ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4567 愛でる形
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ankoss
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『愛でる形』 53KB
虐待 制裁 番い 赤ゆ 失礼します
虐待 制裁 番い 赤ゆ 失礼します
※ ギャグ無し。普通の虐待モノです。
※ 過去のSSで登場した小道具が少し出てきます。
※ ちょっと長いです。
※ 過去のSSで登場した小道具が少し出てきます。
※ ちょっと長いです。
チートあきです。
小さな土手に芝生に座っている一人の男と、二匹のゆっくり。空にはもこもこと綿のような
雲が浮かんでいる。小春日和の日差しと風を受けながら、一人と一匹はゆっくりしていた。
雲が浮かんでいる。小春日和の日差しと風を受けながら、一人と一匹はゆっくりしていた。
「ゆ~ん。おてんきはゆっくりできるね、おにーさん」
「きょうもかぜさんがきもちいいんだぜ」
「良い天気だね」
「きょうもかぜさんがきもちいいんだぜ」
「良い天気だね」
男がれいむとまりさを撫でながら笑っている。
二匹のリボンと帽子に付けられた見慣れない形のバッジ。金銀銅の飼いゆっくり用のバッ
ジではなく、四葉のクローバーを模した緑色のバッジだった。時折飼い主手製のバッジを付
けるゆっくりがいる。
ゆっくりと休日の時間を潰している一人と一匹。
二匹のリボンと帽子に付けられた見慣れない形のバッジ。金銀銅の飼いゆっくり用のバッ
ジではなく、四葉のクローバーを模した緑色のバッジだった。時折飼い主手製のバッジを付
けるゆっくりがいる。
ゆっくりと休日の時間を潰している一人と一匹。
「あいつらだね、まりさ」
「あいつらなんだぜ。れいむ」
「あいつらなんだぜ。れいむ」
その姿を近くの雑木林から見つめる野良れいむとまりさ。男に見つからないように灌木の
影から様子を伺っている。この雑木林に住んでいる野良ゆっくりだった。
「ゆふふ……」
口元に不敵な笑みを浮かべて、二匹は標的を見つめていた。
男の住んでいるアパートは土手からすぐの所にあった。
南向きの窓。窓は少し開けられ、室内にやや冷えた空気が流れ込んでいる。男の寝室だ
った。室内はさっぱりしている。ベッドと本棚と小さなスチールラックが置かれている。本棚と
ラックの上には小さな観葉植物や四角いオブジェなどが飾られてた。
南向きの窓。窓は少し開けられ、室内にやや冷えた空気が流れ込んでいる。男の寝室だ
った。室内はさっぱりしている。ベッドと本棚と小さなスチールラックが置かれている。本棚と
ラックの上には小さな観葉植物や四角いオブジェなどが飾られてた。
「れいむ、きょうもゆっくりできるのぜ」
「ちょっとさむいけど、くうきがつめたくてゆっくりできるね」
「ちょっとさむいけど、くうきがつめたくてゆっくりできるね」
ゆっくり用座布団に座ったれいむとまりさが、窓辺でゆっくりしていた。
小さな庭。隣とは柵で区切られてる。庭には芝生が植えられていた。花壇や植木などは
ない。芝生の端っこに古びたレンガが一個置いてあるだけだった。
男は近所のコンビニに出掛けている。出掛ける時間が数分ということもあり、窓は開けた
ままだった。不用心であるが、そもそも部屋に盗むようなものはない。室内はかなりさっぱ
りしている。余計なものは置かない主義だった。
小さな庭。隣とは柵で区切られてる。庭には芝生が植えられていた。花壇や植木などは
ない。芝生の端っこに古びたレンガが一個置いてあるだけだった。
男は近所のコンビニに出掛けている。出掛ける時間が数分ということもあり、窓は開けた
ままだった。不用心であるが、そもそも部屋に盗むようなものはない。室内はかなりさっぱ
りしている。余計なものは置かない主義だった。
ざっ。
「ゆ?」
外から聞こえた音に、二匹が瞬きをする。
次の瞬間、開いた窓の隙間から、いきなり二匹のゆっくりが飛び込んできた。野良のれ
いむとまりさである。柵の隙間から入り込んできたのだ。口に釘を咥え、殺気立った視線
を飼いれいむとまりさに向ける。
次の瞬間、開いた窓の隙間から、いきなり二匹のゆっくりが飛び込んできた。野良のれ
いむとまりさである。柵の隙間から入り込んできたのだ。口に釘を咥え、殺気立った視線
を飼いれいむとまりさに向ける。
「しねえええっ!」
「ゆっぐりじねええええ!」
「ゆわぁぁぁぁ!」
「ゆっぐりじねええええ!」
「ゆわぁぁぁぁ!」
殺意剥き出しに襲いかかってくる野良二匹に、れいむとまりさは悲鳴を上げた。
「ただいまー」
買い物を終え、部屋に戻ってきた男。
「おお、これはどうしたんだ?」
部屋を眺め、緊張感無く呟いている。
ぐちゃぐちゃに壊された餡子の塊がふたつ。それには、ぼろぼろになったリボンと帽子が
乗っていた。そして、ゆっくり用座布団に鎮座しているれいむとまりさ。こちらは四葉のクロ
ーバーのバッジを付けたリボンと帽子を頭に乗せている。
二匹は男に向き直り、得意げに眉を傾けた。
ぐちゃぐちゃに壊された餡子の塊がふたつ。それには、ぼろぼろになったリボンと帽子が
乗っていた。そして、ゆっくり用座布団に鎮座しているれいむとまりさ。こちらは四葉のクロ
ーバーのバッジを付けたリボンと帽子を頭に乗せている。
二匹は男に向き直り、得意げに眉を傾けた。
「おにいさん、わるいのらゆっくりがはいってきたよ!」
「でも、まりさたちがきっちりせいっさいしたからあんしんしてほしいのぜ!」
「でも、まりさたちがきっちりせいっさいしたからあんしんしてほしいのぜ!」
餡隗になったゆっくり二匹を示し、そう言い切る。
「だから、そのわるいゆっくりはゆっくりしないで、はやくかたづけてね!」
そのれいむの台詞に。
「うん。これは大変だ」
男は怒ることもなく、慌てることもなく、スチールラックに置いてあった紙箱を手に取る。丁度
成体ゆっくり一匹を入れられるくらいの小箱だった。
それから、餡隗になった二匹を箱に入れる。
成体ゆっくり一匹を入れられるくらいの小箱だった。
それから、餡隗になった二匹を箱に入れる。
「君たちはちっとここでゆっくり待っててね」
箱を両手で抱え、男は部屋を出て行った。
パタンとドアの閉まる音。
男がアパートを出て行ったようだった。
男がアパートを出て行ったようだった。
「ゆっへっへ、。あのばかにんげん、ちょろいのぜ。ちょろすぎるのぜ!」
にやにやと笑いながら、まりさが呟く。
雑木林に住んでいた二匹。近くに住んでいる頭の緩そうな男と、脳天気そうな二匹のれ
いむとまりさに目を付け、すり替わる事を計画し、実行した。
男が部屋にいない間に侵入し、飼いの二匹を素早く原型を留めぬまでに壊し、お飾りを取
り替え、悪い野良を退治したと言い張る。そんな作戦だった。その作戦は見事に成功した。
少なくとも、この二匹は成功したと考えていた。
雑木林に住んでいた二匹。近くに住んでいる頭の緩そうな男と、脳天気そうな二匹のれ
いむとまりさに目を付け、すり替わる事を計画し、実行した。
男が部屋にいない間に侵入し、飼いの二匹を素早く原型を留めぬまでに壊し、お飾りを取
り替え、悪い野良を退治したと言い張る。そんな作戦だった。その作戦は見事に成功した。
少なくとも、この二匹は成功したと考えていた。
「これでれいむたちもかいゆっくりだね、まりさ。これかられいむたちでいっぱいゆっくりしよ
うね。おちびちゃんたくさんつくって、しあわせにくらそうね」
うね。おちびちゃんたくさんつくって、しあわせにくらそうね」
れいむがまりさにすーりすーりする。
まりさは頬を赤くしつつ、
まりさは頬を赤くしつつ、
「ゆふん、れいむはひるまからせっきょくてきなのぜ……」
およそ一時間後。
「いやー。お待たせお待たせ」
笑いながら部屋に戻ってきた男。
好奇心に任せて部屋を散策しまくったのだろう。スチールラックの横に積んであったチラシ
の束が散乱し、部屋の隅っこにはうんうんがひり出されている。れいむの額から二本の茎が
伸び、合計八匹の実ゆっくりが実っていた。
まともな神経と思考をしているならば、ぶち切れるだろう。
しかし、男は感心したように実ゆっくりを眺め、
好奇心に任せて部屋を散策しまくったのだろう。スチールラックの横に積んであったチラシ
の束が散乱し、部屋の隅っこにはうんうんがひり出されている。れいむの額から二本の茎が
伸び、合計八匹の実ゆっくりが実っていた。
まともな神経と思考をしているならば、ぶち切れるだろう。
しかし、男は感心したように実ゆっくりを眺め、
「おや。おちびちゃんができたのかい? なかなか可愛いおちびちゃんだね」
そう優しく微笑んだ。
「れいむとまりさのあいのけっしょうなんだぜ!」
「これから、みんなでゆっくりしようね!」
「これから、みんなでゆっくりしようね!」
しゃあしゃあと言い放つれいむとまりさ。
「うん、わかったよ。その前にお風呂入ろうか。身体汚れちゃってるしね」
男は笑顔で頷き、二匹の身体を眺めた。元々野良である。皮も髪の毛もあちこち汚れて
いる。一応身繕いはしているようだが、それでも普通の飼いゆっくりに比べると汚い。
きれいなのは唯一お飾りだけだった。
いる。一応身繕いはしているようだが、それでも普通の飼いゆっくりに比べると汚い。
きれいなのは唯一お飾りだけだった。
「すっきりー」
「すっきりーなのぜ」
「すっきりーなのぜ」
さらさらの髪の毛、ぴかぴかの肌。
風呂に入れられゆっくり用シャンプーで洗われた結果、二匹は普通の飼いゆっくり程度に
きれいになっていた。男がしっかりと念入りに洗ったおかげだろう。
風呂に入れられゆっくり用シャンプーで洗われた結果、二匹は普通の飼いゆっくり程度に
きれいになっていた。男がしっかりと念入りに洗ったおかげだろう。
「じゃ、身体もきれいに洗ったことだし」
男がれいむとまりさの前に腰を下ろし、隣の台所から持っていたものを床に置いた。電気
コードの付いた薄い四角い箱。その上面にはフッ素加工の施された四角い金属プレートが
取り付けられている。いわゆるホットプレートだ。
男は電源プラグをコンセントに入れ、電源を入れる。
コードの付いた薄い四角い箱。その上面にはフッ素加工の施された四角い金属プレートが
取り付けられている。いわゆるホットプレートだ。
男は電源プラグをコンセントに入れ、電源を入れる。
「さっそくあんよ焼きしようか」
笑顔でそう言った。
「あんよやき……?」
「なんなのぜ、それ……?」
「なんなのぜ、それ……?」
頭の上に疑問符を浮かべるれいむとまりさ。聞いた事のない言葉だった。普通に野良生
活をしていれば聞くことのない言葉である。
男は驚いたように瞬きして、
活をしていれば聞くことのない言葉である。
男は驚いたように瞬きして、
「あんよ焼き、知らない? うん、でも当然かな」
一人で納得してから、人差し指をホットプレーに向ける。
「あんよ焼きっていうのは、その名の通りあんよを焼くことだよ」
「ゆっ?」
「ゆっ?」
あっさりと口に出されたゆっくりできない言葉に、れいむとまりさは瞬きをした。
おかしい。おかしい。おかしい。
今の自分たちの状況、そして男がやろうとしている事。それが全く噛み合わず、思考停止
に陥っている。大事な飼いゆっくりの脚を焼くと言っているのだ、この人間は。意味がわか
らなかった。
二匹の反応には構わず、男はまりさに指を向け、
おかしい。おかしい。おかしい。
今の自分たちの状況、そして男がやろうとしている事。それが全く噛み合わず、思考停止
に陥っている。大事な飼いゆっくりの脚を焼くと言っているのだ、この人間は。意味がわか
らなかった。
二匹の反応には構わず、男はまりさに指を向け、
「この熱い熱いホットプレートさんで、まりさのカモシカさんのよーな強靱で俊足のなおかつ
美しくも滑らかな世界一のあんよさんをじーっくりたーっぷり焼くんだ。もう黒コゲになって全
く動かせなくなるくらいにね」
美しくも滑らかな世界一のあんよさんをじーっくりたーっぷり焼くんだ。もう黒コゲになって全
く動かせなくなるくらいにね」
にっこりと告げる。
「な、な、な? なにいってるのぜ……!? おそらをとんでるみたい!」
まりさは男に持ち上げられ、ホットプレートの真上に移動させられた。
もこもこもこ。
必死に脚を動かすが、虚しく空を叩くだけである。身体を捩っても、お下げを動かしても人
間の力には到底届かない。脚裏を撫でるホットプレートの熱気。
愛おしそうにまりさの脚を見つめ、男が口を動かす。
間の力には到底届かない。脚裏を撫でるホットプレートの熱気。
愛おしそうにまりさの脚を見つめ、男が口を動かす。
「このチーターさんのように柔軟で――ちょっと長くなるから以下略なあんよさん動かせるの
もこれが最後だから、今の内に思い切り動かしておいた方がいいよ」
「いひぃ!?」
もこれが最後だから、今の内に思い切り動かしておいた方がいいよ」
「いひぃ!?」
もこもこもこ。
逃げようと脚を動かすまりさ。
「や、やめてね、おにいさん! まりさはおにいさんのかいゆっくりなんだよ! かいぬしさん
は、かいゆっくりをゆっくりさせるぎむがあるんだよ!」
は、かいゆっくりをゆっくりさせるぎむがあるんだよ!」
れいむが声を震わせながら叫ぶ。
飼い主は飼いゆっくりをゆっくりさせるもの。れいむはそう認識していた。しかし、男はまり
さの脚を焼こうとしている。それは絶対にゆっくりできない行為だ。それを飼い主が行うのは
おかしい事だと訴える。
しかし、男は聞かない。
飼い主は飼いゆっくりをゆっくりさせるもの。れいむはそう認識していた。しかし、男はまり
さの脚を焼こうとしている。それは絶対にゆっくりできない行為だ。それを飼い主が行うのは
おかしい事だと訴える。
しかし、男は聞かない。
「じゃあ、まりさ、行くよー」
楽しそうな声とともに、まりさを下ろす。
「ま、まっ――」
ジュッ!
