ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1831 とくべつ~前篇~
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ankoss
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まえがき
どうも御無沙汰しております、「かみさま」の人、もとい
ばや汁あき(仮)です。
何度か投下予告らしきものをしておきながら、結構時間がたってしまって申し訳ありません。
前作の「かみさま」は、多数の閲覧と『ゆっくり』を頂き、誠にありがとうございます。
今作は、
『酔った勢いでぷにあきさんに”絵にSSつけさせてね!”って言ったらOKを貰った記念』
の、ぷにあきさんリスペクト作品です。
なので、主に”胴つきまりさ”主体のお話となってます。
ついでに意図的に書き方を少し変え、「かみさま」とは違った雰囲気になっているかとおもいます。
予定していたよりはかなり長くなってしまいましたので、おヒマなときにゆっくりと読んでいただけると幸いです。
ばや汁あき(仮)です。
何度か投下予告らしきものをしておきながら、結構時間がたってしまって申し訳ありません。
前作の「かみさま」は、多数の閲覧と『ゆっくり』を頂き、誠にありがとうございます。
今作は、
『酔った勢いでぷにあきさんに”絵にSSつけさせてね!”って言ったらOKを貰った記念』
の、ぷにあきさんリスペクト作品です。
なので、主に”胴つきまりさ”主体のお話となってます。
ついでに意図的に書き方を少し変え、「かみさま」とは違った雰囲気になっているかとおもいます。
予定していたよりはかなり長くなってしまいましたので、おヒマなときにゆっくりと読んでいただけると幸いです。
注意書き
- 胴つきゆっくりがメインです。
- 虐待的な表現を含みますが、虐待メインの作品ではありません
- なるべくゆっくりらしい思考のゆっくりにしたつもりですが、
それなりに知能のあるゆっくりがでてきます。
- 細かな独自設定が出てくる場合があります。
- 前編にのみ、HENTAI的表現が含まれております、ご注意ください。
それではお目汚しな部分も多々あると思いますが、楽しんでいただければ幸いです。
ゆっくりしていってね!
-------------------------------------
まりさは特別なゆっくりでした。
まりさの大好きなブリーダーのお姉さんはいつもまりさにこう言い聞かせています。
まりさの大好きなブリーダーのお姉さんはいつもまりさにこう言い聞かせています。
いいかいまりさ、まりさは”特別なゆっくり”なんだ。
勇敢なまりさと、博識なぱちゅりーの間に生まれた、胴つきのゆっくりなんだよ。
胴つきさんはなんでもできるんだ、ほかのゆっくりとは違う。
だからまりさ、私は強くて優しい立派なまりさに育ってくれるように、いつでも祈っているよ。
勇敢なまりさと、博識なぱちゅりーの間に生まれた、胴つきのゆっくりなんだよ。
胴つきさんはなんでもできるんだ、ほかのゆっくりとは違う。
だからまりさ、私は強くて優しい立派なまりさに育ってくれるように、いつでも祈っているよ。
「ゆっくりわかったよ!おねえさん!」
まりさの育ったペットショップ。
そこには胴つきさん、金バッチさん、希少種、ありとあらゆる優秀なゆっくりがそろっていました。
中でもまりさは”特別”。
優秀血統書付のハイブリッドな、胴つきのゆっくりでした。
まりさは、見たことはないけれど、自分のお父さんとお母さんが大好き。
特にまりさが好きなのが、自分のさらさらな髪の毛とおさげさん。
まりさは夜眠るとき、おふとんさんにくるまれて、ふさふさぴかぴかの髪の毛を抱いて眠ります。
そうすると、お父さんとお母さんに包まれて、優しさの中で眠っている気がするのです。
そこには胴つきさん、金バッチさん、希少種、ありとあらゆる優秀なゆっくりがそろっていました。
中でもまりさは”特別”。
優秀血統書付のハイブリッドな、胴つきのゆっくりでした。
まりさは、見たことはないけれど、自分のお父さんとお母さんが大好き。
特にまりさが好きなのが、自分のさらさらな髪の毛とおさげさん。
まりさは夜眠るとき、おふとんさんにくるまれて、ふさふさぴかぴかの髪の毛を抱いて眠ります。
そうすると、お父さんとお母さんに包まれて、優しさの中で眠っている気がするのです。
まりさの世界は、ブリーダーのお姉さんとお勉強する育成部屋と、
ぴかぴかのショーケースの向こうに見える、広い広いまだ見ぬお外さん。
ぴかぴかのショーケースの向こうに見える、広い広いまだ見ぬお外さん。
「はやくりっぱなかいぬしさんに、まりさをかってもらいたいよ!」
まりさの夢は、まだ見ぬ飼い主さんに買われ、いっぱい一緒に遊んでもらって、
いっぱい一緒にゆっくりすることでした。
いっぱい一緒にゆっくりすることでした。
特別なまりさの明るい未来は夢と希望でいっぱい!
…の、はずでした。
-------------------------------------
うそつき…
まりさはゆらゆら揺られながらそんなことを考えていました。
うそつき…
まりさは特別だって言ったのに、大好きだって言ってくれたのに。
うそつき!
どうしてこんなことに…
まりさはゆらゆら揺られながらそんなことを考えていました。
うそつき…
まりさは特別だって言ったのに、大好きだって言ってくれたのに。
うそつき!
どうしてこんなことに…
まりさを買ったのは、ある一人の青年でした。
ペットショップに入ってきた青年は、まりさのショーケースを見て言いました。
「すごく綺麗でかわいいまりさだな!」
その声は勿論ショーケースの中のまりさにも届いていました。
「ゆっくりしていってね!おにいさん!」
まりさはお姉さんと何度も何度も練習した挨拶をします。
(ちゃんとできたかな?)
まりさがちょっと不安になりながらお兄さんのお顔を覗くと。
「ゆっくりしていってね!」
なんとお兄さんは、まりさに挨拶を返してくれました。
まりさはうれしさで胸がいっぱいになりました。
するとお兄さんは、店員さんと何やらお話を始めます。
そしてお兄さんとお話をしていた店員さんが一旦店の奥に入ると、すぐに出てきて。
ガチャリ
まりさのショーケースの扉を開けました。
ペットショップに入ってきた青年は、まりさのショーケースを見て言いました。
「すごく綺麗でかわいいまりさだな!」
その声は勿論ショーケースの中のまりさにも届いていました。
「ゆっくりしていってね!おにいさん!」
まりさはお姉さんと何度も何度も練習した挨拶をします。
(ちゃんとできたかな?)
まりさがちょっと不安になりながらお兄さんのお顔を覗くと。
「ゆっくりしていってね!」
なんとお兄さんは、まりさに挨拶を返してくれました。
まりさはうれしさで胸がいっぱいになりました。
するとお兄さんは、店員さんと何やらお話を始めます。
そしてお兄さんとお話をしていた店員さんが一旦店の奥に入ると、すぐに出てきて。
ガチャリ
まりさのショーケースの扉を開けました。
まりさは喜びに満ち溢れていました。
やっと待ち望んでいた飼い主さんに出会えたのです。
それもとびきりの挨拶に、とびきりの笑顔で挨拶を返してくれた、とってもやさしいお兄さん。
今まで育ててくれたブリーダーのお姉さんとのお別れは辛かったけど、まりさは泣きませんでした。
ちゃんと笑顔でお別れを言えました。
だってお姉さんはいってくれました。
「おめでとうまりさ、これから楽しいことも、もしかしたら辛いこともいっぱいあるかもしれないけれど
私はまりさの笑顔が大好きよ、いつでもまりさの幸せを祈っているわ」
やっと待ち望んでいた飼い主さんに出会えたのです。
それもとびきりの挨拶に、とびきりの笑顔で挨拶を返してくれた、とってもやさしいお兄さん。
今まで育ててくれたブリーダーのお姉さんとのお別れは辛かったけど、まりさは泣きませんでした。
ちゃんと笑顔でお別れを言えました。
だってお姉さんはいってくれました。
「おめでとうまりさ、これから楽しいことも、もしかしたら辛いこともいっぱいあるかもしれないけれど
私はまりさの笑顔が大好きよ、いつでもまりさの幸せを祈っているわ」
「いままでそだててくれてありがとう!まりさはりっぱなゆっくりになるよ!」
どうしてこんなことに…
まりさは小さな頭で必死に考えます。
どこで間違ったんだろう、どうしてなんだろう。
まりさには分かりません。
何度考えても分かりません。
まりさは小さな頭で必死に考えます。
どこで間違ったんだろう、どうしてなんだろう。
まりさには分かりません。
何度考えても分かりません。
まりさはなんにもわるいことしてないのに…
まりさはお兄さんの車さんの助手席に座らさせました。
車さんにのっている間、お兄さんはいっぱいいっぱいまりさとお話をしてくれました。
これからの住むお家のこと、まりさの好きなご飯さんのこと。
お兄さんのこと、いままで育ててくれたブリーダーのお姉さんのこと。
いっぱいいっぱいお話しました。
話疲れてまりさがうとうとしてしまうころ、車はお兄さんのお家にたどり着きました。
とってもおおきいおうちさんだ!
まりさはびっくりしてしまいました。
と言っても、人間さん基準でいえば、普通の一軒家。
それでも、いままでペットショップの中しか知らないまりさにとっては、とてもとても大きなお家に見えました。
車さんにのっている間、お兄さんはいっぱいいっぱいまりさとお話をしてくれました。
これからの住むお家のこと、まりさの好きなご飯さんのこと。
お兄さんのこと、いままで育ててくれたブリーダーのお姉さんのこと。
いっぱいいっぱいお話しました。
話疲れてまりさがうとうとしてしまうころ、車はお兄さんのお家にたどり着きました。
とってもおおきいおうちさんだ!
