ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1846 お飾り殺ゆ事件 後編
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「ふぅん、殺ゆ事件ねえ」
男は眉を寄せて答える。
「そうなの!そこでなんとかにんげんさんのちえをかしてもらえないかしら?」
男に必死に頼み込む長ぱちゅりー。
「まあ、それはいいけどさ、でも別に人間の言うことが何でもかんでも正しいってわけでもないんだぜ。特にゆっくりの問題に関してはさ」
やれやれといった口調で答える男。
いつものように、男が群れの視察にやってきてみると、長であるぱちゅりーにある相談を持ちかけられた。
何でも群れ内で殺ゆ事件が起こってしまったそうなのだ。
容疑ゆであるちぇんは既に捕まっているらしいのだが、そのちぇんと親しいありすの話しではちぇんが殺ゆなど絶対にありえないと主張しているそうだ。
また、証拠や殺ゆ現場から逃げ去るちぇんを目撃したなどの証言はあるものの、実際に殺害した瞬間を見たものはおらず、ちぇんも容疑を否認している。
何分殺ゆ事件など群れができてからはじめてのことで、長ぱちゅりーもこのままちぇんを制裁していいものか迷っているらしい。
そこで、男の意見を参考にしようという話しが幹部会議で決まったそうだ。
男がちぇんが犯人でないと正しく主張するならそれでいいし、逆に犯人がちぇんに間違いないと断定してくれれば、幹部ありすも諦めると言っているらしい。
「むきゅ!人間さんこれはしっかりと調べてみる必要があると思うわ」
話しを聞いていた連れのぱちゅりーが気合のこもった声で言う。
このぱちゅりーは、昔とある事件で男と出会い、それ以来人間社会の勉強もかねて男と同行しているゆっくりだ。
ゆっくりにしては真面目な正確のこのぱちゅりーはこの手の仕事に敏感なのだった。
「まあ、そうね。とりあえずきちんと調べてからじゃないとめったな事はいえないわな。
んーそれじゃあまずそのれいむが殺された現場を見てみようかなっと」
カリカリと頭を掻く男。
「ゆ!それならまりさがそこまであんないするのぜ!」
そう勢いよく殺されたれいむのおうちへの道案内を買って出る幹部まりさ。
「おお、そうか。わざわざ悪いね」
「ゆゆ!じけんかいけつのためにはかんぶとして、とうぜんのことなのぜ!」
にやりと笑うまりさ。
(ゆっふっふっふっふ!人間さんの近くにいれば捜査状況を確認することができるのぜ!
さらにはまりさがちぇんを犯人であるかのように、人間さんをミスリードしてやるのぜ!ゆっふっふっふっふ!)
そんなわけで、男とぱちゅりーと幹部まりさはれいむのおうちへと向かったのだった。
「そういえばさ、お前さんがちぇんの事を目撃したゆっくりなんだって?」
れいむの死体があるおうちへ向かう道すがら、男がまりさに尋ねる。
「そうなのぜ!きのうのゆうがたごろのはなしなのぜ!まりさはれいむのおうちからとびたしてきたちぇんをこのめでみたのぜ!」
「ふーん。見たのはお前さんだけ?周りのに他のゆっくりはいなかったのかな?」
「だれもいなかったのぜ!まりさだけなのぜ!」
「あっそう。それじゃあ、ちぇんのことを目撃していたのはまりさ一匹だけってことになるねえ…」
そう呟く男。
目撃証言ゆが一匹しかいない。これでは証拠能力としては若干疑わしいのではないか?
そんな風に男が考えているように、まりさには聞こえた。
「ゆゆゆゆ!に、にんげんさん!まりさうそついてないよ!ほんとだよ!」
慌てた様子でまりさが男の周りを跳ね回る。
「え?別に誰も嘘だなんて言ってないよ?ただ一匹だけだと見間違えとかそういうことってあるじゃないかと思ってさ。
他のゆっくりもちぇんのことを見ていたのなら、その可能性も低くなるんだけどな、って話しだよ」
「ゆゆ。そういうことなのかぜ!あれはちぇんにまちがいなかったのぜ!」
「…そう」
男はそれ以上深く突っ込まず、黙ってしまった。
(ゆう!びっくりしたのぜ!まったくまぎらわしいのぜ!)
とりあえず自分が疑われてはいないようだ。
そう判断したまりさは、内心で胸をなでおろした。
「ゆ!ついたのぜ!ここがれいむのおうちなのぜ!」
しばらく歩いた後、殺ゆ現場と思わしきおうちの場所にたどり着く男たち一同。
ゆっくりの死体があるおうちに近づくような物好きは流石にいないのか、おうちの周りにはだれもいなかった。
「このおうちの中は、昨日からいじってないかい?」
男がまりさに確認する。
「ゆっ!ぜんぶそのままにしてあるのぜ!」
「そうか。それじゃま、ちょっくら調べてみますかね。ぱちゅりーちょっと中に入って見てきてよ」
「むきゅ!わかったわ」
そう言い、おうちの中へ跳ねていくぱちゅりー。
当然ながら人間である男は、ゆっくりのおうちに入ることなどできない。
せいぜい外から中を覗き込むくらいが関の山だ。それでは正確な情報は手に入らない。
そのため男はぱちゅりーにおうち内の調査を任せたのだ。
「ところでさ、まりさ」
「ゆ?」
待っている間ヒマなのか、まりさに話しかける男。
「参考にまで聞いておきたいんだけど、お前さんれいむはどこで殺されたんだと考えている?」
「ゆゆ?そりゃもちろんちぇんのおうちにきまってるのぜ!」
さもとうぜんといった感じで答えるまりさ。
「へえ、そりゃまたどうしてそう思うんだ?れいむの死体は自分のおうちで見つかったんだろ?」
男がさぞ不思議そうにまりさに尋ねる。
死体が見つかったのはれいむのおうち。ならば犯行もそこで行われたと考えるのが普通ではないか?
そう主張する男。
それに対してまりさがバカにしたような顔を男に向ける。
「ちっ、ちっ、ちっ、わかってないのぜにんげんさん!ちぇんのおうちからは、れいむのおかざりがでてきたのぜ!
つまりちぇんは、れいむをじぶんのおうちのなかにさそいこんでころしたのぜ!それから、れいむのおうちへ、したいをはこんでいったのぜ!」
まりさの主張によれば、れいむが殺されたのはちぇんのおうちであるという。
なぜならば証拠のお飾りが、ちぇんのおうちから発見されたからだ。
確かにそう推理しなければ、れいむのお飾りがちぇんのおうちにあった説明がつかないだろう。
「ああ、成る程、それで証拠のおかざりがれいむのおうちにあった訳だ。まりさお前頭いいな」
「ゆっへっへっそれほどでもないのぜ!」
褒められて気を良くしたのかにやにやとするまりさ。
「むきゅ!大体見終わったわ」
そうこうしている内に、おうちの中からぱちゅりーがのっそりと出てきた。
どうやら大方の調査は終わったようだ。
「ご苦労さんぱちゅりー。それでどうだった?中の様子は?」
「むきゅ!ひどい有様だったわ!そこらじゅうに餡子が飛び散っていたわ。多分れいむはあのおうち内で殺されたんでしょうね」
中の様子を思い出したのか、顔をしかめるぱちゅりー。
「ふぅん。だってさまりさ。どうやられいむは、ちぇんのおうちじゃなくて、このれいむのおうちで殺されたみたいだぜ。どういうことなんだろうねえ?」
男は不思議だなあ、といった様子でまりさに尋ねる。
事実れいむのおうちには、壁の四方にれいむのものとおぼしき餡子が大量にが付着しており、
少なくともれいむが殺害された犯行現場はこの場所に間違いないと推測された。
これでは、まりさの主張しているちぇんのおうちが殺害現場説は通らないように思える。
「ゆっ、ゆううう、ち、ちがうのぜ……。そ、そうだ!つまりこういうことなのぜ!
ちぇんはおうちでれいむをたいあたりできぜつさせてから、れいむのおうちにはこんでいって、それからこのばしょでとどめをさしたのぜ!」
慌てたまりさは、そう自らの主張を差し替える。
つまり、れいむはちぇんのおうちで襲われたことは間違いないが、そこでは殺害までは行かず、
気絶したれいむをちぇんはれいむのおうちまで運び、それから殺害をしたというわけだ。
確かにこれならばお飾りの件の矛盾は発生しない。
「ほう!成る程ね。うん、それなら一応話しの筋は通るな」
男は納得したかのようなそぶりをまりさに見せる。
「本当にそうかしら?」
しかしこんどは、ぱちゅりーがまりさに疑問を投げかける。
「今見てきたけど、殺されたあのれいむはかなり太ってて、いくら気絶していたからってちぇん一匹で運ぶのはとっても大変そうよ。
やっぱり初めから最後までこの場所で犯行は行われたと考えたほうが、無理がないんじゃないかしら?」
そう推理するぱちゅりー。実際ぱちゅりーの言う通りに死体のれいむは醜く太っており、普通の成体ゆっくりよりも一回りほど大きかった。
すばしっこいが小柄なちぇんが、一匹で運ぶには相当な苦労が予想される。
「ゆがあああああああ!うるさいのぜ!きっとちぇんはじぶんのはんこうがみつかるかどうかのせとぎわで、ものすごいちからがでたのぜ!