まりさの脚がホットプレートに押し付けられた。
「いぎぃぃぃぃぃあぁぁぁぁぁああぁぁいいぃぃぃっ!」
歯を食い縛り、掠れた悲鳴を上げる。熱く焼けたホッププレートに脚を押し付けられたのだ。
それは熱いというレベルではなく、痛い。いや、痛みすらも認識されず、単純な衝撃となって
中枢餡を直撃する。
思考も何もかも吹き飛び、身体はただ条件反射の反応を出力していた。
周囲に漂う生地の焼ける香り。
それは熱いというレベルではなく、痛い。いや、痛みすらも認識されず、単純な衝撃となって
中枢餡を直撃する。
思考も何もかも吹き飛び、身体はただ条件反射の反応を出力していた。
周囲に漂う生地の焼ける香り。
「あっ、ぁっ、……ッッッ!」
目から涙を、口から涎を、全身から汗を、うんうんをしーしーを。身体から出せるもの全て
を出しながら、まりさが悶える。
しかし、男がしっかりと押さえているため、逃れることはできない。
まりさにできるのは無駄な抵抗だけだった。でたらめにお下げを振り回し、両目を無茶苦
茶に動かす。喉が固まり、まともに声すらも出ない。
を出しながら、まりさが悶える。
しかし、男がしっかりと押さえているため、逃れることはできない。
まりさにできるのは無駄な抵抗だけだった。でたらめにお下げを振り回し、両目を無茶苦
茶に動かす。喉が固まり、まともに声すらも出ない。
「なんで、なんで……!?」
その姿に、れいむは顔を青くしてしーしーとうんうんを漏らしていた。
男はれいむに目を向け、
男はれいむに目を向け、
「これが終わったら、れいむの番だからね。期待して待っててね」
「いやだあああああっ!」
「いやだあああああっ!」
泣きながら全力で拒否するれいむ。
男は少し考えてから、部屋の隅に落ちているうんうんを視線で示した。
男は少し考えてから、部屋の隅に落ちているうんうんを視線で示した。
「じゃあ、そこに出したうんうん全部食べて。あとしーしーも全部舐めとってね。今出したヤツ
もね。ゆっくり頑張ってね」
「そんなぎだないことでぎるわげないでじょおおお!?」
もね。ゆっくり頑張ってね」
「そんなぎだないことでぎるわげないでじょおおお!?」
泣きながられいむが拒否する。うんうんとしーしー。どちらも古くなった体内餡だが、ゆっく
りにとっては普通の生物の排泄物と代わらない認識だ。
りにとっては普通の生物の排泄物と代わらない認識だ。
「ぃぃぃ……ぉぉぉ……」
呻き声を上げながら、弱々しく痙攣するまりさ。暴れる体力は既に奪われていた。だからと
いって、ホットプレートから離すことはしない。
男はれいむに目を向け、朗らかに答えた。
いって、ホットプレートから離すことはしない。
男はれいむに目を向け、朗らかに答えた。
「じゃ、あんよ焼きだね。まりさが終わるまで少し時間あるから、それまでに決めてね。うん
うんとしーしー舐めても、あんよ焼きでも、僕はどっちでもいいよ?」
「ゆぅぅぅぅ!?」
うんとしーしー舐めても、あんよ焼きでも、僕はどっちでもいいよ?」
「ゆぅぅぅぅ!?」
あんよを焼かれる地獄の激痛か、うんうんを食べる嫌悪感と屈辱か。
れいむは後者を取った。
れいむは後者を取った。
「むーじゃむーじゃ……うげぁ、ぐざいいぃぃぃ!」
泣きながらうんうんを口に入れ、れいむは悲鳴とともにそれを咀嚼する。咀嚼する必要は
ないのだが、それは単なる条件反射だ。
れいむの動きに合わせて額から生えた二本の茎が揺れる。
ないのだが、それは単なる条件反射だ。
れいむの動きに合わせて額から生えた二本の茎が揺れる。
「ゆおっぷ!?」
口の中に広がる猛烈な悪臭と、気色悪さ。身体の奥から込み上げる猛烈な吐き気。他の
生物にとってはただの古い餡子だが、ゆっくりにとってはうんうんそのものだ。
生物にとってはただの古い餡子だが、ゆっくりにとってはうんうんそのものだ。
「もし吐いたら、そっちもちゃんと食べてね」
「ゆぐぅぅぅっ!」
「ゆぐぅぅぅっ!」
男の言葉に、れいむは吐き気を呑み込み必死にうんうんを食べた。
「ゆっ、ゆっ……!」
床に置かれたまりさ。
白目を剥き、小さく震えている。意識はどこかに吹っ飛んでいるようだった。あんよは真っ
黒に焼け焦げていた。もはや跳ねる事も這うこともできない。感覚も完全に壊れているため、
針を刺されたり刃物で切られたりしても痛みすら感じない。
そんな有様だ。
白目を剥き、小さく震えている。意識はどこかに吹っ飛んでいるようだった。あんよは真っ
黒に焼け焦げていた。もはや跳ねる事も這うこともできない。感覚も完全に壊れているため、
針を刺されたり刃物で切られたりしても痛みすら感じない。
そんな有様だ。
「ぜ、ぜんぶだべだよ……!」
一方れいむはうんうんを全部食べ、しーしーを全部舐め取っていた。死ぬほどの苦痛を味
わうまりさの姿に、死ぬ気で頑張った結果である。
が。
わうまりさの姿に、死ぬ気で頑張った結果である。
が。
「じゃ、約束通りあんよ焼きはなしだね」
「おそらを――」
「おそらを――」
男はれいむを持ち上げ、その場で上下逆にして、床に置いた。脚が真上に向けられる。
男の手には大きな包丁が握られていた。刃渡り四十センチほどの四角い刃の包丁。スイ
カ切り包丁である。ゆっくりを切断するには丁度いい大きさだ。
男の手には大きな包丁が握られていた。刃渡り四十センチほどの四角い刃の包丁。スイ
カ切り包丁である。ゆっくりを切断するには丁度いい大きさだ。
「さっそく手術始めようか。麻酔なんてしないからすっごく痛いけど我慢してね」
「あんよやぎはしないっでいったでじょおおお!?」
「あんよやぎはしないっでいったでじょおおお!?」
物騒な包丁の輝きを目にして、れいむが絶叫する。
「うん。あんよ焼きはしないよ。でも、何もしないとは言ってないでしょ?」
こともなげに告げ、男は包丁をれいむの脚に添えた。
「一応助言しておくけど、動かない方がいいよ。中身こぼれたら大変だからね。大事なおち
びちゃんがもげちゃうかもよ?」
「!」
びちゃんがもげちゃうかもよ?」
「!」
男の言葉にれいむは身体を強張らせた。
すっ。
よく研がれた包丁が、れいむの脚に切り込んだ。脚として動かしている部分の少し上あた
り。人間で喩えるなら腰の辺りだ。
り。人間で喩えるなら腰の辺りだ。
「ゅぅぅぅ……!」
鋭い痛みに、れいむが掠れた声を漏らす。目元から溢れた涙が、額に向かって落ちてい
った。しかし、動けない。恐怖と痛みに身体が硬直してしまっていた。
男は滑るように包丁を動かしていく。
った。しかし、動けない。恐怖と痛みに身体が硬直してしまっていた。
男は滑るように包丁を動かしていく。
「あっ、ゆひっ……」
れいむの脚が完全に身体から離れた。男は包丁を置き、れいむの脚を持ち上げ、横に置
く。剥き出しになった餡子。れいむが激痛に息を漏らしている。
男は丸いアルミ板を断面に乗せた。
く。剥き出しになった餡子。れいむが激痛に息を漏らしている。
男は丸いアルミ板を断面に乗せた。
「ぎぃぃぃぃぃっ!」
体内餡に直接異物が触れる感触に、れいむが大きく痙攣する。
男は切った脚を断面に重ねた。少し力を入れて脚を押し付け、オレンジジュースを刷毛で
傷口に塗る。オレンジジュースの再生効果によって見る間に傷口が塞がった。
そして、足裏に刷毛で硬化剤を塗る。ゆっくりの組織を固める薬だ。
男は切った脚を断面に重ねた。少し力を入れて脚を押し付け、オレンジジュースを刷毛で
傷口に塗る。オレンジジュースの再生効果によって見る間に傷口が塞がった。
そして、足裏に刷毛で硬化剤を塗る。ゆっくりの組織を固める薬だ。
「これで終わり」
道具を片付け、満足げに袖で額を撫でる男。
れいむの体内に残されたアルミ板は、中枢餡から脚に送られる信号を完全に遮断する。
有機物ではないアルミ板は、体内で餡子変換されるのに数年もの時間が掛かる。そして、
完全に分解されても、その頃には脚を動かす情報伝達機能自体が完全に消失しているだ
ろう。さらに硬化剤の効果によって、脚の皮自体も動かなくされていた。
れいむの体内に残されたアルミ板は、中枢餡から脚に送られる信号を完全に遮断する。
有機物ではないアルミ板は、体内で餡子変換されるのに数年もの時間が掛かる。そして、
完全に分解されても、その頃には脚を動かす情報伝達機能自体が完全に消失しているだ
ろう。さらに硬化剤の効果によって、脚の皮自体も動かなくされていた。
「いっ、ゆぎぃぃ……」
歯を食い縛りれいむが苦痛に呻いている。
あんよ焼きこそされていないが、れいむの脚は完全に動かなくなった。
あんよ焼きこそされていないが、れいむの脚は完全に動かなくなった。
並べて床に置かれたたれいむとまりさ。とりあえず濃縮オレンジジュースを飲まされ、ある
程度は回復していた。どちらももう這う事すらできないが。
程度は回復していた。どちらももう這う事すらできないが。
「いぢゃ、いぢゃい……」
体内餡を刺激するアルミ板に、れいむが涙を流し悶えている。その感覚が慣れるまで少し
時間がかかるだろう。
まりさは訳が分からないといった顔で男を見上げていた。
時間がかかるだろう。
まりさは訳が分からないといった顔で男を見上げていた。
「ど、どぼじで、ごんなごどずるんだぜ……。ば、ばりざだぢはかいゆっぐりなんだぜ。がいぬ
じは、がいゆっぐりにひどいごどじじゃいげないんだぜ……!」
「君たち。雑木林に住んでた野良ゆっくりでしょ?」
「!」
じは、がいゆっぐりにひどいごどじじゃいげないんだぜ……!」
「君たち。雑木林に住んでた野良ゆっくりでしょ?」
「!」
正体を見破られ、二匹は固まった。
「それで、うちのれいむとまりさを殺して、入れ替わろうとしてたんでしょ?」
これまた作戦をあっさりと看破される。どちらも普通の人間ならすぐに分かることだったが。
二匹は自分たちの作戦が成功したと思い込んでいた。男の表情が飼いれいむとまりさに向
けるものと全く変わらなかったからである。行動は全く違うが。
思考停止状態の二匹に、男は笑いかけた。二匹の帽子に付いていた、四葉のクローバー
バッジを取り外しながら、
二匹は自分たちの作戦が成功したと思い込んでいた。男の表情が飼いれいむとまりさに向
けるものと全く変わらなかったからである。行動は全く違うが。
思考停止状態の二匹に、男は笑いかけた。二匹の帽子に付いていた、四葉のクローバー
バッジを取り外しながら、
「でもね。先に言っておくけど、うちのれいむとまりさを殺そうとした事については、僕は全然
怒ってないから、その点は安心してね」
「!?」
怒ってないから、その点は安心してね」
「!?」
二匹はさらに混乱する。
飼いゆっくりを野良ゆっくりに殺されたら、普通の飼い主なら激怒する。それなのに、男は
怒っていない。怒りを抑えこんでいるわけではない。本心から怒っていない。
それが理解できなかった。
飼いゆっくりを野良ゆっくりに殺されたら、普通の飼い主なら激怒する。それなのに、男は
怒っていない。怒りを抑えこんでいるわけではない。本心から怒っていない。
それが理解できなかった。
「ゆっくりだからそういうことって結構あるし、あの二匹ってかなり原種寄りだから、あれだけ
ぐちゃぐちゃにしても死なないんだ。中枢餡も無いしね。知合いの獣医さんに預けてあるか
ら、一週間くらいで元通りに回復するよ」
ぐちゃぐちゃにしても死なないんだ。中枢餡も無いしね。知合いの獣医さんに預けてあるか
ら、一週間くらいで元通りに回復するよ」
男が飼っているれいむとまりさ。見た目は普通だが、かなり原種に近い個体だった。思考
もゆっくりしているし、食事もほとんど取らない。排泄も繁殖もしない。中枢餡もない。生命力
も高く、普通のゆっくりが死ぬような致命傷でもあっさり回復する。
現在掛り付けの獣医の元で治療中。濃縮オレンジジュースに浸したらあっさりと完全回復
した。一応様子見ということで一週間ほど入院するように言われている。
男は楽しそうに手をすり合わせつつ、
