ふたば系ゆっくりいじめ 545 対決!? あかばえでいぶ

対決!? あかばえでいぶ 21KB


制裁 ギャグ 自業自得 仲違い 飾り 自滅 家族崩壊 同族殺し 駆除 ツガイ 野良ゆ 赤子・子供 ゲス 都会 現代 れいむ編

※今度はれいむと戯れます
※現代の何処かの公園です
※野良の家族と人間さんが出ます。


1.


都内の某公園。
隣接した通りでは複数車線の交通網が激しく行き来している。
そんな都会のド真ん中でも、豊かな緑に囲まれるこの公園まで喧騒は届いていなかった。

「こーそ! こーそ!」

それは物陰から誰にも気づかれない様、慎重に様子を伺っていた。
自動販売機の裏から怪しい瞳を灯らせて。

「こーそ! こーそ!ゆふふ…」

その視線の先。

ずーりずーり…。
公園を這っているのは野良の子ありすだ。
周りには姉妹も親も見当たらない。一匹だけだ。
本来金髪である頭は鈍く色あせている。
そして疲れきったその表情から、子ありすが孤児であるのは誰にでも分かった。
この厳しい都会の中で生きる野良ゆっくりの中では特に珍しいことでもない。

「…」

子ありすは当てもなく公園の敷地を這っていた。
親を探しているのだろうか? それともゆっくり出来る場所を探しているのだろうか?
真夏のコンクリートに這い擦るミミズの様に消えかかる命が何処かへ向かう。

人間…青年がいた。
ベンチのゴミ箱の前に立っていた青年がありすの目に入ると
足元までゆっくりと這い寄り、そして弱々しく話しかけた。

「おにいしゃん…それ…すてちゃうの?」

『ん? 野良のゆっくりか…ああ、ちょっと甘すぎてな、食えないんだ』

青年が捨てようとしていたのは
粉砂糖を満遍なく振り掛けたとても甘そうな菓子パンだ。

「ゆぅ…」

青年の話をちゃんと聞いているのかは分からない。
子ありすは青年の手元をただじっと見つめていた。

『ん? 食うか? 食べ掛けでいいならやるぞ?』

思いもよらない持ち掛けに曇っていたありすの顔が喜びに変わった。

「ほんちょう!? ありしゅに くれりゅの?」

青年は菓子パンを小さく千切ると、少しずつ子ありすに食べさせてあげた。
子ありすはかぶりつきもせずに青年が千切り渡すパン切れを何度もお礼を言いながら咀嚼した。

「むーちゃ!むーちゃ! ちあわしぇえ~♪」

笑顔を取り戻した子ありすは、宝物だと言うコインを青年に渡して何処かへ跳ねていった。
青年は手のひらの500円玉を見つめると、なんだか悪い気がしつつも財布に収めた。


2.


そんな一部始終を物陰から見ていたのは、先ほどの怪しいゆっくり。
自販機の陰には物々しく黒くて丸いシルエットがいた。
そいつは誰にも聞かれない様に、考えている事を心の中で反復していた。

「ゆゆっ! にんげんさんは ゆっくりできないくずだと おもってたんだけど
 あんなくずれいぱーの いいなりになっちゃうなんて よわむしだったんだね!
 ゆふふ れいむも あまあま むーしゃむーしゃして しあわせーするよ!!!!」

と大声で叫ぶと
辺りを用心深く観察してから成体の野良れいむが自販機の裏からのっそり出てきた。
すると黒い帽子を被った同じくらいのゆっくりと
大きな二匹に良く似た小さいゆっくり達も続いて這い出てきた。

