トリステインの王都から少し離れたところにあるトリステイン魔法学院に一人の生徒がいました。
彼女の名前はタバサ。実年齢よりも凄いロリ………いえ、少々幼く見える女の子です。
ある日、タバサちゃんは使い魔召喚の儀式で一匹のネコを呼び出します。
そのネコはタバサちゃんの心の中に語りかけてきました。
どうやら人間の言葉は話せないのですが、タバサちゃんと心でお話ができるようです。
彼女はネコの精霊サーリア。自分はタバサちゃんをある場所に連れて行くために現れたのだと言い
ます。
嫌な予感がしたタバサちゃんは儀式の監督教師にやり直しを要求しようと思いました。
しかし、その隙にサーリアによって、有無を言わさず不思議な回廊に連れ去られてしまいます。
タバサちゃんが回廊に着くと、そこには黒髪に豊かな胸を持つ天使様がいました。何故かメイド服
を着ています。
彼女の名前はタバサ。実年齢よりも凄いロリ………いえ、少々幼く見える女の子です。
ある日、タバサちゃんは使い魔召喚の儀式で一匹のネコを呼び出します。
そのネコはタバサちゃんの心の中に語りかけてきました。
どうやら人間の言葉は話せないのですが、タバサちゃんと心でお話ができるようです。
彼女はネコの精霊サーリア。自分はタバサちゃんをある場所に連れて行くために現れたのだと言い
ます。
嫌な予感がしたタバサちゃんは儀式の監督教師にやり直しを要求しようと思いました。
しかし、その隙にサーリアによって、有無を言わさず不思議な回廊に連れ去られてしまいます。
タバサちゃんが回廊に着くと、そこには黒髪に豊かな胸を持つ天使様がいました。何故かメイド服
を着ています。
「私の名はステファ。け、決して魔法学院に勤めてるメイドじゃないんだからね」
他人にあまり関心の無いタバサちゃんはメイドの顔なんていちいち覚えていません。
目の前の天使様の顔も見覚えが無いので、特に反応しませんでした。
その様子に安堵した天使様は言葉を続けます。
目の前の天使様の顔も見覚えが無いので、特に反応しませんでした。
その様子に安堵した天使様は言葉を続けます。
「ハルケギニアの征服を企む輩がいるわ。そう、この世界は狙われているの」
そう告げると、タバサちゃんに魔法のバトンを手渡します。
先端に可愛いウサギの顔が付いていて、赤いリボンが結んであります。
好事家に見せても、値段が付けられないようなファンシーな一品です。
先端に可愛いウサギの顔が付いていて、赤いリボンが結んであります。
好事家に見せても、値段が付けられないようなファンシーな一品です。
「このバトンで天使の力を使うことができるわ。お願いタバサ。この世界を『悪』の手から守って
ほしいの」
ほしいの」
ずっと天使様のターンな展開に胃が痛くなってきたタバサちゃんはバトンを返そうとしますが、天
使様の腕力は思ったより強く、強引に押し返されてしまいます。
その後も断り続けていたのですが、天使様の機嫌はどんどん悪くなっていきます。
このままでは元の場所に帰れなくなるかもしれません。
結局、タバサちゃんは天使様のお願いを引き受けることになってしまいました。
使様の腕力は思ったより強く、強引に押し返されてしまいます。
その後も断り続けていたのですが、天使様の機嫌はどんどん悪くなっていきます。
このままでは元の場所に帰れなくなるかもしれません。
結局、タバサちゃんは天使様のお願いを引き受けることになってしまいました。
「良かったぁ。引き受けてくれるのね。じゃ、後はサーリアに聞いてね。説明するの面倒だから」
天使様はタバサちゃん達を満面の笑みで見送ってくれました。先程まで不機嫌だったのが、まるで
嘘のようです。
こうして、タバサちゃんの『悪』の手からハルケギニアを守る戦いが始まったのです。
嘘のようです。
こうして、タバサちゃんの『悪』の手からハルケギニアを守る戦いが始まったのです。
……そういえば重要なことを忘れていました。タバサちゃんは自分が戦うべき『悪』が誰なのかを
知らないのです。
天使様に聞きそびれてしまったので、サーリアに聞いてみることにします。
知らないのです。
天使様に聞きそびれてしまったので、サーリアに聞いてみることにします。
『実はサーリアもよく知らないのですよ~』
前言撤回。まずは『悪』の正体をはっきりさせることが先のようです。
それから数日後。学院である事件が起こりました。