まりさはびっくりしてしまいました。
と言っても、人間さん基準でいえば、普通の一軒家。
それでも、いままでペットショップの中しか知らないまりさにとっては、とてもとても大きなお家に見えました。
まりさは見る物全てが新鮮でした。
お家に入ると、お兄さんの手を離れて駆け出します。
テレビさんにびっくりしたり、ふかふかのソファーさんでゆっくりしたり。
さっきまで眠たくなっていたことも忘れて、まりさははしゃぎまわりました。
お兄さんはそれを叱ったりせず、にこにこと見守っています。
お家に入ると、お兄さんの手を離れて駆け出します。
テレビさんにびっくりしたり、ふかふかのソファーさんでゆっくりしたり。
さっきまで眠たくなっていたことも忘れて、まりさははしゃぎまわりました。
お兄さんはそれを叱ったりせず、にこにこと見守っています。
お兄さんはまりさの手を引いて、家の隅々を案内してくれました。
お兄さんの大きいおててでぎゅっとされると、まりさはなんだかおむねがぽかぽかしました。
きっとこれがしあわせっていうことなんだね。
扉を開けたら閉めようね。
冷蔵庫は勝手にあけちゃいけないよ。
お兄さんはまりさに家のルールを説明していきます。
でもまりさはちょっぴり上の空でした。
きっと失敗して叱られてしまうかもしれない。
でも、まりさはそれでもいいかな、とちょっぴり思ってしまうのでした。
やさしいやさしいお兄さん、まりさは会って半日もたっていないのに、
もうお兄さんのことが大好きになっていました。
思い切ってまりさはお兄さんに聞いてみることにしました。
「ねぇねぇ、おにいさん、まりさのこと、すき?」
お兄さんはにっこり笑って答えます。
「もちろん、大好きだよ」
そしてお兄さんは聞き返します。
「まりさは?お兄さんのこと、好き?」
まりさは顔を真っ赤にして俯いてしまいます。
「し、しらないよ!」
その様子をみて、お兄さんはクスクスと笑います。
お兄さんの大きいおててでぎゅっとされると、まりさはなんだかおむねがぽかぽかしました。
きっとこれがしあわせっていうことなんだね。
扉を開けたら閉めようね。
冷蔵庫は勝手にあけちゃいけないよ。
お兄さんはまりさに家のルールを説明していきます。
でもまりさはちょっぴり上の空でした。
きっと失敗して叱られてしまうかもしれない。
でも、まりさはそれでもいいかな、とちょっぴり思ってしまうのでした。
やさしいやさしいお兄さん、まりさは会って半日もたっていないのに、
もうお兄さんのことが大好きになっていました。
思い切ってまりさはお兄さんに聞いてみることにしました。
「ねぇねぇ、おにいさん、まりさのこと、すき?」
お兄さんはにっこり笑って答えます。
「もちろん、大好きだよ」
そしてお兄さんは聞き返します。
「まりさは?お兄さんのこと、好き?」
まりさは顔を真っ赤にして俯いてしまいます。
「し、しらないよ!」
その様子をみて、お兄さんはクスクスと笑います。
おにいさんのつくってくれたごはんさんはとってもおいしかったよ!
おにいさんがあたまをなでなでしてくれるとうれしいよ!
おにいさん、だ~いすき!
おにいさんがあたまをなでなでしてくれるとうれしいよ!
おにいさん、だ~いすき!
うそつき…
うそつき…
うそつき………
うそつき…
うそつき………
-------------------------------------
その日の夜、それは突然おこりました。
お兄さんと一緒にお風呂にはいって、ぽかぽかになって一緒のお布団ですーやすや。
まりさが幸せいっぱいになっていたとき。
お兄さんと一緒にお風呂にはいって、ぽかぽかになって一緒のお布団ですーやすや。
まりさが幸せいっぱいになっていたとき。
ごそごそ
(ゆゆっ、なんだかむずむずするよ)
「かわいいなぁ、あぁ…かわいいなぁ、まりさ…」
むずむずの正体はお兄さんの大きな手でした。
「ゆっ、おにいさん!くすぐったいよ!」
まりさはお兄さんがくすぐってきたんだとおもいました。
(しょうがないんだから、おにいさんは)
まりさがコロコロと笑っていると、徐々に手はパジャマの内側に入ってきます。
「ゆぅ~、おにいさん、いいかげんにしないとまりさおこるよ!」
まりさは頬をぷぅっとふくらませてお兄さんの方を向きます。
「かわいいなぁ、あぁ…かわいいなぁ、まりさ…」
むずむずの正体はお兄さんの大きな手でした。
「ゆっ、おにいさん!くすぐったいよ!」
まりさはお兄さんがくすぐってきたんだとおもいました。
(しょうがないんだから、おにいさんは)
まりさがコロコロと笑っていると、徐々に手はパジャマの内側に入ってきます。
「ゆぅ~、おにいさん、いいかげんにしないとまりさおこるよ!」
まりさは頬をぷぅっとふくらませてお兄さんの方を向きます。
そこに昼間のやさしいお兄さんはいませんでした。
「はぁ…はぁ…」
「んぶぅっ!?」
まりさは突然お兄さんのお口がまりさのお口とくっついて、びっくりして目を白黒させました。
(これって…ちゅっちゅ!?)
ブリーダーのお姉さんとのお勉強のときに教えてもらった知識から、まりさはそう判断しました。
しかしまりさが思っているものと、ソレはあきらかに違いました。
「んぶぅっ!?」
まりさは突然お兄さんのお口がまりさのお口とくっついて、びっくりして目を白黒させました。
(これって…ちゅっちゅ!?)
ブリーダーのお姉さんとのお勉強のときに教えてもらった知識から、まりさはそう判断しました。
しかしまりさが思っているものと、ソレはあきらかに違いました。
ぢゅっ、ぶぢゅっ、ちゅっ、ちゅばっ
大きな音をたててお兄さんはまりさの舌をこねまわし、唇を吸い、唾液をすすります。
「!?!?!?」
まりさは自分の身に何が起こっているのかわかりませんでした。
そうこうしている間に、まりさのパジャマは乱暴にはがされていきます。
「やめて!やだ!こわいよ!」
お兄さんは荒い息使いをするだけで、まりさの声にこたえてはくれません。
まりさの幼い体は、お兄さんの手でもみくちゃにされてしまいます。
そしてついに…
「!?!?!?」
まりさは自分の身に何が起こっているのかわかりませんでした。
そうこうしている間に、まりさのパジャマは乱暴にはがされていきます。
「やめて!やだ!こわいよ!」
お兄さんは荒い息使いをするだけで、まりさの声にこたえてはくれません。
まりさの幼い体は、お兄さんの手でもみくちゃにされてしまいます。
そしてついに…
ぐぐぐっ!
「やだ、やめて!おにいさん、どうしちゃったの!?」
ぐぢっ!
「いやぁぁあーーーーー!!!」
ゆさゆさ…ゆさゆさ…
まりさの体は力強く前後に揺さぶられます。
「どうだいまりさ!きもちいいだろう!?」
「いやだよ!いたいいいぃ、やめてよぉ!」
まりさは必至に抵抗します。
おにいさんのあんよの間から生えてる大きなぼっこさんが、まりさのおなかにはいってしまっているのです。
ゆさゆさと揺さぶられるたびに、まりさのおなかがぼこぼこと膨らんだり元にもどったりします。
きもちいい?
まりさはお兄さんが何をいっているのかわかりませんでした。
まりさのおなかはドンッ!ドンッ!とたたかれ、足はお兄さんの手でグイグイ押され。
お兄さんの重たい体がまりさの小さい体にのしかかっています。
苦しい!痛い!キモチワルイ!
まりさの体は力強く前後に揺さぶられます。
「どうだいまりさ!きもちいいだろう!?」
「いやだよ!いたいいいぃ、やめてよぉ!」
まりさは必至に抵抗します。
おにいさんのあんよの間から生えてる大きなぼっこさんが、まりさのおなかにはいってしまっているのです。
ゆさゆさと揺さぶられるたびに、まりさのおなかがぼこぼこと膨らんだり元にもどったりします。
きもちいい?
まりさはお兄さんが何をいっているのかわかりませんでした。
まりさのおなかはドンッ!ドンッ!とたたかれ、足はお兄さんの手でグイグイ押され。
お兄さんの重たい体がまりさの小さい体にのしかかっています。
苦しい!痛い!キモチワルイ!
「やめっ、やめるんだぜ!このぉ!」
まりさはお姉さんから止められている汚い口調でお兄さんを罵りました。
「ばかっ!やめろ!やめろぉおおおお!!」
まりさが全力をこめて両手でお兄さんを叩きます。
でもそんなもの、人間のお兄さんに通用するわけがありませんでした。
「あぁっ、きもちいいよまりさ、きもちいいよ!うぅっ!」
まりさはお姉さんから止められている汚い口調でお兄さんを罵りました。
「ばかっ!やめろ!やめろぉおおおお!!」
まりさが全力をこめて両手でお兄さんを叩きます。
でもそんなもの、人間のお兄さんに通用するわけがありませんでした。
「あぁっ、きもちいいよまりさ、きもちいいよ!うぅっ!」
ドクンッ!
まりさのおなかの中でお兄さんのぼっこさんが大きく跳ねました。
「うあぁああああーーーっ!?」
まりさは自分のおなかが突き破られてしまうかとおもいました。
お兄さんがぼっこをグィグィとおなかの奥に奥に入れようとしてきます。
「やめてっ!裂けちゃう!裂けちゃううぅぅう!!」
「うあぁああああーーーっ!?」
まりさは自分のおなかが突き破られてしまうかとおもいました。
お兄さんがぼっこをグィグィとおなかの奥に奥に入れようとしてきます。
「やめてっ!裂けちゃう!裂けちゃううぅぅう!!」
ビクンビクンッ
何度かの痙攣の後、お兄さんはまりさの上にどさりと倒れこみます。
「はぁ…はぁ…」
「おに…さ…どうしちゃったの…?」
まりさにはお兄さんがわからなくなってしまいました。
昼間はあんなにやさしかったのに、どうしてこんなひどいことするの?
やめてっていったのに、いやだっていったのに…
「うぅ…うぇぇ…っ、ひぐっ、うぅぅううーー…」
まりさはなにがなんだかわからなくて、涙がぽろぽろとあふれてしまいました。
なかないってきめたのに、おにいさん、ひどいよ…。
「はぁ…はぁ…」
「おに…さ…どうしちゃったの…?」
まりさにはお兄さんがわからなくなってしまいました。
昼間はあんなにやさしかったのに、どうしてこんなひどいことするの?
やめてっていったのに、いやだっていったのに…
「うぅ…うぇぇ…っ、ひぐっ、うぅぅううーー…」
まりさはなにがなんだかわからなくて、涙がぽろぽろとあふれてしまいました。
なかないってきめたのに、おにいさん、ひどいよ…。
まりさがしばらくそうしていると、お兄さんが急にまたうごきはじめました。
おにいさんのぼっこさんのカチカチは収まりません。
再びまりさのおなかはグイグイと形をゆがめられます。
おにいさんのぼっこさんのカチカチは収まりません。
再びまりさのおなかはグイグイと形をゆがめられます。
「やめてぇ!おにいさん!やめてぇぇぇ!」
ぐぃっ、ぐぃっ!
「おねがい…おでがいだがらぁ…」
ぐぃっ、ぐぃっ!
「いやぁ…やだっ、やだよぉ…ぐすっ…」
ぐぃっ、ぐぃっ!
