アタッカーズには『鬼畜輪姦』(キチリン)や『夫の目の前で犯されて』(オトメ、夫目)、『あなた、許して・・・』(あなゆる)など人気のシリーズ作品が多数あります。中でも『女豹』と『奴隷島』は熱狂的なファン(誰)が存在する、メーカーを代表するシリーズではないかと思います。
1999年より続く『女豹』は黒木凜子というクールビューティヒロインを確立し、そのヒロインを陵辱するという加虐願望を満たすことでファンの支持を得ました(第一作で当時のトップ女優小室友里を起用したのも大きい)。対して『奴隷島』は「島」という舞台そのものがアイデンティティを持ち、時間の経過とともに登場人物は次々と変わってゆきますが(通しで出ている主要人物は栗原良演じる吉田代議士のみ)、島の役目や存在感にブレはありません。AVでこのような作品は自分の知る限り例がなく、この先もなかなか作られることはないと思います。
※連作や共通設定が得意なメーカーとしては「特撮ヒロインの陵辱」というニッチなシェアを開拓し唯一成功したギガも該当しますが、奴隷島ほど壮大で重苦しい世界を持つシリーズはありません。
全編通じての傾向として次のようなものが挙げられます。
- 幸せの最中にあるヒロインを絶望の淵に落とすようなメンタルの蹂躙が目立つ
- プレイ内容が画一的で画面も暗いシーンが多く、奴隷調教そのものをオカズとするにはあまり向かない
- 会話の多くがアフレコ(アテレコ)で進むこともあって早送りするとストーリーがすぐわからなくなる
- イメージ映像を多用、またストーリーが進むにつれシーン(過程)の省略が目立つ
- 調教のうち脱糞は行為を飛ばし結果だけ描写(それも偽糞くさい)
傾向をまとめると奴隷島は世界観やストーリーを楽しむ作品で、SMものとしてプレイを楽しむには描き方が不十分で不向きです。単純に鑑賞すると1本か2本ですぐ飽きてしまうかもしれません。実際、アタッカーズファンの間でも賛否が真っ二つに分かれました(なぎらの後任としてSM系の大御所川村を起用したものの、シーズン3に対し奴隷島ファンから手厳しいコメントが目立つのは皮肉な話ではあります)。
また近年のアタッカーズ作品は凌辱・SMをテーマとしていますが、ドラマ性重視のためか絡みは意外とマイルドなものが多く、オラオラ系のバイオレンス描写は控えめです。ドラマパートに興味がないならはじめからアタッカーズに手を出すべきではないでしょう。
これらを踏まえ、プレイよりも物語を鑑賞する心持ちでいるのが長く付き合うコツかもしれません。
なお各章解説の引用文はDMMに掲載されている紹介記事をそのまま使用していますが、内容のおかしなところがいくつか見受けられるものについてはこちらで補足しています。
すでに触れたとおりAVでは珍しい連続性のあるシリーズ作品としてリリース。
社会から隔離された孤島と養護施設“白樺の家”を舞台に拉致、監禁、強姦、調教、売春、人身売買、臓器移植、殺人と非合法な行為が繰り広げられ、
欲望に塗れる人の皮を被った悪魔によって多くの人間の運命が狂わされていく。
調教シーンの映像の変化が乏しい、演出がマニアの求めるそれとは違うなど課題はいろいろ残しているが、
12章それぞれに意味を持たせ、相互に関連し大きな物語を構成するという後にも先にもないアダルト長編ドラマとして評価する声も多い。
何より今となっては、細かな設定ミスはあれど作品として完結・完成しているのが素晴らしい。
- 出演:姫咲しゅり 水咲涼子 風間恭子
- 発売日:2005/09/07
洋子(姫咲しゅり)は、彼女の育った児童施設『白樺の家』の園長から、就職先を紹介される。その会社には最初に海外研修があるという。
洋子は施設で一番仲の良かった親友の梨花(水咲涼子)と共にその研修を受けることにした。それが、生き地獄の始まりとは知らずに…。
記念すべき第1章。島と表社会の接点となる白樺の家とその地下での事前調教が描かれ、島は存在を匂わせるに留めている。
今となってはテロップやカメラワークに違和感があるし、オープニングとエンディングで流れるおなじみのBGMも本章だけ異なる。
白樺の家の女管理人も本章のみ風間恭子だったりと、この段階では作品のフレームはありつつもディテールは手探りだったことを感じさせる。
余談だけど冒頭のナレーションには脱帽した。こと台詞回しに関しては、筆者の知る限り姫咲しゅりが未だにAV女優ナンバーワンと思う。
- 出演:藍山みなみ 春うらら 緒川さら 岡崎真美 木下有季
- 発売日:2006/02/07
『白樺の家』で保母として働いていた麗奈(藍山)は、園長の剛三達に騙され『奴隷島』に送り込まれてしまった…。
二ヵ月後、新たに南京袋で島に送り込まれてきたのは麗奈の親友であり、恋人・良太の妹、仁美だった
