ふたば系ゆっくりいじめ 501 ゆっくりしたモノの義務

ゆっくりしたモノの義務 32KB


虐待 自業自得 差別・格差 家族崩壊 飼いゆ 野良ゆ ゲス 現代 愛護人間 汚い描写があるかも


*四作目
*スマナイ、またシングルマザー虐めなんだ
*でいぶ虐めのれいむ優遇
*心を圧し折ることに挑戦した結果です
*今更ですが、「飼い」と「野良」の間に露骨すぎる差別描写がありますよ
*肉まんシリーズのキャラがしゃしゃり出てきますが、大筋には無関係です。「ぱしたさん」にかける刻みパセリのようなもんだと思ってくださいな

*最後に一つ。「ポールあき(仮)」ってどういうごどなのーーーー!!!?


「こんなまじゅいごはんしゃんにゃんて、たべられにゃいよ!!!」
「おかあしゃんは、ぐじゅぐじゅしにゃいで、きゃわいいれいみゅにおいしいあまあましゃんをもってきちぇね!!!」

ケヤキが整然と配置された美しい公園内の小奇麗なトイレの裏。
そこに転がっている小汚いダンボールのお家の中で、薄汚いお饅頭のおちびちゃんがお母さんを困らせていました。
お母さんでいぶにお姉ちゃんでいぶ、妹でいぶがそれぞれ一匹ずつの昔ながらのでいぶ一家です。

このお母さんでいぶには、とても悲しい過去――少なくとも彼女はそう信じているモノがありました。
あるとき、森で暮らしていたでいぶさんは、もっとゆっくりとした生活に憧れて街へと降りていきました。
まるで、誘蛾灯に集まる哀れな蛾のような生き物ですね。
慣れない街にもかかわらず、早々に立派な宮殿を見つけることができたでいぶさんは、そこを自分のお家にしました。
優しいでいぶさんは、そこに後からやって来たゆっくりしてない人間にも、この世で最も崇高で美しく、ゆっくりとした自分をゆっくりさせるという栄誉を与えてやりました。
それなのに人間は何を勘違いしたのか、でいぶさんに暴行を働いた上、立派な宮殿から追い出してしまったのです。
こうして「野良」という死亡フラグ80%超という身分に落ちてしまったでいぶさんでしたが、賢く優秀な彼女は、お風呂場のしつこいカビのようにしぶとく生き残りました。
しかし、悲劇のヒロインに襲い掛かる厄災というのは、止まることをしりません。
折角、つがいになってやったまりさは、すっきりするだけすっきりした後、にんっしんしたでいぶさんを残してどこぞに旅立ってしまったのです。
「ZA☆MA☆A!!! まりさよくやったよ!!! でも、苦しん苦しんで苦しみ抜いた後に死んでね!!!」と言わざるをえません。

怒り心頭のでいぶさんでしたが、お腹の子供に罪はないことに気がつきました。
それに自分の優秀な遺伝子を受け継いだ可愛い子供がいれば、きっと不幸な自分もゆっくりできるはずです。
そう考えたでいぶさんは、お母さんでいぶになることを決意したのです。
というか、そう考えた方が、よりいっそう悲劇のヒロインっぽい感じがすると思ったので、そう考えることにしました。
ところで、頭しかないのに怒り心頭ってどういうことでしょうね?
キレやすいってことなのかな?
ゆっくりしてないね~!!

さて、可愛いおちびちゃんを育てることにしたお母さんでいぶでしたが、シングルマザーの子育ては、とっても大変です。
おちびちゃんは、腕白で我侭言い放題、周りに暮らすゆっくりはゲスばかりです。
誰も彼もがシングルマザーのお母さんでいぶを、ちっともゆっくりさせてくれません。
それでも、お母さんでいぶは頑張りました。
可愛いおちびちゃんのために、自分たちをゆっくりさせてくれないゲス共を制裁して、そいつらが独り占めにしていたお家や御飯さんを取り戻すことで今まで生きてきたのです。

しかし、それもついに限界の時が訪れてしまいました。
お母さんでいぶのグルメな舌を受け継いでしまった子でいぶちゃんたちは、今まで我慢して食べてきた割とおいしいゴミや比較的柔らかい雑草では我慢できなくなってしまったのです。
単に舌が肥えただけとも言います。
野生生物のくせに何様のつもりなのでしょうね?

これには、お母さんでいぶも、ほとほと困り果ててしまいました。
上質なあまあまは、ゆっくりしていない人間が独り占めにしているので簡単には手に入らないのです。
うんうんと頭を悩ませるお母さんでいぶでしたが、目の前にいる子でいぶちゃんたちを見て会心の策を思いつきました。

「そうだよ!! かわいいおちびちゃんたちをみせてやれば、かいしんしたにんげんがあまあまをくれるはずだよ!!」

流石、稀代の策士、お母さんでいぶ!
紫陽花に集るナメクジのような生き物を見て、こんな発想が自然と出てくるなんて、人間ではまずありえません。

「ゆゆ! それはいいかんがえだにぇ!!」
「しゃしゅがおきゃあしゃんだよ!! きゃわいいれいみゅたちには、きゃんぎゃえつかないことをへいぜんとおもいつく!! そきょにしびれりゅ、あきょがれりゅぅ!!」

子でいぶちゃんたちも、穴だらけで、どこから突っ込んだらいいのか分からない完璧な計画に大賛成のようです。
うんうんのこびりついた尻をぶりん、ぶりんと振るって賛成の意を示しました。

