3-603



「ただいま~」

俺は麻奈実と図書館で受験勉強で疲れた頭を休めるために漫画雑誌でも読もうとリビングに向かった。

「ん、あやせ、来てたのか」

ソファに座っている綺麗な黒髪ロングの少女の後ろ姿に声を掛けた。

「なんだよ、桐乃の奴、ほったらかしなのか。ちょっと呼んでくるからお茶でも飲んで待っててくれよ。」

そう言ってキッチンで麦茶を入れてこようとしたが、彼女は俯いて無言のままだ。
また、俺、なんかしたかな?

努めて笑顔を作って

「はい、どうぞ」

と、グラスをテーブルに置く。

彼女の肩がわなわなと震えている。

まずい、また選択肢を間違えた気がする。限りなくする。

でも、なんだ!?

ギリギリと相当な歯軋りをしたあと、彼女はがばっと顔をあげ、俺に掴み掛かってきた。

「いい加減に気付け!バカ兄貴!あんたが黒髪ロングが好きだから、ちょうど撮影で髪色を黒にしたから、せっかくそのまま帰ってきてやったのに!」

見馴れた丸顔の美少女が、目許に涙を溜めてそこに居た。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年02月08日 15:59
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。