MoM開発日誌“ルーンキーパー”

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「モリアの坑道」:開発日誌“ルーンキーパー”


ルーンキーパー

 ミンストレルは力ある言葉を歌い、ロアマスターは古の叡智の中に力を見出しますが、しかし道はそれだけではありません。中つ国は「言葉」が力を持つ世界であり、そして「ルーン文字」もまた、そうした「力ある言葉」の一つです。

 ルーンは正しい方法で記すことによって、世界をわずかに、また時には大きく変えることが可能です。そうした「言葉の技」に精通した人々――彼らは「ルーンキーパー」として知られています。

 彼らはかつて、月光文字やモリアの西門といった不思議に関わっていました。そして今、中つ国の危機を前にして、彼ら隠遁の言語学者たちもまた、戦いに身を投じようとしています。

クラス概要

 役割:癒し手、または攻撃役(DPS)
 装備:軽装鎧、ルーン石
 種族:エルフ、ドワーフ
 難易度:高

 ルーンキーパーは中つ国の自由の民に加わり、敵との戦いにおいて彼らの独特の技術を提供します。特殊なルーン石に刻まれた「力の言葉」で、ルーンキーパーは敵を傷つけ味方を助けるのです。

 ドワーフたちが好むキアス文字は、中つ国の元素に影響を与え、敵と戦う力をルーンキーパーに与えます。一方エルフたちのテングワールのルーンと言葉は、主に味方を鼓舞し、戦い続ける力を維持するために用いられます。

 ルーンキーパーはまた予言にも通じており、戦いの行く末を変えていく力を持っています。これらの技術を通じて彼らは、味方が敵の刃に傷つかぬよう、または敵が危地に陥るような離れ業を演じることができるのです。

■ これって魔法なの?

 皆さんの中には、こんな疑問を感じる人もいることでしょう。すなわち「ルーンキーパーは魔法使いなの?」と。

 この質問に対する答えは、「そうであるとも言えるし、そうでないとも言える」です。
 トールキンの世界において、そしてまた私たちの世界において、「魔法」という言葉はよくわからない不思議な出来事を説明する言葉として用いられています。サムがガラドリエルの鏡を覗いてみるよう促された時のことが、その優れた例でしょう。

 「して、そなたは?」奥方はサムの方を向いていいました。「何故かと申せば、これがそなたたちのいう魔法ではないかと思うからです。と申してもわらわにはどういう意味でそういうのかはっきりはわかりませぬが。そなたたちは敵の詐術にも同じ言葉を使うように思えます。だが、もしそう呼びたいのであれば、これがガラドリエルの魔法なのです。」

 ルーンキーパーは文字と言葉の力を用いて、世界を少しだけ変化させます。それを魔法と呼ぶ人もいるでしょうし、自然の法則だと言う人もいるでしょう。

 特筆すべきは、中つ国に住む種族の中ではエルフとドワーフだけが、こうした生来の力を持っているということです。人間やホビットはこうした形でルーンの力を用いることはできません――彼らは本質的に、こうした才能を持っていないのです。エルフにとってこれらは、呼吸をするのと同じくらい自然なことなのですが。

仕事の道具

 ルーンキーパーは言語学者であり、一般的な武器や鎧を使いこなす訓練は受けていません。その代わりに彼らはルーン石を使いこなします。

 それらは彼らがその技術を用いる上で必要な文字で覆われており、由来する元素と結び付いていて(たとえば火山岩は火と結びついています)、ルーンキーパーのいくつかのスキルを制御します。

 ルーンキーパーはまた、彼らの使う物資を入れておくためのルーンかばんを使用することができます。こうした物資には、様々な筆記用具や、力の言葉が記された巻物、特殊なルーン石などがあります。これらはすべて、ルーンキーパーが彼らの技に集中するための手助けとなるものです。

クラスデザイン

 ゲームデザインは一連の選択によって煮詰められました。ある選択はあなたのために、別の選択はゲーム基盤や他の人のために、またある選択は、あなたがあなた自身を作り上げるために。

それぞれの選択は次の選択肢へと、デザインが固まるまで影響し続けます。私がLOTROの新しいクラスをデザインする際には、いくつかの前提(すでに決定されていた選択)が存在していました。

