9-417


黒猫の告白を受け、付き合うことを決めた日の深夜。
安らかに眠っていた俺の頬に、バチンッ!と痛みが走った。
眠りについていた俺が目覚めるのに十分な痛み。
「っっで……!?」
意識が覚醒し始め、腰に感じる重みと、熱。
違和感がある。体温以上の熱が、俺の芯にまとわりつくような感覚。
ともあれ、こんなマネをしでかす奴は後何年いきてもコイツしかいないだろう……。
「てて……今度はなんのつもりだ……おまえ……っ」
ぼんやりと瞼を持ち上げながら……侵入者を確認するよう問いかける。
「う……うる、さい!……静かにしろ……っ!!」
寝込みを襲撃した挙句、頬打ちで起こしたあげく大した台詞だったが……、
視界に移った桐乃は、……耐え難い怒りを宿しているような、真っ赤に染まった顔にぼろぼろと涙を添えて、俺を睨みつけている。
だが、体に感じる違和感が俺を襲い…それに気づいた瞬間一瞬でその表情の事さえ忘れてしまい、俺は声をあげた。
「おま……っ!なんで、ハダカ……っつーか…っ!!」
ありえない事だった。
忌々しい妹の身体に……、俺のモノが、ずっぷりと咥えこまれていた。
接合部には桐乃の純潔の証であろう血が、電気の消えた部屋だってのにいやにはっきりと見えた。
「うるさいって言ってるでしょ……っ!!」
お前のほうが声でけーよ、と一瞬思うものの、桐乃がゆらりと腰を浮かす。
その僅かな粘膜の摩擦の生み出す快感に、意識が一瞬奪われる。
「っ、うお……」
人生で初めて味わう感覚に、思わず声が漏れてしまう。
桐乃はそれを聞いてか、にや、と口角を上げて……、ずちゅずちゅと叩きつけるように腰を振り出した。
「ぐっ……、あ、っくっ……うぅ……!」
恐らく桐乃は純潔の痛みを堪えながら無理矢理腰を振っているのだろう。
涙と、苦悶にまみれながら、俺を睨み行為の熱を上げていく。
「っく……なんだってんだ、っ、この……!」
俺は無理矢理桐乃の腰を掴み、激しさを増すその動きを止めようと力をこめた。
腕を伸ばした際に、上半身が持ち上がり、桐乃の中を突き上げる格好となって、桐乃が高い声を上げて動きを止める。
「う、ぁ……ぁっ!」
ごり、という感覚に妹の深い部分に俺のモノが入り込むのが強烈に意識させられた。
「どういうつもりだおまえ……、さすがにシャレになってないぞ……」
身体の芯を貫かれ、さすがの桐乃も力が入らなくなったのか、へたり込むように身体を傾けてくる。
「あ……あんたには、カンケーない……」

関係ないわけがない。
俺はこいつがいままでしでかした色んなことに対して、理不尽さや怒りを感じながらも付き合ってきてやったが……
それら全部をひっくるめて足した以上の怒りを、俺は妹に抱いていた。
俺はこいつの事が大嫌いだし、馬鹿な事やろうが構いはしない……
ただ俺はどうしようもないシスコンだから、その馬鹿な真似で困ってやがったら助けてやってもいい。そう思えるようになってたんだ。
けれど今回は、違う。
「俺は、黒猫と付き合う事にしたって今日、おまえに言ったな?」
桐乃は一瞬、聞きたくないというように表情を青ざめさせた後、顔を真っ赤にして怒りの視線を浴びせてきた。
本当にワガママな奴だ。これだけの事をしておきながら、兄の説教なんざ聞きたくはないのだろう。
「そ、それが、なに……」
コイツは多分……悔しかったんだろう。
黒猫に恋人ができて関係が進み、女として追い抜かれるのが。
今どきの中学生らしい、誰々ちゃんはもうヤったとかっていう、くだらない背伸び。
「こんなことしたって、何にもならねーよ……」
俺の怒りの元は、多分これだ。
必死こいて守ってきた妹が、くだらねー理由で処女を失う。
兄として許せるわけがないじゃねーか。
桐乃は俺以上に、ぐちゃぐちゃな感情が暴走するように高ぶっているのか、俺の胸をどんと叩き、叫んだ。
「そんなの……そんなの!……わかってる……っ!!こんなの、もう遅いって……っっ!!」
感情のぶつけ先がわからないのか、桐乃は再び腰を激しく動かしだした。
うっ、うっ、と……桐乃の泣き声と、二人の繋がった部分の水音が部屋にいやに大きく響く。
「でも……っ!しょうがないじゃん……!!……あたし、だって……」
「なん……っ」
何がしょうがないのかわからなかったが……
桐乃の激情にうろたえる俺を、感情と行為で荒い吐息を漏らしながら桐乃は身体を前に倒してきた。
まるで抱きつくような姿勢になって一言。
「お願い……だからぁ……っ、今だけ……」
嗚咽を交えながら漏らす桐乃の言葉は、途切れ途切れになりながらも耳に入ってきた。
人生相談が終わった後、こいつには何個も『お願い』をされてきたが……
でも、これまでのどんな『お願い』より、切なものなのだと……伝わってきた。

