小十郎は時々あの日のことを思い出す。
あの時寝た女―ゆき―は何者だったのか、と。
おそらくどこかのくのいちだったのだろう。
おそらくどこかのくのいちだったのだろう。
もちろん小十郎は失態をゆきのことは隠して輝宗に伝え、大目玉を食らった。
が、時候の挨拶程度の内容で機密は書かれていなかった為、
思ったほどの叱責はなかった。
が、時候の挨拶程度の内容で機密は書かれていなかった為、
思ったほどの叱責はなかった。
小十郎の心にだけ、残った。
そして。
時はすぎ、時々小十郎の元に訪れる忍が一人。
「どうもー!片倉さん!野菜もらうついでに一泊泊めてー!!」
「ち、またきやがったか」
一度、野菜をくれてやって以来、たまに顔を出すこの忍。
野菜をもらって、小十郎の部屋に泊まる。
泊まるといっても、一緒の布団で寝るだけで、
男と女の関係はない。
時はすぎ、時々小十郎の元に訪れる忍が一人。
「どうもー!片倉さん!野菜もらうついでに一泊泊めてー!!」
「ち、またきやがったか」
一度、野菜をくれてやって以来、たまに顔を出すこの忍。
野菜をもらって、小十郎の部屋に泊まる。
泊まるといっても、一緒の布団で寝るだけで、
男と女の関係はない。
あの事件から、小十郎は忍を、特にくのいちを忌み嫌っていた。
伊達軍の忍び使いが遅れている遠因も自分かもしれないと思う。
伊達軍の忍び使いが遅れている遠因も自分かもしれないと思う。
そのわりには一緒の布団に眠るのは、破格の対応といえた。
起きたらなぜかコイツを抱きしめていて、あわてて突き飛ばしたこともある。
佐助の薄い胸に無意識に顔を押し付けていたこともある。
起きたらなぜかコイツを抱きしめていて、あわてて突き飛ばしたこともある。
佐助の薄い胸に無意識に顔を押し付けていたこともある。
時々、コイツが、『ゆき』だったのではないかと思う。
最初は、まさかと思ったが、年齢的にも、髪の色などの特徴も
似ている。そして、この空気が似ている。
似ている。そして、この空気が似ている。
だが小十郎はそれを確かめるのが怖いのだ。
小十郎は佐助が部屋に来なくなるのが怖いのだ。
知りたい。が、知ってしまったら、知らなかった頃には戻れない。
小十郎は佐助が部屋に来なくなるのが怖いのだ。
知りたい。が、知ってしまったら、知らなかった頃には戻れない。
「どしたの、片倉さん怖い顔して…っていつもかぁー」
気まぐれな猫のように時々部屋に来る。
だが、今日は…。
気まぐれな猫のように時々部屋に来る。
だが、今日は…。
「お前、昔…」
抵抗すれば、いっそ抱いてしまおうと決心しながら小十郎は重い口を開いた。
抵抗すれば、いっそ抱いてしまおうと決心しながら小十郎は重い口を開いた。
終了