ふたば系ゆっくりいじめ 743 願いの果てに

願いの果てに 20KB


制裁 悲劇 ゲス 希少種 自然界 初投稿

あるところに、大きな花畑があった。
この花畑は人間のものではない。
ゆっくりの手によって作られたものだ。

ゆっくりゆうか。

主に花を愛で、花を育てるゆっくりだ。
この花畑には何匹ものゆうかが住んでおり、互いに協力して仲良くしながら花を育てていた。
もう何年も前からゆうか種の手によって続いている、伝統のある花畑である。
しかし、突如この花畑に危機が訪れた。

「やべでええええええええ、ゆうかのおはなさんたべないでええええええええ!!」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!!」
「ゆっへっへ、このはなはぜんぶまりささまがたべてやるんだぜ!!」
「ひとりじめするなんて、とかいはじゃないわ!!」
「おとなしくぱちぇたちにさしだしてね、むきゃきゃきゃ!!」

花畑を荒らす、無数のゆっくりたち。
このゆっくりの群れは最近近くに引っ越してきた群れで、すぐにこの花畑を見つけて食べに来たのだ。
数はおよそ、ゆうかたちの十倍。
立ち向かうにはあまりに無謀な戦力差だった。

「おとうさあああん、おかあさあああん!!」

ゆっくりたちがひとしきり満足して帰った後。
そこにはボロ雑巾のようになった二匹のゆうかがいた。
その二匹に、頭に花飾りがついたゆうかが近づく。
二匹は花飾りのついたゆうかの両親で、襲撃者のゆっくりたちに見せしめとして殺されたのだ。
両親のゆうかは息絶えているどころか、もはや原型すら留めていなかった。

嬲られ犯され八つ裂きにされる両親。
死んだ後もなお、死姦され踏み潰され排泄物を掛けられ辱められた。
それを泣き叫びながら見ていた花飾りのゆうか。
周りの大人たちに抑えられてるため、近づいて助ける事は出来ない。
もっとも飛び出したところで、両親と同じ目に遭って殺されただけだろう。
それを両親や周りの大人たちは分かっていた。

母親の体を覆うぬめぬめした液体が頬につくのも構わず、花飾りのゆうかはすりすりを続ける。
ゆうかは、自分の両親を殺したゆっくりたちに復讐を誓った。
しかしゆうかも、今の自分の力では返り討ちにあうことは理解できていた。
どうすればいいか、ゆうかは思案する。
そこで、ゆうかは幼い頃母親に聞かされた話を思い出す。
なんでもここから太陽の沈む方向にずっといくと、ゆっくりの神様がいるというのだ。
その神様は対価と引き換えにどんな願いもかなえてくれるという。
その神様なら、憎きゆっくりたちに復讐できる力を授けてくれるかもしれない。
そう考えたゆうかは、皆に内緒で神様のいると伝わる方角に跳ねていった。

一日目……二日目……三日目……
道に生えてる草を啄ばみ、夜も眠らず、わずかな休憩時間すら惜しんで跳ね続けた。
幸い雨は降らず、足止めされることなく進む事が出来た。
疲れて果て、体はボロボロになり、三日目の夜にはすでに満身創痍の状態になっていた。
それでもゆうかは諦めなかった、両親の仇をとるため、花畑を守るため、神様に会おうと跳ね続けた。
そしてついに、ゆうかの目の前に神様が現れた。
毛むくじゃらな体、地面に接した四本の足、先端に顔のついた尻尾、黒くて大きな羽、そして歪で不細工なキモウザフェイス。
そう、きめら丸である。

「おお、私に何か用ですか?」

きめら丸はゆうかを見下ろし、そう問いかける。
ゆうかは自分が住んでいた花畑に突如ゆっくりたちが攻めてきたこと。
そのゆっくりたちに、両親を無残に殺されたことを話した。

「ちからがほしいの、あいつらにふくしゅうするためのちからが!
おねがいかみさま! なんじゅっぴきといるゆっくりをころせるちからをわたしにください!」

ゆうかは必死に懇願する。
しかしそんなゆうかに対してきめら丸はさらに問いかける。

「おお、力といわれても……具体的にどんな力が欲しいのですか?」
「ゆっ、それは……」

敵を討つための力が欲しいとは言ったが、具体的にどんな力が欲しいかは考えていなかった。
ゆうかは考えた、どんな力を持てば、何十匹といるゆっくりたちを葬ることが出来るのだろうか?