もゆっくりしているし、食事もほとんど取らない。排泄も繁殖もしない。中枢餡もない。生命力
も高く、普通のゆっくりが死ぬような致命傷でもあっさり回復する。
現在掛り付けの獣医の元で治療中。濃縮オレンジジュースに浸したらあっさりと完全回復
した。一応様子見ということで一週間ほど入院するように言われている。
男は楽しそうに手をすり合わせつつ、
「あとね。うちの二匹と入れ替わろうとしてた事は、前々から気付いてたんだ。今日もわざと
窓開けてたんだし。そしたら見事にやってくれたよ。期待に応えてくれてありがとうね」
窓開けてたんだし。そしたら見事にやってくれたよ。期待に応えてくれてありがとうね」
礼を言う。
「なんで、そんなことするの……?」
れいむはそう問いかけた。飼いゆっくりを狙っている野良ゆっくりの存在を知りながら自分
の飼いゆっくりを襲わせた。その理由が全く読めなかった。
の飼いゆっくりを襲わせた。その理由が全く読めなかった。
「君たちが可愛いからに決まってるんじゃないか」
男は満面の笑みで言い切る。
「僕はいわゆる愛でお兄さんなんだ。真面目で善良な子は、可愛いから大事に可愛がって
愛でる。君たちみたいないわゆるゲスは、可愛いから凄く悲惨に虐めて、その苦しむ姿を愛
でる。何かおかしい?」
「…………」
「…………」
愛でる。君たちみたいないわゆるゲスは、可愛いから凄く悲惨に虐めて、その苦しむ姿を愛
でる。何かおかしい?」
「…………」
「…………」
れいむとまりさは言葉を失った。
おかしい。狂ってる。壊れてる。
それが二匹の率直な感想だった。男が何を言っているのか分からない。何がしたいのか
も分からない。ただ、自分たちがとんでもない人間の元に来てしまったことは理解した。頭
の緩い愛でお兄さんだと思っていたのに、神経の狂った虐待お兄さんだった。
も分からない。ただ、自分たちがとんでもない人間の元に来てしまったことは理解した。頭
の緩い愛でお兄さんだと思っていたのに、神経の狂った虐待お兄さんだった。
「あ。でも、どうしよう。あんよ焼きから先は考えてなかったな」
口元に手を添え、男が首を傾げる。
野良二匹が入ってきて脚焼きするところまでしか考えていなかった。来たら面白いなくら
いしか考えていない。こうして見事にハマってくれたのは、想定外だった。
男は床に散らばっていたチラシを手に取った。郵便受けに放り込まれていたチラシ。まとめ
て捨てようと思って置いておいた紙束だ。
野良二匹が入ってきて脚焼きするところまでしか考えていなかった。来たら面白いなくら
いしか考えていない。こうして見事にハマってくれたのは、想定外だった。
男は床に散らばっていたチラシを手に取った。郵便受けに放り込まれていたチラシ。まとめ
て捨てようと思って置いておいた紙束だ。
「とりあえず、このチラシさんを丸めてーっ! れいむとまりさのお口にIN! さらにIN! も
ひとつIN! 駄目押しでIN! おまけでIN! でもってIN! わんもあIN!」
ひとつIN! 駄目押しでIN! おまけでIN! でもってIN! わんもあIN!」
丸めたチラシを口一杯に押し込まれ、れいむとまりさは動けなくなった。吐き出そうとしても
それすらできない。ただ苦しさに涙を流して、男を見上げている。
それすらできない。ただ苦しさに涙を流して、男を見上げている。
「じゃ、ちょっと待っててね。どうやって可愛がってげるか、考えるから」
オモチャを手に入れた子供のような笑顔で、男はそう言った。
二日目の夜。
仕事から帰ってきた男は、夕食を取っていた。
口にチラシを詰め込まれたれいむとまりさの目の前。卓袱台の上に載せられた料理。モツ
ァレラチーズとトマトのサラダと、娼婦風スパゲティー。子羊肉のリンゴソースかけ。
そして、プリン。
奮発して作ったものだ。
仕事から帰ってきた男は、夕食を取っていた。
口にチラシを詰め込まれたれいむとまりさの目の前。卓袱台の上に載せられた料理。モツ
ァレラチーズとトマトのサラダと、娼婦風スパゲティー。子羊肉のリンゴソースかけ。
そして、プリン。
奮発して作ったものだ。
「はぁ、美味しいなぁ」
スパゲティを一口食べ、満足そうに息を吐き出している。普段なら台所のテーブルで食べ
るのだが、今回はあえて寝室で食事を取っていた。
るのだが、今回はあえて寝室で食事を取っていた。
「っ……」
その様子をじっと見つめるれいむとまりさ。ゆっくりにとって人間の食事はご馳走だ。見る
からに美味しそうな料理に、二匹は釘付けとなっていた。
男が二匹を見る。
からに美味しそうな料理に、二匹は釘付けとなっていた。
男が二匹を見る。
「君たちもご飯食べたい? お腹ぺーこぺーこだと思うけど」
「………」
「………」
無言で身体を縦に振る二匹。
「うん。わかったよ」
男はフォークを置き、ラックに置いてあった道具箱を手に取り、二匹の前に移動した。
れいむとまりさの口に押し込んでいたチラシを全部抜き取る。よだれでべたべたになった
紙クズを丸めて道具箱から取り出した小さなゴミ袋に入れ、その口を縛った。これは明日ゴ
ミとして捨てる予定である。
れいむとまりさの口に押し込んでいたチラシを全部抜き取る。よだれでべたべたになった
紙クズを丸めて道具箱から取り出した小さなゴミ袋に入れ、その口を縛った。これは明日ゴ
ミとして捨てる予定である。
「ゆっ、はぁ……」
「ぐるじがったのぜ……」
「ぐるじがったのぜ……」
苦しげに呼吸をしている二匹。れいむの額から伸びた茎の先で、実ゆっくりが揺れていた。
成長中の実ゆっくりは意外と頑丈にくっついているので、相当な無茶をしない限り落ちる心
配はない。
男がれいむに声をかけた。
成長中の実ゆっくりは意外と頑丈にくっついているので、相当な無茶をしない限り落ちる心
配はない。
男がれいむに声をかけた。
「ねえ、れいむ。お歌聞かせてよ。お歌得意でしょ? 素敵なお歌聞かせてくれたら、ご飯さ
んたくさんあげるよ。約束するよ」
「ゆゆっ? おうたなら、れいむにまかせてね!」
んたくさんあげるよ。約束するよ」
「ゆゆっ? おうたなら、れいむにまかせてね!」
男の言葉にぱっと顔を輝かせるれいむ。上手いかどうかは別として、れいむはお歌が好き
だった。得意だと自負していた。自分のお歌を聞けば誰でもゆっくりできる。そう考えていた。
しかし、男は首を振って道具箱に手を入れた。
だった。得意だと自負していた。自分のお歌を聞けば誰でもゆっくりできる。そう考えていた。
しかし、男は首を振って道具箱に手を入れた。
「あ、そっちのおうたじゃなくて、僕が聞きたいのはこっち」
取り出したのは竹串である。団子や焼き鳥などに使う先の尖った細い竹の棒。
すっ。
「っ! いぢゃいいいいいっ!」
竹串を頬に刺し込まれ、れいむは悲鳴を上げた。
痛みに涙を流し、ぐねぐねと悶えながら。
男は満足げにれいむの頭を撫でる。
痛みに涙を流し、ぐねぐねと悶えながら。
男は満足げにれいむの頭を撫でる。
「うん、とっても素敵なお歌だね。さすがれいむ」
「いぢゃい、いぢゃいっ! ご、ごんなの、おうだじゃない……!」
「お歌だよ。魂の歌じゃないか」
「いぢゃい、いぢゃいっ! ご、ごんなの、おうだじゃない……!」
「お歌だよ。魂の歌じゃないか」
すっ。
男が竹串を反対側の頬に刺す。
「いぃぃぃぃぃぃっ!」
その痛みにお歌という名の悲鳴を上げるれいむ。
「そうだ、まりさ」
男がまりさに向き直った。
まりさはれいむの姿を凝視し、声も出せずに震えている。もはや美味しそうな料理の事は
思考から消えていた。逃げ出したくても完全に焦げた脚は動かない。
まりさはれいむの姿を凝視し、声も出せずに震えている。もはや美味しそうな料理の事は
思考から消えていた。逃げ出したくても完全に焦げた脚は動かない。
「な、なんなのぜ……? まりさはおうたう、たうたう……う、うたえないのぜ……」
恐怖のために呂律も回っていない。
道具箱に手を入れながら、男は尋ねた。
道具箱に手を入れながら、男は尋ねた。
「ダンス踊れる? 運動神経いいまりさならダンスくらい踊れると思うんだ。れいむのお歌に
合わせてダンスを踊るまりさって、可愛いと思わない?」
合わせてダンスを踊るまりさって、可愛いと思わない?」
取り出したのは、赤い液体の入った小瓶だった。一目で分かる辛い液体。
男はまりさの舌を引っ張り出し、小瓶の蓋を開ける。
男はまりさの舌を引っ張り出し、小瓶の蓋を開ける。
「い、いやなんだ――」
ぽたっ。
舌に少量の液体を垂らす。
「あがあああああっ、あぎっ、がらいいいっ! いだいいいいっ!」
味覚から中枢餡まで突き抜ける辛さに、まりさは思い切り悶えた。甘い系のゆっくりにとっ
て辛みは毒である。致死するほどではないが、辛い液体は大きなダメージをまりさの身体
に与えていた。
お下げを振り回し、身体を滅茶苦茶に捻り、前後左右に跳ねるまりさ。
て辛みは毒である。致死するほどではないが、辛い液体は大きなダメージをまりさの身体
に与えていた。
お下げを振り回し、身体を滅茶苦茶に捻り、前後左右に跳ねるまりさ。
「いぢゃいいぢゃいぃぃぃっ。ゆぃぃぃぃ」
れいむも痛みに悶えている。
男はペーパータオルで手を拭き、卓袱台に戻った。
男はペーパータオルで手を拭き、卓袱台に戻った。
「あがっ、おごごごっ!?」
「ゆぁぁぁぁっ、いぢゃいぃぃぃ! だずげでぇぇぇ! ぬいでぇぇぇ!」
「れいむのお歌と、まりさのダンス。うん、いいねぇ。実にいいよ」
「ゆぁぁぁぁっ、いぢゃいぃぃぃ! だずげでぇぇぇ! ぬいでぇぇぇ!」
「れいむのお歌と、まりさのダンス。うん、いいねぇ。実にいいよ」
痛みに悲鳴を上げるれいむと、辛さに悶えるまりさ。
「ああ、美味しいなぁ」
二匹を眺めながら、男は食事を再開した。
「いたい……よ……」
「じぬがどおぼったのぜ……」
「じぬがどおぼったのぜ……」
れいむから竹串を抜き、傷口はオレンジジュースで塞ぐ。まりさは霧吹きで舌にオレンジジ
ュースを吹き付け治療。とりあえずまともに喋れる程度には回復した。
ュースを吹き付け治療。とりあえずまともに喋れる程度には回復した。
「じゃ、約束通りご飯さんあげるね」
そう言って、男は二匹の前に皿を置いた。
そこに盛られているものは、灰色の泥のようなものである。男がさきほどまで食べていた
美味しそうな料理や市販のゆっくりフード。それらとは似ても似付かない。およそ食べられ
るようなものには見えなかった。
そこに盛られているものは、灰色の泥のようなものである。男がさきほどまで食べていた
美味しそうな料理や市販のゆっくりフード。それらとは似ても似付かない。およそ食べられ
るようなものには見えなかった。
「それは……なんなのぜ……?」
「すごく、ゆっくりしてないよ……」
「すごく、ゆっくりしてないよ……」
不安がる二匹に、男は答えた。
「ゆっくりフード、これどくはいってる味。市販されてるお仕置き用のげろまず味のさらに一ラ
ンク下のものだよ。大丈夫だよ。味は酷いけど、栄養価は満点だから」
ンク下のものだよ。大丈夫だよ。味は酷いけど、栄養価は満点だから」
大きめのスプーンでフードを持ち上げる。
市販ルートで売っているめちゃうめ味からげろまず味のゆっくりフード。これはげろまず味
のさらに下のものだ。一般店では売ってなく、注文取寄でないと買えない。かなり値も張る。
有り体に言って虐待用の餌だった。
味は見た目通り、灰を混ぜた泥のようなもの。とにかく不味い。
だが、ちゃんと栄養価はある。
市販ルートで売っているめちゃうめ味からげろまず味のゆっくりフード。これはげろまず味
のさらに下のものだ。一般店では売ってなく、注文取寄でないと買えない。かなり値も張る。
有り体に言って虐待用の餌だった。
味は見た目通り、灰を混ぜた泥のようなもの。とにかく不味い。
だが、ちゃんと栄養価はある。
「さ、遠慮せずにたんとお食べ」
男はれいむの口を容易くこじ開け、中にフードを押し込んだ。
「ゆぐ!」