「ごべんなざいいぃいい!あやばりばずがらぁあああああああぁあっ!」
ぐぃっ、ぐぃっ!
「たすけてぇ…たすけてーーー!おとうさーん!おかぁさあああーーーん!」
ビュル!ビュルルル!グビュビュッ!
「いやぁあーーーーーーーーーーー!!」
ゆさっ、ゆさっ…
「……ぅ……ぁ……」
ゆさっ、ゆさっ…
「……おね……が……や……め……」
ゆさっ、ゆさっ…
「………………」
どれだけ時間が経ったのか、まりさには分かりませんでした。
ただ、気づいたらお兄さんはまりさの上に覆いかぶさって眠っていて。
カーテンさんの向こうからは小鳥さんの鳴き声が聞こえてて。
まりさはもう声も涙も枯れてしまっていました。
まりさは眠っていません、だけど起きてもいません。
体中はべとべと、ぐしょぐしょ、指もぴくりとも動きません。
ただ焦点の合わない目で、シミひとつない天井をぼんやりと眺めていました。
ただ、気づいたらお兄さんはまりさの上に覆いかぶさって眠っていて。
カーテンさんの向こうからは小鳥さんの鳴き声が聞こえてて。
まりさはもう声も涙も枯れてしまっていました。
まりさは眠っていません、だけど起きてもいません。
体中はべとべと、ぐしょぐしょ、指もぴくりとも動きません。
ただ焦点の合わない目で、シミひとつない天井をぼんやりと眺めていました。
どうして…
まりさには分かりません。
どうして…
何度考えてもわかりません。
どうして…
まりさには分かりません。
どうして…
何度考えてもわかりません。
どうして…
「まりさ、おきなよ、朝だよ」
お兄さんがゆさゆさとまりさを揺さぶります。
「ゆっ…」
まりさがゆっくりと目を開けます。
そこにはあのやさしいお兄さんがいました。
「まったく、まりさはお寝坊さんだなぁ」
「…?」
まりさは何が何だかわかりませんでした。
でも、まりさの体はきれいでした。
パジャマもちゃんときています。
お兄さんは今日もやさしい笑顔を向けてくれます。
「ほら、朝の挨拶、ちゃんとできるだろ?」
「お…おにいさん、おはよう!」
「よしよし、まりさはいい子だな」
お兄さんがその大きな手をまりさにさしだします。
まりさは一瞬ビクッと身を固めました。
けれどそれはすぐに間違いだと気付きました。
お兄さんの手が、やさしくやさしくまりさの頭をなでます。
(あぁ、きっとあれはゆめだったんだね。)
まりさは思いました。
そうです、やさしいお兄さんが、あんな怖いことをするはずがありません。
大好きだっていってくれたお兄さんが、まりさにひどいことするわけがありません。
ちょっぴりこわい夢をみた、そうだ、そうにちがいない。
お兄さんがゆさゆさとまりさを揺さぶります。
「ゆっ…」
まりさがゆっくりと目を開けます。
そこにはあのやさしいお兄さんがいました。
「まったく、まりさはお寝坊さんだなぁ」
「…?」
まりさは何が何だかわかりませんでした。
でも、まりさの体はきれいでした。
パジャマもちゃんときています。
お兄さんは今日もやさしい笑顔を向けてくれます。
「ほら、朝の挨拶、ちゃんとできるだろ?」
「お…おにいさん、おはよう!」
「よしよし、まりさはいい子だな」
お兄さんがその大きな手をまりさにさしだします。
まりさは一瞬ビクッと身を固めました。
けれどそれはすぐに間違いだと気付きました。
お兄さんの手が、やさしくやさしくまりさの頭をなでます。
(あぁ、きっとあれはゆめだったんだね。)
まりさは思いました。
そうです、やさしいお兄さんが、あんな怖いことをするはずがありません。
大好きだっていってくれたお兄さんが、まりさにひどいことするわけがありません。
ちょっぴりこわい夢をみた、そうだ、そうにちがいない。
まりさはお兄さんの作ってくれたおいしいおいしいご飯さんを食べて、嫌なことはすっぱりとわすれることにしました。
(きょうもたのしいいちにちになりますように!)
(きょうもたのしいいちにちになりますように!)
しかしその思い、願いは儚く散ってしまうのでした。
うそつき…っ!
「いやだぁあああーーー!!やめて!やめてぇぇぇーーーーーー!!!!」
今日も絹を裂くような悲鳴が家中にこだまします。
今日も、明日も、明後日も、まりさの知らない次の日もその次の日もそのまた次の日も…
今日も、明日も、明後日も、まりさの知らない次の日もその次の日もそのまた次の日も…
おにいさんは夜、豹変し続けました。
昼間はとってもやさしいお兄さん。
だけど夜になると、お兄さんはまりさの体をむさぼる獣になってしまいました。
お兄さんのまりさへの性的な虐待は来る日も来る日も続きました。
昼間はとってもやさしいお兄さん。
だけど夜になると、お兄さんはまりさの体をむさぼる獣になってしまいました。
お兄さんのまりさへの性的な虐待は来る日も来る日も続きました。
ちゃんといいつけまもってるのに…
「いやだよ!やめて!」
おといれだってひとりでできるもん…
「どうしてこんなことするのぉっ!?」
おるすばんもちゃんとおとなしくしてるよ…
「まりさなんにもわるいことしてないのにぃぃいい!!」
「いやだよ!やめて!」
おといれだってひとりでできるもん…
「どうしてこんなことするのぉっ!?」
おるすばんもちゃんとおとなしくしてるよ…
「まりさなんにもわるいことしてないのにぃぃいい!!」
幼い体は、毎日大きな身体に蹂躙され、汚され、もうまりさは体も心もズタズタでした。
どうしてこんなことするの…
どうして…
どうして…
どうして…
どうして…
そしてある夜、ついに悲劇は起きてしまうのです。
「ぎゃぁああああ!!!!」
突然お兄さんの悲鳴が夜の闇に響き渡ります。
「はぁ…はぁ…」
まりさは今夜も幼い体を弄ばれていました。
しかしまりさは無駄とわかりつつも必死に抵抗しました。
その時、偶然まりさの指がお兄さんの目を直撃したのです。
いかにゆっくりの力無い抵抗とはいえ、人間の目にあたってしまえば、ひとたまりもありません。
「ぐっ、ううぅうううっ!!」
お兄さんは般若の様な顔でまりさを睨みつけます。
「うっ…うぁ…」
まりさは怖くなってしまいました。
やむを得ない抵抗とはいえ、人間さんを傷つけてしまったのです。
「ごめんなさ…」
まりさが謝ろうと声を出した直後、お兄さんの大きな手がまりさの首を捕まえます。
「ぐっ、うぐぐっ、おにぃさっ、かひゅっ!」
まりさの喉から声にならない声が絞り出されます。
(ごめんなさい!ごめんなさい!)
声に出せなくても、まりさは必死に謝りました。
しかしお兄さんは残酷でした…
「いいかまりさ…よく聞け…、どうして?とかいったか」
お兄さんはまりさの目を睨みつけながら言います。
「理由なんてなぁ、ねぇんだよまりさ、お前は俺に買われたペットなんだよ」
喉にかかったお兄さんの手に力がこもります。
「もともとこのつもりでお前を買ったんだよ!お前は俺の自由だ!何をしようと勝手だろう!?」
急にお兄さんの手から力が抜けます。
「うぅうっ!うぇっ!げふっ!」
まりさは涙目になりながらお兄さんの方を向きます。
「ごべんだざ…ごべん…」
「謝るとか関係ないんだよ、お前はただ俺に弄ばれてればよかったんだ、
そうすれば可愛がってやったのに、それくらいわかるだろ?でももう遅い。
ご主人さまに逆らった罪は、重い」
まりさの目の前にお兄さんの手がぬっと差し出されます。
(こわい!)
そう思いながらも、まりさは体を、指一本動かすことができません。
すっかり全身は恐怖に支配されてしまいました。
お兄さんの手はどんどん顔に近付いてきます。
まりさはぎゅっと目を瞑りました。
(ゆめだ!ゆめだよ!これはゆめなんだよ!)
目をつむったまりさの瞼に、こつりと何かが当たりました。
それはお兄さんの大きな手の、力強い指…
お兄さんの触れた瞼は、右側…
お兄さんがまりさに殴られたのは、右目…
「ぎゃぁああああ!!!!」
突然お兄さんの悲鳴が夜の闇に響き渡ります。
「はぁ…はぁ…」
まりさは今夜も幼い体を弄ばれていました。
しかしまりさは無駄とわかりつつも必死に抵抗しました。
その時、偶然まりさの指がお兄さんの目を直撃したのです。
いかにゆっくりの力無い抵抗とはいえ、人間の目にあたってしまえば、ひとたまりもありません。
「ぐっ、ううぅうううっ!!」
お兄さんは般若の様な顔でまりさを睨みつけます。
「うっ…うぁ…」
まりさは怖くなってしまいました。
やむを得ない抵抗とはいえ、人間さんを傷つけてしまったのです。
「ごめんなさ…」
まりさが謝ろうと声を出した直後、お兄さんの大きな手がまりさの首を捕まえます。
「ぐっ、うぐぐっ、おにぃさっ、かひゅっ!」
まりさの喉から声にならない声が絞り出されます。
(ごめんなさい!ごめんなさい!)
声に出せなくても、まりさは必死に謝りました。
しかしお兄さんは残酷でした…
「いいかまりさ…よく聞け…、どうして?とかいったか」
お兄さんはまりさの目を睨みつけながら言います。
「理由なんてなぁ、ねぇんだよまりさ、お前は俺に買われたペットなんだよ」
喉にかかったお兄さんの手に力がこもります。
「もともとこのつもりでお前を買ったんだよ!お前は俺の自由だ!何をしようと勝手だろう!?」
急にお兄さんの手から力が抜けます。
「うぅうっ!うぇっ!げふっ!」
まりさは涙目になりながらお兄さんの方を向きます。
「ごべんだざ…ごべん…」
「謝るとか関係ないんだよ、お前はただ俺に弄ばれてればよかったんだ、
そうすれば可愛がってやったのに、それくらいわかるだろ?でももう遅い。
ご主人さまに逆らった罪は、重い」
まりさの目の前にお兄さんの手がぬっと差し出されます。
(こわい!)
そう思いながらも、まりさは体を、指一本動かすことができません。
すっかり全身は恐怖に支配されてしまいました。
お兄さんの手はどんどん顔に近付いてきます。
まりさはぎゅっと目を瞑りました。
(ゆめだ!ゆめだよ!これはゆめなんだよ!)