宝物庫に保管してあった『破壊の杖』が『ダイナマイト・フーケ』を名乗る盗賊に持ち去られてし
まったのです。
早速、『破壊の杖』の捜索隊が結成されることになりました。
メンバーはタバサちゃんとサーリア、親友のキュルケ、クラスメイトのルイズと使い魔の平民、そ
の他に学院長オスマンの秘書ロングビルを合わせた5人と1匹です。
ロングビルはフーケの潜伏場所を突き止めていたので、案内役に抜擢されました。
捜索隊が馬車で学院を出発してから4時間後、『破壊の杖』は森の中にひっそりとたたずむ小屋の中
で見つかりました。
あっけなく見つかったことに皆が拍子抜けをしていた時、小屋の外で轟音が鳴り響きました。
慌てて外へ出ると、巨大な土のゴーレムが立ちはだかっていました。ゴーレムの肩には一人の女性
が乗っています。
宝物庫に保管してあった『破壊の杖』が『ダイナマイト・フーケ』を名乗る盗賊に持ち去られてし
まったのです。
早速、『破壊の杖』の捜索隊が結成されることになりました。
メンバーはタバサちゃんとサーリア、親友のキュルケ、クラスメイトのルイズと使い魔の平民、そ
の他に学院長オスマンの秘書ロングビルを合わせた5人と1匹です。
ロングビルはフーケの潜伏場所を突き止めていたので、案内役に抜擢されました。
捜索隊が馬車で学院を出発してから4時間後、『破壊の杖』は森の中にひっそりとたたずむ小屋の中
で見つかりました。
あっけなく見つかったことに皆が拍子抜けをしていた時、小屋の外で轟音が鳴り響きました。
慌てて外へ出ると、巨大な土のゴーレムが立ちはだかっていました。ゴーレムの肩には一人の女性
が乗っています。
「あたしの名はダイナマイト・フーケ! 死にたくなかったら、その破壊の杖をこっちに寄こしな!」
キュルケはいい年してその名前は無いだろうと思いながら、得意の炎の魔法をゴーレムに放ちまし
た。
しかし、ゴーレムには全く効いていません。
た。
しかし、ゴーレムには全く効いていません。
「無理よ、こんなの!」
皆が撤退を始めようとした時、サーリアがタバサちゃんに話しかけてきました。
『タバサちゃん、今こそ天使の力を使う時です! 変身するですよ!』
『変身? どうやって…』
『魔法のバトンを構えて、呪文を唱えるです!』
『変身? どうやって…』
『魔法のバトンを構えて、呪文を唱えるです!』
タバサちゃんはいつもの自分の杖ではなく、天使様から貰った魔法のバトンを持ってきていました。
バトンでも普通に魔法を使うことができますし、こちらの方が可愛いので、杖の代わりに持ち歩く
ことにしたのです。
タバサちゃん自身の雰囲気にも合っているらしく、周囲の評判も上々です。
バトンでも普通に魔法を使うことができますし、こちらの方が可愛いので、杖の代わりに持ち歩く
ことにしたのです。
タバサちゃん自身の雰囲気にも合っているらしく、周囲の評判も上々です。
『サーリアの後に続いて呪文を唱えるですよ! ハ○ジ・ゴデ○バ・トリ○ノン!』
「ハ、ハイ○…ゴ○ィバ…ト○アノン…」
『モロ○フ・リ○デ・ディッパー○ン!』
「モ○ゾフ…リン○…ディ○パーダン…」
「ハ、ハイ○…ゴ○ィバ…ト○アノン…」
『モロ○フ・リ○デ・ディッパー○ン!』
「モ○ゾフ…リン○…ディ○パーダン…」
呪文を唱え終えると、タバサちゃんの全身を眩い光が覆い始めました。
あまりの眩しさにフーケも攻撃を繰り出せません。この世界でも変身中に攻撃できないのはセオリ
ーのようです。
あまりの眩しさにフーケも攻撃を繰り出せません。この世界でも変身中に攻撃できないのはセオリ
ーのようです。
やがて光が収まると、タバサちゃんは別の姿に変わっていました。
いつもの学院の制服姿ではなく、ピンクを基調としたミニのワンピースを身に着けています。
腰にはバトンと同じ色のリボンが結んであり、とてもよく似合っています。
いつもの学院の制服姿ではなく、ピンクを基調としたミニのワンピースを身に着けています。
腰にはバトンと同じ色のリボンが結んであり、とてもよく似合っています。
「タバサ…何なのよ、その格好は…」
唖然とするキュルケにタバサちゃんはこう返しました。
「今の私はタバサじゃない。私は…エンジェルタビィ」
「…そ、そう…エンジェルタビィって言うんだ…」
「…そ、そう…エンジェルタビィって言うんだ…」
キュルケは何か思うところがありましたが、タバサちゃんの名誉の為にこれ以上、突っ込むのを止