――――今だけでも……やさしく、してよ。


で――
体力を一気に使いすぎたのか、弱弱しくなった桐乃は俺と身体の位置を入れ替えた。
その間も、俺たちの身体は繋がったまま。
心はすれ違ったままだがな……なんて中二病っぽい言葉が頭に浮かんできたのは、恋人の影響だろうか。
黒猫には悪いが……こうなった以上、俺とこいつでこの秘密を抱えていくしかない。
「あんた……今、クソ猫のこと、考えてたでしょ」
桐乃の冷めた目が突き刺さる。てかなんでわかんの?エスパーなの?
弁明しても仕方がないので、ここは素直に謝るとする。
「……すまん」
「女の子と一緒にいる時、他の女の子の事考えたり話題にしちゃダメだっての……常識でしょ?」
「……くっ」
悔しいが言うとおりかもしれない。今後は気をつけよう。
「あーやだやだ。これだから童貞は……」
「おまえも処女だろーが!」
いや、実際お互いもう、そうではなくなってしまったのだが、思わず突っ込み返してしまった。
ぶつくさ言う桐乃を見て、なんとなくいつもの調子が戻ってきた気がして、俺は少し安堵した。
「いいからさ……その……、して欲しい……」
「あ、ああ……」
しおらしく、見上げてくる桐乃。
こいつがして欲しいことをして欲しいとはっきり言うのは相当珍しい気がする。
が……こいつの言うとおり、俺は童貞なのだ。どうしたらいいのか一瞬あせってしまう。
とはいえそれも一瞬の事だった。
俺と、桐乃の間には築き上げてきたものがある……そう、エロゲーだ。
俺はそれに倣って、できるだけ桐乃に優しく行為を進める事にした。
「桐乃……」
そっと低く、囁くように名前を呼ぶ。
そうしながらゆっくりと……キスをするよう身体を傾けていく。
「……」
身体を通して、びく、っと桐乃が身を固くするのが伝わった。
顔を近づけると、暗い部屋でも桐乃の体がはっきりと見えた。
改めて見るとこいつの身体は凄いもんである。
モデルやってるだけあって……各所のバランスの良さや、肌のキメがカリ●アンに出てた女優とは比べ物にならないのだ。
思わず触れたくなってしまい……中学生とは思えない美しい形の胸に手を重ねてしまう。
「んっ……」
身構えるような表情だった桐乃の身体から、ふっと力が抜ける。代わりに一瞬冷たい視線を感じたような気がした。
初めてじっくりと触れる胸の柔らかさは……妹のものとはいえ、感動を覚えるほどだった。
「おまえって……すげー綺麗だな……」
「っぅ……は……」
きゅん、と桐乃の中のモノが締め付けられる。胸が感じるのだろうか?
そのまま手で胸の形を歪めながら……俺は自然と腰を動かし始めていた。

