「いてててて……って何処ですかここはー!?」
上条当麻は不幸だった。
とある平日の学校帰り、一人だけ小萌先生の補習を受けた結果、下校時間が遅れ、早くインデックスの夕飯を作らなければゲージ3消費の超必殺技を受けてしまうー、と思いながら駆けていたはず。
はずだった。
ヤバイヤバイ、と早足から全速力へと変わった彼の視界には、召喚の鏡など見えずに中へと華麗に突っ込んだ。
そして結果がこれである。明らかに自分が暮らしてた学園都市とは違う場所。一面に広がる草原。遠くには資料で見た中世ヨーロッパ辺りを思い出される城が建っている。
と、気付く。自分の周りに見たこともない制服を着ている人達を。
「あんた誰よ」
当麻の事を珍しい生き物だと思っているのか、ジトジトと見てくる。
その中で一番当麻に近いピンク色長髪の子が声をかけて来た。
「いや……アノそもそもなんで私がこんな所にいるのでしょーか?」
確かに、我が家に帰ろうとしたらいつの間にか知らない場所へと飛ばされたのだ。当麻の言い分は尤もであったのだが……
彼らにとってはそんな当麻の事情はどうでもよく、むしろ別の事で笑い出した。
「ゼロのルイズが平民を召喚したぞー!」
「さすがはルイズ、俺達には出来ない事をやってくれるぜ!」
「なっ、うるさい!」
ピンク色の髪の子が頬をやや紅潮に染め、野次を飛ばす仲間であろう人達に怒鳴る。
一方の当麻は当麻で、首を傾げて?マークを頭に浮かべている。
あのー人の話を聞いてくれないでしょうかと、声をかけたいのだが、いかんせん勇気がない為ただ黙ってるしか他ない。
すると、この場で唯一大人であろう中年の男性が前へ出てくる。その男性の恰好を見て当麻はここがどのような場所か理解できた。
大きな木の杖に黒のローブ。間違いない、魔術師だ。
しかし、当麻が知っている魔術団体、ローマ正教、イギリス清教、ロシア成教といった様子には見えない。今まで味わった経験とは勝手が違いすぎる。
それにこの場所は言うなら魔術の学校だと当麻は感じる。そのような場所には出くわした事がないので、もう少し様子を見る事にした。
上条当麻は不幸だった。
とある平日の学校帰り、一人だけ小萌先生の補習を受けた結果、下校時間が遅れ、早くインデックスの夕飯を作らなければゲージ3消費の超必殺技を受けてしまうー、と思いながら駆けていたはず。
はずだった。
ヤバイヤバイ、と早足から全速力へと変わった彼の視界には、召喚の鏡など見えずに中へと華麗に突っ込んだ。
そして結果がこれである。明らかに自分が暮らしてた学園都市とは違う場所。一面に広がる草原。遠くには資料で見た中世ヨーロッパ辺りを思い出される城が建っている。
と、気付く。自分の周りに見たこともない制服を着ている人達を。
「あんた誰よ」
当麻の事を珍しい生き物だと思っているのか、ジトジトと見てくる。
その中で一番当麻に近いピンク色長髪の子が声をかけて来た。
「いや……アノそもそもなんで私がこんな所にいるのでしょーか?」
確かに、我が家に帰ろうとしたらいつの間にか知らない場所へと飛ばされたのだ。当麻の言い分は尤もであったのだが……
彼らにとってはそんな当麻の事情はどうでもよく、むしろ別の事で笑い出した。
「ゼロのルイズが平民を召喚したぞー!」
「さすがはルイズ、俺達には出来ない事をやってくれるぜ!」
「なっ、うるさい!」
ピンク色の髪の子が頬をやや紅潮に染め、野次を飛ばす仲間であろう人達に怒鳴る。
一方の当麻は当麻で、首を傾げて?マークを頭に浮かべている。
あのー人の話を聞いてくれないでしょうかと、声をかけたいのだが、いかんせん勇気がない為ただ黙ってるしか他ない。
すると、この場で唯一大人であろう中年の男性が前へ出てくる。その男性の恰好を見て当麻はここがどのような場所か理解できた。
大きな木の杖に黒のローブ。間違いない、魔術師だ。
しかし、当麻が知っている魔術団体、ローマ正教、イギリス清教、ロシア成教といった様子には見えない。今まで味わった経験とは勝手が違いすぎる。