かじばのばかゆじからなのぜ!きっとそうにちがいないのぜ!にんげんさん!ちょうさはもうじゅうぶんなのぜ!
ちぇんがはんにんにきまってるのぜ!さっさと、おさにほうこくしにいくのぜ!」
さっきまでの余裕はどこへやら、急に騒ぎ出すまるりさ。
「まあまあ、まりさ、落ち着けよ。おれはお前の方が正しいと思ってるんぜ」
男がそうまりさをなだめる。
「ゆ!そうなのかぜ!それならあんっしんなのぜ!それじゃあさっそくおさにほうこくにいくのぜ!いっけんらくちゃくなのぜ!」
自分を信じていると男に言われ、コロッと態度を変えるまりさ。
「いやまあそうなんだけどさ、でもその前にいくつか確認したいことがあるんだわ、お前さんはさきに戻っててくれないかい」
「ゆっくりりかいしたのぜ!なるべくはやくくるんだぜげんさん!」
それだけ言うとまりさは、安心した表情で軽やかに跳ねていった。
「ふう、やれやれ」
まりさが跳ねていった方を見つめて息を吐く男。
「むきゅ!人間さん、本当にあのまりさの言った通りだと思ってるの?」
早速男に質問をするぱちゅりー。
さっきまりさに言った言葉は男の本音ではないのではないか?
なんだかんだで結構付き合いの長いぱちゅりーはそうな風に感じていた。
なぜならこの男はゆっくりを油断させるためによくこういった嘘をつくのだ。
「さてね、そう言うお前はどう思ってんの?よっと」
男はその場に屈みこんで、れいむのおうちの中を覗き込む。
「おー見事に餡子が飛び散ってるね。こりゃ間違いなくここで殺されてるわ」
おうちを覗き込んだ男がそう感想をもらす。
さらに男はおうちの中の幾つかの点を確認すると、よいしょと言いながら顔を上げる。
「さて、そんじゃ犯行の状況を整理してみるとしますか。
犯ゆだと思われているちぇんはまずどうにかして被害ゆのれいむを自分のおうちに誘い出した。
この際方法はどうでもいいや。ご飯を食べさせてあげるとかそんな理由で適当に釣ったということにしよう。
そこで今度はれいむを何らかの手段で気絶させる。まあ普通に体当たりでもしたんだろう。そのときの衝撃でれいむの飾りが一部外れる。ちぇんはそれに気づかなかった。
次にちぇんはまだ息のあるれいむをおうちまで運び、そこで止めをさして逃亡した。その際、おうちから出てくるところを幹部まりさに目撃された。
と、まあこれがあの幹部まりさの主張な訳だが、何かおかしなところはあるかなぱちゅりー?」
「むきゅ!あるわ!」
「ほう。例えば?」
男は楽しそうに質問する。
「ちぇんはどうして自分のおうちにある、れいむのお飾りに気づかなかったのかしら?」
ぱちゅりーの一つ目の疑問はそこだった。
自分が普段暮らしているおうちに、自らが殺害しようとしているゆっくりのお飾りが落ちているのに、
気づかなかったなんて間抜けな話しが本当にあるのだろうか?
「れいむを殺すのに夢中でお飾りが外れたことに気づかなかったんじゃないか?
聞いたところによると、ちぇんはまりさたちがやって来た時寝てたらしい。
れいむをおうちまで引きずっていき、さらにおうちで殺害するのは中々の重労働だぜ、相当に疲労しただろうよ。
くたくたになって帰ってきてさあ一安心、一気に気が抜けて周囲をよく確認せず、お飾りに気づかずそのまま寝ちまった可能性はまあ、ある」
そう男が反論する。
「むきゅ!それじゃどうしてちぇんはわざわざ気絶したれいむを自分のおうちまで運ぶなんて面倒なことをしたのかしら?」
それがぱちゅりー二つ目の疑問だった。
どうしてわざわざ苦労してまで気絶したれいむ運んで元のおうちに戻す必要があるのか?
その辺に捨てておけばいいものを。
「まず自分のおうちで潰しちまうと、それこそ餡子が飛び散って証拠が残っちまうからだろうな。
かといって外で潰したんじゃ、どこに他のゆっくりの目があるかわかったもんじゃない。
なるべくなら殺す作業は誰の目もない室内で行いたいもんだろう?
だからといって、他のゆっくりのおうちで潰すのは論外だ、いつ家主のゆっくりが帰ってくるかもわからないからな。
自分のおうちもダメ、かといって他のおうちはもっとダメ。
となると残りはれいむのおうちしかない。何せ家主のれいむを殺すんだからな。誰に見られる心配もないってわけだ」
「むっきゅー」
唸るぱちゅりー。
自分の投げ掛けた疑問はことごとく男によって論破されてしまう。
そしてそれらの反論は、確かにそれなりに説得力がある解釈であった。
ぱちゅりーは、ちぇんが犯人ではないと考えていたのだが、そうではないのだろうか?
「むきゅ!にんげんさんは、ちぇんが犯ゆだと思っているの?」
思い切って尋ねてみるぱちゅりー。
それに対して男はいつものような軽い調子で、
「いんや全然。多分犯ゆはあの幹部まりさだよ」
そう何でもないことのように答えたのであった。
「むきゅ!どういうことなの?だって人間さんは…」
男の意外な答えに戸惑うぱちゅりー。
「いやいや、別にオレちぇんが犯人だなんて一言もいってないぜ。あくまでちぇんが犯人だった場合そういう解釈もできるってだけの話だ。
たしか前回のときもお前に物事を一面的な視点で見るなみたいなこと言わなかったっけ?」
男は片目をつぶる。
「じゃあまりさが犯人だって言うのは?」
「そういう風に考えた場合、何の矛盾無なくスムーズに仮説が成り立つのさ。もっとも今のところ証拠はないがね。
あとはオレのカンだ。あのまりさは嘘をついている気がする」
「むきゅ!確かにぱちぇもあのまりさは何となく信用できないと思っていたけど、でもやっぱり証拠がないんじゃどうしょうもないじゃない?」
そう。いくら怪しいゆっくりがいたとしても、証拠もなしに犯人扱いしてしまってはゆっくりたちがやっていることとなんら変わらないことになる。
「そうだな。ゆっくりの犯罪は現行犯以外は中々立件が難しい。
人間の場合ならば、動かぬ証拠と成り得る指紋やら血液検査やら毛髪などの科学捜査がほとんど行えない。そこが泣き所だな。
昔関わったゆっくりの殺ゆ事件のときもそれで苦労したよ」
男は遠い目をして言う。
「むきゅ!人間さんゆっくりの事件捜査の経験があるの?」
「ああ、お前と会う前にちょっとな、都会の飼いゆっくりがブッ殺される事件が起きてね。いやまあ犯人は野良ゆっくりだったんだが」
「むきゅ!それでどうなったの?」
「あー話すと長くなるからまた今度な、興味があるのならあの女にでも聞け、あの事件はあいつと解決した。
で、話しがそれちまったわけだが、要するに現時点で証拠がないなら探しにいけばいいんだよ。至極簡単な話しだ」
そう投げやりに言うと男は近くにあるというちぇんのおうちに向かって歩き出した。
犯ゆとして捕まっているちぇんのおうちの前までやって来た男とぱちゅりー。
そこではおうちの前に、幹部みょんが見張りとして立っていた。
おうちの中にはまだちぇんの食料などが残っているため、それらを荒らされないための配慮だろう。
「みょん!にんげんさん、なにかようかみょん!」
「ああ、こりゃどうもうもご苦労様、ちょうどよかったわ。
ちぇんのおうちを確認したあとで、三匹でここに押しかけたときの様子をできるだけ詳しく聞かせてくれないかな?」
男は幹部みょんに話しかける。
「みょん!それはいいけど、たいしたはなしじゃないみょん!」
「ああ、それでいいよ。詳細を正しく理解することが重要なのださ」
「みょん!わかったみょん!」
「ふむ、それじゃ早速覗いてみるとするかなっと」
男は片足を地面に付き、ちえぇんのおうちを覗き込む。
広さは普通のゆっくりのおうちとそれ程大差はなかったが、内部にはどこから拾ってきたのか、
いろいろなガラクタがゴチャゴチャと積んであるが目に付いた。
これなら確かにお飾りがまぎれてもちぇんは気づかなかったかもしれない。
「まあこんなもんかな…」
しばらく見回したあと男が呟く。
たいして期待はしてなかったが、特にこれといったものは発見できなかった。
詳しいことは後でぱちゅりーに調べさせることにして、とりあえず男は幹部みょんに話しを訊くことにする。
「それじゃあ待たせたな、あのときの様子をを話してくれよ」
男はみょんにそう促す。
「わかったみょん!みょんたちは、おさたちと、ちぇんのおうちのまえにとうちゃくしたみょん!それから……」
みょんはあのときの様子をできるだけ正確に男に伝えたのであった。
「…と、いうわけでまりさとみょんで、ちぇんをつかまえたんだみょん」
「ふーん」
「むきゅー」
みょんの話しを聞いて唸る男とぱちゅりー。ぱちゅりーには特に変わった点はないように思えた。
「あのさ…」
「みょん?」
男がアゴに手を当てながらみょんに話しかける。
「みょんはまりさに言われて、ちぇんのおうちを調べるために一匹だけで入った。間違いない?」
確認するような口調の男。
「まちがいないみょん!」
みょんは力強く頷く。
