夜刀神蔡生


「お前は私を殺せ。私はお前を殺す。――――征くぞ我が敵。死に逝く覚悟は出来てるか」


名前:夜刀神蔡生/Satsuki Yatonokami
所属:複合企業コングロマリット『千夜グループ』
役職:千夜グループ総帥
種族:夜刀神(真性亜神)
性別:女性
年齢:25歳
身長:176cm
体重:52kg



異能


・時間制御:Ex

 四次元時空を構成する根源的要素である四つの次元の一つ、時間に干渉し、因果の決定とそれに伴う事象の変遷を意識下で制御する異能。
 神智学におけるアカシャ年代記のような概念の総体的存在の一部、時間の概念に夜刀神蔡生のイデア体が繋がっており、時間の概念と自身のイデア体を重ね、イデア体を時間概念と擬似的に一体化させることで時間概念そのものに対する直接的な干渉を可能とする。
 時間の概念と自身のイデア体を重ねている状態では、時間や因果といった概念を自身のイデア体の一部として魔術などを介さず体を動かすのと同じように制御することが可能だが、これに際して時間概念というより大きな概念体に自身のイデア体が取り込まれるリスクを負っており、時間制御には自身の概念的な消耗を伴い、長時間の時間制御は自己のイデア体の喪失を招く。 
 時間を自身の一部として制御すると云う性質上、外部から時間干渉を妨害する事は極めて困難だが、精神的、肉体的疲労の程度によっては自身の肉体を動かすのが難しくなるのと同様に、内的要因によって時間制御が難しくなる場合もある。
 一存在の持つ能力としては極めて破格の能力であるものの、存在の規模を制限されていることによって能力の器としての存在のリソース大きく不足しており、時間を自在に操ることは不可能。実際に行える干渉の種類は極一部のものに限られている。
 そのため能力としては不完全で、大規模なものや複雑なもの、精密な制御を必要とする干渉は行えず、基本的に全体時間を伸縮する事によって周囲の時間の流れを伸縮し、相対的に自身の行動を加減速する時間伸縮しか行えない。その時間伸縮の幅も精々一秒を数秒に伸縮するのが限界となっている。
 現在の状態で唯一行える時間干渉である時間伸縮は、文字通り全体時間を伸長、圧縮するもので、これによって生まれる主観時間と客観時間の相対的な差異によって、一部の運動法則を無視した行動が可能となる。
 例として、時間制御によって全体時間の一秒を三秒に引き伸ばした場合、夜刀神蔡生の主観において自分以外の全ての物体の運動速度が三分の一になるが、客観においては夜刀神蔡生の運動速度が三倍になる。それに応じて夜刀神蔡生の主観では周囲の運動エネルギーが三分の一に、客観では夜刀神蔡生の運動エネルギーが三倍になり、運動の第三法則が成り立たなくなる。
 これらの時間干渉による効果以外に、自分自身に影響している時間制御の副次的な効果として、自身のイデア体が外部から切り離された固有の時間軸を持ち、全体時間の流れから独立しているという性質を持つ。そのため全体時間の状態が変化してもその影響を受けずに行動することができ、これによって自身の時間制御で全体時間を伸縮しても例外的にその時間に影響を受けず行動することが可能となっている。
 また、イデア体の持つ固有の時間軸は通常時でも感覚世界の肉体に影響を及ぼしており、肉体の状態が夜刀神蔡生自身の認識する本来の状態と異なる場合、肉体のみが因果律を無視して時間の逆行を引き起こし、自動的に身体状態を復元させる。
 これは本能的な性質であり、負傷等による肉体的な損傷以外にも適用され、負傷や怪我の治癒後に残る傷痕等も本来の状態ではないと認識され、傷痕が無い状態へと復元される。しかし復元の速度は決して速いとは言えず、怪我などの負傷なら再生能力による治癒の方が遥かに早いが、再生能力の及ばない物に対しても有効で、長期的に見れば極めて強力な回復手段と言える。
 この性質は自身の認識によるものが大きく、体が変化しても元の認識に合わせて逆行復元され、自身の老化すらも肉体の時間の逆行によって常に時間的に一定の位置に留めているため、結果的に不老となっている。
 時間を伸縮することで自身の行動速度と物理的な攻撃力を高め、自分以外の行動速度と物理的な攻撃力を低下させるという効果に加え、副次的な効果も強力だが、リスクが大きく気軽に使えるわけではないため、自然と運用の幅が限られてくるが、それでも破格の能力であることには変わりがなく、主に決戦時における切り札として運用されている。