目をつむったまりさの瞼に、こつりと何かが当たりました。
それはお兄さんの大きな手の、力強い指…
お兄さんの触れた瞼は、右側…
お兄さんがまりさに殴られたのは、右目…
ガリッ!
「!!!!!!!!!」
グジュリッ!
「ーーーーーーーー!!!!!!!!!」
その日まりさが上げた悲鳴は、今までのどれよりも大きく、どれよりも悲痛な叫びでした。
まりさは自分の喉からあんな声が出たなんて、後で思い出しても信じられないほどでした。
いえ、思い出したくても思い出せないかもしれません。
まりさは自分の喉からあんな声が出たなんて、後で思い出しても信じられないほどでした。
いえ、思い出したくても思い出せないかもしれません。
ボロッ
と音をたてて、一人と一匹の間に何かが落ちました。
それは大きな大きな
それは大きな大きな
まりさの右目でした…。
どうして…どうして…
うそつき…大好きっていってくれたのに…
どうして…
まりさはもう考えるのをやめたくなりました。
でも…
うそつき…大好きっていってくれたのに…
どうして…
まりさはもう考えるのをやめたくなりました。
でも…
どうして…
まりさにはわかりません。
どうして…
どうして…
まりさにはわかりません。
どうして…
どうして…
ザーーーーーー…
気づくとまりさは段ボールに入れられて、雨が降るお外にほおり出されていました。
お洋服は身につけています。大好きなおぼうしもちゃんと頭の上。
ただ、どうしても、どうしても、右目が見えません。
「まりさのみぎめさん…ゆっくりしてないで、みえてね…ちゃんとみえてね…」
まりさは自分の髪の毛をぎゅっと握ります。
「おとうさん、おかあさん…」
冷たい雨がまりさを覆い尽くします。
「うぅうううぅううううううう………!!!!」
まりさは声を押し殺して泣きました。
気づくとまりさは段ボールに入れられて、雨が降るお外にほおり出されていました。
お洋服は身につけています。大好きなおぼうしもちゃんと頭の上。
ただ、どうしても、どうしても、右目が見えません。
「まりさのみぎめさん…ゆっくりしてないで、みえてね…ちゃんとみえてね…」
まりさは自分の髪の毛をぎゅっと握ります。
「おとうさん、おかあさん…」
冷たい雨がまりさを覆い尽くします。
「うぅうううぅううううううう………!!!!」
まりさは声を押し殺して泣きました。
なくもんか!なくもんか!
そう思えば思うほど、悔しくて、悲しくて。
どうして…!どうして…!?
まりさは”とくべつなゆっくり”でしょう!?
まりさのことだいすきっていってくれたのに!
まりさは”とくべつなゆっくり”でしょう!?
まりさのことだいすきっていってくれたのに!
いつも幸せを祈ってる、そういってくれたお姉さんは助けに来てくれません。
この身に宿るお父さんもお母さんも、答えてくれません。
この身に宿るお父さんもお母さんも、答えてくれません。
だいすきだったやさしいおにいさんも、あたまをなでてくれません。
うそだって、ごめんねって、いってほしい、おねがいだから、いってほしい。
まりさは生まれて初めて、ひとりぼっちの夜を過ごしました。
それはまりさが思っていたよりも、ずっと怖くて、残酷で。
それはまりさが思っていたよりも、ずっと怖くて、残酷で。
まりさは、
このあめさんでまりさも、せかいさんも、ぜんぶとけてきえて、なくなってしまえばいいのに!
そんなことばかり考えていました。
このあめさんでまりさも、せかいさんも、ぜんぶとけてきえて、なくなってしまえばいいのに!
そんなことばかり考えていました。
どうして…どうして…
何度考えてもわかりません。
どうして…どうして…
お兄さんと出会った日、優しいお兄さん。
どうして…どうして…
何度も何度も思い出して、思い出しなおして。
わかんない、わかんない、わかんない…
何度考えてもわかりません。
どうして…どうして…
お兄さんと出会った日、優しいお兄さん。
どうして…どうして…
何度も何度も思い出して、思い出しなおして。
わかんない、わかんない、わかんない…
まりさはなんにもわるいことしてないのに…
きえちゃえ…おにいさんも、まりさも、みんなみんなきえちゃえ…
-------------------------------------
「ゆぅ…ゆぅ………ゆっ」
いつのまにかまりさは泣き疲れて寝てしまっていました。
まりさが起きるともうお空の一番たかいところににおひさまがのぼっていました。
雨はあがっているけど、地面はまだ濡れていました。
けれどもまりさのお洋服はすっかり乾いていました。
まりさが左目をこすりながら回りを見渡すと、自分の頭上に透明なビニール傘が立てかけてあるのを見つけました。
それは優しい人間さんが、雨に濡れるまりさを不憫に思い、さしてあげたものでした。
いつのまにかまりさは泣き疲れて寝てしまっていました。
まりさが起きるともうお空の一番たかいところににおひさまがのぼっていました。
雨はあがっているけど、地面はまだ濡れていました。
けれどもまりさのお洋服はすっかり乾いていました。
まりさが左目をこすりながら回りを見渡すと、自分の頭上に透明なビニール傘が立てかけてあるのを見つけました。
それは優しい人間さんが、雨に濡れるまりさを不憫に思い、さしてあげたものでした。
やっぱりにんげんさんはやさしいんだよ、ひどいひとばっかりじゃないんだよ…
まりさはそう思うことにしました。
そう思わないと、まりさの小さな体は悲しみで押しつぶされてしまいそうでした。
まりさはゆっくりと体を起こそうとしましたが、心と体が痛くて指一本動かせませんでした。
しかたないので、再び目を閉じてじっとしていると、まりさのおなかが、ぐぅ…となりました。
(おなか…へったよ…)
人間さんの助けが無い今、まりさは全く無力でした。
野良のようにご飯を自分でご飯を調達することもできません、動く元気もありません。
まりさは思いました。
(もしかしたら、まりさはこのままずっとゆっくりしちゃうかもしれない…)
でもまりさは、それでもいいかな、と思ってしまいました。
まりさはそう思うことにしました。
そう思わないと、まりさの小さな体は悲しみで押しつぶされてしまいそうでした。
まりさはゆっくりと体を起こそうとしましたが、心と体が痛くて指一本動かせませんでした。
しかたないので、再び目を閉じてじっとしていると、まりさのおなかが、ぐぅ…となりました。
(おなか…へったよ…)
人間さんの助けが無い今、まりさは全く無力でした。
野良のようにご飯を自分でご飯を調達することもできません、動く元気もありません。
まりさは思いました。
(もしかしたら、まりさはこのままずっとゆっくりしちゃうかもしれない…)
でもまりさは、それでもいいかな、と思ってしまいました。
そのまままりさの意識は、深い深い闇の中に落ちて行ってしまいました。
「おい、起きろよ!死んでるのか?」
まりさの体がゆさゆさと揺さぶられます。
「………ゆぅ…?」
まりさがゆっくりと左目を開けて、声のする方を見ると、一人の男の子と目があいました。
「おぉ、良かった、生きてた」
まりさが目を開けるのを確認すると、男の子は背中に背負ったランドセルをごそごそと探り、
半分になったコッペパンを取り出しました。
「これ、給食の残りだけど、いる?」
そう言って男の子はまりさの目の前にパンを差し出します。
「……うん」
まりさは、ぐっと力をこめて腕を伸ばし、それを受け取ります。
そして小さなお口をいっぱいにあけてパンを頬張ります。
もぐもぐもぐ…まりさはゆっくりと味わいます。
お口の中全体に、じんわりとほのかな甘さが広がっていきます。
それはまりさが今まで食べてきたどんなお料理よりも、ずっとずっとおいしく感じました。
「ありが…どっ…うぅっ…」
まりさはお礼が言いたいのに、うまく言えません。
ぽろぽろぽろと涙が目から溢れてきます。
「おいおい泣くなよ、よしよし」
男の子は手をのばして、まりさの頭をくしゃくしゃと、乱暴になでます。
(ありがとう…ありがとう…)
まりさは言葉にできない分、心の中でそう何度も繰り返しながら、
涙でちょっぴりしょっぱくなったパンを食べ続けました。
まりさの体がゆさゆさと揺さぶられます。
「………ゆぅ…?」
まりさがゆっくりと左目を開けて、声のする方を見ると、一人の男の子と目があいました。
「おぉ、良かった、生きてた」
まりさが目を開けるのを確認すると、男の子は背中に背負ったランドセルをごそごそと探り、
半分になったコッペパンを取り出しました。
「これ、給食の残りだけど、いる?」
そう言って男の子はまりさの目の前にパンを差し出します。
「……うん」
まりさは、ぐっと力をこめて腕を伸ばし、それを受け取ります。
そして小さなお口をいっぱいにあけてパンを頬張ります。
もぐもぐもぐ…まりさはゆっくりと味わいます。
お口の中全体に、じんわりとほのかな甘さが広がっていきます。
それはまりさが今まで食べてきたどんなお料理よりも、ずっとずっとおいしく感じました。
「ありが…どっ…うぅっ…」
まりさはお礼が言いたいのに、うまく言えません。
ぽろぽろぽろと涙が目から溢れてきます。
「おいおい泣くなよ、よしよし」
男の子は手をのばして、まりさの頭をくしゃくしゃと、乱暴になでます。
(ありがとう…ありがとう…)
まりさは言葉にできない分、心の中でそう何度も繰り返しながら、
涙でちょっぴりしょっぱくなったパンを食べ続けました。
まりさがパンを食べ終わり、落ち着くまで男の子はずっとそばにいてくれました。
「なぁ、お前、ゆっくり…だよな?」
「そうだよ、まりさは”とくべつなゆっくり”なんだよ…」
おなかがいっぱいになって、少しだけ元気を取り戻したまりさが答えます。
「”とくべつなゆっくり”ねぇ…確かに”ゆっくり”には見えないや、
最初女の子が死んでるかとおもってびっくりしたよ」
「まりさは”どうつきさん”なんだよ」
「お前みたいなのが”胴つき”っていうんだ、初めて見た。そうだ、名前は?」
男の子がまりさに聞きます。
「まりさは、まりさだよ」
「まりさか、やっぱりまりさはまりさなんだな、僕はケン」
「ケンくん?」
「そう、ケン、よろしく」
ケンくんはそう言うとまりさの手を握ってぶんぶんと上下に振りました。
「ケンくん、ありがとう!」
まりさはさっき言えなかった分、大きな声でお礼をいいました。
優しくしてもらったら、ちゃんとお礼をいうんだよ。
お姉さんとの約束でした。
「どういたしまして」
そういってケンくんはニッと笑います。
つられてまりさも笑顔になります。
笑顔になってから、まりさはしばらく自分が笑っていないことに気付きました。
お兄さんの虐待が始まってからは、お兄さんがいない間も部屋の隅っこでブルブルと脅え震える毎日でした。
まだわらえる。
そう思うと、なんだかまりさは生きる元気が湧いてくるような気がしました。
