹は喧嘩しつつも、二匹並んで少しずつ、少しずつ上へと掘り進んだ。
幸い、雪が丁度良い柔らかさだったので案外簡単に掘る出来た。
「ゆへっ、こ、このちょうしなら……!」
ある程度掘り進み、まりさは内心余裕が出て来たようで、笑みも浮かべていた。
……が、世の中そこまで甘くない。
ズズ……。
「な、なんなのぜ!?」
「ゆっ!?」
突然、二匹の上の雪が震え始めた。
「ゆっ!?」
突然、二匹の上の雪が震え始めた。
ズブ……。
すると、二匹の頭上の雪が徐々に沈んでいった。
雪の上に、何か重い物がのしかかっているようだ。
「ま、まずいのぜ!このままじゃ、つぶされるのぜ!」
二匹は先程の穴へと戻ろうとした。
……が。
「れ、れいむ!せまいのぜぇっ!!」
「ま、まりさこそよけてねっ!!」
雪の上に、何か重い物がのしかかっているようだ。
「ま、まずいのぜ!このままじゃ、つぶされるのぜ!」
二匹は先程の穴へと戻ろうとした。
……が。
「れ、れいむ!せまいのぜぇっ!!」
「ま、まりさこそよけてねっ!!」
二匹並んで掘り進めていた為に、つっかえてしまい、思うように動けなかった。
ズブブッ……。
二匹が掘り進めた事で雪が脆くなり、かえって頭上の雪が沈む速度が速くなった。
「ゆうぅぅぅぅっ!!なんでれいむがこんなめにあうのおぉぉぉぉっ!!」
「うるさいのぜれいむぅっ!!となりでおおごえをだすんじゃないのぜえぇぇぇぇっ!!」
「まりさはだまってねえぇぇぇぇっ!?あのれてぃとちるの……、あと、まりさのせいでしょおぉぉぉぉっ!?」
「なんでまりさのせいなのぜえぇぇぇぇっ!?」
「まりさがらくにふゆごもりができるからって、いいだしたのがはじまりでしょおぉぉぉぉっ!?」
「ふざけるんじゃないのぜえぇぇぇぇっ!!まりさのせいにするげすは、そっこくせいっさいっしてやるのぜえぇぇぇぇっ!!」
二匹はその場で不毛な喧嘩を始めてしまった。
「ゆうぅぅぅぅっ!!なんでれいむがこんなめにあうのおぉぉぉぉっ!!」
「うるさいのぜれいむぅっ!!となりでおおごえをだすんじゃないのぜえぇぇぇぇっ!!」
「まりさはだまってねえぇぇぇぇっ!?あのれてぃとちるの……、あと、まりさのせいでしょおぉぉぉぉっ!?」
「なんでまりさのせいなのぜえぇぇぇぇっ!?」
「まりさがらくにふゆごもりができるからって、いいだしたのがはじまりでしょおぉぉぉぉっ!?」
「ふざけるんじゃないのぜえぇぇぇぇっ!!まりさのせいにするげすは、そっこくせいっさいっしてやるのぜえぇぇぇぇっ!!」
二匹はその場で不毛な喧嘩を始めてしまった。
ズシィッ……。
「「ゆぶぅっ!?」」
とうとう頭上の雪が、二匹を押しつぶし始めた。
「ぐ、ぐるじぃのぜぇ……!」
「ゆ、ゆぎさん、はやくどいでね……!ばがなの……!?じぬの……!?」
雪は徐々に、無情に二匹を押し潰していく。
「あ……、あが……!?」
「ひゅ、ぎぃ……!?」
それと同時に、二匹の意識が徐々に遠くなっていった。
このままでは潰れてしまう。
二匹はそう確信していた。
……が。
「ゆ……?」
「ゆ、ゆきさんが、こないよ……?」
雪はそれ以上二匹を押し潰す事無く、途中で止まった。
……どうやら、上に乗っていた何かが無くなり、それ以上雪が沈まなくなったようだ。
「や、やっだのぜぇ……!」
「で、でいぶ、だずがったねぇ……!」
二匹は圧迫死する恐怖から解放され、安堵した。
「で、でいぶ!はやく、ほりすすめ……、ゆ?」
「そ、そうだね!はやく……、ゆん?」
そこで二匹はある異変に気付いた。
何やら、体が少しずつ軽くなっていく。
……いや、何かが失われていく。
二匹は恐る恐る、自分の体を見た。
