ふたば系ゆっくりいじめ 105 ゆっくりの鬚

ゆっくりの鬚 11KB



※先日のスレでゆっくりにヒゲを生やしたらどうなる?という話題が出たので書いてみました


その日、俺は公園で日課のジョギングをしていた。
河川敷を走り、端を渡り、公園を一周して元来た道を返す。
ショップのバイトも楽じゃない。
毎日毎日100匹近いゆっくりの相手をしなければならないのだ。
隙を見て逃げ出そうとする奴、身の程知らずにも人間を倒そうとする奴、大切な商品とすり替わろうとする野良etcetc...。
タチの悪い馬鹿ばっかりだ。
そんな奴らに万が一にも後れを取るわけにはいかない。
ゆっくりへの悪態をつきながら、黙々と走る。
公園に差し掛かった。
日は沈みかけ、外灯が照らすベンチに、二匹のゆっくりが見える。
野良だな。
折角だ、踏み潰してから帰ろう。
俺は近づいた。
「まりさ…ごめんね…れいむはもういっしょにゆっくりできないよ…」
「れいむぅ!?どうしてそんなこというのおおおおおおおおお!!!」
ああ?
なんか面倒くさい場面に遭遇してしまったな。
よく見ると、れいむの身体は黒ずんでいる。
ベンチの下にはありすの死骸。
どうやら、あの番のれいむがれいぱーありすに襲われてしまったらしい。
「まりさ…たすけてくれてありがとう…ごめんね…ごめんね…」
「れいむ!?しっかりするんだぜれいむ!いっしょにゆっくりするってやくそくだぜ!!」
「まりさ…。ゆっくり…していってね……!」
「れいむ!ありすはまりさがたおしたよ!ゆっくりできるんだよ!!めをあけるんだぜ!れいむ!!!」
「………」
れいむは答えなかった。
最後の力を振り絞り、番のまりさに言葉を伝えた。
まりさは無力感に打ちひしがれ、ただれいむ、れいむとうわごとのように繰り返すだけだ。
「おい」
俺は話しかけた。
「!!」
「そのれいむ、お前の番か」
「や、やめるんだぜ!れいむはもうゆっくりできないんだぜ!さわらないでね!!」
身体を膨らまして威嚇された。
しかし、身体はがたがたと震えている。
目にはれいむを失った悲しみと、れいむの死骸を誰にも渡さないという決意と、人間に対する恐怖があった。
「心配すんな。お前のれいむに手を出す気はねぇ」
「だったら…だったらあっちにいってほしいんだぜ…!まりさはれいむとふたりで、さいごのゆっくりをしたいんだぜ…!!」
必死に涙を耐えながら、ただそれだけを搾り出すまりさ。
なるほどな…ちょっと、憐れだ。
そうしてしばらく眺めているうちに、ふと、俺はいいことを思いついた。
「なあ、まりさ。そのれいむと、一生一緒にいられるようにしてやろうか」
「ゆゆ!?」
「そのれいむは死んでる。生き返らせることは出来ない」
「しってるぜ…。いくらにんげんさんでも、それはむりなのぜ…」
「だが、そのれいむの体の一部をお前に取り付けてやることは出来る」
「ほ、ほんとうなのぜ!?」
「ああ、まだ死んで間もないなら、腐ることもないと思う」
「やってほしいのぜ!まりさはれいむとしぬまでゆっくりするってやくそくしたんだぜ!!」
「だが…。お前、そうすると他のゆっくりからいじめられるかもしれんぞ。そうするとゆっくり出来なくなる。いいのか?」
「やってほしいんだぜ!!」
即答。
いいだろ、ちゃんとやってやる。
俺も、たまには優しい気持ちになるさ。

