裏SSスターター2『究極至高で始まるDP戦略~本物の能力バトルを教えて』(by しらなみ@クイーンのもじ)

このSSは裏SSスターター『そして運命のベルが鳴る』の続きのSSとなっています

===========『裏トーナメント用』=============



裏SSスターター2『究極至高で始まるDP戦略~本物の能力バトルを教えて』

(前回までのあらすじ)
集められた三人娘。一・∞。羽山莉子。阿野次のもじ。
彼女たちは謎の仮面紳士ミスターEIKENから彼の弟子、創面と野試合を行ってほしい
と申し入れを受ける。どうも彼の目的はMIAIではなかったようだ

◆それぞれの反応
EIKEN「君達の同意を得られるなら、野試合を行いたいと考えている。どうだろうか」

「む、嫁募集ではなかったか。これは名探偵用の眼鏡も、新しく新調しないと」
「Yat de culture!(そんな信じられないという意味の英語)」
「ほっーよかった…あと、のもじちゃん。それ英語じゃないから、地球外言語だから」


◆YAMAOKA・KAIBARAで始まるDP戦略
引き続き、ユキノイベントC会議室。
事件は仮面紳士ミスターEIKENが、対戦の組み合わせに言及した際に起った

  • 創面 VS 一∞
  • 創面 VS 羽山&のもじ

バランスを考慮しこの組み合わせいきたい。こう告げたEIKENに対し


『#%>+=!!!』
「うわっ。」
奇声とともにガタっと椅子から立ちあがった者がいる。今まで3人の中で一番興味なさそう
に話を流し聞いていたのもじだ。会議室全員の視線が立ちあがった彼女一点に集まる。

ちなみに奇声として伝わっているのは「うわっ」というのもじの声オンリーで、クイーンの
声は他のメンバーには聞こえていない。しかし、その声はやたら滾っており『声』を
受信しているのもじにも言語化できない代物で、それに急かされる形で席を立ってしまった
彼女はいきなり超難易度の英文を訳せと立たされた学生の気分を味わうことになっていた。

うわ、やっちまったよーの心境である。

『>+P%&#$#!』
「えーと、直接的に、確認したい。私は何故複数での対戦であるかとのことです。」

必至でニュアンスを伝えてみるが案の定、全員に???が走る。

『#%>+=!!!』
「えーと、一週間待ってください。貴方方に能力検定の真髄を教えるといっています」

何故さっきから伝聞系?
今までおバカなこだけど、ついに本格的に可哀想なことになったかと皆が、思い始めたとき
「May Day、、May Day、」と会議室メンバーの注意を喚起したものがいる。
呼びかけ人のミスターEIKENだ。頼れる時のミスター、助け船のミスターEIKENだ。

「listen a schoolgirl」
そう呟き、彼が指を鳴らすと、のもじの蒼眼からストーンと意思の光が落ちる。
以前創面に施した施術と同じパターンだ、

そして今度は両手を合わせると合掌のポーズをとる。張り裂けんばかりの気合、
そして仮面の奥の目が蒼く輝く

「listenlistenlisten―


      Yat de culture(「異文化交流開始」という意味の英語)!!!」

そういう英語、あったのかよ!!残念ながら、そう突っ込む隙は誰にもなかった。

「きゅるきゅるきゅる…」
『きゅるきゅるきゅるきゅるきゅるきゅる』

高速話法。
次に開始された話術はもはやカツゼツガヨイなどという域を超えて折、常人の
そして、光を失ったのもじの口からも同レベルの話法がきゅるきゅると紡ぎだされる。

これが、英検40段、
ネイティブだけでなく、extraterrestrial lifeもアメージングする驚異のボキャブラリー。
その伝達力は地球圏4分の1だけでなく、地球圏外とのコミニケーションをも可能にしていた。

池松叢雲、彼は既に其の域に達しているのである。
幾万の言葉を重ね、全ての事情を理解した池松は頷く。そしてこう宣告した。
「naruhodo(なるほどという意味の英語)そういうことだったか
ならば最初の試合は彼女にお願いするとしよう」

†††
会議終了後、別室。

(試合に向け、決まったこと)
  • タイマンバトル『創面VSクイーン』
  • 原則非公開(撮影許可しない場所もでるよ!)
  • 特別サービスで超強奪拘束裁判のネタバレもしてやろう。設定よくよんどけ!
  • 勝ったらDPを貰う。他のことは何をしようが、私は一向に構わん!

