結局、トリッシュはカッタル~と思いつつも授業に出ることにした。一人で居てもやる事もなく、暇だったからだ。
それにマリコルヌにドライヤー代わりに使わせた風の魔法以外も見てみたいと思っていた。
授業で使う教室は半円状の大学の講義室のような場所だった。周りを見渡すと他の貴族たちも使い魔を連れて
椅子に座り、思い思いに雑談している。トリッシュの通っていた学校の風景とさほど変わりはない。
ただ、プランターに植えられた猫のような植物、召使いのように脇に控え、時々主人を溶かす人型の生物、
コッチヲミロォーと叫ぶラジコン型の生物?、壁にもたれて椅子に座ろうとしない貴族の存在が、
ここが異世界だと言うことを物語っていた。
……最後の貴族のことが気になったのでトリッシュは床に座っているマリコルヌに聞いてみることにした。
「ねぇ、あの貴族ってどうしてマネキンみたいに突っ立ってんの?座ればいいじゃない」
「ああ、彼は昨日召喚の儀式が終わってからずっと、人に背中を見せたがらないんだよ」
トリッシュは不思議に思ったが、そんな趣味なんだろうと思うことにした。
それにマリコルヌにドライヤー代わりに使わせた風の魔法以外も見てみたいと思っていた。
授業で使う教室は半円状の大学の講義室のような場所だった。周りを見渡すと他の貴族たちも使い魔を連れて
椅子に座り、思い思いに雑談している。トリッシュの通っていた学校の風景とさほど変わりはない。
ただ、プランターに植えられた猫のような植物、召使いのように脇に控え、時々主人を溶かす人型の生物、
コッチヲミロォーと叫ぶラジコン型の生物?、壁にもたれて椅子に座ろうとしない貴族の存在が、
ここが異世界だと言うことを物語っていた。
……最後の貴族のことが気になったのでトリッシュは床に座っているマリコルヌに聞いてみることにした。
「ねぇ、あの貴族ってどうしてマネキンみたいに突っ立ってんの?座ればいいじゃない」
「ああ、彼は昨日召喚の儀式が終わってからずっと、人に背中を見せたがらないんだよ」
トリッシュは不思議に思ったが、そんな趣味なんだろうと思うことにした。
教室に教師らしき貴族が姿を現した。緑色の髪をした知的な容貌の女性だ。緑色の髪を見てトリッシュは、
染色に失敗したか、錆びた水道管の水で頭を洗ったんだなと思い、髪は女の命なのに可哀想。と、少し不憫に思った。
「ミス・ロングビル。ミセス・シュヴルーズはどうしたんですか?」
桃髪の少女が緑髪の女に尋ねる。周りの貴族たちもなにやら騒いでいるようだ。
「ミセス・シュヴルーズは、御友人が怪我をなさったとかでこの授業は…」
「ひょっとして自習!?」
トリッシュの後ろに座った赤髪の年増が嬉しそうに叫び、身を乗り出す。しかし、緑髪の女が年増の方を見て
にっこり微笑み首を振ってそれを否定する。
「いえ、この時間は他の先生方の手が空いていないので、私が代わりに授業を行います。
今日は基本的なことを行いますので、心配はご無用ですよ」
最後に、“失敗してもイジメないで下さいね” と付け加え周りの貴族を見回した。それを見て年増女は不満そうに
椅子に座りなおす。
年増女が座ったのを満足そうに見て、きょとんとした顔をする。こちらを見ているようだ。
「あら…そこのメイドさん。もう授業が始まってますので出てもらえますか?」
「ほら、モンマロッシ、アンタ言われてるわよ」
トリッシュが隣に座ったドリル女に親切に教えてあげた。
「私じゃなくてあなたでしょ!それから私の名前はモンモランシーよ !」
キャンキャンと犬のように吼えるドリル女をトリッシュは無視して窓の外を眺めている。
困ったような顔をする緑髪の女にマリコルヌが代わりに答えた。
染色に失敗したか、錆びた水道管の水で頭を洗ったんだなと思い、髪は女の命なのに可哀想。と、少し不憫に思った。
「ミス・ロングビル。ミセス・シュヴルーズはどうしたんですか?」
桃髪の少女が緑髪の女に尋ねる。周りの貴族たちもなにやら騒いでいるようだ。
「ミセス・シュヴルーズは、御友人が怪我をなさったとかでこの授業は…」
「ひょっとして自習!?」
トリッシュの後ろに座った赤髪の年増が嬉しそうに叫び、身を乗り出す。しかし、緑髪の女が年増の方を見て
にっこり微笑み首を振ってそれを否定する。
「いえ、この時間は他の先生方の手が空いていないので、私が代わりに授業を行います。
今日は基本的なことを行いますので、心配はご無用ですよ」
最後に、“失敗してもイジメないで下さいね” と付け加え周りの貴族を見回した。それを見て年増女は不満そうに
椅子に座りなおす。