 1. 新しいクラスの名前は「ルーンキーパー」である

 クラス名として私たちが求めていたのは、中つ国の神秘的な面を思い起こさせるような「何か」でした。
 ルーン文字を用いて力の言葉を生みだす行為は、同様に「言葉」を使いこなす他のクラスともうまく整合しており、なおかつ異なる見せ方となるものでした。ルーンキーパーは神秘の言語学者であり、書記、そしてルーン石を通じて力の言葉を示す才能を持つ者となるでしょう。

 2. ルーンキーパーは主要な癒し手としての才能を持つ

 新たな癒し手の追加は、フェローシップにミンストレル以外の選択肢を与え、また回復職を楽しみたいプレイヤーには異なるプレイスタイルの遊び方を提供することができるでしょう。

 3. 「高火力・低装甲」への要望を取り入れる

 多くのMMOゲームには、高い攻撃力を持つ一方で防御力が極端に低い「ガラスの砲台(glass-cannon)」と呼ばれるタイプのクラスが存在しています。LOTROにはそうしたクラスがありませんでした。ハンターは中装備を着ることができましたし、ロアマスターやミンストレルは決して攻撃力が高いとはいえませんでしたから。

 これらを踏まえ、私たちは主要な攻撃役と主要な癒し手のどちらにもなり得るクラスを作り始めました。

 これは極めて強力な組み合わせであり、慎重を期す必要がありました。こうしたクラスは簡単に「強すぎる」状態になってしまいます。高い回復力や攻撃力を持つスキルを素早く手軽に使用できるとなれば、それはもう強力ですから。

 とはいえ極端に二つの役割を分離するとイライラを招きます。攻撃と防御を切り替えるために、町に戻って特性の総入れ替えをする必要があるとしたら、何のためにそれらを一つのクラスとしてまとめたのでしょうか?

 こうした問題に対する解決法として私たちが作ったのは「調律」システムです。

調律

 調律システムは、ルーンキーパーをごく自然にハイブリッドにする解決策です。

 調律は、一方に9段階の「癒し(ネスタド)」、もう一方に9段階の「戦闘(ダゴール)」の調律を持つスペクトラムとして提示されます。戦いの過程で、ルーンキーパーは使用したスキルの内容に応じ、スペクトラムの位置を変化させていきます。一方に偏れば、もう一方への調律は弱まる仕組みです。
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 戦闘が始まった時点では、通常ルーンキーパーは「安定(サラス)」の状態となっています。この状態で使うことができるのは、いくつかの弱い癒しと攻撃のスキルだけです(便利スキルはすべて使用可能ですが)。調律メーターの中央にある「b」に似た灰色のルーン文字は、テングワール文字におけるサラスの頭文字です。
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 ルーンキーパーが敵に攻撃スキルを使うと、調律は戦闘の方へと目盛が移動します。目盛が端までいくと、新しい攻撃スキルが解放され、またいくつかの攻撃スキルには追加ダメージが付与されますが、癒しのスキルは封じられます。メーターの「f」に似たルーン文字は、キアス文字(これはすべての戦闘向きスキルが使います)におけるダゴールの頭文字です。
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 同様に、ルーンキーパーが癒しスキルを使い始めると、調律は癒しの方へと目盛が移動します。目盛が端まで行くと、新しい癒しスキルが解放され、いくつかの癒しスキルに追加の士気回復が発生しますが、攻撃スキルは封じられます。メーターの「m」に似た緑色のルーン文字は、テングワール文字(これはすべての癒しスキルが使います)におけるネスタドの頭文字です。

 ルーンキーパーのスキルに目を通せば、わかりやすくなるでしょう。
 いくつか例をあげます。
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 【筆記者の放電(Scribe's Spark)】はルーンキーパーの基本的な戦闘スキルです。これは対象に雷ダメージを与えるもので、戦闘調律段階ごとに+4%ずつダメージが増加します。調律は戦闘側に一つ移動します。