「ゆ……、ゆわあぁぁぁぁっ!?ば、ばりざのあんごさんがあぁぁぁぁっ!?」
「でいぶのあんござあぁぁぁんっ!?でないでねえぇぇぇぇっ!?」
二匹の体には数か所の亀裂が入っており、そこから命の餡子が漏れ出ていた。
上から来る雪の重さに、饅頭の肌が耐えきれる訳がなかったのだ。
しかもそれだけではなかった。
「ゆ、ゆきさんがかたくなってるのぜえぇぇぇぇっ!?」
「なんでえぇぇぇぇっ!?」
雪が先程と比べかなり硬くなっていて、掘り進める事が出来なくなっていた。
上からの正体不明の何かの重量が、雪を圧迫し、固めてしまったのだろう。
しかも二匹の後ろの雪が崩れてしまっていた。
つまり、進む事も戻る事も出来ず、餡子の流出も止める事が出来ず、完全に閉じ込められてしまったのだ。
「いやなのぜえぇぇぇぇっ!!しにたくないのぜえぇぇぇぇっ!!」
「あんござあぁぁぁぁん!!もどってえぇぇぇぇっ!!」
二匹は叫ぶが、冷たい雪に囲まれている為、その声は外には聞こえない。
仮に聞こえたとしても、まさか雪の下にいるとは思わないだろう。
……二匹の未来は凍死か失餡死かの二択に限られた。
それ以外の未来は、無くなってしまったのだ。
……一体どこで歯車が狂ってしまったのか。
いや、真面目に冬ごもりの準備をせず、他のゆっくりから全てを奪おうとした最初の時点で、全て狂っていたのだろう。
とうとう頭上の雪が、二匹を押しつぶし始めた。
「ぐ、ぐるじぃのぜぇ……!」
「ゆ、ゆぎさん、はやくどいでね……!ばがなの……!?じぬの……!?」
雪は徐々に、無情に二匹を押し潰していく。
「あ……、あが……!?」
「ひゅ、ぎぃ……!?」
それと同時に、二匹の意識が徐々に遠くなっていった。
このままでは潰れてしまう。
二匹はそう確信していた。
……が。
「ゆ……?」
「ゆ、ゆきさんが、こないよ……?」
雪はそれ以上二匹を押し潰す事無く、途中で止まった。
……どうやら、上に乗っていた何かが無くなり、それ以上雪が沈まなくなったようだ。
「や、やっだのぜぇ……!」
「で、でいぶ、だずがったねぇ……!」
二匹は圧迫死する恐怖から解放され、安堵した。
「で、でいぶ!はやく、ほりすすめ……、ゆ?」
「そ、そうだね!はやく……、ゆん?」
そこで二匹はある異変に気付いた。
何やら、体が少しずつ軽くなっていく。
……いや、何かが失われていく。
二匹は恐る恐る、自分の体を見た。
「ゆ……、ゆわあぁぁぁぁっ!?ば、ばりざのあんごさんがあぁぁぁぁっ!?」
「でいぶのあんござあぁぁぁんっ!?でないでねえぇぇぇぇっ!?」
二匹の体には数か所の亀裂が入っており、そこから命の餡子が漏れ出ていた。
上から来る雪の重さに、饅頭の肌が耐えきれる訳がなかったのだ。
しかもそれだけではなかった。
「ゆ、ゆきさんがかたくなってるのぜえぇぇぇぇっ!?」
「なんでえぇぇぇぇっ!?」
雪が先程と比べかなり硬くなっていて、掘り進める事が出来なくなっていた。
上からの正体不明の何かの重量が、雪を圧迫し、固めてしまったのだろう。
しかも二匹の後ろの雪が崩れてしまっていた。
つまり、進む事も戻る事も出来ず、餡子の流出も止める事が出来ず、完全に閉じ込められてしまったのだ。
「いやなのぜえぇぇぇぇっ!!しにたくないのぜえぇぇぇぇっ!!」
「あんござあぁぁぁぁん!!もどってえぇぇぇぇっ!!」
二匹は叫ぶが、冷たい雪に囲まれている為、その声は外には聞こえない。
仮に聞こえたとしても、まさか雪の下にいるとは思わないだろう。
……二匹の未来は凍死か失餡死かの二択に限られた。
それ以外の未来は、無くなってしまったのだ。