※当初麗奈が監禁され2ヵ月後仁美と再会した場所は白樺の家地下室。また島送りになったのは仁美が先。
引き続き事前調教から入るとともに物語の核となる白樺の家のディテイルを整え、後半でようやく島の全貌が明らかになる。
本章の藍山みなみの演技は素晴らしく、彼女によって奴隷島の悲哀や絶望感が引き出され世界観も定まったといえよう。
また女管理人が風間恭子からMAYAに変わったことで島関係者と奴隷の対比がさらに際立つものとなり、結果的に感情移入を手助けしている。
- 出演:星月まゆら 小林みゆき 眞雪ゆん 江口美貴
- 発売日:2006/05/07
晴香(星月まゆら)は2年前に失踪した母・冴子(小林みゆき)に代わって『白樺の家』の理事長に就任する。
『白樺の家』スタッフに不振を抱いた晴香は、恋人に調査を依頼する。しかし晴香は彼らの罠にはまり、奴隷島へと送られてしまう。
そこには、失踪したはずの母・冴子の姿が…。
白樺の家の設立者である島谷ファミリー、ミスター奴隷島こと吉田代議士に切れ者ヤクザ松岡のタッグと、物語の主要な役者が登場。
このあたりからストーリーが広がりを見せ始めると同時に、アテレコによる狂言回しというスタイルが固まった。
プロットにおける重要な役割を持つ島谷ファミリー、その四女と母が作品のヒロインではあるのだが・・・
10年に渡る凌辱の果てに、声も足も夢も希望も姉も想い人も友情も思い出もすべて失う生き地獄を味わい、この世に絶望したその先に芽生えたのは恨みか憎しみか─
母子ご対面や母子レズをはじめとするヒロインへの責めが軽く感じてしまうほど悲惨な扱いだった、美貴の章という印象が強い。
- 出演:望月加奈 山口まゆ
- 発売日:2006/07/07
夫の正之が発展途上国へ赴任することになり、娘を白樺の家に預けて海外へ向かう由梨子(望月加奈)。
しかし1年後、娘が病になったと連絡が入り、由梨子は夫より一足早く帰国したが罠にはまり、奴隷島に連れて来られる。
そこには海外の企業へ就職しているはずの妹・美穂(山口まゆ)の姿が…。
ここからヒロインと奴隷島を結ぶ繋がりが白樺の家以外にも広がりを見せていく。
姉妹と呼ぶにはちょっと無理のある設定であるが、娘の真相を聞かされてからの望月加奈が狂い乱れる様は圧巻でシリーズ随一。
なお後先考えない中出し演出に否定的な編集者としては、臓器売買への言及は島の機能の説明と同時に中出し必須の理由付けに欠かせない設定として高く評価している。
- 出演:羽田夕夏 七海菜々 桜田さくら
- 発売日:2006/09/07
雑誌記者の姉・若菜(七海菜々)は父の死の真相に迫っていた。若菜は白樺の家のスタッフが関与していることまで掴むが、
罠にはまり奴隷島へと送られてしまう。姉がいなくなり3ヶ月が経ったある日、撮影で南の島に来ていたグラビアアイドルの妹・麻衣子(羽田夕夏)は、
母の死体の第一発見者・唯(美神ルナ)と偶然にも出会い、姉が追っていた事件の真相を知ることになるが…。
※死体は恩田姉妹の母ではなく菊川洋子の母・秋子のもの。
白樺の家に絡んだ事件を追っていた恩田刑事の娘でグラビアアイドル麻衣子がヒロイン。多くのエピソードと繋がりがある。
ただ・・・自身はアイドルで姉は吉田代議士に敵対するジャーナリスト、ヒロインの恋人に思いを寄せる資産家令嬢、嫉妬に付け込む島関係者、なんだそれ。
羽田夕夏の演技は上々で桜田さくらも安定の悪女っぷりだけど、絵に書いたようなコテコテの人間関係にはちょっと白々しくもなる。
- 出演:美神ルナ つかもと.友希 白山ゆり
- 発売日:2006/11/07
リゾート開発反対をしていた父が倒れ、その意志を引き継ぐ唯。しかし、リゾート開発をしていたのは奴隷島の黒幕だった。
唯の存在が邪魔になった黒幕は、組織の金を流用した奴隷島スタッフを使い、唯を奴隷島へと送り込むのであった。
※組織の金を流用した奴隷島スタッフは唯と龍子入れ替えの口実に利用されただけで出番はない。
島に関わりの深いリゾート開発の邪魔者を消しつつ愛人に貸しを作るという島関係者による一石二鳥作戦。
美神ルナは一人二役で、彼女のシンボルであるタトゥーもストーリーにうまく組み込んでいる。
また脇役の奴隷にもちゃんとそれぞれに意味を持たせてあり、異なる性格付けの奴隷役を三人が三人ともきっちり演じドラマの見応えは十分。
さらに海外へ売られた後の展開を唯一扱っているのも特徴。新旧シリーズ通じて数少ない救いの残るラストも印象的でシナリオの完成度は非常に高い。
個人的には本章が新旧通じて奴隷島のベストエピソードと思っている。
※現場の様子からおそらく5、6章は同時ロケと思われる。
- 出演:加瀬あゆむ 木村那美 長谷川あゆみ
- 発売日:2007/01/07