めることにしました。
めることにしました。
「さっきから何をブツブツ言ってるんだい! こっちを無視するんじゃないよ!」
フーケのゴーレムがタビィ目掛けて拳を振り下ろしますが、タビィは上空に飛び上がって難無くこ
れをかわします。
れをかわします。
『タビィ! 今こそトドメを差すです!』
『分かった』
『分かった』
タビィは上空からフーケのゴーレムに向かってバトンを構えたまま、必殺技の詠唱に入りました。
以前、サーリアから聞いた話では、この世界のスクウェアクラスの魔法を上回る威力だそうです。
以前、サーリアから聞いた話では、この世界のスクウェアクラスの魔法を上回る威力だそうです。
「必殺! 乙女の怒りエターナルハートフルボンバー!」
言っていて恥ずかしくなりそうな名前を叫び終わると、とても表現できないような何かがバトンか
ら放たれます。
その直撃を受けたフーケのゴーレムは跡形も無く消え去ってしまいました。
ら放たれます。
その直撃を受けたフーケのゴーレムは跡形も無く消え去ってしまいました。
「とっても、スパイシィィィィィ!」
フーケは必殺技の直撃を受けた時の衝撃でよく分からない叫びを上げながら、お空の彼方に消えて
いきました。
いきました。
「天罰」
地面に降り立ったタビィは決め台詞を呟きました。そして、変身を解いて元の姿に戻ります。
『タバサちゃん、やったです~。初勝利なのです~』
『これもサーリアのおかげ』
『そんなことないです~。照れるですよ~。でも~、フーケを捕まえなくてよかったのですか~?』
「あ……」
『これもサーリアのおかげ』
『そんなことないです~。照れるですよ~。でも~、フーケを捕まえなくてよかったのですか~?』
「あ……」
とりあえず『破壊の杖』が無事だったので、一行はフーケの捜索を諦めて学院に戻ることにしまし
た。
た。
学院に到着後、事後の報告をしようと学院長室を訪れた一行は、そこでとんでもない光景を目にし
ます。
オスマンとフーケが頭に大きなコブを作った状態で倒れていたのです。部屋の窓ガラスが割れ、辺
りに破片が散乱しています。
どうやら、タビィの必殺技で吹き飛ばされた時の到着地点が学院長室だったようで、窓に背を向け
て座っていたオスマンの後頭部に、窓を突き破って入ってきたフーケの頭が激突したようです。
フーケは気絶したまま、無事に城の衛士に引き渡されましたが、オスマンは打ちどころが悪かった
為、1ヶ月間入院することになりました。
その後の調べで、フーケの正体があのロングビルであることが分かりました。
以前、酒場で働いていた彼女を気に入ったオスマンが直々に雇ったそうですが、彼女にとってはあ
くまで『破壊の杖』を入手する為の手段に過ぎなかったようです。
そうなるとオスマンが気の毒に思えてきますが、彼はロングビルに対して日頃からセクハラ行為を
繰り返していたので、自業自得でしょう。
つまり、タビィはフーケに『天罰』を下すと同時に、オスマンにも『天罰』を下したのです。
ます。
オスマンとフーケが頭に大きなコブを作った状態で倒れていたのです。部屋の窓ガラスが割れ、辺
りに破片が散乱しています。
どうやら、タビィの必殺技で吹き飛ばされた時の到着地点が学院長室だったようで、窓に背を向け
て座っていたオスマンの後頭部に、窓を突き破って入ってきたフーケの頭が激突したようです。
フーケは気絶したまま、無事に城の衛士に引き渡されましたが、オスマンは打ちどころが悪かった
為、1ヶ月間入院することになりました。
その後の調べで、フーケの正体があのロングビルであることが分かりました。
以前、酒場で働いていた彼女を気に入ったオスマンが直々に雇ったそうですが、彼女にとってはあ
くまで『破壊の杖』を入手する為の手段に過ぎなかったようです。
そうなるとオスマンが気の毒に思えてきますが、彼はロングビルに対して日頃からセクハラ行為を
繰り返していたので、自業自得でしょう。
つまり、タビィはフーケに『天罰』を下すと同時に、オスマンにも『天罰』を下したのです。
こうしてハルケギニアの平和は守られました。
しかし、エンジェルタビィの戦いはまだ始まったばかりなのです。
これからの戦いは、より激しさを増すことでしょう。
けど、負けるな。タバサちゃん。完全に平和を取り戻すその日まで。
戦え! エンジェルタビィ!
