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虐待-普通 観察 悲劇 自滅 ツガイ 野良ゆ 都会 現代 短めです
「UNDER」
・短めです
・人間視点です
・羽付きシリーズの人間とは別人です
羽付きあき
冬ももう終わりというこの季節、私の家の裏で何やら声がする。
耳を澄ませば風の音や車が通る音に混じって「ゆ・・・ていっ・・・ね」や「ゆ~・・・ゅ~」やと聞こえる。
ゆっくりだろうか?
気だるさを感じながらそっと裏庭へと行く。ガスのボンベやエアコンの室外機、それに使わなくなって錆びた自転車などが置いてあるその場所に、似つかわしくない件の正体がいた。
「すーりすーり」「すーりすーり」・・・そんな声が聞こえる方向に目をやると、室外機をうまく使ってダンボールや古紙等でうまく壁を背にして作られた狭い空間に、ピッタリとくっついてグネグネと上下に体を変形させて擦り合わせているバスケットボール大の丸い何かが二個
ゆっくりだ。
いつここに居付いたのだろうか?辺りには菓子類の容器や壊れたプラスチックの籠などが置かれていた。持ってきて食べていたのか、それとも風を防ぐために積み立てているのかは定かではない。
見れば、「れいむ種」と「まりさ種」の様だ。
ベーシックな組み合わせではあるし、珍しいものでも何でもない。
風貌は汚く、泥やほこりにまみれて煤が付いたように汚れており、まるで土の上を転がったような感じに私には見えた。
砂糖細工の髪もバッジをつけた・・・少なくとも私がよく目にする「ゆっくり」とは程遠く。ボサボサで縮れた砂糖細工の毛が数ホン別の方向に飛び出している。
寒天の目の周りには、砂糖水が凝固したのか白っぽい汚れが瞼辺りにこびりついており、しかも黄色っぽく変色している様だ。
口を動かすたびに間に見える砂糖細工の歯は全体的に黄色っぽい茶色に変色しており、その根の部分にはこれまた同じ様にカスの様なものが付いている。
「歯糞」があるという事はこのれいむとまりさは水の確保ができていないようだ。
元来ゆっくりというのは綺麗好きで、常に水や「ぺーろぺーろ」等で清潔にする。
これは餡子を吐き出す以外に「カビ」というゆっくりにとって恐ろしいそれを防ぐ役割を持っているからだ。
汚くてもカビが生えることは滅多になく、常に傷んだ物や腐った物を食べていると、餡子の中にカビが付着しデロデロにとけるという現象が起こる。
外側にカビが生えても大したことはなく。水で洗って日に当たればカビはすぐになくなってしまう。
話が少々脱線したが、つまりはゆっくりは綺麗好きと言うことだ。そこらの山野に居る野生のゆっくりでさえ「がらがらさん」と言って口を水で漱ぐぐらいのことはする。
街ゆっくりの場合は常に湿っぽくそして汚い所におり、また水も雨が降った後の水たまりぐらいしか「ごーくごーく」できる物が無いので、こういった風貌になってしまうのだ。
当然のようにゆっくりにとって最も重要といえる飾りはボロボロだ。
まりさ種の方は帽子が所々解れて欠けており、とんがり帽子に巻いてある白いリボンが無い。
れいむ種のほうは右側のピコピコを束ねる丸い飾りが無くなっており箒の様にボワッと広がっていた。
大きなリボンは薄汚れて解れており、糸が4~5本飛び出してれいむが動くたびにユラユラと揺れているようだ。
しばらくするとこちらの様子に気づいた様で。私の前にボヨンと大きく跳ねて飛び出すと二体のゆっくりは空気を吸って体を大きく膨らませた。
れいむの方はピコピコが上下に揺れている。といっても、無事な左の方が上下にピョコピョコ揺れているように見えるが、右のピコピコはワサワサと広がった箒のような先端が揺れているようにしか見えなかった。
「ゆゆ!ここはれいむとまりさのおうちだよ!ゆっくりどこかにいってね!」
「ぷくーっ!まりさおこるんだぜ!はやくどこかへいくんだぜ!」
威嚇を繰り返すそのれいむとまりさを見て私はピンと来た。このゆっくり達は「飼いゆっくり」だと。