「そうときまれば、さっそくにんげんがいるこうえんにいくよ!! おちびちゃんたち、ゆっくりしないで、ゆっくりついてきてね!!!」

何気に難しい注文を出しつつ、一家は公園に出発しました。
まあ、もとから公園の敷地内にいるんですけどね。

ぽいん、ぽいんと聞いてるだけで人を不快にさせる音を発てて跳ねること30分。
お家から500mも離れた広場に辿り着きました。
でいぶ一家が、ナスのような体を気持ち悪く伸ばして辺りを伺っていると、向こうから歩いてくる影が一つ。
早速、第一町人発見です。

それは、一匹の「ちぇん」ちゃんを連れた厳つい人間でした。
七つの傷が付いた胸を大胆にも露出したセクシーな革ジャンに鉄仮面、肩には痛そうなトゲトゲのついた肩当てをつけた、見るからにゆっくりしていない人間です。
その人間は、広場の真中に着くと連れてきたちぇんちゃんを地面に下ろして、なんと彼女と喧嘩を始めたのです。
衝撃で芝生が捲れ上がり、大地が割れ、自然石が砕け散り、至る所で火の柱が立ち上ります。

これには、お母さんでいぶも吃驚仰天、てんてこ舞いのぴーひゃらら、すってけてんのぽんぽこりんです。
糞の詰まった餡子脳な空気読めないでいぶちゃんたちですが、あの中に入っていったら、間違いなく死んでしまうということだけは、分かりました。

町人探しを再開します。
おっと、今度はベンチに座っている人間を発見しました。
20代前半といったところでしょうか。
ニコニコとした太陽の様な笑顔の絶えない、人間にしてはゆっくりとした雰囲気の青年です。
しかも、彼は、ベンチの脇に置いた袋から見たこともないあまあまさんを取り出して、美味しそうに食べているではありませんか。
なんという幸運なのでしょうか。
これは、あまあまを貰えと神が言っているに違いありません。
むしろ、でいぶこそ神だ。
でいぶちゃんたちは、そう確信しました。

しかし、油断は禁物です。
人間は、馬鹿で下等なゆっくりしていない野蛮な生き物ですが、力だけは強いのです。
宮殿から追い出された時も、お母さんでいぶの正論を無視して暴力を振るいました。
挙句の果てに、美しいお母さんでいぶを「ぺにぺにの皮以下のドサンピンが!!」と罵ったのです。
ドサンピンの意味は今も分かりませんが、お母さんでいぶは、あの日の屈辱を一生忘れるものかと固く心に誓ったものです。

そんな過去があるので、お母さんでいぶは慎重かつ大胆に完璧な計画を進めることにしました。

「ゆ!! そこのにんげん!! れいむたちは、おなかがすいてるんだよ!! しんぐるまざーでかわいそうなんだよ!!! かわいいれいむのおちびちゃんをみせてあげるから、あまあまをよこしてね!!!!」
「ゆっきゅりしにゃいでね!! ぐずはきりゃいだよ!!!!」
「おれいに、きゃわいいれいみゅのうんうんたべちぇもいいきゃら、はやくしちぇにぇ!!!!」

完璧です。
最初に上から目線で話しかけることで、精神的に優位に立ち、自分たちが如何に気高(ry な存在であるかを相手に知らしめることができました。
しかも、高(ry なでいぶちゃんたちのうんうんを食べることを許すという寛大さまで示せています。
こんな素晴らしいでいぶちゃんたちに対するお兄さんの反応は、もちろん決まっています。

「ああ! もちろんだ!」

大成功!
でいぶちゃんたちは、ぬめぬめとした得体の知れない液体を体中から噴出し、白痴のような顔で「んほぉぉぉぉ!!」と歓喜の雄叫びを上げました。
次に続く一言で一気に興奮冷めやるとも知らないで。

「ゆっくりしてないモノをゆっくりさせてやることこそが、世界で一番ゆっくりしているこの俺の義務だからな!!!!」
「「「ゆ?」」」

でいぶちゃんたちは、お兄さんの言っていることが理解できませんでした。
こいつは、いったいなにをいってるの?
れいむたちがゆっくりしてないっていったの?
ゆっくりしてないにんげんふぜいが。

「どうした? 遠慮することないぞ!! 何故なら俺は、この世で最も賢く、気高く、強く、そして何よりもゆっくりした者!!!! お前たちのようなゆっくりしてない野良にも平等にあまあまをやるから、安心して食べるといい!!!!」

お兄さんの気持ちのいい笑顔には、一点の曇りもありません。
本気と書いてホンキと読むくらいマジなようです。

「なにいっでるぐぞじじぃぃぃぃぃ!!! ゆっぐりじでないのはくそにんげんだろぉぉぉぉぉぉ!!!」
「しょうだよ!!! ふじゃけりゅにゃ!!!」
「れいみゅは、ちゅよんいだよ!! なめたこちょいってりゅと、ゆっきゅりできなくさしぇりゅよ!!!!」

ゆっくりにとって、ゆっくりしていないと言われることは、最も不名誉なこと。
しかも、それをゆっくりしていない人間から言われたのですから、でいぶちゃんたちの怒りも一入です。
偏食により歯並びが悪くなった黄ばんだ歯をギリギリと軋ませて、猛抗議しました。

「ははは!! 急に大きな声をだすなんて、やっぱり野良はゆっくりしていないな~!! もっと、この俺を見習ってゆっくりしてね!!!」

そんな怒りを露にするでいぶちゃんたちに対して、お兄さんはやはり清々しい笑顔で話しかけました。
しかも何気にまたゆっくりしてないと言い、さらには自分を見習えとまで言っています。
このお兄さんを再び怒鳴りつけたい衝動に駆られるお母さんでいぶでしたが、ここはグッと堪えました。
ここで、怒鳴ってしまえば相手の思う壷。
また、ゆっくりしていないと馬鹿にされてしまいます。