「く……んぁ……は、ぁぁ……」
や、やべえ……
何がやばいって、膣の感覚ももちろんだが……あの桐乃が、俺の動きひとつひとつに敏感に声を漏らす事だ。
「す、すげえ……」
「う、ぁ…っ、あ、き、気持ち……いい……?」
「あ、ああ……」
思わず素直にうなずいてしまう。正直、余裕がなかった。
「あ、は……っ……あたし、たち……相性いいのかもね……あたしももうあんま、痛くなくて、さ……」
エロゲーヒロインも処女のとき痛がるが、現実の女性はそのは比ではないという話をネットで見たことがある。
だってのに桐乃は、それこそエロゲーみたいに甘い声を、俺が腰を動かすだけであげていた。
次第に俺たちの行為は熱を増し、複雑な感情と、桐乃の膣をぐちゃぐちゃにかき混ぜていった。
「っっ……はぁ、っっ……桐乃ぉ……っ!」
「ひ、ぃぁ……ちょ……奥、奥ばっかり……、あ、あぁぁっ!!」
こいつの性格みたいに強烈な締め付けが、何度も俺を襲う。
ひくひくと小刻みに痙攣を始め、イキそうになってるのだろう。
意識が半分飛んでいるのか、とろけた瞳でだらしなく口を開きっぱなしにして喘ぐの妹を見ていると、俺もぞわぞわとした快感がこみ上げてくる。
「んんんぅぅぅっ……あ、う、……」
そのとろけた瞳と、視線が交わる。どこか困ったような顔で、何か言い足そうにしている。
「……ま、前みたいに、京介って呼んでも、構わないぞ」
俺は照れくさくて、桐乃の意識を朧にしようと、奥の敏感な所をぐりぐり攻め立てながら言う。
「あ、あ、あ、っっ……きょ、京介……京介……っ!!」
途端、首に腕が回され、脚も腰の後ろで固く結ばれる。
敏感な所を刺激され続けてなお、欲求が高まったのか、桐乃はいやらしく腰を揺すり、動きを重ねてくる。
「や、やべえ……っ、桐乃、いきそうだ……」
訴えるものの、腰をがっちりと脚で押さえつけられ、引く事ができず……かといって快感に抗えず、腰を動かしながら叫ぶ。
「~~~っっ……あ、たしも……いっちゃう……京介……、おいでって言って……昔みたいにぃ……っ!」
昔みたいに、という言葉になぜか胸が締め付けられる。いつの事か、思い出す事はできないのに……。
「あ、ああ……桐乃……くうっ、おいで……!」
「京介ぇ……いっちゃう、いっちゃう……っ、あ、あ、ひぁぁぁぁ……っ!!」
囁いた途端、桐乃の全身がぎゅう、と強張り……締め付けがいっそう強まる。
「くっっ…、ぁ……」
どくん、と鼓動のような俺の痙攣が、桐乃の中で爆発する。
魂さえ吸い取られるような快感が、痙攣のたびに桐乃に注がれていく。
桐乃に腰を押さえられているのもあるが……あまりの快感に抜くという意思さえ奪われてしまっていた。
「あ、あ、あ……中……んっっ、ぁ……」
桐乃は注がれるたびにきゅんきゅんと締め付け、俺のものを全力で絞りだそうとしてくる。
出されるたび、はぁ……とため息を漏らしながら、呆然とそれを受け入れている。
全て注ぎ終えると……とんでもない脱力感が襲いかかってくる。
ぐったりと無様に桐乃に覆いかぶさると、そのまま一気に睡魔が襲ってくる。
「は……ん…………」
桐乃の声も抱擁も、穏やかなものに変わっていた。
包まれるような温かさに……俺はそのまま意識を埋没させた。
「……ありがとね、兄貴……」
やわらかいものが唇に触れた。ような気がした。