……一体どこで歯車が狂ってしまったのか。
いや、真面目に冬ごもりの準備をせず、他のゆっくりから全てを奪おうとした最初の時点で、全て狂っていたのだろう。
「「ゆっくりしたけっかがこれだよおぉぉぉぉっ!!」」
……最も、後悔した所で未来は何も、変わる事は無かった。
……同時刻。
「れてぃ!れてぃ!こっちだよ!はやくはやく!」
「ふぅ……。ふぅ……。ちるの、ちょっとまって……」
「ふぅ……。ふぅ……。ちるの、ちょっとまって……」
……あれからちるのは、離れた場所にある木の根元で休憩しているれてぃを見つける事が出来た。
二匹は久々の再会を喜び、ちるのは自分が掘った雪穴へと案内している最中だった。
「れてぃ!はやくはやく!」
ちるのは早く雪穴を見せたくて、れてぃを急かしていた。
「ふぅ……。ふぅ……。あ、あらっ?」
すると、れてぃは途中で歩みを止めてしまった。
「れてぃ、どうしたの?」
「ゆ、ゆきにはまっちゃったみたい……」
れてぃは恥ずかしそうにそう言った。
……見ると、確かに一段と雪が沈んでいた。
「ちょ、ちょっとまっててね~、ゆんしょ、ゆんしょ……」
れてぃは何度も体を揺らした。
「ふぅ~、でられたわ……」
それにより、何とか抜け出す事が出来た。
「れてぃ、ふとっちゃったんじゃない?だからはまっちゃったんだよ!」
「そ、そうかしら~?でも、なんかやわらかかったような、もろいようなかんじがしたのよ~?」
「そうなの?」
「そうよ~、したのほうに、あながあいていたのかもしれないわ~」
「なんで?」
「……やっぱり、ふとったのかもしれないわね~」
れてぃは赤面しつつ、そう言った。
「あっ!ほら、あれあれ!あのね、あのなかにね、ほかのゆっくりもいるんだよ!」
少し離れた所には、ちるのが掘った穴があった。
「え?このきせつにわたしたちいがいのゆっくりが?」
「ほんとだよ!このなかにいるもん!」
ちるのはそう言って、穴の中に入った。
「まりさ~!れいむ~!……あれ?」
……雪穴の中には、二匹の姿は無かった。
「あ、あれぇ?」
ちるのは辺りを見回すも、どこにも二匹が隠れるようなスペースは無い。
壁の一部が若干崩れている以外は、どこも変わり無かった。
「……?」
ちるのは訳が分からないまま、雪穴から飛んで出てきた。
「れてぃ……。あなのなかに、だれもいなかったよ……」
「ちるの、もしかしたら、あなたがいないあいだにでていっちゃったんじゃないかしら?」
「うーん……。そうなのかなぁ……。でも、あんなにはやくでていっちゃうなんて、ゆっくりしてないなぁ……」
「ところでちるの、なんでこんなあなをほったの?」
れてぃはとても自然な質問をした。
「あっ、そうそう!それなんだけどね!」
二匹は久々の再会を喜び、ちるのは自分が掘った雪穴へと案内している最中だった。
「れてぃ!はやくはやく!」
ちるのは早く雪穴を見せたくて、れてぃを急かしていた。
「ふぅ……。ふぅ……。あ、あらっ?」
すると、れてぃは途中で歩みを止めてしまった。
「れてぃ、どうしたの?」
「ゆ、ゆきにはまっちゃったみたい……」
れてぃは恥ずかしそうにそう言った。
……見ると、確かに一段と雪が沈んでいた。
「ちょ、ちょっとまっててね~、ゆんしょ、ゆんしょ……」
れてぃは何度も体を揺らした。
「ふぅ~、でられたわ……」
それにより、何とか抜け出す事が出来た。
「れてぃ、ふとっちゃったんじゃない?だからはまっちゃったんだよ!」
「そ、そうかしら~?でも、なんかやわらかかったような、もろいようなかんじがしたのよ~?」
「そうなの?」
「そうよ~、したのほうに、あながあいていたのかもしれないわ~」
「なんで?」