それにこの場所は言うなら魔術の学校だと当麻は感じる。そのような場所には出くわした事がないので、もう少し様子を見る事にした。
「あなたが最後なのです。早く契約の証を行いなさい」
「ミスタ・コルベール! もう一度やらしてください!」
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
「でも平民ではないですか!」
「それでも、だ。召喚された者がいかなる者であろうと、呼び出された以上君の『使い魔』にならなければならない。さっ、早くしないと次の授業が始まります」
自然と当麻の耳に会話が流れ込んでくる。正直よくわからないのが本音だが、一つだけ言える事がある。
絶対不幸な事が起きる、と。
なんら確証もないが、これだけは断言できた。
早くしろーと野次を飛ばしてくる人を、ルイズと呼ばれた少女はキッと睨み、その後ため息をつきながらも当麻の方を見る。
「あんた、感謝してよね。こんな事平民は絶対に受けないんだから」
「って一体何をする気なんですかー!?」
この時当麻は後悔した。様子など見ずに事情を聞くべきであったと。いや、まさかこちらの話を聞く気がないとは予想外である。
しかし、もう遅い。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
小さな杖を当麻の目の前で振りながら呪文らしき言葉を紡ぐ。
「って説明無しですか!?」
未知なる行為にやや恐怖しながらも、普段当麻が戦って来た魔術師とは違うので、抵抗をしようとは考えなかった。というか考える余裕がなかった。
と、杖を当麻の額に置き、徐々に顔を近づけてくる。
ルイズフラグを立てた覚えはないぞーと叫ぼうとしたが、
「ああもぅ! じっとしてなさい」
と、怒りが篭った声の前に当麻は平伏す。
分かる。この漫画ちっくな展開はあれしかない。
当麻はルイズが何をしようとするのか直感で感じる。が、それは男にとって最高な行為、不幸の人生を生き抜いた当麻にとっては喉から出る程である。
そして予想通り、二人は唇と唇を交わした。
「ミスタ・コルベール! もう一度やらしてください!」
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
「でも平民ではないですか!」
「それでも、だ。召喚された者がいかなる者であろうと、呼び出された以上君の『使い魔』にならなければならない。さっ、早くしないと次の授業が始まります」
自然と当麻の耳に会話が流れ込んでくる。正直よくわからないのが本音だが、一つだけ言える事がある。
絶対不幸な事が起きる、と。
なんら確証もないが、これだけは断言できた。
早くしろーと野次を飛ばしてくる人を、ルイズと呼ばれた少女はキッと睨み、その後ため息をつきながらも当麻の方を見る。
「あんた、感謝してよね。こんな事平民は絶対に受けないんだから」
「って一体何をする気なんですかー!?」
この時当麻は後悔した。様子など見ずに事情を聞くべきであったと。いや、まさかこちらの話を聞く気がないとは予想外である。
しかし、もう遅い。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
小さな杖を当麻の目の前で振りながら呪文らしき言葉を紡ぐ。
「って説明無しですか!?」
未知なる行為にやや恐怖しながらも、普段当麻が戦って来た魔術師とは違うので、抵抗をしようとは考えなかった。というか考える余裕がなかった。
と、杖を当麻の額に置き、徐々に顔を近づけてくる。
ルイズフラグを立てた覚えはないぞーと叫ぼうとしたが、
「ああもぅ! じっとしてなさい」
と、怒りが篭った声の前に当麻は平伏す。
分かる。この漫画ちっくな展開はあれしかない。
当麻はルイズが何をしようとするのか直感で感じる。が、それは男にとって最高な行為、不幸の人生を生き抜いた当麻にとっては喉から出る程である。
そして予想通り、二人は唇と唇を交わした。