「まりさ! ちびちゃんたち! わかってるね!」

大きなれいむが声をかけると、大きなまりさと子供達が返事をした。

「わかってるんだぜ! まりさに まかせるんだぜ!」

「まりしゃも あみゃあみゃを たべちゃいんだじぇ!」」

「れいみゅも あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!」

子供達はひらっきぱなしの口から排泄口まで涎をだらだらと垂れ流し
短いモミアゲと三つ編みを振り乱しつつ小躍りをしている。

「ゆっへっへ… いうこときかなかったら まりさが げふんと いわせてやるのぜ!」

「まりさ まかせたよ!!! れいむは おちびちゃんを つれていくよ!!!
 こんどこそ あまあまを れいむに たべさせてね!!!」

そして父親であるまりさが準備を整えると、野良の家族は青年の元まで跳ねて行った。

「ゆふふ……」

れいむは青年の所へ跳ねながらも、にじみ出る笑みを堪え切れなかった。
あまあま、それは野良ゆっくりが同族で殺しあうほどの至高の宝物だ。
野良の口にする食べ物と言えば、腐った生ゴミや店の残飯などが殆どだ。
草や木の実を食べている山のゆっくりと比べたら、一見豪華なのではと思われるが
ゴミ箱で手に入れられる人間の食べ物は
しょっぱかったり辛かったり、下手すると死んでしまう恐ろしい劇物なのだ。
しかし生きていく為には例え吐いてでも、それらを沢山食べなければならない。
もちろんそんな味の濃い生活に慣れてしまった野良ゆっくり達は
もう苦いだけの草花などは食べられなくなってしまっていた。

そんな地獄のような暮らしの中で手に入れられる甘い食べ物は、もはやドラッグに近い存在となっていた。
殺伐とした食料と住居事情の中で「しあわせー」と言える瞬間。
それは本能が欲っする"ゆっくりする事"を取り戻せる唯一の娯楽だ。
たった一個の飴玉で殺し合いが始まり、地面に溶け行くアイスクリームを取り合い
実の親子の縁がなくなる場合もある。
そんな熾烈な奪い合いの中でれいむは育ち、そして親を失くしたのだ。

れいむはあまあまを拾った親の目を盗んで、一度だけ食べた事があった。
それは普通の野良からしたら、飼いゆっくりに拾われるような貴重で幸せな事だった。
子供のれいむには衝撃的な甘さだった。れいむはその味を忘れることが出来ず
毎日の不味い食事の中で、美味しいあまあまを食べたい、しあわせーしたい衝動に狂おしく悩まされていた。
あまあまを沢山手に入れる事、それがれいむのゆん生を捧げる絶対の夢だったのだ。

そんな苦しみの毎日も今日で終わる。
あの弱虫で、お人好しそうな人間から奪…貰えばいいのだ。


3.


『おや?』

青年は食後のコーヒー牛乳を堪能していると
再び現れた野良のゆっくり達に囲まれた。
先ほどの孤児とは違い随分イキがいい。

大きくて赤いのが体を揺らして喋る。

「かわいい れいむたちに おいしい あまあまを よこしてね! いますぐにだよ! なにしてるの? はやくしてね!」

『え? ええ!?』

同じ形のミニサイズ達は

「はやきゅ れいみゅに よこしぇ!」 「まりしゃに よこしゅんだぜ! いちばんしゃき だじぇ!」

『な、なんだ こいつら…』

親れいむ、親まりさ、子れいむ、子まりさ。
いかにも醜悪な見た目と汚らしい言動を放つ野良ゆっくり達が青年の足元で飛び跳ねていた。

「れいむのいっていることが わからないの? ばかなの? しぬの?
 しぬなら はやくしんでね! でも あまあまを れいむによこしてから しんでね! ゆっくりしなくていいよ!」

「ゆっくちちないで ちね!」 「にんげんは ばきゃなの?」

ある程度はテレビの番組などで
いわゆるゲスな野良ゆっくりがどんなモノかは知ってはいたが
青年は予想以上の生々しい姿と暴言の嵐に面食らってしまっていた。

『お前らは なんて口が悪いんだ…
 そんな奴らには 甘々なんて一つもやれねーよ!!! 早くどっかいけ! シッシッ!』

青年は足で纏わり尽くゆっくり達を払うが、親れいむと親まりさは全然動じる様子はない。
あんな小さなれいぱーの言う事を聞いてしまう人間なんか何一つ怖くはないし
くれと言えば食べ物を寄こす、お人良しなのだと思っていた。

「だから あまあまが ほしいって いってるんだよ! じじいは あたまが ざんねんな にんげんなの?
 きっと こそだてが へたな おやに そだてられたんだね! ゆぷぷっ」

「つべこべいわないで あまあまをよこすんだぜ! いたいめにあわないと わかんないのかぜ? ばかなの? し―


グ シ ャ リ


親まりさは定型句も言えずに果てた。


4.