・真理固有概念領域『斬界』:――

 夜刀神蔡生の真理。永劫回帰的な自身の道を踏破し、自己の命題への回答を得ることで構築された概念的領域であり、個人規模のイデア界。
 概念領域はその領域内に刀剣という形で無数の存在の形相を内包し、個別のイデアとして記録、蓄積した領域で、感覚世界下における様々な存在の形相が刀剣という質料を取って存在している。
 イデア界である概念領域は高次元の領域であるため、基本的に夜刀神蔡生の主観においてしか観測されず、通常時は客観において実在と非実在が分化されていない不分明の確率で、多元的に世界が分岐する可能性として感覚世界に重ね合わせ状態で実在する。
 この状態でも概念領域は感覚世界に影響を及ぼし、夜刀神蔡生の主観においては概念領域の内包するイデア体の刀剣が現実態を持たない状態で感覚世界にも存在しており、それによって感覚世界下に夜刀神蔡生を中心とする高次元の概念的な力が作用する特殊な力場を形成している。
 上位次元のイデア界であるこの概念領域が客観において観測される状態になるには、概念領域が重ね合わせ状態で実在する世界から、客観において実在する世界へと分岐する必要があり、顕現の際には概念領域の顕現に関する因果律を除く全ての因果律を無視して本来の世界が迎えるであろう未来が唐突かつ大規模に改変されて、概念領域の存在する未来へと分岐、顕現する。
 概念領域そのものではなく概念領域下に存在する刀剣を感覚世界に現実態化する場合には、重ね合わせ状態で実在する概念領域を概念領域が顕現した未来へと感覚世界を分岐させる場合と異なり、概念領域から引き出す対象とした刀剣の次元を落とすことで客観での観測を可能として実在を確定させ、感覚世界に明確な質量を持って現実態化させる。
 感覚世界に現実態化した刀剣は概念領域と同じく、感覚世界に実在すると同時に概念領域にも存在しており、それぞれ現実態、イデア体として重ね合わせ状態で感覚世界と概念領域の両方に実在する。
 現実態として実在する感覚世界における刀剣は、イデア界である概念領域のみに実在する状態とは違い、感覚世界に明確な質量を持って実在する物質である。そのため概念領域下でのイデアとしての普遍性が感覚世界下では喪失しており、物理的な破壊などは通常の物質と同様に可能となっている。
 しかしその本質はあくまでも概念領域に実在するイデアであり、感覚世界での現実態が破壊されたとしても概念領域においてはイデアとしての普遍性が健在。そのため概念領域下におけるイデアとしての形相が消滅していない限り、感覚世界に何度でも現実体化させることが可能。
 現実態化したこれらの刀剣は感覚領域に実在するため普遍性を持たないものの、イデアとしての側面を持ち合わせた半イデア体である。この性質を利用し、イデアの一部を高次のエネルギーとして運用することで、刀剣を高次のエネルギーを開放する一種の魔弾として放つことも可能。
 また、刀剣の本質のイデアは夜刀神蔡生そのものである概念領域に存在しており、感覚世界に現実態化した刀剣自体が夜刀神蔡生の一部と言え、その性質によって自分自身の体を動かすのと同じ感覚での操作が可能。そのため刀剣の制御を外部から妨害することは難しいが、疲労や精神的疲弊などの内的要因によっては精密な制御が行えなくなる場合もある。
 感覚世界で現実態化した刀剣は、概念領域が感覚世界に重ね合わせ状態で存在することによって感覚世界下に影響を及ぼして形成される特殊な力場の力場の範囲内に存在し、夜刀神蔡生が観測する概念領域と同様に感覚世界のフィジカルな要素をある程度無視し、物理法則の影響を軽減した遠隔操作が可能。
 この異能はイデア界という一つの独立した高次元の領域であり、異能としての側面よりも独立した世界としての側面が大きく、異能としての総合的な評価は不可能。主に遠隔攻撃の手段として運用されている。