「それかられいむのお飾りを見つけたお前は、慌てて飛び出して、『こ、これをみてほしいみょん!こんなものがでてきたみょん!』
と言ってみんなの前に、お飾りを置いた。間違いない?」
「そうだみょん!まちがいないみょん!」
再び頷くみょん。
「ふむ。で、その肝心のお飾りだけど、ちぇんのおうちのどこにあったわけ?」
「みょん!そういえば焦っててみんなにも言ってなかったみょん!おかざりはちぇんのおうちに積まれた食料の下にあったみょん」
「……ああ、あの中に積まれた食料の下か。成る程。それでちぇんは気づかなかったのか、いや、まてよ、とすると……。
うん。わかったありがとう。これで解決に一歩近づいたよ」
男はみょんに礼を言う。
「みょん!やくにたてのならうれしみょん!」
「ああ、それじゃあまたな」
軽く手を上げ、その場を後にする男とぱちゅりー。
「人間さん、ちぇんのおうちをぱちぇが調べなくてよかったの?」
しばらく歩いたのち、ちゅりーは男に話しかけた。
「ああ。とりあえずはいい。それよりもやって貰いたいことができた。
これから言うことを群れの全ゆっくりに確認して回ってほしい」
声を潜めて男が言う。
「むきゅ!どんな事かしら?」
「一つは幹部みょんアリバイだ。犯行があったと予想される時間帯のみょんの行動が知りたい。まあ多分みょんが犯ゆはないと思うがこれは念のためだ」
「むきゅ!わかったわ!」
「それともう一つ、こっちが本題なんだが……」
男はぱちゅりーにいくつか指示をすると、ぱちゅりーは群れのゆっくりに話を聞くために跳ねていった。
小さな群れのことである。今日中に全てのゆっくりから話しを聞くことができるだろう。
「さて、それじゃほかの幹部からも話しを聞いておくかな」
男は立ち上がりとりあえず幹部ありすの元へと向かった。
「ちぇんがはんゆなんてぜったいにありえないわああああああああああ!」
「あー、まあまあ落ち着いて」
興奮気味喚きたてる幹部ありすをなだめる男。
それにしてもよく叫ぶありすである。
「そのちぇんのことなんだけどさ、お前さん親しかったんだろ?どんなゆっくりだったか教えてくれないかね。
例えば普段の生活はどうだったとかさ」
「ゆーん、そうねえ…ちぇんはにはへんなしゅみがあって、なんだかいろいろなものをとおくまでひろいにいっては、
おうちにためこんだりしてたみたいね」
「ああ、そうらしいな。あいつの家の中に色んなもんがあったわ」
男はちぇんのおうちの中の様子を思い出す。
「そのガラクタは近所で拾って来んの?」
「いいえ、ちがうわ!どうもこのむれからすこしはなれたところからひろってくるみたい。
ちぇんはむれでいちばんあしがはやいから、ほかのみんなよりもこうどうはんいがひろいの。
それでかりにいくときや、なにかをひろいにいくときは、あさはやくにでかけて、よるおそくにかえってきてるみたい」
「ふーん。で、そのことって群れのみんなも知ってるの?」
「そのことって?」
「具体的に言うと、ちぇんが狩りに行っているときは他のゆっくりから目撃されにくい遠くの場所にいる可能性が高くて、
さらに夜遅くまでおうちには帰ってこないってこと」
「しってるとおもうわよ。ちいさなむれですもの」
そんなこと何でもないといった口調でありすは言う。
「………ふむ。ありがとおかげで謎が一つ解けたよ」
礼を言い、その場を後にする男。
(成る程ね。ちぇんのことを見たなんて嘘言って、もしその時間帯にちぇんが他のゆっくりと一緒にいたらどうするつもりだったのかと思っていたが、
そういった事情があったのか。まりさはちぇんのことを知っていたから証言が重複する可能性は低いと睨んでいたわけだ。
行き当りばったりに見えて以外と考えている、これはやはり物的証拠を上げるのは難しいかもな。当初の予定通りの作戦で行くか…)
「むきゅ!どうかしらにんげんさん。そうさのちょうしは?」
やってきた男に対し長ぱちゅりーが尋ねる。
「ああ、まあおかげさんで大体わかってきたよ。
で、ちょっと訊きたいんだけど、殺されたれいむはどんなゆっくりだったのかな?誰かに恨みとか買ってなかったかな?」
「むっきゅー!しんだゆっくりのことをあまりわるくいいたくないけど、しょうじきあまりいいゆっくりとはいいがたかったわね。
ぼうりょくじけんこそおこさなかったけど、ちいさなことで、ところかまわずさわぎたてたりして、めいわくしてたゆっくりもおおかったみたい。
それにかりがへたくそで、むれのしょくりょうこのしょくりょうをよこせといってきたこともあったわ。
じぶんはしょくりょうをまったくおさめてないのにね!」
長ぱちゅりーはしみじみといった感じでれいむのことを語っている。
多分生前にそのれいむには相当苦労させられたのだろう。
「狩りが下手だったのか?その割にはずいぶんと太ってたみたいだけど?」
「むきゅ!そういわれてみればそうね!ここさいきんのれいむはおうちからまったくでてこないからきづかなかったわ!」
「おうちから出てきてないのに太ってるなんてますます不思議だねえ、その間食料をどうやって調達していたのやら。
なにか心当たりはないかい長?」
「むっきゅー。……そういえばこのけんにかんけいあるかどうかわからないけど、ここさいきんむれのしょくりょうこのしょくりょうがへってきているの!」
「へえ。それりゃいつ頃からからかい?」
「……ちょうどれいむがおうちにひきこりはじめたころからかしら?でもれいむにはしょくりょうをぬすむのはむりだとおもうわ!」
「なぜ?」
「さいきんは、じかんをおいてむれのみんなにみはりをおねがいしてるの。
さすがにいちにちじゅうずっとみはってるのはむりだけど、ちょうどみはりがいないじかんを、ねらいすまして、なんどもぬすみにはいるなんてれいむにはむりだとおもうわ!」
「見張りがいる時間を把握してるのはお前さんのほかには誰かいるのかい?」
「むきゅ!ぱちぇとあとは、かんぶだけよ!」
「……そうか、それなら幹部だったらバレずに食料庫から食料を持ち出せるってことになるな」
「そ、そんなことあるわけないわ!」
ぱちゅりーが憤慨してみせる。
「まあまあ、例えばの話しだよ。
まあ食料庫から持ってきてるのか、自分で取ってきてるのかしらんが、れいむに食料を与えていたゆっくりがいることは間違いないよ。
そして恐らくそいつがこの事件の犯人だ。大方そのれいむに何か弱みでも握られて強請られてたんだろう。それでトラブって殺したってところかな」
「むきゅ!ちぇんがれいむにごはんをあげてたのかしら?」
「いや、それはない。あいつの家にはそこそこの量の保存食が積まれていた。いくら狩りが上手いっていっても、
れいむにあれだけたらふく食わせて、しかも食料を貯めるなんざとても無理だ。
自分の分だって集めなきゃならないわけだし、なにより、もしそうならガラクタ探して遊んでる余裕なんてないはずだしな」
「むっきゅー。それじゃいったいだれが?それにどういうりゆうでれいむにおどされていたのかしら?」
「まっ、その辺の理由とか食料庫のこととかは、とっ捕まえてから本人に直接訊きゃあいいのさ」
「むきゅ!人間さん」
長ぱちゅりーと男が話している所に、男の連れのぱちゅりーが戻ってきた。
どうやら男の頼まれた仕事が完了したようだ。
「おっ、ぱちゅりー。どうだった首尾は?」
男がそちら側に顔を向ける。
「むきゅ。群れの全てのゆっくりに確認してみたけど、人間さんの言ったとおりだったわ。
あと話しを聞いてないのは、長と幹部まりさだけよ」
「そうか、ご苦労さん。そんじゃま長、ちょっくら聞きたいことがある。
ふふ、あるいはこの結果で犯人を追い詰める材料が揃うかもね」
「む、むきゅ!な、なにかしら」
長ぱちゅりーは緊張の表情で男に尋ねた……。
「みょん!じけんのはんにんがわかったってほんとかみょん!」
「ゆっふっふ!はじめからちぇんがはんにんにきまってるのぜ!」
「そんなことないわ!きっとほかにしんはんにんがみつかったのよ!」
「むきゅ!しずかにしないさい!これからにんげんさんからのせつめいがあるわ!」
やかましく会話する幹部達を長ぱちゅりーが叱責する。
これから事件の解決をするということで、四匹の幹部ゆっくりは一所に集められていた。
「いや、まあ、そんな大仰な話しにはならないんだけどね。とりあえず犯ゆは誰かわかったよ」
そうゆっくりたちに宣言する男。
「ゆっ!それではんゆはだれなのぜ?いやいや!わざわざいわなくてもまりさにはわかってるのぜ!
はんゆはちぇんなのぜ!これできまりなのぜ!いっけんらくちゃくなのぜ!」
男が何かを語り出す前にそう喚きたてるまりさ。
その様子を尻目に、男は静かに言った。
「いや、犯ゆはお前だよまりさ」
「………………は?」
思わぬ発言を受けて、完全に固まるまりさ。
ポカンと口を開けたアホ面のまま静止すること数秒…。
「はああああああああああああああああああ!なにいってるんだぜえええええええええええええええええ!
