12-82


ここ最近なんだが桐乃の様子がおかしい
ぼーっとしていると思ったらなにやら怒っていたり悲しそうな顔していたりと
なんともおかしな日が続いたある日のことだった。

 部屋で受験勉強に勤しんでいると突然、バン!!ドアが開かれた。
振り向くと顔を真っ赤に染め目を吊り上げた
桐乃が何も言わずズンズンと俺の方に歩いてくるではないか
俺の前まで来ると机の上にドン!! と何かの本を数冊置く。
「あ、あの桐乃さん? これなんですか?」
「3日以内に全部読んで感想聞かせて」

 は?ナニ言ってんの?俺受験生だよ?エロゲーやれって言っといてさらに本読んで
感想聞かせろだぁ? ふざけんな!
「あの、意味解んないんすけど・・・」
「はぁ?だからこのラノベ読んで感想をアタシに言えっつてんの
そんなことも理解できないの? バカなんじゃないの?」
「なんでんなことしなきゃなんねーんだ!! オメーの方がバカなんじゃないの!!」
 ・・・とは言えずとりあえず理由を聞いてみる。 言っとくけど怖かったからじゃないからね

「だから~このラノベ超流行ってんだよね。で読んでみたの。
そしたら超ハマったの。だからあいつらやアンタにも薦めようとしたワケ」
なるほどね自分が気に入った物をみんなにも見てもらいたいってか

「わかったよ。ちょうど勉強にも飽きて来たし息抜きに読んでみるよ
で、タイトルは・・・<俺の妹がこんなに愛しいわけがない>だぁ?ナニこのふざけたタイトル」
「アンタ、バカにしてるけどコレ神作品だから。アニメにもなったしゲームもこれから出るんだから
7巻出たときなんかスレ速すぎて凄かったんだから」



言ってる意味がよく分からないがとりあえず人気があるということか
表紙を見るとなにやら拗ねたような顔の女の子が腕を組んでその後ろから冴えない男が顔を出している
というなんとも嫌な構図だった。なんだかそれがこの2人の力関係を表していそうで・・・
とりあえずパラパラと捲ってさわりだけ読んでみると・・・
「おい、なんで俺の名前が出てんだ?」
「はあ?ナニ言ってんの?アンタみたいな平凡な名前たまたま出てきてもおかしくないでしょ?」
「じゃあなんでお前の名前出てんの?」
「そりゃあヒロインにふさわしい美しい響きの名前だからでしょ?」
「あんた読む前から文句ばっかり言ってないでとりあえず読んでみようって気にならないの?」
「へーへーわかりました。とりあえず読んでみます」
とまあ、あまり気は進まなかったが正直勉強の息抜きでもしようと思っていたのは
事実なので一冊読んでみっかな。

「で?読んだ?」
その日の夜食事が終わり部屋にいるとさっそく進行状況を確認してきた
「とりあえず一巻だけ」
「ど、どうだった?」
エロゲーの感想を求める時よりそわそわしている。なにを期待してんだこいつ
「兄貴が理不尽な扱いを受けている。それと妹が酷すぎる」
と素直に感じた感想を言ってみると
「バカ!!そういう表面的なとこじゃなくもっと文章に隠された
真実を読み取れって!そのまま読んでもしょうがないでしょ!」
「だってこの妹なにかあれば「ウザッ」とか「キモッ」しか言わないし」
「あんた解ってない。いい?この妹はツンデレなの。それもツン9デレ1という
素晴らしい黄金比なの。そのまま捉えんな裏を読めって言ったでしょ」
「たとえばここのキモッていうのはありがとうって意味だから」
「どーーやったらそれがそんな解釈になるの?ぜんぜん解んないから!」
「はぁ~しょうがない。じゃ今から勉強。いい?2chの<俺妹>スレで
過去ログから全部見ること。それ見たら3回読み直し。そうすれば真実が見えるから。解った?」
「うえ~マジかよ俺勉強あんだよ?落ちたらどうすんの?」
「落ちたらいいじゃん・・・3回くらい」
なんてヒドイこと言うんだコイツ。そんなに落ちたら家追い出されるわ!
あ~でも読まないとコイツうるさそうだし。めんどくせーな。
「解ったよ。とりあえず1週間くれ。それで何とかすっから」