種族特性


・根絶の神性(真):Ex

 常陸国風土記に伝えられる、世界の異物として現世から放逐された根絶の神としての性質。
 自身を認識したものの系譜を完全に根絶する忌神、始祖夜刀神の因子を濃く継承した事によって強く発現した性質だが、始祖夜刀神は異物として世界から放逐された存在であるため世界からの反発、修正が非常に強く通常時は根絶の神としての性質を発揮していない。
 始祖夜刀神と根本を同じくする、自身を認識した者の系譜を因果を超越してから抹消する能力ではあるものの、やはり世界からの反発修正が強いためそれらに抵抗した上で力を発揮しなければならず、結果として自身を認識した者の生命力を奪う力という形になっている。
 根絶の神性の力によって生命力を奪われた場合、体力や魔力といった生命に備わるありとあらゆる力を極度に消耗し、死亡状態へと徐々に近付いていくが、世界からの反発修正と存在の規模を制限されているため従来の効果を発揮できず、少しずつ生命力を奪う程度に留まる。
 根絶の神性を発揮した状態の自身を認識した瞬間に確定される効果であり、夜刀神に関する深い知識がなければ初見で対抗する事が非常に難しいが、世界からの反発によって神性を発揮した状態では自分自身の生命力をも極度に消耗させるため、長時間神性を持続させる事は難しい。
 また、副次的な性質として自身を対象とした魔術や異能などに対して不可侵性の抵抗力を持つため、それらの作用効果を減少、軽減し、微弱なものなら完全に無効化する事が可能。
 しかしその性質は自身を対象とするものならば種類や対象を問わずに発揮するため、身体能力の強化や負傷の回復などの支援、援護性のものの効果も減少、軽減無効化するというデメリットを持つ。
 神としての性質ではあるが、神という高次元的存在のエネルギーでもあり、魔力などのその他のエネルギーで魔術を行使したりするのと同じように、単純なエネルギーとしての運用も可能。
 根絶の神性を攻性の異能として見ると運用が難しく負荷が強烈なため、事実上攻性能力としての運用は不可能。防御面としてはデメリットが大きいものの、異能や術式に対する抵抗力は強力なため常時発動型の防性能力としては優秀だが、夜刀神蔡生は多くの局面においてこれらを純粋なエネルギーとして使用しており、主に攻撃のブースターとして運用されている。

・超身体能力:S+

 夜刀神独特の種族特性。人間を遥かに凌駕する高い身体運動能力。
 人間は筋肉などを動かす際、脳からの運動指令信号を神経線維の末端で神経ホルモンのアセチルコリンに変換し、細胞膜表面の受容体に作用させる事で細胞内のアデノシン三リン酸に加水分解反応を起こさせ、その反応エネルギーで細胞同士をスライド、筋肉を収縮させる。
 この際の加水分解反応量の上限が人間よりも多く、それに加えて通常の運動信号とは別の特殊な信号を通常の運動信号と合わせて発信、その信号を受容体に送る事で神経線維の末端にアセチルコリンと異なる細胞に直接作用する神経ホルモンを分泌させる。
 これによって人間よりも多くの加水分解反応エネルギーとあわせて二つのエネルギーを使用することで、筋肉の質量は人間と変わらないにも関わらず筋力を大幅に底上げする事が可能。
 人間と比べて劣る点は、カロリーを大幅に消費する点。運動持続時間自体が人間を遥かに超えて長大だが、激しい運動を極長時間続けるとカロリーを大幅に消費し、それに伴いグリコーゲンとインシュリンも一時的に使い尽くしてしまう。
 この際極度の頭痛と嘔吐感を伴い、性質上糖尿病患者の発作や二日酔いの最も酷い時の症状に近い。この性質は本人の意識下で制御する事が可能なため、平時は使われておらず、必要に応じて使用している。