「なぁ、お前、ゆっくり…だよな?」
「そうだよ、まりさは”とくべつなゆっくり”なんだよ…」
おなかがいっぱいになって、少しだけ元気を取り戻したまりさが答えます。
「”とくべつなゆっくり”ねぇ…確かに”ゆっくり”には見えないや、
最初女の子が死んでるかとおもってびっくりしたよ」
「まりさは”どうつきさん”なんだよ」
「お前みたいなのが”胴つき”っていうんだ、初めて見た。そうだ、名前は?」
男の子がまりさに聞きます。
「まりさは、まりさだよ」
「まりさか、やっぱりまりさはまりさなんだな、僕はケン」
「ケンくん?」
「そう、ケン、よろしく」
ケンくんはそう言うとまりさの手を握ってぶんぶんと上下に振りました。
「ケンくん、ありがとう!」
まりさはさっき言えなかった分、大きな声でお礼をいいました。
優しくしてもらったら、ちゃんとお礼をいうんだよ。
お姉さんとの約束でした。
「どういたしまして」
そういってケンくんはニッと笑います。
つられてまりさも笑顔になります。
笑顔になってから、まりさはしばらく自分が笑っていないことに気付きました。
お兄さんの虐待が始まってからは、お兄さんがいない間も部屋の隅っこでブルブルと脅え震える毎日でした。
まだわらえる。
そう思うと、なんだかまりさは生きる元気が湧いてくるような気がしました。
それからまりさはケンくんといろんなお話をしました。
ブリーダーのお姉さんのこと、ある日とっても優しいお兄さんに買ってもらったこと。
でも飼い主のお兄さんがひどいことをして、まりさは捨てられてしまったこと。
でも飼い主のお兄さんがひどいことをして、まりさは捨てられてしまったこと。
まりさがさみしそうな顔をするたびに、ケンくんは明るい話をしてくれます。
学校のこと、お友達のこと。
ケンくんがおどけるたびに、まりさの顔には笑顔があふれます。
初めて出会ってから、時間は全然たっていないのに、すっかりケンくんとまりさは仲良しになってしまいました。
学校のこと、お友達のこと。
ケンくんがおどけるたびに、まりさの顔には笑顔があふれます。
初めて出会ってから、時間は全然たっていないのに、すっかりケンくんとまりさは仲良しになってしまいました。
「なぁ、まりさ」
「なあに?ケンくん」
「さっきから気になってたんだけど、お前もしかして、右目が…」
ケンくんはそう言ってから、言わなければよかったと後悔しました。
いままでニコニコしていたまりさの顔が一瞬で泣きそうな顔に変わってしまいます。
「な、泣くなよ、ゴメン」
ケンくんにそういわれても、まりさは悲しい気持ちが抑えられそうにありませんでした。
そこでケンくんはあることを思いつきました。
「そ、そうだ!なぁ、まりさ、おまえゆっくりなんだろ?」
「ゆ…?そうだよ、まりさは胴つきさんのゆっくりまりさだよ」
「そうか、胴つきは分らないけど、ゆっくりなら、きっと大丈夫だよな」
そういってケンくんはパンを取り出したランドセルを、もう一度ゴソゴソと漁りました。
「あった」
ケンくんは握った形のまま手をランドセルから引き抜くと、あいてる方の手をまりさの頭にのせて言います。
「まりさ、よくきいて、これは僕のお父さんがいってたんだけどね…」
「ゆ?」
「ゆっくりは自分で思ってるより、ずっと強い生き物だ、出来ないと思ってるだけで、なんでもできるんだ、だって」
まりさは、お姉さんに言われたことを思い出しました。
まりさは”特別なゆっくり”、胴つきさんはなんだってできる…
「普通のゆっくりにだってできるんだ、きっとまりさも大丈夫、いや…」
ケンくんはまりさの目をまっすぐ見つめて言いました。
「絶対大丈夫、僕を信じて…」
まりさはケンくんのまっすぐな視線に吸い込まれてしまうかとおもいました。
ケンくんのおめめ、キラキラしていて、とってもきれい。
ケンくんなら信じても大丈夫。
まりさはそう思いました。
「さぁ、目を閉じて」
まりさは言われたとおりに目を閉じます。
どきどきどき…なぜだかまりさはのおむねは高鳴ります。
ケンくんは何をするんだろう?まりさは何をされるんだろう?
不安はいっぱいありましたけど、まりさはケンくんを信じようと思いました。
「ちょっとだけ我慢しろよ」
ケンくんは、精一杯優しくそう言うと、まりさの右目に手を伸ばします。
痛々しい傷痕の残る瞼をぐっと開くと、そこは黒くぽっかりとした穴があいていました。
ケンくんがぎゅっとにぎった手を開きます、そこには包み紙につつまれた大きな飴玉が握られていました。
包み紙を開けると、中には大きくて綺麗な、真赤な飴玉が入っていました。
「なあに?ケンくん」
「さっきから気になってたんだけど、お前もしかして、右目が…」
ケンくんはそう言ってから、言わなければよかったと後悔しました。
いままでニコニコしていたまりさの顔が一瞬で泣きそうな顔に変わってしまいます。
「な、泣くなよ、ゴメン」
ケンくんにそういわれても、まりさは悲しい気持ちが抑えられそうにありませんでした。
そこでケンくんはあることを思いつきました。
「そ、そうだ!なぁ、まりさ、おまえゆっくりなんだろ?」
「ゆ…?そうだよ、まりさは胴つきさんのゆっくりまりさだよ」
「そうか、胴つきは分らないけど、ゆっくりなら、きっと大丈夫だよな」
そういってケンくんはパンを取り出したランドセルを、もう一度ゴソゴソと漁りました。
「あった」
ケンくんは握った形のまま手をランドセルから引き抜くと、あいてる方の手をまりさの頭にのせて言います。
「まりさ、よくきいて、これは僕のお父さんがいってたんだけどね…」
「ゆ?」
「ゆっくりは自分で思ってるより、ずっと強い生き物だ、出来ないと思ってるだけで、なんでもできるんだ、だって」
まりさは、お姉さんに言われたことを思い出しました。
まりさは”特別なゆっくり”、胴つきさんはなんだってできる…
「普通のゆっくりにだってできるんだ、きっとまりさも大丈夫、いや…」
ケンくんはまりさの目をまっすぐ見つめて言いました。
「絶対大丈夫、僕を信じて…」
まりさはケンくんのまっすぐな視線に吸い込まれてしまうかとおもいました。
ケンくんのおめめ、キラキラしていて、とってもきれい。
ケンくんなら信じても大丈夫。
まりさはそう思いました。
「さぁ、目を閉じて」
まりさは言われたとおりに目を閉じます。
どきどきどき…なぜだかまりさはのおむねは高鳴ります。
ケンくんは何をするんだろう?まりさは何をされるんだろう?
不安はいっぱいありましたけど、まりさはケンくんを信じようと思いました。
「ちょっとだけ我慢しろよ」
ケンくんは、精一杯優しくそう言うと、まりさの右目に手を伸ばします。
痛々しい傷痕の残る瞼をぐっと開くと、そこは黒くぽっかりとした穴があいていました。
ケンくんがぎゅっとにぎった手を開きます、そこには包み紙につつまれた大きな飴玉が握られていました。
包み紙を開けると、中には大きくて綺麗な、真赤な飴玉が入っていました。
まりさは不安で不安でしかたがありませんでした。
今何が起こってるんだろう。
右の瞼に触られたのはわかりましたが、何も見えません。
そして急に、ぐぃっと右目があった位置に衝撃が走ります。
「!!!」
まりさはあまりの痛みに勢いよく仰け反りました。
段ボールの後ろの体をぶつけ、背中がジンジンします。
「いたいぃぃぃ!ケンくんも!?ケンくんもまりさにひどいことするのぉぉお!?」
お兄さんから受けた”トラウマ”が蘇り、まりさの体はガクガクと震えます。
「落ち着いて!落ち着いてまりさ!」
ケンくんが両腕でマリサを強く抱きしめます。
まりさがビクッと体を強張らせると、ケンくんは
「大丈夫、大丈夫だから」
そういって背中をなでてくれます。
まりさは瞑ったままの左目をゆっくりと開けます。
まりさの目にうつったケンくんは、優しく微笑んでいました。
「まりさ、信じてくれ」
ケンくんはまりさの手を握って、まりさの右目にかぶせました。
「まりさの右目、必ず見えるようになる」
「ほんとう…?」
まりさはとてもケンくんの言葉が信じられませんでした。
なぜならあの時、まりさは自分の右目がとれるのをはっきりと左目で見ていたのです。
そして何度右の瞼を開けても、右目に世界が映ることは二度とありませんでした。
なのにどうしてケンくんはそんなことを言うんでしょう、まりさには分かりません。
「本当さ」
「ほんとうに、ほんとう?」
「本当に本当」
「ほんとうのほんとうに、ほんとう?」
「本当ったら本当だ!」
そしてケンくんはニッと笑います。
「絶対大丈夫、僕を信じて」
今何が起こってるんだろう。
右の瞼に触られたのはわかりましたが、何も見えません。
そして急に、ぐぃっと右目があった位置に衝撃が走ります。
「!!!」
まりさはあまりの痛みに勢いよく仰け反りました。
段ボールの後ろの体をぶつけ、背中がジンジンします。
「いたいぃぃぃ!ケンくんも!?ケンくんもまりさにひどいことするのぉぉお!?」
お兄さんから受けた”トラウマ”が蘇り、まりさの体はガクガクと震えます。
「落ち着いて!落ち着いてまりさ!」
ケンくんが両腕でマリサを強く抱きしめます。
まりさがビクッと体を強張らせると、ケンくんは
「大丈夫、大丈夫だから」
そういって背中をなでてくれます。
まりさは瞑ったままの左目をゆっくりと開けます。
まりさの目にうつったケンくんは、優しく微笑んでいました。
「まりさ、信じてくれ」
ケンくんはまりさの手を握って、まりさの右目にかぶせました。
「まりさの右目、必ず見えるようになる」
「ほんとう…?」
まりさはとてもケンくんの言葉が信じられませんでした。
なぜならあの時、まりさは自分の右目がとれるのをはっきりと左目で見ていたのです。
そして何度右の瞼を開けても、右目に世界が映ることは二度とありませんでした。
なのにどうしてケンくんはそんなことを言うんでしょう、まりさには分かりません。
「本当さ」
「ほんとうに、ほんとう?」
「本当に本当」
「ほんとうのほんとうに、ほんとう?」
「本当ったら本当だ!」
そしてケンくんはニッと笑います。
「絶対大丈夫、僕を信じて」
その日ケンくんは、おひさまが傾くまでまりさとおしゃべりをしてくれました。
まりさはケンくんとひとつだけ約束をして、お別れをします。
それは、明日になるまで絶対に右目を開けないことでした。
その約束さえ守れば、まりさの右目は絶対に見える。
ケンくんはそういって、まりさの頭をくしゃくしゃとなでてくれました。
まりさはケンくんを信じることにしました。
まりさはケンくんとひとつだけ約束をして、お別れをします。
それは、明日になるまで絶対に右目を開けないことでした。
その約束さえ守れば、まりさの右目は絶対に見える。
ケンくんはそういって、まりさの頭をくしゃくしゃとなでてくれました。
まりさはケンくんを信じることにしました。
やさしいケンくんがそういうんだもん、ぜったいだいじょうぶなんだよ、まりさはしんじるよ!
