Diabolos ディアボロス

ヴァナ・ディール出身の霊獣。別名、夢の使者。夢の世界「デュナミス」を構築する力を持ち、一万年前から現在に至るまで、「虚ろなる闇」に飲まれた人間の魂を囲い入れては「救済」している。
一万年前、ジラートとして生まれる。程なくしてクリュー分裂症を患い、ソ・ジヤに移り住んだ。
クリューを救いたい一心で修行を積み、霊格を大きく上げた事で霊獣となる。
以降クリュー分裂症の治療に取り組み、実際にクリューから虚ろなる闇を取り除くも、
その結果クリューは(メルト・ブローの後遺症も手伝って)異形の生命体「トンベリ」に変貌してしまい、ディアボロスは失意の内に虚ろなる闇の治療を諦めた。
そして治療の代替手段として新たに編み出したのが、夢の世界「デュナミス」に人々の魂を囲い込み、文字通り現実逃避させる事によって救済するという手段であった。

古代戦争

ディアボロスもまた他の霊獣と同様に真世界化には反対する立場を取っており、一万年前の古代戦争ではクリューと共闘したが、
戦場では直接ジラートと干戈を交えるよりも、虚ろなる闇に飲まれた人々を分け隔てなくデュナミスに誘い入れる事に努めた。
その「救済事業」は、ジラート文明が滅亡して一万年を経た現在でも続く彼のライフワークとなった。

デュナミスの変貌

しかし864年、多くの戦死者を出した水晶大戦にて、獣人血盟軍の首魁「闇の王」をデュナミスに取り込んだため、
闇の王によって持ち込まれた尋常ならざる量の「虚ろなる闇:憎悪」が、デュナミスを憎しみに満ち満ちた修羅界へと変貌させた。
デュナミスでは死者はマザー・クリスタルに還らず、その場で再度息を吹き返すため、以降デュナミスは住人同士が憎しみに憑かれて戦い合い、永遠に血で血を洗い続けるという無間地獄となった。
エリア名で言えば、デュナミス-サンドリア・バストゥーク・ウィンダス・ジュノ・ボスディン・ザルカバードがこれに相当する。
この問題は20年が経過した現在でも解決しておらず、ディアボロスはPCを一時的に取り込んで闇の王の撃破に協力させ、
倒れた闇の王の憎悪が果たして風化して行くかどうかの監視を闇の王の素体であるラオグリムに託している。

また884年、「宿星の座」にてクリスタルに飛び込み昏睡状態に陥ったライオンの悪夢がデュナミスと繋がってしまい、それが更なる修羅界の創造に繋がった。
エリア名で言えば、デュナミス-バルクルム・ブブリム・クフィム・タブナジアがこれに相当する。
ライオン自身は標準的な人間であるため、彼女が有している虚ろなる闇もまた並の分量に過ぎなかったのだが、
彼女はプロマシアミッション「暁」にてプリッシュが投げ込んだ「タブナジアの魔石」を抱え込み、それを輪廻させまいとしていたため、その魔石の力がデュナミスを変質させる要因となった。
ディアボロスは自身の分霊(スペード・ダイア・クラブ・ハート)を派遣してライオンと魔石の掃討に当たったが返り討ちに遭ってしまい、ここでもPCの手を借りる事にした。
PCの尽力によってライオンは無事悪夢から覚める事ができたが、一旦創造されてしまった修羅界がそれで簡単に消えるはずもなく、ディアボロスは現在もなお各区域の浄化に奮闘している。

プロマシアミッション

同884年、セルテウスがヴァナ・ディールに帰還したためディアボロスは驚愕した。
セルテウスは古代戦争で「世界の終わりに来る者」を倒す使命を負って、アル・タユと共に消滅したと思われていたのだが、
そんな彼が今頃になって帰還を果たしたのは敵前逃亡して身を隠していたからだとディアボロスは勘違いし激昂、セルテウスを襲撃した。
しかしディアボロスはその場に居合わせたPCによって撃退され、改めてセルテウスから一万年前の真相と、現在彼が行おうとしている計画を知らされた。
一万年前から現実逃避の道を選んできたディアボロスは、それとは異なる解決手段を選んだとセルテウスとPCに興味を持ち、彼らの行く末をひとまず見守る事にした。
その結果、PC達は「世界の終わりに来る者」の撃破に成功し、虚ろなる闇の拡大に終止符を打った。
現実逃避を良しとせず抜本的な勝利を掴み取ったPCにディアボロスは嫉妬したが、それでもPCの実力は認めざるを得ないと判断し、現在ではデュナミスの浄化に向けて積極的にPCの力を借りている。

「虚ろなる闇は 消えつツアリ 私の 夢の世界デュナミスは 新たな魂ヲ 受け入れルコトモ 減ッタ。
 そウ おまえたちの もっトモ 望む方法ニテ 人は 救わレタノダ。……愉快だろウナ PC。
 こレカラ 私は 夢の世界デュナミスの 呪わレタ 区域ヲ 元の姿ニ 戻すガタメ 集中することトシヨウ。」