「ゆ、ぐ……! じ、じじいがゆっくりしたれいむたちより、ゆっくりできるわけないでしょ!? ばかなの!? しぬの!!?」

溢れる怒りを抑え込んで、何とか一矢報いることが出来ました。
この完璧な理論の前では、お兄さんは手も足も出ないはずです。

「ん? おまえこそ何言ってるんだ? ああ、そうか!!! ゆっくりしてない上に馬鹿なのかー!!! はっはーん、だから俺のゆっくりさが分からないのだなー!!!」

やっぱり駄目でした。
また、ゆっくりしてないと言われた上に、しかも今度は馬鹿という暴言も加わりました。
これには、堪忍袋の緒が切れたでいぶちゃんたちですが、お兄さんは先程よりもテンション上がっているようで、彼女たちに反論の暇すら与えてくれません。

「だが安心するといい!! 馬鹿でゆっくりしてないお前たちのために、この世で最も賢く、気高く、強く、そして何よりもゆっくりした俺が、いかに俺がゆっくりしているかを馬鹿でゆっくりしてないお前たちにも分かるように懇切丁寧に説明してやろう!!! なに、お礼なんて不要だ!! 何故な(ry」

ゆっくりした偉大なでいぶちゃんたちに対して、あまりにも無礼で身の程知らずなお兄さんの発言が降り注ぎます。
でいぶちゃんたちは、でっぷりとした体をびったん、びったんと地面に打ち付けて悔しがりますが、そんなことは一切合財無視して、お兄さんは一気にまくし立てます。
「馬鹿でゆっくりしてない」という冠詞が固定されてしまったようですが、どうでもいいことですね。

「よし!! そこの小っこいでいぶ!! 馬鹿なお前でもわかるように質問するから、ちゃんと答えるんだぞ!!? 馬鹿だから、わっかりませーんとかなしだぞー!! さー、聴くぞー!! 聴くぞー!! 『あまあまを食べたらゆっくりできるか!!?』 はい答える!!」
「ゆぅぅぅ!!? しょんにゃのあちゃりみゃえだよ!!! あと、れいみゅはれいみゅだよ!!! まちがえにゃいでね!!!」

答えを聞いたお兄さんは、「おお!! 馬鹿なでいぶでも、これくらいの受け応えはできるのか!」と感動の涙を本当に流しつつ、先程の袋からめっさ美味しそうなあまあまを取り出して、むーしゃ、むーしゃと食べ始めました。
何気に「でいぶ」を直す気は、ないようです。

「あむ、うっめ!! こんな風に、はむっ、俺は毎日、おいしいあまあまを腹いっぱい食べている!! はむっ、はむっ、これめっちゃうっめ!! だから、俺は毎日とてもゆっくりしているのだ!!!」

でいぶちゃんたちは、言葉に出来ない衝撃を受けました。
何となくお兄さんが無茶苦茶なことを言っているのは、でいぶちゃんたちにも分かります。
それでも、頬っぺたをパンパンにして、子供のようにあまあまを頬張るお兄さんを見ていると、どうしても彼がゆっくりしているように感じてしまうのです。
万事休すです。
このままでは、いつもゆっくりしていないと馬鹿にしていた人間を、ゆっくりしていると認めざるをえなくなってしまいます。
しかし、そこは優秀なお母さんでいぶ。
屁理屈に対して、即座に屁理屈をコネコネして対抗します。

「……!! ゆゆ!! にんげんがあまあまをいっぱいたべれるのは、ばかでおろかなにんげんが、かわいいれいむたちのあまあまをふとうにしょじして、ひとりじめにしてるからでしょ!!! それがわかったら、あまあまちょうだいね!!!」

ゆっふん!! とお母さんでいぶは、誇らしげなババア顔をしながら言い放ちました。
今度こそ手も足もでない完璧な論理展開です。
子でいぶちゃんたちもくっさいお口を痴呆のように開け放って、お母さんにドロドロとした羨望の眼差しを向けています。
でも残念ながら、手も足もないゆっくりと違って、お兄さんはれっきとした人間です。
しっかりと手も足も出ます。
というか、このお兄さんの場合は、意図せず勝手に出てしまいます。

「なにぃぃぃぃ!!? あまあまを独り占めにするなんて……。そいつは何て悪い人間なんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! だが、安心するといい!!! 何故な(ry お前たちのような馬鹿でゆっく(ry」

どうやら、振り出しに戻ってしまったようです。
おまけに馬鹿という修飾表現も、しっかり追加されてしまいました。

「ゆぎぎぎぎ……。わかったよ……。いちおくまんぽゆずって、じじいはゆっくりしてることにしてあげるよ!!! でも、れいむたちがゆっくりしてないっていうのは、ていせいしてね!!!」
「しょうだよ!! ていしぇいしちぇね!! 」
「きゃわいいれいみゅたちは、とっちぇもゆっきゅりしてりゅよ!!」

このままでは、埒が明かないと判断したでいぶちゃんたちは、眉間に物凄い皺を寄せて悔しがりつつ、一先ずお兄さんの意見を尊重してあげることにしました。
とは言っても、でいぶちゃんたちのようなゲスな餡子脳では、相手に譲るという高尚な考えを許容できる訳がありません。
つまり、事実上の敗北宣言です。
それでも、彼女たちには、譲れないモノがあります。
お兄さんの「ゆっくりしてないモノ」発言だけは、何としても撤回させなくては、ゆっくりの沽券に関わるのです。

「わはーはっはっはっはっは!!! ないない!! それはない!!!」

返ってきたのは、お兄さんの大爆笑でした。
どうやら、心の奥底からガチで笑っているようで、またしてもでいぶちゃんたちの喧しくがなりたてるだけの意見とも言えない意見を聞いてくれません。
そうして、ひとしきり笑い転げた後で、またまた一方的に意見を述べ始めました。

