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271. Greed (3日目午前)


「いや・・・・・・・・・」
ふたりの騎士の前で、相棒であるファルコンを抱きかかえて、♀ハンターは立ちすくんでいる。その表情に貼り付いているのは、まるで幽霊でも目にしたかのような恐怖の色。がくがくと全身を小刻みに震わせて、彼女は己が弱者であるということを全身でアピールしているかのように見えた。
「君は・・・」
♂騎士にとって、♀ハンターの顔を視認するのは初めてだった。ミストレスとの激戦の渦中では未だ、彼の瞳は“人”を映すことを拒んでいたから。
しかし、情報として得てはいる。あの場に、ハンターの女性がいたということは。
「あなたは、♀スーパーノービスさんと一緒にいたハンターさんですよね?」
声をかけられた♀ハンターが、びくりと大きく反応する。
――そう、♀スーパーノービス。俺の不手際の所為で命を落とした、その少女の仲間であったと。
「一体、どうしたんです? ♂プリーストさんは・・・」
♀騎士は駆け寄ろうとするが、いやいやをするように♀ハンターは後ずさる。
「来ないでっ!!」
「・・・・・・何があったんですか? よければ、教えて・・・・・・」
足を止め、優しく話しかけようとする♀騎士だが、
「嫌なのっ! もう、嫌だよおっ!!!」
♀ハンターの口から飛び出すのは、ただ拒絶の意思のみ。だが、後退する♀ハンターは、たまたまその足元にあった木の根に足を取られ、尻餅をつく。
「やだ・・・・・・・やだ・・・・・・」
目尻に涙を浮かべ、ぎゅうっと強くふぁるを抱きしめたまま、♀ハンターは起き上がることも忘れてどうにかして距離を取ろうとする。その視線は辺りを目まぐるしく彷徨っては♀騎士に戻り、♀騎士に視線が移るたびに見たくないとばかりに視線を逸らす。何も考えられなくなっている今の♀ハンターは、♀騎士の存在を恐怖の対象としか捉えていない。
♂騎士も♀騎士も、どうすればいいのかわからなかった。原因は不明だが、♀ハンターに何かがあったのだろう事は察しがつく。まずは彼女を支配する、恐怖という枷を外さなければ。この場に♀アコライトでもいれば、ぐいっと首根っこでも掴んで檄を飛ばすことくらいやってのけたのだろうが、残念ながら♂騎士も♀騎士も、そんなキャラクターではない。
そうこうしているうちに♀ハンターは近くに生えていた木の幹に身体を預けるようにしながらよろよろと立ち上がる。膝はがくがくと震え続けているが、今は逃げなくては。
・・・・・・・・・“何処へ?”
それすらも思考の中からはすっぽりと抜け落ちたまま、♀ハンターは♂騎士達に踵を返すと、おぼつかない足取りで駆け出そうとした。
・・・・・・・・・だから、今の彼女には危険を知らせる森の中の鳥達の『声』も、耳には入っていなかった。
「あ、待って・・・・・・!」
兎にも角にも、♀ハンターをこのまま放っておくわけにはいかない。そう判断した♀騎士が、後を追おうと一歩を踏み出した時。
がくん、と。
前方で、♀ハンターの身体が大きく跳ねた。
「・・・・・・・・・!!」
どさり、と、大事そうに♀ハンターに抱えられていたふぁるの身体が地に落ちる。
そのまま、♀騎士の目の前で今度は、♀ハンターの身体が少しだけ、宙に浮き上がった。
「・・・・・・や・・・・・・!!」
♀ハンターは空中で藻掻くように身体を捻らせるが、自由が効かないらしく、手首と足首が虚空を掻き回すだけだ。苦しそうに呻き声を洩らす♀ハンターだが、♀騎士には今目の前で何が起こっているのかがわからない。
・・・・・・だが、彼女の身に何かが起こっている。助けなければ。
「待ってて、今――!?」
駆け出そうとした♀騎士の足首に、何かが絡みついた。
「きゃあっ!?」
そのまま凄い力で足元を掬われ、転倒する。見れば、地面から不気味な長い触手のようなものが何本か突き出し、それが己の足に絡み付いている。
「何、これ・・・」
「何だってんだ・・・!?」
少し遅れて反応した♂騎士が♀騎士の前に飛び出した、その瞳に映ったのは。
♀騎士を襲ったものと同じ、何十本ともいう触手によって全身を空中で絡め取られ、ぐったりとしている♀ハンターと、その触手の主――♂騎士は知る由もないが、♂ローグの屍体より生まれ出でた、異形の寄生虫の姿だった。紫色の、不気味に蠢く柔らかそうなぬめった塊。子供くらいの大きさはあろうそれの全身から、躍動する何十何百という触手と、おそらくは体液なのだろう不気味な液体が流れ出していた。
「ペノ・・・メナ!?」
・・・できそこないのペノメナ。それが♂騎士の第一印象だったが、すぐにそんな感想など頭の中から追い払い、瞬時に判断する。
「放し、やがれぇ!!!」
カッツバルゲルを大きく振りかぶると、♀ハンターの身体を空中に固定している触手郡に向かって飛び掛り、大きく――
薙いだ。
但し、それを行ったのは寄生虫の触手、吹っ飛ばされたのは横合いからの直撃を喰らった♂騎士のほうだったが。