まず第一に街ゆっくりならば、威嚇の前に逃げ出すか、体当たりを仕掛けてくるだろうし、周りの容器類を見てもわかるように「菓子」や「惣菜」の類しか置かれていない。
野菜くずや魚の骨、そしてパン屑等、これが街ゆっくりが比較的食べるポピュラーな食糧だと言われている。
なので街ゆっくりが「おうち」を作った際には通常はこれらの残骸が転がっているはずである。
なのにその形跡は全くない。これはこのゆっくり達がそれらを食べられるものとすら理解していない証拠である。
この二体、恐らく銅バッジよくて銀バッジか・・・それも一番ランクの低いのに値すると推測できる。
山野のゆっくりと同じ気質のゆっくりがつい最近まで流行っていた。金バッジや銀バッジのゆっくりより割安だし、何よりある意味無害だからだ。
「ゆっくりする」という事を基本に動くゆっくりの中で、山野の気質を持つ・・・つまり原初のゆっくりに一番近いゆっくりは食料などをある程度抑えていれば「すっきり」をすることがない。
直感的に今の食料の量では子ゆっくりと一緒にゆっくりすることができないと理解するからだ。
これが近年のゆっくりなら「自身は飼いゆっくりなので子ゆっくりが増えればもっとゆっくりできるし、食料もそれに合わせて増やしてもらえる」と判断するため「すっきり」を断行するゆっくりがときたまいる。
・・・だがブームが去れば実態はこうだ。いくら手間がかからないとはいっても流行り感覚で買ったやつらはこうやって捨てていく。
ゲスであれ何であれ街に適応した街ゆっくりでも、飼いゆっくりでもなくなったゆっくり。これが「捨てゆっくり」というものだ。
「ゆっくりしないではやくどこかにいってね!れいむおこるよ!」
「まりさもおこるんだぜ!ゆっくりしないでどこかへいくんだぜ!」
遮るようにれいむとまりさが声を上げる。さらに大きく膨れていた。
その目は純粋に輝いているが怒りを秘めている。
私はそのまま踵を返して戻る。「捨てゆっくり」ならばおうち宣言はしないだろう。
・・・それにまだ威嚇する元気があるならばその内もっと餌場に近い場所に移動するだろう。
私の後ろからは「ゆっくりもうこないでね!」という声が聞こえるだけだった。
次の日、家の周りを散歩していると私の家からピョコピョコと跳ねる影が二つあった。あのれいむとまりさだ。
一体どこへ行くのか、少し興味をもったので付いていくことにする。
「ゆ!ゆ!れいむゆっくりはねるよ!」
「ゆ!ゆ!ゆっくりついてくるんだぜ!」
大きく体をつぶして斜め前に飛ぶと、前に再び体をつぶして着地する・・・それの繰り返しだ。
結構な早さだが歩いていてもついていける速度である。
固いコンクリートの上を何度も跳ねているせいか、底部が黒くガチガチになっている。
しばらく付いていくと壊れた自販機の前で止まった。
横にあるごみ箱をまりさが「ゆ!」と言って横に倒すと中からガラガラと音がした。
空き缶自体はあまりないのだろう。ごみ箱の中で音がしただけで外に飛び出しておらず、まりさがごみ箱の中に顔を突っ込んでゴソゴソと何やら探しているようだ。
れいむはまりさの背部をじっと見ているだけだった。しばらくゴソゴソと動いてまりさが顔を出すと、再びどこかへ跳ね出した。どうやら何もなかったようだ。
れいむもそれについていっているようだ。まりさの少し後ろについてボヨンボヨンと跳ねていある。
私はゴミ箱を立て直しながら、中をのぞいてみた。中には4~5本の空き缶とそれにこびりついたガチガチのガム、それとアイスクリームの袋がさびしく置いてあるだけであった。
再び付いていく。道路の端をボヨンボヨンと跳ねるゆっくり二体。まだ100mちょっとしか進んでいないがれいむとまりさには疲労の色が見て取れた。
あの様子を見るに殆ど食料をとっていないのだろう。捨てられて日が立たないのが幸いの様だ。
横からトラックがブロロロ・・・と音を立ててて走っていく。道路の幅はギリギリなので結構ゆっくりと隣接していた。