「だってそうだろ? お前たちがゆっくりした可愛いゆっくりなら、誰かの飼いゆっくりになってゆっくりしているはずだ!! 野良をやっているということは、不細工でゆっくりしてない証拠!! 現に俺は、お前たちを絶対に飼いたくないからな!!!」

そう、ゆっくりした可愛いいゆっくりは、引く手数多です。
特に、この町には、可愛いモノや美しいモノに目がない住人がいることもあって、可愛い野良ゆっくりというのは、それこそ数えるほどしかいないのです。
そういったことを噛み砕いて、餡子脳でも分かるようにお兄さんは説明してやりました。
それに対して、でいぶちゃんたちが向けるのは嘲りの笑い。
「おお、浅はか、浅はか!!」とでも言いたげな、ふてぶてしい不細工な馬鹿面です。

「だが、安心するといい!!! 何故ry」
「うるさいよ!! それはもういいからやめてね!!! それから、れいむさまのありがたいおはなしをゆっくりしないできいてね!!!」

お兄さんは、またゆっくりしてない長い口上を言おうとしていました。
しかも今度は、「不細工な」を追加して。
でもそれは、お母さんでいぶが咄嗟の判断で割り込んだことでキャンセルできました。

「ゆっふっふ、かたるにおちたとは、このことだね!!! かいゆっくりなんて、ゆっくりのはじさらしだよ!!! かとうな、くそにんげんのどれいになってゆっくりできるわけないでしょ!!? あと、れいむたちは、かわいいにきまってるよ!! じじいにみるめがないだけだよ!!!」
「しょうだよ!!! きゃいゆっきゅりにゃんて、ゆっきゅりできにゃいよ!!! きゃわいいれいみゅをにんげんごときがどれいにちようにゃんて、いっちょうこうねんはやいよ!!!」
「ぷんぷん、あんにゃゆっきゅりしてないゆっきゅりになるにゃんて、こっちからねがいしゃげだよ!!!」

今度こそ勝った。
でいぶちゃんたちは、思いました。
この世で最も優れた生き物としてのプライドを蹴って、人間の奴隷に甘んじているような奴らがゆっくりしている訳がないのです。
ただ、よく出てくるネタですが、光年は時間ではなくて距離です。
テンプレなネタを使ってぎょめんにぇ!!

「ん? じゃあ、お前たちは、飼いゆっくりをじっくりねっとり観察したことがあるのか!? いいな、いいな、俺も一日中飼いゆっくりを眺めて過ごしたいな!!」
「ゆっふん!! そんなのわざわざ、みるかちもないよ!!!」

明らかに、悪あがきなお兄さんの質問にお母さんでいぶは、自信満々に答えてあげました。
それを聞いて、お兄さんは「ははーはははー! なーんだ知ったかだったのかー!」と高笑いしました。
気持ちよくないのは、でいぶちゃんたちです。
さっきから、さんざん煮え湯を飲まされてきた相手です。
碌でもないことを言ってくるに違いありません。
そんな、でいぶちゃんたちの予想は、半分当りで、半分はずれでした。
お兄さんは、でいぶちゃんたちの後ろを指差して一言だけ述べました。

「なら、この機会にじっくり見たらどうだ?」

でいぶちゃんたちは、その言葉に反応して一斉に指の先を見ました。
そこにいたのは、紛うことなき飼いゆっくり。
にっこに笑顔に、お羽がパタパタ。
肉まんシリーズ最後の良心「れみりゃ」ちゃんです。

「「「ゆ、ゆわぁぁぁぁぁ!!!! れみ……りゃ?」」」

捕食種に対する恐怖で思わず叫び声を上げて、しーしーを漏らしそうになったでいぶ一家でしたが、その叫びを思わず飲み込んでしまいました。

サラサラふんわりな水色ショートヘアーに、もっちりすべすべなお肌。
汚れひとつないお帽子やお洋服は、ふっかふかのピッカピカ。
口元から覗くちっちゃな牙は、真珠のように真白で、細めた目元から垣間見える真紅のお目々は、キラキラと艶やかな輝きを放つサードオニキスのようです。

相手が捕食種であることを忘れて見入ってしまうほどの美ゆっくりでした。
そのれみりゃちゃんは、やたらめったら偉そうな飼い主さんのお膝の上にチョコンと愛らしく座って、飼い主さんと一緒に鯛焼きさんを食べています。
時折、飼い主さんがれみりゃちゃんの頬っぺたに付いた餡子をとってあげたり、逆に飼い主さんの頬っぺたに付いた餡子をれみりゃちゃんがペロッと舐めたりと、一人と一匹はとっても仲良しでゆっくりしています。
最後に一個だけ残った鯛焼きさんも、喧嘩なんてせずに仲良くはんぶんこです。

「どうだ!? 飼いゆっくりが、とっても可愛くてゆっくりしていることがわかっただろ!?」

笑顔で問いかけるお兄さんに答えることは、出来ませんでした。
でいぶちゃんたちは、悔しいけれども認めてしまったのです。
確かに、飼いゆっくりは、ゆっくりしていると。
基本的に自分に正直に生きる餡子脳たちは、嘘をつくことが苦手です。
ですので、困ったことがあると、口をつぐむか叫んで暴れることしか出来ないのです。
どうやら今回はだんまりを決め込んでしまったようです。

「よし!! じゃあ、今度は、自分の家族の姿を観察してみるといい!!」

意地でも飼いゆっくりを褒めてなるものかと口を引き結んだでいぶちゃんたちですが、お兄さんの言葉についつい反応して、お母さんや姉妹の姿をまじまじと観察してしまいました。
普段は、そんなに事細かに観察する機会がないからか、改めて見るといろんなことがわかります。