身体能力を上げてもらう?
いや、駄目だ。
向こうには自分より大きなゆっくりが何匹もいる。
単純に強くなっただけで、そいつら全員を相手に出来るだろうか?

ドスまりさみたいに大きな体を持つ?
いや、それも駄目だ。
そんな大きな体で動き回ったら、ゆっくりたちは殺せても花畑は無事ではすまない。
出来れば花畑はなるべく傷つけたくない。

何か特殊な能力……例えばドスパークのような能力を持つ?
いや、それも駄目だ。
ドスパークも花畑を焼いてしまう。
かといって花畑を傷つけず、なおかつ大勢のゆっくりを相手に出来る能力。
そんな都合のいい能力などあるだろうか?

思案に暮れるゆうかの脳裏に、ふと幼い頃に見た記憶がよみがえる。
あれは両親と一緒に、初めて遠くまで狩りに行ったときのこと。
ゆうかがちょうど一人でいるときに、両親よりも遥かに大きな見上げるほど巨大な生き物を見かけた。
その生き物の足元には、十数匹のゆっくりがいた。
大人から赤ちゃんまで揃っていたので、多分家族だったのだろう。
ゆっくりたちはその生き物に向かって「あまあまよこせ」だの「くそどれい」だのと、なんだか良く分からないことをわめき散らしていた。
訳が分からず草葉の影から傍観していたところ、突如巨大な生き物が動き出し、目の前にいたゆっくりの一匹をあっさりと潰した。
突然ゆっくりたちは泣き喚き命乞いをする。
さっきまでの強気な態度から一瞬にして180度反転したようなゆっくりたちの態度は、ゆうかの目にはとても滑稽に映った。
だが生き物は、そんなゆっくりたちの声が聞こえていないのか、それとも無視しているのか。
ゆっくりの家族を一匹残らず殺した。

その後、生き物は何事もなかったかのように去っていくが、ゆうかの心には大きな恐怖が残った。
大人のゆっくりより遥かに大きな体躯。
何匹ものゆっくりをあっさりと葬る圧倒的な力。
そして命乞いをするゆっくりを何の趙著もなく殺せる非情さ。
ゆうかは両親に発見されるまで、その場で体を震わせたまま一歩も動けずにいた。
その後両親にそのことを話すと、その生き物は『人間』と呼ばれるものらしい。
そして、人間は強くて恐ろしいものだから、もし見かけたとしても極力関わってはいけないと教えられた。

「ゆっ、きまったわ!」
「おお、それではどんな力が欲しいのですか?」
「ゆうかを、ゆうかをにんげんにしてください!」
「おお、人間に……いいでしょう、あなたの願いを叶えてあげます」
「ゆ! それじゃあ……」
「ただし、タダでは叶えてあげませんよ、その願いと同等の対価を、あなたに払ってもらいます」
「わかっているわ、なにをはらえばいいの?」
「そうですね……」

きめら丸は少し考える仕草をしたあと、ゆうかに向き直るとこう言った。

「あなたの声は透き通るような、優しくて心地よい声です
 その声を、願いの対価としていただきましょう」
「ゆ!?」

ゆうかはきめら丸の言葉に驚いた。
てっきり花とか食べ物とかを要求すると思ったが、まさか自分の声を所望するなんて。

両親に綺麗だね、と褒めてもらったゆうかの声。
両親に上手だね、と褒めてもらったゆうかの歌。
しかし歌を歌ってあげる相手はもういない、憎きゆっくりたちに殺されてしまったから。