このくそにんげんがああああああああああああ!ふざけるんじゃないのぜえええええええええええええええ!」
突然大声で喚き散らすまりさ。その表情は怒りに歪んでおり、口汚い言葉で男を罵り始める。
「どおおおおおおしてばでぃさがはんにんになるのおおおおおおおおおおおお!そんなわけないでしょおおおおおおおお!
ばかなにんげんは、さっさとしんぬんだぜえええええええええええええ!」
男はそんなまりさにかまわず淡々と説明をはじめる。
「まず第一の理由として、まりさ、お前にはアリバイがない。
犯行時刻である夕方にお前のこと目撃しているゆっくりは一匹もいなかった」
「そんなのべつにまりさだけじゃないんだぜえええええええええ!ほかのゆっくりだって!ちぇんにだってそんなものはないんだぜええええええええ!」
「ああ、その通り。ちぇんのほかにも、その時間帯にアリバイのないゆっくりは他にも何匹かいた。
だから当然これだけでは理由にはなりえない」
そこでいったん間をおくと、再び男は話し始める。
「理由の第二としてはまりさ、お前が嘘をついていたことさ。実際のところちぇんはれいのおうちなんかにいってなかったのさ」
「なにいってるんだぜええええええええええ!まりさはこのめでしっかりとみたんだぜええええええええええ!」
「それをお前以外に証明できるやつがいるか?いないよな。あのときあの場所に確かにお前はいたんだろうさ。
だが、ちぇんはいなかった。何故お前は嘘をついたのか?それはお前が犯人だからだよまりさ」
「いいっかげんにするのぜええええええええええええ!それじゃあちぇんのおうちからでてきたおかざりはどうせつめいするのぜえええ!」
「あれはちぇんに罪を着せるためにお前が自分でちぇんのおうちに隠したのさ。
そもそもちぇんが犯人なら部屋にあるお飾りに気づかないなんていくらなんでも変だろう?」
「そんなのちぇんがあせってて、きづかなかっただけのはなしなのぜええええええええ!」
「そうだな。オレもはじめはそう考えたよ、単にお飾りの存在に気づかなかったんじゃないかってね。でもそれだと変なんだよな。
もし普通に体当たりとかの衝撃でお飾りが外れたのならあの場所にお飾りがあるのは絶対におかしいんだよ。物理的にありえないんだ。
つまりあのおかざりは偶然外れてしまったんじゃなくて、誰かの手によって意図的に隠されたものと考えるしかないのさ」
「だったらちぇんがちょくせつかくしたにちがいないんだええええええええええええ!
れいむをころして、おうちにかえったちぇんは、ゆかにおちているれいむのおかざりをみつけたけど、そのときはつかれてたから、いったんつんであるしょくりょうのしたにかくしたんだぜええええええ!
それでごじつ、だれにもみつからないところにすてにいくつもりだったにちがいないんぜえええええええ!」
「え?何?聞こえない?もっかい言って?」
男は挑発するように、ニヤニヤ顔をしながら耳に手をあてる動作をする。
「だからああああああああああ!あのおかざりはちぇんがためこんだしょくりょうのしたにじぶんでかくしたんだっていってるんだぜえええ」
「………………」
沈黙。
「はあはあ…やっとのばかなにんげんもりかいしたのかぜ!だいたい…」
「何故だ?」
まりさのセリフを遮るように疑問を差し込む男。
「ゆ?」
「何でお前は、れいむのお飾りが、ちぇんのおうちの食料の下に隠してあったことを知っているのかなぁ?」
「ゆ?え?ゆっなっ!ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
しまったという顔で叫び声を上げるまりさ。
「そう!確かにお飾りはお前の言うとおり食料の下に隠してあった!だがしかしお飾りを発見したみょんは誰にもそのことを言っていない!そうだなみょん!」
「みょん!そのとおりだみょん!」
力強く頷くみょん。
「ちっちがうのぜこれは、なんとういうか、そう、むれのうわはなしでどこからかきいたはなしなんだぜ!」
あたふたと言い繕うまりさ。
「ぱちゅりー!群れの全ゆっくりに確認したな!れいむのおかざりがどこからできたか知ってるかって」
「むきゅ!しっかり確認済みよ!みんなちぇんのおうちから出てきたことは知ってたけど、食料の下から出てきたなんて言っているゆっくりは一匹もいなかったわ
ちなみに長ぱちゅりーと幹部ありすも知らなかったことだわ!」
「む、むきゅ!あのしつもんにはそういういみがあったの!おかざりがでてきたばしょなんていまはじめてしったわ!」
呆然と呟く長ぱちゅりー。
「ゆっ、ちょっ、そっ、そうだ!みょんだっておかざりのばしょをしってたのぜ!みょんがじぶんでかくしてじぶんでみつけたのかもしれないのぜ!
じさくじえんなのぜ!」
そう指摘するまりさ。
「むきゅ!それはないわ!みょんはその時間帯は、群れの複数のゆっくりといっしょに狩りをしていたんだもの!
ほかにも沢山のゆっくりたちがその様子を目撃していたわ!これも群れの全ゆっくりに既に確認済みよ!」
最後の頼みの綱もきっぱりと否定されるまりさ。
「と、まあそういうわけだ。
なぜお前がみょん以外誰も知らないはずのお飾りの隠し場所を知っていたのか?
それはな、まりさ!テメェがれいむを殺し、ちぇんに罪を着せようとして、自分で直接お飾りをちぇんのおうちへ隠した張本人だからだよ!
これがお前が犯人だっていう証拠だ!さあ、言い逃れできるのならやってみな!」
「ゆ、が、ああああああああああああああああああああああああ!」
ひとしきり絶叫したまりさはしばらくの間がっくりとなだれていたが、そのうちプルプルと震えだすと勢いよく喋りだした。
「あいつが!あのげすがぜんぶわるいんだぜえええええええええええええええええ!
ちょっとしょくりょうこのしょくりょをかりようとしてただけなのに、それをみていたあのげすは、それをねたにえんえんまりさをおどしてえええええ!」
「むきゅ!それじゃしょくりょうがへっていたのはまりさがやっていたのね!」
長ぱちゅりーが驚いた様子で言う。
「まりさもすきでこんなことをしたんじゃないんだぜえええええ!まりさはこんなことしたくなかったけど、あのれいむがむりやりいいいいいい!
いわば、まりさもひがっしゃなのぜえええええええええええええええええええ!」
おんおんと泣き出すまりさ。
「ふざけんじゃねえええええええええええええ!」
ドカッ
「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
突然の男の蹴りが泣いているまりさの顔面を直撃した。
「元はといえば、テメーが盗みに入ったのが事の発端だろうーが!それでれいむを殺したあげく、何の罪もないちぇんに罪をなすり付けようとするとは何事だオラァ!
そもそも、変な小細工せずに普通にれいむを殺しとけば、いくら人間でも犯人は誰かわからなかったんだよ!
それをくだらねえ真似をするから、こういう結果になるんだよボケ。自業自得だ!」
「ゆがああああああああああああ!うるさいいいいいいいいいいいい!そもそもおまえさえいなければこんなことにはならなかったんだぜええ!
