ふたば系ゆっくりいじめ 519 ゆっくりの電車01

ゆっくりの電車 74KB

 ※容量オーバーの為、勝手に分割しました

虐待 理不尽 群れ 捕食種 現代 虐待人間 長いです

 ・餡子ンペ09出展作品、テーマは 「4.群れ-ミニ社会化」です
 ・無茶な設定等、ツッコミどころ多いです
 ・長くってごめんね! 思いついた物を無闇に放り込んでしまい、ついつい長くなります、ご容赦

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ある山の中。
まだ朝もやの立ちこめる中で、自分達の巣の前で楽しそうに会話を交わすゆっくり一家がいた。

「ゆぅ? おきゃーしゃん、まだ、こにゃいのー?」
「ゆっ! れいみゅ、はやくのりちゃいよ!」
「もうすぐだよ! れいむのおちびちゃん達!」
「ゆっくり待っててね!」
「ゆゆぅ~♪ まりしゃ、まちきれにゃいよぉ!」

親ゆっくりである、つがいのれいむとまりさ。
そして、れいむの頭の上に赤れいむが二匹、まりさのお帽子のつばに赤まりさが一匹。
合計五匹の家族。

一家はある群れの一員で、今から"狩り"へ向かうところであるが、誰もその場から動こうとしない。
揃って一方向を見つめ、そわそわと何かを待ちわびていた。


「……ゆっ! きちゃー!! おちょうしゃん! きちゃよ!!」

最初にソレを見つけた赤まりさが、親のお帽子の上で嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。
他のゆっくり達もすぐに目的の物を見つけ、ゆわぁ~!と声を上げながら、
期待と歓喜のこもった瞳でソレが自分達に近づいてくる様子を眺める。

すぃー…

不思議な音とガタゴトという音を同時に響かせながら走ってきたソレが、ゆっくりと減速して一家の目の前に横付けして止まる。
四つの車輪がついた板。
ゆっくりの乗り物としてお馴染み、"すぃー"。
ただし、普通のすぃーではない。
軽自動車一台分程の面積がある巨大すぃーだった。


「『れいむとまりさのおうち前』なんだぜ~ 『れいむとまりさのおうち前』なんだぜ~ ゆっくりしていってね~」

「「ゆっくりしていってね!!」」
「「「ゆっくいちてっちぇね!」」」

すぃーの最前部に乗っているまりさが、正面を見据えたまま独特のリズムで何かを告げると、一家が元気良く挨拶を返す。

「ゆうう!! おきゃあしゃん! はやきゅ、はやきゅー!!」
「ゆふふ! ゆっくり乗ろうね!」
「ゆっくち! ゆっくちー!」

頭の上の赤ゆ達に急かされながら、れいむとまりさがすぃーに乗り込むと、そこには既に先客の姿があった。

「ゆっ! ゆっくりしていってね!」
「「ゆっくりしていってね!」」
「れいむ、まりさ、ゆっくりおはよう! 今日もいい朝ね!」
「「ありす、ゆっくりおはよう!」」

ゆっくりしていってね、ゆっくりおはようと互いに挨拶を交わす。
彼らは同じ群れのゆっくり達。
このすぃーは、群れの公共交通機関 「ゆっくり電車」 だった。

ハア?電気使ってないじゃん  線路は?  つーか、どっちかつーとバスじゃね?
鉄道関連になるとついムキムキしてしまうお兄さんも、そうでないお兄さんも、色々と突っ込みたいところはあると思う。
しかし、所詮は餡子脳が考えた事。そこいら辺は大目に見てやってほしい。


「じりりりり 発車するんだぜ~」

すぃー最前部のまりさのアナウンスと共に、すぃーが再び走り始める。
このまりさがゆっくり電車の運転士である。ちなみにワンマン運転。

ガタゴト、すぃー…と緩やかな山道を走って行く、ゆっくり電車。

「ゆっ! おさ! ゆっくりしていってね!!」
「「「おしゃ! ゆっくいちてっちぇね!」」」
「むきゅ! ゆっくりしていってね!」

奥にいた一匹のぱちゅりーの姿に気付いた親まりさが、赤ゆと共に挨拶を交わす。
まりさの言葉が示す通り、このぱちゅりーが群れの長だった。

長ぱちゅりーは、かつては、金バッジ持ちの飼いゆっくりだった。
今は金バッジは無く、何かを引きちぎられた跡が残る帽子にその頃の名残を留めるのみ。
紆余曲折を経てこの群れに迎え入れられ、人間の元で身につけた知能と知識を買われて長となった。
このゆっくり電車も、人間達が乗る電車を真似て、長ぱちゅりーが考案したものである。


群れの居住区は山の下の方の岩場にある。
水場が近く、また、捕食種から隠れ、雨風を凌ぐのに適した堅牢な巣となる洞窟が多い。
反面、近辺にゆっくり達が食べるのに適した植物や虫は少なく、かつての群れは、慢性的に食料不足に悩まされていた。

山頂付近に行くと、美味しい草や木の実、虫などが一杯採れる良質の餌場、通称ゆっくりプレイスがあるのだが、
そちらはそちらで、巣にできるような場所が無く、定住には向かない。
何世代も前には、群れは山の中腹あたりに住処を構えていたのだが、
いつ頃からか住み着き始めたれみりゃ達に追われる形で山を下り、今の場所に処を移したのだった。

山はそれほど高くはなく、傾斜もなだらかであったが、
それでも山頂まで登るのに、ゆっくりのあんよでは優に半日以上はかかる。
朝から出かけたとしても、日が落ちるまでに帰ってくることはできない。
しかも、その途上にれみりゃが住むエリアがあると来ては、事実上、餌場としての利用は不可能と言ってよい。

だが、それも今は昔。
食料難に苦しむ群れのため、長ぱちゅりーは、散々に頭を悩ませた末に解決策を導き出した。
別の山に住むドスからお下がりで貰い受けたドス用大型すぃー、そして、山の上へと続いている使われなくなった林道。
この二つを利用して、ゆっくり電車という交通機関を作り上げたのだった。

すぃーのスピードなら山頂まで約一時間で辿り着く事ができる。
しかも、れみりゃの住むエリアを一気に駆け抜ける事ができるので、れみりゃにみつかる確率も減る。
仮にみつかったとしても、そのスピードを最大限に発揮すれば追撃を振り切る事も可能だ。
人間や知能の高い捕食種であれば、待ち伏せや罠を利用してゆっくりを襲う事もできただろうが、
れみりゃにはそこまでの知恵はなかった。
かくして、餌場までの安全・高速な移動手段を手にした事で、群れの食料事情は一気に好転することとなった。


「ゆ? おさがでんしゃに乗るなんて珍しいね!」
「むきゅ、今日はゆっくりプレイスのしさつよ」

れいむの疑問に、長ぱちゅりーが壁に身を預けながら答える。

ちなみに壁というのは、転落防止用に乗車口を除くすぃーの四辺を囲った壁の事である。
山中に不法投棄されていたゴミの中から集めた廃材と接着剤で作ったものだ。
成体ゆっくりの半分程の高さがあり、壁際に座るゆっくりの背もたれとしても利用されている。

この群れでも、ご多分に漏れず、集めた食料を群れで管理して配給するシステムを採り入れており、
各家庭には、食料調達のノルマが課されている。
しかし、長ぱちゅりーのように群れを維持するための特別な仕事に就くゆっくり達は、
ノルマを免除されており、基本的に狩りは行わない。
そのため長ぱちゅりーは、普段は餌場へ向かうゆっくり電車を利用していない。
今日は、餌場での食料の生育状況をチェックするための、年数回の視察の日だった。

