行政刷新会議の内容 9.文部科学省

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▽文部科学省

【施設関係独立行政法人】
「青少年自然の家」などを運営する国立青少年教育振興機構と、教員研修センターは地方自治体にも類似施設があり「地方または民間非営利団体(NPO)に移管」
男女共同参画に関する研修を実施する国立女性教育会館は、役員報酬が高額なことなどから国からの運営費交付金(10年度概算要求額約6億円)を削減する

【子どもの読書活動推進事業と子どもゆめ基金】
読書活動を進めるために教員や保護者向けの資料を作り、ネットサイトを運営する。
「地方や市民レベルの活動があり、国が行う必要はないのではないか」との意見が出され廃止。「子どもゆめ基金」についても廃止の判定が出された。

【スポーツ予算】
地域のスポーツ施設整備やドーピング防止活動などの事業について、予算の大幅な削減が必要と判定。
サッカーくじの収益をもとに独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施する事業などとの類似が理由だ。

 【独立行政法人日本芸術文化振興会】
芸術家への助成など振興会が関係する事業は、運営の方法に批判が目立ち予算の削減と判定された。

【芸術家の国際交流等】
若手芸術家の海外派遣など交流事業(要求額32億円)は、帰国後の活動状況を調査していないことなどから予算を削減
全国約5千カ所で小中学生に日本舞踊や茶道などの伝統文化を体験してもらう「伝統文化こども教室」など3事業(22億円)は「国として行う必要はない」となった。

【放課後子どもプラン推進等】
空き教室で子どもの居場所をつくり地域の交流も支援する放課後子ども教室推進事業は、厚労省の「放課後児童クラブ」と似ていると指摘されたが、「放課後の居場所は大事」と強調する声もあり、結論は「継続」「自治体に任せる」の両論併記。
家庭教育支援基盤形成事業などほかの3事業はそれぞれ「廃止」や「自治体に任せる」などとなった。

【学校ICT活用推進事業等】
小中学校で配備が進む電子黒板やコンピューターなどICT(情報通信技術)機器を効果的に活用してもらうため、教員の研修などを実施する学校ICT活用推進事業(要求額7億円)は、機器そのものの必要性に疑義が示され廃止
新学習指導要領に基づく11年度からの小学校での外国語活動(英語)必修化に向けた「英語教育改革総合プラン」(モデル事業)も、教材の全児童らへの配布が無駄遣いなどと指摘され、廃止となった。

 【農山漁村におけるふるさと生活体験推進校事業等】
小学生に自然の中で1週間程度の宿泊体験をさせるモデル事業。メンタルヘルスなどに対応するため、専門医を学校に派遣する事業と一緒に論議された。
モデル事業として行われることに疑問の声が上がり、評価は「廃止」と「地方自治体へ移管」が拮抗。結論は「国の事業として行わない」となった。


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▽文部科学省

【理化学研究所(1)次世代スーパーコンピューティング技術の推進】
世界最高速の計算性能を持つスパコンを神戸市に整備することを目指し、10年度は267億円を要求。
仕分け人は「1位でなければ駄目なのか」「国民生活にどう役立つのかが分かりにくい」などと指摘。今年5月に一部メーカーが撤退しシステムを大幅に変更したことへの疑問や責任を問う意見が続出。「一度立ち止まって戦略を練り直すべきだ」との声が上がった。判定は「(予算計上の)限りなく見送りに近い削減」だった。

【理化学研究所(2)大型放射光施設SPring-8など】
兵庫県内に設置された、強力な電磁波(放射光)を用いて物質の構造を詳しく解析できるSPring-8という施設の運転や維持管理に文科省が108億円を要求。
「需要や相場を考え、精緻に費用分析するべきだ」「(施設を利用する)企業の売り上げに応じて費用負担を求めるなど(収益を上げる)努力を」との意見があり、判定は「3分の1以上の削減」。遺伝子を調べて植物の機能を活用する植物科学研究事業(要求額12億円)と、マウスなどの生命科学の研究材料を収集・提供するバイオリソース事業(同31億円)は、ともに「3分の1程度削減」を求めた。

【海洋研究開発機構】
「深海地球ドリリング計画推進」(要求額107億円)は、地球深部探査船「ちきゅう」で東南海地震震源域の和歌山県沖・熊野灘の海底を約6千メートル掘り、巨大地震が起きる環境を調べる。仕分け人からは「国際共同研究なのに日本の負担が大きくないか」などの意見があり、判定は「予算要求の1割~2割の削減」となった。
地震や火山の原因に迫る観測などの「地球内部ダイナミクス研究」(同12億円)の判定は「少なくとも来年度の予算の計上は見送り」または「予算要求の半額削減」の両論併記。

【競争的資金(先端研究)】
国などが課題を募り、審査で採択された研究に資金を配分する制度で、6事業で計1228億円を概算要求。
財務省の査定担当者は「1人で10種類以上の資金を受けている研究者もいる」と指摘。「制度をシンプル化し、削減するべきだ」と判定。

