ちょっと違った未来2

「ちょっと違った未来2」 原作IF 京介×桐乃 

 

 

「あ~、またそんなものばっかり食べて!」 わが棲家に到着するなり妹様はかんかんである。

「そんなこというならおまえが作ってくれよ。たまには桐乃の手料理が食べたいな。」  「うっ。」

相変わらず上達しない妹を見つつ 「飯食ってきた?」 「ううん、あんたんとこで食べようと思って。」 

それなら。 「なんか作ってやるよ。なにがいい?」 「ご飯に合うならなんでも。あ、カロリー調整はしてよね。」 よしきた。俄然やる気が出てきた。

俺が料理を作っている間、桐乃はなにか本を眺めている。

「ねえ京介~?」 「う~ん?」 野菜を切りながら答える。 

「警察官の試験ってもうないの~?」 「うん?もうないよ?」 「じゃあ卒業までフリーなんだ?」

「基本そうだけど、仕事になってあたふたしないように色々勉強したいんだ。だから完全フリーじゃないぞ。」 「ちぇ、わかってるってそんなの。」 足をぱたぱたしながら桐乃。

 

 

そう、俺は警察官の試験に合格していた。千葉県警で親父と同じ警察だ。大学の教官には同じ公務員ならもっと危険度の低い、事務系の仕事がどうだ?と薦められたが、親父と同じ仕事に就きたいんです、と答えるとそのようにしてくれた。

親父は思いのほか喜び、お袋は「刑事なんてなっちゃだめよ。あんた弱いんだから。」といつもの調子だ。ちくしょう、大学で柔道始めたんだぞ、俺。まだまだ弱いのは否定できないがな!

 

 

「じゃあさ~。」 トントントン。包丁を動かす。 「一度行って見たいところあるんだケド。」 すこし桐乃の声音が変わった。空気が張る。

どこだよ?」 「先に料理作っちゃってよ。おなかすいた。」 サラダを盛り付けて、テーブルに運ぶ。

「ん~、おいしいあんた無駄に料理上手いよね~」 「おかわり欲しいなら言えよ。」 「こんだけでいい。」 体重管理があるもんな。

「でさ。」 「ん~?」 「どこに行きたいって?」 交差する視線。 「あんたの両親のお墓。」

。」 外の音が騒がしい。朝の日差しが俺たちを照らす。だが俺の心は

(ついにきたか。)

墓の場所は親父に聞いていた。本当の父親と母親がそこで眠っているらしい。知ってはいたが

「もうそろそろかなって思ってさ。」 桐乃が続ける。 「あんたあと卒業だけじゃん。今までは負担になりそうで話にもしづらかったケド。」 

「もういいんじゃない?ね、一緒に行こうよ?」 「そうだな。」 何事も踏ん切りだ。

 

 

その週の日曜、墓参りに行った。墓は遠方にあった。真宗の寺にあって整備が行き届いているのか年月を思わせない綺麗な墓だった。桐乃は水を汲みにいった。気を利かせてくれたのだろう。

。」 本当に血の分けた両親が眠るであろうその墓を前にしてなんと言葉を紡げばいいのか。

桐乃が持ってきてくれた水をすくい、墓石を綺麗にする。そして手を合わせる。

。」「。」 二人して終始無言だった。なにもなく、そのまま寺を出た。

 

 

「なあ?」 「なに?」 帰りの車で桐乃に声をかける。 「案外、あっけなかったな。」 「そ。」

「俺さ、自分の本当の両親っていうから行って見ればなにか衝撃があるのかなって思ってた。」 「でも全然そんなのなくってさ。」 「やっぱ現実じゃこんなもんなのかな。」「なに?本当の記憶が~とか期待しちゃった?」 「黒猫が喜びそうなこというんじゃねーよ。」