「ゆ……いいわ、ゆうかのこえをあげるから、ゆうかをにんげんにして」
「おお、契約成立ですね」

「それでは目を閉じてください、すぐ終わります」

ゆうかは目を閉じると、なにやら足の辺りがムズムズする。
なにやら体が持ち上がるような感覚がすると、突如その感覚がなくなった。

「おお、いいですよ目を開けてください」

ゆうかは言われたままに目を開けると、最初に目に入ったのはきめら丸の顔だった。
だが見える角度がなにやらおかしい、以前は見上げるように体を傾けなければ見れなかったきめら丸の顔が、今は顔を水平にするだけで目に入ってくる。
ゆうかは目線を下に向けると、地面が遥か下にあることに気づいた。

(…お空を飛んでるみたい)

ふと普通のゆっくりが口走るようなことを言ってしまう。
だが音としては聞こえてこなかった。
地面が見えると同時に、自分の体の下になにやら巨大な物体がついていることに気づく。
いや、これが体なのだろうか?
地面に接している感触を与える二本の触手、そしてすぐ脇、左右に一本ずつぶら下がっている触手。
左右にある触手を動かそうとしてみる。
すると触手は重力に逆らって持ち上がり、ゆうかの目の前に末端をもってくる。
末端にはさらに細い触手が五本生えている、それらも動かそうとしてみる。
なんと一本一本を独立させて、自由自在に動かすことが出来た。
だが、触手を曲げられる位置と方向には制限があるようだ、無理に曲げられない方向に動かそうとすると痛みが走った。

「それが人間の体ですよ」

戸惑うゆうかにきめら丸は話しかける。

「地面と接しているのが『足』、左右にぶら下がっているのが『腕』、
腕の末端についているのが『手』、そして腕と足が繋がっている大きな部分が『胴』です
それと体全体を覆っているのは布は『服』といいます、ないといろいろ不便なんでサービスで着せてあげました」

ゆうかはきめら丸に教えられた位置を確認するように、それぞれの体の部位を見つめる。

「これであなたは人間になりました
体はもちろん、力や知能も人間と同等のものになっています
並みのゆっくり程度ならあっさりと葬れるでしょう」

きめら丸の言葉に、ゆうかはハッとする。
そうだ、自分は両親を殺したゆっくりに復讐するためにこの力を手に入れたのだ。

(ありがとう神さま!)

お礼を言おうとするが、またしても声が出ない。
それでゆうかは、自分が喋れなくなったことを再確認した。

「声は聞こえなくても言いたい事は伝わりますよ
それより一刻も早く戻ったほうがいいですよ
帰り道は分かりますよね」

ゆうかはきめら丸に頭を下げると、急いで花畑へと向かった。
最初は人間の体に慣れなくて歩くのも億劫だったが、徐々にコツを掴んでいき、ついに走る事まで出来るようになった。
人間の移動速度はゆっくりよりも遥かに速い。
ゆうかがきめら丸に会うまで三日かかった距離を、一日で移動することが出来た。



その頃花畑では。

「むーしゃむーしゃ……ゆ? ゆうううう!!!」

相変わらず花畑の花をむしゃむしゃしていたゆっくりたちだったが、ここでついに転機が訪れた。
なんと、花畑の花を食い尽くしてしまったのだ。

「な、なんでおはながないんだぜええええ!!」
「おはなさんどこいったのおおおおおおお!!」
「ゆびぇえええええええ、れいみゅもっちょたべちゃいよおおおおおお!!」

食べるものがなくなって嘆くゆっくりたち。
花だって無限にあるわけじゃない、消費するだけではなくなるのは当然である。
嘆くゆっくりたちを、ゆうかたちは呆れ果てた目で見ていた。

「むきゅ、わかったわ! こいつらがおはなをどっかにかくしちゃったのよ!!」

一匹のぱちゅりーがゆうかたちの方を向いてそんなことを言い出した。

「ゆぅぅぅなにいってるの!? ゆうかたちはかくしてなんていないよ!!」
「そうだよ!! おはなさんはここにはえてたのでぜんぶだよ!!」
「むきゃきゃ、うそおっしゃい! おはなはかってにはえてくるものなのよ!
そのおはながなくなるなんてありえないわ!
つまり、あなたたちがどっかにかくしたということよ!!」

