トリステイン学院内にある、ヴェストリの広場。そこにギーシュと明石は立っていた。
二人を取り囲むように、観客として生徒達が集まっている。
明石がどこまで頑張れるか、興味本位で見に来た野次馬が半分。ギーシュの二股が悔しく、
明石になんとか頑張って欲しいと願うのが四分の一。生意気な平民を叩きのめせ、と考えている者が残り、といったところだろうか。
「逃げないで来たことは褒めてあげるよ」
気障に微笑むギーシュ。その声は、明石に対する嘲りに満ちている。
「もう一度聞くけど、僕に謝る気はないかい?今なら許してあげるよ?」
「謝るってのは、悪いことをしたときにやるものだ。さっきの自分の行いを考えてみろ、どっちが悪いかは一目瞭然だろう」
周りからクスクス、と上がる含み笑い。ギーシュの顔に怒りの色が浮かんだ。
「そうか、それならいいよ。早く始めよう」
そう言うとギーシュは、手に持っている薔薇の造花を大仰な動きで振った。
二人を取り囲むように、観客として生徒達が集まっている。
明石がどこまで頑張れるか、興味本位で見に来た野次馬が半分。ギーシュの二股が悔しく、
明石になんとか頑張って欲しいと願うのが四分の一。生意気な平民を叩きのめせ、と考えている者が残り、といったところだろうか。
「逃げないで来たことは褒めてあげるよ」
気障に微笑むギーシュ。その声は、明石に対する嘲りに満ちている。
「もう一度聞くけど、僕に謝る気はないかい?今なら許してあげるよ?」
「謝るってのは、悪いことをしたときにやるものだ。さっきの自分の行いを考えてみろ、どっちが悪いかは一目瞭然だろう」
周りからクスクス、と上がる含み笑い。ギーシュの顔に怒りの色が浮かんだ。
「そうか、それならいいよ。早く始めよう」
そう言うとギーシュは、手に持っている薔薇の造花を大仰な動きで振った。
ルイズは明石を止めなかったことを後悔していた。
食堂で明石がメイドのシエスタをかばったことで、ギーシュは八つ当たりの対象を明石に変え、
ついには決闘を行うという話になってしまったのだ。
平民と貴族の間に、越えようにも越えられない差があるのは、この世界に住むものなら誰だって知っている。
まさか相手をするはずもない。
だというのに、明石は決闘を受けてしまったのだ。
「何やってるのよアカシ!」
ギーシュが食堂から出て行ってすぐ、ルイズは明石を止めるために突っかかった。
「ルイズか。たいしたことじゃない。ただ決闘をすることになっただけだ」
明石はいつもと変わらない。貴族に逆らえばどんな目にあうか、この世界の人間なら理解している事が、この男には全く通用しない。
「たいしたことじゃない!?貴族が相手の決闘で、どうやったらそんな口が聞けるのよ!?
あんた絶対負けるわよ!?絶対、確実、100%!」」
「それでもやらなきゃいけないときがある。どんな人間にも、周りからはどんなに下らないことに見えても、
負けを認めるわけにいかない時、逃げるわけにいかない時、そういう時はあるんだ」
明石の真剣な目に、ルイズは思わず絶句する。
その瞳の光が、彼の言葉が嘘や思いつきで言ったものではない、と告げていた。
彼はその言葉通りに行動し、あらゆる困難、不可能とさえ思える出来事を乗り越え進む、そんな人間だと告げていた。
ルイズが次の言葉が出せずにいると、明石は真剣な顔をやめて、すこし微笑んだ。
「なに、お前が気にすることじゃない。お前があいつの相手をするよりは勝率は高いさ」
からかうように言う明石。途端にルイズの頭に血がのぼる。
まただ。また自分を相手にしていない。また自分を下に見ている。
「そう!ならさっさと行ってきたら!ギーシュにボコボコにされてきなさい!」
結局、止めようとしたのに、けしかける結果となってしまったのである。
はあ、とルイズはため息をつく。決闘から止めようと思ったのに、なんでこんなことになってるんだろう。
「ルイズ、あんた自分の使い魔になにやらせてるの?」