家にれいむの死骸とまりさを連れて行き、俺はバイト先の店長に電話をかけた。
こいつに移植するための道具は一式揃ってるが、どうしても欲しいものがあった。
それを店長に告げると怪訝な声が帰ってきたが、目的を言うと快くオーケーの返事。
もうすぐ店を閉めるというので、帰りに持ってきてくれると言っていた。
「で、まりさ。お前はれいむのどこが欲しいんだ?」
「かみだよ!れいむのかみはくろくてすべすべで、とってもゆっくりできたんだよ!」
髪、ねぇ。
「わかった。お前にはちょっとキツいだろうから、ちょっとあっち行ってろ。
 れいむの髪を取り終わったら、俺が埋めておいてやる」
「ありがとうだぜ!」
髪を頭皮とその下の餡ごと剥ぎ取り、オレンジジュースで満たしたタッパーに入れる。
まりさにつけた時、拒否反応がおきないようにするためだ。
鮮度が命。
「おい、まりさ、ちょっとれいむを埋めてくるからな…?」
「ゆぅ…ゆぅ…」
声をかけるとまりさは眠っていた。
緊張とショックの連続だったんだろう。
寝かしておいてやるか…。

れいむを埋め終わった所で、丁度店長からメールが来た。
家に着いたらしい。
「店長、わざわざすみません」
「面白そうだから気にしなくていいよ。宅飲みで何度もお邪魔してるし、店から近いしね」
笑顔の店長に、ドアをあけて中へ入るよう促す。
「何もお出しできないんですけど…」
「気にしない気にしない。それより、早く始めようよ」
店長はゆっくりが気になって仕方がないらしい。
じゃあ、始めるか…。
やることは簡単だ。
薬箱からゆっくり用の睡眠薬と注射器を取り出し、眠ったまりさを起きないようにする。
顎の皮を丁寧に剥ぎ、先ほどれいむの死骸から剥ぎ取った髪を移植。
ただし、その間にちょっとした仕掛け、店長が持ってきてくれたブツを使用する。
まぁ、それは後ほど。
手術を終え、傷口にオレンジジュースを丁寧にぬっていると、隣で店長が噴出す音が聞こえた。
俺は、なんとか、堪えている。
だってコレ。
「鬚ッ…これ…鬚だよ……ッ!!!」
そう。
鬚だもんよ!!
まりさに黒く艶やかな鬚が生えている。
店長も俺も、笑い死にしそうだ。
あとは、麻酔が切れる時間に先ほどの公園にいるよう、計算しながら戻してやる。
細工は流々仕上げを御覧じろ、か。

「店長、モニタどうです?」
「良好良好。綺麗に写ってるし、寝息も聞こえてる。成功だねこれ!」
翌朝、朝一で出勤した俺を、笑顔の店長が出迎えた。
昨日のまりさの額に施した仕掛けがうまくいっていたらしい。
施した仕掛け。
それは超小型のカメラとマイクだ。
れいむの一部をまりさに移植する、となった時、俺がひらめいたのはこれだった。
どこであれ、れいむの一部を移植されたまりさは異形の存在になる。
他の野良ゆっくり達のリアルな反応を見てみたいと思ったのだ。
面白い反応を期待して、だ。
だから肌の一部だとか、そんなパッと見わかりにくいものを言い出したら、勝手に弄ってやろうと考えていた。
まさか、あんな面白い顔になろうとするとは思わなかったが。
『ゆ…れいむ…あさだぜ…』
「…!おきた!おきたよ…!」
声を潜める店長。
「店長、声潜めなくてもあいつには聞こえませんって」
つい、と店長は頭をかく。
男がやっても色気は無ぇなぁ。
『ゆ…?そうか…そうだぜ。れいむはもういないんだぜ…。
 でも…この、れいむのかみがあるから、まりさはさびしくなんかないんだぜ!
 れいむ!これからずっとまりさとゆっくりしようね!!』
こうしてヒゲまりさは誕生した。