ギトギトべっちゃりなベリーショートの黒髪に、ごわごわべたべたなお肌。
汚れてくすんだおりぼんは、お手入れと称してベロベロ舐めたせいで、カピカピのカッチカチ。
ナスビ型の下半身は醜く肥えてぶくぶくぼってり、お手入れしてないしーしー穴はぐっじゅぐじゅ、拭かないあにゃるはにちゃにちゃで、洗わないあんよは真っ黒けっけ。
生臭いお口の中で疎らに生えた歯は、ニコチンのように真黄色で、ぎょろぎょろとした真っ黒なお目々は、光を跳ね返さない石炭のようです。

可愛いと思っていた家族は、案外そんなこともないということがわかりました。

「「ゆぷぷ!!  れいみゅ(おねえちゃん)もおきゃあしゃんもゆっきゅりしちぇにゃいね!!! ゆ?」」

大事なことなので二度言いますが、餡子脳は嘘をつくのが苦手です。
そのため、思ったことをすぐに口にして、大喧嘩なんてことは日常茶飯事なのです。

「なにいっちぇりゅにょぉぉぉぉぉ!!! ぶちゃいきゅできちゃにゃいにょは、れいみゅでしょぉぉぉぉぉ!!!」
「ゆぅぅぅぅ!!! しちゅれいにゃこちょいわにゃいでね!!! れいみゅはきゃわいいよ!!! ぶしゃいきゅでゆっきゅりしちぇにゃいにょは、おねえちゃんでしょぉぉぉぉぉぉ!!!」

あらあら大変です。
子でいぶたちは、予想通り喧嘩を始めてしまいました。
姉妹で喧嘩なんて、ゆっくりしていません。
やれ、お飾りが汚いだの、お尻が不潔だのと自分たちのことは、棚に上げて言いたい放題です。
他者の不幸に目聡いくせに自分を省みないゲスの精神ここに極まれりと言ったところでしょうか。

「ゆゆ!! れいむのかわいいおちびちゃんたち!!! けんかはゆっくりできないよ!!! ゆっくりしないではやくやめてね!!!」
「「うるちゃいよ!!! きちゃないおかあしゃんはだまっててね!!!」」
「どぼぢでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

お母さんでいぶが颯爽と仲裁に入りますが、もはや止めることはできません。
一度見下せば、親でも見下すゲスの精神が遺憾なく発揮された結果ですね。

「こらこら、喧嘩はだめだ!! ただでさえ、ゆっくりしてないのに、ますますゆっくりできないぞ!! でも、これで自分たちがいかに不細工でゆっくりしてないかわかっただろ!? だが安心す(ry」

さあ、餡子を分けた姉妹の餡子で餡子を洗う殺し合いが始まるかと思われた矢先に止めに入ったのは、やっぱりお兄さんでした。
うん、うんと何度も頷いて「わかるよー! 俺何でもわかるよー!」という態度でお兄さんは佇んでいます。
姉でいぶちゃんには、そのお兄さんの態度も気に入りませんが、一番気に入らないのは、不細工な妹とひとまとめにされたことです。
妹でいぶちゃんも同様な意見です。
結局、二匹とも自分の都合の良いようにしか考えられないゲスチューン餡子脳――それも未発達な状態の物しか搭載されていないため、自分が醜いという事実を認められないようです。

「なんだい!? もしかして、まだ自分だけは可愛いと思ってるのかい!? それならお母さんに聴いてみるといいんじゃないかな!? ねえ、おっきいでいぶ!!」

それは、名案です。
ゆっくりしてない汚いお母さんでいぶですが、いつも自分を可愛いと褒め称えるだけの審美眼があります。
こんな醜い姉妹なんて捨てて、自分をゆっくりさせてくれるに違いありません。

「ゆぅ!!? おちびちゃんたちは、どっちもおなじくらいかわいいよ!!! どっちもだいじなれいむのたからものだよ!!!」

言い切りました。
「今、お母さん良いこと言った」と思っている慈悲深い顔です。
お兄さんが「あー、可愛いなんて嘘言ってるー。いーけないんだー!」と囃し立てていますが、気になりません。
ですが、このときばかりは、いけませんでした。
所詮、餡子脳では、自分の発言が大勢にどういう影響を与えるか判断することなど出来ないのです。

「お、おんにゃじ? れいみゅが…ぶちゃいきゅないみょうとと…おん…にゃじ……。じゃあ、じゃあ、れいみゅは、きちゃにゃくて、みにきゅきゅて、きもちわりゅい……?」
「うん! そうだ!! お前は、気持ち悪い!!! でも安心す(ry」

どうやら、お姉ちゃんでいぶは、事実をすんなりと受け止めてしまったようです。
お兄さんがまたしても意図せずに止めを刺したせいもあってか、以後「ゲゲゲゲ」と笑うだけのお饅頭さんになってしまいました。

「ゆびゃぁぁぁ!! ふじゃけりゅにゃぁぁぁ!! れいみゅはきゃわいいよぉぉぉぉ!! みにきゅいおねえしゃんとおにゃじにゃんていう、きちゃにゃいげしゅおやはちねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

一方、妹でいぶは、事実を受け止めることを拒否しました。
自分のことを醜い姉と同じだと言ったお母さんでいぶを制裁すべく、ぽこぺん、ぽこぺんと何度も体当たりをしかけます。
この凶行にお母さんでいぶの思考は、完全にフリーズしてしまいました。

このおちびちゃんは、なにをいってる?
かわいそうなしんぐるまざーのでいぶがいいことをいったのにきいてなかったの?
そうか! こいつはげすだったんだよ!!

