はじめに

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 ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ロールプレイング・ゲームは剣と魔法の世界についての物語を語るゲームだ。それは子供時代のごっこ遊びの要素を共有する。それらの遊びのように、D&Dは想像力によって動かされる。それは嵐の夜空の下にそびえ立つ城の映像とファンタジーの冒険者達がその光景が与える試練にどのように対応するかという想像力に関するものである。 |&bold(){ ダンジョンマスター(DM)}:岩の多い峰を通り過ぎると道は突如左に折れ曲がり君達の前にレイヴンロフト城がそびえ立つ。ボロボロになった石の塔はその接近を静かに見守っている。それは見捨てられた衛兵所のように見える。その向こうには広い亀裂がぽかんと空いていて、下方は深い霧に包まれ見えなくなっている。下りている跳ね橋には亀裂が走り、その城の中庭へ続くアーチ状をした入り口に導いている。跳ね橋の鎖は風にきしみ、その錆び付いた鉄は重みにピンと張っている。高く堅牢な壁の天辺には石のガーゴイルが窪みの中から君達を見つめていて、ぞっとするほど気味が悪い。腐った木製の落とし格子には緑が生い茂り、入り口のトンネルに吊されている。その向こうには、たっぷりとした暖かな光が中庭に溢れている。&br()  &bold(){ フィリップ(ガレスを演じている)}:僕はそのガーゴイル達を見てみたい。僕はそれらがただの石像ではないんじゃないかと感じてるんだ。&br()  &bold(){ アミ(リーヴァを演じている)}:その跳ね橋は危なそうに見える? 私はそれがどのくらいしっかりしているか見てみたい。私たちはそこを渡れるか、そうでなければ私たちの重量で崩壊してしまうかしら?|  ごっこ遊びと違うのは、D&Dは冒険者達の行動の結果を決定する手段としてストーリーの構造を与えていることだ。プレイヤー達は彼らの攻撃が命中したかミスしたかを解決するために、あるいは彼らの冒険者達が崖を登れたかどうかを解決するためにダイスをロールし、あるいは打撃を与えた魔法のライトニング・ボルト(稲妻の矢)からロールしたり他のいくらかの危険な作業をやりとげるためにロールする。なんだって可能だが、そのダイスは他より可能性のありそうなことを実現するためのものだ。 |&bold(){ ダンジョンマスター(DM)}:分かった、一つずつ済ませよう。フィリップ、君はそのガーゴイルを見るんだね?&br() &bold(){ フィリップ}:そうさ。それがクリーチャーであったり飾りではないってヒントはあるかな?&br() &bold(){ DM}:【知力】判定をやってみなよ。&br() &bold(){ フィリップ}:僕の〈調査〉技能は使える?&br() &bold(){ DM}:もちろん!&br() &bold(){ フィリップ(d20を振る)}:あらら、7だ。&br() &bold(){ DM}:それは君には飾りに見える。そしてアミ、リーヴァは跳ね橋を調べるんだね?|  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームにおいて、それぞれのプレイヤーは(キャラクターと呼ばれる)冒険者を作りだし、他の(友達によって演じられる)冒険者達と協力する。一緒に行動することで、そのグループは暗いダンジョンや廃墟の街や幽霊の出る城や密林の奥深くに失われた寺院や神秘的な山の真下にある溶岩で満たされた大洞窟を探検できるのだ。冒険者達はパズルを解き、他のキャラクター達と会話し、ファンタジックなモンスター達と戦い、素晴らしい魔法のアイテムや他の財宝を発見する。  しかしながらプレイヤーの一人は、そのゲームの語り部で審判を務めるダンジョン・マスター(DM)の役割を担う。DMはキャラクター達のために災害を通過させ探検の筋道を決める冒険を作成する。DMはレイヴンロフト城の入り口を説明するかも知れないし、プレイヤー達は彼らの冒険者達に何をさせたいかを決める。彼らは危険な風化した跳ね橋を歩いて渡るだろうか? その跳ね橋が折れた場合に誰かが落ちる可能性を最小限にするためにそれぞれをロープで結びつけるだろうか? あるいは彼らをその亀裂に運ぶために呪文を発動するだろうか?  その後DMは冒険者達の行動の結果を決め、彼らの体験することを口述する。なぜならDMはプレイヤー達のあらゆる試みに対する対応を即興で作ることができるからで、D&Dは無限の柔軟性を持ち、それぞれの冒険はエキサイティングで思いがけないものに成り得る。  ゲームは本当の意味での終了を迎えない:ひとつの物語や探索が終了した時、新たなものが始まり、キャンペーンと呼ばれる継続的な物語が作り出される。自身のキャンペーンを数ヶ月や数年継続して遊ぶ多くの人々が、彼らの残した物語を拾い上げては毎週かそのくらいの頻度で自身の友達に会う。その冒険者達はキャンペーンが継続するごとに強く成長する。毎回モンスターを倒すことが、毎回冒険を完了することが、そして毎回財宝を発見することが必ずしも物語の継続を加えることにはならないが、冒険者達は新たな可能性を得るのである。この力の増加は冒険者達のレベルとして反映する。  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームには勝ち負けは存在しない-最低でも、その用語が普通に理解されている形では。集まって、DMとプレイヤー達は命に関わる危険に直面する勇気ある冒険者達の興奮する物語を作り出す。時に冒険者達は獰猛なモンスター達によって調子を崩すか極悪な悪役達に消耗させられて恐ろしい終わりを迎えるかもしれない。たとえそうであったとしても、他の冒険者達が彼らの死した同志達を復活させるために強力な魔法を探すことができるし、プレイヤーは継続して遊ぶために新たなキャラクターを創造することを選択するかも知れない。そのグループは冒険を成功に導くことに失敗するかも知れないが、誰もが良い時間を過ごしたり思い出に残る物語を作り出せたなら、彼らは全員勝者なのだ。 *冒険の世界  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームにおける多くの世界は魔法とモンスター達の、勇敢な戦士達と目を見張る冒険の場所である。それは中世ファンタジー世界の創立から始まり、その後クリーチャーや場所や魔法といったその世界を独特にするものを加える。  