それから。
俺と店長は仕事があるので交替でモニタを見張ることにした。
録画はしてあるが、やっぱり面白い場面はリアルタイムで見たい。
『ゆっゆーん♪』
まりさは上機嫌で跳ね回っている。
画面酔いしそうだ…。
『…!』
『どうだぜ!?れいむのかみは!とってもきれいでゆっくりできるんだぜ!』
自慢げにまりさは話すが、どのゆっくりも何も言わずに逃げて行く。
『…ふん!このかみのかちをりかいできないくずはさっさとしぬがいいんだぜ』
負け惜しみのように呟いて、まりさは跳ね回るのを続けた。
跳ね回る。
自慢する。
無視される。
負け惜しみ。
跳ね回る。
そんなくだらないループが延々と続く。
店が閉まるころには、俺も店長も、いい加減疲れはてていた。
「これ、駄目だったんですかねぇ…」
「僕もいけると思ったんだけどなぁ…」
「バッテリー…どんくらいもちますっけぇ…」
「んー…2日くらい」
「明日は面白いことあるといいですねぇ…」
「あー…一昨日死んだゆっくりにでも祈っとくよぉ…」
「どれっすかー…10匹くらい死にましたけどー」
「どれでもいいわぁ…」
こうして観察の一日目は、徒労感だけを残して終わってしまった。

翌朝早朝。
俺は携帯の着信で叩き起こされた。
『大変だ!今すぐ店に来てくれ!面白いことになってる!!』
それだけ言ってきれた。
店長から、だよなぁ…。
寝ぼけていまひとつ判別できなかった。
俺はボサボサの髪をごまかすために帽子だけかぶって店に向った。
こういう時、バイト先が近いのは便利だ。
「おはようざいあーす」
「遅いよ!早く!まだ始まってないから!急いで!!」
俺はまだ半分眠ってる感じだ。
だが、モニタを覗き込むと、その眠気も吹き飛んだ。
「なんじゃこりゃ」
見ると、まりさのヒゲに色々なゆっくりが擦り寄ってきているではないか。
『まりさのおひげ…とってもゆっくりできるよ…すーりすーり……』
『これはおひげじゃないよ!れいむのかみだよ!』
『ずるいよ!れいむにもすりすりさせてね!』
どこか熱に浮かされたような表情で擦り寄るゆっくりたち。
「店長!これは一体!?」
「僕もはじめて見たよ…。っていうか、そもそも普通は髪をヒゲみたく移植しようとは思わないしね」
「ぐ…」
「ただ、これは僕の推測なんだけど…」
ゆっくりの出すフェロモンが関わっているのではないか。
店長はそう言った。
ゆっくりたちは、頬をすり合わせることによってお互いの愛情を表現しあう。
店長の持論だと、それは頬から出るフェロモンが一番濃いからなのだとか。
まりさの場合、その頬にはれいむの髪が生えている。
フェロモンが一日かけて髪全体に通うようになり、それがゆっくりたちを引き寄せているのではないか、と。
「やつらにフェロモン、というのはあまり信じられませんけど…」
「いや、意外とそうでもないんだ。あいつらは飾りも見た目も一緒だ。だが、配偶者や親兄弟を識別できる。
 それは、ゆっくりそれぞれが違った臭い、つまりフェロモンを持っているからだ」
ゆっくり一体一体でフェロモンは違うということらしい。
『まりさぁ…まりさぁ…!!』
「うわ…あのれいむ、なんか発情してるんですけど…」
「恐らく、配偶者をひきつけるような…早い話、性的なフェロモンが発せられてるんだろう」
店長は説明を続けた。
フェロモンには個体差があり、さらに親子間、配偶者間で発するものは変わるのだという。
この場合、元配偶者であったれいむの髪がすぐ近くにある。
そのため、まりさの身体はれいむが密着しているものと反応し、常に性的なフェロモンを発し続けている、というわけだ。
「まぁ、フェロモンの話はわかりましたけど…いい加減、気持ち悪いですねこれ」
「まりさのフェロモンが強いんだろうなぁ。れいむの髪を通していることも関係あるのかも」
「れいむとまりさのにおいが混ざって、ってことですか」
「物分りいいねぇ」
それほどでも。
『まりさ!まりさ!まりさああああああ!!』
『はなしなさい!このまりさのおひげはとかいはなわたしにふさわしいわ!!』
段々修羅場じみてきたな…。
のんきに眺めていたが、ぶちぃ、という音が聞こえてまりさが叫び声を上げた。
「お?」
「んん?」
『ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!れいむのかみちぎったのだれええええええええええええええええええ!!!!!!????』
『ゆっくち!これでみゃみゃとれいみゅはゆっくちできりゅよ!』
ちぎったのは赤ゆのれいむ。
口にくわえられた細い髪の束の先には肌色の皮がついていた。
何か、雰囲気が変わったのを察したのだろう。
まりさの視点がキョロキョロと落ち着き無く変わる。
『こ、こんなことをされたらゆっくりできないんだぜ!!まりさがおとなしくしてるあいだにどっかにきえてね!』
しかし、どのゆっくりも反応しない。
『な、なんだぜ!?なんなんだぜ!?いいからまりさのおうちからでていくんだぜ!!!』
まりさは叫んだ。
叫びながら前にはねる。
逃げようとしているのだ。
『ゆげっ!?』
しかし、外へ出ることは出来なかった。
よこにいたありすがまりさに体当たりを食らわせたからだ。
『まりさがそんなとかいはなものをもってちゃいけないわ』
『むきゅ。かしこいぱちゅりーがもらってあげるわ』
『や、やめるんだぜ!これはまりさのれいむなのぜ…』
まりさは再び声を張り上げたが、最後まで言い切ることは出来なかった。
ありすが飛びつく。
ぱちゅりーが引きちぎる。
れいむが噛み付いて皮膚ごと抉り取った。
赤ゆ達は綱引きのように口でヒゲを引張る。
四方八方からヒゲを引張られまりさの顔は醜く伸びきっていることだろう。
カメラからはまりさの視点しか見えないのが残念だ。
『ゆぎゃあああああ!!ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいい!!!!やべでえええええええ!!!
 おねがいじまずがら!!!やめでえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!』
まりさの叫びは画面の激しい揺れと共に響き続け、やがて静まり、モニタの映像も動かなくなった。