まりさはそう心に強く誓うと、明日が待ち遠しくなりました。
おひさまがゆっくりといなくなると、暗い暗い夜がやってきました。
二度目のひとりぼっちの夜、けれどまりさはなぜだか寂しくありませんでした。
まりさは左手でおさげをぎゅっと握ります。
おとうさんとおかあさんが見守ってくれている気がしました。
そして右手で、右の瞼をそっと押さえます。
まりさの右手は、はっきりと昨日の夜に無くなってしまったはずの右目さんがそこにあるのを感じていました。
自分の瞼の中で、ケンくんが、僕を信じて!っていってくれてる、そんな気がします。
おひさまがゆっくりといなくなると、暗い暗い夜がやってきました。
二度目のひとりぼっちの夜、けれどまりさはなぜだか寂しくありませんでした。
まりさは左手でおさげをぎゅっと握ります。
おとうさんとおかあさんが見守ってくれている気がしました。
そして右手で、右の瞼をそっと押さえます。
まりさの右手は、はっきりと昨日の夜に無くなってしまったはずの右目さんがそこにあるのを感じていました。
自分の瞼の中で、ケンくんが、僕を信じて!っていってくれてる、そんな気がします。
みぎめさんがなおる、ケンくんがなおしてくれた…!
ワクワクワクワク、まりさは昨日とは違い、そわそわして眠れません。
早く明日になれ、早く明日になれ。
あんなに怖かったはずの夜が、ちっとも怖くなくなってしまいました。
まりさは左目を開けて夜の空を見上げました。
お星さまがキラキラ輝く、とってもきれいなお空でした。
まりさはこの景色を、右目さんにも、そしてケンくんにも見せてあげたいなと思いました。
早く明日になれ、早く明日になれ。
あんなに怖かったはずの夜が、ちっとも怖くなくなってしまいました。
まりさは左目を開けて夜の空を見上げました。
お星さまがキラキラ輝く、とってもきれいなお空でした。
まりさはこの景色を、右目さんにも、そしてケンくんにも見せてあげたいなと思いました。
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次の日、朝になって小鳥の鳴く声でまりさが目を覚まします。
けれどまりさは右目を開けませんでした。
まりさは昨日の夜眠る前に、なおった右目さんで最初にみるのはケンくんにしようと決めていたのです。
ケンくんが昨日まりさのところに来てくれたのは、
おひさまがお空の一番高いところまでのぼってから少ししてからです。
まりさは日向ぼっこをしながらゆっくりと待ち続けました。
けれどまりさは右目を開けませんでした。
まりさは昨日の夜眠る前に、なおった右目さんで最初にみるのはケンくんにしようと決めていたのです。
ケンくんが昨日まりさのところに来てくれたのは、
おひさまがお空の一番高いところまでのぼってから少ししてからです。
まりさは日向ぼっこをしながらゆっくりと待ち続けました。
まりさがゆっくりと時間を過ごしていると、道の向こうからケンくんがやってきました。
それを見つけたまりさは、おててを目いっぱい広げて、手を振ります。
「ケンくーん!」
それに気づいたケンくんも、ブンブンと手を振り返してくれました。
「まりさ、元気にしてた?」
「うん!」
ケンくんは昨日と同じようにランドセルからパンを取り出してまりさにくれました。
まりさはそれをほおばりながら、元気いっぱいに答えます。
つい昨日まで、あんなに沈んでしまっていたまりさは、もうどこかにいってしまっていました。
「右目、見えるようになった?」
「ゆ!それをいまからたしかめるよ!」
そういってまりさはケンくんの方に向きなおります。
「そうなのか、で、どうしてこっち向くんだ?」
「ゆふふ、みぎめさんでさいしょにみるのは、ケンくんってきめたんだよ!」
まりさはぱっと笑顔を咲かせて言います。
「な、なんだよそれ」
ケンくんは照れてそっぽを向いてしまいます。
無理もありません、元気に微笑むまりさは、
言われなければ”人間の女の子”と間違ってしまうほど、可愛く魅力的でした。
それを見つけたまりさは、おててを目いっぱい広げて、手を振ります。
「ケンくーん!」
それに気づいたケンくんも、ブンブンと手を振り返してくれました。
「まりさ、元気にしてた?」
「うん!」
ケンくんは昨日と同じようにランドセルからパンを取り出してまりさにくれました。
まりさはそれをほおばりながら、元気いっぱいに答えます。
つい昨日まで、あんなに沈んでしまっていたまりさは、もうどこかにいってしまっていました。
「右目、見えるようになった?」
「ゆ!それをいまからたしかめるよ!」
そういってまりさはケンくんの方に向きなおります。
「そうなのか、で、どうしてこっち向くんだ?」
「ゆふふ、みぎめさんでさいしょにみるのは、ケンくんってきめたんだよ!」
まりさはぱっと笑顔を咲かせて言います。
「な、なんだよそれ」
ケンくんは照れてそっぽを向いてしまいます。
無理もありません、元気に微笑むまりさは、
言われなければ”人間の女の子”と間違ってしまうほど、可愛く魅力的でした。
そしてまりさはゆっくりと右の瞼をひらきました。
そこには、昨日ケンくんが入れた”真赤な飴玉”が入っていました。
ケンくんはそわそわしています。
それがケンくんのおやつの”いちごキャンディー”だと知っているのはケンくんだけなのです。
まりさにはそれが何かは説明していませんでした。
突然、まりさの目から大粒の涙があふれ出します。
「ど、どうしたまりさ!?」
ケンくんは慌ててしまいます。
しかしまりさの反応は、ケンくんが想像した”悪い結果”とは別のものでした。
「すごい…ありがとう、ありがとうケンくん!みえる!ケンくんのおかおが、みぎめさんでみえるよ!」
まりさは喜びにうちふるえていたのです。
ケンくんの”いちごキャンディー”は、まりさの”右目さん”として立派に役目を果たしていました。
「う…よかった、よかったな、まりさ…」
泣きながら
ありがとう…ありがとう…
と言い続けるまりさに、ケンくんもすこしもらい泣きをしてしまいました。
涙でキラキラと輝く、まりさの綺麗な左目さんと、”真赤な右目さん”。
ケンくんはそんなまりさのことを、心の底から綺麗だな、とおもいました。
そこには、昨日ケンくんが入れた”真赤な飴玉”が入っていました。
ケンくんはそわそわしています。
それがケンくんのおやつの”いちごキャンディー”だと知っているのはケンくんだけなのです。
まりさにはそれが何かは説明していませんでした。
突然、まりさの目から大粒の涙があふれ出します。
「ど、どうしたまりさ!?」
ケンくんは慌ててしまいます。
しかしまりさの反応は、ケンくんが想像した”悪い結果”とは別のものでした。
「すごい…ありがとう、ありがとうケンくん!みえる!ケンくんのおかおが、みぎめさんでみえるよ!」
まりさは喜びにうちふるえていたのです。
ケンくんの”いちごキャンディー”は、まりさの”右目さん”として立派に役目を果たしていました。
「う…よかった、よかったな、まりさ…」
泣きながら
ありがとう…ありがとう…
と言い続けるまりさに、ケンくんもすこしもらい泣きをしてしまいました。
涙でキラキラと輝く、まりさの綺麗な左目さんと、”真赤な右目さん”。
ケンくんはそんなまりさのことを、心の底から綺麗だな、とおもいました。
まりさとケンくんは、その日も楽しくおしゃべりをして過ごしました。
おひさまが東の空にゆっくりと傾いていきます。
ケンくんがお家に帰らなければいけない時間が近づいてきてしまいます。
「ねぇケンくん…」
別れ際、まりさがぼそっと呟きます。
「どうした?」
「…だいすきだよ」
「なっ!」
ケンくんは顔を真っ赤にしてしまいます。
ケンくんが”女の子”にそんなことを言われたのは、初めてでした。
「ど、どうしたんだよ、急に」
「まりさ、ケンくんとずっといっしょにいたいよ…」
うれしい!
顔には出さなかったけれど、ケンくんは心の底からそう思いました。
ケンくんもまりさと一緒に過ごす時間が、短い間だったけれど、とてもとても大切な時間になっていました。
ケンくんも、できることならまりさと一緒にいたい。
そう心のどこかで思っていたのです。
しかし、まりさは続けます。
「ケンくんがまりさの”かいぬしさん”だったらよかったのに…」
「っ!」
ケンくんは胸がギュッと締め付けられるきがしました。
そうだ、まりさは”胴つきのゆっくり”なんだ。
ケンくんは、キラキラの笑顔で話すまりさと一緒にすごすうちに、すっかりわすれてしまっていました。
綺麗な髪の毛、可愛い声、ちっちゃなおてて、そしてケンくんがあげた”真赤な右目”。
全て含めて、ケンくんはまりさのことを、気づかないうちに”一人の女の子”として見てしまっていたのです。
おひさまが東の空にゆっくりと傾いていきます。
ケンくんがお家に帰らなければいけない時間が近づいてきてしまいます。
「ねぇケンくん…」
別れ際、まりさがぼそっと呟きます。
「どうした?」
「…だいすきだよ」
「なっ!」
ケンくんは顔を真っ赤にしてしまいます。
ケンくんが”女の子”にそんなことを言われたのは、初めてでした。
「ど、どうしたんだよ、急に」
「まりさ、ケンくんとずっといっしょにいたいよ…」
うれしい!
