ふたば系ゆっくりいじめ 829 ゆっくりを地獄に叩き落す鬼のような人間さん(嘘)

ゆっくりを地獄に叩き落す鬼のような人間さん(嘘) 31KB


現代 作者はマ・あきです


作者はマ・あきです
一話完結
これまでの作品とは一切関係なし



















今年はなかなか寒い。
数年ぶりに大雪だ。
庭にも雪がどっさりと積もり、今もしずしずと雪が降り積もる。
とても静かな雪の夜だ。
石油ストーブをがんがんに焚いていたが、
寒いからといって、窓をしめきっていては空気が悪くなる。
窓を全開にして換気してみよう。
この季節、虫が入ってくることもない。
僅かに雪が入り込んでくるが、それくらいは構うまい。
窓を開けっ放しにしてしばらく放置。
自分はその間、別の部屋に退散するとしよう。











ゆっくりを地獄に叩き落す鬼のような人間さん(嘘)











さて、そろそろいいかと部屋に戻ってくると、
見慣れない物体が部屋の隅に固まっている。
なんとゆっくり。
窓を開けていたとはいえ、この季節、雪が降り積もる中でゆっくりとは。

「ゆ・・・、ゆぅ・・・?」
成体と見えるまりさがこちらを見上げて弱弱しく鳴く。
寒さのせいか、他の要因か随分と衰弱しているようだ。
「にんげんさん・・・、みんなをたすけてあげてね・・・。」
成体まりさの他には、成体のれいむ一匹と
子まりさ一匹、子れいむ一匹。
どいつもこいつも酷く衰弱しているようだ。
特に子ゆっくりは死に掛けているように見える。
「・・・・・。」
どうしたものかなと思案しながら、
まずは窓を閉める。
流石に寒い。
改めて暖房を入れる。
「にんげんさん・・・。」
まりさが、再び弱弱しく呼びかけてくる。
どうするか考えているうちに、ゆっくりたちが全部死んでしまいそうなので、
とりあえずゆっくりたちを暖房の前に運んでやる。






「ゆ、ゆああああああ!あったかいにぇ!」
「れいみゅ、さむくにゃいよ!ぽーかぽーかだよ!」
「ゆうううううう!よかったよー!
 れいむのおちびちゃんたちが、げんきになったよー!」
「ゆっ、ゆっ、ゆっ・・・!よがっだー!ほんどーによがっだよおおおおお!
 にんげんざああああん!ありがどうだよおおおおおぅ!」


あれから一時間。
ゆっくりたちはすっかり元気だ。
なんと言うか、瀕死の状態から全快までに時間が掛からなくて大変よろしい。
「ゆん!にんげんさんのおかげで、みんなげんきになったよ!
 ほんとうにありがとうだよ!」
お礼を言ってきたのは、父まりさ。
この四匹は家族で、まりさが父、れいむが母だそうだ。
「にんげんさんのくれたごはんで、みんなげんきになったよ!
 おちびちゃんたちも、にんげんさんにおれいをいおうね!」
「ゆー!にんげんしゃん、ゆっくちありがとうにゃんだじぇ!」
「ゆっゆっ!にんげんしゃん、れーみゅ、げんきににゃったよ!
 ゆっくちしていってにぇ!」
母れいむに促されて子ゆっくり共もお礼を言ってきた。
「おー、ゆっくり、ゆっくり。」
こいつら、結局暖房の前に連れてきてやっただけじゃ回復しなかった。
寒さだけでなく空腹、正確には危険なレベルの栄養失調でも死に掛けてた。
仕方ないから買い置きの大袋入りのチョコとかビスケット、
それに俺の人生でも初のホットオレンジジュースを作って出してやった。
それを最初はもそもそと、そして食べながら体力が回復したのだろう、
次第に勢いよく、結構な量を食べきった。
その頃には体も十分温まったのだろう。
見ての通り煩いくらいに元気になってくれた。
「ゆっくりー」
「ゆっくりー」
「ゆっくちー」
「ゆっくちー」
「お前らうるさい。」