海外のファッションメーカーで働く予定だった里奈(加瀬)は騙されて白樺の家の地下室に監禁される。
3ヶ月間、早紀(長谷川)と共に調教され、子供まで孕まされた理奈は貞操帯を嵌められて元の世界に戻される。
里奈の態度に不審を抱いた恋人は、その秘密を探ろうとするが……。
島送りとなる前の奴隷が一時的に外出する際、貞操帯の装着が必須、というお話。
それを印象付けるため本章のみ島や地下室ではなく自宅での絡みが描かれており、そのシチュエイションを活かした展開が用意されている。
また貞操帯のコンセプトはのちにスピンアウトして別のシリーズ作品
『貞操帯の女』に引き継がれることとなった。
島との因果が弱いヒロインなのでシナリオ自体の印象度は弱いが、加瀬あゆむ・長谷川あゆみの見事な熱演、
白樺の家に違和感を抱いた恩田刑事とマヤ&剛三のやりとり、広がりを見せる奴隷調達ルートなど注目すべき点は多くデキは非常によい。
ちなみにもっとも収録時間が長い(210分)。
※編集者はこの第7章が奴隷島初体験で、
加瀬あゆむ目当てで鑑賞したはいいものの何が何だかわからなかった。
- 出演:橘未稀 七海菜々 星野めぐ
- 発売日:2007/03/07
代議士の娘・涼子は海外で勉強をしていたが、父が強盗に殺され帰国。若菜の協力を得て、選挙に立候補する決心を固めるが、ライバルによって監禁される。
さらに恋人の妹を人質に取られ、奴隷島に送られた涼子はそこで若菜と再会する。
島の顔役、吉田代議士が関与するリゾート開発でのトラブルや献金疑惑を追及する命知らずな人たちのお話。
タイトルの通り調教はもちろんストーリーの核心部分にも黒人が関わっているが、何も黒人である必要性はそれほど感じられず。
むしろ犬牢の存在のほうがずっと衝撃だった。さすがに描画は控えられているが島の衛生管理はいったいどうなっているのかと。
- 出演:小泉彩 成瀬るな さくらりこ 藍山みなみ
- 発売日:2007/05/07
生命保険会社で働く奈緒はある青年の事故死を調べているうちに、麗奈の失踪事件に疑問を持つ。
やがて関係者の香澄や沙羅と共に奴隷島に送られた奈緒は、そこで変わり果てた麗奈の姿を見せられ、自らも奴隷として調教されていく。
※香澄、沙羅、奈緒が島に送られたタイミングはバラバラ。最後に沙羅が送られたときにはすでに麗奈はいなかった。
相次ぐ白樺の家の失踪者に疑問を抱いた外部の人間にスポットを当てたお話。
8章の内容をなんとなく引きずったオープニングをはじめ、伏線の回収やストーリーの補完に重点が置かれている。
さらに本編前半における事実上の主役が2章で登場した藍山みなみだったことでヒロインの影がちょっと薄くなってしまった。
実際、恋人の存在感もタイトルに入れるほどではなかったように思う。
- 出演:椎名りく 中川瞳 星野めぐ
- 発売日:2007/07/07
末娘の失踪後、白樺の家の理事となった3女の沙耶香。しかし長女の梓と共に地下室に監禁される。
白人女や中国女によってレズ調教を受けながら、貞操帯を着けられ外の世界に戻される。そして奴隷島に送られ地獄のような日々が…。
島谷家乗っ取り計画もいよいよ佳境。エミルタージュ社やチャイナマフィアが本格的に活動を始め、長女と三女が餌食に。
椎名りくが抜群の演技を見せる一方で、中川瞳はぐだぐだで緊張感のかけらもない。別の女優を起用してほしかった。
というかこの4人が姉妹ってのは4章の望月加奈&山口まゆの姉妹設定より無理があるのでは。
- 出演:紅月ルナ 椎名りく 早川凛 森下理音
- 発売日:2007/09/07
国際捜査官として活躍していた泉は、かつての恋人の依頼を受けて帰国。白樺の家の秘密を探ろうとするが、捕えられて奴隷島に送られる。
そこでは捜査中に出会った恵や女医の由希、そして沙耶香たちが奴隷として飼われていた。
奴隷島に潜入捜査官の要素を盛り込んでみました、というお話。
6章でリゾート建設反対運動を担当していた弁護士が再登場、白樺の家の調査を捜査官として海外で活躍していたヒロインに依頼。
7章や9章と同様にもとは島と因果がないヒロインで、他の奴隷も三女の沙耶香を除くと捜査のおりに関わった程度の人物と感情移入はしづらい。
シナリオもほとんど寄り道のないストレートなものだが、緊迫感溢れるクライマックスは見ごたえがあり、その後の紅月ルナの演技も素晴らしい。
個人的には森下理音のすばらしいおっぱいをもう少し丁寧に映して欲しかった。
- 出演:滝沢優奈 椎名りく 長谷川あゆみ 持田茜 山口まゆ
- 発売日:2007/11/07
「もしもし、島谷美咲さんですか?突然申し訳ありません。わたし、弁護士の山本と申します。実は白樺の家で重大な犯罪が行われている疑いがあります…。」
遂に暴かれた奴隷島の実態!?…運命に導かれた衝撃の最終章!!