顔には出さなかったけれど、ケンくんは心の底からそう思いました。
ケンくんもまりさと一緒に過ごす時間が、短い間だったけれど、とてもとても大切な時間になっていました。
ケンくんも、できることならまりさと一緒にいたい。
そう心のどこかで思っていたのです。
しかし、まりさは続けます。
「ケンくんがまりさの”かいぬしさん”だったらよかったのに…」
「っ!」
ケンくんは胸がギュッと締め付けられるきがしました。
そうだ、まりさは”胴つきのゆっくり”なんだ。
ケンくんは、キラキラの笑顔で話すまりさと一緒にすごすうちに、すっかりわすれてしまっていました。
綺麗な髪の毛、可愛い声、ちっちゃなおてて、そしてケンくんがあげた”真赤な右目”。
全て含めて、ケンくんはまりさのことを、気づかないうちに”一人の女の子”として見てしまっていたのです。
急にだまってしまったケンくんの顔を、まりさは不思議そうにのぞきこみます。
「ケンくん、どうしたの?」
「な、なんでもない!」
ケンくんはぷぃっとまりさから顔をそむけます。
「ぼ、僕だけじゃ決めれないから、お父さんに相談してやるよ!」
「ほんとう!?」
「まりさがうちのペットになってくれたら、僕もうれしいよ」
「ケンくん、どうしたの?」
「な、なんでもない!」
ケンくんはぷぃっとまりさから顔をそむけます。
「ぼ、僕だけじゃ決めれないから、お父さんに相談してやるよ!」
「ほんとう!?」
「まりさがうちのペットになってくれたら、僕もうれしいよ」
(違う、そうじゃない、僕が言いたいことは、そんなことじゃないはず…)
「ありがとう!」
そういって笑うまりさの顔を見て、ケンくんの心がまたチクリと痛みました。
そういって笑うまりさの顔を見て、ケンくんの心がまたチクリと痛みました。
ケンくんは、まりさと別れて家に着くまでの間、ずっと考え事をしていました。
まりさは”ゆっくり”だ、胴体がついてるだけの、あの”首だけ饅頭”なんだ。
何度も何度もそう言い聞かせますが、頭では分かっていても、心が揺れ動きます。
ちょっと信じるだけで、飴玉が目になっちゃうような生き物なんだぞ!
そう考えても、あの時『ありがとう』と言ってくれたまりさの笑顔が、頭に浮かんで離れません。
あの時、ケンくんも心の底からほっとしていました。
まりさの目に飴玉を入れて、別れた時から、『信じて』といったケンくんが一番不安だったのです。
まりさの心からの笑顔で、ケンくんはこんなにも胸が熱くなるなんて、思っていませんでした。
『ケンくんがまりさの”かいぬしさん”だったらよかったのに…』
その言葉を思い出すと、また心がチクリと痛みます。
まりさは”ゆっくり”だ、胴体がついてるだけの、あの”首だけ饅頭”なんだ。
何度も何度もそう言い聞かせますが、頭では分かっていても、心が揺れ動きます。
ちょっと信じるだけで、飴玉が目になっちゃうような生き物なんだぞ!
そう考えても、あの時『ありがとう』と言ってくれたまりさの笑顔が、頭に浮かんで離れません。
あの時、ケンくんも心の底からほっとしていました。
まりさの目に飴玉を入れて、別れた時から、『信じて』といったケンくんが一番不安だったのです。
まりさの心からの笑顔で、ケンくんはこんなにも胸が熱くなるなんて、思っていませんでした。
『ケンくんがまりさの”かいぬしさん”だったらよかったのに…』
その言葉を思い出すと、また心がチクリと痛みます。
家に帰ったケンくんは、晩御飯の時間にお父さんにまりさのことを話しました。
「学校の帰り道に”胴つきのゆっくり”が捨てられてたんだけど、うちで飼えないかな…」
ケンくんのお父さんは、晩御飯を食べながらケンくんの目をちらりと見ます。
ケンくんはとっさに視線を外します。
ケンくんは何となくお父さんに
ケンくんの今のもやもやした気持ちを見透かされてしまうようで、イヤでした。
「胴つきのゆっくりねぇ…まぁ、いいけど、お前がちゃんと世話するんだぞ」
「本当!?」
ケンくんは思わず身を乗り出してしまいます。
お母さんはケンくんのその様子をみて、「また甘やかして…」と呟きましたが、
ケンくんにはそんなこと気になりませんでした。
まりさと一緒にいられる、これからも、ずっと。
そう思うだけでケンくんの胸はいっぱいでした。
「学校の帰り道に”胴つきのゆっくり”が捨てられてたんだけど、うちで飼えないかな…」
ケンくんのお父さんは、晩御飯を食べながらケンくんの目をちらりと見ます。
ケンくんはとっさに視線を外します。
ケンくんは何となくお父さんに
ケンくんの今のもやもやした気持ちを見透かされてしまうようで、イヤでした。
「胴つきのゆっくりねぇ…まぁ、いいけど、お前がちゃんと世話するんだぞ」
「本当!?」
ケンくんは思わず身を乗り出してしまいます。
お母さんはケンくんのその様子をみて、「また甘やかして…」と呟きましたが、
ケンくんにはそんなこと気になりませんでした。
まりさと一緒にいられる、これからも、ずっと。
そう思うだけでケンくんの胸はいっぱいでした。
晩御飯の片づけを手伝って、自分の部屋に行こうとするケンくんの背中に、お父さんは声をかけます。
「ケン、ゆっくりは”家族”にはなりえるが、所詮”ペット”だからな、それは胴つきだって一緒だぞ」
「わかってるって!」
ケンくんは振り向かずにそう言って食卓を後にします。
いえ、振り向けなかったのです。
ズキズキズキ…心が痛みます。
なぜだかわからないけれど、ポロリと涙がこぼれました。
「ケン、ゆっくりは”家族”にはなりえるが、所詮”ペット”だからな、それは胴つきだって一緒だぞ」
「わかってるって!」
ケンくんは振り向かずにそう言って食卓を後にします。
いえ、振り向けなかったのです。
ズキズキズキ…心が痛みます。
なぜだかわからないけれど、ポロリと涙がこぼれました。
ケンくんは寝る前にベッドの中で考えました。
まりさは”胴つきのゆっくり”、まりさは”ペット”。
納得できないわけではありませんでした。
けれどケンくんは、胸の痛みがなんとなくわかってしまいました。
ベッドの中でうとうととしながらケンくんは昔のことを思い出します。
それはケンくんが今よりもっと小さかったころ、一人っ子のケンくんはお母さんに
『妹か弟がほしい!』
と、泣いてせがんだことがありました。
ケンくんがまりさのことを”女の子”としてしか見れなくなってしまったのは、
きっとまりさと一緒にいる時間、自分に妹がいたらきっとこんな感じ…
そう感じてしまったからだと、思いました。
まりさがうちのペットになってしまったら、その関係は崩れてしまうんだろうか。
ケンくんはベッドの中で考えます。
考えても考えても、ケンくんには答えは出せませんでした。
けれど、
まりさと一緒にいたい。
この気持ちだけは、今も変わりませんでした。
ケンくんの中でまりさは、いつのまにか”特別な存在”になっていました。
まりさは”胴つきのゆっくり”、まりさは”ペット”。
納得できないわけではありませんでした。
けれどケンくんは、胸の痛みがなんとなくわかってしまいました。
ベッドの中でうとうととしながらケンくんは昔のことを思い出します。
それはケンくんが今よりもっと小さかったころ、一人っ子のケンくんはお母さんに
『妹か弟がほしい!』
と、泣いてせがんだことがありました。
ケンくんがまりさのことを”女の子”としてしか見れなくなってしまったのは、
きっとまりさと一緒にいる時間、自分に妹がいたらきっとこんな感じ…
そう感じてしまったからだと、思いました。
まりさがうちのペットになってしまったら、その関係は崩れてしまうんだろうか。
ケンくんはベッドの中で考えます。
考えても考えても、ケンくんには答えは出せませんでした。
けれど、
まりさと一緒にいたい。
この気持ちだけは、今も変わりませんでした。
ケンくんの中でまりさは、いつのまにか”特別な存在”になっていました。
「なんだよ…まりさのうそつき…」
次の日、ケンくんがまりさのいた段ボールのところに行くと、そこにまりさはいませんでした。
もしかしたら、たまたますれ違っただけかも…?
そう思って段ボールの前に座り、一時間がたち、二時間がたち…
ゆっくりと空がオレンジ色にそまっても、まりさは段ボールのところに戻ってはきませんでした。
けれどケンくんは待ち続けます。
探すあてはありませんでした、ケンくんとまりさの接点はこの段ボールだけでした。
すっかりあたりが暗くなっても、まりさは帰ってきませんでした。
もしかしたら、たまたますれ違っただけかも…?