『だー――、カミヤンがキスをしよったで!?』
『にゃー! 他の人達のフラグを捨ててまでこの子を選ぶのかにゃー!?』
なんか聞こえてるが、当麻はルイズとのキスを喜ぶ。恥ずかしさうんぬんよりも純粋に『幸福』が奮い立たせたのだ。
だって考えて見よう。いきなり何処か知らない場所に飛ばされるという『不幸』の代わりに、女の子とキスをするという『幸福』が舞い降りたのだ。ちょっとはやられてみたいだろ健全な男なら、うん。
やがて何分経ったかわからないキスはルイズから離れる事によって終わりを告げた。顔を真っ赤にしながらも中年男性に伝える。
「終わりました。あっルーンが刻まれるから気をつけてね」
「ん? ルーンって確かステイ、アチチチチ」
ルと言い切る前に当麻の体が熱くなり痛みを伴った。
「くそっ、こういうオチがあるとはこの上条当麻、一生の不覚ってアチィィィイイイイ!?」
「あーもうすぐ終わるからちょっと我慢しなさいよ」
ルイズが呆れ気味に応える。確かに熱いのは一瞬で、体は普段の状態に戻った。
と、痛みから解放され地べたに座り込んだ当麻を、コルベールと呼ばれる男性が近寄ってくる。
なんなんですかー!? と焦る当麻を無視して左腕の甲を確かめる。
「ふむ、珍しいルーンだな。ちょっと調べてもいいかな?」
「あ……別に構いませんが」
「ありがと。わかり次第すぐに教えるからね。では皆教室に戻るぞ」
コルベールとルイズ以外の生徒たちは皆宙に浮いた。さすがの当麻もこれには動揺が隠せない。
が、生徒たちはそんな当麻に気にかけるまもなく、代わりに、
「ルイズ、お前も飛んでこいよ!」
「ゼロのルイズには無理無理」
「あなたみたいな人平民がお似合いよ!」
当麻でも理解出来るようにルイズの事を馬鹿にしながら去って行った。
残された二人、ルイズは当麻の方を向き、
「あんた、一体なんなの?」
「まぁそれ込みでゆっくり話せるっぽいな。とりあえず、歩いて行く?」
と、ルイズのこめかみに血管が浮かび上がった。
「う、うるさいっ! さっさと歩くわよ!」
『にゃー! 他の人達のフラグを捨ててまでこの子を選ぶのかにゃー!?』
なんか聞こえてるが、当麻はルイズとのキスを喜ぶ。恥ずかしさうんぬんよりも純粋に『幸福』が奮い立たせたのだ。
だって考えて見よう。いきなり何処か知らない場所に飛ばされるという『不幸』の代わりに、女の子とキスをするという『幸福』が舞い降りたのだ。ちょっとはやられてみたいだろ健全な男なら、うん。
やがて何分経ったかわからないキスはルイズから離れる事によって終わりを告げた。顔を真っ赤にしながらも中年男性に伝える。
「終わりました。あっルーンが刻まれるから気をつけてね」
「ん? ルーンって確かステイ、アチチチチ」
ルと言い切る前に当麻の体が熱くなり痛みを伴った。
「くそっ、こういうオチがあるとはこの上条当麻、一生の不覚ってアチィィィイイイイ!?」
「あーもうすぐ終わるからちょっと我慢しなさいよ」
ルイズが呆れ気味に応える。確かに熱いのは一瞬で、体は普段の状態に戻った。
と、痛みから解放され地べたに座り込んだ当麻を、コルベールと呼ばれる男性が近寄ってくる。
なんなんですかー!? と焦る当麻を無視して左腕の甲を確かめる。
「ふむ、珍しいルーンだな。ちょっと調べてもいいかな?」
「あ……別に構いませんが」
「ありがと。わかり次第すぐに教えるからね。では皆教室に戻るぞ」
コルベールとルイズ以外の生徒たちは皆宙に浮いた。さすがの当麻もこれには動揺が隠せない。
が、生徒たちはそんな当麻に気にかけるまもなく、代わりに、
「ルイズ、お前も飛んでこいよ!」
「ゼロのルイズには無理無理」
「あなたみたいな人平民がお似合いよ!」
当麻でも理解出来るようにルイズの事を馬鹿にしながら去って行った。
残された二人、ルイズは当麻の方を向き、
「あんた、一体なんなの?」
「まぁそれ込みでゆっくり話せるっぽいな。とりあえず、歩いて行く?」
と、ルイズのこめかみに血管が浮かび上がった。
「う、うるさいっ! さっさと歩くわよ!」