しね!くずなにんげんはゆっくりしねええええええええええええええ!」
何をトチ狂ったのか男に向かって体当たりを仕掛けるまりさ。
あるいはもはやこのまりさは正常な判断ができないほどに深刻な錯乱状態に陥っているのかもしれなかった。
「やれやれ」
男はため息をつくと、向かってくるまりさを蹴飛ばした。
「ゆべが!」
男に蹴られ吹き飛ばされたまりさは、ピクピクと痙攣したのちがっくりとうな垂れ動かなくなった。
「ま、まりさ!しんじゃったの?」
「いや、殺しちゃしちゃいないよ。気絶したけだ。制裁はお前らの手でやりな、それがルールだ」
「む、むきゅ!わかったわ!にどとこんなことがおきないように、このまりさは、みせしめとして、むれのちゅうしんぶにさらして、
しぬまでのあいだ、ゆっくりとじかんをかけてきのえだでぷすぷすのけいよ!」
「このいなかもんがあああ!よくもちぇんを…」
「みょん!ちぇんにはどげざしてあやまらなきゃならないみょん…」
動けないまりさを、幹部ありすと幹部ちぇんが引きずっていく。あのまりさはこれから長い間地獄の日々を過ごす事になるだろう。
それらの様子を見ながら、男はふー、と息を吐く。
「まったく、普通なら犯行が完全に露見した犯人は潔く罪を認めるのが推理物のお約束なんだがな…。
まあ、でもゆっくりにはそういうのは似合わないかもな」
そう訳のわからないことを呟いたのであった。
おしまい
以下全然読む必要のない後書き。
こんな拙い文章を最後までよんでくださってありがとうございました。
様々な素晴らしいお話しがある中、たまにはこんなバカげた話しがあってもいいんじゃないかと思って書きました。
いや、ほんとごめんなさい。なんかこう、魔が差しました。
次こそはもっとまともなお話しを書けるように努力します。
それではまた機会があったときはよろしくお願いします。
ナナシ。
過去作品
anko1502 平等なルールの群れ
anko1705 北のドスさま 前編その1
anko1706 北のドスさま 前編その2
anko1765 北のドスさま 後編その1
anko1766 北のドスさま 後編その2
あとコンペ作品とか
男は眉を寄せて答える。
「そうなの!そこでなんとかにんげんさんのちえをかしてもらえないかしら?」
男に必死に頼み込む長ぱちゅりー。
「まあ、それはいいけどさ、でも別に人間の言うことが何でもかんでも正しいってわけでもないんだぜ。特にゆっくりの問題に関してはさ」
やれやれといった口調で答える男。
いつものように、男が群れの視察にやってきてみると、長であるぱちゅりーにある相談を持ちかけられた。
何でも群れ内で殺ゆ事件が起こってしまったそうなのだ。
容疑ゆであるちぇんは既に捕まっているらしいのだが、そのちぇんと親しいありすの話しではちぇんが殺ゆなど絶対にありえないと主張しているそうだ。
また、証拠や殺ゆ現場から逃げ去るちぇんを目撃したなどの証言はあるものの、実際に殺害した瞬間を見たものはおらず、ちぇんも容疑を否認している。
何分殺ゆ事件など群れができてからはじめてのことで、長ぱちゅりーもこのままちぇんを制裁していいものか迷っているらしい。
そこで、男の意見を参考にしようという話しが幹部会議で決まったそうだ。
男がちぇんが犯人でないと正しく主張するならそれでいいし、逆に犯人がちぇんに間違いないと断定してくれれば、幹部ありすも諦めると言っているらしい。
「むきゅ!人間さんこれはしっかりと調べてみる必要があると思うわ」
話しを聞いていた連れのぱちゅりーが気合のこもった声で言う。
このぱちゅりーは、昔とある事件で男と出会い、それ以来人間社会の勉強もかねて男と同行しているゆっくりだ。
ゆっくりにしては真面目な正確のこのぱちゅりーはこの手の仕事に敏感なのだった。
「まあ、そうね。とりあえずきちんと調べてからじゃないとめったな事はいえないわな。
んーそれじゃあまずそのれいむが殺された現場を見てみようかなっと」
カリカリと頭を掻く男。
「ゆ!それならまりさがそこまであんないするのぜ!」
そう勢いよく殺されたれいむのおうちへの道案内を買って出る幹部まりさ。
「おお、そうか。わざわざ悪いね」
「ゆゆ!じけんかいけつのためにはかんぶとして、とうぜんのことなのぜ!」
にやりと笑うまりさ。
(ゆっふっふっふっふ!人間さんの近くにいれば捜査状況を確認することができるのぜ!
さらにはまりさがちぇんを犯人であるかのように、人間さんをミスリードしてやるのぜ!ゆっふっふっふっふ!)
そんなわけで、男とぱちゅりーと幹部まりさはれいむのおうちへと向かったのだった。
「そういえばさ、お前さんがちぇんの事を目撃したゆっくりなんだって?」
れいむの死体があるおうちへ向かう道すがら、男がまりさに尋ねる。
「そうなのぜ!きのうのゆうがたごろのはなしなのぜ!まりさはれいむのおうちからとびたしてきたちぇんをこのめでみたのぜ!」
「ふーん。見たのはお前さんだけ?周りのに他のゆっくりはいなかったのかな?」
「だれもいなかったのぜ!まりさだけなのぜ!」
「あっそう。それじゃあ、ちぇんのことを目撃していたのはまりさ一匹だけってことになるねえ…」
そう呟く男。
目撃証言ゆが一匹しかいない。これでは証拠能力としては若干疑わしいのではないか?
そんな風に男が考えているように、まりさには聞こえた。
「ゆゆゆゆ!に、にんげんさん!まりさうそついてないよ!ほんとだよ!」
慌てた様子でまりさが男の周りを跳ね回る。
「え?別に誰も嘘だなんて言ってないよ?ただ一匹だけだと見間違えとかそういうことってあるじゃないかと思ってさ。
他のゆっくりもちぇんのことを見ていたのなら、その可能性も低くなるんだけどな、って話しだよ」
「ゆゆ。そういうことなのかぜ!あれはちぇんにまちがいなかったのぜ!」
「…そう」
男はそれ以上深く突っ込まず、黙ってしまった。
(ゆう!びっくりしたのぜ!まったくまぎらわしいのぜ!)
とりあえず自分が疑われてはいないようだ。
そう判断したまりさは、内心で胸をなでおろした。
「ゆ!ついたのぜ!ここがれいむのおうちなのぜ!」
しばらく歩いた後、殺ゆ現場と思わしきおうちの場所にたどり着く男たち一同。
ゆっくりの死体があるおうちに近づくような物好きは流石にいないのか、おうちの周りにはだれもいなかった。
「このおうちの中は、昨日からいじってないかい?」
男がまりさに確認する。
「ゆっ!ぜんぶそのままにしてあるのぜ!」
「そうか。それじゃま、ちょっくら調べてみますかね。ぱちゅりーちょっと中に入って見てきてよ」
「むきゅ!わかったわ」
そう言い、おうちの中へ跳ねていくぱちゅりー。
当然ながら人間である男は、ゆっくりのおうちに入ることなどできない。
せいぜい外から中を覗き込むくらいが関の山だ。それでは正確な情報は手に入らない。
そのため男はぱちゅりーにおうち内の調査を任せたのだ。
「ところでさ、まりさ」
「ゆ?」
待っている間ヒマなのか、まりさに話しかける男。
「参考にまで聞いておきたいんだけど、お前さんれいむはどこで殺されたんだと考えている?」
「ゆゆ?そりゃもちろんちぇんのおうちにきまってるのぜ!」
さもとうぜんといった感じで答えるまりさ。
「へえ、そりゃまたどうしてそう思うんだ?れいむの死体は自分のおうちで見つかったんだろ?」
男がさぞ不思議そうにまりさに尋ねる。
死体が見つかったのはれいむのおうち。ならば犯行もそこで行われたと考えるのが普通ではないか?
そう主張する男。
それに対してまりさがバカにしたような顔を男に向ける。
「ちっ、ちっ、ちっ、わかってないのぜにんげんさん!ちぇんのおうちからは、れいむのおかざりがでてきたのぜ!
つまりちぇんは、れいむをじぶんのおうちのなかにさそいこんでころしたのぜ!それから、れいむのおうちへ、したいをはこんでいったのぜ!」
まりさの主張によれば、れいむが殺されたのはちぇんのおうちであるという。
なぜならば証拠のお飾りが、ちぇんのおうちから発見されたからだ。
確かにそう推理しなければ、れいむのお飾りがちぇんのおうちにあった説明がつかないだろう。
「ああ、成る程、それで証拠のおかざりがれいむのおうちにあった訳だ。まりさお前頭いいな」
「ゆっへっへっそれほどでもないのぜ!」
褒められて気を良くしたのかにやにやとするまりさ。
「むきゅ!大体見終わったわ」
そうこうしている内に、おうちの中からぱちゅりーがのっそりと出てきた。
どうやら大方の調査は終わったようだ。
「ご苦労さんぱちゅりー。それでどうだった?中の様子は?」
「むきゅ!ひどい有様だったわ!そこらじゅうに餡子が飛び散っていたわ。多分れいむはあのおうち内で殺されたんでしょうね」
中の様子を思い出したのか、顔をしかめるぱちゅりー。
「ふぅん。だってさまりさ。どうやられいむは、ちぇんのおうちじゃなくて、このれいむのおうちで殺されたみたいだぜ。どういうことなんだろうねえ?」
男は不思議だなあ、といった様子でまりさに尋ねる。
事実れいむのおうちには、壁の四方にれいむのものとおぼしき餡子が大量にが付着しており、
少なくともれいむが殺害された犯行現場はこの場所に間違いないと推測された。
これでは、まりさの主張しているちぇんのおうちが殺害現場説は通らないように思える。
「ゆっ、ゆううう、ち、ちがうのぜ……。そ、そうだ!つまりこういうことなのぜ!
ちぇんはおうちでれいむをたいあたりできぜつさせてから、れいむのおうちにはこんでいって、それからこのばしょでとどめをさしたのぜ!」
慌てたまりさは、そう自らの主張を差し替える。
つまり、れいむはちぇんのおうちで襲われたことは間違いないが、そこでは殺害までは行かず、
気絶したれいむをちぇんはれいむのおうちまで運び、それから殺害をしたというわけだ。
確かにこれならばお飾りの件の矛盾は発生しない。
「ほう!成る程ね。うん、それなら一応話しの筋は通るな」
男は納得したかのようなそぶりをまりさに見せる。
「本当にそうかしら?」
しかしこんどは、ぱちゅりーがまりさに疑問を投げかける。
「今見てきたけど、殺されたあのれいむはかなり太ってて、いくら気絶していたからってちぇん一匹で運ぶのはとっても大変そうよ。
やっぱり初めから最後までこの場所で犯行は行われたと考えたほうが、無理がないんじゃないかしら?」
そう推理するぱちゅりー。実際ぱちゅりーの言う通りに死体のれいむは醜く太っており、普通の成体ゆっくりよりも一回りほど大きかった。
すばしっこいが小柄なちぇんが、一匹で運ぶには相当な苦労が予想される。
「ゆがあああああああ!うるさいのぜ!きっとちぇんはじぶんのはんこうがみつかるかどうかのせとぎわで、ものすごいちからがでたのぜ!
