8-67



「はぁぅっ……ん……んっ……ひぅっ……ぁっ」
 水を弾くような音が暗がりの密室空間に響き渡る。
 べちべちと聞こえるそれは男と女が繋がっている証だ。
 噎せかえりそうなほどの熱気に男女の交わり特有の嗅いだだけで淫気に当てられてしまいそうな香りが部屋中に充満している。
 そんな空間の中、荒々しく息を上げているのは他でもない、世界一可愛気がないであろう俺の妹だ。
 口の端から涎を垂らし、両の目にいっぱいの涙を湛えている。
 そんな妹様は先ほどまで相変わらずの流行ファッションに身を包んでいたものの、現在はところどころを開けさせていた。
 仰向け状態の俺に跨がってはその端整な顔を淫らに歪めている。
 俺の胸に手をついて身体を支える桐乃は一物を下の口で咥え込み、一心不乱に腰を上下させる行為に没頭していた。
「あぅっ……ぃ、いぃのっ……おくが、すっごぃ……はぁんっ……」
 ずちゅっ、ぐちゅっ。
 結合部から漏れでる淫音が鼓膜から直接脳に性的興奮をもたらし、思わず桐乃の腰の動きに合わせて下から突き上げてしまう。
 天を衝くかのように一物を奥へと押し込み、これでもかとばかりに桐乃を蹂躙していく。
 膣内を削るように擦り上げてはカリ首に肉襞がかかるよう引き抜いて、何度も繰り返し摩擦する。
 突き上げるのは俺が担当し引き抜こうとする動作は桐乃に任せていた。
 締まる肉壁を押し拡げる度に乱れに乱れた表情が恍惚の色に染まる。
 絶え間ない抽送によって疲れたのか桐乃はばたりと倒れ込んできた。
 しかしそれでも丸みのあるその腰は上下運動を止めない。
 そのうえ強引にずり上げられたブラから覗く桃色のそれを俺の胸板に擦り付けてくる。
「こすれっ、て……したもぉ、うえ、もっ……」
 真正面に見える蕩けきった顔の桐乃が愛おしく思えて、そっと唇を重ねた。
 すると桐乃はすかさずちゅるんと舌を俺の口に滑り込ませてくる。
 一瞬で舌を捉えられ、巻き付くように絡めとられた。
 仕方なくそれに応じると桐乃は「んふっ」と嬉しそうに目を細め、粘膜同士の戯れを開始する。


 その反応になんとなく悔しくなった俺は桐乃の腰に手を宛がってさらに深くへと突き入れてみる。
「ッ!?……ら、らめっ、そんあ……はげ、はげし、くぅ……あぁっ、はっ、ぁ、はぁっ」
 頂点まで昂りつつある性感には刺激が強すぎたのか、桐乃は全身を震わせてよがり狂う。
 ズキンズキンと今はなき右足首が痛んだ気がした。
 けれどそんなものは構うまいと腰の振りを激しくする。
 締め付け具合にさらなるキツさが加わり一物へとしつこいぐらいに絡み付いてくる。
 彷徨っていた桐乃の腕が俺の首に回され、上下する律動に連動して再び唇を交える。
 ぱぁんっ、ぱぁんっと恥骨がぶつかり合うほどに深く腰を打ち付け合う。
 込み上げてくる熱情。
 ぞわぞわと疼き始める背中。
 きゅぅっと締まりの良くなる膣内。
 ビクンと震え出す一物。
 もはや何もかもが限界だった。
 俺は最後の力を振り絞りストロークのスピードを速め限りなく乱暴に腰を振る。
「あん、いっ、いっ、だめら、って、ば、ああっ、も、む、ムリッ」
 じゅぶ、じゅぶっ、じゅぶッ!
 奥へ奥へと打ち付けて最後の一撃に最奥へと腰を突き上げた。
「イけ、桐乃ッ!」
「あに、き、あっ、に、きぃぃぃぃぃぃ!」
 鼓膜がビリビリするほどの嬌声を上げながら我が妹様は絶頂を迎えた。
 同時に堪えきれない情欲が一物から容赦なく吐き出される。
 びゅくん、びゅくんと放られた熱いモノが桐乃の意識を溶かしていく。
「……あっ、つ、ぃ……」