そう思って段ボールの前に座り、一時間がたち、二時間がたち…
ゆっくりと空がオレンジ色にそまっても、まりさは段ボールのところに戻ってはきませんでした。
けれどケンくんは待ち続けます。
探すあてはありませんでした、ケンくんとまりさの接点はこの段ボールだけでした。
すっかりあたりが暗くなっても、まりさは帰ってきませんでした。
「こんなところで、何してるんだ!」
誰かがケンくんの上から声をかけます。
ケンくんが顔をあげます。
そこにいたのはケンくんのお父さんでした。
「全く…」
ケンくんのお父さんは座り込んだケンくんを立たせます。
けれどお父さんはそれ以上なにも言いませんでした。
ケンくんは黙っていたけれど、両目からボロボロと大粒の涙があふれていることに気づいてしまったからです。
誰かがケンくんの上から声をかけます。
ケンくんが顔をあげます。
そこにいたのはケンくんのお父さんでした。
「全く…」
ケンくんのお父さんは座り込んだケンくんを立たせます。
けれどお父さんはそれ以上なにも言いませんでした。
ケンくんは黙っていたけれど、両目からボロボロと大粒の涙があふれていることに気づいてしまったからです。
ケンくんはお父さんに手をひかれて家に帰ります。
「遅くまでどこで遊んでたの!」
お母さんはキツくケンくんを叱りました。
でもケンくんにはお母さんの声は届きません。
ケンくんはただただまりさのことを思い出しては、ボロボロと涙をこぼすだけでした。
「遅くまでどこで遊んでたの!」
お母さんはキツくケンくんを叱りました。
でもケンくんにはお母さんの声は届きません。
ケンくんはただただまりさのことを思い出しては、ボロボロと涙をこぼすだけでした。
次の日も、次の日も、ケンくんは学校が終わると”まりさの段ボール”の前を通って帰りました。
しかしまりさが再び段ボールの中にいることは、ついにありませんでした。
しかしまりさが再び段ボールの中にいることは、ついにありませんでした。
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それはケンくんが空の”まりさの段ボール”を見つける少し前。
「きょうもケンくん、きてくれるかな!」
まりさがケンくんのことを想い、期待に胸をふくらませていた時のことでした。
「ゆんやぁあーーーーー!!!!!」
今まで静かだった辺りに、突然悲鳴が響きます。
「おぢびじゃああーーーー!!どぼじでぇぇぇーーー!?」
「ゆっくりして!ゆっくりしてねぇ!?」
その悲鳴の声色から、ただ事ではないことが起こっているのがわかりました。
「ゆ!どうしたんだろう…」
悲痛な叫びにいてもたってもいられず、まりさは段ボールを飛び出しました。
「きょうもケンくん、きてくれるかな!」
まりさがケンくんのことを想い、期待に胸をふくらませていた時のことでした。
「ゆんやぁあーーーーー!!!!!」
今まで静かだった辺りに、突然悲鳴が響きます。
「おぢびじゃああーーーー!!どぼじでぇぇぇーーー!?」
「ゆっくりして!ゆっくりしてねぇ!?」
その悲鳴の声色から、ただ事ではないことが起こっているのがわかりました。
「ゆ!どうしたんだろう…」
悲痛な叫びにいてもたってもいられず、まりさは段ボールを飛び出しました。
まりさが声のする方に向って走っていくと、現場はすぐ近くにある公園でした。
そこにいたのは、3匹の”野良ゆっくり”でした。
「いぢゃいいぃいいいーーー!!」
一番最初に悲鳴をあげていたのは、生まれて間もないであろう小さな”子ゆっくりれいむ”でした。
「おかあさんがぺーろぺーろしてあげるからねぇ!ゆっくりしてぇぇ!」
おかあさん、と言った”ゆっくりれいむ”は悲鳴を上げる子れいむを必至に舐めまわします。
「ゆわわわわわ、どうしたらいいんだぜぇ」
そばにいる”ゆっくりまりさ”は、うろたえて二匹の回りをぽよぽよと跳ねながらゆっくりと回っていました。
まりさは”野良ゆっくり”を見るのは初めてでした。
今まで、育ったペットショップで見ていた綺麗なゆっくりたちとは違い、薄汚れ、お飾りもボロボロ。
ゆっくりできていないな、とまりさは感じました。
しかしまりさは勇気を出して話しかけてみることにしました。
「どうしたの…?」
その声に母れいむが振り返ります。
そして母れいむは涙と涎をまき散らしながらまりさに言いました。
「ゆわぁぁああ!!おちびちゃんが”くささん”でおけがをしちゃったんですううぅうう!!
だれでもいいからおちびちゃんをたすけてあげてくださいいぃぃいい!!」
そばにいた父まりさも後に続いて言いました。
「まりさからもおでがいぢばずぅぅう!まりさとれいむのたいせつなおちびちゃんなんでずぅううう!!!」
二匹がそうしている間にも、子れいむは小さな体をブルブルと震わせ始めてしまいます。
「いぢゃいぃぃ…ゆ"っ!ゆ"っ!」
まりさが近づいて、子れいむをよく見てみると、子れいむの体の半分よりしたの部分に小さな切り傷をみつけました。
そこからはゆっくりと餡子が漏れ出しています。
「おでがい!おでがいでずからあぁぁあ!!!」
母れいむはまりさに向って何度も何度も頭を下げ続けました。
しかしまりさにはどうしたらいいかわかりません。
そうこうしている間に、子れいむはどんどん弱っていってしまいます。
「も……ゆっく…」
(どうしよう、このままじゃおちびちゃんが…)
まりさは必至に考えました、するとまりさは突然、ケンくんがまりさに言ってくれたことを思い出しました。
『ゆっくりは自分で思ってるより、ずっと強い生き物だ、出来ないと思ってるだけで、なんでもできるんだ』
(そうだよ、それにまりさは”とくべつなゆっくり”だよ!ぜったいたすけるんだ!)
まりさはおもむろに片手で子れいむの傷口を、つまみ、塞ぎます。
「ゆぎぃ!!」
子れいむが悲鳴をあげます、それを見て父まりさが声を張り上げました。
「な、なにしてるんだぜぇぇ!?おちびちゃんをいじめるゲスは!」
「だいじょうぶだよ!」
『ゆっ!?』
まりさの突然の大声に、子れいむを含めた3匹が、驚きで固まってしまいました。
「ぜったいだいじょうぶ、まりさをしんじて!」
まりさは”ケンくんに貰った言葉”を繰り返します。
「こんなのかすりきずだよ、すぐにくっつくよ、だから、”ぜったいだいじょうぶ”だよ!」
「ほんとに…?」
子れいむがまりさの目を見て言います。
「だいじょうぶだよ、いたくないよ、ほら!」
まりさは子れいむににっこりとほほ笑みかけてから手をどけました。
そこにさっきまであった小さな切り傷は、わずかな跡を残してすっかり消えてしまっていました。
「ゆ…ゆゆっ!!」
子れいむは大きな目をぱちくりさせ、驚きの声をあげます。
「ほんとだ!いたくないよ!」
そう言って子れいむは、ぴょんぴょんと跳ね、まりさのまわりを回ります。
その元気な姿を見て、母れいむと父まりさは驚きと喜びの声をあげました。
「す、すごいんだぜぇぇ!きせきさんがおこったのぜ!」
「ありがとうございばずううぅううう!!!!!」
そして子れいむ跳ねまわりながらまりさにお礼をいいました。
「おねーちゃんゆっくりありがとう!ゆっくり!ゆっくり!」
「ゆ…そんな、とーぜんのことをしたまでだよ!」
まりさは、えへんっ!と胸をはります。
まりさは3匹に感謝されて誇らしくて胸がいっぱいになりました。
(やっぱりまりさは”とくべつなゆっくり”だね!)
そこにいたのは、3匹の”野良ゆっくり”でした。
「いぢゃいいぃいいいーーー!!」
一番最初に悲鳴をあげていたのは、生まれて間もないであろう小さな”子ゆっくりれいむ”でした。
「おかあさんがぺーろぺーろしてあげるからねぇ!ゆっくりしてぇぇ!」
おかあさん、と言った”ゆっくりれいむ”は悲鳴を上げる子れいむを必至に舐めまわします。
「ゆわわわわわ、どうしたらいいんだぜぇ」
そばにいる”ゆっくりまりさ”は、うろたえて二匹の回りをぽよぽよと跳ねながらゆっくりと回っていました。
まりさは”野良ゆっくり”を見るのは初めてでした。
今まで、育ったペットショップで見ていた綺麗なゆっくりたちとは違い、薄汚れ、お飾りもボロボロ。
ゆっくりできていないな、とまりさは感じました。
しかしまりさは勇気を出して話しかけてみることにしました。
「どうしたの…?」
その声に母れいむが振り返ります。
そして母れいむは涙と涎をまき散らしながらまりさに言いました。
「ゆわぁぁああ!!おちびちゃんが”くささん”でおけがをしちゃったんですううぅうう!!
だれでもいいからおちびちゃんをたすけてあげてくださいいぃぃいい!!」
そばにいた父まりさも後に続いて言いました。
「まりさからもおでがいぢばずぅぅう!まりさとれいむのたいせつなおちびちゃんなんでずぅううう!!!」
二匹がそうしている間にも、子れいむは小さな体をブルブルと震わせ始めてしまいます。
「いぢゃいぃぃ…ゆ"っ!ゆ"っ!」
まりさが近づいて、子れいむをよく見てみると、子れいむの体の半分よりしたの部分に小さな切り傷をみつけました。
そこからはゆっくりと餡子が漏れ出しています。
「おでがい!おでがいでずからあぁぁあ!!!」
母れいむはまりさに向って何度も何度も頭を下げ続けました。
しかしまりさにはどうしたらいいかわかりません。
そうこうしている間に、子れいむはどんどん弱っていってしまいます。
「も……ゆっく…」
(どうしよう、このままじゃおちびちゃんが…)
まりさは必至に考えました、するとまりさは突然、ケンくんがまりさに言ってくれたことを思い出しました。
『ゆっくりは自分で思ってるより、ずっと強い生き物だ、出来ないと思ってるだけで、なんでもできるんだ』
(そうだよ、それにまりさは”とくべつなゆっくり”だよ!ぜったいたすけるんだ!)
まりさはおもむろに片手で子れいむの傷口を、つまみ、塞ぎます。
「ゆぎぃ!!」
子れいむが悲鳴をあげます、それを見て父まりさが声を張り上げました。
「な、なにしてるんだぜぇぇ!?おちびちゃんをいじめるゲスは!」
「だいじょうぶだよ!」
『ゆっ!?』
まりさの突然の大声に、子れいむを含めた3匹が、驚きで固まってしまいました。
「ぜったいだいじょうぶ、まりさをしんじて!」
まりさは”ケンくんに貰った言葉”を繰り返します。
「こんなのかすりきずだよ、すぐにくっつくよ、だから、”ぜったいだいじょうぶ”だよ!」
「ほんとに…?」
子れいむがまりさの目を見て言います。
「だいじょうぶだよ、いたくないよ、ほら!」
まりさは子れいむににっこりとほほ笑みかけてから手をどけました。
そこにさっきまであった小さな切り傷は、わずかな跡を残してすっかり消えてしまっていました。
「ゆ…ゆゆっ!!」
子れいむは大きな目をぱちくりさせ、驚きの声をあげます。
「ほんとだ!いたくないよ!」
そう言って子れいむは、ぴょんぴょんと跳ね、まりさのまわりを回ります。
その元気な姿を見て、母れいむと父まりさは驚きと喜びの声をあげました。
「す、すごいんだぜぇぇ!きせきさんがおこったのぜ!」
「ありがとうございばずううぅううう!!!!!」
そして子れいむ跳ねまわりながらまりさにお礼をいいました。
「おねーちゃんゆっくりありがとう!ゆっくり!ゆっくり!」
「ゆ…そんな、とーぜんのことをしたまでだよ!」
まりさは、えへんっ!と胸をはります。
まりさは3匹に感謝されて誇らしくて胸がいっぱいになりました。
(やっぱりまりさは”とくべつなゆっくり”だね!)
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とくべつ~前編~終
とくべつ~前編~終
文字数制限のせいで、中途半端なところできることになってしまいました。
引き続き後編をお楽しみください。
引き続き後編をお楽しみください。
挿絵:にとりあき