「がわいぞうなでいぶをわるぐいう、ぐぞぢびはじねぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ゆびゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

見事な三段論法で復帰したお母さんでいぶのとった行動は、可愛そうなシングルマザーの自分をゆっくりさせない我が子に対する制裁行為でした。

「じね!! じね!! じね!! じね!! じね!! じね!! じね!! じね!!」
「びゅびゃ!! べびゃ!! おげゃぁじゃん!! やめちぇ!! れい、びゅ!! にょあんきょしゃ!! でぢゃう!!」

お母さんでいぶは、餡子を分けた子でいぶに何度も何度も圧し掛かってストンピングの嵐を見舞いました。
そのたびに妹でいぶは、体中の穴という穴から餡子を噴出して衰弱していきます。
お母さんに助けを求めても、止めてくれません。
こうして、お母さんでいぶは、妹でいぶの中身が無くなって死ぬまで踏みつけを続けました。

「ゆふう。おちびちゃんはとんでもないげすだったよ!! だから、これはせいっさいだね!! れいむはわるくないよ!!!」

制裁を終えたお母さんでいぶは、にっこりと、晴れやかで気持ちの悪い笑みを浮かべました。
ゲスを制裁して気分爽快なのでしょうか?
目元に涙の跡があることからすると、案外、悲劇のヒロインな自分に酔っているのかもしれませんね。
あまりにも唐突な出来事で、今度はお兄さんがフリーズしていましたが、お母さんでいぶの気持ち悪さによって奇跡的に復帰しました。

「そ、そんな、まさかお前はゲスだったのか!! この(略)な俺としたことが、そんなことに気付かなかったなんて……。すまない馬鹿で不細工でゆっくりしてなかった小さいでいぶ!! お前をゲス親の凶行から救ってやれなかった俺を許してくれ!!!」

お兄さんはそう叫ぶと、その場に跪いてぼろぼろと涙を流しました。
それでも、妹でいぶの屍骸に触れようとしないところ、このお兄さんもいい根性しています。

「ゆ、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ……」

そんなお兄さんを見つめる視線がありました。
そう、お母さんでいぶです。
悲劇のヒロインである自分以上に、お兄さんが悲しそうにしているのが彼女には、気に入りません。
それに元はといえば、このお兄さんが全ての元凶ではありませんか。
お兄さんがゆっくりしていることも、飼いゆっくりが可愛くてゆっくりしていることも、自分たちが醜くてゆっくりしていないことも、お母さんでいぶは知りたくなんてありませんでした。
つまり、このお兄さんも可愛そうなお母さんでいぶをゆっくりさせてくれないゲスなのです。
ゲスは、制裁しなければなりません。
分不相応な高望みをした自分たちのことを棚上げして、お母さんでいぶはそう考えました。

「げすなにんげんはせ「ドズーン」!!!? ブバッ!」

それは、賽銭箱と言うにはあまりにも重厚過ぎた。

一般的なゆっくりよりも少しだけ小さいサイズの長方形の大きさは、全高17cm、奥行き17cm、横幅25cmといったところでしょうか。
表面に油性マジックで「れーむのすてきなさーせんばこ」と書かれた箱は、守ってよし攻めてよしの超展性チタン製。

突如としてお母さんでいぶの頭上から落ちてきた32.6kgもあるそれは、今まさにお兄さんに飛び掛らんとしていた彼女の体の半分を押し潰して死に至らしめてしまいました。

「お兄さん……。また、おそとのこたちの餌付けにしっぱいしたんだね」
「おお!! 我が愛しのれいむではないか!! 危うくゲスの魔の手に落ちるところだった!! 助けてくれてありがとう!!」

ぽすんと音を立てて、賽銭箱の上にまん丸な物体が乗っかりました。
艶やかなセミロングの黒髪が眩しいお兄さんの飼いゆっくり「れいむ」ちゃんです。
れいむちゃんは、赤褐色のバッジがついた真赤なおりぼんで一本に結った髪をふらふらさせながら、お兄さんに話しかけました。

「もう、なんどもいってるでしょ、お兄さん。おそとのこたちは、本当のことを言われると怒るから、餌付けがしたいなら嘘でもほめてあげるか、黙っているかしないと」
「ぅむー……。そうは、言うがな、れいむよ! 嘘はいけないと思うんだ! 母様も夜遅くに帰ってきた父様に『嘘つきは、ぺにぺにもげて死んだらいい!!』といつも言っていたぞ!!!」

大事なことなので何度も言いますが、餡子脳は嘘が下手な上に、馬鹿正直に思ったことを話してしまうのです。
れいむちゃんは、頭が痛くなってきました。
全身頭ですが。

「それはわかったよ、お兄さん。でも、そのお洋服はなんなの! こんなに汚しちゃってぇぇぇ! あまあまを食べならがしゃべるのはマナーいはんだよ!」

野良への餌付けに対しては、何か言うのを諦めたれいむちゃんでしたが、こればかりは許容できません。
あまあまさんをお行儀悪く食べたせいで、お兄さんの服は、生クリームや餡子でベタベタです。
れいむちゃんは、くりくりとした黒真珠のようなお目々でお兄さんを睨み付けます。

「れいむは細かいなー! 洗濯すれば、元通りじゃないか!」
「そのおせんたくをするのは誰だとおもってるの?」
「ん? れいむだろ?」

当然のように言い放ちました。
このお兄さん、早くなんとかしなくてはなりません。
れいむちゃんは、胃がシクシクと痛くなるような気がしました。
胃なんてありませんが。

「はぁ……。もういいよ。それより、もうかえろ、お兄さん。れいむの賽銭箱もお兄さんのお洋服もあらわないといけないよ。あと、お風呂にも入らないとね」

お兄さんは爆笑しながら地面を転げまわったせいで、れいむちゃんは賽銭箱を担いでお外を跳ねまわったせいで、それぞれ砂まみれです。
しかし、お兄さんはれいむちゃんの意見に顔を顰めました。