煩いゆっくり共に静かにするように注意してから、こいつらに話を聞いてみる。
何で人間の家に入ってきたのかとか、なんであんなに弱ってたのかとか。
大体想像はつくけど聞いてみる。
「ゆ・・・。まりさたちのおうちは、あめさんとかぜさんにこわされちゃったんだよ・・・。」
「れいむたち、もうなんにちもむーしゃむーしゃしてなかったんだよ・・・。」
「おにゃかへってたんだじぇ・・・。でも、ごはんさんどこにもなかったんだじぇ・・・。」
「れいみゅたち、しゃむいしゃむいで、がーたがーたぶーりゅぶーりゅだったよ・・・。」
早い話が家の造りが悪くて、餌の備蓄が十分でなかったらしいな。
あんまり出来のいい連中ではないようだ。
「で、俺の家に入ってきたのは?」
「まりさたち、おなかすいてたし、さむくてしにそうだったんだよ。
 そしたら、にんげんさんのおうちがあいてたんだよ。」
「にんげんさんのおうちはぽーかぽーかで、ごはんもいっぱいあるってきいたよ。」
「にんげんしゃんのごはん、おいしかったのじぇ!」
「れいみゅ、しあわちぇー!!だよっ!!」
まあ、死に掛けてる状況で緊急避難的に入ってきたんだろうけど、
それにしても考えなしというか厚かましいというか。
「まあ、お前らも大変だったのは分かるけど、
 勝手に人の家に入ってくるってのは良くないぞ。」
人間の理屈がこいつらに理解できるか分からんが、一応は注意しておかないとな。
「ゆ、ゆゆっ!?まりさたち、ほんとにこまってたんですぅ・・・。」
「そうだよぉ・・・。おちびちゃんたちも、しにそうだったんだよ・・・。」
ゆっくりの言い分なんてそんなもんだろうな。
「ゆぐ・・・。にんげんしゃん、こんにゃにりっぱなおうちをもってるにょに、
 ひとりじめはずるいんだじぇ・・・!
 まりちゃたち、おそとでしゃむいしゃむいだったんだじぇ!」
「そうだよ!れいみゅたち、おにゃかぺーこぺーこでこまってたんだよ!
 あんにゃにごはんさんあるんにゃら、ちょっとぐらいわけてくれてもいいでしょ!」
まあ野良饅頭に人間の習慣や、モラルを求めるほど俺も馬鹿じゃない。
こいつらは、所詮人間ではないし、頭の程度も知れたものだ。
気分は良くないが、別段怒るまい。
「まあいいや。今日は俺の家においてやるよ。
 明日は天気も良くなるらしいし、そうしたら出てってくれよ。」
「ゆー・・・。」
「そんなぁ・・・。」
「まりちゃ、しゃむいしゃむいはいやなのじぇ!」
「れいみゅ、おいしいごはんがたべたいよ・・・。」
やっぱり、一度美味しい目にあわせると味を占めるもんだな。
この分だと、家に居座る気まんまんだったな。
「駄目だぞ。飼ったりはしないからな。」
いくらなんでもそこまでは責任を持てない。
ここだけは、はっきりさせとかないとな。
「まりさたち、にんげんさんのいうことしっかりききます!
どうかまりさたちを飼いゆっくりにしてください!」
「おねがいだよ!
 もうさむいさむいも、おなかぺーこぺーこもいやだよ!
 なんでもしますから、れいむたちをここにおいてください!」
うーむ、食い下がるな。
と言うか、何気に飼いゆっくりにしてくれってはっきり言ってるし。
なんか更にハードルが上がっている。
交渉術としては、ありかもな。
最初に飼いゆっくり要求をする。
次に、飼いゆっくりは諦めます、その代わり、しばらくお家に置いて下さい!ってな。
まあ絶対そんなこと考えてないだろうけど。
「なんと言われても駄目。飼わない。」
でも、断る。
これだけは、こっちも譲れない。
「にゃんでー!?れいみゅたちだって、あったかいおうちがほしいにょにー!?」
「まりちゃ、ここにすみたいよ!もう、おそとはいやだよ!」
子ゆっくりたちも、野良生活の不満を口にする。
「はいはい。ゆっくりゆっくり。」
でも、そんなの相手にしない。
人間として、饅頭の言うことを真に受けたりしない。
「ゆ!?ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「「ゆっくちー!!」」
こちらの“ゆっくり”に反応してゆっくり返しをしてくる一家。
「ゆゆゆゆゆ!?にんげんさん、ごまかさないでね!」
「そうだよ!れいむたち、にんげんさんが飼ってくれるまで、ここをうごかないよ!」
「まりちゃ、飼いゆっくちににゃるのじぇ!」
「れいみゅは飼いゆっくちだよ!」
大した決意だな。
付き合わないけど。
「よーし。お前ら折角だから風呂にでも入ってさっぱりしとけ。」
こいつら野良だけあって汚いしな。
一晩家に置いとくにもこのままじゃ、あちこち汚れる。
それに、薄汚い野良共には本来なら生涯経縁のない、
風呂という極楽を経験させてやるのも一興だ。
「ゆゆ?お風呂?」
「れいむたち、こんなにさむい日にみずあびなんかしたくないよ!」
「そうだじぇ!おみずはゆっくちできないんだじぇ!」
「れいみゅたちきれいだから、おふろはいらにゃいよ!」
ふふふふふ。
こいつら、やはり知らないな。
風呂という桃源郷。
限りなく天国に近いゆートピアを。







「ゆゆゆゆゆゆ!!!ゆっくちー!ゆっくちだじぇ!」
「れいみゅ、ちゃーぷちゃーぷするよ!」
「おちびちゃん!ぴゅー、だよ!ぴゅー!」
「ゆあぁぁぁ!きもちいいよぉ!おとーしゃん、もっとやってほしいのじぇ!」
「れいみゅも!れいみゅも、ぴゅー、やってほしいよ!」
「まっててね!じゅんばんだよ!つぎは、おちびちゃんのばんだからね!」
「ゆーん!れいむのおちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるよー!」
嫌がるゆっくりを宥めすかして風呂場まで連れてきた。
最初はお湯や風呂場といったものに、
興味半分、警戒半分といったとこだっだが、今はこの通り。
この一家もすっかり風呂の虜だ。
それぞれ用意してやった風呂桶でお湯に浸かって極楽気分を味わっている。
「おーい。お前らあんまり長風呂すると体が溶けるぞ。気をつけろよ。」
この分だと体が溶けるまで風呂に浸かりかねない。
一応注意はしておいてやろう。
まあ面倒臭いから、危なくなるまでは放っておけばいいか。



俺も自分の体を洗ったり、湯船に浸かったりとのんびりしていたら、
子ゆっくりたちの様子がおかしい。
「ゆゆ!まりちゃのあんよがへんにゃのじぇ!」
「ゆ!?れいみゅ、もうゆっくちできにゃいよ!だしてにぇ!だしてにぇ!」


「ぽーかぽーか!きもちいいよー・・・。」
「まりさ・・・。なんだかとってもゆっくりしてるね・・・。」
「ほんとうだね・・・。おふろはとってもゆっくりできるね・・・。」


「ゆわーん!おとーしゃ!おかーしゃ!まりちゃ、もうでたいのじぇ!」
「みゃみゃー!れいみゅ、ゆっくちできにゃいー!みゃみゃー!みゃみゃー!」


「ゆふー・・・。ねえれいむ、なんだかゆめをみてるみたいだね・・・。」
「ゆ・・・。ほんとうだよ。
こんなにゆっくりできるなんて、ゆめみたいだね・・・。」
「でも、ゆめじゃないよね・・・。」
「そうだよ。おちびちゃんたちも、とってもゆっくりできてるよ・・・。
にんげんさんのおうちにいれば、これからもずっとゆっくりできるよ・・・。」
「「ゆっふー・・・。」」