最後の砦だった次女美咲、連続登板の三女沙耶香、前章で殺された弁護士の妹あかね、それぞれが残した事件の手掛かりとそれを隠蔽しようとする島一味。
11章のオマケで流れた予告編でも「奴隷島、ファイナル───」と笹木が煽っていたように、シリーズラストを飾るにふさわしいドラマチックなシナリオ。
結末に賛否はあれどこれだけ入り組んだストーリーをデウス・エクス・マキーナを登場させることなくきちんと決着をつけたのは高く評価できる。
終盤には視聴者のカタルシスもしっかり組み込まれ、
全奴隷が登場するエンドロールは、BGMとあいまってかなり切なかった。
なお後始末のため
全員海外に売り飛ばしたので旧の奴隷の再登場の可能性はなくなった。
実にもったいないがAV女優のライフサイクルを考えるとやむをえない措置ではある。
- 出演:長谷川あゆみ
- 発売日:2008/04/07(上巻)、2008/04/07(下巻)
旧の全12章を約半分の16時間に再編集した総集編。上下巻それぞれ240分の2枚組で2,940円。
パッケージ裏の人物相関図や各章の繋ぎを新たに撮り下ろしているのはポイント高く資料として重宝するが、
3話を1枚のディスク(240分)に収めるのに短縮編集されてるので普通の人はリーズナブルな奴隷島パックで十分だろう。
撮り下ろし部分は閉鎖直前の島に送られてきた新奴隷まお(成瀬るな?)と監禁3年目の宮沢早紀(長谷川あゆみ)による狂言回しで、
白樺の家を基点とし島の過去を振り返る。残念ながら年表をアップデートできるほどの追加情報はない。
アタッカーズ15周年を記念して2013年に発売されたコンプリートセット。
全編ノーカット収録(2000分!)で3,990円と非常にお買い得だがパッケージの人物相関図や撮り下ろし映像はオミットされている。
なおアタッカーズ感謝プライスパックとして『女豹&忍びパック』『夫の目の前でパック』『鬼畜輪姦パック』も同時発売されたが
『奴隷島パック』が栄誉ある1番(メーカー品番:APS-001)を与えられている(これを栄誉と考えるのも俺くらいなものだろうが)。
※15周年イベントは初の作品である椎名純の『女教師 暴虐の時間割 ~歴史教師・純子~』のリリース1997年2月から数えて15年目の2012年に全国各地で行われたが、アタッカーズの会社登記自体は1996年12月。また翌2013年発売の奴隷島パックも15周年事業の一環ということになっている。2017年の20周年には奴隷島公式年表でも公開してくれると嬉しいのだが・・・。
おそらく「一から十まで調教過程を見せるフェイズは旧でもう終わった」という製作側の判断なのだろう、
島流し直後の洗礼をはじめ絡みの省略が目立つようになり、かわりにネチネチとした精神凌辱と単発シナリオ化が進んだ。
シナリオの完成度が高まるいっぽうで他との相関性を匂わせるシーンが章を追うごとに減っている。
特に5章くらいから島側のアイコンといえる吉田や松岡の出番がほぼなくなっていることも奴隷島というひと繋がりのストーリーだった旧とは赴きが異なる。
島スタッフも感覚が麻痺しているのか、要人や島関係者の身内すらも巻き込まれるなど内外に敵を増やしかねない緊張感を欠いた行為が目立つ。
- 出演:金沢文子 神田美穂 上原美菜
- 発売日:2008/04/07
拉致した女達を性奴隷として監禁調教・強制売春・人身売買を行うための施設がある悪魔の島『奴隷島』。
黒幕だった代議士・吉田が贈収賄事件で失脚、島は一時閉鎖されたが、雲川組の2代目を継いだ松岡によって再開されることになった。
旧と新のミッシングリンク的な、吉田の失脚と復活を描いたプロローグはなかなか見ごたえがある。
