形成体と誘導 〜シュペーマンの研究2〜

シュペーマンには重要な業績がもう一つある。
それは、何が外胚葉の予定運命を決定するか、つまり原口背唇部の発見である。

外胚葉の予定運命の決定時期を明らかにした移植実験を、外胚葉ではなく原口背唇部を使っておこなうと、移植先の胚は、もともと自分が持っていた原口背唇部と、移植によって新たに獲得した原口背唇部の二つの原口背唇部を持つことになる。
この二つの原口背唇部は、それぞれが脊索へと分化するだけでなく、それぞれが外胚葉に作用して、表皮と外胚葉の予定運命を決定する。
そして結果的に、移植された胚は二つの独立した神経系を持つことになるのだ。

移植された原口背唇部が影響して分化させた部分は、神経系だけでなく、胚の頭部を完全に発生させるため、正常な個体に別の小さな胚が付着しているように見える。
このことから、移植した原口背唇部がつくった胚を二次胚と呼び、それに対して移植片とは無関係に形成された移植先の胚は一次胚と呼ぶ。
最終更新:2009年05月21日 18:41
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