以上が、池松が女王の話し合いの結果を試合条件とし、創面に伝えた内容である。
それ以外にも色々やりとりはあったようだが、試合には関係ない話だそうなので
ざっくり端折られた。溜息をつく創面。
「逆鱗にふれたというか。なにかやたらと怒らした結果になってますけど」


結局、そこを池松の”Yat de culture”による取り無しで彼女たちは自分達に
『協力』してくれることになったらしい。
なにか途中から何かノリノリで挑発してたようなプロレス臭がしないでもないが、
ここまでがVSクイーンのもじ戦に至る顛末ということのようだ。

「時に目の前の勝ち負けより重要なことがある。
恐らく私との対決では学び取ることが出来ないヒントを、彼女なりにShoW ryu
ken(何がしの奥義や覚悟を示すという意味の英語)してくれるはずだ。」
池松は弟子にそう語る。
「そしてSOMEN、確かに戦いにおいて相性や戦力の過少は勝敗を決定づける
大事な要素であり、今回でいえば相性、戦力ともこちらが圧倒的といって
いいほど優位にある。だからこそ難しい。

QIZだ。君が彼女の立場なら『真っ向からの正面突破』を挑むか?」

この問いに創面は首を振る。
自分は二回戦で不動昭良と正面からぶつかり敗退している。ただそれは飽くまでも
幾つかの偶発的要素と互いの実力が拮抗していた結果おきたことだ。
実力差が判っていて正面からぶつかるバカはいない”彼女”はあらゆる手を使って
挑んでくるのではないか?

「ちなみに私なら『真っ向からの正面突破』を挑む。」

一撃バカが目の前にいた。頭が痛くなるセリフである。
折角の前ふりが台無しである。ある種、全く参考にならない代表格のヒトの意見だった。
しかし、師匠の言葉に創面は考える。
勝ち負けより大事なことか…今回の戦い、自分はどう捉え、考えればよいのだろうか。

―今の自分は昔とは違う、今までと違う戦い方も出来るはずだ。前のようなことは…

彼は、自らの手をみつつ、決意と意思を固めはじめる。
日谷創面、彼は残念を卒業しつつあるイケメンである。



あとそれと目の前で裸になられるのは凄く困る、困るというか最後までいちゃうと
凄く不味い。絶対不味い。同じ学校の同級生だし今後顔合わせる機会だってある

その展開だけは避けていこう。

うん、ダメ絶対だ。
日谷創面、そして彼は希望崎学園に珍しい紳士なイケメンでもある。

†††

一方、クイーン&のもじ側。

「うーまだ頭くらくらする、頭越しに地球外言語とばされてもね。EIKENさんとの
会話ニュアンスはだいたい伝わったけど代りにSAN値(#1)がガリガリ削られ気分。」
『そういえばおぬし、今回の件、かなり消極的だの。』
というか脳内やり取りの際、のもじは明確にNOの意向を示している、今回は
そこを女王が説き伏せて話を進めた。何だかんだで意見の合うこの二人にしては
割と珍しいことだ。
「そりゃまあ賞金ほとんどでないし、EIKENさんとの話合い聞いた後じゃ尚更ね。
うちらが関わっていい問題なのかどうか。それに」

思春期の色々難しい葛藤をクイーンが一喝により遮る。

『決まったことに文句を言うな。
そもそも、前回の最終局面で「へへへ囚われの勇者ごときに御手を煩わせることは
ありません。ここは私にお任せ下さい、陛下」とかいいだしDP裁判で綺麗に
逆転負けくらった馬鹿が、存在しなければ今回の件自体、発生しなかったことなん
じゃが…そうか反対か。』
「…ぐ、痛いところを、的確にえぐってきたよ、この女王様」
2回戦の相手の勇者ミドは対戦相手の心理や性格を読みとり、それを逆手に取った
組立を行う事が多い。つまり裁判中、のもじでなく女王が法廷闘争をそのまま行って
いれば、クイーンの存在を見ぬけていなかったミドの策は空振りし普通に勝ち抜けて
いた可能性が高かったといえるのだ。

『まあ、部下の失敗は上司の失敗。試合を委任してしまったわらわの落ち度。
銀河皇帝アキカンXも所詮、まだまだケツノ青い小娘だったということじゃな』
いつになく、しおらしいことをいう女王。
「いやアラサー。齢4ケタとか吹いといて自分のこと小娘呼ばわりとかは流石に無茶かと」
いつも通り余計なことをいうのもじ。