横からかけられた声の方を向くと、キュルケとタバサが立っていた。
「キュルケ…。あたしがやらせたんじゃないわ。あいつが勝手に受けたのよ」
「ふーん。まあ、いくらルイズでも平民に無謀な決闘なんて仕掛けさせないわよね」
「無謀じゃない」
タバサの言葉に、キュルケとルイズが驚きの視線を向ける。魔法が使えるメイジと、鍛えているとはいえ、
魔法など使えない平民。どちらが勝つか、その辺の子供でも分かるはずだ。
「目を見れば分かる。少なくともあの人には、勝つための何かを持ってる」
まさか、と思う。だが確かに、明石の目はメイジという力におびえているわけでもなく、
なんとしても勝つという必死さも漂っていない。
あくまで自然体、自信に満ち溢れた目だった。
食堂で明石がメイドのシエスタをかばったことで、ギーシュは八つ当たりの対象を明石に変え、
ついには決闘を行うという話になってしまったのだ。
平民と貴族の間に、越えようにも越えられない差があるのは、この世界に住むものなら誰だって知っている。
まさか相手をするはずもない。
だというのに、明石は決闘を受けてしまったのだ。
「何やってるのよアカシ!」
ギーシュが食堂から出て行ってすぐ、ルイズは明石を止めるために突っかかった。
「ルイズか。たいしたことじゃない。ただ決闘をすることになっただけだ」
明石はいつもと変わらない。貴族に逆らえばどんな目にあうか、この世界の人間なら理解している事が、この男には全く通用しない。
「たいしたことじゃない!?貴族が相手の決闘で、どうやったらそんな口が聞けるのよ!?
あんた絶対負けるわよ!?絶対、確実、100%!」」
「それでもやらなきゃいけないときがある。どんな人間にも、周りからはどんなに下らないことに見えても、
負けを認めるわけにいかない時、逃げるわけにいかない時、そういう時はあるんだ」
明石の真剣な目に、ルイズは思わず絶句する。
その瞳の光が、彼の言葉が嘘や思いつきで言ったものではない、と告げていた。
彼はその言葉通りに行動し、あらゆる困難、不可能とさえ思える出来事を乗り越え進む、そんな人間だと告げていた。
ルイズが次の言葉が出せずにいると、明石は真剣な顔をやめて、すこし微笑んだ。
「なに、お前が気にすることじゃない。お前があいつの相手をするよりは勝率は高いさ」
からかうように言う明石。途端にルイズの頭に血がのぼる。
まただ。また自分を相手にしていない。また自分を下に見ている。
「そう!ならさっさと行ってきたら!ギーシュにボコボコにされてきなさい!」
結局、止めようとしたのに、けしかける結果となってしまったのである。
はあ、とルイズはため息をつく。決闘から止めようと思ったのに、なんでこんなことになってるんだろう。
「ルイズ、あんた自分の使い魔になにやらせてるの?」
横からかけられた声の方を向くと、キュルケとタバサが立っていた。
「キュルケ…。あたしがやらせたんじゃないわ。あいつが勝手に受けたのよ」
「ふーん。まあ、いくらルイズでも平民に無謀な決闘なんて仕掛けさせないわよね」
「無謀じゃない」
タバサの言葉に、キュルケとルイズが驚きの視線を向ける。魔法が使えるメイジと、鍛えているとはいえ、
魔法など使えない平民。どちらが勝つか、その辺の子供でも分かるはずだ。
「目を見れば分かる。少なくともあの人には、勝つための何かを持ってる」
まさか、と思う。だが確かに、明石の目はメイジという力におびえているわけでもなく、
なんとしても勝つという必死さも漂っていない。
あくまで自然体、自信に満ち溢れた目だった。
ギーシュの振った薔薇の動きに呼応するかのように、青銅のゴーレム、ワルキューレが呼び出された。
おお、と思わず明石は感嘆の声を上げる。
自分達の世界で特別な儀式、秘法を用いずに、簡単にこういったものを作り出せたのはプレシャスを除けばただ一人、