・超神経伝導:S+

 夜刀神独特の種族特性。秒速1200メートルに達する神経パルスの超伝導能力。
 人間やその他の動物の有髄神経細胞の神経パルス伝導速度は無髄神経細胞の凡そ百倍の毎秒凡そ100メートルだが、これは絶縁性の髄鞘で神経細胞の軸索を被服することにより神経パルスの伝達速度を上げているためである。
 夜刀神の神経細胞の神経パルス伝導速度は、この髄鞘の絶縁性を高める事によってパルス伝導をさらに早くしている。
 神経細胞はタンパク質やホルモンを作る機能を持っているにも関わらずそれらの機能を使っていないが、夜刀神の神経細胞はそれとは異なり、有髄神経を完全な絶縁体にする効果を持った特殊なホルモンを分泌し、それによってよって神経パルスの伝達速度を飛躍的に高めている。

・自己再生:A++

 夜刀神独特の種族特性。肉体細胞の持つ非常に高い細胞再生能力。
 再生の際には傷口の断面部分の細胞からカルスに似たゲル状の未分化細胞群が増産され、極めて短時間で傷口を埋めて失われた骨や筋組織、神経や血管等に変化して傷口を埋め、修復する。
 性質からして一般的な動物の再生能力とは根本的に異なり、その再生形態は動物よりも寧ろ植物に近い。
無意識下でも発動しており、紙で切った程度の傷ならば認識していなくても一分かからずに完治し、傷を認識していれば再生にかかる時間を数秒にまで短縮出来る。
 意識を集中する事で治癒の速度を更に上げる事が可能で、集中の程度にもよるが、紙で切った程度の傷ならば一秒とかからずに治癒を完了する。

・存在制限:――

 過去の戦闘で受けた夜刀神蔡生という存在そのものに対する制限。
 一存在としての規模及び他への干渉力、即ち存在としての広がりが一定の領域以下に制限されており、一存在及び一個人としての能力を縮小されている。
 存在とイデアそのものに対する極めて原則的、根本的な制限であり、これ自体は他からの干渉を一切受け付けないため、解除する事は不可能。



保有技能


・剣征帝技:Ex

 無限の戦場によって鍛え上げられ、永劫の時によって磨きあげられて完成された夜刀神蔡生独自の特異な戦闘技術体系。
 単一の敵を殺傷する事では無く戦場そのものを制圧する事を其の本質と定めて研鑽を積んだ戦闘技術の果ての形であり、これより先が無いという意味では戦闘技術の一つの最終形。
 自身の修得した多種多様な技術を分解し、最も得意とする剣術をベースに自身の身体能力や異能等に合わせて再構築、融合させた上で実戦に耐え得るレベルにまで昇華し、またその過程で編み出された新たな戦闘技術を戦場で鍛え上げて創造したもの。
 彼女自身の身体能力や異能を前提として構築された戦闘技術体系であるため、彼女以外の者が修得するのは非常に難しく、実質的に継承されない一代限りの戦闘技術。
 基本であり主力である、全ての攻撃手段の土台となる剣技の他に、用いる刀剣の持つ特性を活かした技や自身の異能や魔術を補助として使った技など多様な攻撃手段を備える。
 斬戟のコンビネーションやそれらから派生する技、体術や魔術を補助として用いた攻撃を戦闘の主軸とし、状況に応じて自在に切り替えて攻勢を掛けるが、その殆どが次の行動に移行し易い形を取っており、技と技の間に発生する隙が極端に少ない事が全体に共通する特徴。
 一つの技にしても状況に応じてその対象を一人に絞ったものから複数を対象としたものに切り替える事が可能なものが多く、また特定の状況に特化した技も多数存在し、非常に多彩。
 剣征帝技が最も効果を発揮する近接戦闘においては、それらの多彩な攻撃方法によって怒涛の如き攻勢を仕掛ける事で相手を圧倒、攻め手を封殺して攻勢に転じる隙を与えず、その手数で防御を切り崩して討ち倒すという絶対的な攻勢を主軸とした戦闘姿勢を採る。
 しかし攻勢を支えるそれらの技以上に、体の捌き方や重心の移動、体の捻りで速度を高める技法、全身で生み出した力を効率良く伝える技法など、攻め手だけではなく攻守に渡って運用可能な術理を無数に持ち合わせており、高い防御、回避能力をも兼ね備える。
 そのため攻防において隙なく磐石である事が一流派としての剣征帝技の特徴に思えるが、実際にはそれらを支える術理の全てを技量の元に一つに収束して打つ事こそをその真髄としている。
 これは元々無数の流派の戦闘技術を収束、統合して一つの戦闘技術を作り上げるという剣征帝技成立に至るまでの根本的な理念をより深く掘り下げ、ありとあらゆる戦闘技術を統合して構築したように、剣征帝技の全てを一つの技に収束、統合するという、剣征帝技の理念の最終段階を真髄と定めているため。
 理念を突き詰めて奥儀、真髄と為す事から、剣征帝技は純粋な意味合いに於ける戦闘技術体系としての側面よりも、求道の道としての側面が大きく、またそれ故にこれより先が無いという意味での究極的な闘争能力を発揮する。