年増女が座ったのを満足そうに見て、きょとんとした顔をする。こちらを見ているようだ。
「あら…そこのメイドさん。もう授業が始まってますので出てもらえますか?」
「ほら、モンマロッシ、アンタ言われてるわよ」
トリッシュが隣に座ったドリル女に親切に教えてあげた。
「私じゃなくてあなたでしょ!それから私の名前はモンモランシーよ !」
キャンキャンと犬のように吼えるドリル女をトリッシュは無視して窓の外を眺めている。
困ったような顔をする緑髪の女にマリコルヌが代わりに答えた。
「ミス・ロングビル。彼女は僕の使い魔です」
「風邪っぴきさん!使い魔を召喚できないからってメイドを連れてくることは無いでしょ!」
堂々と答えるマリコルヌを見て桃髪が指を差しながら『m9(^Д^)プギャー』と言った顔で笑った。
人のことが言えるのだろうか?と、トリッシュが思っていると―――
「人のこと言えない」
年増女の隣に座った娘が、心を呼んだようにボソッと答えたとたん、教室が爆笑の渦に包まれた。
「ルイズお前が人のこと言えるのかよ!」
「墓の穴を掘るって書いて、『墓穴を掘る』って言うんだぜ!今のお前はまさにソレだぁーーー!」
「かかったな!アホが!!」
「m9(^Д^)プギャー」
トリッシュは桃髪がしまったとばかりに頭を抱えるのを見て、ナランチャみたいだと思った。
後ろの年増女の娘も、なぜか頷く。
「皆さんお静かに!…ミスタ・グランドプレ。一つ質問があるのですが宜しいでしょうか?」
「なんですか?ミス・ロングビル」
「その…どうして床に座っているのですか?」
もっともな疑問を尋ねる。誰だってそう思う。トリッシュだってそう思う。
「使い魔と言えど女性です。床に座らせるなんて出来ません」
その答えを聞いて緑髪の女は感心したように頷く。
「判りました。ミスタ・グランドプレは紳士なのですね。ですが、デブが座ってると通路を塞いで邪魔なので
空いている席に座ってください」
容赦のない言葉を緑髪の女が言い、マリコルヌが素直に従い後ろの椅子に座る。少し泣いているようだ。
「ええと…皆さん、無事『サモン・サーヴァント』に成功したようですね。ミス・シュヴルーズも皆さんの使い魔を
見るのを大変楽しみにしていました。そ、それでは授業を始めますね」
定型文を言うように緑髪の女が言葉を紡ぎだすと授業が始まった。
今日は土系統の『錬金』と言うものをするそうだ。
「風邪っぴきさん!使い魔を召喚できないからってメイドを連れてくることは無いでしょ!」
堂々と答えるマリコルヌを見て桃髪が指を差しながら『m9(^Д^)プギャー』と言った顔で笑った。
人のことが言えるのだろうか?と、トリッシュが思っていると―――
「人のこと言えない」
年増女の隣に座った娘が、心を呼んだようにボソッと答えたとたん、教室が爆笑の渦に包まれた。
「ルイズお前が人のこと言えるのかよ!」
「墓の穴を掘るって書いて、『墓穴を掘る』って言うんだぜ!今のお前はまさにソレだぁーーー!」
「かかったな!アホが!!」
「m9(^Д^)プギャー」
トリッシュは桃髪がしまったとばかりに頭を抱えるのを見て、ナランチャみたいだと思った。
後ろの年増女の娘も、なぜか頷く。
「皆さんお静かに!…ミスタ・グランドプレ。一つ質問があるのですが宜しいでしょうか?」
「なんですか?ミス・ロングビル」
「その…どうして床に座っているのですか?」
もっともな疑問を尋ねる。誰だってそう思う。トリッシュだってそう思う。
「使い魔と言えど女性です。床に座らせるなんて出来ません」
その答えを聞いて緑髪の女は感心したように頷く。
「判りました。ミスタ・グランドプレは紳士なのですね。ですが、デブが座ってると通路を塞いで邪魔なので
空いている席に座ってください」
容赦のない言葉を緑髪の女が言い、マリコルヌが素直に従い後ろの椅子に座る。少し泣いているようだ。
「ええと…皆さん、無事『サモン・サーヴァント』に成功したようですね。ミス・シュヴルーズも皆さんの使い魔を
見るのを大変楽しみにしていました。そ、それでは授業を始めますね」
定型文を言うように緑髪の女が言葉を紡ぎだすと授業が始まった。
今日は土系統の『錬金』と言うものをするそうだ。
緑髪がなにやら金属を懐から取り出して教壇に置く。そして、小さく呪文を唱えるとその金属が土に変わった。
「ミス・ロングビル!それって土ですか?!」
後ろの席の年増女が驚いて身を乗り出す。トリッシュは「なに言ってんのアホが。見りゃわかんでしょ」と
言おうと思ったが、なんとか原作に沿おうと必死なその姿を見て哀れに思い、言うのを止めた。
原作?何のことだ?