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それから一分ほどして、ゆっくり電車が次の"駅"に到着する。
"駅"と言っても、人間の電車の駅のように、ホームや駅舎があるわけではない。
群れの居住区を回って、餌場に行きたい乗客をピックアップするため、決められた何カ所かのポイントに止まるだけである。

「『おおきな岩の前』なんだぜ~ 『おおきな岩の前』なんだぜ~ ゆっくりしていってね~」

岩の前に並んで乗り込もうとしている乗客の姿を目にして、乗っていたゆっくり達がぎょっとした表情を浮かべる。

「ゆわ~! れいみゅ でんしゃさん はじめちぇ~!」
「まりしゃが さきにのるんだじぇ!」
「ゆふふ~れいむのゆっくりとしたおちびちゃん達! ゆっくり乗るよ!」

まだ赤ゆ言葉の抜けきらない子まりさと子れいむ、その後ろから成体のれいむが乗り込んでくる。

「ゆゆ? なんだか狭くてゆっくりできないよ! れいむの可愛いおちびちゃん達が乗るんだから ゆっくりしないでさっさと詰めてね!」
「ちゅめてね! れいみゅゆっくちしたいよ!」
「しょうなんだじぇ! これはまりしゃの でんしゃさんなんだじぇ!」

「ゆぎゅ! 押さないでよー!」
「なにするのおぉぉ!? そこはれいむが座ってたのにー!」

既にある程度乗客で埋まり、混み合っている車内で、一家は強引に他のゆっくりを押しのけて、三匹分のスペースを奪取する。
他のゆっくり達から文句が上がるが、一向に気にかける様子を見せない。

「ゆっ! れいむ! れいむのおちびちゃん達は頭の上に乗せてあげてね!」
「ゆ~? そんなこといって、れいむのおちびちゃんの席を奪う気なんだね! れいむは騙されないよ!」

先程のつがいのれいむが、しんぐるまざーになにやら注意をするが、これも聞き入れる様子はない。

「れいむ! まりさのれいむの言うとおりだよ! あぶないんだよ!」
「ゆっくりしないで早くおちびちゃんを乗せてあげてね! ゆっくりできなくなっちゃうよぉ!!」
「ゆー!」 「ゆー」 「ゆーゆー!」

「どおしてそんなこというのお! れいむはしんぐるまざーなんだよ! とっても(ry」
「ここは れいみゅのゆっくちぷれいしゅだよ! ぷきゅー!」
「まりしゃのぷれいしゅをとりゃないでー!! ゆえええん!!」

つがいのまりさや周りのゆっくりも加わって、ゆーゆーと懸命に説得をしようとするが、
しんぐるまざー一家には、まったく会話が通じない。
そうして、ゆっくり達がギャーギャー喚いている間に、すぐに次の駅へと到着する。


「『ひろば』なんだぜ~ 『ひろば』なんだぜ~ ゆっくりしていってね~」

群れの居住区最後の駅である広場は、ゆっくり電車最大の駅。
十匹近いゆっくり達がどやどやと一斉に乗り込んでくる。
途端に車内はすし詰め、ならぬ饅頭詰め状態。

「じりりりり 発車するんだぜ~」
「ゆうううぅぅ!! まっでええぇ! れいむのでんしゃさんまっでねえ!! まだれいむが乗ってないでしょおおぉ?!」

運転士まりさの発車アナウンスが流れる中、一匹の体の大きなれいむがボヨンボヨン跳ねて駆け込んでくる。
そして、その勢いを利用して乗車口へロケットダーイブ!

「ゆぎゅっ!?」 「ゆべぇ!」 「ぴゅぶっ!!」
「かけこみ乗車はゆっくりできないんだぜー やめるんだぜー」

強烈な体当たりを受けて、乗車口付近にいたゆっくり達が餡子を吐きそうになり、
運転士まりさは少しイライラした口調でアナウンスを流す。
しかし、それほどの体当たりを敢行したにも関わらず、れいむの体は満員の電車に入り切らなかった。

「押してね! はやく押してね! れいむが乗れなくなっちゃうよ!」
「「「ゆーしょ!! ゆーしょ!!」」」

三匹の子まりさが乗車口からはみ出したれいむのお尻に体を押しつけ、
ぐぐぐ…!と体を伸ばして、懸命に電車の中に押し込もうとしている。

「ゆーしょ…!! ゆー…しょ…!!」「ゆぎぎぎ…!!」
「ゆううぅ…! おばしゃん、おもいよお!」
「どおおしてそんなこというのお!? れいむはみわくのすりむぼでぃーでじょおおぉ?!」


「じりりりり ようやく発車するんだぜ~」

子まりさ達が汗ビッショリになってれいむの尻と格闘を続けた末、
ようやくれいむの体がスッポリと電車に収まり、ゆっくり電車は定刻より三分遅れで発車する事ができた。

駅を離れるゆっくり電車を三匹の子まりさが見送る。
この子まりさ達は、未来のゆっくり電車運転士候補、ゆっくり鉄道学校の学ゆである。

普通のすぃーとは大きさも馬力も違う、ゆっくり電車。
しかも、れみりゃに襲われた場合には、振り切って逃げ切るための高度な運転技術が要求される。
どのゆっくりにでも運転できるという代物ではない。
子ゆっくりの頃から、ゆっくり鉄道学校でみっちりと訓練を受け、その中でも最も優秀なゆっくりしか、運転士になる事はできない。
いまや、ゆっくり電車運転士は、群れの子ゆっくり達、特に活発なまりさ種の中で憧れの職業No.1である。

「ゆう…! かっこいいのじぇぇ…!」
「まりさも はやくでんしゃさんを運転したいよ!」
「ゆっふっふっ…! うんてんしさんになるのは、まりさだよ…!」

子まりさズの帽子には、長ぱちゅりーが作った紙製のバッジが飾られ、それぞれに60,61,65と数字が書かれている。
その番号は、運転士候補生の生徒番号であり、上一桁の数字が子まりさズが六期生である事を示している。
運転士として採用された暁には、その証として、この紙バッジが木製バッジへとランクアップする。

次第に小さくなって行く運転士まりさの姿を、立ち尽くしたまま見つめている子まりさズ。
運転士まりさは、ゆっくり鉄道学校時代に常にトップの成績を収め、
超難関であるゆっくり電車運転士ライセンス試験にも一発で合格した、えりーとの中のえりーと。
子まりさズの憧れのゆっくり。
憧憬と羨望の籠もった六つの瞳が、お帽子に燦然と輝く35番の木バッジをいつまでも見送っていた。


そして再び場面は饅頭詰めの車内。

「むぎゅう…! き、きついわね…! いつもこうなの…?」

ゆっくり達が押し合いへし合いする中、普段はゆっくり電車を利用しない長ぱちゅりーが苦しそうに声を吐く。

「ゆ…! 最近は…いつもこう…だよ…!」
「おさ…少し顔色が悪いよ…だいじょうぶ…?」
「むぎゅうう…な、なんとか…」

つがいのれいむが、こちらも少し苦しそうに答え、まりさが長ぱちゅりーを気遣う言葉をかける。

ゆっくり電車の登場で食料事情が好転した事により、群れのゆっくり達は着実に数を増やしつつあった。
同時にそれは、一日一便しかないゆっくり電車の利用ゆっくりが増え、乗車率が上がる事を意味する。
図らずもゆっくり達は、人間さんの電車の殺人ラッシュまでをも持ち込む事になってしまったのである。

ガタンと電車が横揺れして、ゆっくり達が一斉に進行方向横にスライドする。
ただでなくともギュウギュウ詰めになっていたところに、更に圧力がかかる。

「む、むきゅううう…! こ、これは…! なにか対策を考えないとダメそうね…!」

圧迫され、少しひしゃげながらも、長としての責任感から早速改善策を練り始める長ぱちゅりー。
体力がないぱちゅりー種とは言え、成体ゆっくりであれば、まだその程度の余裕はあった。
では、成体ではないゆっくりの場合はどうだろうか?