古代ゴードム文明の大神官ガジャだけだ。
それがこの世界では、おそらく初歩のレベルであろう魔法使いでも可能。
面白いな、と明石が思っているのをどう判断したのか、ギーシュは明石を馬鹿にするような笑みを浮かべた。
「何を驚いてるんだい?僕は魔法使いなんだから、決闘に魔法を使うのは当然だろう?」
「確かにその通りだ。俺も色々と使わせてもらうんだから、その辺はお互い様だな」
ギーシュが明石の言葉の意味を図りかねたのか、顔に疑問を浮かべる。
明石はジャケットの内ポケットから、携帯電話型多機能ツール、アクセルラーを取り出した。
ここに来たとき、変身可能かどうかは試している。
地球にあるはずのビークルからエネルギーが供給されているのだから、本来この世界では変身出来ないはずだが、問題はなかった。
この世界にもビークルが呼ばれているのか確かめようかとも思ったが、さすがに学院に呼んで大騒ぎにするわけにもいかないので自粛している。
状況が分からないぶん出来るだけ使いたくなかったのだが、そういうわけにもいかない。
明石は左腕を伸ばし、右手に持ったアクセルラーを肩に当て、手に向かって一気に滑らせた。
「ボウケンジャー、スタートアップ!」
瞬間、閃光が明石を包んだ。
おお、と思わず明石は感嘆の声を上げる。
自分達の世界で特別な儀式、秘法を用いずに、簡単にこういったものを作り出せたのはプレシャスを除けばただ一人、
古代ゴードム文明の大神官ガジャだけだ。
それがこの世界では、おそらく初歩のレベルであろう魔法使いでも可能。
面白いな、と明石が思っているのをどう判断したのか、ギーシュは明石を馬鹿にするような笑みを浮かべた。
「何を驚いてるんだい?僕は魔法使いなんだから、決闘に魔法を使うのは当然だろう?」
「確かにその通りだ。俺も色々と使わせてもらうんだから、その辺はお互い様だな」
ギーシュが明石の言葉の意味を図りかねたのか、顔に疑問を浮かべる。
明石はジャケットの内ポケットから、携帯電話型多機能ツール、アクセルラーを取り出した。
ここに来たとき、変身可能かどうかは試している。
地球にあるはずのビークルからエネルギーが供給されているのだから、本来この世界では変身出来ないはずだが、問題はなかった。
この世界にもビークルが呼ばれているのか確かめようかとも思ったが、さすがに学院に呼んで大騒ぎにするわけにもいかないので自粛している。
状況が分からないぶん出来るだけ使いたくなかったのだが、そういうわけにもいかない。
明石は左腕を伸ばし、右手に持ったアクセルラーを肩に当て、手に向かって一気に滑らせた。
「ボウケンジャー、スタートアップ!」
瞬間、閃光が明石を包んだ。
「なんだありゃ!?」
周りにいた生徒達は、驚きのあまり頓狂な声を上げた。
「ちょっと、なにあれ!?」
キュルケはいきなり変わった明石の姿に、少しハイになっていた。
「…ちょっといいかも」
タバサは気に入ったようだった。
「…うそ!?」
ルイズは目の前で起きていることが、一瞬理解できなかった。
閃光の後、明石は赤と白を基調とした特殊服、アクセルスーツに全身を包み、ボウケンレッドへと姿を変えていた。
周りにいた生徒達は、驚きのあまり頓狂な声を上げた。
「ちょっと、なにあれ!?」
キュルケはいきなり変わった明石の姿に、少しハイになっていた。
「…ちょっといいかも」
タバサは気に入ったようだった。
「…うそ!?」
ルイズは目の前で起きていることが、一瞬理解できなかった。
閃光の後、明石は赤と白を基調とした特殊服、アクセルスーツに全身を包み、ボウケンレッドへと姿を変えていた。
「サバイバスター!」
明石の声に反応し、一瞬の光とともに現れたボウケンジャー標準装備の銃、サバイバスターから放たれた弾丸が、
ワルキューレに突き刺さる。
「え?」
呆然としていたギーシュの目の前で、ワルキューレは爆裂四散した。
「ぼ、僕のワルキューレがぁ!?」
「行くぞ!」