「……やっぱり、ふとったのかもしれないわね~」
れてぃは赤面しつつ、そう言った。
「あっ!ほら、あれあれ!あのね、あのなかにね、ほかのゆっくりもいるんだよ!」
少し離れた所には、ちるのが掘った穴があった。
「え?このきせつにわたしたちいがいのゆっくりが?」
「ほんとだよ!このなかにいるもん!」
ちるのはそう言って、穴の中に入った。
「まりさ~!れいむ~!……あれ?」
……雪穴の中には、二匹の姿は無かった。
「あ、あれぇ?」
ちるのは辺りを見回すも、どこにも二匹が隠れるようなスペースは無い。
壁の一部が若干崩れている以外は、どこも変わり無かった。
「……?」
ちるのは訳が分からないまま、雪穴から飛んで出てきた。
「れてぃ……。あなのなかに、だれもいなかったよ……」
「ちるの、もしかしたら、あなたがいないあいだにでていっちゃったんじゃないかしら?」
「うーん……。そうなのかなぁ……。でも、あんなにはやくでていっちゃうなんて、ゆっくりしてないなぁ……」
「ところでちるの、なんでこんなあなをほったの?」
れてぃはとても自然な質問をした。
「あっ、そうそう!それなんだけどね!」
ちるの説明中……。
「なるほど~、そういうことだったのね~」
れてぃはちるのが穴を掘った理由を理解する事が出来た。
「そうなんだよ!だからいっしょに……、あっ!!」
……ここにきてちるのは、重大な過ちに気付いた。
れてぃはちるのが穴を掘った理由を理解する事が出来た。
「そうなんだよ!だからいっしょに……、あっ!!」
……ここにきてちるのは、重大な過ちに気付いた。
「れてぃ、なかにはいれないよ……」
……そう、雪穴の大きさだった。
ちるのが掘った穴の大きさも、入口も、とてもれてぃが入れる位の大きさではなかった。
ちるのは初歩的な問題をすっかり忘れていたのだ。
「う……、うぇっく……、れてぃ、ごべんねぇ……」
……それに気付いたちるのは、嗚咽を漏らし始めた。
「あらあら、なかないでちるの」
れてぃはちるのを慰めるも、ちるのは泣き止みそうに無い。
「あだい……、れてぃといっしょに、ふゆもっこりしたくて……。なのに、あだい、ちゃんとできなくて……。う、うえぇ……」
「ちるの、あなたはちゃんとできなかったかもしれないけど、がんばったんでしょう?」
「う、うん……」
「だったらいいじゃない。ちゃんとできなかったからぜんぶだめだなんて、らんぼうすぎるわ~。わたしは、そうはおもわないわ~」
「そ、そうなの?」
「えぇ、そうよ。だれかのがんばりをみとめないことは、とってもゆっくりできないことだわ~。それに……」
「それに?なんなの?」
ちるのはれてぃの言葉の続きを促した。
ちるのが掘った穴の大きさも、入口も、とてもれてぃが入れる位の大きさではなかった。
ちるのは初歩的な問題をすっかり忘れていたのだ。
「う……、うぇっく……、れてぃ、ごべんねぇ……」
……それに気付いたちるのは、嗚咽を漏らし始めた。
「あらあら、なかないでちるの」
れてぃはちるのを慰めるも、ちるのは泣き止みそうに無い。
「あだい……、れてぃといっしょに、ふゆもっこりしたくて……。なのに、あだい、ちゃんとできなくて……。う、うえぇ……」
「ちるの、あなたはちゃんとできなかったかもしれないけど、がんばったんでしょう?」
「う、うん……」
「だったらいいじゃない。ちゃんとできなかったからぜんぶだめだなんて、らんぼうすぎるわ~。わたしは、そうはおもわないわ~」
「そ、そうなの?」
「えぇ、そうよ。だれかのがんばりをみとめないことは、とってもゆっくりできないことだわ~。それに……」
「それに?なんなの?」