「ゆぎゅうううう…! おきゃあじゃあん…! ぐ、ぐるぢいよおお!?」
「れいみゅ ぢゅぶれぢゃうよおお…!? やべでええ…!」
「ゆあああ!? れいぶのおぢびぢゃんだぢいいぃ!!
 やめてね!? おさないでね!? れいぶのおぢびぢゃんだぢが、ゆっぐりでぎなぐなっぢゃうよお!」

成体ゆっくり達に囲まれて、悲痛な泣き声を上げているのは、しんぐるまざーれいむの子ゆっくり達。
子まりさは母れいむと隣のゆっくりの頬に挟まれて、縦長にひしゃげ、
子れいむは母れいむに半分のしかかられた状態になり、お尻が潰されている。

「ゆうう! おさないでっていわれてもお…!」
「む、むりだよう…!」

他のゆっくり達がなんとかスペースを作ろうと身を捩るが、みっちりと詰まった状態なので身動きを取ることもままならない。

「く、くりゅちいいぃぃ!! ゆぶうっ!?」

遂にお尻に受け続ける圧力に負け、子れいむの口から餡子が漏れる。

「ゆわああああぁっ!?!? おぢびぢゃんがあんこ吐いぢゃっだああ!?
 やめでえええ! でんじゃざんをどめでええ! れいぶのおぢびぢゃんがじんじゃううぅぅ!!」
「だ、だぜぇ?!」

しんぐるまざーれいむの絶叫に気付いた運転士まりさが慌てて急ブレーキをかける。

これが命取りとなった。

「「「「「ゆわあああぁぁ?!」」」」」

慣性の法則により、ゆっくり達の体が今度は進行方向に向かってスライドし、
既に限界まで詰まっていたと思われたゆっくり達は、更に前方向へとギチギチに詰まって行く。

「ゆっぶ…ゆぼろろろろぉ…!」
「ゆぶぶぶぶ…!ゆびゅううぅぅっ!!」

限界を超えて押し寄せてきた圧力の前に、子れいむは口から更に大量の餡子を吐き出し、
必死に歯を食いしばって吐餡を堪えていた子まりさも、目とあにゃるから、むりむり、にゅるにゅると勢いよく餡子を噴き出した。
車内にぷわ~んと甘い餡子の香りが立ちこめる。

「ゆばああぁぁっっ?!?! おぢびぢゃあああんっっ?! じっがりいいぃぃ!! じっがりじでええぇっ!!」
「「もっぢょ…ゆ゛っ………ゆ゛っ…ゆ゛っ……ゆ゛っ………」」
「ゆ゛や゛あ゛あ゛あ゛っ!! おめめあげでええっ!! おぢびぢゃあああんっ…!!!
 おがあざんをひぢょりにじないでえええぇぇぇぇっっ!!!!」」

「ゆううぅぅ…」
「だからあぶないって言ったのにぃ…」

こうして、"しんぐるまざーれいむ"は、晴れて"しんぐるれいむ"へとクラスチェンジを遂げた。

ラッシュのゆっくり電車。
それは、僅かな気の緩みが死へと直結する過酷な戦場。
断じて小さな子ゆっくりが生き残れるような甘い場所ではない。
どうしても子ゆっくりを乗せる場合には、つがいのれいむ達のように親の頭の上に乗せるのが鉄則だ。

これが人間の電車の話であれば全線で運転取り止め物の大惨事だっただろうが、
脆弱なゆっくり達にとって、不慮の事故でゆっくりできなくなる事などは日常茶飯事物の喜劇。
すぐにゆっくり電車は運転を再開し、ガタゴトと山道を登って行く。

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「ゆうぅ…おぢびぢゃん…れいぶの…おぢびぢゃんがぁ…ごべんねぇ…おがあざんをゆるじでねぇ…」

あれから、しんぐるれいむは、子ゆっくりの形見のリボンと帽子の前で、かれこれ三十分近く泣き続けている。
周囲のゆっくり達が慰めているが、一向に泣きやむ気配はない。

いつもは、押し合いへし合いしながらも、
美味しいご飯が一杯のゆっくりプレイスへの期待に満ち溢れ、お喋りを楽しむゆっくり達だが、
流石にこの空気の中では気分も沈み、普段より静かになっている。
その静寂を破るように、運転士まりさが少し緊張を帯びた声で告げる。

「…今日はゆっくりでんしゃに乗ってくれて、ゆっくりありがとうなんだぜ~
 もうすぐ、れみりゃの巣の近くなんだぜ~ みんな静かにするんだぜ~」

途端に全てのゆっくり達に緊張が走り、ゆぐゆぐと泣いていたしんぐるれいむまでもが、泣き声を潜める。
これから、ゆっくり電車の路線で最大の危険地域・れみりゃの生息エリアを通過するのだ。
れみりゃに見つかっても、ゆっくり電車の速度なら振り切る事は可能だが、
あくまで"可能"なだけであり、一つ判断を間違えれば大惨事、危険である事に変わりはない。
見つからずに済めばそれに越したことはない。


「ゅ…」

そんな中、乗車口近くにいる一匹のまりさが、誰の耳にも届かないぐらいの小さな呻きを漏らす。
そのまりさは、ようやく成体になり立ての体の小さな若いまりさだった。
饅頭肌にじっとりと粘液が滲み、顔は上気し、吐く息は乱れている。
その原因は、若まりさの背後に陣取る、一つの影にあった。

(んふうぅ…! かわいいおじりぃぃ…!)

そう囁きながら、背後の影が電車の揺れに合わせて、ゆっくりと、だが確固たる力強さで、
硬直したモノを若まりさのあにゃる付近に擦りつけている。
他のゆっくりからは死角になっているのか、誰もその行為に気付かないようだ。

ゆぐ…! またなのお…? どうしてまりさばかりぃ…! ゆっぐ…! ゆぅん…

嫌悪感と恥ずかしさに苛まれながらも、気の弱い若まりさは、周囲に助けを求める事もできず、心の中ですすり泣きを漏らす。

(んほおおお…! とおってもとかいはなまりさだよぉぉ…!
 れいぱーありずが、とかいはなあいをたっぷりそそいであげるよぉぉ…!)

若まりさに荒い息を吹きかけながら、背後のゆっくりがボソボソと若まりさだけに聞かせるように呟き、
己の剛直をまりさのあにゃるの内へと…

おわかりであろう。
殺ゆんラッシュと並び、ゆっくり達が人間の電車から持ち込んでしまった害悪。
逃げ場がなく、互いに密着せざるを得ない混雑。
その状況を利用し、気の弱そうな獲物を狙い欲望の毒牙にかける卑劣なる犯罪行為、"痴ゆん"である。

やめてぇ…やめてぇ…ゆぅんっ…まりさ…まだすっきりしたくないのにぃ…! ゆっんっ…!