舌から発せられる危険物という信号。
しかし、れいむがフードを吐き出す前に、男が素早く次を押し込んでいく。山盛りのフード
の半分がれいむの口に収められた。さらに口を閉じ、その口をクリップ五個でしっかりとで塞
ぐ。これで吐き出すことはできなくなった。
しかし、れいむがフードを吐き出す前に、男が素早く次を押し込んでいく。山盛りのフード
の半分がれいむの口に収められた。さらに口を閉じ、その口をクリップ五個でしっかりとで塞
ぐ。これで吐き出すことはできなくなった。
「ぅ……! ぅぅ……」
涙を流しながら悶えるれいむ。
「あんまり暴れるとおちびちゃん落ちちゃうよ」
ゆらゆら揺れる二本の茎を眺めながら、男は声を掛けた。
が、れいむは聞いていない。
が、れいむは聞いていない。
「これは、補強しておく必要あるかも」
腕組みしてそう頷く。茎も案外しっかりくっついているとはいえ、限度がある。れいむが無
茶苦茶に暴れたら折れたりするかもしれない。それは避けたかった。
それからまりさに向き直り、
茶苦茶に暴れたら折れたりするかもしれない。それは避けたかった。
それからまりさに向き直り、
「さ。素敵なダンスを見せてくれたまりさにも、約束通りご飯さんあげるね。遠慮はいらない
よ。たっぷりゆっくりお食べなさい」
「いやなんだ――」
よ。たっぷりゆっくりお食べなさい」
「いやなんだ――」
男はまりさの口を開け、中にフードを押し込んだ。
白目を剥きびくびくと痙攣する二匹を優しく撫でながら、男は楽しそうに微笑んだ。
「うーん。やっぱりゆっくりは可愛いなぁ」
「うーん。やっぱりゆっくりは可愛いなぁ」
三日目の夜。
「ゆっくりしていってねー」
「ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくりしていってね!!!」
男の挨拶に、二匹が元気に挨拶を返す。
ゆっくりしていってね、という言葉に同じ言葉を返すのはゆっくりの本能だ。そして挨拶は
ゆっくりできるというのも、ゆっくりの共通認識だ。ちなみに訓練すれば反応しないようにも
できる。飼いゆっくりなら、大体銀バッジレベルの半分くらいが、挨拶に対して無条件の反
射をしないように飼い主から躾けられている。
ゆっくりしていってね、という言葉に同じ言葉を返すのはゆっくりの本能だ。そして挨拶は
ゆっくりできるというのも、ゆっくりの共通認識だ。ちなみに訓練すれば反応しないようにも
できる。飼いゆっくりなら、大体銀バッジレベルの半分くらいが、挨拶に対して無条件の反
射をしないように飼い主から躾けられている。
「おお、偉い偉い。ちゃと挨拶できるんだね」
男が見せた笑顔に、二匹は震えた。屈託のない優しい笑顔。しかし、その笑顔から行わ
れる事は、凄まじくゆっくりできない虐待だ。
れる事は、凄まじくゆっくりできない虐待だ。
「ゆっくり注目っ!」
二匹の前に出されたのは、やや古めの音楽プレイヤー。そこから伸びたイヤホンのような
ものだった。二叉に別れた二本のコード。そのスピーカー部分に付けられているのは、三セ
ンチ四方の四角い板だった。
ものだった。二叉に別れた二本のコード。そのスピーカー部分に付けられているのは、三セ
ンチ四方の四角い板だった。
「それ、なに……? れいむたちにこんどはなにするき……?」
何をされるか分からずれいむが怯えている。
額から生えた茎はゆっくり用絆創膏でしっかりと付け根に固定されていた、これでそう簡単
には取れないだろう。
額から生えた茎はゆっくり用絆創膏でしっかりと付け根に固定されていた、これでそう簡単
には取れないだろう。
「おにいさんのがいゆっぐりをころそうとしたことはあやまるだぜ……。ばりざだぢがわるがっ
だのですぜ……。だから、もうゆるしてぐだざい、おねがいじばず……」
だのですぜ……。だから、もうゆるしてぐだざい、おねがいじばず……」
泣きながらまりさが頭を下げる。男の飼いゆっくりを殺してすり替わろうとした事。今の状
況はそれに対する制裁とまりさは考えていた。考え込もうとしていた。
しかし、男は不思議そうに首を傾げ、
況はそれに対する制裁とまりさは考えていた。考え込もうとしていた。
しかし、男は不思議そうに首を傾げ、
「うーん、何か勘違いしてない? あの二匹を殺そうとしたことは、怒っていないって言ってる
じゃないか。嘘じゃないよ。僕がやってるのは、君たちが可愛いからだよ」
「ゆぅぅぅん……」
じゃないか。嘘じゃないよ。僕がやってるのは、君たちが可愛いからだよ」
「ゆぅぅぅん……」
話が通じない。その事実にまりさは改めて涙を流す。制裁ならば謝れば助かるかもしれな
い。だが、男がこの虐待をする理由はまりさたちに対する愛での感情である。それを止める
方法は全く見当がつかなかった。
男は二枚の小さな板を持ち上げ、
い。だが、男がこの虐待をする理由はまりさたちに対する愛での感情である。それを止める
方法は全く見当がつかなかった。
男は二枚の小さな板を持ち上げ、
「えっとね、これはね。ゆっくり用のイヤホンみたいなものだよ」
ゆっくり用イヤホン。お飾りなどがゆっくり自身にくっつく性質を利用したものだ。構造は人
間用のスピーカーと同じである。音楽を振動として、直接ゆっくりの身体に音楽を流し込む。
二個を付けることで、かなり立体的な音楽になうらしい。
間用のスピーカーと同じである。音楽を振動として、直接ゆっくりの身体に音楽を流し込む。
二個を付けることで、かなり立体的な音楽になうらしい。
「こうやってぺたっと貼ると、音楽が直接身体に聞こえるんだ」
ぺたり、と。
スピーカーがれいむとまりさの額に貼られる。
途端、二匹の顔が引きつる。
スピーカーがれいむとまりさの額に貼られる。
途端、二匹の顔が引きつる。
「ゆゆゆゆゆ!? ゆっくゆっくゆく、り……ゆゆっ、ゆっく、ゆくゆくゆく!?」
「ゆっ……くり、ゆくりゆくりゆく……ゆっ、ゆゆっ、ゆ……!? ゆゆゆ……」
「ゆっ……くり、ゆくりゆくりゆく……ゆっ、ゆゆっ、ゆ……!? ゆゆゆ……」
口から漏れる掠れた挨拶。
流れているのは「ゆっくりしていってね」という挨拶の言葉だ。声は基本種に一部希少種
を加えたもの。速度は半分から三倍速まで多数。声の主も速度も違う数十の挨拶が間断
なく多重で流れている。
結果、本能的に全ての挨拶に答えようし、引きつった声の連続になってしまうのだ。
しかも再生速度の違う挨拶は、ゆっくりに多大な不快感を与える。
流れているのは「ゆっくりしていってね」という挨拶の言葉だ。声は基本種に一部希少種
を加えたもの。速度は半分から三倍速まで多数。声の主も速度も違う数十の挨拶が間断
なく多重で流れている。
結果、本能的に全ての挨拶に答えようし、引きつった声の連続になってしまうのだ。
しかも再生速度の違う挨拶は、ゆっくりに多大な不快感を与える。
「うーん、いいねぇ。実にいいねぇ」
男は楽しそうに頬を緩めながら、苦悶の表情で挨拶を繰り返す二匹を眺めていた。
四日目の朝。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっぐりじでいっでで……!」
「ゆっぐりじでいっでで……!」
男の言葉に、二匹が泣きながら掠れた挨拶を返した。
丸一晩挨拶の不協和音を聞かされた結果、挨拶の言葉は全然ゆっくりできないものとし
て認識されていた。しかし、他者から挨拶の言葉を投げかけられれば、本能的に答えてし
まう。凄くゆっくりしていない言葉を。
丸一晩挨拶の不協和音を聞かされた結果、挨拶の言葉は全然ゆっくりできないものとし
て認識されていた。しかし、他者から挨拶の言葉を投げかけられれば、本能的に答えてし
まう。凄くゆっくりしていない言葉を。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっぐぢぢでぇいっでにぇ!?」
「ゆっぐぢぢでぇいっでにぇ!?」
男の言葉に、嫌々と身体を動かしながられいむとまりさが答える。
ゆっくりできない言葉を言われる恐怖、そしてゆっくりできない言葉を言いたくなくても言っ
てしまう恐怖。それは凄くゆっくりできないことだった。
満足げに男は二匹を見つめていた。
ゆっくりできない言葉を言われる恐怖、そしてゆっくりできない言葉を言いたくなくても言っ
てしまう恐怖。それは凄くゆっくりできないことだった。
満足げに男は二匹を見つめていた。
四日目の夜。
「そういえば、まりさ」
「な……なんなのぜ?」
「な……なんなのぜ?」
男の呟きに、まりさが小声で答えた。
「君、ここに来た日から全然うんうん出してないよね?」
脚を焼かれた際にしーしー穴もあにゃるも焼き潰れてしまっている。そのため、まりさは全
く排泄をしていなかった。その事を気にする余裕もないのだが。
れいむの排泄物は男が朝夕に片付けている。
く排泄をしていなかった。その事を気にする余裕もないのだが。
れいむの排泄物は男が朝夕に片付けている。
「な、なにするきなのぜ……」
男の手に握られた針のない注射器。いわゆる浣腸器だった。
男はまりさをうつ伏せに倒し、そのあにゃるに狙いを定める。焼き潰れているが、排泄機
能が失われているわけではない。浣腸器の先端をあにゃるに添え、
男はまりさをうつ伏せに倒し、そのあにゃるに狙いを定める。焼き潰れているが、排泄機
能が失われているわけではない。浣腸器の先端をあにゃるに添え、
「あっー!」
突き刺した。
そして、プランジャを引く。
そして、プランジャを引く。
「ほひょぉぉぉおぉぉ!」
奇妙な声を上げるまりさ。
体内に留まっていたうんうんが、浣腸器のシリンジ内部に吸い込まれる。黒っぽい紫色の
餡子。それは普通にうんうんとして出るよりも量が多い。
体内餡子があにゃるを通って無理矢理吸い出されていた。
浣腸器を持ったまま、男はまりさを起こす。
体内に留まっていたうんうんが、浣腸器のシリンジ内部に吸い込まれる。黒っぽい紫色の
餡子。それは普通にうんうんとして出るよりも量が多い。
体内餡子があにゃるを通って無理矢理吸い出されていた。
浣腸器を持ったまま、男はまりさを起こす。
「あらら。ちょっと出し過ぎちゃった。出した分はちゃんと戻さないとね」
壊れたあにゃるから餡子を漏らしながら、まりさは近付いて来る浣腸器を凝視していた。
シリンジに満たされた餡子。元は体内餡子でも、あにゃるを通ればそれは立派なうんうんで
ある。それが近付いてくる。
何をしようとしているのかは、明白だった。
シリンジに満たされた餡子。元は体内餡子でも、あにゃるを通ればそれは立派なうんうんで
ある。それが近付いてくる。
何をしようとしているのかは、明白だった。
「やめ、やべるんだ――」
浣腸器がまりさの口に差し込まれた。
男がプランジャを押す。
男がプランジャを押す。
「ゆぐぁ!?」
口の中に入り込んでくる強烈な異臭を伴ったうんうん。すぐさま吐き出そうと口に力を入れ
るが、男がまりさの口をクリップ四つで塞ぐ方が早かった。
浣腸器の中には普通に出したうんうん程度の餡子が残っている。
るが、男がまりさの口をクリップ四つで塞ぐ方が早かった。
浣腸器の中には普通に出したうんうん程度の餡子が残っている。
「むぅぅぅぅぅ……!」
口の中に広がるゆっくりできない味と臭いに、まりさは涙を流して身体を捻っていた。捻る
ことしかできなかった。吐き出すこともできない。呑み込むしか選択肢がない。だがそう簡
単に呑み込めない。
ことしかできなかった。吐き出すこともできない。呑み込むしか選択肢がない。だがそう簡
単に呑み込めない。
「れいむ」
「っ!」
「っ!」
れいむが身体を跳ねさせる。
今まで注意が向かないように目を閉じ、じっと固まっていた。自分が男を見なければ男も
自分を見えないと、根拠のない希望に縋って。もっともそれに意味は無かった。れいむはま
りさのすぐ隣に置かれているのだ。
今まで注意が向かないように目を閉じ、じっと固まっていた。自分が男を見なければ男も