脳みそを蜂蜜に着けているような、甘ったるい倦怠感。
安らかに眠っていた俺の頬に、バチンッ!と痛みが走った。
「い、いい加減におきろっての!」
意識が急速に戻される。
「う、ぁ……なんだ……」
「ハァ?なんだじゃない。あんた何女の子放り出して朝まで寝こけてるわけ?ホントサイテー」
なんだ。なんで俺は朝から妹に罵倒されてるんだ?
そっと身を起こす。首に巻かれていた腕が解け、身を起こした拍子にぐちゅり、と不快な音が耳に触る。
「なん……だと……」
思い出した。
そしてえらい事になっていた。カーテン越しに空が白んで朝になっているのがわかる。
そして……
「妹に中出ししたあげく挿入したままで朝まで眠る最低鬼畜兄ね」
身体の下にいたままの桐乃がいつもの調子を取り戻したのかこっちを睨んで静かに言う。
てか何?お前俺が寝てる間ずっと下にいたの?重いんじゃないの?身体横にずらせばいいんじゃないの?
「チッ……ホント最悪……抜いたらこぼれてシーツえらい事になりそうだからじっとしてたのに……、バカがおきた拍子に抜けちゃうし」
妹様のおっしゃるとおり、とろぉ……、と、桐乃の膣から精液がたれ落ちていっている。俺のシーツが精液でヤバイ。
精液を零しながらひく、と震える桐乃の膣と、むずがゆそうな表情の桐乃のせいで、トランクスの前開きから顔を出したままのリヴァイアサンも目覚めそうだった。
「ほら、さっさとどいて。お父さんたちおきる前にシーツしまってシャワー浴びないと……」
「あ、ああ……確かにそりゃやべえな……」
汚れたシーツを見下ろす。親父に見つかったら俺は色んな意味で死ぬだろう事が想像にかたくない。
どうにかバレずにうまく洗っちまうか、こっそり隠して処分しないといけなさそうだ……言われるとおりベッドから立ち上がる。
「し、し、シーツは……血がついてて洗ってもすぐ落ちなさそうだし……チッ……滅茶苦茶嫌……嫌だけど……、あたしの部屋の隠しスペースに、し、しまっておくから、あんた先にシャワー浴びてきて」
「先に身体洗ったほうがいいの、オマエじゃねーの?俺は、汚れてる部分そんなにないし……」
しいて言えばトランクスの、桐乃と繋がっていた部分の根元が汚れているくらいだ。
「あたしはたまに朝シャワー浴びてるけど、あんたずぼらだからそんなことした事ないでしょ?……それに、あたしは色々準備があるし……」
桐乃の準備ってのはよくわからねーが、確かに親父達が起きる前に俺がシャワーを済ませたほうがよさそうだった。
というか、なんであんな事があったばっかりなのにこいつはこんなに冷静なの?シミュレートでもしてたのかって感じだ。
「まぁ……確かに言うとおりだな。じゃあ、悪いが先にいただくぜ」
「そ、そうだ……あんたのパンツにも、あたしの血ついてるかもしんないじゃん……?一緒にしまっておいたほうがいい、かも」
「何オマエ……っ、妹にパンツ隠してもらう為に、俺にここでパンツ脱いでシャワー浴びに行けって?」
「し、しかたないじゃん……あたしだってキモい兄貴のパンツ、部屋にしまうのなんて嫌だっての……」
ぐう……っ、しかし可能な限り痕跡は隠さなくちゃならん。洗濯をするであろううちの母親は変なところで目ざといのだ。
「ほ、ほら……。さっさといってきてよね。シャワー浴びるヒマなくて変態兄のせ、精液……中に入ったまま学校いくとかどんなエロゲって感じだし……」
ふいっと顔を背けて桐乃が言う。おかげで表情は読み取れないが、こっちをみていたら間違いなく例の侮蔑と嫌悪の混じったまなざしだろう。
俺はそれに背を向ける形で、親父達を起こさないようできるだけそっとシャワーを浴びる事にした。

その後、結局シーツの処理に手間取ったのか、桐乃はシャワーを浴びる事ができず学校へ行ったようだった。
きっとコレクションが汚れないようにシーツを隠すのが大変だったんだろうな。

これで俺と桐乃の関係が変わったかというと、多分そんなことはなかった。
黒猫との事で……なんやかんやと激動は続いたが、あんな事があったわりに桐乃はいつもどおりだった。
黒猫といい、桐乃といい、お前らなんでキスとかセックスとかして平気でいられるの?
俺はしばらくの間、桐乃との距離の測り方がわからずそわそわとした日々を送っていたが、それもいつしかなくなった。
俺が久しぶりに……妹の"コレクション"を見せられる機会が来るまでは。







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最終更新:2010年11月18日 12:54
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