【競争的資金(若手研究育成)】
博士課程修了者らに経済的不安を感じさせず研究に専念させることなどを狙った特別研究員事業(要求170億円)は「雇用対策の色合いが強い」「民間に資金を出してもらえないか」との意見が相次ぎ、予算削減となった。
若手研究者養成のための科学技術振興調整費(同125億円)と科学研究費補助金(同330億円)も削減との結論。

【競争的資金(外国人研究者招聘)】
ノーベル賞級の学者から若手まで多くの外国人研究者を招き、人材育成や国際化を図る資金で、141億円を要求。
「2週間程度しか滞在しない人もおり、研究(資金)ではなく交流資金でやるべきだ」などの意見が相次ぎ、削減と判定された。

【地域科学技術振興・産学官連携】
地域の大学や産業界の特色を生かして科学技術を振興し、日本全体の研究のすそ野を広げる狙いで、数種類の事業やプログラムを用意。概算要求は総計268億円。
仕分け人は「これまでも多額の国費を投入してきたが、地方に人、物、金はどれだけ増えたのか」「地方に自主的にしてもらった方がいいのではないかなどと述べた。判定は「廃止」。

【科学技術振興機構】
理科支援員等配置事業は、子どもの理科離れを改善するため、小学5、6年生の一部授業に、研究者や大学院生などを理科支援員や特別講師として派遣。来年度に5500校分、22億円を要求したが、
仕分け人は「すべての子どもに平等に機会が与えられるべきだ」「理科専門の教員を採用できるような抜本的な改革が先だ」などと指摘し「廃止」と判定。
東京・お台場の「日本科学未来館」(要求額22億円)は、館長で元宇宙飛行士の毛利衛さんが来館者増などをアピール。仕分け人は、運営体制の整理を求め、判定は「削減」とした。

11/16

▽文部科学省

【教員免許関係】
教員養成課程を6年制にすることを含めた教員免許制度改革の調査費(3億円)は半額程度の削減と判定。
教員免許更新制度が10年度限りで廃止予定であることを踏まえ、更新講習関連の要求額(3億円)も、3分の1から2分の1程度を削減。年度途中であっても更新制を廃止すべきだとの意見も付けた。

【道徳教育総合支援事業】
民主党は政権獲得前の事業仕分けで小中学校の道徳教材「心のノート」の全員配布をやめるべきだとしており、来年度概算要求では配布をやめて09年度予算より3億円少ない10億円を要求。しかし、
先進的な道徳教育をしている自治体への支援をモデル事業でやる必要はないなどの声が上がり、「3分の1から半額」の削減と判定された。

 【キャリア教育・職業教育】
社会人になるのに必要な知識を小中高の児童生徒に身につけてもらうキャリア教育推進プランなど5事業(要求額計20億円)を対象に、国の事業としては不要だとして、必要と判断した自治体が自ら実施すべきだと判定した。

▽文科省、農林水産省

【食育の推進】
文科省が5億円、農水省が17億円をそれぞれ概算要求。
子どもの食生活を改善するための教材配布など重複する事業が目立ち、いずれも「予算の削減」と判定。仕分け人は「縦割り行政の整理が必要だ」と指摘した。

11/17
▽文部科学省

 【宇宙航空研究開発機構(1)GXロケット】
官民共同で開発している中型ロケット。
難航していた液化天然ガス(LNG)エンジンの開発にめどが立ち、完成のために58億円を概算要求。ただ、ロケット全体の完成にはさらに1千億円かかるとされ、仕分け人からは「ビジネスになるのか」との疑問。エンジン単体にも「具体的なニーズはない」(文科省)ため、来年度予算計上は見送り、ロケット開発計画は廃止。エンジン単体の開発も抜本的見直し。

 【同機構(2)宇宙ステーション無人補給機(HTV)など】
「毎年1機の打ち上げが国際約束」として2~5号機の製造などに259億円を概算要求。仕分け人からは「2~7号機の一括契約は見直すべきだ」「量産効果はないか」とコストへの疑問が相次ぎ、10%削減の判定。12年度以降10機の人工衛星打ち上げも、要求89億円を10%削減。仕分け人の中からは「人類共通の利益の話で、収益はなじまない」との弁護も。

【競争的資金(原子力システム研究開発事業など)】
原子炉や核燃料再処理分野での革新的なシステム開発を大学や企業に委託する事業(要求額55億円)は「戦略性や効率性を考えた制度が必要」として20%程度削減。
産学連携による先端計測分析技術・機器開発事業(同55億円)も10~20%削減

 【競争的資金(ライフサイエンス)】
タンパク質研究プログラム(要求46億円)は、580億円を投入した前身の研究が新薬に結び付かなかったと批判され、20%~半額削減。
がんの診断治療につながる分子イメージング研究(同7億円)は20%~3分の1削減。
感染症研究の国際ネットワーク推進(同 21億円)は、厚労省との二重行政だと指摘され、厚労省との連携を考えながら廃止、または20%~半額削減

