鎌状赤血球貧血症

かま鎌状赤血球貧血症は、低酸素状態になると毛細血管で赤血球が鎌状に変化してしまい、血行障害をまねく病気である。

その原因はヘモグロビンを指定するDNA領域に生じた遺伝子突然変異である。
正常な塩基配列と突然変異した塩基配列は、わずか一カ所異なっているにすぎない(置換の一例で、点突然変異とも呼ばれる)。
その結果、ヘモグロビンβ鎖の6番目のグルタミン酸がバリンに置き換わる。
バリンはグルタミンよりも疎水性が強く、その結果、ヘモグロビン分子が繊維状に集合してしまう。

鎌状赤血球貧血症を引き起こす遺伝子は、正常な遺伝子に対して劣性である。
従って、この患者はこの遺伝子をホモにもつ人であり、低酸素状態のときに重度の貧血となり子孫を残す前に死んでしまう。
しかし、この遺伝子をヘテロにもつ人は発病せず生き残る。

鎌状赤血球貧血症の患者の分布域(患者は中央アフリカに多い)と悪性マラリアの分布域が重なっていることは有名である。
これは、鎌状赤血球貧血症の遺伝子をヘテロで持っている人が、マラリアにかかりにくい性質をもっているためである。
そのため、この遺伝子は集団から除がれずに子孫へと受け継がれているのだ。
最終更新:2009年05月23日 18:34
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