「ゆ?……ゆゆ? ばでぃざああああああああああ!!!!!!」
「おとうしゃんんんんん!?」「ゆぴぃいいい!!!!」

まりさは一瞬で丸型からピザ生地の成り損ないのような形状へと潰れ
ぶち破れた穴から餡子を勢いよく噴出した。
とても綺麗な黒い花を咲かせたまりさの亡骸に家族は寄りすがった。

「ゆがぁあああああ!!! よくも かわいい れいむの まり…さ…を…………ゆっくりしていってね!」

れいむが見上げると青年の表情は、さっきの子ありすに向けた顔とは全く別物だった。
出会ってはいけないタイプの人間と同じ恐ろしいツラをしている事に気がついた。
見誤った?殺されるか?いいや、まりさの態度が悪かったんだ。
あんなありすに施す弱虫だと思っていたが、やはり人間は人間だった。
けれど自分達を皆殺しにはしないし、やはりれいむのまりさに問題があったのだ。

『で、なんだっけ? 甘い食べ物がほしいんだっけか?』

青年はベンチに腰掛けると足を組んだ。
れいむは足を組む時に振り上げられた靴底にビクッとするが
正しい対処法が瞬時に思い浮かばず硬直していた。

『あーあ…
 そんな口の利き方じゃなければ
 たーくさん甘々をプレゼントしてあげたんだどなぁ~
 お兄さんは さっきのお前達の暴言で機嫌がわるくなってきたよ…イーライーラ♪』

「た、たくさん!? あまあま たくさん れいむに くれるの!?」

青年は持っていた夜食用の菓子パンを揺らし、わざとらしく袋を鳴らした。
その音から親れいむはふんわりして美味しそうな菓子パンを想像して涎を飲み込んだ。

「れ、れいむに あま―」
「あみゃあみゃ!?」「あみゃあみゃ!?」

即座にくれくれ宣言しそうになったが、先ほどの子ありすのやり取りと
まりさの死体、そして人間の強さを踏まえ れいむは言葉を飲み込んで堪えた。
野良で家族を持てるほど生きた賢い自分だ。まだ焦る時間じゃない。
馬鹿な人間の同じ"程度"に合わせてあげて、全てのあまあまを奪いとらなければ。

「じじ……お、おにいさん? れいむの あまあまを ゆっくりしないで くださりやがれ?」

『丁寧なんだか脅しているんだか、どっちだよ』

「ありすにだって あまあまを あげたでしょ!」

『ありす? ああ、だからか』

「なんでもいいから れいむにも ちょうだいね! おちびちゃんたちも ほしがってるよ!」

「れいみゅに ちょーらいね!」「まりしゃに いちばん いっぱい ちょーらいね!」

父親の無残な姿も甘い食べ物の前では全てが上書きされたのか
先ほどのように親れいむの傍で跳ね踊っていた。

「はやく れいむに あまあま よこしてね! むーしゃ!むーしゃ!させてね!!!」

『んー つかさー…』

可愛い子供達がいるなら勝てる!そう踏んだ親れいむだったが…



『俺は、まりさってヤツが大嫌いでさ、見てると虫唾が走るんだ』



「ゆ?」

『だからまりさを潰したんだよ、あーあ胸糞悪かった』

青年は嫌そーな眼で れいむ達に視線を向けている。

『ほらだってお前、ふてぶてしい面構えの子まりさなんかいるじゃんか
 そんなまりさの子供がいる れいむになんか
 甘くて美味しい食べ物なんて絶対にあげたくないな』

「ゆゆ!?」

「まりしゃは かわいいんだよ! おめめがくさっちぇる じじいはちね!
 あちょ あみゃあみゃは まりしゃにだけ ちょーらいにぇ!」

驚くれいむの傍では子まりさが怒り喚いて跳ねている。
そして子れいむはニヤニヤと姉まりさに視線を送り、美味しいあまあまの想像に舌なめずりをし始めていた。

『あーあ…こんなに美味しいのにさー
 きっと一生食べれないで れいむは子供と一緒に雑草とか食べて飢えて死ぬんだろうなぁ 可哀想だなー』

「ゆ………ゆぐぐ……」

まりさを殺されて、ここで引き下がっては無駄死にだ。
とにもかくにもあまあまを食べたい。
まりさはあまあまを毎日獲ってきてくれると言い可愛いれいむと一緒になったが、結果はどうだ。
なんだかんだ息を巻いても人間に潰されただけだ。
まりさはいつも口だけで本当に役立たずだ。
やっぱりまりさというのは駄目なんだ。
狩りが上手い?笑わさせてくれる。全然ゆっくりさせてくれないクズだ。