「なに言ってんのよキュルケ!見ればわかるでしょ!!」
トリッシュの代わりに空気の読めない桃髪が答える。今度は赤髪の年増が頭を抱えていた。
「ええ、これが『錬金』です。では誰かにやってもらいましょう」
そう言って、貴族を見渡す。桃髪は待ってましたと杖を取り出し教壇へ―――
「では、ミス・モンモランシ。やってみて下さい」
「え?私ですか?」
緑髪は微笑みドリル女を促す。ドリル女は教壇に立ち、呪文を唱えて見事『錬金』を成功させた。
それを桃髪が手に持った杖を折りそうなくらいに曲げ、悔しそうな顔をして見つめていた。
「ミス・ロングビル!それって土ですか?!」
後ろの席の年増女が驚いて身を乗り出す。トリッシュは「なに言ってんのアホが。見りゃわかんでしょ」と
言おうと思ったが、なんとか原作に沿おうと必死なその姿を見て哀れに思い、言うのを止めた。
原作?何のことだ?
「なに言ってんのよキュルケ!見ればわかるでしょ!!」
トリッシュの代わりに空気の読めない桃髪が答える。今度は赤髪の年増が頭を抱えていた。
「ええ、これが『錬金』です。では誰かにやってもらいましょう」
そう言って、貴族を見渡す。桃髪は待ってましたと杖を取り出し教壇へ―――
「では、ミス・モンモランシ。やってみて下さい」
「え?私ですか?」
緑髪は微笑みドリル女を促す。ドリル女は教壇に立ち、呪文を唱えて見事『錬金』を成功させた。
それを桃髪が手に持った杖を折りそうなくらいに曲げ、悔しそうな顔をして見つめていた。
「起きてよトリッシュ!授業が始まるよ!!」
マリコルヌに起こされてトリッシュが顔をあげる。どうやら教室に入って椅子に座ったとたん眠ってしまったようだ。
「おはよう~マリコルヌ」
「おはよう。もうすぐ授業が始まるから」
背筋を伸ばして欠伸をし、周りを見る。夢で見たものと同じ風景がそこにあった。
「正夢かしら?まさかね」
教室のドアが開き、緑色の髪をした知的な容貌の女性が現れた。夢で見た姿そのものだ。
緑髪の女は教壇に行き、一つ咳払いをして貴族たちを見る。そして―――
「ミセス・シュヴルーズは、急用で外出しましたので私が代わりに授業を行います」
マリコルヌに起こされてトリッシュが顔をあげる。どうやら教室に入って椅子に座ったとたん眠ってしまったようだ。
「おはよう~マリコルヌ」
「おはよう。もうすぐ授業が始まるから」
背筋を伸ばして欠伸をし、周りを見る。夢で見たものと同じ風景がそこにあった。
「正夢かしら?まさかね」
教室のドアが開き、緑色の髪をした知的な容貌の女性が現れた。夢で見た姿そのものだ。
緑髪の女は教壇に行き、一つ咳払いをして貴族たちを見る。そして―――
「ミセス・シュヴルーズは、急用で外出しましたので私が代わりに授業を行います」