「ゆああ!?まりちゃのあんよ!?あんこさんがぁぁぁぁ!?」
「たちゅけてー!ぴゃぴゃー!みゃみゃー!かわいいれいみゅをたしゅけてー!!」


なんだか子ゆっくりたちが阿鼻叫喚の地獄絵図を描きつつある。
いい加減助けてやるか。
「よいしょっと。」
二匹ともお湯でふやけて、体がグズグズになりかけている。
これ以上体が崩れないように、素早くそっと掬い出してやる。
「ゆ?まりちゃ、おそらをとんでるのじぇー!」
いきなり持ち上げられてパニックでも起こすかと思いきや、
なんとも暢気な反応の子ゆっくり共。
そのまま、風呂場から出て用意してあったタオルの上にそっと載せる。
軽くタオルで余計な水分を吸い取って、後は大人しくしてれば問題なし。
「ゆ!にんげんしゃん!ゆっくちありがとうだよ!」
「お前ら、しばらくそこから動くなよ。体が崩れても知らないからな。」
「ゆゆ!?おちびちゃん!だいじょうぶなの!?」
もう一度風呂に浸かり直そうかと踵を返すと、
今頃になって親ゆっくりが出てきた。
「ぷっきゅー!れいみゅ、ゆっくちできにゃくなりそうだったよ!」
「そうだじぇ!まりちゃ、あんよがゆっくちできにゃくなるとこだったのじぇ!」
流石に、子ゆっくりも怒っているようだ。
まあ、あれだけ助けを求めて大騒ぎしていたのに、
親共ときたらゆっくりしすぎて、気づきもしなかったからな。
「ごめんね、おちびちゃん!まりさたちがわるかったよ!」
「ゆゆぅ・・・。あとで、あまあまいっぱいあげるからゆるしてほしいよ!」
「ゆ!あまあま!あまあま、たべちゃいのじぇ!」
「れいみゅも!れいみゅ、またオレンジジュースさんほしいよ!」
うーむ。
ゆっくりだからか、子供だからかあっさりと食べ物に釣られたな。
それにしても、あまあまあげるって・・・。
「ゆーん!おちびちゃんたち、ごきげんなおったね!よかったよー!」
「ゆんゆん!人間さん!
おちびちゃんのために、あまあまいっぱい用意してほしいよ!」

ばきっ
どかっ

やっぱり俺に頼るのか。
本当に厚かましい奴らだ。
まあ、どの道何か餌は用意するつもりだったからいいだろう。
「だったら、どうしてけるのーー!!?」
「ゆぅぅぅーーー!!?れいむのおかおがーーーー!!!」





「ふー・・・。いいお湯だった。」
あれから、もう一度風呂に浸かってリビングに戻ってきた。
ゆっくり共は、仕方ないので先にまとめてリビングに運んでやった。
その際に子ゆっくりには、
ある程度体が乾くまで動かないように強く言っておいた。
親ゆっくりには、子ゆっくりをしっかり見ているように伝えておいた。
まあ、子ゆっくりも自分の体がふやけてることぐらい理解出来るだろうし、
親ゆっくりも一緒なんだから大丈夫だろう。
「おーい、お前ら。体乾いたかー?」
「ゆぐぐぐぐ・・・!ゆぴっ!ゆぴぃぃぃぃぃぃ!いたい、いたいぃぃぃ!
まりさのおかおがいたいよぉぉぉぉ!!」
「だれひゃぁぁぁ!れいひゅをひゃしゅけひぇぇぇぇぇ!!
れいひゅのひひゃはんがいひゃいいいいい!!!」
「おとーしゃ!おかーしゃ!しっかりするのじぇぇぇ!」
「ゆっくちー!!ゆっくちしてにぇ!ゆっくちだよぉぉぉぉ!!」
ってどうなっている?
大饅頭二匹はリビングの床でのた打ち回ってるし、
子饅頭は涙で体中べとべとになりながら泣き叫んでやがる。
一体何があったんだ・・・?
ん・・?あれは・・・。
俺の大事にしていた壷があああああああ!!?
飾っておいた壷が床で粉々に砕けている!
子ゆっくりは最初にいたタオルの上から動いていない。
どうやらちゃんと言いつけを守ったようだ。
親ゆっくりたちは・・・。
まりさは、ほおの辺りから餡子が漏れている。
何かで切ったような傷跡だ。
れいむのほうは、舌だな。
舌から餡子が漏れている。
傷の様子はまりさと似ている。
おそらくは、まりさの傷を舐めてやろうとして、
自分も破片で舌を切ったというところか。
状況が飲み込めてくると、腹立たしくはあるが、
幾分冷静さを取り戻してきた。
「ゆぎゃああああああ!まりさ、しぬ!しんじゃうぅぅぅぅぅ!!」
「ひひゃ!ひひゃがぁぁぁぁぁ!!
まりひゃぁぁぁぁ、ひゃしゅけえひぇよぉぉ!!」
ごろごろごろ
ごろごろごろ
ずどん
ずどん
「「ゆぐうぅぅぅぅぅぅぅ!!!?」」
とりあえず、動きを止めるのが先決。
ごろごろと無意味に転がる二匹を、
上から押さえつけるようにぶん殴った。
呻き声をあげながら、動きが止まる二匹。