「まりしゃの あみゃあみゃを はやきゃよこしちぇね! ばかづらしにゃいで はやくしちぇね!」

親れいむは自分の子まりさを見た。
親のまりさが殺されたと言うのに
可愛い自分の相方が殺されたと言うのに
どうしてこの子まりさは、人間に向かって暴言を吐き続けているのか?
人間の機嫌が悪いのが分からないのか?。
こんなお人よしでも意地悪をされたら
持っている全てのあまあまを手に入れられなくなるじゃないか。
れいむのまりさもクズなら、まりさそっくりのコイツも同じだ。
こんなのにれいむのあまあまを分けてやるなんてありえない。
もう、まりさは、いらない。
いらない。いらない。

『あの子ありすも 独りぼっちで寂しそうだったけどさ
 野良では絶対食べれない甘くて美味しいご飯を食べれたから
 きっと誰よりも幸せだったろうなあ…
 ああーしっかし お前の子供はうるさいな 早く連れて帰れよ
 俺は帰って甘いパンを食べるんだよ』

「ゆ…」

「おかーしゃん! くそじじいなんか ぼこぼこにしちぇ まりしゃに あまあまを ちょうらいにぇ!」

親れいむは大いに悩んだ。

『あー うるせー イライラする あまあまなんてやらねーよ どっかいけよお前ら』

「はやく まりしゃに あまあま よこしゃないと おかあしゃんが じじいにゃんか ぼっこぼ―

悩みは終わった。



ガ ブ ゥ ! ! ! ! ! ! ! 



親れいむは子まりさを全力で食いちぎった。

「ゆぴぃいいいいいいいいいい!!!!! なにちちぇるのお!?
 おかあしゃん まりしゃを かぶがぶしにゃいでええええ!!!!」

子まりさの破けた部位からは、とめどなく黒い中身が漏れ出した。
親れいむは子まりさの叫びも聞かずに高く咥え上げると
グリングリンと円を描いて振り回した。

「ゆぴぃいいいいいい!!!!ゆぴぃいいいいいい!!!!」

スプリンクラーの様に餡子がれいむの周りに飛び散っていく。

「やめじぇええええ!! ゆんやぁああああ!!! もう おうちかえるぅぅううう!!!!!」

作業は子まりさがペラペラになることで終わった。

そして親れいむは何事もなかった様に青年へ向き直った。


5.


親れいむは割とすっきりした顔で青年と向き合った。
さっきまではしゃいでいた子れいむは
いくらなんでも予想だにしなかった母親の凶行に身をこわばらせていた。

「れいむに まりさの おちびちゃんなんて いないよ?
 さあ おにいさん! かわいい れいむに あまあまを ちょうだいね!」

「まりしゃ おねえしゃんは わ、わりゅいこだったの? れれれれれれいみゅはいいこだよ!?」

子れいむは突然の親の暴行を理解できていなかった。
ただ人間が言っていた事と容赦ないお仕置きを見て
ひたすら謝ればいいと青年と親の顔色を何度もうかがっていた。

『おやおや? ゆっくりれいむだけになったか
 いやー まりさは大の大嫌いだったんだよな!』

青年は晴れ晴れとした顔で喜んだ。

「まりさなんて どこにもいないよ! あまあまだよ! れいむに はやくちょうだいね! いっぱいちょうだいね!」

『でもなぁ』

「…ゆ?」

『やっぱりなー…』

「ゆっ…がああああ!!! くさいくちを ひらくまえに さっさとあまあまを―

つっかかるれいむを無視して、青年は渋い顔で子れいむを見た。

『お前ってば 小さい子供が いるじゃないか
 子供がいるなら どんなに辛くても生きていけるだろ?
 可愛い子供がいればゆっくりできるって よく言うじゃんお前達ってさ』

「ゆ?ゆゆ?れいむの おちびちゃんは すんごく かわいいよ!
 すーりすーりすると とっても ゆっくりできるよ!」

「おきゃーしゃん れいみゅは いいこにゃの? いちゃいことしにゃい?」

『だろう?』

「で でもっ もっとゆっくりしたいんだよ?」

可愛いれいむの子れいむが、飛び切り可愛いのは当たり前だ。
しかしそれだけではゆっくり出来ない。
あまあまを手に入れる。それがれいむの生きがいだ。

「おちびちゃんが なんなの? かわいくてごめんね! だから あまあま―



『んー… 子供もいない独り身だったらさ 可哀想だから思わず甘々をいーーーーっぱい あげたんだけどなぁ』



「……ゆ?…………………いっ………ぱ…………い?」

『お前は独りぼっちじゃないもんなぁ…』

親れいむは子れいむを見た。
子れいむは親の考えている事を見抜いたわけではないが
「それはぜんぜんゆっくりできなくなる」
そんな本能からくる警報を受け取って小さい体で駆け始めた。
そしてゆっくりしない全速力で遠くへ逃げ始めた。