敵の正体をはっきりさせる方が先だけど!
しかし、エンジェルタビィの戦いはまだ始まったばかりなのです。
これからの戦いは、より激しさを増すことでしょう。
けど、負けるな。タバサちゃん。完全に平和を取り戻すその日まで。
戦え! エンジェルタビィ!
敵の正体をはっきりさせる方が先だけど!
王都トリスタニアの中央に位置するトリステイン城のとある一室。
枢機卿のマザリーニですら立ち入ることを許されないその部屋で、部下からの報告書を読み終えた
アンリエッタは軽く溜息をついていました。
枢機卿のマザリーニですら立ち入ることを許されないその部屋で、部下からの報告書を読み終えた
アンリエッタは軽く溜息をついていました。
「ふぅ。やはりフーケは失敗しましたか。けど、『破壊の杖』は我々が求めている物とは違ったよう
ですね」
「はい、その通りです。既に次のターゲットに狙いを定めて計画を進めております。アンリエッタ
王女殿下」
「その呼び方はお止めなさい。今の私はアンリエッタではなく、『レディ・アン』です。あなたもこ
こでは『ビューティ・エレオ』と名乗りなさい」
「ですが、何もそんなに恥ずかしい名前を名乗らなくても宜しいのでは…」
「何を言うのです。我々の目的を達成する為には、表の名を捨てるくらいの覚悟が無ければ務まり
ません!」
「は、はぁ…」
ですね」
「はい、その通りです。既に次のターゲットに狙いを定めて計画を進めております。アンリエッタ
王女殿下」
「その呼び方はお止めなさい。今の私はアンリエッタではなく、『レディ・アン』です。あなたもこ
こでは『ビューティ・エレオ』と名乗りなさい」
「ですが、何もそんなに恥ずかしい名前を名乗らなくても宜しいのでは…」
「何を言うのです。我々の目的を達成する為には、表の名を捨てるくらいの覚悟が無ければ務まり
ません!」
「は、はぁ…」
彼女達の表の顔はトリステイン王家の王女アンリエッタと、ラ・ヴァリエール公爵家の長女エレオ
ノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールですが、ある目
的の為に同じ組織の中で行動していました。
その組織の名はネオ・トリステイン。混沌と化したハルケギニアの秩序を取り戻す為、この世界を
征服しようと企む一応、悪の組織です。
ここではアンリエッタは総統『レディ・アン』、エレオノールは作戦参謀『ビューティ・エレオ』と
名乗っています。フーケも前線指揮官『ダイナマイト・フーケ』として活動しています。
ネオ・トリステインの当面の目的は、全て揃うとどんな願いでも叶うと言われる『始祖の秘宝』を
全て手に入れることです。
しかし、組織を立ち上げてまだ日が浅い為、中々思うように進まないのが現状です。
実は天使様がタバサちゃんに言っていた『悪』とはこのネオ・トリステインのことなのですが、これだけ近くにいると、
エンジェルタビィと相対する日もそう遠くはないようです。
ノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールですが、ある目
的の為に同じ組織の中で行動していました。
その組織の名はネオ・トリステイン。混沌と化したハルケギニアの秩序を取り戻す為、この世界を
征服しようと企む一応、悪の組織です。
ここではアンリエッタは総統『レディ・アン』、エレオノールは作戦参謀『ビューティ・エレオ』と
名乗っています。フーケも前線指揮官『ダイナマイト・フーケ』として活動しています。
ネオ・トリステインの当面の目的は、全て揃うとどんな願いでも叶うと言われる『始祖の秘宝』を
全て手に入れることです。
しかし、組織を立ち上げてまだ日が浅い為、中々思うように進まないのが現状です。
実は天使様がタバサちゃんに言っていた『悪』とはこのネオ・トリステインのことなのですが、これだけ近くにいると、
エンジェルタビィと相対する日もそう遠くはないようです。