「ゆはー、ゆぜー・・・。にんげんさん、ありがとうだよ・・・。」
「れいむ、しぬかとおもったよ・・・。」
とりあえず、オレンジジュースを患部に塗布してやった。
すぐに完治。
便利でいいですね、本当に。
それはさておき。
「おい、お前ら。あれはどういうことだ。」
砕けた壷を指差し問い詰める。
「ゆっ!きれいなたからものがあったから、
まりさ、おうちにかざろうとおもったんだよ!」
「まりさが、あそこにのぼってしたにおとしたら、こわれちゃたったんだよ!」
「ゆんゆん!にんげんさんは、あんなあぶないもの、おいとかないでほしいよ!」
「そうだよ!れいむとまりさは、いたいいたいだったんだよ!ぷんぷん!」
「「ぴゅんぴゅん!!」」
親ゆっくりが交互に口を開く。
最後には子ゆっくりまで口を出してきた。
それにしても、今回は突っ込みどころが満載だ。
どこから突っ込むべきか・・・。
「ゆっ!そうだよ!」
何だ、一体?
「にんげんさん!あまあまよういしてね!
おちびちゃんたちにあげるやくそくだよ!」
「そうだったね!すっかりわすれてたよ!
まりさも、けががいたいいたいで、またおなかぺーこぺーこになったよ!」
「にんげんしゃん!まりちゃに、あまあまちょーらいにぇ!」
「ゆー!!あまあまいっぱいだにぇ!あまあま!あまあま!あまあま!」
うーん、本当ににどこから話をすればいいやら。
ぼこっ
げしっ
ぴしっ
ぴしっ
一先ず、蹴り二発とデコピン二発でゆっくりを黙らせる。
「ゆぴぃぃぃぃぃ!」
「いじゃいいいぃぃぃ!」
「「ゆんやあああぁぁぁぁぁぁ!!」」
と思ったら今度は泣き声がうるさい。
「お前ら、黙らないともう一発いくぞ。」
「「「「ゆっ!」」」」
ピタッ

よろしい。
「お前ら、ここは俺の家だ。それは分かるよな。」
「ゆ!ここはにんげんさんのおうちだよ!」
まりさが代表して答える。
他の連中も頷くような仕草をしているし、理解できているようだ。
「俺の家の中にあるものは、俺のものだ。分かるよな。」
「ゆん!にんげんさんのおうちのなかのものは、にんげんさんのものだよ!」
一同頷く。
「あの壷。おまえらの壊した宝物も俺のものだ。分かるよな。」
「ゆんゆん!まりさは、ゆっくりりかいしてるよ!」
一同頷く。
「人の物を壊すのは悪いことです。分かるか?」
「ゆ?ゆゆゆゆゆゆゆ!?」
一同、動揺。
「あれは、俺が大事にしてた宝物なの。それを壊して何か言うことはないか?」
ゆーんゆーん・・・
ゆーんゆーん・・・
饅頭思考中。


たっぷり五分ほど経過。
「ゆ!でもまりさたち、あれのせいでけがしたんだよ!
にんげんさんのせきにんだよ!だからおあいこだよ!」
「だから、れいむたちにあまあまいっぱいちょうだいね!」
「「ちょうだいにぇ!!」」
どかっ
ばきっ
ぴしっ
ぴしっ


「ゆ・・・。まりさがわるかったでず・・・。」
「れいむ、ゆっくりあやまります・・・。ごべんなざい・・・。」
「「ごめんにゃさい・・・。」」
絶対何が悪いか理解できていないが、
ゆっくりにこれ以上反省を求めるのは無駄というもんだな。
それより話を先に進めるのを優先。
「ところで、お前らあの壷を家に飾るってどこに飾るつもりだったんだ。
お前ら確か、家が壊れたっていってなかったか。」
「ゆ!そうだよ!まりさたちのおうち、こわれちゃったんだよ!」
「たからものをかざるのは、あたらしいおうちだよ!」
「新しいお家ってどこだよ。」
いつの間に新しい巣なんか見つけたんだ。
「ゆん!ここだよ!」
まりさが、指し示すのは部屋の隅の机の下。
「ゆー。すてきなばしょだよ!れいむたちのゆっくりプレイスだよ!」キリッ
「ゆんゆん!あとで、だんぼーるさんもってきておうちをつくるんだよ!」キリッ
ズドーン
ズドーン

ずっしりと重い拳がゆっくりの顔面に突き刺さる。
「ゆぴいぃぃぃぃ!なにするの、にんげんさん!まりさのおかおがいたいよ!」
「そうだよ!れいむに、ひどいことするにんげんさんは、ゆっくりあやまってね!」
「「しょーだ、しょーだ!あやみゃれー!」」

ゆっくりに背を向け、大きく息を吸い込み、大きく吐き出す。
それを何度も繰り返す。

すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー
すーはー

深呼吸で気分を落ち着ける。
その間もゆっくり共が何か騒ぎ立てているが、極力耳に入れない。
何とか冷静さを取り戻したところで、向き直る。

「ゆっ!にんげんさん!やっと、まりさたちの話をきく気になったんだね!」
「ぷんぷん!ちゃんと、れいむたちにあやまってね!」
ズドン
ズドン
どかっ
再び振るわれる重量感にあふれる拳。
吹き飛び壁に叩きつけられるゆっくり。

 ・・・いかん。
どうやら、まだ深呼吸が足りなかったらしい。
取り乱すとは、我ながら恥ずかしい。
「ゆげげ・・・。」
「ゆ・・・。ゆぅ・・・。」
「おちょーしゃん!」
「みゃみゃー!」
流石に親ゆっくりもダメージの蓄積が堪えてきたらしい。