自分を見えないと、根拠のない希望に縋って。もっともそれに意味は無かった。れいむはま
りさのすぐ隣に置かれているのだ。
「おちびちゃん、もうすぐ生まれそうだね」
男が茎から生えた実ゆっくりを摘む。黒い髪に赤いリボンの実れいむ。実ゆっくりは順調
に成長していた。明日には赤ゆっくりとなって生まれ落ちるだろう。
に成長していた。明日には赤ゆっくりとなって生まれ落ちるだろう。
「ゅ……」
男の指に圧迫され、実れいむが小さく呻き声を上げた。
「れいぶのがわいいおぢびぢゃんにざわるなああああっ!」
涙を流しながられいむが叫ぶ。おちびちゃんに対する愛情は本物だった。自分の身体か
ら生えた茎と実ったおちび。自分よりも大切な自分の一部である
ら生えた茎と実ったおちび。自分よりも大切な自分の一部である
ぷちゅ。
実れいむが潰れた。
「いやあああぁぁっ! おぢびぢゃあぁぁぁぁん!」
餡子の付いた指を眺め、男が吐息する。
「うん、いいねぇ。やっぱり実ゆっくりを潰した時の感触は素晴らしいよ。ほどよく弾力があっ
て、それでいて儚いくらいに脆い……。うん、素晴らしい」
「ああああっ」
て、それでいて儚いくらいに脆い……。うん、素晴らしい」
「ああああっ」
身体をねじりながら、れいむは叫んだ。大事なおちびちゃんを目の前で潰されたのだ。平
静でいられるわけがない。脚が動いたら男に体当たりをして噛み付いていただろう。
しかし、男は無情に続ける。
静でいられるわけがない。脚が動いたら男に体当たりをして噛み付いていただろう。
しかし、男は無情に続ける。
「ねえ、れいむ。もう少し実ゆ潰ししたいんだけど、どの子残す?」
「ぎめられるわげないでじょおおおおお!?」
「ぎめられるわげないでじょおおおおお!?」
これから男が実ゆっくりを潰す。今のれいむではそれを防ぐ事はできない。脚の機能を壊
され這う事すらできないのだ。しかし、残す実ゆっくりを選ぶことはできる。逆にそれは見捨
てる実ゆっくりを選ぶことでもあった。
男は実まりさを摘み、
され這う事すらできないのだ。しかし、残す実ゆっくりを選ぶことはできる。逆にそれは見捨
てる実ゆっくりを選ぶことでもあった。
男は実まりさを摘み、
「うん、じゃ、全部潰しちゃおうか」
「だべええぇぇっ!」
「じゃ、残す子選んで。そうだね、二匹残してくればいいよ。れいむが選んだおちびちゃんに
は何もしないから、約束するよ」
「だべええぇぇっ!」
「じゃ、残す子選んで。そうだね、二匹残してくればいいよ。れいむが選んだおちびちゃんに
は何もしないから、約束するよ」
男が実まりさから手を放した。
「ゆぅぅぅぅ!」
無力に泣きながられいむは餡子脳をフル回転させる。残った七匹の実ゆっくり、その中か
ら残すおちびと見捨てるおちびを選ばないといけない。選べるわけがない。それでも選ばな
いといけない。
ら残すおちびと見捨てるおちびを選ばないといけない。選べるわけがない。それでも選ばな
いといけない。
「ぅ……ゅ……」
口を閉じられたまりさが、泣きながられいむを見ている。
数分の長考から、れいむは答えを出した。
数分の長考から、れいむは答えを出した。
「このれいむとまりさをのごじでぐだざい!」
右の茎の一番目の実れいむと、左の茎の三番目の実まりさ。他の実ゆっくりもそこはかと
なく賢そうな雰囲気を漂わせている。苦渋の決断だった。
男は両手でそっとその二匹を摘み、
なく賢そうな雰囲気を漂わせている。苦渋の決断だった。
男は両手でそっとその二匹を摘み、
「この子だね。うん、君見る目あるよ。この子はきっと賢く育つね」
ぷちゅ、ぷちゅっ!
迷わず潰した。
れいむが目を剥いて絶叫する。
れいむが目を剥いて絶叫する。
「ゆがああああ! ああああっ! どぼじでっ、どぼじでえええええ! なにもじないっでやぐ
ぞぐじだでじょおおおおお! どぼじでええええっ! なんでえええ!」
「うん、約束したね。でも破ったよ」
ぞぐじだでじょおおおおお! どぼじでええええっ! なんでえええ!」
「うん、約束したね。でも破ったよ」
餡子の涙でも流しそうな勢いのれいむに、男は涼しげに答えた。約束はした。しかし自分
はその約束を破った、と。言い訳も無く、悪びれる気配すらなく。
はその約束を破った、と。言い訳も無く、悪びれる気配すらなく。
「ゆぎいいぃぃ! ごのうぞづぎいぃぃ! うぞづぎいぃぃッ! なにもじないっで……いっだ
のに! じねえええ! ゆっぐりじないでじねえええ! このげずぅぅぅッ! ゆああああッ!
じねええぇぇぇっ! うぞづぎいいいぃッ!」
のに! じねえええ! ゆっぐりじないでじねえええ! このげずぅぅぅッ! ゆああああッ!
じねええぇぇぇっ! うぞづぎいいいぃッ!」
れいむの言葉を、男はあっさりと肯定した。
「そうだね、僕は嘘吐きだしゲスだよ。れいむの言う通りだ。それに、あと百年も経てば僕も
死んでるから、れいむは心配しなくていいよ。もしかしたら病気とか事故で明日死んじゃうか
もしれないけどね」
死んでるから、れいむは心配しなくていいよ。もしかしたら病気とか事故で明日死んじゃうか
もしれないけどね」
嘘吐きのゲスの糞人間。それを肯定し受け入れ、何とも思っていない。相手がゆっくりだ
から馬鹿にしているわけではない。男は自分の行動を悪い事と認めた上で、その行動を完
全に肯定しているのだ。
から馬鹿にしているわけではない。男は自分の行動を悪い事と認めた上で、その行動を完
全に肯定しているのだ。
ぷちゅ。
「おぢびぢゃぁぁぁん!」
実ゆっくりを潰されれいむが慟哭する。
それを凝視し、涙を流しながらまりさも震えていた。
それを凝視し、涙を流しながらまりさも震えていた。
れいむの茎に残ったのは、実れいむ二匹に実まりさ一匹だった。最初に言った二匹よりも
多いが、それをれいむたちが喜ぶことはなかった。
まりさは口に入れられたうんうんを飲み込み、クリップも外されている。
多いが、それをれいむたちが喜ぶことはなかった。
まりさは口に入れられたうんうんを飲み込み、クリップも外されている。
「あ。そうだ。きみたち、まだ『お食べなさい』してないよね」
ふと男が呟いた。
「ゆっ」
二匹の顔に淡い光が浮かぶ。
おたべなさい。その場で真っ二つになって、相手に自分を食べさせる行為。飢えた家族や
仲間を救う最終手段か、もしくは自殺手段として。誰かを助けるためか自分を助けるためか、
どちらにしろ切り札のようなものだ。
ここでおたべなさいをすれば、楽に死ねる。二匹はそう考えた。
おたべなさい。その場で真っ二つになって、相手に自分を食べさせる行為。飢えた家族や
仲間を救う最終手段か、もしくは自殺手段として。誰かを助けるためか自分を助けるためか、
どちらにしろ切り札のようなものだ。
ここでおたべなさいをすれば、楽に死ねる。二匹はそう考えた。
「できないように細工してあるけど、やってみる?」
あっさりと言う。
れいむとまりさの頭には小さな機械が取り付けてあった。制御装置と言われる機械。微電
流による痛みで、ゆっくりの動きを制限する機械である。元々は農作業用ゆっくりのお野菜
盗み食い対策として作られたらしい。
二匹には寝ている間に制御装置を取り付けておいた。おたべなさいをした瞬間、激痛が
走りそれを防ぐようになっている。
れいむとまりさの頭には小さな機械が取り付けてあった。制御装置と言われる機械。微電
流による痛みで、ゆっくりの動きを制限する機械である。元々は農作業用ゆっくりのお野菜
盗み食い対策として作られたらしい。
二匹には寝ている間に制御装置を取り付けておいた。おたべなさいをした瞬間、激痛が
走りそれを防ぐようになっている。
「なんで………」
「ゆぁぁ……」
「ゆぁぁ……」
自殺すらできないことを知り、二匹は何十度目か分からない涙を流した。
五日目の昼頃。
「れいみゅはゆっきゅりうまりぇりゅよー」
ふわふわのタオルの上に落ちた赤れいむ。
その横には先に生まれた赤れいむと赤まりさがいた。
くるりと親れいむの方へと向き直り、きりっと眉を傾け挨拶をする。
その横には先に生まれた赤れいむと赤まりさがいた。
くるりと親れいむの方へと向き直り、きりっと眉を傾け挨拶をする。
「おとーしゃん、おかーしゃん、ゆっくちちぇいっちぇね!」
「ゆ、ゆっぐりじでいっでね!」
「ゆ、ゆっぐりじでいっでね!」
引きつった笑顔で、れいむとまりさが挨拶を返した。先日の挨拶連続再生のせいでゆっく
りの挨拶は、トラウマとして心に刻まれている。それでも生まれた赤ゆっくりに応えるため、
必死にゆっくりした顔を見せていた。
りの挨拶は、トラウマとして心に刻まれている。それでも生まれた赤ゆっくりに応えるため、
必死にゆっくりした顔を見せていた。
「ゅぅ?」
しかし、赤ゆっくりには、凄くゆっくりしていない顔をした両親としか見えていない。赤れい
むだけでなく、先に生まれた赤れいむと赤まりさも同様だった。
男が声をかける。今日は仕事はお休みだった。
むだけでなく、先に生まれた赤れいむと赤まりさも同様だった。
男が声をかける。今日は仕事はお休みだった。
「君たちのおとーさん、おかーさんは、おちびちゃん生むのに疲れてるんだよ。君たちを生む
ために頑張ったんだから、そういう顔しちゃ駄目だよ」
「ゆぅ?」
ために頑張ったんだから、そういう顔しちゃ駄目だよ」
「ゆぅ?」
男を見上げる赤ゆっくりたち。ぱっと明るい表情になる。
男はとってもゆっくりしていた。ゆっくりは他者のゆっくり度を本能的に見ることができる。
赤ゆっくりたちは、男のゆっくりさを本能で察知した。
男がタオルの上に落ちた茎を指差す。
男はとってもゆっくりしていた。ゆっくりは他者のゆっくり度を本能的に見ることができる。
赤ゆっくりたちは、男のゆっくりさを本能で察知した。
男がタオルの上に落ちた茎を指差す。
「それより、茎さん食べてね。これ食べないと、身体が弱くなっちゃうからね。それにとっても
美味しいよ」
「わかっちゃよ」
美味しいよ」
「わかっちゃよ」
言われた通りに茎を食べ出す赤ゆっくりたち。
「むーしゃむーしゃ、しあわちぇー」
「おいしのじぇー」
「おいしのじぇー」
幸せそうに茎を食べている三匹の赤ゆっくり。
実ゆっくりが実っている茎。赤ゆっくりにとって最初の栄養補給源である。これを食べない
と身体が弱くなってしまうのだ。逆にこの茎は人間が食べても美味しい。加工所では簡易
栄養剤として茎を売っている。
実ゆっくりが実っている茎。赤ゆっくりにとって最初の栄養補給源である。これを食べない
と身体が弱くなってしまうのだ。逆にこの茎は人間が食べても美味しい。加工所では簡易
栄養剤として茎を売っている。
「うんうん、しゅっきりー」
「よく出たねー」
「よく出たねー」
ティッシュの上にうんうんを出した赤れいむ。
「ゆひゅん」
男はそのお尻をガーゼで丁寧に拭いている。お尻を撫でる柔らかな感触に、幸せそうな
笑顔を見せる赤れいむ。
笑顔を見せる赤れいむ。
「君たちもちゃんと身体拭かないとね。汚いはゆっくりできないよ。うん」
れいむとまりさをウエットティッシュできれいに拭いている男。ぞんざいな掃除ではなく、き
れいに汚れを取るように。丁寧な動きだった。
れいに汚れを取るように。丁寧な動きだった。
「にんげん、なにをたくらんでるのぜ……?」
「何ってただ可愛がってるだけだよ。変なことを訊くね、君も」
「何ってただ可愛がってるだけだよ。変なことを訊くね、君も」
まりさの問いに、男は笑って応えた。
「ご飯だよー」
男が赤ゆっくりたちの前に、皿を置く。
盛られているのは小さな平たい円筒形のゆっくりフードだった。粉砂糖やチョコチップなど
が混ぜてあり、ケーキのようでもある。
盛られているのは小さな平たい円筒形のゆっくりフードだった。粉砂糖やチョコチップなど
が混ぜてあり、ケーキのようでもある。
「ゆっくりフード、へぶんじょうたいっ味。さ、食べてみて。美味しいよー」