その時であった。トラックのタイヤから跳ねた小石がまりさに当たった。
まりさは着地と同時に口を大きく開けて寒天の目から涙を流し、涎と涙をあらんところにまき散らして大声でわめいた。
「ゆぎゃああああ!までぃざのおべべがあああああああ!」
「までぃざあああああああ!ゆっぐりじでいっでね!ゆっぐり!ゆっぐり!」
まりさの寒天の右目に直撃したようだ。少量の餡子と寒天の目がグズグズに混じった何かがそこに落ちていた。
切り裂くように飛んできた小石にあてられ、大きく傷ができたようだ。
「ゆぎぃぃいいい!おべべっ!までぃざのおべべええええええ!」
「ばりざゆっぐりよぐなっでね!べーろべーろっ!」
れいむが舌を伸ばしてぺーろぺーろをするが、まりさは相変わらず口をあけて残った寒天の目を見開いて砂糖水に涎と涙、そして大声をまき散らすだけだ。
私が近付くとれいむは寒天の両目から砂糖水の涙をダバダバと流しながらこちらを向いてこう言った。
「にんげんざん!まりざがゆっぐりでぎなぐなっでるよ!ゆっぐりだずげでねっ!」
とは言ったものの、小麦粉にといた水でくっつければ寒天の目は治るが、肝心のそれがグズグズになってしまっては手の打ちようがない。
れいむのけたたましい声を縫うように「ゆぐっ・・・!ゆ”・・・!ゆ”・・・!」と体を震わせるまりさがいた。
どうやらショック状態になってしまったようだ。
・・・実はこれは別に重体とかそんなことはなく、単に「ゆっくりできない」という考えが大きくよぎっただけである。
つまり10分もすれば元に戻るだろう。
私がまりさを見て、どうしようもない旨を伝えると、れいむの方は業を煮やしたのか、まりさの砂糖細工のおさげを口で持ってズリズリと引っ張り始めた。
「ゆ!ゆ!まりさゆっくりがまんしてね!いまおうちさんにかえるからね!」
「ゆ”!ゆ”!」
それから私は引き返したためそのれいむとまりさの姿は見えなかった。ただ、餡子が尾を引いて地面に広がっているのを少しだけ確認できただけだ。
次の日、何やら裏庭が騒がしいので行ってみると案の定あのれいむとまりさが何やらちょこまかと動いていたようだ。
「までぃざあああああ!ゆっぐり!ゆっぐりじでいっでね!あんござんをばいだらゆっぐりでぎなぐなるよ!ゆっぐり!ゆっぐりぃ!」
「ゆげぇぇぇ・・・!ゆぶっ!ゆぶぶっ!」
まりさが口から大量の餡子を吐き出し、そのわきでれいむが声をあげて泣いている。
そばには食べかけのクッキーが残されていた。間に刻まれた「ゆ」のマークを見て私は直感した。
対街ゆっくり専用に加工所がそこらに配布している「ゆ除クッキー」というやつだろう。
恐らくあのれいむがクッキーをどこからかは知らないが持ってきてまりさに食べさせた所ああなってしまったと考えた方が妥当か。
まりさの方はふたまわりも小さくなっており、心なしか小麦粉の皮のハリと色艶もよくない。
余った小麦粉の皮がしわがれたように地面側に垂れており、まるで熟れ過ぎたトマトの様になってしまっている。
私が遠目に眺めているとまりさがふとグネグネと体をくねらせ始めた。
「ゆ”・・・!ゆ”!ゆぎっ!ぃぃぃいいいいいいぎぎっぎぎぎぎっぎゃががががああああああああ!!」
「ばりざああああああああああ!?」
突如まりさが寒天の目を見開いたかと思うと餡子を口からはき飛ばしながら凄まじい奇声を上げ始めた。
残った寒天の目がまるでカメレオンの様にグルグルと回り始めると、舌をあらん限り伸ばしてグネグネと激しく体を揺らす。
「ゆっぐりじでいっでね!ばりざ!ゆっぐりじでいっでね!ゆっぐり!ゆっぐりじでぇぇぇ!!」
れいむの叫びもお構いなしにまりさの行動は終わらない。あにゃるから、寒天の目から、それこそゆっくりにあいている穴という穴から餡子の混じった砂糖水が「ぶぴっぶぴっ」と音を立てて出始める。
「ゆぼぉげげげげえええええええええぼろろろおおおおおおおお!!ゆっがっごぼぼぼぼぼぼおおおおおおおお!!??」
「おぐぢざんをどじでねまでぃざっ!あんごがでぢゃっだらゆっぐりでぎないよ!」