壁に押しつけられてヌチャヌチャと粘つく肌を擦りつけられ、ポロポロと涙を零しながらも、
体はあにゃるを掻き混ぜられる刺激に反応し、否が応でも高みへと昇って行ってしまう。

(んほおおぉぉ! れい、あ、ありず、ず、ずっぎりしちゃうううぅっ! ゆううっ! すっ! すっ…!)

 ゆううんっ!! す、すっきりしちゃうっ! ゆっん! ゆやめぇぇ! すっきりひちゃうゆうぅ……!!


「 ゆやああぁぁんっ!! やめてえぇぇっっ!! 」

静寂を破って電車中に響いた悲鳴に、乗ゆっくりが驚きと怯えの表情を浮かべながら、一斉に声のした方向に視線を向ける。

(ど、ど、ど、どおおおして大声をだすのぉぉ…?!?!)
(れみりゃにみつっかちゃうんだよー?! わがらないよー?!)
(ゆやああぁぁ!! れいむまだじにだぐないいぃぃ!!)

傍にいたゆっくり達は、口々に若まりさに向かって小声で非難をぶつけ、
その他のゆっくり達は、今にも悲鳴を聞きつけたれみりゃが姿を現すのではないかと、落ち着かなげに空を見上げる。

………

しかし、れみりゃが近づいてくる気配はない。幸運にも、気付かれずに済んだようだ。

(まりさ…! どうしてあんな大声を出したの!? とかいはじゃ……ゆ…?)

若まりさを諫めたのは、近くにいたありす。
つがいのれいまり一家とおはようの挨拶を交わしていたありすだ。

(こ、これってぇ…?!)

ありすの声が、驚きの声に替わる。
ありすが見たものは、若まりさのお尻にベットリとこびりついた精子餡。
若まりさが悲鳴を上げたため、痴ゆんが怯んだか、あにゃる内射餡は免れたようだ。

(ま、まりさ!? どうしたの、これは! 誰にやられたの!?)

そう尋ねて、ありすが若まりさに詰め寄った途端、若まりさがビクンッ!と震えて押さえた悲鳴を上げる。

(ゆ、ゆひっ!? きょ、きょないでえぇぇ?!)
(え? な、何…?)

(どうしたの、まりさ? 優しいれいむに何があったか話してね! ゆっくりでいいよ!)

若まりさの拒絶にきょとんとするありすに代わって、一匹のれいむ、先程の駆け込み乗車れいむが、優しく問い質す。

(ゆ……ゆううぅぅ…! ありすがぁ…れいぱーありすがぁ…!
 まりさに…むりやり…すっきりーを…! まりざいやだったのにいぃぃぃ…!!)

「ゆっ…ゆゆううぅぅっ?!?!?!」

我を忘れて大声を張り上げたのは、今度はありすの方だった。
無理もない。
近くにいるありすはこの一匹のみだったのだから。


(ありすが…)(ありすに…)(れいぱーだって…)(やっぱり…)(おお、こわいこわい…)

ざわざわと周囲のゆっくり達が囁きを交わし、それは電車全体に伝播して行く。
それと共に、ありすに突き刺さる冷たい視線が増えて行く。

(ち、ち、違うわぁぁ…?! あ、ありすはやってないわよおぉぉ!
 ありす、れいぱーじゃないわぁぁ! ありすはとってもとかいはなのよぉぉ!!)

(ちょっと通すみょん! みょんを通してほしいんだみょん!)
(ゆぎゅっ!) (おもいんだよー!)

少し離れた場所にいたみょんが、ギュウギュウ詰めの中、四苦八苦して隣のゆっくりの頭の上によじ登り、
そのまま他のゆっくり達の頭を踏みつけながら、犯行現場にやってくる。
そして、ちぇんの頭の上に乗ったまま、はくろーけんをビシッとありすに突きつけ、高らかに宣言する。

(ゆっくり鉄道けーさつだみょん! れいぱーありす! 強制わいっせつっ罪で逮捕するみょん!)
(違うのおおぉぉ! ありずの話をきいてえええぇぇ!)
(黙るんだみょん! もうたくさん被害とどけが出てるみょん! この連続痴ゆん魔め!
 みょんが張り込んでいるとも知らずに、のこのこ出てきたのが、うんのつきさんだみょん!)
(知らないぃ! ありすじゃないぃぃ!! ありす犯ゆんじゃないのよぉぉ!!)

(むきゅ…ちょっと…通してちょうだい…むきゅ…)

むきゅむきゅ言いながら、長ぱちゅりーも他のゆっくりの頭を渡ってやってくる。

(お、おさ! おさは信じてくれるわよね! ありすは絶対に…)

ありすは、長ぱちゅりーとの個人的な親交が深かった。
ようやくに自分の味方が登場したと思い、懸命に涙を堪えるありすの瞳に希望の火が灯る。
だが、長ぱちゅりーはありすの目を見ずに、若まりさに向き直る。

(むきゅ…まりさ。犯ゆんはありすで間違いないの? 顔は見たの? 辛いでしょうけど、ちゃんと思い出してちょうだい)

(ゆ…こわくて…おかおは見てないけど……でも…でも…
 『れいぱーありずが、とかいはなあいを』…って…それで…それで…まりさを…
 ゆうぅぅ……ゆえええぇぇ!!)

長ぱちゅりーが、信じられないと言うように悲しそうな顔をありすに向けて、力無く首を振る。

(ありす、ひどいよぉ! どおしてこんなことしたのお!)
(ゆやああ! ありすの近くはゆっぐりでぎないいぃぃ! 通してね! 通してね! まりさは逃げるよぉぉ!)
(わかるよー! ありすはれいぱーなんだねー! ちぇんはそうじゃないかと思ってたんだよー!)
(ちがう…ありす…ちがう……れいぱーじゃ…ないのにぃ……)

周囲のモブゆっくり共が口々にありすをなじり始め、ありすが涙を飲み込みながら、その言葉を否定しようとする。

(ゆ…まりさ…大丈夫? 元気だしてね!
 こんなに可愛いまりさにひどい事をするなんて、ありすは本当にさいっていのれいぱーだね!
 さっさと死んでわびてね! ゆっくりしないで早くしてね! あとれいむにあまあまをちょうだいね!)

駆け込み乗車れいむも、若まりさに慰めの言葉をかけながら、ありすに辛辣な非難を浴びせる。

(ちがうのよぉぉ…れいむうぅぅ…ありすは本当にやってないのよぉぉ…信じてえぇぇっ!!!
 どおして誰も信じてくれないのおぉぉ…!!)

(黙ってねぇぇ!? 許せないことだよ! 痴ゆんなんて!
 しかも捜査をかくらんするために、れいむのくせにれいぱーありすの真似をするなんて卑劣だよ!
 痴ゆんなんてさいっていで卑怯な行いなんだよ! ゆっくりりかいしてねっ!)