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームの世界群は&bold(){多元宇宙(マルチバース)}と呼ばれる広大な宇宙の中に存在し、不思議で神秘的な方法によって他の世界や火の元素界、無限の深さを保つアビスといった他の存在の次元界に接続される。この多元世界の中は果てしなく様々な世界群である。それらの多くはD&Dゲームの公式セッティングとして出版された。伝説のフォーゴトン・レルム、ドラゴンランス、グレイホーク、ダーク・サン、ミスタラ、エベロンといったセッティングは多元世界という布地に集うよう織り込まれている。並行したこれらの世界群は何百何千それ以上であり、D&Dプレイヤーの世代ごとに彼ら自身のゲームとして作り上げたのである。そしてその豊かさに満ちた多元世界の真ん中に、あなたはあなた自身の世界を作り出しても構わないのだ。  これら全ての世界は個性を共有するが、それぞれの世界は独自の歴史と文化、固有のモンスターや種族、ファンタジックな地形、太古のダンジョン、そして陰謀を企てる悪役を個別に設定されている。いくらかの種族は異なる世界に於いては普通でない特徴を持つ。例えばダーク・サン・セッティングのハーフリング達はジャングルに暮らす人食い人種で、エルフ達は砂漠の遊牧民だ。いくつかの世界に登場する種族は、エベロンのウォーフォージド(最終戦争で戦うために命を吹き込まれ作り出された戦士達)のように、他のセッティングでは知られてはいない。いくらかの世界は、ドラゴンランス・セッティングにおいて中心的役割を担ったドラゴンランス戦争のような、ひとつの壮大な物語に支配されている。しかしそれがD&D世界の全てではなく、あなたはキャラクターを作って彼らのどれか一人で遊ぶためにこの本のルールを使えるのだ。  あなたのDMはこれらの世界のひとつか自作した世界にキャンペーンを設定するだろう。なぜならD&Dの世界には本当に多くの多様性があり、あなたはDMにあなたがゲームを遊ぶ上で影響するであろうハウスルールが何かあるか確認しておくべきだ。究極的には、ダンジョン・マスターはそのキャンペーンとそのセッティング、たとえそのセッティングが出版された世界であったとしても、における権力者である。 *これらのルールを使う  D&Dベーシック・ルールの文書は3つのパートに分かれている。  &bold(){パート1}は、あなたがゲームで遊ぶであろうキャラクターを作るために必要とするルールと手引きが与えられた、キャラクター作成に関するものである。それはあなたが選択できる様々な種族、クラス、背景、装備、そして他のカスタマイズの選択肢が含まれる。パート1の多くのルールはパート2やパート3の素材に頼っている。  &bold(){パート2}はゲームの遊び方についてのルールが、この「はじめに」で説明されている基本を超えて詳しく述べられている。そのパートはあなたのキャラクターが試みる作業の正否を決定するために行うダイス・ロールの種類を含み、ゲーム中における3種類の大まかな活動の種類(探検、相互作用、そして戦闘)について説明する。  &bold(){パート3}は魔法についての全てである。それはD&D世界における魔法の本質と、呪文発動のルールと、ゲームに於いて魔法を使うキャラクター(とモンスター)に扱える選り抜かれた典型的な呪文を含む。 *遊び方  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームのプレイはこの基本的なパターンに従って展開する。  &bold(){1.DMが状況を説明する。}DMはプレイヤー達に彼らの冒険者達がどこにいて彼らの回りには何があるかを話し、彼ら自身に示されている基本的な選択肢の範囲を提案する(幾つの扉が部屋に導かれているか、どんなテーブルが置かれているか、酒場には誰が居るのか、等々)。  &bold(){2.プレイヤーは何をしたいのか詳細に述べる。}時折一人のプレイヤーがパーティー全体について話し、例えばこう言う「私たちは東の扉を利用するだろう」。それ以外の時には異なる冒険者達が異なることをする:一人の冒険者は二人目が壁に掘られた難解な記号を調査し、三人目がモンスター達への見張りを維持している間に宝箱を探索するかもしれない。プレイヤー達はターンを取る必要は無いが、DMは全てのプレイヤーの声を聞き、それらの行動をどのように解決するかを決定する。  時に作業の解決は簡単である。冒険者達が部屋を横切って扉を開けたいのなら、DMはその扉が開いたことを告げ、その向こうに何が横たわっているかの詳細を述べるだろう。しかし扉に錠が掛かっていたり、その床に命に関わる罠が隠されていたり、いくらかの他の状況が冒険者達に作業を完了させるよう骨を折らせるなら、DMは何が起こったかを決め、しばしばある行動の結果を決めるためにダイスをロールすることに頼る。  &bold(){3.DMは冒険者達の行動の結果を述べる。}結果を説明することはしばしば別の決断の地点を導き、ゲームの流れはステップ1に戻る。  このパターンは冒険者達が警戒しながら廃墟を探検しようと、よこしまな王子と会話しようと、強力なドラゴンとの命がけの戦いに閉じ込められようと維持される。適切な状況に於いて、とりわけ戦闘では、行動はよりはっきりした形を持ち、プレイヤー達(とDM)は行動を選択して解決するためにターンを取る。しかしほとんどの時間において、プレイは冒険の状況に合わせて流動的で柔軟である。  しばしば冒険の行動はプレイヤー達とDMの想像力から生じ、DMが声によってそのシーンを配する説明に頼る。いくらかのDMは雰囲気を作る助けとして音楽や、美術や、録音した音響効果を使うことを好み、多くのプレイヤー達とDM達は同様にゲームで演じる様々な冒険者達やモンスター達や他のキャラクター達を異なる声色で演じ分ける。時にDMはプレイヤー達が誰がどこにいるかを把握し続ける助けのために、あるシーンに含まれる各クリーチャーを表すため地図を広げ、トークンやミニチュア・フィギュアを使う。 **ゲームのダイスについて(Game Dice) ----  ゲームでは異なる数値が側面に配された多面体のダイスが用いられる。こうしたダイスはゲームショップや多くの書店で見つけることができるだろう。  このルールにおいては、「d」の文字の後に続く面の数値がダイスの違いを表している:すなわち、d4、d6、d8、d10、d12、そしてd20である。例えば、「d6」は6面体のダイス(多くのゲームに使われる一般的な立方体)を指す。  %ダイス、すなわちd100は少々異なった働きをする。0~9の数値が配された10面ダイスを2つロールすることにより、1から100の数値を生成するのである。  片方のダイス(ロールする前に指定すること)が10の位の数字となり、もう片方が1の位の数字となる。