青年は子供を追い掛け回す親れいむをしばらく眺めていた。

「おがあじゃん ごっぢごなぃでぇええええええええ!!!!!!」

「までぇぇぇええええええええ!!!! にげるなぁあああああああああああ!!!!」

親れいむは後ろから子れいむを捕まえると
大きなあんよでがっちりと体重を掛けて押さえ込んだ。

「ゆぁあああああ!!! ゆんやぁあああああ!!! れいみゅ もっと ゆっくちちたいぃいいいい!!!」

子れいむは親れいむの足から
なんとかはみ出た上半身を前後左右へ必死に振っている。

「ゆぴっ!?」

おもむろに子れいむの頭に噛み付いた親れいむは
お飾りの赤いちっちゃなリボンを引き千切った

「れ、れいみゅのおりぼんしゃん!?ゆぁぁぁ!!ゆわぁぁああああ!!!!」

本来自分の頭についているはずのリボンが
地面にビリビリに引き裂かれて落ちている。
子れいむから流れる涙は地面を濡らし続けていた。

「おりぼんしゃん れいみゅの ところに もどっっっっっっっっぴょぴょぴょぴょぴょ!!!!」

なんとか親れいむから抜け出そうと
一生懸命に自分のリボンが落とされた場所へ体を伸ばしていたが
親れいむが子れいむの脳天に噛り付くやいなや、ズゾゾゾゾゾと中身を吸い始めた。

「おぴょぴょぴょぴょぴょぴょ!!…ぴょぴょぴょ!…ぴょぴょ!…ぴょ!………………………………ゅ…」

子れいむの大事な部分は、ものの数秒で親れいむの頬に溜まった。
親れいむは子れいむが動かなくなるのを確認すると押さえつけるのを止めて
口内に溜めていた液体を「ゆっぺ!!」子れいむの皮だけの死体の上に吐き出した。

「れいむは…あまあまを…たべるんだよ…ゆっくりするんだよ…ゆふふふふふ…れいむだけの…あまあま…ゆふふふふふふ…」


6.


「こどもも いなくて ひとりぼっちで さびしい れいむに おいしい あまあまを ちょうだいね!」

親れいむの口元は餡子でべったりと汚していた。
そして満面の笑顔と期待を込めた瞳を青年に向けている。

『たしかに一匹だけどさ
 お前見たところ、結構元気じゃないか
 ちゃんと餌とか自分で取れそうだ
 だったら俺が恵んであげなくても大丈夫なんじゃないか?』

と青年は告げた。
子れいむを制裁し、もうコレであまあまは全部
自分の物だと確信していたれいむはうろたえた。

「れいむは ごはんを みつけられるよ!?
 で、でも あまあまさんは みつけられないよ!
 あまあまさんは にんげんさんにしか かりができないんだよ!!」

『まあ、おちつけ』

「もうなんでもいいから ゆっくりしないで あまあまを れいむに ちょうだいね!
 いいかげんにしないと れいむ おこるよ ぷくー!!!!」

れいむは頬を膨らまして拗ねた表情だ。

『怒るくらい元気だったら 甘々なんていらないだろう?』

「なにいってるの? いるよ! たくさん いるんだよ!! あまあまがないと ゆっくりできないよ!」

『でもなー 必要なさそうだしなー』

「れいむは ひとりものだよ! さびしいよ! あまあまを もらわないといけないんだよ!!!」

『いやもっと…そう、ボロボロで傷ついた可哀想なゆっくりだったら…
 お兄さんは思わずクッキーでもケーキでもクリームパンでもなんでもあげちゃうかもなー
 こんなに甘くて美味しいお菓子を、野良ゆっくりが食べたらゆっくりしすぎて天国に行っちゃうかもっ』

野良の間では伝説とも言われるあまあまの名前達。
れいむは餡子の芯から来る衝動に震えた。

「あまあまぁああ! あまあまぁああああ! れいむに たべさせてぇええええ!! あまあまぁあああ!!!!」

『でも だってさー

れいむはものすごい勢いでx何処かへ跳ねていった。


7.