「えー!! お風呂はやーだー!!」

本当に駄目な社会人です。
今まで生きてこられたのが不思議で仕方ありません。

「わかったよ。ごゆうはんは、お兄さんのだいすきなハンバーグさんをつくってあげるから、ゆっくりとお風呂はいろうね」
「本当かれいむ!!? 嘘じゃないな!! よし!! じゃあ、ゆっくりしないで早く帰ろう!! 家まで競争!!」

晩御飯にハンバーグの約束を取り付けたお兄さんは、一目散に駆け出します。
れいむちゃんには、お兄さんが本当に社会人なのかが分からなくなってきました。

「おにーさーん!! もっとゆっくりしてよー!!! もう、お兄さんったらいつになったら「ど…じ…」ゆ?」

その声が聞こえたのは、れいむちゃんが重たい賽銭箱を、よいさーっと持ち上げてお兄さんを追いかけようとしていた矢先でした。
この世の全てを呪うような、怨嗟と憤怒の入り混じった声が賽銭箱の下から聞こえてきたのです。

「で…いぶは、しんぐ…まざーで、がわいぞ…なのに。どぼじで、ど…じで」

なんとそれは、永遠にゆっくりしたかと思われていたお母さんでいぶでした。
重たい賽銭箱に体を削ぎ落とされたものの、どうやら中枢餡からは外れていたようで、まだ息があったのです。
しかし、この出餡量では絶対に助かりません。
運がいいのやら、悪いのやら。

「あなたは、別にかわいそうじゃないよ」

れいむちゃんは、お母さんでいぶに何の感情も抱いていませんでした。
確かに、お兄さんに酷いことをしようとしていましたが、こちらも命を奪ったのだからお相子です。
それでも、れいむちゃんは、このお母さんでいぶに言わなくてはならないことがありました。

「知ってる? れいむたちの体はね。だれかからゆっくりをもらうことで、おおきくなるんだよ」

ぞれがどぼじだ……。

「れいむは、お兄さんからいつもゆっくりをもらうかわりに、お兄さんにゆっくりを返してるよ。ゆっくりさせてもらったら、同じ分だけゆっくりを返す義務があるんだよ。だから、れいむの体はおおきくならないんだよ」

くずにんげんにこびるだげのぐずだがらだね。

「あなたや、あなたのおちびちゃん。とっても、おおきいね」

でいぶは、ずいごうでゆうじゅうだがらどうぜんだよ。

「ちがうよ。あなたたちは、もらったゆっくりを返そうとしなかっただけだよ。でもね、どっちにしたって、体がおおきいのはゆっくりしているしょうこだよ。だから、あなたは、かわいそうじゃないよ」

ぞんなごどあるが……。でいぶは、じんぐるまざーだ。がわいぞうなんだ。

「やっぱり、そうなんだ。あなたは、かわいそうな自分が好きだからそういってるんだよね。つまり、それは……」

!!? だまれ、いうな!! そのさきをいうな!!!!

「悲劇のヒロインでいたいから、ふこうのふりをしていただけだよ」
「ゆがぁぁぁぁ!!! じねぇぇぇぇぇぇ!!! でいぶをゆっぐりざぜないぐずばじねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

お母さんでいぶは、最後の力を振り絞って叫びました。

この日、お母さんでいぶは、お兄さんに自分が醜いこと、ゆっくりしていないことを指摘されました。
それでも、れいむちゃんが余計なことを言わなければ、彼女は自分が道化であることに気づくことなく安らかに逝けたのです。
我侭で汚いクソちびを我慢して育て、周囲の理不尽な暴力に耐えて生きてきた悲劇のヒロインとして。
しかし、それも、もうご破算です。
お母さんでいぶは、最後の最後になって、それを指摘されてしまいました。
もう、壊れた心に平穏なんて訪れません。

「じねぇぇぇ!!! じねぇぇぇぇぇ!!!!」
「ごめんなさい。れいむは、まだ死ねないよ。お兄さんは、れいむがいないと、おきがえもできない駄目なひとだからね。だから、れいむが死ぬのは、お兄さんがしっかりもののお嫁さんをもらってからだよ。れいむがにんげんさんだったら、一番よかったんだけどね」

壊れたラジオのように同じことを繰り返すだけになったお母さんでいぶに、そう告げると、今度こそれいむちゃんは、お兄さんを追って跳ねて行ってしまいました。

「こんどうまれてくるときは、おちびちゃんをしあわせにしてあげてね」

そう言い残して。

「じ……ね……じ…………ね………………………」
「げ、げげげ」

清らかな空気の漂う冬晴れの公園には、一個の壊れたお饅頭と二つの死体が残されました。

「う~♪ てんかのおうらいのどまんなかに、おまんじゅうさんが落ちてるど~♪ もって帰ってさしみにするど~♪」
「別に食ってもかまわんが、皮は汚いから食うんじゃないぞ」

壊れたお饅頭も、もうすぐ死体の仲間入りのようです。


おまけ

「あまあま、でりしゃす~♪」

とある一軒家のリビングで、れみりゃちゃんは、輪切りにしたお饅頭の中身を頬張っていました。
先ほど締めたばかりの新鮮なお饅頭の餡子は、とっても甘ったるくて格別です。

「鯛焼きを山ほど食っておいて、よくもまあ、そんな饅頭の餡子など食えたものだな」

そう述べたのは、れみりゃちゃんの飼い主さんです。
豪華な椅子に足を組んで座り、頬杖をつきつつワインを燻らせる姿は、あんた何様だと言いたくなるほど偉そうです。

「うー☆ おんなのこの体にはあまあませんようのブラックホールがあるんだど~!! だからいくらでも入るんだど~♪」

そう言って、次々と餡子を頬張っていきます。
どんどん詰め込むので、頬っぺたは、まるでリスのようです。
そんなれみりゃちゃんの姿をなんともなしに眺めていた飼い主さんでしたが、不意にあることを思い出して語り始めました。