バイトが終わって、昼休み。
ちょっと遠出して、俺は件の公園へ出かけた。
まりさのその後を見届けるためと、カメラやマイクを回収するためだ。
店長からの要望で、撮影用のビデオカメラを装備。
「お、あそこだな」
例のヒゲまりさの巣を見つけ、録画ボタンを押しながら覗き込んだ。
「うわ…」
そこには、虫の息のまりさがいた。
マイクでも拾えないような、微細な呼吸音。
「ふひゅー…ふひゅー…」
巣の中にはまりさの破片が散乱していた。
俺の足元にはまりさの下顎、右には左目とその周り、奥の方には底部ごと剥ぎ取られた足が張り付いている。
これじゃあ動くことも、喋ることも出来やしない。
あのゆっくり共、ヒゲさえあれば良かったのか。
こんなにボロボロになりゃー食われててもおかしくないんだけど。
「しっかし…よく生きてるなー…」
まりさは残った右目だけでこっちを見、反応した。
「ひゅっ…!ふひゅっ」
助けを懇願しているような、そんな目だ。
俺に慈悲を乞うている。
まだ死にたくないと、縋り付いている。
「…ふひゅぅ……!ひゅっ」
何の反応も示さず、ただ録画を続ける俺に何かを呼びかけている。
「ひゅっひゅっひゅ…!」
「………。」
「ふひゅっひゅ…」
間もなく。
残った右目から一筋、涙が流れ落ちた。
それが地面に流れ、染みを作り、まりさは、呼吸を止めた。

【終】

途中で気づきましたが…
コレヒゲ関係ねぇ!!
すみません
それと、一昨日書くといっておきながら今になってしまいました
重ねてすみません…

by原あき


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感想

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  • 人間の腋毛と同じww
    自分も前々からゆっくりは匂いに敏感だなって思ってました~(鼻が無いのに、あまあまや死臭を感じるなど)
    フェロモンが強すぎたのかな?ほとんど麻薬状態じゃないかww -- 2018-01-19 06:50:22
  • ↓wwww前振りすぐるwww
    -- 2010-09-10 19:52:58
  • すごいよマサルさんの話とかするなよ!絶対だぞ! -- 2010-09-06 05:35:26
  • イラストが欲しいね -- 2010-06-18 21:33:58
最終更新:2009年10月18日 13:29
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