さも言ってやったという顔でぱちゅりーはゆうかたちに説明する。
花が咲く仕組みを理解しておらず、この花畑がゆうかたちの努力の結晶だということも分かっていない。
ぱちゅりー種とは思えない頭の悪さである。

「ゆぅぅぅ、ゆるさないよゆうかのぶんざいでええええええ!!!」
「れいむのおはな、かえせええええええええええ!!!」
「おはなをかくすげすなゆうかたちはしねええええええええ!!!」

しかしぱちゅりーの言い分を鵜呑みにしたゆっくりたちは怒りをあらわにし、ゆうかたちに襲い掛かる。
ゆうかたちが今まで逃げなかったのは、この場所が花を育てるのに最適な土地であったのと、この場所から外に花を育てられるような土地が見つからなかったからという理由もあるが、
何よりも先祖代々から続いていた花畑をそう簡単に見捨てられないという気持ちがあったからだ。
だが、今殺しに来ている脅威を前にじっとしているわけにはいかない。
ゆうかたちは必死で逃げ出した。

「ゆべっ」
「おちびちゃん!」

途中幼いゆうかが転倒してしまう。
母親は子ゆうかに駆け寄ろうとするが、あと一歩というところで親ゆうかは跳ね飛ばされてしまう。

「ゆっへっへ、まりささまをだますようなげすはどうなるか、よくみてるんだぜ」

親ゆうかを突き飛ばしたまりさは子ゆうかにのしかかると、徐々に体重をかけていく。

「ゆぐぅぅぅ、くるちいよぉぉぉ!」
「やべでえええええ!! そのこはゆうかのたったひとりのこなんです!! とってもやさしいこなんでずうううう!!
おねがいだからごろざないでえええええええ!!!」

そんなゆうかの懇願を聞いてさらにニヤニヤするまりさ。
苦しむ子ゆうかと、嘆く親ゆうかの反応を楽しむようにゆっくりゆっくり押しつぶしていく。
助けに行きたくても、すでに親ゆうかは数匹のゆっくりに押さえつけられており、どうする事も出来ない。
周りのゆっくりたちも汚らしい笑みを浮かべながら、その様子を眺めていた。

「お……おきゃーしゃ……」
「あああああああああゆうかああああああああああああ!!!」

「ゆ……ゆっく……ち……て……い……てね」



ボン!



親ゆうかの顔に飛び散った餡子が降りかかる。

親ゆうかには目の前の出来事が、しっかりと目に焼きついていた。

顔の右半分を破裂させた。






ゆっくりまりさの姿を。






「……ゆ?」

何が起こったのか分からず、疑問の声を上げる親ゆうか。
それは周りのゆっくりたちも同様で、その場にいるすべてのゆっくりが呆然とした表情で固まっていた。

「は……ひ……な……なんなんはへ……?」

さっきまで弱者をいたぶって優越感に浸っていたまりさは、突然自分の顔半分を吹き飛ばされた痛みに目を白黒させる。
ふと、自分を覆う影に気づき視線を上に向ける。
そこには、ゆうか種と同じ緑色の髪をした人間が立っていた。

「ゆ……おいにんへん……まりひゃひゃまをたす……」

ブジャン!

人間に助けてもらおうと命令したまりさは、その人間にあっさりと踏み潰されて死んだ。
その人間を中心に餡子が飛び散り、地面に小さな花を咲かせる。

「ゆ……ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

その場に絶叫が響き渡る。
ちなみに叫んだのは襲撃者側のゆっくりれいむだ。

「いぎなりなにずるのおおおおおおおおお!!」
「よぐもまりざをごろじだなごのぐぞにんげん!!」
「このいなかものがあああああああああああ!!」

嘆くもの、罵倒するもの、反応は様々だった。
ゆうかたちの方は一言も声を発していない、ただ目の前の状況を把握できず混乱しているだけだった。
この人間はもちろん、あのきめら丸と出会ったゆうかである。
ゆうかが花畑に着いたと同時に、ゆうかたちがゆっくりたちに襲われていたので、居ても立ってもいられず飛び出したのだ。
ゆうかはすぐ近くにいた、片手で持てるくらいの大きさの子れいむを掴む。