例えば、君が7と1をロールしたら、数値は71となる。0が2つ出た場合には100となる。10面ダイスの中には(00、10、20といったように10の位の数値が配されているものがある。こうしたダイスは10の位と1の位を見極めるのをより容易くしてくれる。先の例の場合、70と1をロールすれば71となり、00と0が100になるというわけだ。  君がダイスをロールする必要がある際、ある種類のダイスをいくつロールすることになるのかは、そこに加算される修正値とあわせてルールが教えてくれる。例えば、「3d8+5」は君が8面ダイスを3つロールし、それらを合計した後に5を加算することを意味している。  同様の「d」による表記法では、「1d3」や「1d2」といった表現がなされることがある。1d3のロール結果を出すためには、d6を1ロールしてロールの出目を2で割る(切り上げ)ことになる。1d2のロール結果を出すためには、ダイスをどれかロールし、そのロールの出目が偶数で暖かき数であったかによって1か2を割り当てることになる(あるいはまた、ロールの出目がダイスの面の数の半分よりも上ならば2とするやり方もある)。 **d20ロールについて The d20 ----  冒険者のソードの一撃はドラゴンを傷つけたのか、それとも鉄のような固さの鱗にはじかれたのか? このオーガーはそのひどい嘘を信じるのだろうか? キャラクターは荒ぶる川の流れを泳いで渡りきれるだろうか? キャラクターは火球の爆発をまともに食らうのを避けられるだろうか、それともその火炎からのダメージをすべて受けることになってしまったのだろうか? このように行動の結果が不確かな場合、ダンジョンズ&ドラゴンズのゲームでは20面ダイスをロールし(すなわちd20を行い)、成功したか失敗したかを決定することになる。  ゲーム内のキャラクターやモンスターはみな6つの&bold(){能力値}(ability scores)で定義された能力を有している。この能力値とは【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】、【知力】、【判断力】、【魅力】であり、一般的な冒険者の場合には3~18の範囲となる(モンスターは1~30の値を持つ可能性がある)。これらの能力値と、そこから導き出される&bold(){能力値修正値}(ability modifiers)はプレイヤーがキャラクターやモンスターのために行うほぼすべてのd20ロールの基本となる。  d20ロールの主立ったものとしては、能力値判定、攻撃ロール、そしてセーヴィング・スローの3種類があり、ゲームに関するルールの根幹を形成している。これらすべては以下の段階に従う。  &bold(){1.ダイスをロールし、修正値を加算する(Roll the die and add a modifier)。}d20をロールし、適切な修正値を加算する。一般的には、この修正値は6種類の能力値から算出され、時にはキャラクターの特定の技術を反映するために習熟ボーナスを含めることもある(各能力値と能力値修正値を決める方法については第1章を参照のこと)。  &bold(){2.状況によるボーナスやペナルティを適用する(Apply circumstantial bonuses and penalties)。}クラスの特徴、呪文、特定の状況、その他の効果により判定にボーナスまたはペナルティが与えられることがある。  &bold(){3.結果の合計を目標の数値と比較する(Compare the total to a target number)。}合計が目標数値以上であった場合、その能力値判定や攻撃ロール、あるいはセーヴィング・スローは成功する。さもなければ失敗である。目標数値を決定し、プレイヤーの能力値判定や攻撃ロール、あるいはセーヴィング・スローが成功したのか失敗したのかを告げるのは通常はDMである。  能力値判定やセーヴィング・スローの目標数値は&bold(){難易度}(DC;Difficulty Class)と呼ばれる。攻撃ロールの目標数値は&bold(){アーマー・クラス}(AC;Armor Class)と呼ばれる。  この単純なルールはD&Dのプレイにおけるほとんどの作業の解決を管理している。ゲーム内でd20を用いるためのより詳細なルールは第7章で提供される。 **優位と劣位 Advantage and Disadvantage ----   時に、能力値判定、攻撃ロール、セーヴィング・スローに特殊な状況による修正が化されることがある。これらは『優位』(advantage)や『劣位』(disadvantage)と呼ばれる。優位はd20判定を取り巻く好ましい状況を反映したものであり、一方で劣位はその反対の状況を反映したものである。優位ないし劣位のいずれかを有する際、君は判定を行う際にd20を2回ロールる。君が優位を有する場合には2つのロールのうち高い方の出目を用い、劣位を有する場合には低い方の出目を用いる。例えば、君が劣位を有しており17と5の出目を振り出したとしよう。この場合君は5を使うことになる。代わりに君が優位を有していてそれらので目を振り出したのだとしたら、君は17を使うことになる。  優位と劣位に関するより詳しいルールは第7章で提供される。 **細則は一般則に優越する Specific Beats General ----  この本、特に第2部と3部には、どのようにしてゲームをプレイするかを管理するためのルールが収められている。一方で、種族特徴、クラスの特徴、呪文、魔法のアイテム、モンスターの能力、その他のゲーム的な要素の多くが、何らかのやり方で一般的則を逸脱し、ゲームのその他の機能の仕組みに対する例外となることがある。このことを覚えておくこと:細則が一般則と矛盾する場合、細則が優越する。  ルールの例外はだいたいの場合ちょっとしたものだ。例えば、冒険者たちの多くはロングボウに対する習熟を有していないが、ウッド・エルフはみな種族特徴のおかげで習熟を有している。その特徴はゲーム内にちょっとした例外を作り出している。ルールを派手に逸脱するような例もある。例えば、冒険者は普通は壁を通り抜けることができないが、呪文の中にはそれを可能にするようなものも存在する。こうした大きなルール上の例外のほとんどは魔法によるものである。 **端数は切り捨てる Round Down ----  まず最初に、君が知っておくべき大事な一般則が存在する。ゲームの中で数字を除算する時は常に、端数が出た場合にはこれを切り捨てること。仮にその端数が1/2以上であった場合でもある。 *冒険  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームはダンジョン・マスターが提供する冒険に乗り出すキャラクター達のグループで成り立つ。それぞれのキャラクターは、能力値や技能、クラス特徴、種族特徴、装備、魔法アイテムといった形態でその冒険に特定の可能性をもたらす。全てのキャラクターは異なり、様々な強さと弱さを持つため、冒険者達の最善のパーティーは個々のキャラクターが他を互いに補完し、仲間の弱さを補うものである。冒険者達はその冒険を協力して成功裏に完結させなければならない。  冒険こそはゲームの心臓部であり、序盤、中盤、終盤の物語である。冒険はダンジョンマスターによって作られるか店で購入でき、DMが必要とし望む物にあつらえるようにつまみ出され修正される。どちらの場合でも、それが地下のダンジョンであれボロボロの城であれ、いっぱいに広がる荒野であれ、賑やかな都市であれ、冒険はファンタジーの設定である。それはキャラクター達(その卓を囲む他のプレイヤー達によって作り出され演じられた冒険者達や、同様にノンプレイヤー・キャラクター達(NPC達))の豊かな種類を特徴付ける。これらのキャラクター達は冒険における後援者、仲間、敵、雇った者、背景のその他大勢であるだろう。しばしばNPC達の一人は冒険の行動により多く使われる予定の悪役(ヴィラン)である。  彼らの冒険の推移を超えて、キャラクター達は何らかの手段で扱わねばならない様々なクリーチャー達や物品や状況に向かい合わされる。時に冒険者達と他のクリーチャー達は戦闘によって互いに殺し合うか捕まえ合うために彼らの最善を尽くす。時に冒険者達は心にある目的と共に他のクリーチャー(または魔法の物品とすら)と話す。そしてしばしば、冒険者達はパズルを解いたり、障害を迂回したり、隠された何かを見つけたり、現在の状況を整理する試みに時間を費やす。その合間に、冒険者達は世界を探検し、次に何に挑戦するかやどこに旅をするかについて決定を下す。  冒険はその長さも複雑さもさまざまである。短い冒険は少ない挑戦のみを与えるかもしれないし、完了させるために1回のゲームセッションで事足りるかもしれない。長い冒険は数百の戦闘と相互のやりとりと他の挑戦を含めることができ、実時間で何週間も何ヶ月もかけて継続するプレイを通すために多数のセッションをこなすかもしれない。通常、ある冒険の終わりは、休息するためと彼らの労働の戦利品を楽しむために文明に引き返してきた冒険者達によって印付けられる。  しかしそれが物語の終わりではない。あなたはある冒険を、複数の興奮させる場面で作られたTVシリーズにおける1回のエピソードと考えることができる。ひとつのキャンペーンはシリーズ全体-冒険同士が繋ぎ合わさった一続きのものであり、一貫した冒険者達のグループによって開始から終了まで物語を追い掛けるのである。 **冒険の三本柱 ----  冒険者達は彼らのプレイヤー達が想像できるどんなことにも挑戦できるが、3つの幅広い区分:探検、社交的なやりとり、戦闘は彼らの活動について語るための助けになり得る。  &bold(){探検}は冒険者達の世界間の移動と、彼らの注意が必要な状況や物体との関わり合いの両方を含む。探検はプレイヤー達が彼らのキャラクター達に何をさせたいかを描写し、DMが結果として何が起こったかをプレイヤー達に話すギヴ・アンド・テイクの形となる。大きな規模ではキャラクター達が1日がかりで起伏のある平原を横断したり、1時間で彼らのやり方によって地下の大洞窟を通過することに時間を費やすことが含まれるだろう。より小さな規模では、一人のキャラクターがダンジョンの部屋で、何が起きるかを見るためにレバーを引くことを意味するだろう。  &bold(){社交的なやりとり}は冒険者達が他の誰か(あるいは何か)と会話することを特徴とする。それは捕らえた斥候がゴブリンの住処にある秘密の入り口を明かしたり、救出した囚人から情報を得たり、オークの首領に慈悲を懇願したり、離れた場所の冒険者達を現すためにおしゃべりな魔法の鏡を説得するような要求を意味するかもしれない。  第7章と第8章のルールは探検と社交的なやりとりを支え、第3章では多くのクラス特徴で、第4章では個人的特徴で行える。  &bold(){戦闘}は第9章で扱われているが、キャラクター達と他のクリーチャー達が武器を振り、魔法を発動し、位置関係を操作し、等々-彼らの敵を打ち負かすために、それが全ての敵を殺すことを意味しようと捉えることを意味しようと、大敗北に直面しようと、全員が努力する。戦闘はD&Dセッションに於いて最も構造的な要素で、クリーチャー達は誰もが行動の機会を得るよう手配するためにターンを取る。たとえ長い交戦の前後であっても、シールドに乗って階段を飛び降りるような突飛な曲芸を試みたり、その環境を調査(ひょっとしたら神秘的なレバーを引くことで)してみたり、仲間や敵や中立のパーティーを含む他のクリーチャーに相互のやりとりをしかけてみたりと、依然として十分な冒険の機会がある。 **驚異の魔法 ----  いくらかのD&Dにおける冒険は何らの魔法的な事件も無く終了する。助けになろうと有害であろうと、魔法は冒険者達の生活に度々登場し、それは第10章と11章で取り上げられている。  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズの世界において、魔法の専門家は希で、彼らの並外れた才能によって人々の集団から分けておかれる。一般人は魔法の証拠を定期的に見るかも知れないが、それは通常少数派である─幻想的なモンスターや目に見える答えを得る祈り手、ボディガードとして動くシールド・ガーディアンと共に路地を歩いて渡るウィザードなど。  けれども冒険のためには、魔法は彼らの生存のための要となる。回復魔法のないクレリックやパラディンは、冒険者達をあっという間に負傷で倒れさせるだろう。バードやクレリックの増強魔法の支えなくしては、戦士は強力な敵に打ち負かされるかもしれない。ウィザードやドルイドの予見の魔法的な力や融通性がなければ、あらゆる脅威は10倍増しになるだろう。  魔法は悪役にも好んで使われる。多くの冒険は、何らかの邪悪な結末のために魔法を使う、決意の固い術者の策謀によって動かされる。あるカルトの首領は海の下に眠る神を目覚めさせる方法を探し、あるハグは若者をその活力を魔法的に吸い取るために誘拐し、ある狂ったウィザードは複製の命を持つオートマトンの軍隊に投資するために働き、あるドラゴンは破壊の神を復活させるための神秘的な儀式を開始する─これらは冒険者達が直面する魔法的な脅威のほんの2、3の例である。彼ら自身が持つ魔法と共に、呪文や魔法アイテムの形で、冒険者達はそれらに打ち勝つだろう!
 ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ロールプレイング・ゲームは剣と魔法の世界についての物語を語るゲームだ。それは子供時代のごっこ遊びの要素を共有する。それらの遊びのように、D&Dは想像力によって動かされる。それは嵐の夜空の下にそびえ立つ城の映像とファンタジーの冒険者達がその光景が与える試練にどのように対応するかという想像力に関するものである。 |&bold(){ ダンジョンマスター(DM)}:岩の多い峰を通り過ぎると道は突如左に折れ曲がり君達の前にレイヴンロフト城がそびえ立つ。ボロボロになった石の塔はその接近を静かに見守っている。それは見捨てられた衛兵所のように見える。その向こうには広い亀裂がぽかんと空いていて、下方は深い霧に包まれ見えなくなっている。下りている跳ね橋には亀裂が走り、その城の中庭へ続くアーチ状をした入り口に導いている。跳ね橋の鎖は風にきしみ、その錆び付いた鉄は重みにピンと張っている。高く堅牢な壁の天辺には石のガーゴイルが窪みの中から君達を見つめていて、ぞっとするほど気味が悪い。腐った木製の落とし格子には緑が生い茂り、入り口のトンネルに吊されている。その向こうには、たっぷりとした暖かな光が中庭に溢れている。&br()  &bold(){ フィリップ(ガレスを演じている)}:僕はそのガーゴイル達を見てみたい。僕はそれらがただの石像ではないんじゃないかと感じてるんだ。&br()  &bold(){ アミ(リーヴァを演じている)}:その跳ね橋は危なそうに見える? 私はそれがどのくらいしっかりしているか見てみたい。私たちはそこを渡れるか、そうでなければ私たちの重量で崩壊してしまうかしら?|  ごっこ遊びと違うのは、D&Dは冒険者達の行動の結果を決定する手段としてストーリーの構造を与えていることだ。プレイヤー達は彼らの攻撃が命中したかミスしたかを解決するために、あるいは彼らの冒険者達が崖を登れたかどうかを解決するためにダイスをロールし、あるいは打撃を与えた魔法のライトニング・ボルト(稲妻の矢)からロールしたり他のいくらかの危険な作業をやりとげるためにロールする。なんだって可能だが、そのダイスは他より可能性のありそうなことを実現するためのものだ。 |&bold(){ ダンジョンマスター(DM)}:分かった、一つずつ済ませよう。フィリップ、君はそのガーゴイルを見るんだね?&br() &bold(){ フィリップ}:そうさ。それがクリーチャーであったり飾りではないってヒントはあるかな?&br() &bold(){ DM}:【知力】判定をやってみなよ。&br() &bold(){ フィリップ}:僕の〈調査〉技能は使える?&br() &bold(){ DM}:もちろん!&br() &bold(){ フィリップ(d20を振る)}:あらら、7だ。&br() &bold(){ DM}:それは君には飾りに見える。そしてアミ、リーヴァは跳ね橋を調べるんだね?|  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームにおいて、それぞれのプレイヤーは(キャラクターと呼ばれる)冒険者を作りだし、他の(友達によって演じられる)冒険者達と協力する。一緒に行動することで、そのグループは暗いダンジョンや廃墟の街や幽霊の出る城や密林の奥深くに失われた寺院や神秘的な山の真下にある溶岩で満たされた大洞窟を探検できるのだ。冒険者達はパズルを解き、他のキャラクター達と会話し、ファンタジックなモンスター達と戦い、素晴らしい魔法のアイテムや他の財宝を発見する。  しかしながらプレイヤーの一人は、そのゲームの語り部で審判を務めるダンジョン・マスター(DM)の役割を担う。DMはキャラクター達のために災害を通過させ探検の筋道を決める冒険を作成する。DMはレイヴンロフト城の入り口を説明するかも知れないし、プレイヤー達は彼らの冒険者達に何をさせたいかを決める。彼らは危険な風化した跳ね橋を歩いて渡るだろうか? その跳ね橋が折れた場合に誰かが落ちる可能性を最小限にするためにそれぞれをロープで結びつけるだろうか? あるいは彼らをその亀裂に運ぶために呪文を発動するだろうか?  その後DMは冒険者達の行動の結果を決め、彼らの体験することを口述する。なぜならDMはプレイヤー達のあらゆる試みに対する対応を即興で作ることができるからで、D&Dは無限の柔軟性を持ち、それぞれの冒険はエキサイティングで思いがけないものに成り得る。  ゲームは本当の意味での終了を迎えない:ひとつの物語や探索が終了した時、新たなものが始まり、キャンペーンと呼ばれる継続的な物語が作り出される。自身のキャンペーンを数ヶ月や数年継続して遊ぶ多くの人々が、彼らの残した物語を拾い上げては毎週かそのくらいの頻度で自身の友達に会う。その冒険者達はキャンペーンが継続するごとに強く成長する。毎回モンスターを倒すことが、毎回冒険を完了することが、そして毎回財宝を発見することが必ずしも物語の継続を加えることにはならないが、冒険者達は新たな可能性を得るのである。この力の増加は冒険者達のレベルとして反映する。  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームには勝ち負けは存在しない-最低でも、その用語が普通に理解されている形では。集まって、DMとプレイヤー達は命に関わる危険に直面する勇気ある冒険者達の興奮する物語を作り出す。時に冒険者達は獰猛なモンスター達によって調子を崩すか極悪な悪役達に消耗させられて恐ろしい終わりを迎えるかもしれない。たとえそうであったとしても、他の冒険者達が彼らの死した同志達を復活させるために強力な魔法を探すことができるし、プレイヤーは継続して遊ぶために新たなキャラクターを創造することを選択するかも知れない。そのグループは冒険を成功に導くことに失敗するかも知れないが、誰もが良い時間を過ごしたり思い出に残る物語を作り出せたなら、彼らは全員勝者なのだ。 *冒険の世界  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームにおける多くの世界は魔法とモンスター達の、勇敢な戦士達と目を見張る冒険の場所である。それは中世ファンタジー世界の創立から始まり、その後クリーチャーや場所や魔法といったその世界を独特にするものを加える。  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームの世界群は&bold(){多元宇宙(マルチバース)}と呼ばれる広大な宇宙の中に存在し、不思議で神秘的な方法によって他の世界や火の元素界、無限の深さを保つアビスといった他の存在の次元界に接続される。