【生年月日】
1948年1月1日
【出身地】
和歌山県有田川町
【肩書】
東京大学大学院 医学系研究科 教授
等
【学歴】
1971年 東京教育大学 卒業
1978年 スイス・チューリヒ大学大学院 博士課程 修了
【予想授賞理由】
インターフェロン-ベータ、インターロイキン2の遺伝子の分離と構造の解明に対して。
【受賞歴】
1985年 野口英世記念医学賞
1986年 ハマー賞
1988年 朝日賞
1991年 ロベルト・コッホ賞
1996年 藤原賞
1997年 慶應医学賞
2000年 日本学士院賞
2009年 文化功労者
等
【著書】
【主要業績】
- Honda, K. and Taniguchi, T. et al. (2005). IRF-7 is the master regulator of type-I interferon-dependent immune responses, Nature 434: 772–777.
- Taniguchi, T. et al. (2001). IRF family of transcription factors as regulators of host defense, Annu. Rev. Immunol. 19: 623-655.
- Oda, E. and Taniguchi, T. et al. (2000). Noxa, a BH3-only member of the Bcl-2 family and candidate mediator of p53-induced apoptosis, Science 288 (5468): 1053-1058.
- Sato, M. and Taniguchi, T. et al. (2000). Distinct and essential roles of transcription factors IRF-3 and IRF-7 in response to viruses for IFN-alpha/beta gene induction, Immunity 13 (4): 539-48.
- Endo, T. A. and Taniguchi, T. et al. (1997). A new protein containing an SH2 domain that inhibits JAK kinases, Nature 387 (6636): 921-924.
【研究内容】
日本に帰った私は、ワイスマン先生の研究室との競合を避けて、繊維芽細胞IFN(後に、IFN-βと改名)の研究を始めました。当時、IFN-αとIFN-βは抗原性が異なることが知られており、異なる遺伝子にコードされているだろうと予想されていました。IFN-βは合成したRNAの刺激でも産生される事が分かっていましたから、ウイルス感染ではなく、人工的な系でヒト遺伝子の制御に関する核心に迫れるのではないかとも考えていました。そこで当時、東レ(株)の基礎研究所にいらした小林茂保先生(故人)に協力をお願いして、IFN-βに関する遺伝子のクローニングを始めたのです。私がIFN研究の将来の展望をお伝えしたところ、小林先生はその場で協力を約束して下さいました。今から考えても、驚くほど早い決断でした。そして、P3という物理的封じ込め施設を使って、日本で最初のヒト遺伝子のクローニングを始めたのです。安全面を考慮して最も生育しにくい大腸菌を使わなければなりませんでしたから、国外の研究環境とのハンディキャップは大きかったですね。でも、大学院で習得した知識と技術、そして新しいアイデアを使いながら研究を進めました。そのアイデアとは、まず候補となる菌体のクローンを選び出し、その中から目的とするIFN-βをもったクローンを選び出すという2段階の選別法です。まず、ウイルスの2重鎖RNAと同様の免疫活性をもつPoly I:C(註16)で繊維芽細胞を刺激し、誘導されたmRNAをもとにして同位体で標識したcDNAを用意します。そのcDNAと刺激していない細胞のmRNAを反応させ、mRNAと複合体を作るものとそうでないcDNAを選り分けます。そして、誘導した株だけがもっているcDNAを使って、それと反応する菌体のコロニーを選び出すのです。そうやって選び出したクローンの中から、目的とするIFN-βをもったクローンを厳密に選び出す、これが2段階目です。こうして、約4000個の大腸菌株の中からIFN-βの遺伝子をもつ株を1つ、世界に先駆けて特定する事に成功しました。それが1979年の論文です。
【本人HP】
【その他】
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最終更新:2013年12月29日 22:03