ティムル「フィリーネちゃん、フィリーネちゃん!」
フィリーネ「はいはい、どうしたのよティムル」
ティムル「ボクたち二人でルーフの冒険についてお話して欲しいんだって!」
フィリーネ「……ああ、遂に私達の番なのね」
ティムル「えっ?」
フィリーネ「カインやお姫様も同じようなことをしたって言ってたから」
ティムル「なんだ、他の人はもうやってたんだね」
フィリーネ「ちょっと愚痴を零してたわよ?」
ティムル「え……?これってそんな怖い企画なの……?」
フィリーネ「さあ?でも油断しない方がいいわよ」
ティムル「ええ……なんかボク気が重くなってきたよ……」


~山村での冒険譚~


フィリーネ「唐突に始まったわね」
ティムル「これってお話する順番、とかお題みたいなのとか教えてくれないんだね」
フィリーネ「『ルーフでの冒険』って大きなお題でフリートークだそうよ。これそんなに長く続けられるのかしら?」
ティムル「すぐ終わりそうなの?」
フィリーネ「だって、私がカイン達と冒険始めたの……いつだったか覚えてる?」
ティムル「え!? えーと……」
    「一緒に進み始めたのは、洞窟で魔法使いの魔物と戦ってからだよね?」
フィリーネ「そうよ。そこから洞窟をちょっと進んで、魔物のリーダーをさくっと倒して……ほらルーフの冒険終わりよ」
ティムル「あ、あれ?」
フィリーネ「なるほどね、お姫様も嘆くわけだわ」
ティムル「お姫様もフィリーネちゃんと同じ立場だったの?」
フィリーネ「王都での冒険が終わってから仲間に加わったそうよ。……私より凄いわね」
ティムル「どうやってお話したんだろう……」
フィリーネ「想像も出来ないわ……私、もう話すようなこと無い位だもの」
ティムル「まだ何も話してないよ!?」
フィリーネ「だから、『魔物のリーダーをさくっと倒して』終わりなのよ」
ティムル「うーん……根本的に人選ミスなんだね」



ティムル「じゃあ、カインさん達と一緒に旅をする前のことを話せばいいんだよ!」
フィリーネ「前?」
ティムル「ほら、魔物が村に来たくらいの時のこととか」
フィリーネ「うーん……まあそれも冒険といえば冒険、なのかしら?」
ティムル「そうだよ!あれがボク達の冒険の始まりだったんだよ!」
フィリーネ「分かったわ。じゃあ振り返ってみましょうか」
ティムル「うん!」

フィリーネ「ええと確かあの日は、夕方頃に村が魔物の襲撃にあったのよね」
ティムル「うん、数に押されちゃったんだよね」
フィリーネ「相手の数自体はそんなに多くなかったはずなのよね。……何故かこっちは2人だけだったけど」
ティムル「他の皆は家に篭っちゃったんだよね」
フィリーネ「……今更だけど、あの村大丈夫なのかしら」
ティムル「よく考えたら戦えるのボクとフィリーネちゃんだけ、なんだよね」
フィリーネ「一応みんな、盗賊の訓練を受けてはいるのよね」
ティムル「訓練受けてそのまま、なのかな?」
フィリーネ「『10年前は戦えた』みたいなノリなのかしらね」
ティムル「一応若い男の人とかもいるんだけどね」


フィリーネ「で、魔物にやられちゃって気絶した私は洞窟に連れて行かれるわけね」
ティムル「大丈夫だったの?怪我とか無かった!?」
フィリーネ「見ての通りよ。全然大丈夫だったわ」
ティムル「流石フィリーネちゃん!」
    「……でも、洞窟では一体何があったの?」
フィリーネ「目がさめたら私は洞窟の中にいたわ。真っ暗で何も見えなかったけど、見張りの魔物が近くにいてね」
ティムル「真っ暗だったんだ……怖いね」
フィリーネ「ランプを使うような知能のある魔物じゃなかったみたいね」
     「私の銃も取り上げられずに手元にあったし」
ティムル「え!?武器取られなかったの?」
フィリーネ「ええ、見張りが低級な魔物で助かったわ」
     「後は銃を使って見張りを倒して脱出。暗くて迷って、洞窟を出るまでに一晩掛かったけどね」
ティムル「あ!それがあの洞窟に行く道の!」
フィリーネ「そうよ。追っ手を撒いて、態勢を立て直してから魔物のリーダーを倒そうと思ったの」
     「最低でもランプくらいは欲しかったから」
ティムル「フィリーネちゃんは凄いなぁ……ボクだったら怖くてもう二度と洞窟に入れないよ……」
フィリーネ「後になって考えれば無謀だったけどね」
     「洞窟の奥の方には強い魔物もたくさんいたわけだし」


フィリーネ「ティムルはあの後どうしてたの? 勇者や隊長さんとかを連れてくるなんて……普通じゃないけど」
ティムル「あれは偶然だったんだよ」
フィリーネ「偶然?」
ティムル「魔物が襲ってきた日に、丁度カインさん達がルーフで宿を探してたんだよ!」
フィリーネ「……怖いくらいピッタリなタイミングね」
     「あれ?でも、洞窟に来たのは次の日だったわよね?」
ティムル「うん。ボクがフィリーネちゃんを助けに行こうと思って一人で洞窟に行ってたら、
     その間にカインさんたちは宿屋に入っちゃって、宿屋さんの戸締りも厳重になっちゃって」
フィリーネ「……今度は打って変わってバッドタイミングだったわけね」
ティムル「だからボク、外で朝まで待ってたの」
フィリーネ「なんか要領の悪いわね……」
     「けど、私を助けに行こうとしてそうなったんだものね。ありがとう、ティムル」
ティムル「そんな!だって大事なお友達だもん!」

フィリーネ「で、そこからはカイン達の独壇場ね」
ティムル「あっという間に魔物のリーダーを倒せちゃったよね!」
フィリーネ「未だに疑問なんだけど、あの魔物はどうしてルーフなんて襲ったのかしら」
ティムル「見せしめ、とか言ってたよね」
フィリーネ「ルーフなんて知名度の低い村を襲っても見せしめの効果は薄そうよね」
ティムル「きっと魔物は王都とかの存在を知らなかったんだよ……」
フィリーネ「ちょっと間の抜けた話よね、2人だけで戦ってる時点で分かりそうなものだけど」
ティムル「計画も失敗したもんね」
フィリーネ「なんだか無駄に拐われた気分だわ……」


フィリーネ「それで、私達はカイン達に着いて行くのよね」
ティムル「うん!」
フィリーネ「ティムルが着いて行きたいって言い出したのよね」
ティムル「うん。ボクがもっと強ければフィリーネちゃんも魔物に連れて行かれなくて済んだのかなって思って……」
    「2人だけで戦ってる時もボクはほとんど役に立てなかったし」
    「それに……」
フィリーネ「?」
ティムル「フィリーネちゃんなら一緒に来てくれると思ったから!」
フィリーネ「ふふ、ティムルの予想通りだったわけね」
ティムル「あの時は本当に嬉しかったんだよ!」
フィリーネ「私もティムルと離れるなんて考えられなかったもの」
     「私、ティムルがいないと駄目みたい……」
ティムル「フィリーネちゃん……」
フィリーネ「それじゃ、これからも一緒に頑張りましょう」
ティムル「うん!これからもよろしくね!」

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最終更新:2015年03月22日 05:16