しばしの沈黙。


     転蓮華。(回転)  
               』
コキっ☆
次の瞬間、小気味いい音がして、のもじの首が曲がった。

「 ぐおおおおーーーー 

ここでまさかの新・技。一向に構わん!の伏線がまさかこんなところで消化されるとは」

説明口調で伏線の解説をしつつ、地面をのたうち回るのもじ。
(ジタバタ)
(ジタバタ)
『戯言いっとらんで。帰ったら恒例お勉強タイムだ。今回は相当面倒くさいぞ。』
「あい。あらほらさっさー(むくり」

あっさり起き上がりパタパタとほこりを払うのもじ
回復早っ。
なんだかんだいって、いいコンビのこの二人、関係はまだまだ続きそうだった。



                             (了)

(#1):S凄いよ・A阿野次・Nのもじさんポイントの略。0に近ずく度、出番がなくなりモブ化する

『どうして歓楽街にモブがいるの?』(by 珪素(サブGK))


「災難だったな」

彼がやっとの思いで瓦礫の山から這い出た時には、
男は既に一仕事終えたかのように残骸の一つに腰を下ろし、タバコを取り出していた。
くたびれたスーツを肩にかけた、40代程の男に見える。
どこかの企業でサラリーマンでもしていそうな、あくまでも目立たない外見。
しかし仮にも武装陰陽師である自分に対する先程からの態度は、どうもカタギの人間のようではなかった。

「ちくしょう……本当に今日は……訳が分からねェ……」

「過ぎた事を言っても仕方ないだろうが。
 犬にでも噛まれたと思って……いや台風にでも遭ったとでも考えるか?
 何しろ相手はあの池松叢雲だ。あれに張り合った他2人の力だって、規格外だろうよ」

「そういや、あのガキも言ってたな。池松叢雲……
 あいつら、俺らの事務所をぶっ壊した後、どこかへ消えやがった。
 あんたなら何か知ってるんじゃあないのか?」

「俺が連中の仲間だと思うか?」

「……くそっ……あんたといい、滅茶苦茶な事が多すぎるんだよ。
 瓦礫を除けてくれたことには感謝してるが……」

血の混じった唾を吐き捨てて、男にライターの火を貸す。
だが、今漂う煙の臭いは、男のタバコのものではない。
街に刻まれた数々の破壊痕。地が裏返ったかのような交差点に、
横転した乗用車、建造物に刻まれた弾痕……

遠くに見える群衆は恐怖に怯えた、または好奇に満ちた目を破壊された街へと向けてはいるが、
さすがに破壊の中心たるここにまでは近づいてはこない。
倒壊した雑居ビルの前の彼らにも気づいていないのだろう。

「連中は魔人能力者だ。あんたが巻き込まれてる今の状況はまた別に原因はあるんだが……
 俺はちょっと、その後始末にな」

「え……?」

唐突な一言に、ヤクザは息を呑んだ。
魔人――裏社会に蠢く武装陰陽師にあっても、その存在は忌み嫌われている。
暴力団以上に理論の通じない、不条理の存在。
それが彼らの共通認識であるが――

(後始末って事は……え? 俺を?)

先程から感じ続けていた違和感が繋がったような気がした。
なぜこの男は、破壊の痕跡も恐れず自分を救出に来たのか。
隣に座る男の存在が、とてつもなく異質なものとして浮かび上がってくる……

「いやァ、違う違う。そんな深刻な表情をするなよ。
 ただ……まあ待て、今ちょっと『分かりやすく』してやる」

男が吸い終えたタバコを、携帯灰皿に押し付ける……と、同時。


遠巻きに彼らを取り巻いていた『群衆』が、消失した。


「はぁ……!? え? な、なんだ……?
 何だこれ!? おい、あんた今、何を!」

歓楽街には今や、何も無い。
徹底的に破壊された建造物と、そしてその中……事務所の瓦礫の前で座り込む、男2人。
他の人類の存在を、その発生段階から否定してしまったかのように。

「これが本来のこのマップの状態ってことだ。
 『消した』わけじゃあない。能力を解除しただけだよ……
 実を言うとまあ、俺も魔人でな」

「……は、はぁ?」

「分かんねぇか? このマップじゃ、あんただけ『生身』だったんだよ。
 ったく、『愚』のジャリガキが……女神の能力を強化すんのも気に入らねえが、
 結局一般の連中も巻き込む羽目になってんじゃねェか……」

何かを思い出しているのか、男が愚痴を漏らす。
ヤクザを非難しているわけでもなさそうな点が、さらに彼を困惑させた。
この状況を作り出した能力者が他にいた、という事か……?