この多元世界の中は果てしなく様々な世界群である。それらの多くはD&Dゲームの公式セッティングとして出版された。伝説のフォーゴトン・レルム、ドラゴンランス、グレイホーク、ダーク・サン、ミスタラ、エベロンといったセッティングは多元世界という布地に集うよう織り込まれている。並行したこれらの世界群は何百何千それ以上であり、D&Dプレイヤーの世代ごとに彼ら自身のゲームとして作り上げたのである。そしてその豊かさに満ちた多元世界の真ん中に、あなたはあなた自身の世界を作り出しても構わないのだ。  これら全ての世界は個性を共有するが、それぞれの世界は独自の歴史と文化、固有のモンスターや種族、ファンタジックな地形、太古のダンジョン、そして陰謀を企てる悪役を個別に設定されている。いくらかの種族は異なる世界に於いては普通でない特徴を持つ。例えばダーク・サン・セッティングのハーフリング達はジャングルに暮らす人食い人種で、エルフ達は砂漠の遊牧民だ。いくつかの世界に登場する種族は、エベロンのウォーフォージド(最終戦争で戦うために命を吹き込まれ作り出された戦士達)のように、他のセッティングでは知られてはいない。いくらかの世界は、ドラゴンランス・セッティングにおいて中心的役割を担ったドラゴンランス戦争のような、ひとつの壮大な物語に支配されている。しかしそれがD&D世界の全てではなく、あなたはキャラクターを作って彼らのどれか一人で遊ぶためにこの本のルールを使えるのだ。  あなたのDMはこれらの世界のひとつか自作した世界にキャンペーンを設定するだろう。なぜならD&Dの世界には本当に多くの多様性があり、あなたはDMにあなたがゲームを遊ぶ上で影響するであろうハウスルールが何かあるか確認しておくべきだ。究極的には、ダンジョン・マスターはそのキャンペーンとそのセッティング、たとえそのセッティングが出版された世界であったとしても、における権力者である。 *これらのルールを使う  D&Dベーシック・ルールの文書は3つのパートに分かれている。  &bold(){パート1}は、あなたがゲームで遊ぶであろうキャラクターを作るために必要とするルールと手引きが与えられた、キャラクター作成に関するものである。それはあなたが選択できる様々な種族、クラス、背景、装備、そして他のカスタマイズの選択肢が含まれる。パート1の多くのルールはパート2やパート3の素材に頼っている。  &bold(){パート2}はゲームの遊び方についてのルールが、この「はじめに」で説明されている基本を超えて詳しく述べられている。そのパートはあなたのキャラクターが試みる作業の正否を決定するために行うダイス・ロールの種類を含み、ゲーム中における3種類の大まかな活動の種類(探検、相互作用、そして戦闘)について説明する。  &bold(){パート3}は魔法についての全てである。それはD&D世界における魔法の本質と、呪文発動のルールと、ゲームに於いて魔法を使うキャラクター(とモンスター)に扱える選り抜かれた典型的な呪文を含む。 *遊び方  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームのプレイはこの基本的なパターンに従って展開する。  &bold(){1.DMが状況を説明する。}DMはプレイヤー達に彼らの冒険者達がどこにいて彼らの回りには何があるかを話し、彼ら自身に示されている基本的な選択肢の範囲を提案する(幾つの扉が部屋に導かれているか、どんなテーブルが置かれているか、酒場には誰が居るのか、等々)。  &bold(){2.プレイヤーは何をしたいのか詳細に述べる。}時折一人のプレイヤーがパーティー全体について話し、例えばこう言う「私たちは東の扉を利用するだろう」。それ以外の時には異なる冒険者達が異なることをする:一人の冒険者は二人目が壁に掘られた難解な記号を調査し、三人目がモンスター達への見張りを維持している間に宝箱を探索するかもしれない。プレイヤー達はターンを取る必要は無いが、DMは全てのプレイヤーの声を聞き、それらの行動をどのように解決するかを決定する。  時に作業の解決は簡単である。冒険者達が部屋を横切って扉を開けたいのなら、DMはその扉が開いたことを告げ、その向こうに何が横たわっているかの詳細を述べるだろう。しかし扉に錠が掛かっていたり、その床に命に関わる罠が隠されていたり、いくらかの他の状況が冒険者達に作業を完了させるよう骨を折らせるなら、DMは何が起こったかを決め、しばしばある行動の結果を決めるためにダイスをロールすることに頼る。  &bold(){3.DMは冒険者達の行動の結果を述べる。}結果を説明することはしばしば別の決断の地点を導き、ゲームの流れはステップ1に戻る。  このパターンは冒険者達が警戒しながら廃墟を探検しようと、よこしまな王子と会話しようと、強力なドラゴンとの命がけの戦いに閉じ込められようと維持される。適切な状況に於いて、とりわけ戦闘では、行動はよりはっきりした形を持ち、プレイヤー達(とDM)は行動を選択して解決するためにターンを取る。しかしほとんどの時間において、プレイは冒険の状況に合わせて流動的で柔軟である。  しばしば冒険の行動はプレイヤー達とDMの想像力から生じ、DMが声によってそのシーンを配する説明に頼る。いくらかのDMは雰囲気を作る助けとして音楽や、美術や、録音した音響効果を使うことを好み、多くのプレイヤー達とDM達は同様にゲームで演じる様々な冒険者達やモンスター達や他のキャラクター達を異なる声色で演じ分ける。時にDMはプレイヤー達が誰がどこにいるかを把握し続ける助けのために、あるシーンに含まれる各クリーチャーを表すため地図を広げ、トークンやミニチュア・フィギュアを使う。 **ゲームのダイスについて(Game Dice) ----  ゲームでは異なる数値が側面に配された多面体のダイスが用いられる。こうしたダイスはゲームショップや多くの書店で見つけることができるだろう。  このルールにおいては、「d」の文字の後に続く面の数値がダイスの違いを表している:すなわち、d4、d6、d8、d10、d12、そしてd20である。例えば、「d6」は6面体のダイス(多くのゲームに使われる一般的な立方体)を指す。  %ダイス、すなわちd100は少々異なった働きをする。0~9の数値が配された10面ダイスを2つロールすることにより、1から100の数値を生成するのである。  片方のダイス(ロールする前に指定すること)が10の位の数字となり、もう片方が1の位の数字となる。例えば、君が7と1をロールしたら、数値は71となる。0が2つ出た場合には100となる。