………


「ずびばぜん…でいぶがやりばじだ…」

れみりゃ地帯を抜けた後、
みょんとありすにボッコボコにされて顔を腫らした駆け込み乗車れいむ=痴ゆんれいむが、ようやく罪を自白する。
ありすに向けられていた冷たい視線は、そのまま痴ゆんれいむに向いていた。


「ゆっ…あ、あの…ありすおねーさん…」
「ゆ? なあに、まりさ?」

若まりさが、恐る恐るといった様子で、ようやく嫌疑が晴れたありすに声をかける。

「ご、ごめんなさい…まりさが…ありすおねーさんが犯ゆんだなんて言ったから…」
「ふふ。いいのよ、まりさ。まりさが悪いんじゃないもの。ほら、いつまでも泣いてないの。とかいはじゃないわよ。」

笑って答えたありすが、柔らかい頬を涙で濡れた若まりさの頬にそっと押し当てる。
若まりさの頬がポッと赤らむの見て、周りで気まずい顔をしていたゆっくり達の顔が少し綻ぶ。

「…むきゅ…ごめんなさい、ありす…あなたを疑ってしまって…」
「しかたないわよ、おさ! あそこで私情を挟んでありすをかばったら、おさ失格よ!」

「ありす…ごめんだみょん…みょんのごにん逮捕だったみょん…かくなる上は、まむまむさんを切ってわびるみょん…」
「い、いいのよ! みょん! みょんは自分のおしごとをしただけよ! とってもとかいはだと思うわ!」

「ちぇんはわかってたよー! ありすは無実だって信じてたよー!」
「………」


「ゆっ…あ、あの゛…みょんざん…」
「ゆ? なんだみょんっ!?」
「ご、ごべんなざい…はんぜいじでまずがら…でいぶのおりぼんざん…がえじでもらえまぜんか…」
「ふざけるなみょんっ! 返すわけないみょんっ!」 「ゆぎっ!? いだいっ!! やべで!!」

痴ゆんれいむを睨み付けたみょんが、ちぇんの頭の上から、はくろーけんで、痴ゆんれいむの頭を小突く。

痴ゆんれいむは、逃走防止のため大事なお飾りを没収されており、リボンはみょんのはくろーけんに縛り付けられていた。
この後は、群れに戻ってから正式にゆっくり裁判にかけられ、罰を与えられる事になる。
初犯であれば、おしり叩きの刑で済んだかもしれないが、常習犯という事になれば、群れ追放は免れないだろう。


そんなこんなで、ゆっくり達と、ドタバタとしたゆっくり達の悲喜こもごもを乗せて、ゆっくり電車は今日も走り続ける。
終着駅に辿り着くまで。

「終点『ゆっくりプレイス』なんだぜ~ 『ゆっくりプレイス』なんだぜ~ ゆっくりしていってね~」

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山頂付近にある広場が、ゆっくりプレイス駅。
綺麗な花や美味しい草が一面に広がり、ゆっくり達の大好物の虫さん達が、花を渡り、土や葉の上を歩く。
そして、広場を囲む林に入ると、木の実や茸など、山の幸がたくさん採れる、絶好の狩り場。


「ゆわ~い!! ゆっくっちぷれいしゅだあぁぁ!!」
「ゆゆ~♪ ゆっくちできりゅね~!!」
「ゆう! いもむししゃん! まっちぇね! いもむししゃんは、まりしゃにたべられちぇね!」
「れいむのおちびちゃんたち! そんなに跳ねたら危ないよ! 転ばないでね!」
「ゆふふ♪ まりさのおちびちゃんたちは、とってもゆっくりできるよ!」

れいむまりさ一家が電車から飛び出し、赤ゆ達が楽しそうにポヨポヨと跳ねる。


「かえりのでんしゃは、お日様さんが、さんかくやまさんの上に来たら出発するんだぜ~
 のりおくれないよう、ゆっくりちゅういするんだぜ~」

「…ゆううぅぅん!! それじゃ、まりさもゆっくりするんだぜ!!」

運転士まりさが、帰りの便の出発時刻をアナウンスした後、暖かいお日様を浴びながら大きくのびのびをする。

「むきゅ。まりさ、ご苦労様!」
「ゆっ! 乗ってくれてありがとうなんだぜ! おさ!」

長ぱちゅりーと挨拶を交わした後、ぽよんぽよんと跳ねて行く。
これで、まりさの午前中の仕事は終わりだ。
長ぱちゅりー同様、運転士まりさや、鉄道けーさつみょんも食料調達ノルマが免除されているため、
仕事が終われば、思い思いにゆっくりとした時間を過ごす事ができる。


「れいみゅおねいちゃん! かくりぇんぼしゃんちようよぉ!」
「ゆっ!! かくりぇんぼしゃん! やりょうやりょう!」
「まりしゃも! まりしゃもやりゅよ!」
「ゆゆぅ! じゃあ、まりしゃがおににぇ!」
「どおおちて いちゅも まりしゃがおになにょおお?!」

「ゆふふ! おちびちゃんたち、あんまり遠くに行っちゃだめだよ!」
「お父さん達は"狩り"に行ってくるからね! 美味しいごはんさん一杯取ってくるからね! ゆっくりしていってね!!」
「「「ゆっくいちてっちぇね♪」」」

楽しげに遊ぶ赤ゆ達の姿を見て、幸せそうな表情で"狩り"へと向かうれいむとまりさ。


「むーしゃ、むーしゃ!(ry」
「ゆっ!おひさまさん!ゆっくりしていってね!とってもあったかいよ!」
「とんぼさん!ちぇんときょうそうするんだよー!」

どうでもいいモブゆっくり達も幸せそうだ。


「むーしゃ、むーしゃ…しあわせー……
 ゆうぅ…おいしいよう…おちびちゃんたちといっしょに食べたかったよぉ……」

「あ゛の゛~みょんざん…でいぶのおりぼんざんをでずね…」
「うるさいみょん! みょんはごはんさんをむーしゃむーしゃしてくるから、その辺で大人しくしてろみょん!」

一部それほど幸せではないゆっくり達もいるようだが、まあ、どうでもいいだろう。


「…27、28、29……むきゅう…結構乗ってたのね。満員になるはずだわ…」

電車から降りるゆっくり達の数を数えているのは、長ぱちゅりー。
飼いゆ時代に受けた教育の甲斐あって、二桁までの数は数える事ができるのだ。

「でんしゃを増やすにも、ドス用すぃーは、そうそう手に入らないし…
 この人数なら、普通のすぃーを後ろに繋いで、そっちにも乗れるようにすれば…
 でも、これ以上群れが大きくなったら間に合わなくなるわね…
 家ごとに利用できる日を分けるしかないかしら…むきゅうぅ…」

どうやら、ゆっくり電車の混雑対策の案を練っているらしい。


「ふふ…おさ、お仕事ばかりしてないで、少しはゆっくりしたら?」

後ろからありすが声をかける。

「むきゅ。いいのよ、ありす。ぱちぇはこうしてる方がゆっくりできるのよ。」
「そんな事言わないで、ぱちぇもとかいはなはにーでも探したら?」
「余計なお世話よ、ありす。その言葉、ゆっくりそのままお返しするわ。」


「ゆ、ゆうぅ…あ、ありすおねえさん…」
「「ゆ?」」

長ぱちゅりーとありすが振り向くと、そこには、痴ゆんに遭っていた若まりさがいた。

「どうしたの? まりさ?」
「ゆ…これ……」

もじもじとしながら、若まりさがお帽子の中から、一輪の赤い花を取り出し、ありすに差し出す。

「まあ! きれいなお花さんね! とってもとかいはだわ!」
「これ…さっきのおわびだよ…その…あ、ありすおねえさんに…似合うと思って…」
「え…! あ、ありすに…?」
「ゆ、ゆん…」

ありすの顔が差し出された花と同じ色に染まり、それを見た長ぱちゅりーがニヨニヨとした視線を送る。

「……ま、まりさがそこまで言うなら仕方がないから貰ってあげてもいいわよ…! べ、別に(ry」
「ゆ…! こ、このお花、向こうの林の奥にたくさん咲いてたんだよ! ま、まりさと…一緒に…見に…行かない…?」
「………んh……ゆっ! ありすもたまたまそっちに用事があるから、ついでに(ry べ、別に(ry」