めちゃうま味のさらに一ランク上のフード。一般店では販売していないもので、基本取り寄
せである。名前通り、食べればヘブン状態になれるほど美味しい。無論、虐待用であり、赤
ゆっくりに食べさせたら、味覚がぶっ壊れる。
せである。名前通り、食べればヘブン状態になれるほど美味しい。無論、虐待用であり、赤
ゆっくりに食べさせたら、味覚がぶっ壊れる。
「がーちゅがーちゅっ! うっみぇ、めっちゃうっみぇ」
「むーちゃむーちゃ、へびゅんじょうちゃいっ!」
「むーちゃむーちゃ、へびゅんじょうちゃいっ!」
出されたフードを貪る赤ゆっくりたち。
「…………」
「………」
「………」
何も言えぬままれいむとまりさは自分のおちびちゃんたちを見つめていた。
「どうすればいいんだぜ……」
男が危険な人間であるという認識はある。しかし何をしていいのか分からないのだ。ここ
で男が危険だと叫んでも、おちびたちはどうすることもできない。それにおちびはゆっくりで
きない両親よりもゆっくりできる男に懐いている。
で男が危険だと叫んでも、おちびたちはどうすることもできない。それにおちびはゆっくりで
きない両親よりもゆっくりできる男に懐いている。
「おちびちゃん、れいむのかわいいおちびちゃん……」
そして、もしかしたらこの男がおちびたちを大事にしてくれるのではないかという淡い希望
もあった。この男は思考が壊れた愛護人間で、虐待人間ではないのだから。
もあった。この男は思考が壊れた愛護人間で、虐待人間ではないのだから。
「ふーわふーわなのじぇー」
「こーろこーろしゅりゅよー」
「ゆ~ん♪」
「こーろこーろしゅりゅよー」
「ゆ~ん♪」
ふわふわのゆっくり用毛布の上で、赤ゆっくりたちがこ楽しそう遊んでいる。
そうしてほどなく眠りについた。
そうしてほどなく眠りについた。
六日目の朝。
「おい、にんげん! まりちゃちゃまにあしゃごはんをもってきゅるんだじぇ!」
「いうこときかにゃいと、せいっさいするよっ!」
「いうこときかにゃいと、せいっさいするよっ!」
赤まりさと赤れいむが男に声を上げる。
昨日一日男がかいがいしく世話をした結果だった。両親はすぐそこにいるので、この男は
親ではない。さらに、丁寧に自分たちの世話をしているため、召使いか下僕のようなものと
認識してしまっていた。
昨日一日男がかいがいしく世話をした結果だった。両親はすぐそこにいるので、この男は
親ではない。さらに、丁寧に自分たちの世話をしているため、召使いか下僕のようなものと
認識してしまっていた。
「ちょっとまってね」
それなのに、男は怒る様子もない。
「ゆっくちちないでにぇ!」
「しゃっしゃともっちぇくるのじぇ!」
「しゃっしゃともっちぇくるのじぇ!」
赤れいむと赤まりさの前に、置かれる皿とゆっくりフードへぶんじょうたい味。
「がーちゅがーちゅっ!」
「むーちゃむーちゃ」
「むーちゃむーちゃ」
貪るようにフードを食べる二匹。
そして――赤れいむの一匹は布団の上で静かに眠っていた。
そして――赤れいむの一匹は布団の上で静かに眠っていた。
赤れいむと赤まりさがフードを食べ終わった頃。
「おっ。あったあった」
男は庭に出ていた。
地面に掘られた縦長の穴から、泥まみれの瓶を取り出す。穴の横に突き刺された、小型
の穴掘り用スコップ。穴の近くに、古いレンガが置いてあった。
汚れた瓶を、男は窓のすぐ横に置く。
地面に掘られた縦長の穴から、泥まみれの瓶を取り出す。穴の横に突き刺された、小型
の穴掘り用スコップ。穴の近くに、古いレンガが置いてあった。
汚れた瓶を、男は窓のすぐ横に置く。
「なにしちぇるのじぇ?」
好奇心の強い赤まりさが近寄ってきた。
「ねえ、まりちゃ。これ何だと思う?」
男が訊く。
赤い蓋の小さなガラス瓶。大きさは赤ゆっくりが一匹入れるくらいだろう。中には黒い泥の
ようなものが入っていた。
赤い蓋の小さなガラス瓶。大きさは赤ゆっくりが一匹入れるくらいだろう。中には黒い泥の
ようなものが入っていた。
「ごみなのじぇ。そんなゆっくりできないゴミはしゃっしゃとすてるのじぇ」
嫌そうな顔を見せるまりさに、男が微笑みかける。
「これね。ありちゅなんだ」
「ゆ?」
「ゆ?」
その場の空気が固まった。
ポケットから取り出した新しい空き瓶を、赤まりさの前に置く。それから、泥のようなもの
の入った空き瓶を示した。明らかに泥だが、ありちゅと言った。
ポケットから取り出した新しい空き瓶を、赤まりさの前に置く。それから、泥のようなもの
の入った空き瓶を示した。明らかに泥だが、ありちゅと言った。
「半年くらい前に、家に入り込んでお家宣言したありすのおちびちゃんだよ。ちょっと可愛
がってあげたら、こうなっちゃったんだ。まりちゃもこれからこうなるんだよ?」
「な、なにいってるのじぇ?」
がってあげたら、こうなっちゃったんだ。まりちゃもこれからこうなるんだよ?」
「な、なにいってるのじぇ?」
冷や汗を流す赤まりさ。
自分たちの召使い、もしくは忠実な下僕である人間。自分たちに逆らうことはないし、まし
てや危害を加えることはできない。そんな思い込みを貫く奇妙な説得力が、男の言葉には
あった。言った事は実行する。そう思わせる凄みが。
新しい空き瓶を揺らしながら、男が説明する。
自分たちの召使い、もしくは忠実な下僕である人間。自分たちに逆らうことはないし、まし
てや危害を加えることはできない。そんな思い込みを貫く奇妙な説得力が、男の言葉には
あった。言った事は実行する。そう思わせる凄みが。
新しい空き瓶を揺らしながら、男が説明する。
「この空き瓶さんにまりちゃを詰めて蓋をして、深ぁい穴に埋めちゃうんだ。それからどうなる
んだろうね? 暗いし狭いし何も聞こえないし、独りぼっちだし、どんなに叫んでも誰も助け
てくれないし、ご飯も食べられないし、でもうんうんは出るからそれを食べれば少しは長く生
きられるよ」
んだろうね? 暗いし狭いし何も聞こえないし、独りぼっちだし、どんなに叫んでも誰も助け
てくれないし、ご飯も食べられないし、でもうんうんは出るからそれを食べれば少しは長く生
きられるよ」
男が瓶の蓋を開けた。赤ありすだったものが入っている古い瓶を示し、
「でも、どんなに頑張っても最後はこうなっちゃうんだ」
「………」
「………」
顔を真っ青にして震える赤まりさ。
「やめ、やめるんだぜ……! おちびっ、ゆっくりじないでにげるんだぜ!」
「れいぶの、れいぶのがわいいおぢびぢゃん――! にげてええっ!」
「ゆっ、わかちゃよまりちゃはにげるのじぇ!」
「れいぶの、れいぶのがわいいおぢびぢゃん――! にげてええっ!」
「ゆっ、わかちゃよまりちゃはにげるのじぇ!」
両親の声に、赤まりさが我に返る。
「おしょりゃをとんぢぇるみちゃい」
その時には既に男に摘み上げられていた。
小さな透明な円い筒。そこに赤まりさが収められる。
小さな透明な円い筒。そこに赤まりさが収められる。
「ゆっ!?」
赤まりさが真上を見上げた時には、男がしっかりと蓋を閉めていた。堅いガラスと丈夫なプ
ラスチックの蓋。赤ゆっくりの力ではどう足掻いて壊せない。
赤まりさが入った小瓶を持ち、男が庭に移動する。
ラスチックの蓋。赤ゆっくりの力ではどう足掻いて壊せない。
赤まりさが入った小瓶を持ち、男が庭に移動する。
「ゆんやぁあぁぁぁ! やめるのじぇ、やめるんだじぇぇぇ! このくしょにんげんっ! いましゅ
ぐやめないと、せいっさいするのじぇ! まりちゃのすーぱーうるちょりゃあちゃーっくはすっご
くいちゃいの――ゆひっ!?」
ぐやめないと、せいっさいするのじぇ! まりちゃのすーぱーうるちょりゃあちゃーっくはすっご
くいちゃいの――ゆひっ!?」
自分の真下にある黒い穴を目の当たりにし、赤まりさはしーしーを漏らした。
およそ五十センチほどの垂直に掘られた穴。影のため、底は見えない。身長三センチくら
いの赤まりさにとって、その穴は底の無い奈落に映った。
およそ五十センチほどの垂直に掘られた穴。影のため、底は見えない。身長三センチくら
いの赤まりさにとって、その穴は底の無い奈落に映った。
「おとーしゃ、おかーしゃ! いもーちょをたしゅけちぇぇぇぇ!」
赤まりさが部屋のれいむとまりさに助けを求めるが、れいむとまりさは動けない。我が子が
生き埋めにされる様子を、泣きながら眺めることしかできないのだ。
生き埋めにされる様子を、泣きながら眺めることしかできないのだ。
「にんげんさみゃっ! ごべんにゃしゃい、ごべん――」
プライドを捨て、必死に謝る赤まりさ。
男は小瓶を穴の底に置き、土を落とした。赤まりさの声が聞こえなくなる。
残った土を穴に落とし、何度か踏みつけて固めてから、横にどけてあったレンガを上に置
く。それが目印だった。ここに赤まりさを埋めたという目印。
男は小瓶を穴の底に置き、土を落とした。赤まりさの声が聞こえなくなる。
残った土を穴に落とし、何度か踏みつけて固めてから、横にどけてあったレンガを上に置
く。それが目印だった。ここに赤まりさを埋めたという目印。
「それじゃ、次行こうか」
そう言って、男は赤れいむを目で示した。
「ゆ、ゅ?」
あまりのことに思考停止に陥っていた赤れいむ。
どうすることもできず、ただ泣いているれいむとまりさ。
どうすることもできず、ただ泣いているれいむとまりさ。
「よいしょっと」
その三匹の前に、男は小さな水槽を置いた。白い布の掛けられた水槽である。普段は隣
の部屋の隅に置いてあるのだが、用があるためこちらに持ってきた。
布を取る。
中には綿のようなものが中程まで詰まっていた。色は白と緑と赤。鮮やかなようで毒々し
い色合いである。
の部屋の隅に置いてあるのだが、用があるためこちらに持ってきた。
布を取る。
中には綿のようなものが中程まで詰まっていた。色は白と緑と赤。鮮やかなようで毒々し
い色合いである。
「な、なんなんだぜ……!?」
「これはユウカビってカビだよ。カビというより、キノコに近いかな? ゆっくりの身体を苗床
にして豆ゆうかが育てるんだ」
「!」
「これはユウカビってカビだよ。カビというより、キノコに近いかな? ゆっくりの身体を苗床
にして豆ゆうかが育てるんだ」
「!」
カビ。ゆっくりにとって危険な病気である。体力のある成体ならそこそこ感染率も低く、薬
になる草を食べたり栄養あるものを食べたりすれば、治ることもある。しかし、弱い赤ゆっく
りにとってはほぼ致死病だ。
になる草を食べたり栄養あるものを食べたりすれば、治ることもある。しかし、弱い赤ゆっく
りにとってはほぼ致死病だ。
「おしょりゃをとんぢぇるみちゃい!」
男は赤れいむを摘み上げ、水槽の真ん中に置いた。
「ゆぅぅぅぅ!?」
「れいみゅ。先に言っておくけど、絶対に動いちゃダメだよ。動いたらそれでおしまいだから
ね。じっとしてないとダメだよ」
「れいみゅ。先に言っておくけど、絶対に動いちゃダメだよ。動いたらそれでおしまいだから
ね。じっとしてないとダメだよ」
男がそう忠告する。
それから水槽に声をかけた。
それから水槽に声をかけた。
「みんなー、苗床さんだぞー」
「ユー」
「ナエドコサンヨー」
「ナエドコサンニャー」
「オー アタラシィ ナエドコサンダベ」
「ユー」
「ナエドコサンヨー」
「ナエドコサンニャー」
「オー アタラシィ ナエドコサンダベ」
カビの中からもこもこと這い出てくる豆ゆうか。豆ゆうかにゃんや、豆のうかりんも混じって
いた。総数は五十匹くらい。何もない時はカビの中に潜ってゆっくりしている。苗床が入った
時は、こうして出てくるのだ。
もよもよと赤れいむに近いてくる豆ゆうかたち。
いた。総数は五十匹くらい。何もない時はカビの中に潜ってゆっくりしている。苗床が入った
時は、こうして出てくるのだ。
もよもよと赤れいむに近いてくる豆ゆうかたち。
「ゆぃぃぃっ! ぢにぇぇぇぇ!」
プチ、プチッ。
近寄ってきた豆ゆうかを、れいむは踏み潰した。恐怖に駆られての必死の攻撃。小さな赤