「つまり、俺……何? 俺だけ知らないうちに連れてこられたのか?
 このゴーストタウンに?」

「そういう事だ。『樹海』や『闘技場』と繋がっちまった事もあるが、
 生身の人間が紛れちまったのは俺の見るかぎり、ワン・ターレンとあんたが初めてだな。
 いや、アキカンやモヒカン雑魚が紛れた事もあったか……」

ふと、何かに気づいたように空を仰ぐ男。

「……あんた以外にもいるのか?」

「??」

「ま、心配するな。あんたは女神に頼んで元の世界に送り返してもらうさ。
 マップを解除させりゃあ、それで事は済む」

「おい待てよ! 説明してくれよッ!」

「いいじゃねぇか。なんたってあんた、熊野と池松と、小宅の戦いに巻き込まれて、まだ生きてるんだ。
 俺の救助だって間に合ったしな」

男はニヤリと頬を緩め、そのヤクザにとっては、今日何度も聞く――
そして最大級の皮肉となる言葉を口にする。


「あんた、本当にツイてたぜ」


    ド    ン !


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               ジン
 男の名は――『結昨日人』

能力名『ウエスト・ストリートモブ』
              • 無から『群衆』を作る能力。

最終幕間「裸繰埜闇裂練道 VS 池松叢雲」 前章SS




 東海道を西へ、どれほどの時間を走っただろうか。
 やがて夜が明けてくる。
 夜明けの光が差したと思った瞬間、池松叢雲は脚を止めた。

「――ど、どうしました、先生?」
 大久保が、激しく乱れた呼吸の合間に訪ねてくる。
 相当に体力を温存しながら駆けてきたが、それについてきた大久保の体力、
 そして精神力は賞賛しなければなるまい。
 だが、状況がそれを許さない。
「to mad luna(「止まるな」という意味の英語)」
 池松は短く告げた。

「大久保、お前は先に行け」
「大丈夫……も、もう少しです。船――船を、用意してあります。
 関西行きの。たどり着けさえすれば、無事に逃げられます」
 苦しげに声をあげる大久保の体力は明らかに限界に近づいていた。
 頃合だろう、と、池松は判断した。

「追っ手だ。というか、俺の追っ手だ」
「お――追っ手? また? 誰ですか? 公安? 賞金稼ぎ?
 もう勘弁してくださいよ本当、先生はどれだけ厄介事を――」
「どれも違う。あれは俺と同じだ。裸繰埜だ」
「じょ」
 大久保は悲鳴をあげた。
「冗談じゃない! どの裸繰埜ですか? もしかして、あの?」

「裸繰埜闇裂練道。戦闘技術者の中ではtop classのひとりだ。
 もう二十年以上も前になるか――あのときですら、強さは完成していた」
「先生、戦ったことが?」
「あの場所で、彼は無敗だった」
「負けたんですか!?」
「三秒で降参したよ。恐ろしく好戦的な少年だった。
 降参しても挑んできた――俺は逃げるしかなかった」
「……いまなら、降参しなくて、勝てるんですよね?」
「やつと俺の成長が、俺の思ったとおりだとすれば」

 池松叢雲は、自然体に構えた。
 国道の彼方から、朝日を背に接近してくる、巨大な獣じみた気配を感じたからだ。
「面白い戦いになる。――ここからが本番だ」
「だからやめてくださいって、そういうの」
「もういい。suck in it came(「先に行け」という意味の英語)」
「あの――」

 大久保は近づいてくる巨大な気配と、池松とを交互に見た。
 そして走り出す。
「鈴木会長が心配してます。ぼくは先生のことが嫌いですけど、
 できるだけ早く戻ってきてくださいね」
「take care.」

 そして、朝日を背負って、一人の男の影が近づいてくる――
 その人影の異様な圧迫感は、漆黒の巨大な乱雲の接近にも似ていた。
 叢雲は無言でそれを迎え撃つ。
 空間が歪みを帯び始め、戦場へ送り出されるまで、残り数秒とかからないだろう。

(野試合へつづく)



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最終更新:2012年01月02日 21:32