ちょっとインターバルをいれよう。
それにしても。話が全く先に進まないな。
やれやれ・・・。





またまた、ホットオレンジジュースを用意してやった。
寒い日にはいいんじゃないでしょうか。
「ゆっぷー!おいしいよー!まりさ、しあわせーっ!だよ!」
「れいむもだよ!でも、のみものだけじゃなくて、たべものもほしいよ!」チラッチラッ
「「あまあまたべちゃいよ!!」」
だんだん俺の理性も春の氷のように頼りなくなってきたな・・・。
ゆっくりブリーダーって凄い職業なんだな・・・。
「それより先に話すことがある。
お前らあそこを新しい家にするって言ってるけど、ここは俺の家だ。
お前らも理解したんじゃないのか。」
まさか、人間さんから奪うよとか、
俺のいない間にお家宣言したからここはまりさたちのおうちだよ、
とか言ったらすぐに追い出そう。
そうしよう。
「ゆ!ここはにんげんさんのおうちだよ!
でも、まりさたちのおうちでもあるんだよ!」
「そうだよ!れいむたちと、にんげんさんのおうちだよ!」
え?
良く分かんない。
どんな理屈だろう。
「なんで俺の家でもあり、お前らの家でもあるわけ?」
「ゆっふーん!
ここはにんげんさんのおうちでもあるけど、まりさたちのおうちでもあるんだよ!
だって、まりさたちはにんげんさんの飼いゆっくりだよ!」キリッ
「よろしくね、にんげんさん!」キリッ
「「よろしくにぇ!!」」キリッ
「いやいや。俺、お前ら飼ったりしないから。
明日になったら出てってもらうから。
そう言ったよな。」
わざとだろうか。
それとも本当に都合のいいほうへと記憶が改竄されているのだろうか。
「ゆ?なにいってるの?まりさたち、飼いゆっくりだよ?」
「れいむたち、にんげんさんの飼いゆっくりなんだよ?」
「そうだじぇ!まりちゃたち、きょうからここにすむのじぇ?」
「にんげんさん、ゆっくちりかいできりゅ?」
ふはは。
もういい。
良く分かった。
今はお前らの好きにさせてやる。
だが俺は一度もお前らを飼うとは言ってないぞ。
明日までは家においてやるといっただけだ。
明日になったら、見てろよ。
それまでは、せいぜい、いい夢見させてやる。

そういや、こいつらあまあまが欲しいって言ってたっけ。
「よーし、お前ら甘いものが欲しいって言ってたな。
ちょっと待ってろよー!」
家にあった甘いものをかき集めてきた。
これだけあれば足りるだろ。
もし足りなけりゃ、近所のコンビニまで買いに走ってやる、畜生。
「ゆ!ゆわああああああ!すごい!すごいよ、にんげんさん!」
「ゆうぅぅぅぅ!れいむ、ゆめをみてるみたいだよー!」
「たべていいにょ!?これほんとにまりちゃがたべてもいいにょじぇ!?」
「れいみゅ、こんにゃごちそうはじめてだよ!
どれからたべていいかわかんにゃいよ!」
ぴこぴこ
だじぇだじぇ
ぴこぴこ
だじぇだじぇ
あらん限りに喜びを表すゆっくり共。
「それじゃ、あまあまたべようね!
 ・・・にんげんさん、ゆっくりいただきます!」
「いただくよ!」
「「ゆっくちいただくよ!!」」
むーしゃむーしゃ、しあわせー
むーちゃむーちゃ、しあわちぇー

あーもー。
本当に食べ方汚いな、こいつら。
新聞の上に餌皿載っけたけど、その外にまで食べこぼしそうな勢いだな。
まあ、野良でちょっと前まで餓死寸前だったことを思えば納得できるけどな。
こんなご馳走今まで見たこともなかったろうし、
こんなに山のような食べ物を見るのも初めてだろう・・・。








ゆっくり共の、すーぱーむしゃむしゃタイムがやっと終わったが、
お菓子はまだ結構残ってる。
流石に一回で食べきれる量じゃないか。
「ゆっぷっぷー・・・。まりさ、おなかいっぱいだよー!」
「れいむも、もうたべられないよ!」
「ゆぅ・・・。まりちゃ、もうたべれにゃいよ・・・。」うとうと
「ゆぴー・・・。れいみゅの・・・、あみゃあみゃさん・・・。ゆぴー・・・。」
どいつも食いすぎで体がパンパンだな。
全身胃袋みたいなものだからか。
それに、子ゆっくりは満腹になって眠たそうだな。
特に子れいむはもう、半分夢のなかだな。
あれだけ食べて、まだあまあまの寝言ってのが凄い。
「おい、これがお前ら寝床だぞ。」
用意しておいたのはダンボール。
一家がまとめて入れそうな大きいサイズ。
「ゆぅぅぅ!!これが、まりさたちのおうちなんだね!」
「すごいよ!こんなにりっぱな、だんぼーるさんがおうちなんだね!」
「ゆぅ・・・。ゆっ!おうち!
これがまりちゃたちのあたらしいおうちなんだじぇ!」
「すぴー・・・。ゆぴー・・・。
むーちゃむーちゃ、ゆふふ・・・。ゆぴー・・・。」
大喜びの一家と一匹就寝中。
「さっそくはこぶよ!」
「まりさ、がんばってね!」
「おとーしゃん、がばるのじぇ!」
ずーりずーり
まりさが、ダンボールを銜えて例の机の下へ運んでいく。
子まりさはともかく、れいむは手伝ってやれよ。