ゆっくりでも、さらに小さな豆ゆっくりを潰すのは簡単である。
ゆっくりでも、さらに小さな豆ゆっくりを潰すのは簡単である。
「ユー !」
「ユワー !?」
「ユワー !?」
豆ゆうかたちが逃げるようにカビの中に潜り込んでいく。
豆ゆうかが消えた事を確認し、赤れいむはきりっと眉を傾けた。
豆ゆうかが消えた事を確認し、赤れいむはきりっと眉を傾けた。
「ゆひゅん。れみみゅはむちぇきなんぢゃよ、おもいしっちゃ!?」
「あーあ。動いちゃダメって言ったのに」
「あーあ。動いちゃダメって言ったのに」
哀れむような声に、赤れいむは男を見上げた。
水槽の表面からカビを少し摘み、男が説明する。
水槽の表面からカビを少し摘み、男が説明する。
「このユウカビは普通はゆっくりには絶対に生えないんだ。かなり弱いカビだからね。でも、
ユウカビを育ててる豆ゆうかの体液が身体にくっつくと、そこからカビが生えてくるんだよ。
だから動いちゃダメって言ったのに」
ユウカビを育ててる豆ゆうかの体液が身体にくっつくと、そこからカビが生えてくるんだよ。
だから動いちゃダメって言ったのに」
ユウカビは豆ゆうかと共生するカビだ。単独での御繁殖力や成長能力は非常に弱い。
弱った子ゆっくりにユウカビをべったりと塗りつけても、まず移ることはないくらいに。生きて
いないゆっくりの組織には割とあっさり移るのだが。
そして、例外がある。ユウカビを育てている豆ゆうかの中身が生きたゆっくりに身体に付
着すると、そこからユウカビが繁殖し始める。生きているゆっくりはユウカビを育てる豆ゆう
かを潰してはいけないのだ。
弱った子ゆっくりにユウカビをべったりと塗りつけても、まず移ることはないくらいに。生きて
いないゆっくりの組織には割とあっさり移るのだが。
そして、例外がある。ユウカビを育てている豆ゆうかの中身が生きたゆっくりに身体に付
着すると、そこからユウカビが繁殖し始める。生きているゆっくりはユウカビを育てる豆ゆう
かを潰してはいけないのだ。
「どういう……こちょ……?」
わけがわからず、赤れいむが訊く。
男の言っている事は理解できないが、動くなという言葉を破ったことはぼんやりと理解し
た。それが凄くゆっくりできないことにつながることも。
男の言っている事は理解できないが、動くなという言葉を破ったことはぼんやりと理解し
た。それが凄くゆっくりできないことにつながることも。
「つまり、言いつけを破ったれいみゅは、これから物凄くゆっくりできなくなります。ゆっくり理
解して――て、んーできるかな? あ、でも大丈夫。理解しなくてもすぐに分かるから、心配
しないでいいよ」
「ゆやぁぁぁぁぁっ!」
解して――て、んーできるかな? あ、でも大丈夫。理解しなくてもすぐに分かるから、心配
しないでいいよ」
「ゆやぁぁぁぁぁっ!」
恐慌状態になる赤れいむを満足げに眺め、男は水槽に布をかけた。
時間は午前九時くらい。
「ゆぅ……すぅ……」
布団の上で赤れいむが眠り続けている。朝食の間も眠っていた。赤まりさが埋められる
時も寝ていた。赤れいむがカビの水槽に入れられた時も眠っていた。
今更ながら、れいむとまりさはその異常さに気付いた・
時も寝ていた。赤れいむがカビの水槽に入れられた時も眠っていた。
今更ながら、れいむとまりさはその異常さに気付いた・
「おちび、どうしたのぜ……?」
「どうしたの、おちびちゃん? おきてよ……」
「どうしたの、おちびちゃん? おきてよ……」
れいむとまりさが声を掛けるが、赤れいむは起きない。
普通のゆっくりなら、起きている時間である。しかし、最後の赤れいむはいまだに布団の
上で眠っていた。微かに身体が上下しているので、生きているのはわかる。
普通のゆっくりなら、起きている時間である。しかし、最後の赤れいむはいまだに布団の
上で眠っていた。微かに身体が上下しているので、生きているのはわかる。
「起きないよ。寝てる間に長期冬眠用ラムネ食べさせたからね」
男の呟きに、れいむとまりさが視線を向ける。
長期冬眠用ラムネ。寒冷地の地域ゆっくりなどが冬眠する時に使う冬眠用ラムネの強力
版だ。一般には出回っていない実験用のものである。一度食べれば、半年から一年ほど
完全に睡り続ける。一度冬眠状態になれば、ラムネが切れるか覚醒薬を注射するか、どち
らかまで起きることはない。
長期冬眠用ラムネ。寒冷地の地域ゆっくりなどが冬眠する時に使う冬眠用ラムネの強力
版だ。一般には出回っていない実験用のものである。一度食べれば、半年から一年ほど
完全に睡り続ける。一度冬眠状態になれば、ラムネが切れるか覚醒薬を注射するか、どち
らかまで起きることはない。
「にんげん、このおちびの……なにするき……なのぜ……?」
「何もしないよ。この子はずーっと眠ってるだけだよ。痛くもないし、苦しくもないよ。あかちゃ
んから、おとなになって、それからおばーちゃんになるまで、ずーっと眠ってるんだ。それか
ら永遠にゆっくりするちょっと前に起こしてあげるんだ」
「何もしないよ。この子はずーっと眠ってるだけだよ。痛くもないし、苦しくもないよ。あかちゃ
んから、おとなになって、それからおばーちゃんになるまで、ずーっと眠ってるんだ。それか
ら永遠にゆっくりするちょっと前に起こしてあげるんだ」
楽しそうに説明する男に、れいむとまりさは言葉を失った。
赤れいむの頭を指でなでながら、男が幸せそうに頬を緩めている。
赤れいむの頭を指でなでながら、男が幸せそうに頬を緩めている。
「そしたらどんな顔するかな? 生まれたばかりのあかちゃんだったのに、目が覚めたら寿
命を迎える直前のおばあちゃんになってたら」
「ぁぁぁ……!」
命を迎える直前のおばあちゃんになってたら」
「ぁぁぁ……!」
絶望的なおちびの未来に、二匹は力無く呻くことしかできなかった。
「そろそろうちの二匹も退院する頃だし、君たちもどうにかしないとね」
時計を眺め、男がれいむとまりさを見る。
「ころすのぜ」
「もう、いきててもいみないよ……」
「もう、いきててもいみないよ……」
二匹はそう言った。
脚は動かずゆっくりも奪われた。大事なおちびは助けて貰えるかもしれないという希望は
無惨に打ち砕かれた。三匹のおちびは絶望と苦悶の末に死ぬだろう。それを助けることも
できない。
もはや生きる希望は何もない。
脚は動かずゆっくりも奪われた。大事なおちびは助けて貰えるかもしれないという希望は
無惨に打ち砕かれた。三匹のおちびは絶望と苦悶の末に死ぬだろう。それを助けることも
できない。
もはや生きる希望は何もない。
「殺さないよ。何言ってるの?」
だが、男は不思議そうに言った。
その手に握られたハサミと剃刀。
その手に握られたハサミと剃刀。
「まずれいむだね」
男はハサミでリボンを切り裂いた。
「れいぶのおりぼんざんがあああああっ!」
生きる事を半ば諦めたれいむだが、お飾りを壊されることは普通に苦痛だった。
このリボンは元は男の飼いれいむのものだが、既にこのれいむに馴染んでしまっている
ため、元の飼いれいむには使えない。このれいむが付けていたリボンは、本人の手によっ
て壊されているため、そちらも使えない。
なので、飼いれいむには代わりに新しい生お飾りを与える予定だ。ちなみに飼いれいむ
のリボンはこれで五代目である。
このリボンは元は男の飼いれいむのものだが、既にこのれいむに馴染んでしまっている
ため、元の飼いれいむには使えない。このれいむが付けていたリボンは、本人の手によっ
て壊されているため、そちらも使えない。
なので、飼いれいむには代わりに新しい生お飾りを与える予定だ。ちなみに飼いれいむ
のリボンはこれで五代目である。
「さくさくいこうね」
続けて髪を切り、残った根元も剃刀できれいに剃り落としていく。
「きゅーてぃくるつやつやのくろしんじゅのようなかみのげざんがああああっ! ぴこぴこかわ
いいぷりてぃなもみあげさんがああああ!」
いいぷりてぃなもみあげさんがああああ!」
あっという間に禿饅頭となったれいむ。
「これから、何をするかあらかじめ説明しておこう」
男はスプーンのような器具を取り出した。
「まずこれで目と口としーしー穴とあにゃる全部えぐり取って、そこに餡子詰めて補修用の皮
貼って無地の肌色饅頭にする予定だよ。形は違うけど、あんな感じに」
貼って無地の肌色饅頭にする予定だよ。形は違うけど、あんな感じに」
指を向けた先。
小さな本棚の上に置かれた置物。そのひとつ。およそ二十センチ四方の肌色の立方体だっ
た。普通に見ればただの箱に見えるだろう。今までそういうものがあった事は知っていたが、
それが何かは考えたことすらなかった。
小さな本棚の上に置かれた置物。そのひとつ。およそ二十センチ四方の肌色の立方体だっ
た。普通に見ればただの箱に見えるだろう。今までそういうものがあった事は知っていたが、
それが何かは考えたことすらなかった。
「!?」
れいむは理解した。あれは、ゆっくりだ、と。
「あれ、ありすなんだ。瓶詰めありちゅのおかーさん」
半年前に男の家に侵入しお家宣言をしたありす。その成れの果てだった。身体の全器官
を奪われ、中枢クリームと素の体内クリームだけとなった姿。それでも時々オレンジジュー
スの注射をしているので生きている。
楽に死ねる選択肢すら消えた。
その事実にれいむはただ呆然とする。
を奪われ、中枢クリームと素の体内クリームだけとなった姿。それでも時々オレンジジュー
スの注射をしているので生きている。
楽に死ねる選択肢すら消えた。
その事実にれいむはただ呆然とする。
「手術はちゃんと麻酔するから痛くないよ」
「や、やべ……」
「や、やべ……」
眉間に刺さった注射器。中身のラムネを注入され、意識を失った。
「…………」
完全な無地饅頭と化したれいむ。
目や口、しーしー穴からあにゃる。さらに胃まで取り出され、代わりの餡子を詰められ皮を
貼られ、覚醒薬によって目を覚まさせられた。皮の表面には硬化剤も塗ってあるため身体
を震わせることすらできない。
触覚と聴覚だけとなり、動く事すら奪われた姿。
その姿になって何を考えているか、誰も知ることもできない。
目や口、しーしー穴からあにゃる。さらに胃まで取り出され、代わりの餡子を詰められ皮を
貼られ、覚醒薬によって目を覚まさせられた。皮の表面には硬化剤も塗ってあるため身体
を震わせることすらできない。
触覚と聴覚だけとなり、動く事すら奪われた姿。
その姿になって何を考えているか、誰も知ることもできない。
「れいぶ……」
はらはらと涙を流し、まりさがれいむを見つめる。
「次はまりさの番だね」
「いっ!?」
「いっ!?」
ラムネを注射され、まりさは意識を失った。
「どう、まりさ。いい笑顔でしょ?」
男が訊く。
まりさの前に置かれた鏡。
そこに映ったまりさは満面の笑みを浮かべていた。手術によって顔の皮や餡子を組み替
えられ、まりさは笑顔に整形されていた。感情に合わせて表情を変えることは二度とできな
い。こちらも硬化剤を全身に塗られて動けなくなっている。
まりさの前に置かれた鏡。
そこに映ったまりさは満面の笑みを浮かべていた。手術によって顔の皮や餡子を組み替
えられ、まりさは笑顔に整形されていた。感情に合わせて表情を変えることは二度とできな
い。こちらも硬化剤を全身に塗られて動けなくなっている。
「ゅ……ゅ……」
喉の奥から、ほんの微かな声が漏れる。耳を澄まさないと聞こえないような小さな声。涙
は流れない。涙腺部分も取り除かれているため、涙を流す機能も失っていた。
男の手に握られたまりさの帽子。こちらもれいむ同様、飼いまりさのものだが、このまりさ
に馴染んでしまったため、交換である。
は流れない。涙腺部分も取り除かれているため、涙を流す機能も失っていた。
男の手に握られたまりさの帽子。こちらもれいむ同様、飼いまりさのものだが、このまりさ
に馴染んでしまったため、交換である。
「そして仕上げにこのお帽子にしゅっと一吹き」
帽子の内側に、スプレーを一吹き。