ちるのはれてぃの言葉の続きを促した。
「わたしはちるのといっしょにいられることが、とってもゆっくりできることよ。だからいま、わたしはとってもゆっくりしているわ~」
れてぃは笑顔でそう答えた。
……それは、いつまでも傍にいる事が出来ないからこそ出てきた言葉だった。
「……うん!あたいもれてぃといっしょが、いちばんゆっくりできるよ!」
ちるのも泣くのを止め、笑顔で答えた。
「あら……?」
「どうしたの?」
「かぜがやんでいる……」
れてぃはそう呟いた。
先程まで吹いていた冷たい風が、止んでいた。
「あっ!みてみて!れてぃ!ゆきだよ!」
ちるのが言った通り、ちらほらと粉雪が降り始めていた。
その粉雪は、二匹にも優しく降り注いでいた。
「きれいだね、れてぃ!」
「えぇ、そうねぇ~」
二匹は粉雪を眺めていた。
「ねぇ、れてぃ」
「なぁに、ちるの?」
辺り一面に粉雪が降り注ぐ中、ちるのは満面の笑みを浮かべた。
……それは、いつまでも傍にいる事が出来ないからこそ出てきた言葉だった。
「……うん!あたいもれてぃといっしょが、いちばんゆっくりできるよ!」
ちるのも泣くのを止め、笑顔で答えた。
「あら……?」
「どうしたの?」
「かぜがやんでいる……」
れてぃはそう呟いた。
先程まで吹いていた冷たい風が、止んでいた。
「あっ!みてみて!れてぃ!ゆきだよ!」
ちるのが言った通り、ちらほらと粉雪が降り始めていた。
その粉雪は、二匹にも優しく降り注いでいた。
「きれいだね、れてぃ!」
「えぇ、そうねぇ~」
二匹は粉雪を眺めていた。
「ねぇ、れてぃ」
「なぁに、ちるの?」
辺り一面に粉雪が降り注ぐ中、ちるのは満面の笑みを浮かべた。
「ことしもいっしょに、ゆっくりしようね!」
……ちるのにとっての本当の冬が、今、始まった瞬間であった。
冬……、それは、ゆっくり達にとって、冬ごもりの季節。
冬は山に棲む全てのゆっくりに訪れる。
どんなゆっくりにも等しく、訪れる。
そして、山には雪が降る。
静かに、ただ静かに、さんさんと……。
END
あとがき
知らない方は初めまして。
知っている方はこんにちは。
ぺけぽんで御座います。
今年中にこのSSを投稿出来るか不安でしたが、何とか投稿する事が出来て安心しています。
最近制裁オンリーを書いてばかりだったので、今回は私の原点っぽく書いてみる事にしました。
ちなみに私は冬はどうも苦手です。
自室の暖房手段が布団の電気毛布しかないので、朝は布団から出たくありません。
ちるのみたいに寒さを感じなければ良いのにと思う今日この頃です。
これからも、よろしくお願いします。
ご意見、ご感想、お待ちしています。
知っている方はこんにちは。
ぺけぽんで御座います。
今年中にこのSSを投稿出来るか不安でしたが、何とか投稿する事が出来て安心しています。
最近制裁オンリーを書いてばかりだったので、今回は私の原点っぽく書いてみる事にしました。
ちなみに私は冬はどうも苦手です。
自室の暖房手段が布団の電気毛布しかないので、朝は布団から出たくありません。
ちるのみたいに寒さを感じなければ良いのにと思う今日この頃です。
これからも、よろしくお願いします。
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anko3189 おちびちゃんは大切だよ!
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anko3528 悪いのは誰?
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