10面ダイスの中には(00、10、20といったように10の位の数値が配されているものがある。こうしたダイスは10の位と1の位を見極めるのをより容易くしてくれる。先の例の場合、70と1をロールすれば71となり、00と0が100になるというわけだ。  君がダイスをロールする必要がある際、ある種類のダイスをいくつロールすることになるのかは、そこに加算される修正値とあわせてルールが教えてくれる。例えば、「3d8+5」は君が8面ダイスを3つロールし、それらを合計した後に5を加算することを意味している。  同様の「d」による表記法では、「1d3」や「1d2」といった表現がなされることがある。1d3のロール結果を出すためには、d6を1ロールしてロールの出目を2で割る(切り上げ)ことになる。1d2のロール結果を出すためには、ダイスをどれかロールし、そのロールの出目が偶数で暖かき数であったかによって1か2を割り当てることになる(あるいはまた、ロールの出目がダイスの面の数の半分よりも上ならば2とするやり方もある)。 **d20ロールについて The d20 ----  冒険者のソードの一撃はドラゴンを傷つけたのか、それとも鉄のような固さの鱗にはじかれたのか? このオーガーはそのひどい嘘を信じるのだろうか? キャラクターは荒ぶる川の流れを泳いで渡りきれるだろうか? キャラクターは火球の爆発をまともに食らうのを避けられるだろうか、それともその火炎からのダメージをすべて受けることになってしまったのだろうか? このように行動の結果が不確かな場合、ダンジョンズ&ドラゴンズのゲームでは20面ダイスをロールし(すなわちd20を行い)、成功したか失敗したかを決定することになる。  ゲーム内のキャラクターやモンスターはみな6つの&bold(){能力値}(ability scores)で定義された能力を有している。この能力値とは【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】、【知力】、【判断力】、【魅力】であり、一般的な冒険者の場合には3~18の範囲となる(モンスターは1~30の値を持つ可能性がある)。これらの能力値と、そこから導き出される&bold(){能力値修正値}(ability modifiers)はプレイヤーがキャラクターやモンスターのために行うほぼすべてのd20ロールの基本となる。  d20ロールの主立ったものとしては、能力値判定、攻撃ロール、そしてセーヴィング・スローの3種類があり、ゲームに関するルールの根幹を形成している。これらすべては以下の段階に従う。  &bold(){1.ダイスをロールし、修正値を加算する(Roll the dice and add a modifier)。}d20をロールし、適切な修正値を加算する。一般的には、この修正値は6種類の能力値から算出され、時にはキャラクターの特定の技術を反映するために習熟ボーナスを含めることもある(各能力値と能力値修正値を決める方法については第1章を参照のこと)。  &bold(){2.状況によるボーナスやペナルティを適用する(Apply circumstantial bonuses and penalties)。}クラスの特徴、呪文、特定の状況、その他の効果により判定にボーナスまたはペナルティが与えられることがある。  &bold(){3.結果の合計を目標の数値と比較する(Compare the total to a target number)。}合計が目標数値以上であった場合、その能力値判定や攻撃ロール、あるいはセーヴィング・スローは成功する。さもなければ失敗である。目標数値を決定し、プレイヤーの能力値判定や攻撃ロール、あるいはセーヴィング・スローが成功したのか失敗したのかを告げるのは通常はDMである。  能力値判定やセーヴィング・スローの目標数値は&bold(){難易度}(DC;Difficulty Class)と呼ばれる。攻撃ロールの目標数値は&bold(){アーマー・クラス}(AC;Armor Class)と呼ばれる。  この単純なルールはD&Dのプレイにおけるほとんどの作業の解決を管理している。ゲーム内でd20を用いるためのより詳細なルールは第7章で提供される。 **優位と劣位 Advantage and Disadvantage ----   時に、能力値判定、攻撃ロール、セーヴィング・スローに特殊な状況による修正が化されることがある。これらは『優位』(advantage)や『劣位』(disadvantage)と呼ばれる。優位はd20判定を取り巻く好ましい状況を反映したものであり、一方で劣位はその反対の状況を反映したものである。優位ないし劣位のいずれかを有する際、君は判定を行う際にd20を2回ロールる。君が優位を有する場合には2つのロールのうち高い方の出目を用い、劣位を有する場合には低い方の出目を用いる。例えば、君が劣位を有しており17と5の出目を振り出したとしよう。この場合君は5を使うことになる。代わりに君が優位を有していてそれらので目を振り出したのだとしたら、君は17を使うことになる。  優位と劣位に関するより詳しいルールは第7章で提供される。 **細則は一般則に優越する Specific Beats General ----  この本、特に第2部と3部には、どのようにしてゲームをプレイするかを管理するためのルールが収められている。一方で、種族特徴、クラスの特徴、呪文、魔法のアイテム、モンスターの能力、その他のゲーム的な要素の多くが、何らかのやり方で一般的則を逸脱し、ゲームのその他の機能の仕組みに対する例外となることがある。このことを覚えておくこと:細則が一般則と矛盾する場合、細則が優越する。  ルールの例外はだいたいの場合ちょっとしたものだ。例えば、冒険者たちの多くはロングボウに対する習熟を有していないが、ウッド・エルフはみな種族特徴のおかげで習熟を有している。その特徴はゲーム内にちょっとした例外を作り出している。ルールを派手に逸脱するような例もある。例えば、冒険者は普通は壁を通り抜けることができないが、呪文の中にはそれを可能にするようなものも存在する。こうした大きなルール上の例外のほとんどは魔法によるものである。 **端数は切り捨てる Round Down ----  まず最初に、君が知っておくべき大事な一般則が存在する。ゲームの中で数字を除算する時は常に、端数が出た場合にはこれを切り捨てること。仮にその端数が1/2以上であった場合でもある。 *冒険  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ・ゲームはダンジョン・マスターが提供する冒険に乗り出すキャラクター達のグループで成り立つ。