れいむがそう言ってもまりさの餡子の流出は止まらなかった。
その時、れいむが機転を利かせてまりさの顔面を地面に押しつけるようにして抑え始める。
「ゆ!まりさゆっくりがまんしてね!」
「ゆぐっ!ゆぐぅぅぅぅうううう・・・!!」
何とか一時的に餡子がながれる事はなくなったが、それも束の間、今度はなんとあにゃる部分、つまり後部の方の小麦粉の皮が異常に膨れ始めた。
わかりやすく形容するならば「なすび型lならぬ「ひょうたん型」といったところか。
あにゃるからぶぴぴっと音がして餡子が漏れ始める。次の瞬間、まりさの後部がバックリと裂けて餡子が漏れ出した。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?までぃざああああああああああ!?ゆっぐりいいいいいいいい!?」
まりさの方は完全に動かぬ饅頭となってしまったようだ。ピクリとも動かなくなった。
「どぼじでえええええええええええええええええ!!ごんなのゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいい!!」
れいむの叫びが辺りに響く。勝手に餡子をぶちまけて大声で喚き散らされれば迷惑なのだが、餡子と砂糖水を身に纏いそこらの砂やゴミを巻き込んで絶叫するれいむ。それを見ていると襲いかかってきそうなほどの気迫があったので尻込みしてしまい、結局私は家の中へとすごすごと戻ったのだった。
結局それから数分もすると声は聞こえなくなった。切り替えが早かったのだろうか?
風の吹く音だけが辺りには響いている・・・
それから三日後・・・
あのれいむの様子が気になった私は裏庭をのぞいてみた。
「ゆ”・・・ゆ”・・・おながずいだよぉぉ・・・」
そこには一回り小さくなったれいむが壁にもたれかかってブツブツと口を動かしている姿があった。
あれから食料調達もうまくいかなかったのか、理由は分からないがどうやら何も食べていない様だ。
まりさは帽子しか残っていなかった、れいむがこんな状態という事はどこかへやったのか何かをしたのだろう。少なくとも食べたわけでは無いようだ。
既に寒天の目はからからに乾いて輝きを失っており、薄汚れていた小麦粉の皮はハリや色艶をさらに失ってもっと小汚く見えた。
私に気がついたのか、のっそりとした動きでもぞもぞと動き始める
「ゆ・・・にんげんさんはゆっぐり・・・でぎないよ・・・れいむ・・・ゆっぐり・・・にげるよ・・・」
一般的なはめるイメージとは裏腹に、ずりずりと底部を這うようにして移動し始める。その動きはかなり遅いがそれが今の必死なのだろうか。
「ゆ”・・・ゆ”・・・」
私はモゾモゾとどこかへ行くれいむを見て家に戻った。
・・・それからあのれいむの姿は見ていない。
れいむとまりさがいたスペースは、どこかガランとして寂しく使われなくなったものが置かれているのみだ。
どこかへいったのか、それとも他のゆっくりの餌食になったのか。それを知る術はもうどこにもなかった。
あのれいむとまりさを見るたびに思う。ゆっくり達の言う「ゆっくりする」という事は一体どういう事なのかを。
それを知る術はもうなかった。
裏庭には主を失ったボロボロのトンガリ帽子だけがさびしく風にゆらゆらと揺れている。
過去に書いたもの
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 観察系なんだからこの態度でいいんだよ
ていうか別にこのお兄さんなよなよしてないだろ
-- 2016-07-18 02:00:37
- このお兄さんがなよなよしくて、一番イライラした。
馬鹿な捨てゆっくりなんかにどうしよもないと伝えるなんて。ゆっくりなんて蹴ってどかせばいい。 -- 2016-02-10 15:23:41
- ゆっくり堕ちてね!!! -- 2010-07-24 15:34:55
- 哀れだ -- 2010-07-08 05:41:38
最終更新:2010年03月27日 17:00