「あらあら、むきゅきゅ! つんでれ乙ね! むきゅきゅっ!」

仲良く跳ねていったありすと若まりさを見送りながら、長ぱちゅりーがむきゅむきゅと笑う。
そして、ひとしきり笑った後、よく晴れた空を見上げる。


(お兄さん…。ぱちぇは…とってもゆっくりしてるわ…)

かつて飼い主だった、大好きなお兄さんの事を思い出す。
ショップで買われ、初めてのご挨拶で緊張して咳き込んでしまったぱちぇを見て、優しく笑っていたお兄さん。
30までしか数えられなかったぱちぇに、もっとたくさんの数の数え方を教えてくれたお兄さん。
勉強好きのぱちぇのために、
色々なご本やテレビを見せてくれて、色々な所に連れて行ってくれて、色々な事を教えてくれたお兄さん。

でも、ぱちぇは捨てられてしまった。
何が理由だったのかはわからない。
お兄さんがぱちぇに飽きたのか、止むに止まれぬ理由があったのか、
それとも気付かないうちに悪いことをして嫌われてしまったのか。

ゆっくりフードと一緒に段ボール箱に入れられ、お帽子から金バッジをむしり取られた時、捨てられると察して、泣いた。
泣きながら箱から出ようとするぱちぇの頭を押さえていた、お兄さんの強くて大きなおてての感触は今でも思い出せる。
箱に閉じこめられ、車に乗せられ、遠くの山の中に捨てられた。
ようやく箱から出られた時には、もうお兄さんの姿はどこにもなかった。

野生での生き方など知らず、このまま死ぬのかと思っていた時に、今の群れの仲間達に助けられた。
ぱちぇは仲間から野生の生き方を教わり、ぱちぇはお兄さんに教えてもらった知識で仲間達の役に立とうとした。
がむしゃらに頑張る内に、気がついたら群れの長になっていた。

お兄さんの事を、恨んだ事もあった。
お兄さんの事を思い出して、一晩中泣いた事もあった。
でも、今は感謝している。
ぱちぇを、仲間達をゆっくりさせる事ができるぱちぇにしてくれた事に。
ぱちぇと仲間達を出会わせてくれた事に。

ぱちぇは、もし、もう一度お兄さんに会うことが出来たならば、伝えたい言葉がある。
でも、その願いはきっと叶う事はないのだろう。
だからぱちぇは、心の中だけで、そっとその言葉を捧げる。

お兄さんと、慈悲深い饅頭の神に





しかし、饅頭の神は慈悲深くとも、善良なゆっくり達にかける慈悲を持たないモノ達も、また、いた。

一つは、ゆっくりプレイスの林の陰から、ゆっくり達の様子を伺っていたモノ。
そして、もう一つ。  作者。

==========

「むきゅ。ここも問題なしね。これなら無事えっとうできそうだわ。」

長ぱちゅりーはゆっくりプレイス周囲の林を見回り、まだ十分に食料が残っていることを確認して、満足そうに頷く。

「……むきゅ。ありすの言う通り、たまにはぱちぇもゆっくりしようかしら。」

そこでふと思い立ち、日光浴を楽しむべく、広場へと戻ることにする。



「むきゅうううぅぅ?!?! な、何なのおぉ?! これはぁぁ?!」

だが、広場に戻った長ぱちゅりーは、目の前に広がる光景に悲鳴を上げる事となった。


そこは、さながらゆっくりの墓場であった。

中身を吸い尽くされ、皮だけになったゆっくり。
枝か何かで何度も刺され、全身穴だらけになって絶命しているゆっくり。
頭やあんよを引きちぎられ、抉り取られ、苦悶の表情を浮かべて事切れているゆっくり。
中には饅頭皮を剥がされ、原型を留めない程にグチャグチャに潰されたゆっくり"らしきもの"までいた。

「どうしたんだみょ…ん…ちんぽおおおぉっ?!」
「ぱちゅりー! どうしたんだぜ! …ゆぎゃあああぁぁっ!!」
「ゆう…ありすおねえさん…やっぱりきれいだよぉ…ゆ? ゆわあぁぁぁっ?!?!」

「まりざあぁぁっ!! じっがりじでえぇぇ!!」
「ちぇぇぇぇんっ! 起きてよぉぉ!! どうじでえぇぇ?! わがだないよおぉぉ!!」

暫くすると、長ぱちゅりーの悲鳴を聞きつけて、或いは、偶然に、広場に戻ってきたゆっくり達も、
惨状を前にして次々に悲鳴を上げる。
見知ったゆっくりの変わり果てた姿をみつけては、相手の名を呼ぶが、返事を返す者は一匹もいない。

集まったのは、
運転士まりさ、鉄道けーさつみょん、ありす、若まりさ、
しんぐるれいむ、痴ゆんれいむ、そして、つがいのれいむとまりさ。
長ぱちゅりーも入れて9匹のみ。
それ以外のゆっくり達は、一向に姿を現さない。

「おちびちゃーん!! どこー?!」
「まりさのおちびちゃーん! おへんじしてえー! おねがいいぃぃ!! おへんじしてぇぇ!!」

つがいのれいむとまりさが半泣きになりながら姿の見えない赤ゆ達を捜し、他のゆっくり達もそれに加わる。


「れ…れいむ…まりさ……」

青い顔をしたありすが、つがいのれいむ達を呼び、二匹がその場所に駆けつける。

「ゆびゃああぁぁぁぁっ!!! おちびぢゃああん!! おめめあげでえぇぇ!」
「まりさの…まりさの…かわいいおぢびぢゃんがぁ…ゆっぐりじだおぢびぢゃんがあぁぁ…!」

そこには、皮を剥がされて潰されたゆっくりの餡子に埋もれるようにして、
小さな黒帽子ごとベシャリと潰された金髪饅頭が転がっていた。
二匹を取り囲んだ他のゆっくり達は、かける言葉を持たず、ただ沈んだ表情で黙り込む。

「ゆゆっ?! ほ、他のおちびちゃん達は…?」

しんぐるれいむが上げた疑問の声に、ゆっくり達は再び捜索を始める。
ほどなく、若まりさの声が響いた。

「ゆうぅぅ!?」

その声を聞いて青ざめたゆっくり達が一斉に集まり、
石の陰に隠れていた二匹の小さな赤リボンのゆっくりを緊張した面持ちで見つめる。
だが、すぐにその表情は安堵の表情に変わる。

「ゆうぅ…よかったよぉ…」

親れいむがへなへなと脱力して潰れ饅頭になる。
あれほどの大騒ぎの中、二匹は、もう食べられないとかベタな寝言をほざきながら、スヤスヤと寝息を立てていたのだ。
姉妹でかくれんぼをしている内に眠りこけてしまったのだろうか。
それが幸いして、この殺戮現場で二匹だけが難を逃れたようだった。


「れみりゃの仕業かみょん…?」
「むきゅう…そのようね…ここまではれみりゃも来ないと思って油断してたわ…わたしのせいよ…」
「おさのせいじゃないわ! それより今は、残ったみんなが助かることを考えましょう!」
「ゆうぅぅ…どうするのぉ…おさぁ?」
「むきゅ…すぐに群れに戻りましょう。ここは危険だわ。まりさ、でんしゃは動かせそう?」
「ゆっ! 大丈夫なんだぜ、おさ!」