・神眼(偽):Ex

 永劫の時と無限の戦場によって積み上げられた戦闘経験によって極限値まで昇華された知覚能力。
 元々は夜刀神という種族の知覚能力を研鑽して筋肉の動く気配を感じ取る剣術家としての技能だったが、無限に等しい戦闘経験によって筋肉の動き完全に知覚し、それによって完璧な予測を行う技能となった。
 例として、相手が剣を振るという動作に対し、直接的に剣を振るために動く腕の筋肉が動く予備動作的な前段階の筋肉の動きとして起きる、肩、 胸やその他の筋肉の最初動を知覚することによって、相手の剣を振るという動作を相手が剣を振るより前に完璧に予測する事ができる。
 筋肉の動きや生命体に関わらず、視覚や聴覚を封印した状態でも知覚範囲内にあるものの位置、形状、構造、動作及び内部動作を正確に把握する事が出来る。
 ただし余りにも微細な粒子などは別で、魔術などの術式に対してはこの技能の知覚対象外であり、この知覚技能とは別の魔力に対する感覚が働くため、それらを完全に予測する事は不可能。
 この技能の神眼という名称は剣士という領域における全知、剣術における神の眼という事から名付けられた。
 名称の引用元は夜刀神蔡生の友人であるファリス・ライアスの有効範囲内ならばその全てを知覚する、限定的ではあるものの文字通りの全知を誇る異能、神眼に由来する。

・身体完全制御:Ex

 永劫の時をかけた修練で後天的に獲得した、自身の意識下で完全に制御掌握が可能となった肉体。
 文字通り自己の肉体を完全に自分の意識下で制御しており、無意識の動作や肉体の生理的反応すらも意識下で制御する。
 体に存在する猶予的な意味合いでの遊びが皆無であり、何らかの動作をするために動いた筋肉から発生した力をロス無く作用点へと伝える事が出来、動作の初速から最高速を出し、全ての動作に超高次元でのキレを生み出す。
 また、脳内分泌物や神経分泌物の分泌すらも意識下で自在に制御するため、ダメージに応じた量のエンドルフィンを分泌させて痛覚を必要最低限に抑えたり、アドレナリンを大量に分泌させる事で傷口の止血を即座に行う事が可能。
 筋肉を動作させるための加水分解反応も自在に反応量を調節するとや、夜刀神独特の体質である細胞に直接作用する末梢神経ホルモンの分泌量を増やすことによって筋力すらも自在に強化する事が出来る。
 これは神経にも有効で、夜刀神の神経細胞が発する髄鞘の絶縁性を高める性質を持つホルモンの分泌量を増やし、神経パルスの伝達速度すら高める事が可能。
 剣征帝技を支える土台であり、常軌を逸した戦闘能力の根底を支える体質となっている。