「そういえば、野良饅頭共は、ゴミや排ガスに塗れた雑草を食らうようだな。まあ、それはいい。どうせ、食ったら餡子になるのだから、気にさえしなければどうということはない。だが、奴らが餡子に出来るのは、人間がギリギリ食えるものだけで、金属は餡子に出来ない。つまり、取り込んだ重金属は、体内に残留することになる」
「うぅぅ!!!? お、お兄さん……? れみぃには、よくわかんないけど、それってつまりどういうことだど~?」

このとき、れみりゃちゃんは、すっごく嫌な予感がしました。
思わず、食べていた餡子をお皿に戻してしまいます。

「簡単に言うと、物凄く体に悪い」
「だばぁぁぁぁ、エレエレエレ……」

この後、二人でプリンを食べてお口直しをしたそうです。

ちなみに、飼い主さんは物凄く体に悪いと言いましたが、あくまでも人間が食べた場合であり、同じゆっくりが食べるのなら実は問題ないということをれみりゃちゃんは、後になって知ったそうな。



あとがき
前回、テンション高すぎとのお叱りを受けたので、なんとかローテンションを維持しようとしたけど無理だったよ!

それにしても、毎回幅広い種類のゆっくりを虐待しようと思って書くのに、ついつい初代の二種を虐めてしまう。何か呪いでもかかってんのか!!?

それと、今回は三人称にしてみました。
前回までは難しいといわれる一人称にチャレンジしていたのですが、やっぱ読みづらいですよね。
なに? 三人称でも読み辛い?
サーセンorz

最後に一つ、上の方にも書いてましたが、wikiの名前が「ポールあき(仮)」だったのは、名前付けた方ナイスと言わざるをえません。
一応、クレンドラーさんに悪い気がするので、変えようとは思うのですが、なかなかファンキーな名前が思いつかないよ、クラリスー。
という訳で、もしゴッド・ファーザー(名付け親)になってやろうという奇特な方がおられましたら、感想の方にお願いいたします。
最悪の場合、「肉まん職人」か「ポールあき」でいくつもりですが。




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感想

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  • 何故なら俺は、この世で最も賢く、気高く、強く、そして何よりもゆっくりした者!!!! -- 2022-10-31 18:52:55
  • お兄さん、一体何者だ!? -- 2022-10-31 18:51:27
  • 俺には考え付かないようなお話が書ける!そこにシビれる、あこがれるぅ! -- 2022-10-31 18:36:38
  • 俺も、特に理由はないけどしんぐるまざーなんかより可哀想なんだよ!だからしんぐるまざーのれいむはおにーさんにあまあま頂戴ね!無いなら命(笑)で良いよ! -- 2022-04-21 21:41:47
  • RU姉貴みたいなオカンがいた気がする -- 2016-01-03 13:07:42
  • お兄さんもあんこ脳っぽいな まさかゆっくりと人間のハーフ・・・そんなわけないか -- 2015-10-19 23:39:05
  • うっうー☆ -- 2015-01-29 12:01:02
  • でいぶザマァwwwwwwwww
    -- 2014-03-19 17:03:58
  • あのれいむ絶対プラチナ取れるだろあとれみぃ可愛いよれみぃ -- 2013-01-05 01:06:21
  • ぽーるあきさんのSSはゆっくりできるよ! -- 2012-04-25 18:18:57
  • あまあませんようブラックホールwww -- 2012-04-22 18:56:01
  • さーせんばこwwwwww -- 2011-07-18 23:16:44
  • 多分金取ってないのはお兄さんがバッジについてよく知らないからだろうな。
    このお兄さんの元ネタは仮面ライダーカブトの神代剣ってキャラだ。名家のお坊ちゃまで世間の風に全く当てられずに育ったからものすごい世間知らずで、豆腐をヨーグルトと間違えて砂糖かけまくったり、二十歳なのに幼稚園児の服を着て庶民(ショ・ミーン)の町を練り歩いたりと、行動が常に常人の理解の範疇を超える。一流の教師をいっぱい雇っての英才教育のおかげで大抵のことは人よりできるから「俺は〇〇においても頂点に立つ男だ」が口癖。 -- 2011-01-20 16:50:59
  • れいむちゃんがチート過ぎだろw -- 2010-11-21 11:01:44
  • でいぶざまぁww
    相変わらず楽しい町だなぁw
    お兄さんの元がわからなかったが、れいむが凄い高性能だ。
    この町に金バッチ制度が有ったら、間違いなく金取ってるな -- 2010-10-13 10:10:27
  • できる! -- 2010-09-12 22:34:56
  • なんだこのお兄さん?めっちゃおもしろい! -- 2010-08-15 21:49:19
  • れいむちゃんは嫁というか母だな、、
    俺の嫁にくれ。 -- 2010-08-12 02:03:40
  • おい…しんぐるまざーは可哀想なんだよ。…いじめるなよ…ゆっくりさせてやれよ。

    …ふぅ。心にも無いことを書くのは精神的につらいな。 -- 2010-07-20 02:05:14
  • 兎に角愉快だったw
    けど、ゆっくり顔負けのお兄さんが買っているれいむは本当に銅バッジなのか!?
    推測だけど、飯も作れる、重たいものも平気で運ぶ、人間の着替えや洗濯までこなし、挙句ゲスを諭す程の知能
    控えめに見ても絶対に金だよね!?この子!? -- 2010-07-20 01:44:01
最終更新:2009年11月21日 08:19
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