「ゆゆ~ん、おしょらをとんじぇるみちゃい~」

子れいむは、さっきまで泣き叫んでいたのが嘘のような暢気な声を上げる。

「ゆううううう、なにおちびちゃんにさわってんのおおおおおお!!?」
「きたないてでさわるんじゃないんだぜくそにんげん!!」

ゆっくりたちの声などまるっきり無視して、ゆうかは子ゆっくりを見つめる。

「ゆん! れいみゅをみてゆっくちできたでちょ
おりぇいはあみゃあみゃでいいよ、どりぇいはしゃっしゃともっちぇきちぇ……ゆ?」

ゆうかは子ゆっくりを持つ手をゆっくりと握っていく。
まるで自分の力を確かめるように、ゆっくりゆっくりと。

「ゆぶぶぶぶ、ぐるぢいいいいいいい!」

自身を包む圧力に、子ゆっくりは苦しみの声を上げる。
手に収まりきらなかった部分が膨らみ、皮がぱんぱんに張って薄くなる。

「だじゅげでおがぁしゃあああああああああん(パン!)

そんな断末魔を残して、子ゆっくりは弾けた。
ゆうかの指の間から、ボタボタと餡子が垂れてくる。
ちなみに破裂した子ゆっくりの母親はゆうかから離れた場所におり、ただ呆然としていただけで一度も子ゆっくりの身を案じることもなく、子ゆっくりの死を嘆く事もなかった。

「ゆっくりしねええええええ!!!」

一匹のまりさが、ゆうかの足にぶつかる。

「ゆふふ、にんげんのぶんざいでまりさたちにさからうなんてなまいきなんだぜ!
あやまってもおそいのぜ、いたくてなきさけんでもゆるさないのぜ!
ゆっくりまりさにころされてね!」

そんな無謀……いや勇敢なまりさに感化され、周りのゆっくりたちも攻撃に加わる。

「げすにんげんはゆっくりしんでね!」
「いなかものはさっさとしになさい!」
「さっさとくたばるんだみょん!」
「むきゅきゅ、そのちょうしよ! あとちょっとでこのにんげんをころせるわ!」

ポコン、ペチンという音がいくつも響き渡る。
ゆっくりたちは自分たちの勝利を疑っていない。
自分たちの攻撃は確実に効いており、人間はもうボロボロで満身創痍の状態だ。
もう少しだ、もう少しで人間を殺せる。
そう信じて疑わない。
だが、ゆうかの体は微動だにしない、ただじっとゆっくりたちを見下ろしているだけだ。

「ゆふー、ゆふー、つかれたよ」
「ぜー、ぜー、なかなかしぶといんだねー」
「はぁ、はぁ、さっさとたおれなさいよ」
「おいにんげん、やせがまんはやめるんだぜ! ほんとうはいたくていたくてたまらないのぜ?
さっさとなきさけ(グチャ)

息を荒くしてわめき散らすまりさが、おもむろに踏み潰される。

「ゆ(ベシャ)
「みょ(ブシャ)
「わか(グシャ)

ゆうかは自分に攻撃していた全てのゆっくりを、足一本で潰す。
そして、ゆうかは再び呆然とするゆっくりたちに、目を向けた。
ここで初めて、ゆっくりたちはゆうかの目を見た。

憤怒と憎悪と殺意で彩られた、燃えるように赤い、悪鬼のような目を。


『ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!』


ゆっくりたちは先程れいむが上げた絶叫よりも、さらに大きな絶叫を上げる。
気づいたのだ、今目の前にいる存在は、決して自分たちが適わない存在であることに。
そして、目の前にいる存在は自分たちを皆殺しにするつもりであることに。

それからは一方的な虐殺だった。
いや、虐殺はゆうかが来る前から始まっていた。
ただ立場が変わっただけ。
殺す側が殺される側になっただけ。

あるゆっくりは地面に叩きつけられ、ぐちゃぐちゃにされた。
あるゆっくりは顔の皮を剥がされ、野ざらしにされた。
あるゆっくりは体に手を突っ込まれ、餡子を掻き出された。
どのゆっくりも泣き叫び懇願し、そして無残な方法で殺された。

「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおお!!!?」

(どうして? それじゃあどうしてお前たちは私の両親を殺したの?)