【覚書】

  • FF8で初登場した召喚獣。使用技「闇よりの使者」の演出は本作の「ネザーブラスト」に受け継がれた。Diabolos とはラテン語で「悪魔」の意。
  • 2004年2月26日に実装されたデュナミスにて「デュナミスを統べるモノ」として登場。正体不明のミステリアスな存在だったが、同年9月16日に発売された『プロマシアの呪縛』でその正体が明らかになった。
  • 元「世界の終わりに来る者」であるプリッシュを「救う」べく執拗にデュナミスに取り込もうとしたが、エシャンタールがソ・ジヤを再起動させて妨害を図ったため激怒した。
  • PCとの連絡手段にケルトトを用いており、彼女の瞑想に頻繁に現れる。上記の件でディアボロスが激怒した際は、しばらくは落ち着いた瞑想ができないとケルトトとは嘆いた。
  • 瞑想中にケルトトの方からディアボロスの事を探ろうとすると必ず現れる。彼女はその理由を「自身の過去など諸々の事を詮索されたくないからだろう」と推測している。
  • PCが初めてディアボロスと戦う事になるBFのタイトル「神を名乗りて」は、人間から霊獣になったディアボロスの事を指した名称である。


【アクション】

【ドリームシュラウド】

魔法攻撃力と魔法防御力を高める攻防一体の障壁を展開する。
上昇する値は一定ではなく、ヴァナ・ディール時間が夜に近いほど魔法攻撃力が上がり、昼に近いほど魔法防御力が上がるという、まるで夜行性を思わせるかのような性能になっている。
Dream Shroud とは「夢の帳」の意。

【アルティメットテラー】

標的のSTR・DEX・VIT・AGI・INT・MND・CHRを吸収する。真龍族のアブソルートテラーと技名が似ているが、基本的にテラー効果はなく、
『アビセアの覇者』で実装された同型のモンスター Maere が使用するアルティメットテラーにおいて初めてテラー効果が付与された。
Ultimate Terror とは「究極の恐怖」の意。

【ネザーブラスト】

重力球を投擲して闇属性のブレスダメージを与える。
威力は控えめながらも非常に高い魔法命中率で知られ、かつてはそれを買われてHNM戦で用いられた事もあった。
モーションはFF8で使用した「闇よりの使者」を踏襲したもので、着弾時に魔方陣が浮かぶエフェクトまで再現されている。
Nether Blast とは「冥界の爆風」の意。

【ナイトメア】

全身から黒色の瘴気を噴き出して標的を眠りに誘う。夢の使者ディアボロスの代名詞とも言える技で、自身中心範囲に睡眠及びバイオの効果を与える。
この睡眠は特殊なタイプでスリップダメージによって目覚める事がないため、服毒による予防が不可能となっている。
Nightmare とは「悪夢」の意。

【ナイトテラー】

漆黒の帯を幾筋も発生させて敵を絡め取る。
ネザーブラストの上位的な技で、標的単体に闇属性のダメージを与える。
高い魔法命中率も健在で、闇のエレメンタルやカトゥラエ族にもレジストされる事がない。
また標的が睡眠中だと威力が上がるというユニークな特徴もあり、ナイトメアで眠らせてから撃つという使い方ができる。
Night Terror とは「夜の恐怖」の意。

【ルイナスオーメン】

ナイトメアよりも濃い瘴気を吐き出すディアボロスの究極履行。
本作では数少ない割合ダメージの一つで、FF8時代に駆使したグラビジャや「闇よりの使者」といった割合ダメージ技を意識した性能だと思われる。
ruinous omen とは「破滅の前兆」の意。

基本的に四六時中、羽ばたいて宙に浮いているディアボロスだが、「神を名乗りて」のカットシーンでは珍しく着地してPC達の話に応じている。

「神を名乗りて」や「笑み曲ぐ夢魔と」でディアボロスと戦う事になる舞台「異界の口」。
多層構造から成る非常にユニークなBFで、ディアボロスが「ナイトメア」を使用する事で床板が何枚か抜け落ちる仕組みになっている。
床下にはダイアマイト族がひしめいており、ディアボロスは「カミサドー」を使ってそこへ蹴り落とそうとしてくる。
ENM「異界の使い魔」にも流用されていて、その際は初めから階下から進入しダイアマイト族と戦う事になる。

ソ・ジヤの最下層にある異界の口へと通じる扉。
ソ・ジヤは全部で六つの区画に分かれており、そのうち五つに霊獣の魔導器が設置されている。
ボスディン氷河(I-7)の入口はバハムート、(G-9)の入口はフェニックス、(H-8)の入口はディアボロス、(H-10)の入口はフェンリル、(J-8)の入口はカーバンクルの魔導器に通じている。
魔道器へと通じる扉には通常霊獣のレリーフが刻まれているが、ディアボロスの扉のみ異界の口の意匠が刻まれている。
最終更新:2015年04月02日 12:10