―――
――

「スマンカッタ」
 思わず右足を庇いつつも土下座してしまった。
 罪悪感とか倫理観についての謝罪ではない(襲い掛かってきたのは桐乃だし)。
 これは、断りもなく膣内へ射精してしまったことへの土下座だった。
「……」
 桐乃は腕組みをしながらそっぽを向いて押し黙る。
 情事を終え互いに頭を冷やしたが、まだほんのりと赤みの残る顔で桐乃は不機嫌顔をした。
 ぽそりとか細い声で桐乃は呟く。
「……別に、良かったケド」
「え?」
 聞き取れずに聞き直すも「何でもないっ」と再びそっぽを向かれた。
 ふむ。
 それは、どういう意図の行動だろう?
 考えたところで鈍い俺に答えなどわかるはずもないのだが。
 ともあれ、
「あー、その」
「……何? 言いたいことはハッキリ言ってよね、この鬼畜兄貴」
 鬼畜は余計だしハッキリ言うべきなのはお前だろうがと内心突っ込みつつ、包み隠さず本音を漏らす。
「さっきのお前……なんか、その、可愛かった……ぞ? エロかったし」
「!?」
 目を見開き驚愕した桐乃はぴくぴくと体を震わせ、みるみる顔を赤くした。
 まるで熟した林檎みたいだ。
 っていうかだな、何で片足をちょん切って家に帰ってきたら妹の好感度MAX越えちゃってんの?
 何で自然と肌を重ねちゃってんの? 俺は。
 ……本当に俺、近親相姦上等の変態鬼畜兄貴だったんだな。
 いつぞやのあやせの発言が急に現実味を帯びてきやがった。
 こりゃあまずい。
 既に兄妹としての一線を軽ーく飛び越しちゃってるとか非常にまずい。
 殺される。
 ガチで山に埋められる。
 ど、どうすればいいと?


「……兄貴」
 そんな俺の苦悩になど全く気付かない様子で、我が妹様は何やらかしこまって俺を見つめてくる。
 熱い視線がやべぇ。
 心臓高鳴って死にそう。
 つい最近にも一度軽く死にかけたけどその時より今のが断然逝きそう。
 助けてド〇えもん。
「ねえってば……」
「……お、おう、なんだ」
 小さく息を呑む。
 手に汗握るってこういうことか。
 違う?
 いやそんなことはどうでもいいって。
 今はそんなことよりも、我が妹様の雰囲気に気圧されてるこの状況をどうにかしてぇぇ!
「あたし、その…………き、だから」
「は、はい?」
「うう゛ぅ~」
 唸る妹。
 すうっと息を吸い、捲し立てるように桐乃は言った。

「あ、あたしはっ、あんたのことが好き! 大好き! 超好き! 愛してると言ってもいい! 別にあんたの彼女とか恋人じゃなくていいから、あんたの一番近くにいさせてほしい! わかった!?」

 それはもう盛大な告白だった。
 その有無を言わせぬ勢いに多少驚きつつ、ハァ、と嘆息してしまう。
 呆然、とはしなかった。
 だってさっきの恥態を見せられたら、なぁ?
 その、勘違いしてもいいのかなぁ、って思うだろ?
 いや、えっと、それが事実だってのは、喜ぶべきか、悲しむべきかわからんけども。
 正直判断つきかねるし。
 常識的には、もう道踏み外してんぜ、俺たち兄妹。
 ……けど、まあ、別にそれも、悪くはねぇかなぁと思ってしまう。
 だってよぅ、俺の妹は、

――こんなに可愛いわけだから、さ。


後日談、というかその直後

「へ、返事は!? “イエス”か“はい”でッ!」
「選択肢の意味を為さないだと!?」
「もちろんオッケーでしょ違うっていうの早く応えてよ早くねえねえねえ!」
「こんな時でもテンパってんなよバカ桐乃! ……答えがノーなら、初めからお前を抱いちゃいねぇっての……バーカ」
「……あ、あ、あっ、」
「あ?」
「あ、あたしはバカじゃないっつの!」
「ぐぶぉぉっ!? な、何しやがる!?」
「ううううるしゃい!」
「……はぁ~あ、全く。 結局こんな感じなのか、俺たちって」
「……あのさ」
「あんだよ?」
「その……近いうちにもう一人、あんたのことを好きな奴が、来るから……」
「は?」
「く、詳しいことは言わない。 けど」
「?」
「そいつのことも、ちゃんと受け止めてあげてよね……あたしみたいに」
「……わかったよ。 意味はわからんが、覚悟だけは、しておく」
「……うん」

(続く?)





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最終更新:2010年11月02日 16:57
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