かじばのばかゆじからなのぜ!きっとそうにちがいないのぜ!にんげんさん!ちょうさはもうじゅうぶんなのぜ!
ちぇんがはんにんにきまってるのぜ!さっさと、おさにほうこくしにいくのぜ!」
さっきまでの余裕はどこへやら、急に騒ぎ出すまるりさ。
「まあまあ、まりさ、落ち着けよ。おれはお前の方が正しいと思ってるんぜ」
男がそうまりさをなだめる。
「ゆ!そうなのかぜ!それならあんっしんなのぜ!それじゃあさっそくおさにほうこくにいくのぜ!いっけんらくちゃくなのぜ!」
自分を信じていると男に言われ、コロッと態度を変えるまりさ。
「いやまあそうなんだけどさ、でもその前にいくつか確認したいことがあるんだわ、お前さんはさきに戻っててくれないかい」
「ゆっくりりかいしたのぜ!なるべくはやくくるんだぜげんさん!」
それだけ言うとまりさは、安心した表情で軽やかに跳ねていった。
「ふう、やれやれ」
まりさが跳ねていった方を見つめて息を吐く男。
「むきゅ!人間さん、本当にあのまりさの言った通りだと思ってるの?」
早速男に質問をするぱちゅりー。
さっきまりさに言った言葉は男の本音ではないのではないか?
なんだかんだで結構付き合いの長いぱちゅりーはそうな風に感じていた。
なぜならこの男はゆっくりを油断させるためによくこういった嘘をつくのだ。
「さてね、そう言うお前はどう思ってんの?よっと」
男はその場に屈みこんで、れいむのおうちの中を覗き込む。
「おー見事に餡子が飛び散ってるね。こりゃ間違いなくここで殺されてるわ」
おうちを覗き込んだ男がそう感想をもらす。
さらに男はおうちの中の幾つかの点を確認すると、よいしょと言いながら顔を上げる。
「さて、そんじゃ犯行の状況を整理してみるとしますか。
犯ゆだと思われているちぇんはまずどうにかして被害ゆのれいむを自分のおうちに誘い出した。
この際方法はどうでもいいや。ご飯を食べさせてあげるとかそんな理由で適当に釣ったということにしよう。
そこで今度はれいむを何らかの手段で気絶させる。まあ普通に体当たりでもしたんだろう。そのときの衝撃でれいむの飾りが一部外れる。ちぇんはそれに気づかなかった。
次にちぇんはまだ息のあるれいむをおうちまで運び、そこで止めをさして逃亡した。その際、おうちから出てくるところを幹部まりさに目撃された。
と、まあこれがあの幹部まりさの主張な訳だが、何かおかしなところはあるかなぱちゅりー?」
「むきゅ!あるわ!」
「ほう。例えば?」
男は楽しそうに質問する。
「ちぇんはどうして自分のおうちにある、れいむのお飾りに気づかなかったのかしら?」
ぱちゅりーの一つ目の疑問はそこだった。
自分が普段暮らしているおうちに、自らが殺害しようとしているゆっくりのお飾りが落ちているのに、
気づかなかったなんて間抜けな話しが本当にあるのだろうか?
「れいむを殺すのに夢中でお飾りが外れたことに気づかなかったんじゃないか?
聞いたところによると、ちぇんはまりさたちがやって来た時寝てたらしい。
れいむをおうちまで引きずっていき、さらにおうちで殺害するのは中々の重労働だぜ、相当に疲労しただろうよ。
くたくたになって帰ってきてさあ一安心、一気に気が抜けて周囲をよく確認せず、お飾りに気づかずそのまま寝ちまった可能性はまあ、ある」
そう男が反論する。
「むきゅ!それじゃどうしてちぇんはわざわざ気絶したれいむを自分のおうちまで運ぶなんて面倒なことをしたのかしら?」
それがぱちゅりー二つ目の疑問だった。
どうしてわざわざ苦労してまで気絶したれいむ運んで元のおうちに戻す必要があるのか?
その辺に捨てておけばいいものを。
「まず自分のおうちで潰しちまうと、それこそ餡子が飛び散って証拠が残っちまうからだろうな。
かといって外で潰したんじゃ、どこに他のゆっくりの目があるかわかったもんじゃない。
なるべくなら殺す作業は誰の目もない室内で行いたいもんだろう?
だからといって、他のゆっくりのおうちで潰すのは論外だ、いつ家主のゆっくりが帰ってくるかもわからないからな。
自分のおうちもダメ、かといって他のおうちはもっとダメ。
となると残りはれいむのおうちしかない。何せ家主のれいむを殺すんだからな。誰に見られる心配もないってわけだ」
「むっきゅー」
唸るぱちゅりー。
自分の投げ掛けた疑問はことごとく男によって論破されてしまう。
そしてそれらの反論は、確かにそれなりに説得力がある解釈であった。
ぱちゅりーは、ちぇんが犯人ではないと考えていたのだが、そうではないのだろうか?
「むきゅ!にんげんさんは、ちぇんが犯ゆだと思っているの?」
思い切って尋ねてみるぱちゅりー。
それに対して男はいつものような軽い調子で、
「いんや全然。多分犯ゆはあの幹部まりさだよ」
そう何でもないことのように答えたのであった。
「むきゅ!どういうことなの?だって人間さんは…」
男の意外な答えに戸惑うぱちゅりー。
「いやいや、別にオレちぇんが犯人だなんて一言もいってないぜ。あくまでちぇんが犯人だった場合そういう解釈もできるってだけの話だ。
たしか前回のときもお前に物事を一面的な視点で見るなみたいなこと言わなかったっけ?」
男は片目をつぶる。
「じゃあまりさが犯人だって言うのは?」
「そういう風に考えた場合、何の矛盾無なくスムーズに仮説が成り立つのさ。もっとも今のところ証拠はないがね。
あとはオレのカンだ。あのまりさは嘘をついている気がする」
「むきゅ!確かにぱちぇもあのまりさは何となく信用できないと思っていたけど、でもやっぱり証拠がないんじゃどうしょうもないじゃない?」
そう。いくら怪しいゆっくりがいたとしても、証拠もなしに犯人扱いしてしまってはゆっくりたちがやっていることとなんら変わらないことになる。
「そうだな。ゆっくりの犯罪は現行犯以外は中々立件が難しい。
人間の場合ならば、動かぬ証拠と成り得る指紋やら血液検査やら毛髪などの科学捜査がほとんど行えない。そこが泣き所だな。
昔関わったゆっくりの殺ゆ事件のときもそれで苦労したよ」
男は遠い目をして言う。
「むきゅ!人間さんゆっくりの事件捜査の経験があるの?」
「ああ、お前と会う前にちょっとな、都会の飼いゆっくりがブッ殺される事件が起きてね。いやまあ犯人は野良ゆっくりだったんだが」
「むきゅ!それでどうなったの?」
「あー話すと長くなるからまた今度な、興味があるのならあの女にでも聞け、あの事件はあいつと解決した。
で、話しがそれちまったわけだが、要するに現時点で証拠がないなら探しにいけばいいんだよ。至極簡単な話しだ」
そう投げやりに言うと男は近くにあるというちぇんのおうちに向かって歩き出した。
犯ゆとして捕まっているちぇんのおうちの前までやって来た男とぱちゅりー。
そこではおうちの前に、幹部みょんが見張りとして立っていた。
おうちの中にはまだちぇんの食料などが残っているため、それらを荒らされないための配慮だろう。
「みょん!にんげんさん、なにかようかみょん!」
「ああ、こりゃどうもうもご苦労様、ちょうどよかったわ。
ちぇんのおうちを確認したあとで、三匹でここに押しかけたときの様子をできるだけ詳しく聞かせてくれないかな?」
男は幹部みょんに話しかける。
「みょん!それはいいけど、たいしたはなしじゃないみょん!」
「ああ、それでいいよ。詳細を正しく理解することが重要なのださ」
「みょん!わかったみょん!」
「ふむ、それじゃ早速覗いてみるとするかなっと」
男は片足を地面に付き、ちえぇんのおうちを覗き込む。
広さは普通のゆっくりのおうちとそれ程大差はなかったが、内部にはどこから拾ってきたのか、
いろいろなガラクタがゴチャゴチャと積んであるが目に付いた。
これなら確かにお飾りがまぎれてもちぇんは気づかなかったかもしれない。
「まあこんなもんかな…」
しばらく見回したあと男が呟く。
たいして期待はしてなかったが、特にこれといったものは発見できなかった。
詳しいことは後でぱちゅりーに調べさせることにして、とりあえず男は幹部みょんに話しを訊くことにする。
「それじゃあ待たせたな、あのときの様子をを話してくれよ」
男はみょんにそう促す。
「わかったみょん!みょんたちは、おさたちと、ちぇんのおうちのまえにとうちゃくしたみょん!それから……」
みょんはあのときの様子をできるだけ正確に男に伝えたのであった。
「…と、いうわけでまりさとみょんで、ちぇんをつかまえたんだみょん」
「ふーん」
「むきゅー」
みょんの話しを聞いて唸る男とぱちゅりー。ぱちゅりーには特に変わった点はないように思えた。
「あのさ…」
「みょん?」
男がアゴに手を当てながらみょんに話しかける。
「みょんはまりさに言われて、ちぇんのおうちを調べるために一匹だけで入った。間違いない?」
確認するような口調の男。
「まちがいないみょん!」
みょんは力強く頷く。