「やった!おうちが、かんっせいっ!したよ!」
「やったね、まりさ!」
「さすが、おとーしゃんにゃのじぇ!」
どうにかダンボールを運び終えたな。
じゃあ、次はこれをやるか。
「おい、じゃあこれ、家の中に敷いとけよ。」
用意してあったのは、新聞紙とタオル。
新聞を下にして、その上にタオルを敷いとけば温かいだろう。
「ゆゆ!!ありがとうだよ、にんげんさん!」
「おうちをこーでぃねーとしようね!」
「ゆぅ・・・。どきどきするのじぇ!」
「ゆぴー・・・。ゆぴー・・・。」
ダンボールの中に新聞紙とタオルを敷いて、具合を確認するゆっくり共。
「ゆ!?ゆゆ!?」
「な、なんなの、これ!?」
「ゆぴぴぴぴぴ!?」
タオルの感触を確かめ、固まる。
「「「すごくあったかいよ!!!!」」」
「ゆぴー・・・。ゆごー・・・。」
驚きのあったか宣言と、しつこく就寝中の一匹。
「ゆぐっ・・・、ぐすっ、ゆえぇぇぇん!」
突然泣き出す子まりさ。
どうしたんだ。
「どうしたの、おちびちゃん!?」
「どこかいたいの!?にんげんさん、おちびちゃんをみてあげてね!」
診てあげてね、って言われてもな。
オレンジジュース用意するぐらいしかできないんだが・・・。
どうしたもんか。
「ゆぐ、ぐすっ・・・。ちがうのじぇ・・・。
まりちゃたち、もうしゃむいしゃむいしなくていいのじぇ?
おにゃか、ぺーこぺーこしなくていいのじぇ?」
「ゆ!?ぐすん・・・。そうだよ!
まりさたちは、飼いゆっくりだからさむいさむいも、ぺーこぺーこもないんだよ!
ね、にんげんさん!」
「おちびちゃんはほんとに、しんぱいしょうだね・・・。
だいじょうぶだよ・・・。
おかあさんが、ぺーろぺーろしてあげるからね・・・。」ぺーろぺーろ
 ・・・・・・。
いや。
ね、にんげんさん!なんて言われても、
本当にお前らの面倒見るとかいってないんだけど・・・。
明日には出て行ってもらうし。
とかやってるうちに、れいむに舐められて落ち着いたらしい子まりさが、
こっちにやって来た。
「にんげんしゃん!」
んん?
なんだ。
「まりちゃたちを飼いゆっくりしてくれて、ありがとうなんだじぇ!
これからもよろしくなんだじぇ!」
 ・・・・・・。
まあ、いい。
明日だ。
明日になったら見てろよ・・・。
「それじゃ、おちびちゃんはもう、すーやすーやしようね!
おかあさんがいっしょにねてあげるからね!」
「まりさは、おちびちゃんをおうちまではこぶよ!」
どうやらもう、寝るらしい。
そうしろ。
静かになって丁度いい。
子まりさは先に親れいむと一緒に巣の中。
子れいむは親まりさが口に入れて運んでやるようだ。
「おちびちゃんをゆっくりはこぶよ!」ぱくっ
いちいち宣言が必要ですか、貴方達は。

ずーりずーり
子れいむを起こさない為だろう、言葉通りゆっくりと這って巣に移動する。
そこで、子れいむも親れいむの傍らにそっと下ろすと、
親まりさがこっちにやって来る。

「にんげんさん!まりさたちを飼いゆっくりにしてくれてありがとうだよ!
あらためておれいをゆうよ!」
 ・・・・・・。
最早何も言うまい。
「ゆ・・・・。
それじゃ、またあした・・・・、ゆっくりしていってね!!」
そう、明日だ。
明日で終わりだ・・・。













そして次の日。
起きて窓の外を見ると猛吹雪。
天気予報を見てみると今日は一日、こんな天気らしい。
昨日は晴れるって言ってたくせに。
嘘つき。
だが予定に変更はない。
今日で終わりだ。
あのゆっくり共の面倒を見るのもこれまで。
昨日の予定では、昼頃には出て行ってもらうつもりだったし、
それでいいだろう。



そんなことを考えていると、ゆっくりも起きだしたらしい。
「ゆぅぅ・・・。ここどこだじぇ・・・?」
「にゃんだか、あったかいにぇ・・・。」
子ゆっくりか・・・。
寝惚けているな。
「ゆゆぅぅぅ・・・。どうしたの、おちびちゃんたち・・・。」
「ここどこにゃの・・・?おうちじゃないのじぇ・・・。」
「ゆふふ!ここはおうちだよ・・・。あたらしいおうちだよ。」
「ゆ!?わかってるのじぇ!ここはまりちゃのおうちじぇ!」
「ゆゆ!?おうち?」
子まりさは、慌てて誤魔化したな。
子れいむは、昨日は一匹だけ早く寝たから巣のことは知らないんだな。
親ゆっくりが子れいむにも巣のことを説明する。
「すごいよ!れいみゅのおうちはとっちぇもゆっくちできるにぇ!」
親に巣のことを教えられて大喜びだな。
「おい、朝飯は昨日の残りでいいよな。」
「ゆん!じゅうぶんだよ!」
昨日食べ切れなかった餌は、あの後まりさがせっせと巣の中に運び込んだ。
一応飼いゆっくりとしての躾を受けていないゆっくりの習性として、
巣の中に食料を備蓄したいらしい。
別にどうでもいいので、まりさの好きにさせた。
「それじゃ、あさむーしゃむーしゃしようね!」
「ゆっくちいただくのじぇ!」
「ゆっくちいただくよ!」
むーちゃむーちゃ、しあわちぇー
うんうん。
幸せそうでいいね。
この後には地獄が待っている。
もう何時間かあとには、猛吹雪のなかに放り出す。
今の内に、しあわせーしとこうね。








「まりちゃ、ゆっくちこーろこーろするのじぇ!」
「れいみゅも、こーろこーろするよ!」

「まりちゃ、のーびのーびするのじぇ!」
「れいみゅも、のーびのーびするよ!」

「ゆううーん!おちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるよー!!」
「ほんとだね!とってもゆっくりしてるね!」
子ゆっくりは暖かい部屋の中で、存分に跳ね回ってる。
親ゆっくりも、そんな幸せそうな子ゆっくりの姿を見てとても幸せそうだ。
今、時計は11時30分。
そろそろ昼飯にして、1時頃に落ち着いたらこいつらを追い出そう。
まずは飯の仕度だ。



自分の飯の仕度を済ませたので、次はゆっくり共の番だ。
こちらは簡単。
また、甘いお菓子を餌皿に入れてやるだけ。
ホットオレンジジュース付き。
「ゆわーい!いっぱいたべりゅよ!」
「むーちゃむーちゃ、しあわせー!!」
がつがつと貪るゆっくり。
早々に食べ終わったな、あいつら。
「ゆー。まりさ、ごーろごーろするよ・・・。」
「れいむも、ごーろごーろ・・・。」
「ゆゆぅ!まりちゃもだじぇ!」
「れいみゅも!」
「それじゃ、みんなでごーろごーろしようね!」