肝心の本編がいまひとつ盛り上がりに欠けるのはそのギャップと、ヒロインたるカナブンの演技がやや淡白なせいか(神田美穂はがんばった)。
また調教の合間に伏線をあれこれ散りばめ先々を期待させつつ、結局回収されることはなかったことも悔やまれる。
- 出演:妃乃ひかり 姫川りな みぃ~な 姫咲りりあ
- 発売日:2008/09/07
ノンフィクション作家の美幸(妃乃)は、担当編集者の香澄(姫川)と一緒に、ある話について取材することになった。
ある話とは、拉致した女たちを監禁調教・強制売春・人身売買を行う施設が南の島に存在するというものだった…。
南の島で囁かれる人攫いの噂を本にまとめようとした命知らずのお話。たぶんシリーズの中でいちばんロケに手間が掛かってる。
ところどころに事件解決の鍵を握るような含みがあるものの、「南の島の都市伝説」という出オチだけなので話に厚みがなく入り込めない。
それゆえ他の章に比べてドラマよりも絡みのウェイトが高いのだが、ライティングが信じられないくらいボロボロでとても鑑賞に堪えない。
エンディングのサウンドも他とは異なるし、シリーズの中でもかなり浮いてる。
- 出演:北田優歩 水無月レイラ 姫咲りりあ 小鳥遊恋 結城カレン
- 発売日:2008/12/07
南の島の海岸で発見された奴隷島からの生還女性…売春を目的とした人身売買組織の存在を想像させる変わりきった体…迫る奴隷島からの追っ手!
「変なことを考えたら、お前の元婚約者や島に残された彼の妹がどうなるか分からないぞ!」
偶然の助けとはいえ島からついに生還者が現れる。しかし地獄の蓋は開いたままだった。
島からの生還はもちろん、ヒロインの立場が助けを求める側から助ける側、そして再び助けられる側と変わっていくシナリオや
島の地下だけでなく病棟も使った絡みのシチュエイションなど、新の中でもかなり凝った作りが伺える反面、
北田優歩はドラマの演技はよいのだが絡みがイマイチで、水無月レイラはその逆で、ちょっとモヤモヤする。
- 出演:心有花 真心実
- 発売日:2009/03/07
証券会社で働く沙羅(真心)は同僚の由梨(心)の兄・野島ともうすぐ婚約する予定だった。
衝撃の展開…奴隷島の地下室に拉致された沙羅と由梨。意識が戻った時、彼女たちの目の前に立っていたのは彼女達の最も愛する者、野島だった…。
奴隷対象が島スタッフの身内という切り口に加えてついに脱走にもチャレンジと変化をつけようとしているのが伺える。
とっくにAVレベルを突き抜けているヒロイン真心実の演技には舌を巻く。一方で、心有花はあいかわらずぐだぐだ。
さらにシナリオそのものは平凡で、2章との関係はあるものの他に繋げにくい。
- 出演:星野あかり 香坂美優 坂本愛海
- 発売日:2009/07/07
この秋に結婚を控えている教師の菜月(星野)と同じ学校で働く数学教師の幸一は彼女の妹・栞(坂本)をはじめ、皆から祝福されていた。
ただ一人、菜月たちを逆恨みする一年前に学校をクビになったかつての同僚の麻衣(香坂)だけを除いては…。
罠にハメたつもりがハメられていた。何をいってるのかわからねーと思うが(ry。
シナリオのデキはともかく星野あかりと香坂美優がやや演技過剰気味で三文芝居が鼻につく。
ラストの星野と香坂のレズプレイも説明不足というか意図がわかりにくい。
ただ今回の香坂美優のような島との関わり方は新たな切り口で、島攻略のヒントとしてリサイクル可能と思う。
なお一番ハードに絡みをこなしたのは妹役の坂本愛海。細かいところでは島のVIPルームが初登場。
- 出演:鷹宮りょう 水元ゆうな 青木玲
