果たして、
俺が積み重ねてきた屍にはどれだけの意味があったのか。
俺が積み重ねてきた業にはどれだけの罪があったのか。
俺が背負い込んできた十字にはどれだけの贖罪があったのか。
どうしたことか、そんなことばかりを、
今更考えていた。
そんなの、今更何になるというのか。
遅すぎる、全てが遅すぎる。
俺はただの人間だというのに
「手遅れだろうが、馬鹿野郎。」
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「お兄ちゃんってさ、夢…とかって、何かあったりするの。」
「夢か、…夢ねぇ。」
そんなもの、最初からわかりきってるだろう。
「俺は―――とこうして、平和に暮らせてりゃそれで十分だ。」
「むー、何それ。普通すぎて面白くないの。」
「馬鹿言え、一時の感情に任せて劇的さなんて求めてもどうなるかなんて知れてんだよ。」
「…ふふ、まあ私もそれでいいや。」
「おん、ナンだソレ。」
「何でもない。」
「何でもないか。」
「そ、何でもない。」
何でもない日常が。
「はは、そうか…そうか。」
これほどに。
イトオシイ
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得体の知れない感覚と共に、目が覚める。
どうやら眠っていたらしい、最近はいつもこうだ。
いつ眠れるかもわからないから、眠れる時になると気絶するように眠る。
その割に、何か異常があれば目が覚める。
都合のいい最適化が為された体、人間というものはなんだって慣れるものだ。
俺の手は血に塗れてしまった。
帰るべき日常など、もうどこにもない。
平穏など、遥か夢の彼方だ。
また、次の戦場へ向かわなければならない。
「―――ん。」
不思議と、
目から、涙が
こぼれ落ちた。
「―――さあ、次の罪を裁こう。」
最終更新:2018年01月30日 02:32