武装


・忌神終月刀『夜刀神』:Ex

全長:1270mm
刃渡:984mm
柄長:286mm
刃幅:47mm
刃厚:23mm

 夜刀神の名を冠する大刀。忌神宵月刀と併せて二振りで王権神威を顕す夜刀神の神器、神刀の一。
 常軌を逸した切れ味を誇る玲瓏鋭利な刀身には刀なら有って当然の刃文、鋩子、反りなどが存在せず、虚無的なまでの静謐さを湛える煌く暗黒色という矛盾した色彩を持つ。光沢があるようで何も反射せず、暗黒の結晶とでも形容するのが相応しい質感があり、神性を黒い陽炎の様に刀身周囲に揺らめかせている。
 柄は艶の無い木材のような質感を持った黒い材質で出来ており、刀身との接続部からは鋭角的な直線と柔らかな曲線が混在する、暗金色をした樹木の枝に似た形状のものが複数本生えており、刀身を外して見ると黒い幹に暗金色の枝を持つ樹木のような外観をしている。
 鍔はこの暗金色の枝のようなものが歪み捩くれて複雑に絡み合う事で形成されており、これが接続部となって刀身を抑えて固定している。
 刀身は勿論、柄や鍔も含めた忌神終月刀を構成する全てが夜刀神の始祖の遺骸から造られている。一個の存在として固定されているため、破壊する事は勿論形状を変える事すら不可能。
 常陸国風土記に伝えられる忌神、夜刀神の根絶の神威を顕す神刀であり、刀身から無尽蔵に生成、湧出されている神性は所持者以外から作用する魔力等の一般的には観測不可能なエネルギーや熱、電気、光等のエネルギー、運動エネルギーや其の他の力場を含むありとあらゆる力に対し反発する性質を持つ。
 この神性はかつて世界から異物として放逐された忌神、夜刀神の神性そのものであり、ありとあらゆる力に反発するという性質は万物と相容れない世界にとっての異物である始祖夜刀神の神性と世界の双方が互いに反発し合い刀身の周囲を時間的、空間的、確率的、存在的に歪める事によって常時起きている現象。
 そのため神性はそれが起こす世界歪曲によって、因果事象の地平が光を呑み込む事で色を持たず暗黒となるのと同様に、神性及びそれが発生させる世界の歪曲は光を歪曲面に飲み込むため、揺らめくような黒い陽炎として視認、知覚される。
 刀身から湧出される神性は細かな制御、調節が可能であり、神性を抑制する事による従来の刀としての運用は元より、湧出される神性をより強くする事によって魔術やそれに類する物を弾く事や、細かく制御する事で魔術師にとっての魔力のような、術式のリソースとしての運用も可能。
 また、この性質は所持者の意思の元で封印制限を解く事により神性の制限が開放され、神性による世界と相互に反発しあう性質を生む歪曲率を極限まで増大、仮想的極限特異点を発生させ、力に反発する性質がそれらを消滅させる性質へと変容する。
 封印制限は安全装置としての意味合いもあり、開放した状態では神性の力が所持者の許容量を凌駕するため完全に制御しきれず、力を消滅させる特性が所持者にも有効となる。この状態は所持者の体力や魔力を極度に消耗するため、神性開放状態を維持する事は極めて難しく、開放は短時間に限られる。
 基本的には一般的な刀として運用されるが、神性の性質を発動し反発力を高めた場合、その場にある全ての力に対し反発するようになるため刀身が異様に重く感じ、神性を開放した状態では刀身に掛かる力を全て消滅させる為、神性を強くした場合とは逆に異様に刀身が軽く感じられるようになる。
 玲瓏鋭利な刀であると同時に夜刀神の始祖から造られた神器であり、謂わば刀の形をした神そのもの。世界の異物であるが故にただそこに在るだけで世界を歪め、極限点を仮想的に構築する、放逐された神の化身。