「「「「ごーろごーろ、しあわせー!!」」」」
もぐもぐ。
幸せそうでいいね。
本当にさ・・・。




時計は1時丁度。
ゆっくり共は、あれから速やかにすーやすーやモードに移行した。
今も夢の中だ。
外の様子は・・・・。
猛吹雪だ。
 ・・・・・・・。
寒そうだな・・・。
 ・・・・・・・。
とにかく、ゆっくり共を起こそう。
どかっ
どかっ
ぴしっ
ぴしっ
蹴りとデコピンがゆっくり共に突き刺さる。
「ゆぴぃぃぃぃぃ!!?」
「なんにゃのじぇ!?まりちゃのおかおがいたいのじぇぇぇぇ!!!」
「ゆぅぅぅぅぅ!!?なんなのぉぉぉぉ!!」
「ゆげっ、ゆげぇっ・・・。ぱぴぷぴぱぺ・・・・。」びくんびくん
しまった。
当たり所が悪かったのか、親れいむが餡子吐きながら痙攣してる。
こんな時はオレンジジュースだ。




ゆっくり共は熟睡しているところに、突然の暴力と、
親れいむの惨状にパニックを起こしかけた。
しかし、俺の素早い処置で親れいむはすぐに回復。
ゆっくり共には、侵入してきたれみりゃが一家を襲ったが、
俺が追い払って事なきを得たと説明。
パニックを鎮めるどころか、更に感謝までされた。
馬鹿でよかった。






それはともかく、本題だ。
「お前らには俺の家から出てってもらう。」
「ゆ?」
「なにいってるの、にんげんさん?」
「「????????」」
予想通りの反応だ。
「俺は昨日から一度もお前らを飼うとは言ってない。
 一日だけ家に置いてやるといっただけだ。
 出ていってもらう。」
「ゆゆ!?まりさたちは、にんげんさんの飼いゆっくりだよ!!」
「違う。飼いゆっくりじゃない。」
「でも、にんげんさんは、おうちをよういしてくれたよ!?」
「一夜の宿だ。」
「まりちゃ、いやなのじぇ!ここがいいのじぇ!」
「駄目だ。」
「れいみゅ、もうおそとはいやだよ!
 しゃむいしゃむいも、ぺーこぺーこもいやだよ!」
「それをどうにかするのは、お前の親だ。俺じゃない。」
口々に言い立てるゆっくりに静かに答える俺。
こいつらがなんと言おうと、どう勘違いしていようと、
俺はこいつらを飼うとは一言も言ってない。
ここは一夜の宿なのだ。





ゆっくり共が泣き喚き、じたばたと暴れるが全く問題にならない。
嫌がるゆっくりを窓辺まで引きずる。
ガラッ
窓を開けると途端に寒気が肌に突き刺さる。
昨日よりも雪が多い上、風が強く更に寒く感じる。
 ・・・・・・・。
昨日の天気予報では晴だったんだけどな・・・。
まあ、仕方ないか・・・。
「ゆぶぅ・・・。」ガタガタ
「しゃ、しゃむいのじぇ・・・。」ガタガタ
「い、いやだよ。もう、しゃむいしゃむいはいやだよぉぉぉぉぉ・・・。」ガタガタ
「にんげんさん、おねがいします!
 れいむたちはどうなってもいいですから、
 おちびちゃんたちだけでもぉぉぉぉ・・・。」ガタガタ
ゆっくり共もすぐにガタガタと震えだした。
この天気じゃ、子ゆっくりなんかすぐに死んでしまうんじゃないか。
昨日の時点で、半分死に掛けてたぐらいだし・・・。
「にんげんさん、おねがいです!まりさたちを飼いゆ・・・・ゆわああああ!!?」
むんず
まりさの頭から帽子を剥ぎ取る。
「まりさのすてきなおぼうしさん!!?かえしてぇぇぇ!!」
ばらばら
帽子の中に、用意しておいた菓子を入れて戻してやる。
「ゆゆ!?まりさのおぼうし、かえってきてくれたんだね!!」
「帽子のなかに、食い物入れといたからな。」
「ゆゆ!?にんげんさん・・・。」
ぽーい
ぽーい
ぽいっ
ぽいっ
「ゆゆ!?おそらをとんでるみたー・・・ゆびゅ!!」
「れいむ、おそらをとんで・・・、ふごっ」
ゆっくり共を全部窓から外に放り投げる。
「ゆ・・・!!にんげんさん、まってね!?
 まりさたちをおうちにいれてね!!」
「まりちゃを、おうちにいれてほしんだじぇ!!」
「れいみゅ、飼いゆっくりにゃんだよ!!?
 れいみゅ、飼いゆっくりにゃんだよにぇ!?にんげんしゃん!?」
「もごもごっ・・・!」
一匹着地に失敗して顔から雪に突っ込んでいるのがいるけれど無視。
ガラガラッ
窓を閉める。
「にんげんさん!?にんげんさんんんんんんん!!?」
「ゆぴぇぇぇぇぇぇぇん!!しゃむいよぉぉぉぉぉぉ!!!」
「まりちゃをおうちにいれてほしんだじぇ!!おねがいだじぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「もがもが、むぐっもげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」ぷりんぷりん
ピシャッ
ゆっくりが騒いでいるが、窓越しなのとしんしんと降る雪のせいで、
窓を閉じてしまうとその声もほとんど聞えなくなる。
 ・・・・・・・・・・・。
後は、自分達で勝手にしろ。







30分後。
まだゆっくりが窓の下にいる。
子ゆっくりの姿は見えない。
どうやら親の口のなかのようだ。
そうしなければ、すぐに死んでしまうだろう。
ゆっくりの上にも既に5センチは雪が積もっている。








1時間後。
まだいる。
もう、騒ぐことはやめてしまったようだ。
その元気もないといったところだろうか。
二匹寄り添ってガタガタと震える以外の動きは見えない。
10センチ以上は雪が積もっている。








更に1時間。
ゆっくりの体の半分以上が雪に埋もれている。
もう意識が朦朧としているのだろうか。
うつらうつらと眠そうにさえ見える。








更に1時間。
もうゆっくりの姿は見えない。
雪の下だ。






















「ゆっくちのーびのーびするのじぇ!」
「ゆっくちこーろこーろするよ!」
子ゆっくりが幸せそうに遊びまわっている。
のーびのーびに、こーろこーろ。
それに、ゆっくり用の玩具まであるからな。