「たずげでじにだぐないいいいいいいいいいいい!!!!」

(そう言った相手を笑いながら殺してきたのは誰だっけ?)

「なんでぼずるがらあああああああああああああ!!!!」

(何でも? じゃあ死んで、あなたたち全員死んでよ)

一切躊躇せず、一片の慈悲もかけず、ゆうかはゆっくりたちを葬っていく。
ゆっくりたちの絶叫は風に乗り、花畑周辺に響き渡っていた。


ようやく絶叫がやんだ頃。
大地には無くなった花の代わりに、色とりどりの餡子の花が咲き乱れていた。
その花畑の中心にゆうかは立ち尽くしており、髪の毛から靴まで全身返り餡子に染まっている。
ゆうかは口元にうっすらと笑みを浮かべてる。
その顔は満足感で満ち溢れていた。

(やった……やった!)

自分は両親の仇を取ったのだ。
両親を殺したやつらに勝るとも劣らない、残虐な方法で殺してやった。
ざまあみろ……ざまあみろ!
これで、これで仲間たちも安心して暮らせ……

(!? そうだ、みんなは!?)

虚空を見つめていたゆうかは、われに返って仲間のゆうかたちを探す。
仲間たちはすぐに見つかった、少し離れた場所で全員ひとかたまりになっている。

(みんな! 良かった無事だったんだ!)

仲間の無事を確認し、ゆうかの顔には先程とは違った種類の笑みが浮かぶ。
ゆうかは仲間たちに駆け寄ろうと、一歩踏み出そうとして

ふと足を止めた。

ゆうかの目には、その光景は違和感があるように映った。
仲間たちが自分を見つめる目が、どこかおかしい。
少なくとも家族や友人に向けるものではない。
まるで、化け物を見るような。

「に、にんげんさん、ど、どうもありがとう……」
「た、たすけてくれてありがとう、ゆ、ゆうかたちは、う、うれしいよ……」
「な、なにかおれいをしなきゃいけないよね、ゆ、ゆうかたちにできることならなんでもするよ……」

仲間のゆうかたちが、少しどもりながらゆうかに話しかける。
仲間たちは皆、口元を引きつらせて無理矢理笑顔を作った、不自然な表情をしていた。

(みんなどうしたの? どうしてそんな顔をしてるの? どうしてそんな目でわたしを見るの?)

ゆうかは仲間たちに向かって一歩踏み出す。

『ゆひぃ!!!』

その瞬間、仲間たちは怯えた声を上げ、一斉に後ずさった。

「ち、ちがうの! これはけっしてにんげんさんがこわかったわけじゃなくて!」
「ごめんなさい! きをわるくしたならごめんなさい!」
「あやまります、あやまりますから! ゆうかたちをころさないでください!」

みんな、ゆうかに向かって必死に頭を下げる。
ゆうか本人にそんな気はないというのに。
人間となったゆうかの圧倒的な力。
想像を絶するような残酷な殺し方。
そして返り餡子に染まったゆうかの姿。
それらが、ゆうかたちの心に拭い切れない恐怖を植えつけたのだ。

(わたしゆうかだよ、みんなと一緒にいたゆうかだよ)

今の自分は声が出せない、どうすれば自分がゆうかであることを伝えられるだろうか。
ふと、ゆうかは自分の頭についている花飾りを思い出す。
ゆうかが初めて歌を作って聞かせたとき、周りの仲間たちは皆、ゆうかの歌を上手だねと褒めてくれた。
この花飾りはそのときに、大人の一人からプレゼントとしてもらったものだ。
その日から今まで、この花飾りはゆうかの宝物でありトレードマークとなっていた。
そうだ、この花飾りを見せれば、きっと自分だって分かるはず。
そう考え、ゆうかは頭の花飾りを握り締め、仲間たちに見せた。

「そ、それはゆうかの!?」
「なんでにんげんさんが、それをもってるの?」
「まさか……まさか」

(ああ、やっと気づいてくれた、これで)


「ゆうかを……ころしたの?」


――え?