帽子をまりさの頭に乗せる。
帽子をまりさの頭に乗せる。
「!」
まりさの身体が一瞬跳ねた――気がした。
男が吹き付けたのは、忌避剤だった。ゆっくりの屍臭を抽出したものである。ほんの少量
だが、帽子の内側から漂う屍臭はまりさの体力と精神力を常に削り続ける。
量が少ないので、屍臭が外に漏れることはない。加えて、男が飼っているれいむとまりさ
は、屍臭という概念も持っていなかった。普通のゆっくりが気絶するほどの屍臭を嗅いでも
甘い匂いがする程度にしか感じないだろう。
男が吹き付けたのは、忌避剤だった。ゆっくりの屍臭を抽出したものである。ほんの少量
だが、帽子の内側から漂う屍臭はまりさの体力と精神力を常に削り続ける。
量が少ないので、屍臭が外に漏れることはない。加えて、男が飼っているれいむとまりさ
は、屍臭という概念も持っていなかった。普通のゆっくりが気絶するほどの屍臭を嗅いでも
甘い匂いがする程度にしか感じないだろう。
「完成」
直方体ありすの横に置かれた、無地饅頭れいむと、笑顔まりさ。
「ゆっくりしていってね!」
「――!」
「――!」
男の明るい声に、みっつのゆっくりが微かに震えた――気がした。
「今日も良い天気だねー」
窓辺に座り、男はれいむを膝に乗せて日向ぼっこをしていた。
「ぽーかぽーかはゆっくりできるよ」
男の膝の上に座り、優しく頭を撫でられ、れいむはとってもゆっくりしていた。
その頭に付けられた新しいリボンには四葉のクローバーのバッジが付けられていた。男
が作った手製の飼いゆっくりバッジである。
隣の座布団に座ったまりさが、男を見上げる。こちらもれいむ同様新しい帽子をかぶって
いた。帽子には四葉のクローバーバッジ。
その頭に付けられた新しいリボンには四葉のクローバーのバッジが付けられていた。男
が作った手製の飼いゆっくりバッジである。
隣の座布団に座ったまりさが、男を見上げる。こちらもれいむ同様新しい帽子をかぶって
いた。帽子には四葉のクローバーバッジ。
「でも、ちょっとさむくなってきたから、まどさんはしめたほうがいいんだぜ。おにいさんがか
ぜひくにはゆっくりできないんだぜ」
「そうだね。ありがとうまりさ」
ぜひくにはゆっくりできないんだぜ」
「そうだね。ありがとうまりさ」
男は笑って頷き、まりさの頬を撫でる。
二匹とも野良の二匹に殺されかけた事は、全く気にしていなかった。
二匹とも野良の二匹に殺されかけた事は、全く気にしていなかった。
真っ暗で狭く、冷たく、何も聞こえない空間。
「いぢゃいいぢゃい……いぢゃい、いぢゃいのじぇ……!」
身体を蝕む痛み。
漏らしたうんうんとしーしーが、身体を薄く溶かしていた。
しかし、元は身体の一部だったもののため、表面を薄く溶かすにしか至っていない。結果
じくじくと浸みるような痛みが赤まりさを蝕んでいた。
漏らしたうんうんとしーしーが、身体を薄く溶かしていた。
しかし、元は身体の一部だったもののため、表面を薄く溶かすにしか至っていない。結果
じくじくと浸みるような痛みが赤まりさを蝕んでいた。
「おどーじゃ、おがーじゃ……おねーちゃ……」
助けを求めるが、応える者はいない。
あれから一体どれほどの時間が経ったのかも分からなかった。時間を計るものは何もな
い。ただたくさんとしか表現のしようがない時間。ただ、そこにいる時間は赤まりさの記憶に
ある時間よりも遙かに長かった。
あれから一体どれほどの時間が経ったのかも分からなかった。時間を計るものは何もな
い。ただたくさんとしか表現のしようがない時間。ただ、そこにいる時間は赤まりさの記憶に
ある時間よりも遙かに長かった。
「だぢゅげでっ、だれが……」
最初に食べた茎、続けて食べた栄養満点のゆっくりフード。さらにほとんど動く事のない
環境。それらは赤まりさの命を無駄に長く引き伸ばしていた。
環境。それらは赤まりさの命を無駄に長く引き伸ばしていた。
薄暗い水槽の中で、赤れいむは弱々しく呻いていた。
「ゆぅ、くるちぃよ……いちゃいよ……」
脚を包み込んだ赤白緑のユウカビ。
潰れた豆ゆうかから浸蝕を始めたカビ。赤れいむが眠っている間に、豆ゆうかたちが育て
た結果である。繁殖したカビは赤れいむの脚の機能を奪っていた。動くこともできず、無数
の短い針が刺さったような痛みが赤れいむを襲っている。
生きたゆっくりを苗床とする場合、そのゆっくりが寝ている間に全速力でカビを育てて脚の
機能を奪う。豆ゆうかたちが持っているユウカビ栽培の知識だった。そのまま豆ゆうかがカ
ビを育てていれば、赤れいむは二日も経たぬうちに死んでいただろう。
しかし、赤れいむはしばらくは死ねない。
潰れた豆ゆうかから浸蝕を始めたカビ。赤れいむが眠っている間に、豆ゆうかたちが育て
た結果である。繁殖したカビは赤れいむの脚の機能を奪っていた。動くこともできず、無数
の短い針が刺さったような痛みが赤れいむを襲っている。
生きたゆっくりを苗床とする場合、そのゆっくりが寝ている間に全速力でカビを育てて脚の
機能を奪う。豆ゆうかたちが持っているユウカビ栽培の知識だった。そのまま豆ゆうかがカ
ビを育てていれば、赤れいむは二日も経たぬうちに死んでいただろう。
しかし、赤れいむはしばらくは死ねない。
「ナエドコサン イッパイヨ !」
「コンカイハ オオバンブルマイネ !」
「コンカイハ オオバンブルマイネ !」
豆ゆうかたちは赤れいむから興味を失っていた。
大量に置かれたゆっくりの髪の毛や餡子、リボンの破片。れいむから取り出したものの一
部だった。全部ではないが、量は多い。男が水槽に置いていったのである。
生きたゆっくりと生きていないゆっくりの組織があった場合、豆ゆうかは後者を優先してカ
ビの苗床とする。その間前者は放置だ。苗床としては生きていないゆっくり組織の方が優秀
なのである。
大量に置かれたゆっくりの髪の毛や餡子、リボンの破片。れいむから取り出したものの一
部だった。全部ではないが、量は多い。男が水槽に置いていったのである。
生きたゆっくりと生きていないゆっくりの組織があった場合、豆ゆうかは後者を優先してカ
ビの苗床とする。その間前者は放置だ。苗床としては生きていないゆっくり組織の方が優秀
なのである。
「オニーサンニ ヤチンサンンサ モッテカレタカラナー。 マタガンバッテ ソダテルッペヨー」
豆のうかりんが、れいむの髪の毛を舐め、カビを育てている。
赤れいむの後ろ辺りの表面が一ヶ所大きく抉られていた。男が家賃として持っていたの
である。このユウカビはゆっくり用のカビの予防薬兼治療薬になるのだ。男は定期的にカ
ビを取り、作った薬をゆっくりを飼っている友人たちに安価で売っている。
赤れいむの後ろ辺りの表面が一ヶ所大きく抉られていた。男が家賃として持っていたの
である。このユウカビはゆっくり用のカビの予防薬兼治療薬になるのだ。男は定期的にカ
ビを取り、作った薬をゆっくりを飼っている友人たちに安価で売っている。
「だぢゅげで……おにぇぎゃいじまじゅ……」
「カビサン ユックリソダッテニャー !」
「ガンバルワヨー !」
「カビサン ユックリソダッテニャー !」
「ガンバルワヨー !」
赤れいむの言葉は誰も聞いていない。
ユウカビは弱いカビである。豆ゆうかが育てれば早く育つが、育てなければほとんど成長
しない。赤れいむを侵しているカビは赤れいむを殺すこともなく、ひたすらゆっくり育ち、ただ
苦痛だけを与えている。
赤れいむが衰弱死するのが早いか、豆ゆうかたちがれいむの残骸を苗床化し終わり、赤
れいむを苗床にするのが早いか。どちらにしろそれなりに時間が掛かる。
ユウカビは弱いカビである。豆ゆうかが育てれば早く育つが、育てなければほとんど成長
しない。赤れいむを侵しているカビは赤れいむを殺すこともなく、ひたすらゆっくり育ち、ただ
苦痛だけを与えている。
赤れいむが衰弱死するのが早いか、豆ゆうかたちがれいむの残骸を苗床化し終わり、赤
れいむを苗床にするのが早いか。どちらにしろそれなりに時間が掛かる。
「だぢゅげぢぇ……」
赤れいむは泣きながら、助けを求め続けた。
「これぎゃ、れいみゅ……!?」
鏡に映った自分の姿に、元赤れいむは掠れた声を上げた。
真っ白になった髪の毛、しわだらけの顔。口元から覗く歯は、半分くらい抜け落ちていた。
リボンは萎れて所々欠けている。老衰しきった姿である。
真っ白になった髪の毛、しわだらけの顔。口元から覗く歯は、半分くらい抜け落ちていた。
リボンは萎れて所々欠けている。老衰しきった姿である。
「うん。色々あってね」
男が頷く。あれから一週間くらい。成長促進剤や栄養剤の点滴で無理矢理成長させた姿
だった。無理に急成長させたため、余計に老化が顕著に表われている。
だった。無理に急成長させたため、余計に老化が顕著に表われている。
「残念だけど、れいむはあと少ししか生きられないんだ……」
悲しげに男が告げる。それは演技ではない。本心かられいむに同情していた。この状況を
作ったのは自分であるというのに。
れいむの口元から歯が抜け落ちた。髪も一房、抜け落ちる。寿命――というよりは強制
成長で酷使されすぎた身体が崩壊を始めていた。
作ったのは自分であるというのに。
れいむの口元から歯が抜け落ちた。髪も一房、抜け落ちる。寿命――というよりは強制
成長で酷使されすぎた身体が崩壊を始めていた。
「しょんにゃ……えいみゅ……は、にゃんのために……」
幸せな未来を想像しながら生まれ、幸せな一日を過ごし、幸せな未来を想像しながら眠り
に付いた。そして起きたら、命尽きる寸前だった。
ゆん生のほとんどの時間を無意味に過ごし、死ぬ。
れいむの顔から表情が抜け落ちた。目元から一筋の涙が流れ落ちた。
目を見開き、大きく口を開き、
に付いた。そして起きたら、命尽きる寸前だった。
ゆん生のほとんどの時間を無意味に過ごし、死ぬ。
れいむの顔から表情が抜け落ちた。目元から一筋の涙が流れ落ちた。
目を見開き、大きく口を開き、
「ゆあああああああああ! あああああっ、あああ……」
一度小さく痙攣し。
「ぁ――」
れいむは世辞の言葉もなく息絶えた。
男は満足げにその姿を見つめていた。
男は満足げにその姿を見つめていた。
「どう、君たち、ゆっくりしてる?」
「………」
「………」
本棚の上に置かれた、直方体ありすに無地饅頭れいむ、笑顔のまりさ。
飼っているれいむとまりさには面白い置物と説明してあった。実際置物のように動かず、
到底生きたゆっくりには見えず、またれいむとまりさも純粋に男の言葉を信じているため、
疑うこともない。
しかし、この三匹はしっかりと生きている。
にっこり笑いながら、男は置物になったゆっくりに話しかけた。
飼っているれいむとまりさには面白い置物と説明してあった。実際置物のように動かず、
到底生きたゆっくりには見えず、またれいむとまりさも純粋に男の言葉を信じているため、
疑うこともない。
しかし、この三匹はしっかりと生きている。
にっこり笑いながら、男は置物になったゆっくりに話しかけた。
「寿命迎えるまでちゃんと世話してあげるから、思う存分ゆっくりしていってね!」
「………」
「………」
返事は。
無かった。
無かった。
あとがき
まりさの笑顔固定の元ネタは『ゆっくりいじめ専用wiki 小ネタ361 ホームビデオ』です。
あの作品がこの世界に踏み入れるきっかけでした。
まりさの笑顔固定の元ネタは『ゆっくりいじめ専用wiki 小ネタ361 ホームビデオ』です。
あの作品がこの世界に踏み入れるきっかけでした。
過去SS
anko4540 希少種はゆっくりできないよ! 後編
anko4535 希少種はゆっくりできないよ! 前編
anko4488 れいむ宇宙へ
anko4485 ぱるすぃのじぇらすぃ
anko4467 事情聴取
anko4458 どうあがいても絶望
以下省略
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