それから一週間スレ見ながら小説読むという状態が続いた・・・


「ただいま~」とアタシは誰にでもなく言ってみる
まあアイツが居るのは解っているんだけどね。 
「桐乃ーーーーー!!!!」
「ひっ!!」
リビングの扉を猛烈な勢いで開けアタシの肩をつかみ
兄貴が真剣な顔で・・・え?つ、ついに気が付いてくれた?
「は、8巻。8巻貸してくれ・・・じゃなと俺。死ぬかもしれない」
ばちーん!!!!!
思いっきり叩いてやった。その名台詞こんなとこで使うな!
床に転がり呻いているバカを一瞥しソファーにドカッと座る。
「アンタに貸した7冊で今のところ全部なの。次は多分3~5ヶ月後くらいじゃない?
それまで気になるでしょうけど我慢するしかないから」
な、なんかこの世の終わりみたいな顔してんだけど・・・ハマリ過ぎ?
「そ、そんな・・・こんな気持ちのままいつ出るかも知れない小説を待てと・・・
うわーーん!!やだやだ今すぐ読みたい!!胃がキリリンするぅ~!!」

フンッ!!
うるさいバカの腹に一発入れおとなしくさせた。
なんか「おおおおおぅ」とか呻きながら顔真っ青にさせてるけど気にしない
「で?その様子じゃかなり気に入ったようだけど・・・感想聞かせてくんない?」
「語ると長くなるが・・・そう、ただ一言で表せば・・・俺はキリノを愛している」
え?・・・あ、兄貴が・・・アタシを愛して・・・?
あまりのことに一瞬呆けてしまい、ハッとして顔を上げると
 ・・・あさっての方を向いてなにやら独り言を言っている?
「ちょ、ちょっとアンタどっち向いて言ってんの!普通告白って相手の目を見て言うモンでしょ!」
「え?いやお前じゃなくヒロインのキリノな。いや~ゴニョリンガル手に入れてからと言うもの
余りの可愛さに悶え死にそうになったよ。」


ドカッ!!バシッ!!
あまりにムカついたので踵落とし&延髄切りをしてしまった。
なんかピクピクしてるけど生きてるからいいよね
「お前あんまりやりすぎると俺も復活できないよ?・・・でもよ~あの引きって無いよな
もう気になって気になって」
「じゃあその間スレのSSでも読んでたら?」
「・・・スレではない。あの場所は神々の集まりし楽園だ」

は?はああ?なに言ってんの?もしかしてやりすぎた?
「あの神々の御言葉は素晴らしい・・・あんな世界が有ったなんて・・・
それからSSなどと言うなあれは神々の神託だ。
天の御使いが描きし神を模した聖像・・・もはや直視することも憚れる」
な、なにコイツ陶然としてんの・・・洗脳?洗脳されたの?目が逝っちゃってる
「だ、だがなぜだ!!!・・・なぜ創造神(原作者)は我々をお見捨てになるのだ!!!
このような苦行に耐えねば神の御心を真に理解することは出来ないというのか!!!」

ぐちゃ!!!
す、すごく嫌だけどバカを正気に戻すため股間蹴りしちゃった・・・あ、足洗わなきゃ
股間を押さえ脂汗を流しながら泡吹いてるバカにさらにケリ入れてどうしたものかと考える
 ・・・そうだ・・いい事思いついた。
「じゃあアンタが崇拝するSSをここでさ。再現するってのは・・・どう?」
その言葉を聞きアイツは驚愕の表情を浮かべ、そしてニヤリと笑い
「素晴らしい考えだ」

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最終更新:2010年12月27日 00:43
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