「ゆうかが……ゆうかがしんじゃったあああああああああ!!」
「なんで!? なんでゆうかをころしたのおおおおおおおお!?」
「あんなにこえのきれいなこだったのにいいいいいいいいい!!!」
「おうたのじょうずな、やさしいこだったのにいいいいいいいいい!!!」
「ああああああああああ、ゆうかああああゆうかああああああああああ!!!」

仲間たちは悲しみ、泣き叫び、慟哭する。
もう二度とゆうかに会えない、もう二度とゆうかの声を聞けない、もう二度とゆうかの歌を聴けない。
そんな深い絶望と悲しみに、ゆうかを抜かす全員が嘆き悲しんでいた。
みんな、ゆうかのことが大好きだったのだ。
花飾りがゆうかの手から離れ、地面に落ちる。
ゆうかは今になって思い知った。
一時の快楽を手に入れるために、今まであった大切なものを全て失ってしまったことに。

「でていってね!」

ゆうかはびくっと体を震わせる。
突如自分に向けられる拒絶の言葉、それはナイフのようにゆうかの心を切り裂く。
仲間たちはみな、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらゆうかを睨みつけている。
恐怖を上回る怒りと悲しみの感情が、仲間たちを奮い立たせていた。

「にんげんさん、でていってね!」
「みんなをたすけてくれたことはかんしゃするよ! けどゆうかをころしたにんげんさんはゆるせないよ!
だからでていってね!」
「でていけ! でていけ!!」

(違う、違うの! わたしは……)

「はやくでていってね! ゆうかをころしたにんげんさんなんて、かおもみたくないよ!!」

(!?)






気が付くと、ゆうかは走っていた。
森の中を、何の目標もなく走っていく。
仲間の怒声から逃げるように、仲間の視線から逃げるように。

木の根に躓いて転倒する。
膝をすりむいて痛みが走った。
ただでさえ傷ついていた心に体の痛みが加わり、ゆうかの心は限界に達した。

ゆうかは泣いた。
その場にへたり込んで、思いっきり泣いた。
涙は出てくる、表情も出てくる、
だが声だけは、いくら泣こうと蚊の鳴くような音すら出てこない。
誰もゆうかの声は聞こえない、誰もゆうかのことを気にかけない。

独りぼっちになったゆうかは、森の中でいつまでも泣き続けた。







※あとがき

こっちに投稿するのは初めてです
ここみたいに気軽に感想を言えるand見れる仕組みってのは大事だと思います
あとM1さんリスペクト

ところでこれって人間いじめになるんですかね?
う~ん……


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感想

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  • 哀れなり -- 2012-01-04 00:58:18
  • ただ食うしか能の無い下賤なゆっくりは虐殺されてろ
    「我が失せろと言ったのだ。疾く自害するが礼であろう?」 -- 2011-08-27 13:26:15
  • え、オチがきつい?
    ああ、そのゆうかだったら俺の隣で寝てるよ -- 2011-07-18 11:47:08
  • ゲス相手に無双するゆうかはよいのですが…落ちがアウトです。
    まあ、『人を呪わば穴2つ』と考えてしまう私がここにいますけれども… -- 2010-11-28 21:44:29
  • 糞ゆっくり共は死んで当然だが…

    人間になったゆうか可哀想だぜ…
    ゆっくりに文字が有れば、筆談とかできたんだろうがなぁ -- 2010-10-31 15:46:25
  • オチがきつい・・・ -- 2010-10-27 20:43:46
  • 通常種と同じ喋り方をするゆうか種がなんかイヤだ。
    あと、ゲロ袋制裁は虐待&命乞い描写が欲しかった。 -- 2010-06-26 23:43:48
最終更新:2010年01月25日 17:08
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