明石はサバイバスターを剣状態のサバイブレードに変形させ、ギーシュへ突進する。
「く、くそ!出ろワルキューレ!」
ギーシュは焦りながらも、六体のワルキューレを呼び出す。こんなことがあってたまるか、なんだあのマジックアイテムは、
と毒づきながら。
しかし悲しいかな、古今東西、再生怪人と戦闘員とヒーロー初登場の時の敵は弱いと相場が決まっているものだ。
「ボウケンジャベリン!」
明石は呼び出した槍型の武器とサバイブレードを両手に持ち、二刀流となって迫ってくる敵にやたらめったら斬りつける。
明石の声に反応し、一瞬の光とともに現れたボウケンジャー標準装備の銃、サバイバスターから放たれた弾丸が、
ワルキューレに突き刺さる。
「え?」
呆然としていたギーシュの目の前で、ワルキューレは爆裂四散した。
「ぼ、僕のワルキューレがぁ!?」
「行くぞ!」
明石はサバイバスターを剣状態のサバイブレードに変形させ、ギーシュへ突進する。
「く、くそ!出ろワルキューレ!」
ギーシュは焦りながらも、六体のワルキューレを呼び出す。こんなことがあってたまるか、なんだあのマジックアイテムは、
と毒づきながら。
しかし悲しいかな、古今東西、再生怪人と戦闘員とヒーロー初登場の時の敵は弱いと相場が決まっているものだ。
「ボウケンジャベリン!」
明石は呼び出した槍型の武器とサバイブレードを両手に持ち、二刀流となって迫ってくる敵にやたらめったら斬りつける。
確かに一体一体の能力は決して低くない、常人以上であるワルキューレだが、相手は歴戦の戦いを潜り抜けてきた明石である。
多対一の戦いも何度も経験してきており、なにより操る相手は我を忘れており、ただワルキューレを突撃させるだけだ。
これなら勝てない相手というわけではない。
袈裟斬り、突き、ジャンプからの一刀両断。アクセルスーツによる強化もあいまって、ワルキューレは瞬く間に粉砕されていく。
「こ、こんな、こんなこと、起こるはずが…」
「レッドゾーンクラッシュ!!」
明石の裂帛の気合と共に放たれた必殺の一撃によって、最後のワルキューレが両断され、何故か爆発した。
呆然としていたギーシュはその爆風に、思わずしりもちをつく。その首に、明石のサバイブレードの刃が当てられた。
「決着だな」
「あ、ああ…。負けだ、僕の負けだよ」
明石は腰に装着されているアクセルラーを掴み、変身を解除する。
勝負がついたことが分かると、周囲から割れんばかりの歓声が上がった。
多対一の戦いも何度も経験してきており、なにより操る相手は我を忘れており、ただワルキューレを突撃させるだけだ。
これなら勝てない相手というわけではない。
袈裟斬り、突き、ジャンプからの一刀両断。アクセルスーツによる強化もあいまって、ワルキューレは瞬く間に粉砕されていく。
「こ、こんな、こんなこと、起こるはずが…」
「レッドゾーンクラッシュ!!」
明石の裂帛の気合と共に放たれた必殺の一撃によって、最後のワルキューレが両断され、何故か爆発した。
呆然としていたギーシュはその爆風に、思わずしりもちをつく。その首に、明石のサバイブレードの刃が当てられた。
「決着だな」
「あ、ああ…。負けだ、僕の負けだよ」
明石は腰に装着されているアクセルラーを掴み、変身を解除する。
勝負がついたことが分かると、周囲から割れんばかりの歓声が上がった。
「決着じゃな」
トリステイン学院の学院長室、そこで遠見の鏡を利用して、三人の男女が決闘を見ていた。
一人はコルベール、一人はロングビル、そしてもう一人は学院長のオールド・オスマンである。
「ただの使い魔ではなかった、ということですね。あのようなマジックアイテムを持っていたとは」
「うむ。しかしあれを何故彼が持っているのじゃ?あれは間違いなく、彼らから渡された『光の箱』と同じものじゃ」
むう、とうなり、その時のことを思い出すかのように顎に手を当てるオスマン。
