今日はお兄さんの家に行く日です!
決して「桐乃」の家に行くわけじゃないんですよっ・
私のお兄さん、いや、京介さんに会いに行くんです。
桐乃について、ですか?
桐乃は正直言って、邪魔な存在ですね。
最近なんか、学校でも京介さんの事ばっかり話していますし。
本人はバカとか言って、いかにも京介さんの事を嫌いなように演じているようですが。
周りから見れば、好き、と言ってるようにしか見えないんですけどね。
それに、よくよく考えてみれば私がこうして京介さんの家に行く時だって邪魔ばかりしてくるんです。
京介さんが私が怪我をした時に治療してくれたんです。
優しいですよね!だけど、京介さんは桐n・・・まぁ、いいですけど。
私は心が広いんですよ?
話を戻しますか。
そうして治療を一生懸命してくれる京介さんの顔を私が見ていた時の事です。
桐乃が私たちの所に来たんです。
そして、何をするかと思えば、京介さんの頭を叩いて、「何してんのよ、キモ兄貴!あんたが あやせに触ったら汚れるじゃんか」とか言い始めて。
もっといろいろ言っていたような気もしますが、もうどうでもよかったので聞いてないです。
ただ、どうやってあの邪魔な雌を消すかを考えていただけーーー。
*
「こんにちはー」
私がそう言って京介さんの家にお邪魔したのは午後でした。
あいさつをして玄関に入ると京介さんが玄関先で待っていてくれました!
「よっ。桐乃は部屋で待ってるらしいからな。何かお菓子を適当に持って行ってくれ」
京介さんはホントに優しいです。
あんなにいろいろ言われてもあの桐乃の事を心配してるなんて。
私は京介さんに会いに来たのに。
こう考えれば、ますます京介さんが可哀そうです。
私が助けてあげなくては。
そんな決意を胸に、お菓子の袋と共に2階に上がりました。
*
桐乃の部屋のドアを開けると、部屋の主が図々しくも雑誌を読みながら、訳のわからない歌を口ずさんでいました。
「あっ、あやせ!下であのキモいのに会ったでしょ?
出てくんなって言ったのにさ。
マジでバカだよね」
と、開口一番言い出しました。
正直言って、ブチ切れそうでした。
そして、よくも照れ隠しといえども、あんなにもヒドイ言葉を言えるな、と思いました。
私はそんな桐乃に向けて、
「京介s・・・お兄さんはぜんぜん変な事しなかったよ?
寧ろ、出迎えてくれた事は嬉しかったしね!
ちょっとそんなにヒドく言ったらお兄さんが可哀そうじゃない?」
そういってやりました。
そしたら、顔を一瞬傾けて笑い始めました。
「アッハッハッ!
あやせ、それマジで言ってるの?
頭おかしいよぉ?
あいつはあやせに構ってるだけだって!」
じゃあ、なんであなたは必死になってそんな事を言っているんでしょうか。
作り笑いだよね、桐乃。
夏コミに会った時と同じだよ?
そうして、私は確信した。
この女が、京介さんを壊しているんだと。
同時に、今まで京介さんに全ての責任があると思っていた自分を責めた。
助けなきゃ。
そして、一緒にいなきゃ。
あの人を、守るために、私は、元「親友」を、、、。
*
事が終わったあと、京介さんは泣いていた。
嬉し泣き、ってやつなんだろう。
京介さんに喜んでもらえればそれでいい。
妙に清々しくなって空を仰ぐと、こんな声が聞こえた。
俺の天使ちゃんがこんなに病むはずがない、と。
最終更新:2010年11月11日 10:08