 【希望の前兆(Prelude to Hope)】は基本的な回復スキルで、回復側に一つ移動します。これは回復調律に基づいて回復へのボーナスを受けます。

 もしルーンキーパーが、この2つのスキルを交互に使ったら、調律は「安定」の中間状態にとどまるでしょう。ですが【筆記者の放電】を9連続で使えば、最大戦闘調律に達します。これはいくつもの戦闘スキルを開放し、また【筆記者の放電】は36%もダメージが上昇するのです!
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 最後に、回復や戦闘とは結びついていない、さまざまな便利スキルがあります。これらのスキルは「安定スキル」で、調律を常に中間へと押し戻すスキルです。これらのスキルの有利な点は、調律を必要されない点です。

 このシステムは読んでいて少し混乱するかもしれませんが、ゲーム内ではスキルと調律のリンク関係が、もっと簡単にわかるようになっています。

 このシステムの最終的な効果は、ルーンキーパーが戦闘から回復への集中に切り替え、さらに戻るということを戦闘中に可能にするものの、それには時間が必要となる、というものです。攻撃中のルーンキーパーに「ちょっと回復を一発」などとは期待しないでくださいね!

ゲームプレイ

 ここまではクラスに関する知識面、高レベルにおけるデザイン、調律システムを見てきました。残るはルーンキーパーのスキル種別と、それらの働きです。

 まず、戦闘スキルファミリー。すべてのスキルは戦闘に調律を移動させ、いくつかは使用に際して高い戦闘調律を必要とします。

 嵐の憤怒(Fury of Storm) - これらの雷ダメージスキルは詠唱が素早く、移動中にも使うことができます。根源である嵐のように予測しがたい効果を持っています。

 炎の激怒(Wrath of Flame) -このファミリーのスタイルは、一定間隔で火ダメージを与えるというものです。ほとんどのスキルが長い詠唱時間を持っています。炎を熱く燃やし続けるためには、維持のための手間が必要ですが、とても効率的なダメージを生み出すでしょう。

 冬の冷気(Chill of Winter) - これらのスキルは霜ダメージを与えますが、その量は他の二つのファミリーよりも少なめです。しかしながら、多くは複数を対象とするか、敵にデバフを与えます。

 次は回復スキル。ここには一つのスキルファミリーしかありませんが、とても大きいものです。すべてのスキルは回復調律を必要とします。

 言葉の恩寵(Words of Grace) - ルーンキーパーの一つの目標は、彼らの回復スキルをミンストレルとは違う働きにすることでした。ルーンキーパーの回復は通常、継続的な回復(HOT)エフェクトによって行われます。

 単一の対象を維持するものには、いくつかの異なる、小規模な回復を、同時に適用することができるという利点があります。グループの維持もまたHOTを通じて行われます。

 これはすなわち、ルーンキーパーは高い士気を保つことができるものの、ミンストレルのように新たな脅威に対して素早く対応することができないということを意味します(とはいえ、そんな彼を助けるようなわざも少しはありますが)。

 最後に便利スキルです。この二つのファミリーに属するすべてのスキルは、ルーンキーパーの調律を安定調律、目盛の中央へ移動させます。これは使用することで高い調律を減らすなどの、面白い戦略的選択をもたらします。

 予見と予言(Visions and Foretellings) - いくつかのルーンキーパーの予言がここに入ります。彼の才能はある出来事を予見し、それが成就する光景を目にするというものです。たとえば、彼は敵が炎の中で最期を迎えるのを見ることができます。これはその敵に対するその後の炎の攻撃が、終わりをもたらす可能性があるということです!

 中道(The Middle Path) - このファミリーはルーンキーパーの仕事のすべてのわざを含みます。これらのスキルは攻撃でも回復でもなく、ルーンキーパーがスムースに行動するための助けとなるものです。これらのわざは敵から逃げたり、敵を一時的に無力にしたりします。また他のスキルは、敵があなたに襲いかからないようにします。

最後に

 ルーンキーパーの制作過程を少しだけご紹介しましたが、お楽しみいただけたでしょうか。既存のものに新しいクラスを追加することは、挑戦的でやりがいのあることです。このクラスに挑戦した皆さんが、楽しいことを見つけてくれますように!


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