- 発売日:2009/08/07
行方不明になっていた彩が海岸で発見され、病院に運ばれた。カメラマンの唯は、彩を撮ろうと病院に通っているうちに望と知り合う。
望は彼氏と一緒に難病と闘っていた。しかし、運命の歯車は彩の入院とともに狂い始めていた…。
第3章のアフターストーリー。スクープを狙う北島唯による自殺行為とそのとばっちりを受けた沢口望。
入り方はドラマチックでよかったのだがその後の北島唯の絡め方が弱く、単にヒロインが泣いて終わるだけの話になってしまった。
恋人の拉致も多用しすぎてもう必須イベントに近く、大きな興奮はない。
- 出演:竹内結 長澤リオン 結城カレン
- 発売日:2009/09/07
彩香は、代議士を目指す恋人・和也と婚約し、和也の父の看病をしていた。が、和也の恩師・片岡代議士の娘が和也に惚れてしまう。
裏で奴隷島と精通していた片岡は、娘のために部下を使い彩香を拉致し、奴隷島へと送還してしまうのであった。
※彩香拉致が片岡の指示だったことを表す描画はない。また拉致を指揮した藤田は片岡の部下ではない。
ヒロインのフィアンセを島にとっても軽く扱えない人物と設定したのはなかなか面白い。
「邪魔者は奴隷」という島のスタンスがよく現れてるし、フィアンセの立ち振る舞いも新鮮なものになる。
そのヒロイン役の竹内結の演技があまりにも涙ぐましく、新旧通じて一番感動した。
ただ自ら崩壊する危険を招いているかのような行き過ぎた島側の対応にはさすがに違和感が。
- 出演:彩月あかり 青山ゆい
- 発売日:2009/11/07
保育士の紀子と百合は拉致され、奴隷として調教される。やがて2人は妊娠し、紀子は双子の女の子を百合は女の子を出産。
幸運にも命を救われた娘たちは外の世界へ。20年後、成人した娘たちに思いも寄らぬ再会が待っていた…。
奴隷島で生まれた子は奴隷島に帰る、これ常識(種付け奴隷が生んだ子のケーススタディ、という旧の設定を補完するストーリーともいえる)。
出自の秘密を知ったことで初めて顔を合わせた、対照的な人生を過ごしてきた姉妹という設定はまずまず。
旧6章以来となる1人二役を演じた彩月あかりはよく頑張ってるし身代わりの身代わりというラストもなかなか感慨深い(反面青山ゆいはどうも影が薄い)。
でも一番印象的だったのは、冒頭の沙織が見ている夢の中に一瞬出てくる、「オラッ」と得意げに鞭をふるうじっただったりする。
似合いすぎだろ。
- 出演:雨宮琴音 小桜沙樹
- 発売日:2010/02/07
優奈(雨宮)は、親友の奈津美(小桜)と共に奴隷島に拉致されてしまう。しばらくして奈津美が奴隷島の構成員の妹であることが判明、
一人ならば島を出られることになるが…。極限状態での友情をテーマにしたシリーズ第9弾!
拉致した奴隷は島関係者の身内で、その親友の恋人も島にとって重要な人物の息子とご都合主義だらけの人間関係だが
身内や代議士関係者が単なる既出ネタのいいとこどりに留まらず、立場が二転三転する展開にきっちり活かされている。
さらに含みを持たせるようなラストで、さあここからどれだけ伏線回収できるのかと思ったら・・・単体ではいい作品なのに、もう。
美形だが台詞に感情のこもってない雨宮琴音とは対照的にAV歴の浅さを感じさせない小桜沙樹の好演技が光る。
- 出演:姫咲りりあ 神谷りの 夢見ほのか 相沢桃 工藤はな
- 発売日:2009/01/07
凌辱大作『新奴隷島』ストーリーの鍵を握る村本刑事の妹、亜里沙の初登場シーンも衝撃収録!悪しき巣窟の真相に迫る!?
暗い地下室で、哀しみの涙を流す女たちの物語…完全撮り卸し新作!奴隷島シリーズ初の『外伝』誕生!
