「うー寒びぃ。温暖化温暖化言ってるけどアレ嘘じゃね? すっげー寒いぜ」
誰に言ってるのかは知らないが、今は2月。旧暦ではもう春とはいえまだまだ寒い。
嘘くさいIPCCの研究データを信じるならば温暖化してるそうだが、少なくとも今、俺が感じてるのは厳しい冬の寒さってやつだ。
そんなわけで、2階にある自分の部屋からお茶でも飲もうとリビングに降りてきてみれば、
テーブルに突っ伏してウトウト眠っている桐乃の姿を見かけたわけだ。
全く、幸せそうな顔で寝てやがる。どうせ大好きなメルルとやらの夢でも見てるんだろうよ。
なんとなく通り過ぎようとした俺だが、ふと、一つ閃いた。
「いつもいつもいつもいつもいつも面倒ばっかり掛けやがって。たまには仕返ししてみるか」
我ながらしょうもない思いつきだとは思ったが、そこはかとなくニヤニヤしながら俺はマジックを手に取った。
まぁ、仕返しっつっても、コイツが普段やってるエロゲーのようなクレイジーで18禁な仕返しじゃないから安心してくれ。
桐乃を起こさないよう、そっと近づくと、慎重な手つきで額に文字を書き入れる。『肉――』
「……フヒヒ。上出来だ」
思わず笑いが込み上げてきちまったぜ。
間抜けな出来上がりと、些細な仕返しに満足して、俺は部屋に戻った。
「ふぁ……。って、もうこんな時間か」
宿題を済まそうと思って参考書を開いていたら、何故か開いてたのは漫画に変わっていたわけだが、一体いつの間に。
しかも、時間泥棒まで現れてやがる。時計を見ると不思議な事に1時半も進んでいたりするのが恐ろしい。
まぁ、別にいいけどよ。
「――ん?来客か?」
下でインターホンが鳴ってるのが聞こえた。バタバタと言う足音と、玄関の開く音が聞こえたってことは桐乃が出たらしい。
「そういやぁ、なんか忘れてるような……」
そうだ、思い出した。宿題だって宿題。またついうっかり漫画を読みふける所だったぜ。全くこれだから自分の部屋って奴は問題だ。
アイツの家にでも行くか。
そんなことをぼんやり考えていると、下から猛烈な足音が聞こえてくる。
「なんだ……?」
その音はやがて段々大きくなり、ついには――
ダンッ――!
「死ねぇェエエエェェエェェエエェェエエェェエ!!!!!!!!!!!!!」
「って、どうしてあやせがいるんだよ!? ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
勢いよくツッコンで来たあやせが放った膝がシャイニング気味に的確にヒットする。
格ゲーだったらライフ8割超削られる大技だろコレ!?
「な、な、なんでいきなりバーサクしてんだよッ!?」
「あ、あ、貴方、桐乃に何したんですか!?」
「桐乃!? 別になんもしてねーぞ………」
あやせの後ろには今だ状況をよく理解してないのか、咄嗟の出来事に驚きを隠せないでいる桐乃と目が合った。
そして、その額には……。
「に、にに、『肉』便器ってなんなんなんですか!? いえいいです。説明しないでください、聞きたくありません」
「あ、いや、これはだな……」
「聞きたくないって言ってるでしょ! ど、どうせ桐乃の内股の所には『正』の字とか、1回100円とか書いてあるなんて信じられませんからッ!」
「書いてねェよ!? っていうか無茶苦茶詳しいなお前ッ!?」
「いくら変態近親相姦上等シスコンロリコンついでに眼鏡フェチな鬼畜お兄さんでも、政治家の遺憾の意発言くらいには信じてたのに!」
「断固として言うが俺はそんな鬼畜じゃない! だいたいちょっとした悪戯でだな――」
「悪戯ッ!? インターハートですか!? いくらなんでも痴漢電車なんて、犯罪でしょう!?」
「お前は何の話をしてるんだッ!?」
喧々囂々のやり取りの中、業を煮やしたのか桐乃が口を開いた。
「ちょっとアンタ達、何の話をしてるのよッ!? ちゃんと説明してよ」
ピタリ。
と、動きを止めた俺とあやせは部屋を見回すと、全く同じ動作で鏡を指差した。
その後のことは、まぁ言うまでもないだろう。
Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・)< 『肉便器』この単語を生み出した奴は神
_φ___⊂)__ \_______________
/旦/三/ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
|牝豚みかん|/
最終更新:2010年02月24日 21:38