【競争的資金(女性研究者支援)】
育児と研究の両立のため大学や研究所が保育などの環境を整備するのを支援する事業と、女性が特に少ない理・工・農学系の採用を促す事業の2本立てで、要求は30億円。
仕分け人らは環境整備には理解を示したが「研究費の直接投資は逆差別ではないか」と異議を唱えて3分の1程度を削減。

【研究環境国際化の手法開発】
外国人研究者受け入れのため、配偶者の仕事確保や生活相談窓口開設の経費で、要求は2億円。
「各大学で取り組むべき話」「1大学・1地域へ1億円という形では何の構造改革にもならない」といった意見が相次ぎ、廃止と判定

【日本原子力研究開発機構(1)高速増殖炉サイクル研究開発】
09年度中の運転再開を目指す高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の運転再開(232億円)、次段階の実証炉建設に向けた要素技術の研究開発(202億円)を要求。
もんじゅ運転再開について仕分け人の評価は「見送り」「削減」などとされたが結論では反映されず、仕切り役の判断で運転再開分は削減なしとされた。
残る要素技術の研究開発予算は結論を見送り。
材料試験炉の研究開発(42億円)は今後の政策の中で凍結もあり得るとされた。

 【同機構(2)高レベル放射性廃棄物処分技術の研究開発・核融合炉研究開発】
議論自体を持ち越し。


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▽文部科学省

【国立大学法人運営費交付金】
国立大は授業料など自己収入と交付金で人件費を含む経常経費を賄う。要求額は1兆1707億円。
教育研究に必要な予算は確保すべきだとしたが、民間的な手法の導入でさらなる経費削減や国立大が法人化したことの是非も含めて検証し、将来的な交付金の位置付けを考えるようにとの意見が出た。15人全員一致で見直しと判定した。

【大学の先端的取り組み支援】
世界をリードする研究拠点をつくるため博士課程を対象にした「グローバルCOE」など大学院向け支援2事業(同計365億円)は3分の1の予算削減
大学生の就職支援推進事業など学部向け3事業(同計131億円)も削減と判定した。
グローバルCOEは140拠点が対象だが、多すぎるとの疑問が出た。

【高校大学の奨学金】
奨学金返済の延滞額が大幅に増えているとして議論。
「教育目的で普通の借金とは違う。返済不要の給付型奨学金を」との意見も目立った。
結論として回収を強化しつつ、柔軟な返済方法や給付型の検討も必要と判断
高校生への奨学金は、来年度からの公立高校実質無償化との関係を整理するよう求めた。事業を実施する独立行政法人日本学生支援機構の在り方の見直しも求めた。

【全国学力・体力テスト】
小6と中3全員が対象だった学力テストは、40%の抽出方式にすることで09年度予算の56億円から36億円に減額した。
しかし都道府県の傾向をつかめるとした抽出率は高すぎ、「学力の順位付けになるだけ」との意見が出た。今後は子どもの学力の経年比較が可能になるようにし、抽出率を下げるよう求め、予算額の大幅削減と判定。
小5と中2全員が対象の体力テスト(同2億円)も、別の調査と重複するため抽出への変更を要求、大幅削減とした。

【義務教育費国庫負担金】
公立小中学校などの教職員給与費の3分の1を国が負担する制度で、概算要求は1兆6379億円。
教員の給与水準や概算要求額の妥当性をめぐる議論はほとんどなく、仕分け人からは国が給与全額を負担すべきではないか」などと国と地方の役割分担に意見が集中。判定は見直しで、明確な方向性は示さずに「国と地方の在り方を見直す」としたほか、教員が子どもと向き合う時間を増やすため書類作成など事務作業を減らすことも求めた。

【日本原子力研究開発機構】
高レベル放射性廃棄物の処分技術の開発(同83億円)は「(選定が遅れている)最終処分地が決まってからでよい」との意見があり、来年度予算計上の見送りを視野に、経産省の処分事業全体の計画を含めて検討を求めた。
茨城県で行う国際熱核融合実験炉(ITER)の関連の実験炉研究開発(同32億円)は要求通り認めた。

【公立学校施設整備事業】
小中学校舎の耐震化工事など公立学校の施設整備事業を実施する地方自治体向け補助金と交付金で概算要求は計1085億円。
学外にある水泳施設整備なども助成対象となっていることが疑問視され、対象事業を耐震化工事に限定し、予算を削減すべきだと判定。

【民間スポーツ振興費等補助】
日本オリンピック委員会(JOC)と日本体育協会、日本武道館の3団体が実施している選手強化事業などへの補助金計 32億円を概算要求。
独立行政法人日本スポーツ振興センターもサッカーくじの収益をもとにJOCなどに助成していることなどから、予算は削減すべきだと判定。

 


 

最終更新:2010年01月13日 00:34
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