「ゆっくりしちゃったおちびちゃんや、みんなはどうするの…?」

つがいまりさが、ゆっくり達の死体に目をやりながら尋ねる。

「…連れて帰ってあげたいところだけど…ここで時間を取られるわけにはいかないわ…
 かざりだけ連れて帰りましょう…みんな、手伝ってちょうだい」

長ぱちゅりーの決定に従い、生き残ったゆっくり達が手分けして死んだゆっくり達の飾りを集め、電車に積み始める。

「このゆっくりは誰だったんだみょん…」
「これじゃ全然わからないんだぜ…どうしてこんなひどい事をするんだぜ…」
「むきゅうぅ…群れに帰ってから、誰がいなくなったか調べましょう…」

赤まりさの死体が埋もれていた、潰された餡子の塊の前で、長ぱちゅりー達が話し合う。
皮も髪の毛も目玉もお飾りもどこかに持ち去られたのか見当たらず、どのゆっくりだったかはおろか、種族すら定かではない。
わかるのは、成体サイズで黒い餡子という事ぐらいだ。

==========

「………」

運転士まりさが、無言のまま、ゆっくりとゆっくり電車を発車させる。
仲間達の飾りを車両後部に墓標のように並べ、生き残ったゆっくり達は運転席近くに集まっていた。
来たときの混雑が嘘のようにガランとしてしまった車内で、ゆっくり達は俯いたまま誰も言葉を発しようとはしない。

ガタゴト… ガタゴト…

「…ゆっ! 霧が出てきたのぜ!」

暫く山を下った後で、最初に口を開いたのは、運転士まりさだった。
つい先程までは青空が広がっていたのに、移ろいやすい山の天気は、いまや大地を暗く包んでいた。
まるで、ゆっくり達の心を映すかのように、

「むきゅ…ここで足止めされたくはないわ。まりさ、なんとか突っ切れる?」
「まかせるんだぜ! おさ!」
「むきゅ。さすがまりさね。安全運転でお願いするわ」

運転士まりさが長ぱちゅりーの言葉に答えるより先に、電車は霧が一段と濃い場所に入り込み、ゆっくり達の視界が奪われる。
その寸前、霧の中で何かの影が素早く蠢くのを、何匹かのゆっくりが目にした。

「ゆ…?」
「ゆ? どうしたの、まりさ…?」

不思議そうに声を上げたまりさに、隣にいたつがいのれいむがこちらも疑問の声を返す。

「まりさのおぼうしが……ゆぎゃああぁっ!!!」
「「「「ゆぅぅぅ?!?!」」」」

「ゆがあっ?! いだい゛ぃ!! いだっ!! ゆがああっ! やめ゛てええぇっ!!
 びぎいいぃぃっ!! だずげでえぇっ!! ゆぎっ!! だ、だれがああっ!! いだいよおぉっ!!
 ゆげっ!! れいびゅうぅぅっ!! たぢゅげてえぇっ!! ゆぎひいぃぃっ!?!?」

「ま、まりさっ!? どうしたのぉぉ!?」 「おちょうしゃああぁん?!」
「むきゅうぅ?! まりさ?!」 「ちんぽびるぐぅぅ?!」
「やめてあげてね! いたがってるよおぉ!!」

一寸先も見通せぬ霧の中、グジュッ、グジュッと何かを突き刺す音と、まりさの悲鳴が響き渡り、
他のゆっくり達は、何が起きているかもわからないままに、ただただ霧に向かって泣き叫ぶ。

「た、たしゅけ…だしゅ…ゆ゛ぎっ!?!?………」

その言葉を最後にまりさの悲鳴は止み、仲間達の呼びかけ以外に何も聞こえなくなる。
それから暫くして、霧が薄れて視界が戻ってきた。


息を飲み、凍りつくゆっくり達。
先ほどまでの悲痛な叫び声がウソだったかのように、まりさは顔を隠すようにお帽子を目深に被ったまま、静かに佇んでいた。

「ま、まりさ…?」 「………」

つがいのれいむが恐る恐るまりさに声をかけるが、まりさは黙りこくったまま何も答えない。

「まりさ…? どうしたの…? だいじょう…ぶ…」

痺れを切らしたれいむが体を寄せて、まりさの体を揺すると、パサリとお帽子がずり落ちる。

「「「「「「………ゆぎゃああぁぁぁっっ?!?!」」」」」」

お帽子の下から現れたのは、穴だらけにされたまりさの頭頂部だった。
頭皮はズタズタに破られ、こぼれ出た餡子が綺麗だった金髪に絡みつき、黒い汚れをこびりつかせる。
その目は大きく見開いたまま虚空を見つめ、開いた口は今にも苦悶の絶叫を放ちそうな形で固まっていた。

「ゆああああぁぁ!! ばりざあぁぁ!! ばりざあああぁあぁぁ!!! どうじでえぇぇ!?」
「おちょうぢゃあん!! ゆっぎゅいぢでえぇぇ!! ゆっぎゅいでぎにゃいいいぃぃ!!」
「むっ…きゅう…! むぎゅううぅぅ!! むぎゅえぇっ!! むぎゅえぇぇぇっ!!」
「とかいはじゃない…とかいはじゃないわぁぁ…!!」
「ゆわっ…ゆわっ…」 「ゆっ…ゆひ…ゆひいいぃぃぃぃ…!!」

絶叫を放つことのなくなったまりさに代わり、他のゆっくり達が思い思いの絶叫を放った。

==========

「ゆううぅぅ…まりさあぁぁ…どうしてまりさが…どうしてぇ…」
「おきゃあしゃん…れーみゅ、ゆっくちできにゃい…ゆっくちできにゃいよぉ…」
「れいむ…しっかりして…おちびちゃんがゆっくりできないわよ…」

パニック状態から幾分落ち着きを取り戻し、ゆぐゆぐと泣くれいむ親子にありすが寄り添い、自身も涙目になりながら声をかけている。
その横では他のゆっくり達が話し合いをしていた。

「ゆううぅ…またれみりゃなの…?」
「ゆっくりできないよおぉ!! れいむはしんぐるまざーで(ry ゆっくりさせてよぉぉ!!」
「む、むきゅうぅ…いくられみりゃでも、あの霧の中を飛んで、私たちを襲うなんてできない…と思うわ…」
「じゃあ、誰がまりざをごろじだのおぉぉ!?」
「ま、まりさじゃないんだぜ!?
 まりさもなかなかのものだけど、まりさだってまりさなのぜ!? そう簡単には殺せるものじゃないんだぜ?!」

確かに運転士まりさの言葉通り、霧の中で不意をついたとは言え、
(ゆっくり基準では)体力的に優れたまりさ種の成体を一方的に攻撃し、
あそこまで徹底した殺戮を加える事ができる技量を持つ者は限られてくる。

そう考え至ったとき、ゆっくり達の視線が一箇所に集まる。

「みょ…?みんな、どうしたみょ……ぺにぃぃぃすっ?!」

視線が自分に向けられている理由に気づいたみょんが驚きに目を丸くする。
群れのゆっくり達で戦闘において一番優れているのはみょん種。
しかもこのみょんは、鉄道けーさつ捜査官。
抵抗する犯ゆんを取り押さえるための対ゆん戦闘術を身に付けている。
この中に、あの殺戮劇を実行できるゆっくりがいるとしたら、みょんを置いて他にはいないだろう。