直線距離にアクセルをかける。「おまえなんか丁寧に手を合わせてたけど、なに話してた?」 「あんたとのこと。」 窓の外を見ながらつぶやく。

「俺とのこと?」 「だから、あんたにはあたしらがついてるから心配しないで下さいって言った。それから。」 

「それから、あんたのお嫁さんはあたしだって。だから心配しないでって。」 照れてるのか視線を窓から離さない。くすぐったいな。

 

 

 

部屋にもどると桐乃が後ろからしなだれかかる。合図。

俺は桐乃の唇を奪いつつ、胸をまさぐる。

「ふぁっ。」 吐息が漏れる。「立って・・・られないよぉ…。」 ぞくっとした。

そのままお互いの服を脱がせながらベッドで移動した。

「明かりつけないで。」 俺はその言葉を無視した。だって桐乃の綺麗な肌を見たいから。

「ん電気・・・消してよぉ。」 首筋を舐め上げながら俺は問いかける。「どうして?」

「んぁっもう・・・ばか。」 「桐乃の顔が見たい。」 「ぁん?」 「桐乃の、Hな顔が見たい。」 「もう、ばかっ。」

俺に抱きしめられながら、弱々しく抵抗する桐乃。これがふりだってわかってる。本当に可愛い奴だ。嗜虐心に火がともる。

もうたまらない。今日はどういう風に愛し合おうか…。期待に満ちた桐乃の顔を見つめながらそのままのしかかった…。

「ふぁ…。」 桐乃の唇を貪りながら秘部を丹念にやわらげる。・・・最近とみに思う。俺は桐乃なしでは生きていけないんじゃないか、と。

この味を知ってしまっては他の女では満足できない・・・。確信があった。実際一日その体に触れないだけで、その声を聞けないだけでも想いは募る。桐乃狂いになる。いや、もうなっている。そんなことを思い、桐乃の切ない吐息を聞きながら夜が更けていった・・・。

 

 

いつものように暖かい日差しが俺を射す。朝になった。桐乃は俺の隣ですやすやと静かな寝息をたてている。

「起きるか。」 もうすこし桐乃の顔を眺めていたいと思いながらも、起きたときのことを考えて食事の用意をすることにした。今日も桐乃の大好きな和食にしよう。

「ん…んん…。」 朝食の匂いにつられたのか目を覚ましたみたいだ。「おはよう、桐乃。」 「ん、おはよう兄貴…。」 昨日さんざん責め立てたからな。疲れが残ってるのだろう。 

「朝食、もうすぐできっぞ。」 「ん…ふぁ…。」眠気まなこをこすりながら答える。ここ何年でよくも無防備になったもんだと思う。冷戦が溶けた時を考えたら信じがたいな。

「顔洗うから。」 そういって洗面台にふらふらと移動した。さて、今日はどうするかな。

 

 

「いただきます。」 食事をしながら桐乃が聞いてくる。「兄貴ぃ、今日はどうすんの?」 「図書館でも行こうかなって思ってる。おまえは?」 「一旦家に帰る。お父さん達に顔見せておかないと。」 そうだった。あの頑固で規則に厳しい親父は娘を手元に置きたがる子煩悩でもあるのだ。一日離れただけで20歳は老け込むらしい。(お袋談)

「んじゃ途中まで送るわ。」 「ん、ありがと。」 こうして今日もつつましく俺たちの朝を終えた。

 

 

「車で送ろうか?」 「今日は電車で帰るから。」 「じゃ、駅まで送るわ。」 とても気持ちのいい朝だった。外にでると日差しのやわらかさがよくわかる。

でも、そのとき気づかなかったんだ。俺たちに迫り来るその影に…。

 

 

俺が猛スピードで迫り来る車に気づいたのは本当に刹那だった。桐乃は俺との話に夢中で笑顔を綻ばせている。―――間に合わない!

俺は桐乃を道の向こう側へ押し出した。

 

ゴッ  ―――俺の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

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最終更新:2012年05月12日 21:00
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