村本亜里沙が拉致られた直後の様子。村本刑事の娘であることが拉致理由かどうかは明かされていない。
調教風景を淡々と流してるだけと内容はあんまり面白くないので外伝に回されたと思われるが、皮肉にもプレイはもっとも充実している。
ストーリー的にはパケの「物語の鍵を握る村本刑事の娘、亜里沙登場」なる一文だけが重要かと。
- 出演:君野ゆめ 小澤新音
- 発売日:2009/10/07
恵は彼との待ち合わせの場所へ向かっていた。時間に遅れそうな恵は急いで、いつも通る道とは違った道で向かったが、
途中で暴漢に襲われ拉致されてしまう。目が覚めると地下牢で、人違いで拉致された事を聞かされるのであった。
人違いで拉致られた。それだけの話なので特別編に回されたと思われる。
調教にヒロインの特技を活かした演出を加えるなど工夫の様子はいろいろ伺えるのだが、
時系列がまったくわからない上、他章との相関性も盛り込めそうにないので始末に終えない。
・・・新が9章でストップしたままだった理由はなぎらのスランプや関係者の不協和音などいくつか考えられるが、
鍵を握るはずの登場人物(姫咲ありさ)が女優を引退してしまい伏線回収のメドが立たなくなった(≒シナリオ変更を余儀なくされた)ことが大きいのではないだろうか。
2014年1月現在、新の登場人物で再登場させられそうなのは星野あかりと青木玲しかいないが、
ただ青木玲のジャーナリスト(カメラマン)という設定をうまく活かせば、なんとか帳尻合わせはできるような気がする。
4年近いブランクを経てようやくリリースされたのは待望の新10章ではなくSEASON3。
最大の注目点は監督がなぎら健造から川村慎一に替わったことで、
新旧シリーズよりコンセプトや設定は引き継いでいるものの作風の違いに戸惑う声が多い。
そんなSEASON3の特徴を端的に言い表すなら「奴隷島のステージ」か。
時系列的には奴隷島再開から2年後になる。
舞台が新と重複するのでいろいろ矛盾が生じそうで怖い。
- 出演: 織田真子 志保 立花さや 橋本杏子
- 発売日:2013/12/07
海外で発見された奴隷島からの生還者・沙織(志保)…奴隷島を仕切る雲川組組長・松岡の急死。
ヤクザを嫌い、早くから家を出て雑誌記者として働いていた松岡の一人娘・菜々美(織田)が奴隷島の秘密に迫る!
島の存亡を揺るがす海外売却先からの生還者、証拠隠滅のため消された松岡の娘、借金を背負わされ死んだ父の敵を追う女。
三人の共通点である雲川組もまた一枚岩ではないようで、沙織の記者会見の対応に追われつつ、この先旧松岡派と桐子派(先々代の組長の妻)でひと悶着を匂わせている。
監督が交代しても島でやることそのものに変化はない。ただドラマパートの演出から重苦しさがなくなり絡みも調教というよりプレイじみたものになっている。
輪を掛けて残念なのは登場人物の演技が男女ともに軽いことか。
島の真相を探る役目は、前シリーズの村本刑事の後輩(名称未定)と菜々美の同僚である大石記者が担うことになりそう。
- 出演: 川上ゆう(森野雫) 中西愛美 小峰みこ 橋本杏子
- 発売日:2014/05/07
川島彩子(川上)は庶民派で知られる有能な弁護士。悪徳建設業者の柿谷と裁判で対立することになった彩子は、
調査の末に柿谷の悪事に関しての有力な証拠を掴むも、柿谷に加担する雲川組によって拉致されてしまうのだった…。
ゼネコンのスキャンダルに立ち向かう女弁護士、これだけなら何の変哲もないシンプルな構図だが
介入する雲川組もまた三代目の跡目問題を抱え、表向きの仕事に内部抗争を絡めることでストーリーの導線に変化をつけている。
もっとも畏怖や絶望を呼び起こす装置だった島がなんだか背景のように希薄で軽いものになってるのが気がかり。
“雲川組の悪徳非道の数々”なんてのは手段であり目的ではなかったはず。
このままでは「島に関わった女たちの悲哀と絶望の物語」からますます遠ざかってしまいそう。
※川上ゆうのブログによれば中西愛美はこれがAV初現場とのこと。
2章でエンディング曲が以前のものに戻ってるあたりからも作り手の迷いを見て取れる。こんな調子であと10章ぶん持つのだろうか。
備考
舞台は基本的に島内部と白樺の家及びその地下室と限定的で、スタジオ以外のロケ地は次のとおり。
- 旧5章:麻衣子のグラビア撮影、唯との出会い(海辺でのロケ)
- 旧6章:唯の回想、恋人・ようすけとのデートシーン(海辺でのロケ)
- 新2章:南の島での取材の様子(リゾートホテルっぽいところ、民家)
あとはスタジオ内か、スタジオ周辺と思われる街中での撮影とロケにはほとんど手間がかかっていない。
それで広がりと奥行きのある世界観を感じさせるのはすごい。
なお奴隷島の施設は廃墟撮影の定番、
プラネアール笹塚Aスタジオが使われている。