「ゆゆぅ!!おちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるよー!!」
「ほんとうだよ!
 それに、こんなにすてきなおうちがあってれいむ、とってもしあわせーだよ!!」
楽しそうな子ゆっくりを見て、親ゆっくりもしあわせそうだ。
「れいむ・・・。」
「まりさ・・・。」
すーりすーり
「ゆっ!?だめだよ!まりさ!おちびちゃんたちにみられちゃうよ!」
「ゆ!れいむ、まりさもうがまんできないよ!!」
「まりさー!!」
「れいむー!!」
今度は何が始まったんだ・・・。





俺の家にには相変わらず、ゆっくり共がいる。
子ゆっくりは所構わず騒ぎまわるし、親ゆっくりも碌な事をしない。
「ゆっくちー!!こんどはあっちなのじぇ!」
「まってにぇ!れいみゅも、いくよ!!」
どかーん
がしゃーん


「れ、れいむ・・・!!」
「まりさーーーーっ!!!」
すっきりーーー!!!







 ・・・・・・・・・・。
一体どうしてこうなってしまったのだろうか。
 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・。
まあ、仕方ない。
だが春になったら今度こそ絶対に出て行ってもらう。
絶対にだ。

 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・。
そう言えば、俺の友人が口癖の様に言ってた台詞があったな。
たしか・・・。
俺は鬼にはなりきれないのだ・・・。






「ゆ!このつぼは、いいものなのじぇ!まりちゃのたからものにするのじぇ!」
どん
ガチャーン!
「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃ!!?れいみゅの、きゃわいいおかおがーーーーーーー!!!!」

挿絵 by嘆きあき

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感想

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  • 壺w -- 2019-03-29 20:54:45
  • (嘘)って付いてるなら仕方ないwww
    じゃなかったら、絶対ゆっくりさせない!
    あんよ焼きして、虐めて、非ゆ症にして、オレンジジュース掛けて、
    虐めて、非ゆ症にして、オレンジジュース掛けて、虐めて、非ゆ症にして、
    オレンジジュース掛けて、豪雪の外に放り投げて、死ぬのをじっくり待つ。
    (自分は炬燵にアイスかな?それともうどんかな?) -- 2018-02-08 01:15:03
  • 宝物を壊す汚物はさっさと死ね。とでも書いておく。
    それなりですな -- 2016-09-12 20:44:15
  • 下の方で描いてる人もいるけどイライラさせる気満々なクソSSだな -- 2016-07-09 13:32:49
  • お家に入れてもらったくせしてゆっくりプレイスとかほざくところは流石。ピキィしたわ。俺だったらサーチアンドデストロイするな。マジで。 -- 2016-06-05 16:06:13
  • このお兄さん優しいなぁ -- 2016-02-16 00:56:58
  • このお兄さんにピキィってなった -- 2016-01-09 15:08:27
  • オチワロスwww
    この非情になりきれなさは嫌いじゃないぜ -- 2013-12-20 03:41:58
  • ↓から9番目 アナタノアタマダイジョウブデスカ?(嘘)ッテイウノヲツケタリユウハアッテルケドソンナコトヨクココデイエルヨネーユックリデキテナイw -- 2013-08-04 08:20:20
  • ↓から9番目 アナタノアタマダイジョウブデスカ?(嘘)ッテイウノヲツケタリユウハアッテルケドソンナコトヨクココデイエルヨネーユックリデキテナイw -- 2013-08-04 08:19:52
  • ピキィ!
    なにこの残尿感。むかつく。 -- 2013-03-26 01:32:09
  • 絵のまりさwwギoンに乗っている奴www -- 2013-01-24 18:47:04
  • ↓注意
    ゆっくりに対してイライラしただけです

    脱字しました -- 2012-10-08 00:57:08
  • タイトルに(嘘)ってあったし詐欺ではなくね

    何にせよ死ねとか糞みたいな他人が不快になるコメは書くべきでない

    まぁ個人的には最後八つ裂きにしてほしかったけどなwwwww


    しかし素晴らしい作品だった
    こんなにイライラしたのは久しぶりだ


    -- 2012-10-08 00:54:13
  • ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! -- 2012-08-28 14:03:00
  • れみりゃを虐待するように見せかけた愛でSSは評価されていたのに、通常種になるとこの有様だよ -- 2012-08-24 17:21:14
  • デコピンで餡子吐く親れいむって… -- 2012-07-26 16:07:44
  • おまえらもちつけ。よく考えるんだ。つまんねーとか作者死ねとか言ったところでなんになる。作者がゲスで、読んだ奴を不快にさせたいっていうなら批判したって意味ねーし、かえって作者喜ぶんじゃないか?こんなに釣られてるしwwってなかんじに。逆にただ作りたかったから作ったっていう普通の作者なら作者可愛そうじゃん。そんなさあ、自分で選んだSSは全部自分の思い通りのストーリーになってるー、なんてわけねーだろ。例えば、本を買ったとする。んで、自分としては全然おもしろくなかった。そしてそれを著者のせいにするっておかしくね?買ったのも読んだのも自分の責任だろうが。それにさぁ、自分が書いたSSがつまんねぇとか批判されて、あまつさえ「作者は悪意をもってこれを書いた」とか書かれたら、おまえら傷つかねぇ?自分は別にー、って奴も、気を使えよ。                  -- 2012-04-14 20:57:03
  • 虐待目的で読んだけどこれはこれで好き。
    (嘘)って書いてあるし、そんなに批判したり吐くほどじゃない。
    批判してるやつは馬鹿なの?しぬの?餡子脳なの? -- 2012-04-13 00:21:00
  • わざわざタイトルに嘘って注意書きがあるのに批判するとかばかなの?しねよ
    ↓の批判コメは日本語が理解出来ない在日だったんだね!ゆっくりりかいできたよ -- 2012-04-08 23:46:43
最終更新:2010年02月06日 17:11
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