「それかられいむのお飾りを見つけたお前は、慌てて飛び出して、『こ、これをみてほしいみょん!こんなものがでてきたみょん!』
と言ってみんなの前に、お飾りを置いた。間違いない?」
「そうだみょん!まちがいないみょん!」
再び頷くみょん。
「ふむ。で、その肝心のお飾りだけど、ちぇんのおうちのどこにあったわけ?」
「みょん!そういえば焦っててみんなにも言ってなかったみょん!おかざりはちぇんのおうちに積まれた食料の下にあったみょん」
「……ああ、あの中に積まれた食料の下か。成る程。それでちぇんは気づかなかったのか、いや、まてよ、とすると……。
うん。わかったありがとう。これで解決に一歩近づいたよ」
男はみょんに礼を言う。
「みょん!やくにたてのならうれしみょん!」
「ああ、それじゃあまたな」
軽く手を上げ、その場を後にする男とぱちゅりー。
「人間さん、ちぇんのおうちをぱちぇが調べなくてよかったの?」
しばらく歩いたのち、ちゅりーは男に話しかけた。
「ああ。とりあえずはいい。それよりもやって貰いたいことができた。
これから言うことを群れの全ゆっくりに確認して回ってほしい」
声を潜めて男が言う。
「むきゅ!どんな事かしら?」
「一つは幹部みょんアリバイだ。犯行があったと予想される時間帯のみょんの行動が知りたい。まあ多分みょんが犯ゆはないと思うがこれは念のためだ」
「むきゅ!わかったわ!」
「それともう一つ、こっちが本題なんだが……」
男はぱちゅりーにいくつか指示をすると、ぱちゅりーは群れのゆっくりに話を聞くために跳ねていった。
小さな群れのことである。今日中に全てのゆっくりから話しを聞くことができるだろう。
「さて、それじゃほかの幹部からも話しを聞いておくかな」
男は立ち上がりとりあえず幹部ありすの元へと向かった。
「ちぇんがはんゆなんてぜったいにありえないわああああああああああ!」
「あー、まあまあ落ち着いて」
興奮気味喚きたてる幹部ありすをなだめる男。
それにしてもよく叫ぶありすである。
「そのちぇんのことなんだけどさ、お前さん親しかったんだろ?どんなゆっくりだったか教えてくれないかね。
例えば普段の生活はどうだったとかさ」
「ゆーん、そうねえ…ちぇんはにはへんなしゅみがあって、なんだかいろいろなものをとおくまでひろいにいっては、
おうちにためこんだりしてたみたいね」
「ああ、そうらしいな。あいつの家の中に色んなもんがあったわ」
男はちぇんのおうちの中の様子を思い出す。
「そのガラクタは近所で拾って来んの?」
「いいえ、ちがうわ!どうもこのむれからすこしはなれたところからひろってくるみたい。
ちぇんはむれでいちばんあしがはやいから、ほかのみんなよりもこうどうはんいがひろいの。
それでかりにいくときや、なにかをひろいにいくときは、あさはやくにでかけて、よるおそくにかえってきてるみたい」
「ふーん。で、そのことって群れのみんなも知ってるの?」
「そのことって?」
「具体的に言うと、ちぇんが狩りに行っているときは他のゆっくりから目撃されにくい遠くの場所にいる可能性が高くて、
さらに夜遅くまでおうちには帰ってこないってこと」
「しってるとおもうわよ。ちいさなむれですもの」
そんなこと何でもないといった口調でありすは言う。
「………ふむ。ありがとおかげで謎が一つ解けたよ」
礼を言い、その場を後にする男。
(成る程ね。ちぇんのことを見たなんて嘘言って、もしその時間帯にちぇんが他のゆっくりと一緒にいたらどうするつもりだったのかと思っていたが、
そういった事情があったのか。まりさはちぇんのことを知っていたから証言が重複する可能性は低いと睨んでいたわけだ。
行き当りばったりに見えて以外と考えている、これはやはり物的証拠を上げるのは難しいかもな。当初の予定通りの作戦で行くか…)
「むきゅ!どうかしらにんげんさん。そうさのちょうしは?」
やってきた男に対し長ぱちゅりーが尋ねる。
「ああ、まあおかげさんで大体わかってきたよ。
で、ちょっと訊きたいんだけど、殺されたれいむはどんなゆっくりだったのかな?誰かに恨みとか買ってなかったかな?」
「むっきゅー!しんだゆっくりのことをあまりわるくいいたくないけど、しょうじきあまりいいゆっくりとはいいがたかったわね。
ぼうりょくじけんこそおこさなかったけど、ちいさなことで、ところかまわずさわぎたてたりして、めいわくしてたゆっくりもおおかったみたい。
それにかりがへたくそで、むれのしょくりょうこのしょくりょうをよこせといってきたこともあったわ。
じぶんはしょくりょうをまったくおさめてないのにね!」
長ぱちゅりーはしみじみといった感じでれいむのことを語っている。
多分生前にそのれいむには相当苦労させられたのだろう。
「狩りが下手だったのか?その割にはずいぶんと太ってたみたいだけど?」
「むきゅ!そういわれてみればそうね!ここさいきんのれいむはおうちからまったくでてこないからきづかなかったわ!」
「おうちから出てきてないのに太ってるなんてますます不思議だねえ、その間食料をどうやって調達していたのやら。
なにか心当たりはないかい長?」
「むっきゅー。……そういえばこのけんにかんけいあるかどうかわからないけど、ここさいきんむれのしょくりょうこのしょくりょうがへってきているの!」
「へえ。それりゃいつ頃からからかい?」
「……ちょうどれいむがおうちにひきこりはじめたころからかしら?でもれいむにはしょくりょうをぬすむのはむりだとおもうわ!」
「なぜ?」
「さいきんは、じかんをおいてむれのみんなにみはりをおねがいしてるの。
さすがにいちにちじゅうずっとみはってるのはむりだけど、ちょうどみはりがいないじかんを、ねらいすまして、なんどもぬすみにはいるなんてれいむにはむりだとおもうわ!」
「見張りがいる時間を把握してるのはお前さんのほかには誰かいるのかい?」
「むきゅ!ぱちぇとあとは、かんぶだけよ!」
「……そうか、それなら幹部だったらバレずに食料庫から食料を持ち出せるってことになるな」
「そ、そんなことあるわけないわ!」
ぱちゅりーが憤慨してみせる。
「まあまあ、例えばの話しだよ。
まあ食料庫から持ってきてるのか、自分で取ってきてるのかしらんが、れいむに食料を与えていたゆっくりがいることは間違いないよ。
そして恐らくそいつがこの事件の犯人だ。大方そのれいむに何か弱みでも握られて強請られてたんだろう。それでトラブって殺したってところかな」
「むきゅ!ちぇんがれいむにごはんをあげてたのかしら?」
「いや、それはない。あいつの家にはそこそこの量の保存食が積まれていた。いくら狩りが上手いっていっても、
れいむにあれだけたらふく食わせて、しかも食料を貯めるなんざとても無理だ。
自分の分だって集めなきゃならないわけだし、なにより、もしそうならガラクタ探して遊んでる余裕なんてないはずだしな」
「むっきゅー。それじゃいったいだれが?それにどういうりゆうでれいむにおどされていたのかしら?」
「まっ、その辺の理由とか食料庫のこととかは、とっ捕まえてから本人に直接訊きゃあいいのさ」
「むきゅ!人間さん」
長ぱちゅりーと男が話している所に、男の連れのぱちゅりーが戻ってきた。
どうやら男の頼まれた仕事が完了したようだ。
「おっ、ぱちゅりー。どうだった首尾は?」
男がそちら側に顔を向ける。
「むきゅ。群れの全てのゆっくりに確認してみたけど、人間さんの言ったとおりだったわ。
あと話しを聞いてないのは、長と幹部まりさだけよ」
「そうか、ご苦労さん。そんじゃま長、ちょっくら聞きたいことがある。
ふふ、あるいはこの結果で犯人を追い詰める材料が揃うかもね」
「む、むきゅ!な、なにかしら」
長ぱちゅりーは緊張の表情で男に尋ねた……。
「みょん!じけんのはんにんがわかったってほんとかみょん!」
「ゆっふっふ!はじめからちぇんがはんにんにきまってるのぜ!」
「そんなことないわ!きっとほかにしんはんにんがみつかったのよ!」
「むきゅ!しずかにしないさい!これからにんげんさんからのせつめいがあるわ!」
やかましく会話する幹部達を長ぱちゅりーが叱責する。
これから事件の解決をするということで、四匹の幹部ゆっくりは一所に集められていた。
「いや、まあ、そんな大仰な話しにはならないんだけどね。とりあえず犯ゆは誰かわかったよ」
そうゆっくりたちに宣言する男。
「ゆっ!それではんゆはだれなのぜ?いやいや!わざわざいわなくてもまりさにはわかってるのぜ!
はんゆはちぇんなのぜ!これできまりなのぜ!いっけんらくちゃくなのぜ!」
男が何かを語り出す前にそう喚きたてるまりさ。
その様子を尻目に、男は静かに言った。
「いや、犯ゆはお前だよまりさ」
「………………は?」
思わぬ発言を受けて、完全に固まるまりさ。
ポカンと口を開けたアホ面のまま静止すること数秒…。
「はああああああああああああああああああ!なにいってるんだぜえええええええええええええええええ!