デートなどのイメージシーンの撮影もバーニーズ前や御苑、中央公園など新宿・渋谷界隈。
山本弁護士が自殺した(ことになっている)マンションの場所がわからない。
シーズン3になってなぎらと川村の手法の違いを端的に見て取れる。
良し悪しではなく特性の違いなのだが、カメラに映らないところまで世界の広がりを感じさせるなぎらに対して
川村が手掛けた作品は平面的で密室など限定された舞台で進行するものが多く、
空間的にも時間的にも広範囲にわたる世界で繰り広げられる奴隷島のような作品では窮屈に感じる。
雑感
これまでに奴隷島の実情が表面化するチャンスは幾度となくあったのだが、
水際での対処がうまくいったというよりも情報を知った人間がそれを島関係者に相談するなど、運に恵まれた感が強い。
新になっても人違いであったり島や要人関係者をそれと知らずに拉致するなど、
反感を招いたり無闇に事を大きくするような脇の甘さは変わっていないようなので、
シリーズ内で描かれるかどうかはともかく、遅かれ早かれ破綻の日は訪れると思う。
10章以降の考察
前述の姫咲ありさをはじめ、主要人物が次々と女優業から足を洗ってしまっているので
結末への道筋は既出の奴隷ではなく島に因縁のある脇役たちに担わせたほうがいいかも。というかそれしかないのでは。
元婚約者である3章ヒロイン藤崎彩と妹の真奈美を失った向井総合病院の医師、白石智明。
やはりフィアンセだった7章ヒロイン杉浦彩香を強奪された代議士見習いの、和也。
9章ヒロイン秋川優奈の恋人で有力代議士の息子、望月正彦。
1章ヒロイン望月仁美のフィアンセ倉橋ひろし自殺の真相を追求する村本刑事が彼らと繋がり、娘の失踪も絡んでいることを悟る。
また恩田刑事の死も島が関与していた疑いを強め、島の真相を明らかにすることを決意、といった感じか。
救いのある結末とするなら黒幕の手が回る前に電撃戦で島を制圧、これをマスコミが報道してこの世の地獄に終止符が打たれる。
絶望感を高めるなら突入計画の情報が漏れ島はもぬけの空で逆に待ち伏せされ全滅、悪夢は終わることなく続いてゆく。
※倉橋ひろし偽装自殺の実行犯がチャイニーズマフィアという線から、最後は関係者と三つ巴、なんてのも面白そう。
疑問
島に送り込む前は「外国で1年間奴隷として奉仕すれば制限つきながらもとの生活に戻す」といった方便を使い慎重な対応を見せているのに
その後は従わせるための人質である家族や恋人の死を軽々しく伝えるなど、島関係者の行動には一貫性を感じないところが多々ある。
以下、世界観そのものをぶち壊してしまうのであまり触れないことなのだけど。
島にゲストで招かれるクラスの人物であれば、わざわざ島のような辺鄙でハイリスクなシステムを利用せずとも
法的に問題の少ないやり方で奴隷パーティーを楽しむことは可能ではないだろうか。
費用対効果を考えても都心近くの倉庫などを借り切って奴隷を囲うほうが安上がりだし奴隷の入れ替えも楽で何よりもアクセスで困らない。
合理的には「絶対に逃がさないため」くらいしか島にする理由を感じないが、無理やり拉致るから大げさになるのであって
借金のカタなり身内の安全なり「心理的に逃がさない」方法はいくらでもあるはず。
強いて挙げるなら島のような施設を運用することやその会員となることに一種のあこがれやステイタス性といった快感や意義があるのだろう。
その他奴隷シリーズ
奴隷島のように舞台に特徴があるものとして『奴隷街』と『奴隷城』があります。
その他はあんまり見てません。特に最近猫も杓子も奴隷と銘打ってる作品がやたら増えたけどプレイの幅が狭いので奴隷島以上に単調なものが多い印象です。
奴隷街
異国の街で売春・人身売買組織に攫われるコンセプトそのものは悪くない。
ただ演技力高い女優使ってるわりにヒロインの掘り下げが甘いせいか感情移入しにくい。
また章を重ねるほど絡みに緊張感が薄くなり、淡白で抜きづらい。
奴隷街 小川あさ美 真心実 咲乃瞳 美麗 MAYA
- 問題の街を訪れてから囚われるまでの演出は悪くないのだが、その後の心理描写は奴隷よりも家族や恋人のウェイトが高い。
- 絡みはそれなりにしっかりしてるので、脳内補完できればそこそこ抜けると思う。
- 現地を訪れた家族や恋人をセリの場に連れて来る意図がわからない(殺るならいっしょじゃん)。
奴隷街 第二章 早川瀬里奈 小澤マリア 美麗
- ただでさえ感情移入しにくいのに早川瀬里奈ヒロインじゃどうにもならない。
- セリとその後の展開中心、おかげでファーストレイプや調教過程を省略という愚行。
- 恋人からもカネを巻き上げることで現場に連れて来る理由付けにはなった。
奴隷街 第三章 桜井あみ
- 内容は二章とほぼ同じ。せっかく桜井あみ使ってるのに絡みが淡白すぎ。
奴隷城
女王様系。レズが苦手なのでほとんど見てません。
最終更新:2020年08月14日 17:28