「みょんなら、まりさをしゅんっさつっできたんじゃないのかぜ…?」

運転士まりさの言葉に、他のゆっくり達の疑念は深まり、みょんへ向ける視線が鋭くなる。

「みょ、みょんじゃないみょん! みょんはそんなことしないみょん! このはくろーけんに誓って…」

みょんが脇に置いてあったはくろーけんに目を向けようとするが、置いてあった筈のはくろーけんが見当たらない。
きょろきょろと辺りを見回して、自分の背後に転がっているのを見つけると、気を取り直してはくろーけんを口に咥えて振りかざす。

「このはくろーけんに…誓っ…て……ちーん…ぽ☆」

みょんの頭上に高々と掲げられたはくろーけんの先には、黒い餡子がベットリとこびりついていた。

「やっばり みょんがやっだんだああぁぁ!! ゆあああぁぁ!! ゆっぐりでぎないぃぃ!!!」
「みょ…みょん…いなかものの殺ゆん鬼は…みょんなの…?」
「ゆやじゃああぁ!! でいぶはぁ…でいぶだけはだずげでぐだざいぃ…ごろざないでぐだざいぃぃ…」
「ゆええぇー!! どうちちぇ れいみゅの おちょうしゃんを ころちたにょおぉぉ?!」
「う、うそ…なんで…どおおして、れいむのまりさをぉぉ…?!」
「ゆうぅぅ…あ、あ、ありすおねえさんは…ま、ま、まりさが……ま、まも…まも…」

フリーズしているみょんの前で、他のゆっくり達が再びパニックに陥る。
完全にみょんの犯行を確信し、責めるもの、命乞いをするもの、助かる算段をするもの。
一部のゆっくりは、まだ半信半疑というところだ。

「むきゅ…1、2、3…5…7……13……17………むきゅ…!?」

ただ一匹、長ぱちゅりーだけは、明後日の方向を向いてむきゅむきゅと何かを呟いている。

そして再び、死を呼ぶ霧がゆっくり電車を包み込んだ。


「ゆああぁぁ!! なんにぼみえないぃぃ! まりざじぬのやなんだぜえぇぇ!! ごろざれるうぅぅ! みょんにごろざれるうぅぅ!!」

最初に悲鳴を上げたのは、運転士まりさ。

「ち、ちがっ!! ちがうんだみょおおん!! みょんの話もきくみょん!!
 ま、まりさは…!
 まりさはみょんが やった

「……やっばり みょんな゛んだああぁぁ!! ゆわあぁぁ! ごろざれるぅぅ!!
 れいむはしんぐるまざーだがらごろざないでえぇぇ!!!」
「ゆっぐりでぎないぃぃ!ゆっぐりでぎないんだぜえぇぇ!!」
「で、でいぶだけはだずげでえぇぇ!! おちびちゃんをあげまずがらぁぁ!」
「どおしてそんなこというのおぉ?! れいむのおちびちゃんじゃなくて、れいむのおちびちゃんでしょおお?!」
「ありすおねえざあん!! ごあいよおぉ!!」
「まりさ!! こっちよ! ありすの後ろに隠れて!!」
「むきゅ?! むきゅ?! なにごと?!」

どこから襲われるかわからない状況で、ゆっくり達のパニックは極限に達する。
悲鳴、怒声、罵声、泣き声、しーしー、様々なモノがダダ漏れる。
そして、ようやく霧が晴れたとき、新たな犠牲者が姿を現した。

==========

「………みょ……ん…?」

呆然と呟くありす。
その蒼い目には、はくろーけんを頭頂から突き立てられ、苦悶の表情で息絶えたみょんの姿が映し出されていた。

「ど…どおして…みょんおねーさんが……」

若まりさがありすの影から覗き込むように、おどおどとみょんの亡骸に目を向ける。

「わからないわ…ありすにはわからないわぁ……」
「ゆううぅ…! 誰がやっだのおぉぉ!! おさあぁ! なんどがじでよぉ!! れいむはしんぐる(ry」
「む…きゅう……むきゅっ?!」

群れ随一の知能を持つ長ぱちゅりーに事件解決の期待をかけ、ゆっくり達の視線が集まるが、
長ぱちゅりーは、後部に積んである仲間のお飾りと、生きている仲間達を交互に見ながら、また何かを呟き始めた。
その様子に、幾つかの視線が失望の視線へと変わる。

「おさ…おねがい…おさだけが頼りなのよ…」
「むきゅっ!! だ、だまってちょうだいっ!!」

長ぱちゅりーの剣幕に押され、黙りこくったありすの視線もまた、失望の色を隠せない。

「…12、13、14……25、26、27…みょんのはくろーけんにれいむのおりぼんが…
 でんしゃで死んじゃったおちびちゃん達と…むきゅ?!」
「む、むきゅ!? 1、2、3………はくろーけん…死んじゃったおちびちゃん達……
 むきゅ…も、もういっかい…1、2、3……はくろーけん! おちびちゃん達ぃぃ!? …ある…あるわぁぁ?!」

「むきゅううううぅぅぅ?! これってええぇぇえ?!」


「ゆ…? おさ…どうしたんだぜ?」

遂に長ぱちゅりーがぱぴぷぺったかと、仲間達が心配そうに顔を見合わせてから、運転士まりさが、おずおずと声をかける。

「か、か、かざり…むきゅ…かざりが…むきゅううぅぅ!」
「かざり…? おりぼんさんがどうかしたの?」
「かざりが…全部あるのよおぉぉ!! むきゅううっ!!」

「おさ! おちついてちょうだい! ありす達にもわかるように説明してちょうだい!」
「むきょおおっ!?!?」

長ぱちゅりーを落ち着かせようとありすが近づいた瞬間、
長ぱちゅりーは突如奇声をあげて、ぱちゅりー種とは思えぬ程の俊敏さで後ろに跳び退った。

「お、おさ…?」
「むきゅう…! むきゅう…! い、いい? ゆっくり聞いてちょうだい。
 私はゆっくりプレイスに着いたときに、みんなが何ゆんいたか数えていたのよ。
 で、でも、今、死んじゃったゆっくりのかざりと、みんなのかざりを数えたら…ちゃんと全員分あるのよぉぉ!!」

「ゆ…? お、お帽子があると何がいけないの? まりさ、お帽子ないとゆっくりできないよ…?」
「それが何なの! そんな事、どうでもいいよ! あと、れいむのおりぼんさんかえしてね!」

「どおしてわからないのおぉぉ?! かざりが見つからなかったゆっくりがいたでしょおぉ!!
 だったら、そのゆっくりのかざりは、ここには無い筈なのよおぉぉ!!」

「「ゆ…?ゆゆうぅっ!?」」

ありすと運転士まりさ、比較的に知恵が回るこの二匹だけが、その矛盾に気づく。
その他のゆっくりは「?」と顔にデカデカと書いてある。

「む、昔…私を飼ってくれてたお兄さんに教えてもらったわ。
 ゆっくりは、かざりで相手を見分けてるのよ。
 だから、かざりを他のゆっくりにつけると、私達には、そのゆっくりが元のかざりの持ち主に見えてしまうのよ。
 例えかざりをつけたのが、れみりゃでもよ…!
 ゆっくりプレイスでみんなを殺した犯ゆんは、殺したゆっくりのかざりを奪い取り、それをつけたの。
 そして、かざりは全部…このでんしゃの中に揃ってるわ。
 つまり…」

ゆっくり達がゴクリと甘い唾を飲み込む。

「まりさ達やみんなを殺した犯ゆんは…殺ゆん鬼はこの中にいるのよおぉぉ!! むきゅうぅぅっ!!!」

「「「「「ゆう~~~?!?!」」」」」


最終更新:2009年11月26日 19:47
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