・忌神宵月刀『朽縄神』:Ex

全長:851mm
刃渡:617mm
柄長:235mm
刃幅:34mm
刃厚:17mm

 夜刀神の二つ名を冠する小太刀。忌神宵月刀と併せて二振りで王権神威を顕す夜刀神の神器、神刀の二。
 刀身は忌神終月刀と同様に刃文、鋩子、反りなどの存在しない暗黒の結晶とでも形容するのが相応しい材質で造られているが、忌神終月刀とは異なり神性を持たない。
 柄もまた忌神終月刀と同じ拵えであり、黒い幹に暗金色の枝を持つ樹木のような外観をしており、鍔も暗金色の枝のようなものが歪み捩くれ絡み合う事で形成されている。
 刀身は勿論、柄や鍔も含めた忌神宵月刀を構成する全てが夜刀神の始祖の遺骸から造られている。一個の存在として固定されているため、破壊する事は当然形状を変える事も不可能。
 常陸国風土記に伝えられる忌神、夜刀神の朽縄を統べる王権を顕す神刀であり、王権を発動する事で朽縄御霊という夜刀神の始祖が統べた種族の軍勢を召還する特性を持つ。
 これは万古の昔に夜刀神の始祖が存在していた時代の軍勢であり、基本的には人間と同じ姿形を採るが、異形も多い。
 王権の発動による朽縄御霊の召還は儀式的な手順を必要とし、忌神宵月刀の刀身に夜刀神の始祖の因子を強く継承した血を奉げた後に忌神宵月刀を地に差す事でそこを中心に一定の範囲を魔術的な力場で覆って異界化させ、朽縄御霊を召還する。
 召還される朽縄御霊の数は奉げた血に含まれる夜刀神の始祖の因子の量に比例する。しかし当代は夜刀神の始祖から幾星霜も代を重ねているため夜刀神の血族でも基本的に因子は薄く、多数の軍勢を召還するには大量の血液を必要とする。
 基本的には通常の小刀として運用されており、忌神終月刀と共に二刀で用いられる事が多い。
 切味の鋭い小刀であると同時に夜刀神の始祖から造られた神器であり、謂わば刀の形をした神そのもの。嘗て無数の朽縄御霊を統べていた神の化身。

・黒龍凱套『漆皙柩』:S++

 礼装のような瀟洒な意匠の漆黒のロングコートと、其れと揃いの漆黒のスラックス。夜刀神の血に連なる黒龍の遺骸から編みあげた凱套戦衣。
 上衣に当たるロングコートはスーツジャケットの様な胸襟があり、胸襟や袖などいたる所に日緋色金から縒り作られた金糸で刺繍が施されており、裾が足元までと非常に長いのが特徴。
 下衣であるスラックスは裾がややフレア気味に広がっており、裾の縁には上衣の襟と同じく金糸によって瀟洒な刺繍が施されている。
生地は滑らかで柔らかく着心地が良いものの、防弾ジャケットや防刃ジャケットに使われるケブラーなどの特殊繊維以上の耐久性と耐熱性を誇り、そのフォーマルでゴシックな意匠に反して高い防御能力を持つ。
 そのため一般的な拳銃に使われる程度の銃弾ならば、速度による衝撃を着用者に伝える事はあってもそれを通すことは無く、並の切味の刀剣に関しても同様でこれ自体は斬れず、着用者のダメージを打撲程度にまで軽減する。
 また、素材となった夜刀神の血に連なる黒龍の持つ術式や異能に対しての抵抗力をそのまま保持し、ある程度の威力までなら軽減し、微弱な物なら無効化する事が可能。
 忌神終月刀と同じく戦衣として生きており、破壊の程度にもよるものの破壊されても数秒で元の状態に戻る自己再生能力を持つ。
 高い耐久性と再生能力を持った強力な防具であるが礼服としての側面も持ちあわせ、夜刀神の領域において軍服と最高位将校の礼服の中間に当たる衣装でもある。