それぞれのキャラクターは、能力値や技能、クラス特徴、種族特徴、装備、魔法アイテムといった形態でその冒険に特定の可能性をもたらす。全てのキャラクターは異なり、様々な強さと弱さを持つため、冒険者達の最善のパーティーは個々のキャラクターが他を互いに補完し、仲間の弱さを補うものである。冒険者達はその冒険を協力して成功裏に完結させなければならない。  冒険こそはゲームの心臓部であり、序盤、中盤、終盤の物語である。冒険はダンジョンマスターによって作られるか店で購入でき、DMが必要とし望む物にあつらえるようにつまみ出され修正される。どちらの場合でも、それが地下のダンジョンであれボロボロの城であれ、いっぱいに広がる荒野であれ、賑やかな都市であれ、冒険はファンタジーの設定である。それはキャラクター達(その卓を囲む他のプレイヤー達によって作り出され演じられた冒険者達や、同様にノンプレイヤー・キャラクター達(NPC達))の豊かな種類を特徴付ける。これらのキャラクター達は冒険における後援者、仲間、敵、雇った者、背景のその他大勢であるだろう。しばしばNPC達の一人は冒険の行動により多く使われる予定の悪役(ヴィラン)である。  彼らの冒険の推移を超えて、キャラクター達は何らかの手段で扱わねばならない様々なクリーチャー達や物品や状況に向かい合わされる。時に冒険者達と他のクリーチャー達は戦闘によって互いに殺し合うか捕まえ合うために彼らの最善を尽くす。時に冒険者達は心にある目的と共に他のクリーチャー(または魔法の物品とすら)と話す。そしてしばしば、冒険者達はパズルを解いたり、障害を迂回したり、隠された何かを見つけたり、現在の状況を整理する試みに時間を費やす。その合間に、冒険者達は世界を探検し、次に何に挑戦するかやどこに旅をするかについて決定を下す。  冒険はその長さも複雑さもさまざまである。短い冒険は少ない挑戦のみを与えるかもしれないし、完了させるために1回のゲームセッションで事足りるかもしれない。長い冒険は数百の戦闘と相互のやりとりと他の挑戦を含めることができ、実時間で何週間も何ヶ月もかけて継続するプレイを通すために多数のセッションをこなすかもしれない。通常、ある冒険の終わりは、休息するためと彼らの労働の戦利品を楽しむために文明に引き返してきた冒険者達によって印付けられる。  しかしそれが物語の終わりではない。あなたはある冒険を、複数の興奮させる場面で作られたTVシリーズにおける1回のエピソードと考えることができる。ひとつのキャンペーンはシリーズ全体-冒険同士が繋ぎ合わさった一続きのものであり、一貫した冒険者達のグループによって開始から終了まで物語を追い掛けるのである。 **冒険の三本柱 ----  冒険者達は彼らのプレイヤー達が想像できるどんなことにも挑戦できるが、3つの幅広い区分:探検、社交的なやりとり、戦闘は彼らの活動について語るための助けになり得る。  &bold(){探検}は冒険者達の世界間の移動と、彼らの注意が必要な状況や物体との関わり合いの両方を含む。探検はプレイヤー達が彼らのキャラクター達に何をさせたいかを描写し、DMが結果として何が起こったかをプレイヤー達に話すギヴ・アンド・テイクの形となる。大きな規模ではキャラクター達が1日がかりで起伏のある平原を横断したり、1時間で彼らのやり方によって地下の大洞窟を通過することに時間を費やすことが含まれるだろう。より小さな規模では、一人のキャラクターがダンジョンの部屋で、何が起きるかを見るためにレバーを引くことを意味するだろう。  &bold(){社交的なやりとり}は冒険者達が他の誰か(あるいは何か)と会話することを特徴とする。それは捕らえた斥候がゴブリンの住処にある秘密の入り口を明かしたり、救出した囚人から情報を得たり、オークの首領に慈悲を懇願したり、離れた場所の冒険者達を現すためにおしゃべりな魔法の鏡を説得するような要求を意味するかもしれない。  第7章と第8章のルールは探検と社交的なやりとりを支え、第3章では多くのクラス特徴で、第4章では個人的特徴で行える。  &bold(){戦闘}は第9章で扱われているが、キャラクター達と他のクリーチャー達が武器を振り、魔法を発動し、位置関係を操作し、等々-彼らの敵を打ち負かすために、それが全ての敵を殺すことを意味しようと捉えることを意味しようと、大敗北に直面しようと、全員が努力する。戦闘はD&Dセッションに於いて最も構造的な要素で、クリーチャー達は誰もが行動の機会を得るよう手配するためにターンを取る。たとえ長い交戦の前後であっても、シールドに乗って階段を飛び降りるような突飛な曲芸を試みたり、その環境を調査(ひょっとしたら神秘的なレバーを引くことで)してみたり、仲間や敵や中立のパーティーを含む他のクリーチャーに相互のやりとりをしかけてみたりと、依然として十分な冒険の機会がある。 **驚異の魔法 ----  いくらかのD&Dにおける冒険は何らの魔法的な事件も無く終了する。助けになろうと有害であろうと、魔法は冒険者達の生活に度々登場し、それは第10章と11章で取り上げられている。  ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズの世界において、魔法の専門家は希で、彼らの並外れた才能によって人々の集団から分けておかれる。一般人は魔法の証拠を定期的に見るかも知れないが、それは通常少数派である─幻想的なモンスターや目に見える答えを得る祈り手、ボディガードとして動くシールド・ガーディアンと共に路地を歩いて渡るウィザードなど。  けれども冒険のためには、魔法は彼らの生存のための要となる。回復魔法のないクレリックやパラディンは、冒険者達をあっという間に負傷で倒れさせるだろう。バードやクレリックの増強魔法の支えなくしては、戦士は強力な敵に打ち負かされるかもしれない。ウィザードやドルイドの予見の魔法的な力や融通性がなければ、あらゆる脅威は10倍増しになるだろう。  魔法は悪役にも好んで使われる。多くの冒険は、何らかの邪悪な結末のために魔法を使う、決意の固い術者の策謀によって動かされる。あるカルトの首領は海の下に眠る神を目覚めさせる方法を探し、あるハグは若者をその活力を魔法的に吸い取るために誘拐し、ある狂ったウィザードは複製の命を持つオートマトンの軍隊に投資するために働き、あるドラゴンは破壊の神を復活させるための神秘的な儀式を開始する─これらは冒険者達が直面する魔法的な脅威のほんの2、3の例である。彼ら自身が持つ魔法と共に、呪文や魔法アイテムの形で、冒険者達はそれらに打ち勝つだろう!

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