「お、おにいさん! れいむは ひとりぼっちで さ、さびしいれいむだよ!
 し、しかも おめめも はんぶんみえなくて と、とっても かわいそうだよ!
 だから あ、あまあま!あまあま!あまあま!あまままま!!!!!!」

片目が無残に潰れた野良れいむが青年にたかっている。
残った眼は真っ赤に血走り、口元からは涎が絶え間なく流れ続けている。

『おやまあ、そんな姿じゃ生きていくのも大変そうだな』

「かわいそうな れいむに はやく あまあまを あまあましてねぇぇえええ!!!!」

『でも』

「あまま!?」

『お前はあんよもしっかりしているし飾りも立派でさ
 俺じゃなくても仲間のゆっくりが ご飯くらい助けてくれるんじゃないか?」

「いいがら あまあまを だせぇええええええええ!!!!!!!!」

『うん 大丈夫だ
 それだけ元気な お前ならさ 自分で素敵な甘々をいつか見つけられるさ
 この甘々はもっと不幸そうなゆっくり達にあげるとするかな』

れいむは一心不乱に青年の足に体を擦り付ける。
それは甘えでも暴力でもなく甘々への執着から来たもので
もはや禁断症状とも言っていい現われだ。

『くっつくな 騒ぐな 纏わりつくな
 駄目だって そんなに我侭を言っても上げないぞ
 人間はお前たちよりも強いし、ましてや仲間でもないんだ
 お前の気持ちだけでは俺は動かないぞ?』


8.


リボンは木に何度も擦り付けたせいで破れている。
前歯は石を噛み砕いたせいで所々なくなっている。
噴水に出たり入ったりした底部は変な形に固まっている。
髪の毛はグシャグシャ、モミアゲは足りない、肌は泥だらけだ。

それでも辛うじてれいむ種と分かる野良れいむが青年の前にいた。

『うっわ キモ! 本当にみすぼらしいゆっくりだなあ
 だいぶ苦労して生きてきたって感じだ』

「れ、れいむ…は つらい…んだよ ふしあわ…せなんだ…よ
 だから…れいむに…あま…あま…ちょうだい…ね
 いっぱい…あっても…いいよ…はやく…ゆっくり…させて…ね」

蝿でもたかりそうな赤黒いのが懇願する。

『でもなぁ』

「あ あ あ あ あ あ あ あ あまあまを よごぜぇええええええ!!!!!」

と声を荒げるが
底部が気味悪く変形してしまったれいむには、もう青年に突っかかる事も出来ない。

『…うーん』

「ゆっぐりざぜろぉおおお!!! かわいぞうな でいぶは やざじぐじないど いげないんだぁああああああ!!!!」

涎なのか汗なのか泥水なのか、何か触りたくない者を振り乱しつつ薄汚れた物体が喚いている。

『でもさー』

「ゆっがぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」





『俺は ありすだけが 好きなんだよ』






「……………………………………………………ゆ?」

『お前がれいむじゃなかったら
 甘々なんてすぐにいくらでもあげたんだけどね~
 別にれいむなんてコレっぽちも興味ないしさ』

「…」

『ん?どうした?
 お前がれいむじゃなかったら
 甘いお菓子でも甘いジュースでも上げるって言ってるんだが?
 お前はありすか? 違うだろ? な、れいむ』

「れいぶぅう! でいぶは でいぶだびょおお!!! !!!!」

『見れば分かるって』

「でいぶは かわいぞうで ひとりぼっじで こどもがいなくで ぜんぜんゆっぐりできでないんだよぉおおおお!!!!」

『そうか、がんばれ、じゃあな』

「あまあまぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」


9.