「♂騎士さんっ!」
♀騎士は、自分の足に巻きつく触手を千切ろうとするが、うねる触手の動きと粘液によって阻まれ、うまくいかない。
「・・・・・・!!」
逡巡するが、すぐに♂騎士から受け取ったツルギを抜くと、己を拘束せんとする触手に突き立てた。ぶつり、と切れた触手は、体液を撒き散らしながらびちびち跳ね回っていたが、やがて動かなくなった。
「加勢、しますっ!」
「・・・・・・ッ、くそ」
触手の攻撃によって地面に転がされた♂騎士は、大剣を地面に突き立て、支えに立ち上がる。まだ、ミストレス戦で失った体力を取り戻せていないのだろう。とはいえ、それは♀騎士も同じことだったのだが。
触手でふたりの騎士を包囲するように牽制しながら、寄生虫はその本体の部分をぶるぶると震わせた。次の瞬間、ぐぱあ、と粘液の糸を引きながら、寄生虫の身体の一部が、裂けた。恐らくは、これが“口”なのだろう。それが証拠に、裂け目に体積を合わせるかのように寄生虫の全身も大きく膨らみ、獲物を呑み込まんと待ち構えている。同時に、触手に弄ばれて宙ぶらりになっていた♀ハンターが、徐々にその高度を増し、段々と寄生虫の本体の真上へと移動を始めた。否、♀ハンターを掴んだ寄生虫の触手が、獲物を己の真上へと引き寄せ始めた。
「いっ・・・、いや、離して、やだ、嫌・・・・・・!!!」
これから自分がどうなるのか、流石にそのくらいは思考が回ったらしく、♀ハンターは残った体力で必死に抵抗を試みた。両手両足を何とか動かそうとするが、巻きついた触手によってがっちりと締め付けられており、♀ハンターの力では全く動かせない。じわじわと、嫌でも♀ハンターの視界の端に映る景色が、寄生虫の頭上へと移動していくのがわかる。
「やだ、やだ、やめて、おねがい、ふぁる、おねえちゃん、嫌、たすけて、やだよ、わたし、嫌、いやぁ・・・・・・・・・!!!」
最早♀ハンターに許されたことは、髪を振り乱しながら掠れた声で叫び続けることで、せめてもの抵抗の意を示すことだけだった。
「♀ハンターさん!!」
「止めろぉっ!!」
二人の騎士が同時に剣を構えて駆け出そうとするが、地中から触手が次々と飛び出しては二人に絡み付き、その動きを封じようとする。
そして、♀ハンターの全身に纏わりつく触手が彼女を解放し、
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!」
ばくん、と。
寄生虫の口の中へと、落下した。
「嫌、ふぁる、たすけ・・・・・・・・・やだ、やめ、おね・・・い、たすけ・・・・・・!!!」
海で溺れて波を掻き分けるみたいに、閉じていく寄生虫の口の中から♀ハンターが必死で手を伸ばし、顔を出し、脱出を試みようと宙を掴んでは再び寄生虫の中に沈んでゆく。
「・・・・・・・・・・・・・・・嫌・・・・・・やめ・・・・・・たすけ、・・・・・・・・・・・・!!」
「っそ、離せ、離せえっ!!」
目の前の光景に顔を歪めながら、♂騎士は全力でカッツバルゲルを振り回し、触手をまとめて叩き斬った。そのまま、♀騎士に纏い付く触手にも斬撃を加え、断ち切る。
「・・・・・・、ありがとうございます・・・!」
両腕が自由になった♀騎士も、ツルギで残る触手を薙ぎ払った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌・・・ぁ・・・・・・」
完全に♀ハンターが寄生虫に飲み込まれると、閉ざされた口は再び隠れ、膨張していた寄生虫自体の大きさも元に戻った。♀ハンターをひとり分飲み込んでいるため、その形は“人型に”歪になってしまっているが。
だが、貪欲に、食欲に支配された寄生虫が、獲物を一匹捕食したところで満足する筈がない。醜悪な蟲は触手を揺らめかせながら、更なる獲物に狙いを定める。
「まだ、生きてる! 今ならまだ、助けられる! さっさとこいつを倒せば!」
♀騎士は迷いを払い、ツルギを構える。
ぐっと握り締めた、剣の柄の感触。どこか懐かしさを感じる。
♂騎士は迷いを払い、叫ぶ。
「俺は、騎士だ! 護ってやる、みんな、みんなだ!!!」


<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐 、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発被弾 背に切傷 触手によるダメージ自体はありません

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 戦闘場所より少し近くで気絶中
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ
状態:痛覚喪失?、体力は半分以下 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば、人間を殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい

<♀ハンター>
現在地:E-6(寄生虫体内)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:寄生虫に捕食されそう ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状 態:JTによる負傷で気絶中

<寄生虫(寄生磯巾着?)>
現在位置:E-6
外見:大きい紫色のヒドラっぽいもの(ペノメナ?)
備考:♂ローグから孵り、捕食 両生類?
状態:♀ハンター捕食中


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