プロフィール


 異能都市で隆盛を誇る世界規模の超巨大複合企業コングロマリット『千夜グループ』の総帥にして、見ただけで一族が根絶やしにされると常陸国風土記に伝えられる、数多の蛇を従えた龍神夜刀ノ神を始祖とする、殺戮を生業として裏の世界に君臨する人外の血脈、夜刀神の主君の一人。
 世界規模の複合企業グループを統べる総帥であり、グループの中核を成す夜刀神財閥の当主として政財界で非常に有名だが、その一方で夜刀神の主君に相応しく、刀剣の扱いに関する異常に高い技量を持ち武神の如き戦闘力を誇る、剣征の二つ名を持つ大剣豪。
 企業家として他の大都市とは趣を異にし、異能者や魔術師など所謂表の世界とは相容れない者の集う異能都市にグループを進出。グループ総帥である自身も異能都市に出向してきた。
 異能都市の開発と発展を目的としており、異能都市に存在する様々な謎の解明と、独立性が高いものの異能都市独特の性質の為に行政機関として機能していない市庁に代わり都市開発や治安維持に尽力しており、異能都市を千夜グループの企業城下町にしたいと考えている。
 存在を制限される以前は時間制御能力を完全に掌握して次元間を行き来した事があり、その経験と世界から拒絶された夜刀神の出身であることから、歪みを持ちながらも全てを混濁の内に許容する異能都市に深い興味を示す。
 常人とは異なった思考論理と行動原理を持ち、多くの者や自分と親しい人物とすら考え方を異にする場合も多いが、意思と人格を最も尊いとする価値観を持ち、それ故か交友関係は非常に広い。しかし同時に相容れない人物に対しては一切退く事がないため、味方を作りやすいが敵も作りやすい性質と言える。
 性格は企業家らしく理知的。精神的には優柔と苛烈の二面性を矛盾せずに持ち合わせる。基本的に穏やかで喜怒哀楽の四情の全てにおいて感情の動きは緩やかで、いついかなる場所においても浩然としている。
 夜刀神という種族の支配階級の出身であることと、異能によって寿命が存在せず、永劫とも呼べる時と無数の戦場を歩んだ事によって現世に対し超越的な人生観と思想を持ち、非常に強い精神性を完成している。



容姿


 後腰に届く程に伸ばされた煌く真紅の長髪と、それと同色の瞳を持つ。非常に長い髪は普段後頭の高い位置で紙紐で結い上げ、一本に纏めポニーテールにして流している。
 髪と瞳の色は正確には真紅ではなく、夜刀神の色の名前で暁黎紅という朝日に染まる暁天と太陽の色を指す。
 右目の下に泣き黒子のある涼しげな印象を与える流麗な切れ長の眼と、形の良い薄桜色の柔らかな唇が特徴的な非常に整った顔付きをしている。
 身長は176cmと女性としてはかなりの長身。すらりと伸びた肢体はしなやかで、女性らしく華奢だが起伏に富んだ豊かな躰付き。
 肌は洗練された白磁のような清冽な白に、紅酒を一滴垂らしたような温かみのある白皙の肌。全体的に柔らかく女性らしい曲線を描く躰は線が細く華奢で優美だが、それを周囲に感じさせない程、活力に満ちている。
 極めて女性らしい容姿ではあるものの、その姿には力強さすら感じさせる、色香と同時に迫力を感じさせる美女。
 服装は胸襟や袖などに金糸で刺繍の施された礼装のような瀟洒な意匠を持つ漆黒の長衣と、それと揃いの裾に金糸で瀟洒な刺繍の施されたフレア気味のスラックスに、特徴的な金色の留め金のあるフォーマルシックなショートブーツを履く。
 これらの衣装は夜刀神の領域において軍服と最高位将校の礼服の中間に当たる衣装であり、その独特な意匠は見る者に権威を感じさせる。
 漆黒の長衣の下にはドレスシャツを着ているが、長衣とドレスシャツの胸元は豊かな胸によって内側から押し上げられており、生地の余裕は殆ど無い。
 ほっそりとした腰には銀製の大きなテザインバックルが特徴的な幅の広いベルトを、ウェストマークに漆黒の長衣の上からゆるりと締めている。
人でない者ならではのこの世の者とは思えない美貌と夜刀神の衣装とがあいまり、王侯のような気品と力強い権威を感じさせる。

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最終更新:2009年08月03日 22:20