ボロれいむが喚きながらスライムみたいにクネクネしていると
青年の近くの茂みから野良ゆっくりの家族が出てきた。

「おかあしゃん ないてる れいみゅ いたよ!」

「ゆ? ゆっくりしていってね にんげんさん…」

親れいむ、親まりさ、子れいむ、子まりさ。
薄汚れた体と弱弱しい声で野良ゆっくりが青年の足元を通る。

「じゃまして ごめんなさい…れいむたちは すぐにどこかへいくね」

ボロれいむの声を聞いて助けに来たのだろうか。
しかし人間が関わっていると知って、この場を直ぐに離れようとしていた。

『ちょっと待てお前ら…』

「れ、れいむたち なにか わるいことしたの にんげんさん?
 もしも にんげんさんを おこらせたなら どうか おちびちゃんたちだけは みのがしてください…おねがいします」

「ま、まりさが わるいんだよ! にんげんさん まりさが ここにのこるから どうか れいむたちを…」

『うんうん 仲の良さそうな家族だな
 ほら美味しいあまあまだ
 全部持っていっていいぞ!
 元気に暮らせよ! 』

青年は夜食の菓子パンを袋ごと親れいむに渡した。
親れいむは親まりさに渡すと大事に三角帽子に収めた。
そして親も子供達も揃って頭を下げて青年に感謝を告げた。

「あ、ありがとう にんげんさん! れいむたち これで ゆっくりできるよ!」

「まりさも いっぱいかんしゃするよ! にんげんさん ゆっくりしていってね!」

『じゃあなー 盗られないように 今晩全部食べとけよー』

何度も振り返ってお礼を言う野良の家族は、公園の奥へと消えていった。

「…ゆ?」

そして理解が尽いていけず、でいぶは何も言えなかった。

『ん どうした?
 俺は【れいむなんて大嫌い】だが
 【物を欲しがらないれいむ】には あまあまを上げたりするんだ』

青年はベンチに腰をかけて煙草を取り出した。

「ゆ…ゆへへ…ゆへへへへへへ…」

ベンチで一服する青年の元まで、ずーりずーりと汚いものが這う。
そして媚びへつらう笑顔を作って話しかけた。

「で、でいぶも あまあま なんて ほしくないよ!!!」

『あっそ じゃあやらねーよ じゃあな』

青年は煙草の火をれいむのつむじで擦り消すと公園を後にした。




「…あ…あま…あま…」

れいむの傍には もちろんあまあまなどは、ない。
あまあまを拾って来ないといつも叱っていたのに、それでも自分を愛してくれたまりさは、いない。
人間に取り入るために産んでみたが育ててみれば可愛かった子供達も、いない。

れいむには、あまあまがない

赤くて素敵なおリボンも
丸くて綺麗な瞳も
もちもちの肌も
何もかも

ない。






by キーガー・フレテール

挿絵 byM1


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感想

すべてのコメントを見る
  • お兄さん上手いなwww
    -- 2019-03-13 12:23:21
  • お兄さんいい意味で意地悪www -- 2012-12-09 15:41:59
  • クソデイブもゲスも、はたまた
    善良もそれぞれに需要があってなによりだ。 -- 2012-08-18 00:03:24
  • ゆうか可愛い最高
    -- 2012-07-28 19:34:40
  • すげえ面白かった -- 2012-05-19 20:57:52
  • ありすかわいいよありす
    -- 2012-03-25 20:13:11
  • ↓18
    得たものあるよ



    絶望 -- 2012-01-09 00:14:33
  • ↓×5ありますよ道徳  by鼻水垂れ小僧
    -- 2011-04-22 01:30:28
  • ありすがんばれYO -- 2011-03-01 01:55:13
  • ↓俺は…ありすでもなる -- 2011-01-27 08:05:51
  • 可哀想な子ありすがいたら助けたくなるのに
    それが子まりさや子れいむだったら
    じゃあもっと地獄を見せてやるよヒャッハー!てなるのはなんでだろうw
    -- 2010-12-23 16:50:31
  • まあゲスはゲスだったってことだ -- 2010-10-15 16:36:58
  • 道徳的だなぁ。良い話だ -- 2010-10-14 21:49:56
  • これ道徳の教科書に載っててもおかしくないくらいの話だなww

    今道徳なんて授業あるかどうかわからないけど -- 2010-09-25 08:49:04
  • 道徳的だなあ
    このお兄さん、神として何代か後のゆっくりに崇拝されるんじゃないだろうかw -- 2010-09-22 15:57:09
  • 善良なありすはホンと可愛いな -- 2010-09-15 18:32:03
  • キガフレさんのSSは毎回教訓的で面白い。 -- 2010-09-13 23:42:21
  • 道徳の時間ですね
    最高に面白い -- 2010-08-09 05:12:44
  • とてつもなくゆっくりできるSSだったぜーーー!! -- 2010-08-09 01:15:28
  • おお、でいぶでいぶ。 -- 2010-07-20 13:10:07
最終更新:2009年12月04日 18:33
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