このくそにんげんがああああああああああああ!ふざけるんじゃないのぜえええええええええええええええ!」
突然大声で喚き散らすまりさ。その表情は怒りに歪んでおり、口汚い言葉で男を罵り始める。
「どおおおおおおしてばでぃさがはんにんになるのおおおおおおおおおおおお!そんなわけないでしょおおおおおおおお!
ばかなにんげんは、さっさとしんぬんだぜえええええええええええええ!」
男はそんなまりさにかまわず淡々と説明をはじめる。
「まず第一の理由として、まりさ、お前にはアリバイがない。
犯行時刻である夕方にお前のこと目撃しているゆっくりは一匹もいなかった」
「そんなのべつにまりさだけじゃないんだぜえええええええええ!ほかのゆっくりだって!ちぇんにだってそんなものはないんだぜええええええええ!」
「ああ、その通り。ちぇんのほかにも、その時間帯にアリバイのないゆっくりは他にも何匹かいた。
だから当然これだけでは理由にはなりえない」
そこでいったん間をおくと、再び男は話し始める。
「理由の第二としてはまりさ、お前が嘘をついていたことさ。実際のところちぇんはれいのおうちなんかにいってなかったのさ」
「なにいってるんだぜええええええええええ!まりさはこのめでしっかりとみたんだぜええええええええええ!」
「それをお前以外に証明できるやつがいるか?いないよな。あのときあの場所に確かにお前はいたんだろうさ。
だが、ちぇんはいなかった。何故お前は嘘をついたのか?それはお前が犯人だからだよまりさ」
「いいっかげんにするのぜええええええええええええ!それじゃあちぇんのおうちからでてきたおかざりはどうせつめいするのぜえええ!」
「あれはちぇんに罪を着せるためにお前が自分でちぇんのおうちに隠したのさ。
そもそもちぇんが犯人なら部屋にあるお飾りに気づかないなんていくらなんでも変だろう?」
「そんなのちぇんがあせってて、きづかなかっただけのはなしなのぜええええええええ!」
「そうだな。オレもはじめはそう考えたよ、単にお飾りの存在に気づかなかったんじゃないかってね。でもそれだと変なんだよな。
もし普通に体当たりとかの衝撃でお飾りが外れたのならあの場所にお飾りがあるのは絶対におかしいんだよ。物理的にありえないんだ。
つまりあのおかざりは偶然外れてしまったんじゃなくて、誰かの手によって意図的に隠されたものと考えるしかないのさ」
「だったらちぇんがちょくせつかくしたにちがいないんだええええええええええええ!
れいむをころして、おうちにかえったちぇんは、ゆかにおちているれいむのおかざりをみつけたけど、そのときはつかれてたから、いったんつんであるしょくりょうのしたにかくしたんだぜええええええ!
それでごじつ、だれにもみつからないところにすてにいくつもりだったにちがいないんぜえええええええ!」
「え?何?聞こえない?もっかい言って?」
男は挑発するように、ニヤニヤ顔をしながら耳に手をあてる動作をする。
「だからああああああああああ!あのおかざりはちぇんがためこんだしょくりょうのしたにじぶんでかくしたんだっていってるんだぜえええ」
「………………」
沈黙。
「はあはあ…やっとのばかなにんげんもりかいしたのかぜ!だいたい…」
「何故だ?」
まりさのセリフを遮るように疑問を差し込む男。
「ゆ?」
「何でお前は、れいむのお飾りが、ちぇんのおうちの食料の下に隠してあったことを知っているのかなぁ?」
「ゆ?え?ゆっなっ!ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
しまったという顔で叫び声を上げるまりさ。
「そう!確かにお飾りはお前の言うとおり食料の下に隠してあった!だがしかしお飾りを発見したみょんは誰にもそのことを言っていない!そうだなみょん!」
「みょん!そのとおりだみょん!」
力強く頷くみょん。
「ちっちがうのぜこれは、なんとういうか、そう、むれのうわはなしでどこからかきいたはなしなんだぜ!」
あたふたと言い繕うまりさ。
「ぱちゅりー!群れの全ゆっくりに確認したな!れいむのおかざりがどこからできたか知ってるかって」
「むきゅ!しっかり確認済みよ!みんなちぇんのおうちから出てきたことは知ってたけど、食料の下から出てきたなんて言っているゆっくりは一匹もいなかったわ
ちなみに長ぱちゅりーと幹部ありすも知らなかったことだわ!」
「む、むきゅ!あのしつもんにはそういういみがあったの!おかざりがでてきたばしょなんていまはじめてしったわ!」
呆然と呟く長ぱちゅりー。
「ゆっ、ちょっ、そっ、そうだ!みょんだっておかざりのばしょをしってたのぜ!みょんがじぶんでかくしてじぶんでみつけたのかもしれないのぜ!
じさくじえんなのぜ!」
そう指摘するまりさ。
「むきゅ!それはないわ!みょんはその時間帯は、群れの複数のゆっくりといっしょに狩りをしていたんだもの!
ほかにも沢山のゆっくりたちがその様子を目撃していたわ!これも群れの全ゆっくりに既に確認済みよ!」
最後の頼みの綱もきっぱりと否定されるまりさ。
「と、まあそういうわけだ。
なぜお前がみょん以外誰も知らないはずのお飾りの隠し場所を知っていたのか?
それはな、まりさ!テメェがれいむを殺し、ちぇんに罪を着せようとして、自分で直接お飾りをちぇんのおうちへ隠した張本人だからだよ!
これがお前が犯人だっていう証拠だ!さあ、言い逃れできるのならやってみな!」
「ゆ、が、ああああああああああああああああああああああああ!」
ひとしきり絶叫したまりさはしばらくの間がっくりとなだれていたが、そのうちプルプルと震えだすと勢いよく喋りだした。
「あいつが!あのげすがぜんぶわるいんだぜえええええええええええええええええ!
ちょっとしょくりょうこのしょくりょをかりようとしてただけなのに、それをみていたあのげすは、それをねたにえんえんまりさをおどしてえええええ!」
「むきゅ!それじゃしょくりょうがへっていたのはまりさがやっていたのね!」
長ぱちゅりーが驚いた様子で言う。
「まりさもすきでこんなことをしたんじゃないんだぜえええええ!まりさはこんなことしたくなかったけど、あのれいむがむりやりいいいいいい!
いわば、まりさもひがっしゃなのぜえええええええええええええええええええ!」
おんおんと泣き出すまりさ。
「ふざけんじゃねえええええええええええええ!」
ドカッ
「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
突然の男の蹴りが泣いているまりさの顔面を直撃した。
「元はといえば、テメーが盗みに入ったのが事の発端だろうーが!それでれいむを殺したあげく、何の罪もないちぇんに罪をなすり付けようとするとは何事だオラァ!
そもそも、変な小細工せずに普通にれいむを殺しとけば、いくら人間でも犯人は誰かわからなかったんだよ!
それをくだらねえ真似をするから、こういう結果になるんだよボケ。自業自得だ!」
「ゆがああああああああああああ!うるさいいいいいいいいいいいい!そもそもおまえさえいなければこんなことにはならなかったんだぜええ!
しね!くずなにんげんはゆっくりしねええええええええええええええ!」
何をトチ狂ったのか男に向かって体当たりを仕掛けるまりさ。
あるいはもはやこのまりさは正常な判断ができないほどに深刻な錯乱状態に陥っているのかもしれなかった。
「やれやれ」
男はため息をつくと、向かってくるまりさを蹴飛ばした。
「ゆべが!」
男に蹴られ吹き飛ばされたまりさは、ピクピクと痙攣したのちがっくりとうな垂れ動かなくなった。
「ま、まりさ!しんじゃったの?」
「いや、殺しちゃしちゃいないよ。気絶したけだ。制裁はお前らの手でやりな、それがルールだ」
「む、むきゅ!わかったわ!にどとこんなことがおきないように、このまりさは、みせしめとして、むれのちゅうしんぶにさらして、
しぬまでのあいだ、ゆっくりとじかんをかけてきのえだでぷすぷすのけいよ!」
「このいなかもんがあああ!よくもちぇんを…」
「みょん!ちぇんにはどげざしてあやまらなきゃならないみょん…」
動けないまりさを、幹部ありすと幹部ちぇんが引きずっていく。あのまりさはこれから長い間地獄の日々を過ごす事になるだろう。
それらの様子を見ながら、男はふー、と息を吐く。
「まったく、普通なら犯行が完全に露見した犯人は潔く罪を認めるのが推理物のお約束なんだがな…。
まあ、でもゆっくりにはそういうのは似合わないかもな」
そう訳のわからないことを呟いたのであった。
おしまい
以下全然読む必要のない後書き。
こんな拙い文章を最後までよんでくださってありがとうございました。
様々な素晴らしいお話しがある中、たまにはこんなバカげた話しがあってもいいんじゃないかと思って書きました。
いや、ほんとごめんなさい。なんかこう、魔が差しました。
次こそはもっとまともなお話しを書けるように努力します。
それではまた機会があったときはよろしくお願いします。
ナナシ。
過去作品
anko1502 平等なルールの群れ
anko1705 北のドスさま 前編その1
anko1706 北のドスさま 前編その2
anko1765 北のドスさま 後編その1
anko1766 北のドスさま 後編その2
あとコンペ作品とか