少し考え、オスマンはコルベールの方をじろり、と睨んだ。
「まさか、宝物庫から盗まれてはおらんじゃろうな?」
「あ、ありえませんよ!だいたい宝物庫にある『光の箱』は、持ってきてからこのかた
起動の仕方も分からず置いたままになってるじゃないですか!」
「私も彼が去った後、ミスタ・コルベールと一緒に確かめました。宝物庫にあるもので欠けたものはありません」
ロングビルがコルベールのフォローをする。とりあえず納得したのか、オスマンはコルベールから目を離し、
遠見の鏡に映る明石に目を向けた。
「ということは、あれは宝物庫にあるのとは別の、彼が元から持っていたもの、ということになるのかのう」
今の状況だけで結局答えが出るはずもなく、押し黙る三人。
鏡に映る明石は、彼の主人であるルイズのもとに向かって歩いていた。
トリステイン学院の学院長室、そこで遠見の鏡を利用して、三人の男女が決闘を見ていた。
一人はコルベール、一人はロングビル、そしてもう一人は学院長のオールド・オスマンである。
「ただの使い魔ではなかった、ということですね。あのようなマジックアイテムを持っていたとは」
「うむ。しかしあれを何故彼が持っているのじゃ?あれは間違いなく、彼らから渡された『光の箱』と同じものじゃ」
むう、とうなり、その時のことを思い出すかのように顎に手を当てるオスマン。
少し考え、オスマンはコルベールの方をじろり、と睨んだ。
「まさか、宝物庫から盗まれてはおらんじゃろうな?」
「あ、ありえませんよ!だいたい宝物庫にある『光の箱』は、持ってきてからこのかた
起動の仕方も分からず置いたままになってるじゃないですか!」
「私も彼が去った後、ミスタ・コルベールと一緒に確かめました。宝物庫にあるもので欠けたものはありません」
ロングビルがコルベールのフォローをする。とりあえず納得したのか、オスマンはコルベールから目を離し、
遠見の鏡に映る明石に目を向けた。
「ということは、あれは宝物庫にあるのとは別の、彼が元から持っていたもの、ということになるのかのう」
今の状況だけで結局答えが出るはずもなく、押し黙る三人。
鏡に映る明石は、彼の主人であるルイズのもとに向かって歩いていた。
「終わったぞ」
決闘の後、明石はルイズに近寄ると、何事もなかったかのように言った。
ルイズはどう答えたらいいのか分からず、黙りこくっていた。
「すごいじゃないアカシ!あれ一体なんてマジックアイテムなの!?一体どこで手に入れたのよ!?」
ルイズが喋らない代わりといわんばかりに、キュルケが矢継ぎ早に質問する。
明石は「ああ」とか「いや」とか生返事を返しながら、ルイズと向かい合った。
「どうした?まだ怒ってるのか?」
「べ、別に!そりゃあんなマジックアイテムがあれば楽勝だもんね!決闘だって受けるわよね!」
「何を言ってるんだ。そんなに心配だったのか?」
「う、うるさいうるさい!」
よく響く声で叫ぶルイズと、それを相手する明石。端から見ると駄々をこねる妹をあやす兄のような光景を作りながら、
二人は学校に向かって歩いていった。
決闘の後、明石はルイズに近寄ると、何事もなかったかのように言った。
ルイズはどう答えたらいいのか分からず、黙りこくっていた。
「すごいじゃないアカシ!あれ一体なんてマジックアイテムなの!?一体どこで手に入れたのよ!?」
ルイズが喋らない代わりといわんばかりに、キュルケが矢継ぎ早に質問する。
明石は「ああ」とか「いや」とか生返事を返しながら、ルイズと向かい合った。
「どうした?まだ怒ってるのか?」
「べ、別に!そりゃあんなマジックアイテムがあれば楽勝だもんね!決闘だって受けるわよね!」
「何を言ってるんだ。そんなに心配だったのか?」
「う、うるさいうるさい!」
よく響く声で叫ぶルイズと、それを相手する明石。端から見ると駄々をこねる妹をあやす兄のような光景を作りながら、
二人は学校に向かって歩いていった。